訂正有価証券報告書-第34期(令和2年9月1日-令和3年8月31日)
(1) 経営成績等の状況の概況
① 財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度(2020年9月1日~2021年8月31日)における国内経済は、1月以降、都心部を中心に新型コロナウイルス感染症拡大に伴う緊急事態宣言等が断続的に発令され、とりわけ4月には対象地域の大型商業施設では営業自粛を要請されるなど、個人消費を中心に経済に大きく影響が出ておりました。世界経済においては、各国において新型コロナウイルス感染症対策としてワクチン接種が進められており、国、地域によって経済の回復状況は異なっているものの、景気の回復傾向が見受けられます。一方で、足元では中国政府の投資抑制策による経済への影響が懸念されており、今後の動向を注視しております。 また、国内眼鏡小売市場(視力矯正眼鏡)は、新型コロナウイルス感染症拡大に伴う緊急事態宣言の影響に関して、前年も厳しい営業自粛要請を伴っていたこともあり、前年比では市場規模はほぼ横ばいとなっていますが、前々年の水準には至っていない状況であります。
このような市場環境の中で、当社グループのアイウエア事業では、経営課題として掲げている商品ラインアップの多様化及びデジタルトランスフォーメーションの推進などの取り組みを進めてまいりました。国内アイウエア事業においては、より利便性の高い購買体験の提供を進めている中、度数情報や保証書機能を持ったJINSアプリの会員数が2021年8月末現在で約870万人となりました。また、フランスのデジタルアイウエアカンパニーであるFITTINGBOX社と資本業務提携契約を締結し、同社の保有するバーチャル試着及びAR(拡張現実)ソリューションをはじめとした先進的なデジタル技術を取り入れた購買体験の取り組みを加速しております。店舗開発につきましては、都心でのショッピングを避ける傾向も見受けられることから、主にインバウンド需要の高かった都心の店舗を閉店しつつ、より生活圏に近い立地への出店を進めるなど、新しい生活様式に対応した取り組みを進めてまいりました。商品開発につきましては、「近視のない世界の実現」に向けた取り組みの一環として、バイオレットライトを用いた近視進行抑制メガネ型医療機器開発の共同プロジェクトを進めており、当連結会計年度の研究開発費の総額は373百万円となりました。
店舗展開につきましては、当連結会計年度末におけるアイウエアショップの店舗数は、国内434店舗、海外220店舗(中国170店舗、台湾38店舗、香港6店舗、米国6店舗)の合計654店舗となりました。
この結果、当連結会計年度の経営成績及び財政状態は以下のとおりとなりました。
(イ) 経営成績
当連結会計年度の経営成績は、売上高63,898百万円(前年同期比6.0%増)、営業利益5,049百万円(前年同期比10.1%減)、経常利益5,020百万円(前年同期比13.8%減)、親会社株主に帰属する当期純利益3,292百万円(前年同期比95.1%増)となりました。
なおセグメントごとの経営成績は次のとおりです。
国内アイウエア事業の業績につきましては、売上高51,160百万円(前年同期比8.1%増)、営業利益4,886百万円(前年同期比17.8%減)となりました。
海外アイウエア事業の業績は、売上高12,737百万円(前年同期比17.3%増)、営業利益162百万円(前年同期は営業損失9百万円)となりました。
なお、雑貨事業につきましては前連結会計年度末をもって撤退しております。
(ロ) 財政状態
当連結会計年度末における資産合計は53,007百万円となり、前連結会計年度末に比べ385百万円減少いたしました。
当連結会計年度末における負債合計は32,787百万円となり、前連結会計年度末に比べ2,842百万円減少いたしました。
当連結会計年度末における純資産合計は20,219百万円となり、前連結会計年度末に比べ2,456百万円増加いたしました。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は23,206百万円となり、前連結会計年度末に比べ1,461百万円減少いたしました。各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりです。
(イ) 営業活動によるキャッシュ・フロー
営業活動によるキャッシュ・フローは、前年同期に比べ2,691百万円収入が減少し、5,058百万円の収入となりました。
これは主に、税金等調整前当期純利益4,372百万円、減価償却費2,624百万円の計上による資金の増加があったものの、法人税等の支払額2,813百万円による資金の減少があったことによるものであります。
(ロ) 投資活動によるキャッシュ・フロー
投資活動によるキャッシュ・フローは、前年同期に比べ703百万円支出が減少し、3,175百万円の支出となりました。
これは主に、店舗の出店及び改装に伴う有形固定資産の取得による支出1,588百万円、投資有価証券取得による支出1,196百万円によるものであります。
(ハ) 財務活動によるキャッシュ・フロー
財務活動によるキャッシュ・フローは、前年同期に比べ16,196百万円収入が減少し、3,758百万円の支出となりました。
これは主に、長期借入金の返済による支出1,175百万円、配当金の支払額1,166百万円によるものであります。
③ 生産、受注及び販売の状況
当社は卸・小売業であり、生産活動を行っておりませんので、生産実績、受注実績は該当事項がありません。
販売実績につきましては、「(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容 ②当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容」における各報告セグメントの経営成績に関連付けて示しています。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき、重要な会計方針及び見積りにより作成されております。
当社は、連結財務諸表の作成に際し、決算日における資産・負債の決算数値及び偶発債務の開示並びに会計期間における収益・費用の決算数値に影響を与える見積り項目について、過去の実績や状況に応じ、合理的と考えられる様々な要因に基づいた見積りと判断を行っておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。
これらの連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項」の「重要な会計上の見積り」に記載しております。
② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
経営成績の分析
(売上高)
当連結会計年度の売上高は63,898百万円(前年同期比6.0%増)となりました。
国内アイウエア事業につきましては、TVCM等の広告施策を展開したコンタクトレンズ「JINS 1DAY(ジンズワンデー)」の無料お試しキャンペーンが好評だった他、世界中で愛され続けているキャラクター「ポケットモンスター(ポケモン)」をJINSならではの視点でデザインした「JINS ポケモンモデル」が売上を牽引しました。また、エアフレームの最上級モデル「Ultra Light Airframe」をはじめとした高付加価値商品が好調だったこと等による一式単価の上昇により、引き続き売上高総利益率が改善しました。新型コロナウイルス感染症の影響につきましては、前年の休業による影響と比べると改善はしているものの、海外渡航者の入国制限が継続していることからインバウンドの売上が大きく減少しました。また、1月以降、都心部を中心に新型コロナウイルス感染症拡大に伴う緊急事態宣言等が断続的に発令され、とりわけ4月には対象地域の大型商業施設では営業自粛を要請されるなど、業績に少なからず影響がありました。足元では7月下旬から8月にかけて新型コロナウイルス感染者数が全国的に爆発的に増加し、特に週末の外出を控える傾向が見受けられ、客足に大きな影響がありました。
また、店舗展開につきましては、地域と共生することを目指した新たな出店形態の取り組みとして、ベーカリーカフェを併設した「JINS PARK」を創業の地である群馬県前橋市にオープンするなど、お客様がよりお求めやすい店舗の開発を進め、前期から19店舗純増し国内直営店は434店舗となりました。
以上の結果、国内アイウエア事業の売上高は前年同期比8.1%増加しました。
海外アイウエア事業につきましては、中国においては、政府による新型コロナウイルス感染症の対策が功を奏しており、売上は概ね順調に推移しておりました。
台湾においては、新型コロナウイルス感染症の影響はほとんど見受けられず、売上は順調に推移しておりましたが、5月中旬以降、新規感染者の急増に端を発した政府の政策により社会活動の制限がなされ、客足に大きく影響がありました。
香港においては、政情不安によるデモ騒動の影響は沈静化しつつあり、新型コロナウイルス感染症の影響による消費の低迷からも回復基調にあります。売上はこれにより順調に回復しております。
米国においては、新型コロナウイルス感染症の影響により出店しているカリフォルニア州では経済の停滞が長く続いていました。6月中旬以降、店舗は全店で営業を再開し、徐々に店舗売上は回復してきておりますが、引き続きDXを進め、EC販売に注力しております。
以上の結果、海外アイウエア事業の売上高は前年同期比17.3%増加しました。
(営業利益)
当連結会計年度の営業利益は5,049百万円(前年同期比10.1%減)となりました。
国内アイウエア事業につきましては、前年に引き続き高価格帯商品が好調だったこと等による一式単価の上昇により売上高総利益率が改善しました。販売管理費については、コンタクトレンズ「JINS 1DAY(ジンズワンデー)」のTVCM等により広告宣伝費が増加したこと、及び特に7、8月に新型コロナウイルス感染症の影響により売上が落ち込んだこと等により、売上高対販売管理費率が上昇し、減益となりました。
海外アイウエア事業につきましては、台湾、米国においては、新型コロナウイルス感染症による社会活動の制限の影響が拭い切れなかったものの、中国、香港は前年の影響からは業績が大きく回復したことにより、増益となりました。
(経常利益)
当連結会計年度の経常利益は5,020百万円(前年同期比13.8%減)となりました。
これは主に、営業利益が減益になったことに加え、前年営業外収益として発生していた還付消費税等がなくなったこと等によるものであります。
(税金等調整前当期純利益)
当連結会計年度の税金等調整前当期純利益は4,372百万円(前年同期比18.8%増)となりました。
これは主に、経常利益が減益になったものの、前年に特別損失として発生していた新型コロナウイルスの影響に伴う店舗臨時休業による損失及び雑貨事業の事業撤退損失がなくなったこと等によるものであります。
(親会社株主に帰属する当期純利益)
当連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純利益は3,292百万円(前年同期比95.1%増)となりました。
これは主に、税金等調整前当期純利益が増益になったことに加え、子会社の清算に伴う税効果等の影響により法人税等が減少したことによるものです。
財政状態及びキャッシュ・フローの分析
(資産)
流動資産は、33,205百万円となり、前連結会計年度末に比べ1,899百万円減少いたしました。
これは主に、商品及び製品が171百万円増加したものの、現金及び預金が1,461百万円、受取手形及び売掛金が690百万円減少したことによるものであります。
固定資産は、19,801百万円となり、前連結会計年度末に比べ1,513百万円増加いたしました。
これは主に、建物及び構築物等の有形固定資産が275百万円減少したものの、投資有価証券が1,152百万円、敷金及び保証金が196百万円増加したことによるものであります。
以上により、総資産は53,007百万円となり、前連結会計年度末に比べ385百万円減少いたしました。
(負債)
流動負債は、10,501百万円となり、前連結会計年度末に比べ2,336百万円減少いたしました。
これは主に、1年内返済予定の長期借入金が1,010百万円、未払法人税等が1,517百万円減少したことによるものであります。
固定負債は、22,285百万円となり、前連結会計年度末に比べ505百万円減少いたしました。
これは主に、リース債務が243百万円減少したことによるものであります。
以上により、負債合計は32,787百万円となり、前連結会計年度末に比べ2,842百万円減少いたしました。
(純資産)
純資産合計は、20,219百万円となり、前連結会計年度末に比べ2,456百万円増加いたしました。
これは主に、配当金の支払いにより1,167百万円減少したものの、親会社株主に帰属する当期純利益3,292百万円を計上したことによるものであります。
キャッシュ・フローの分析につきましては、「(1)経営成績等の状況の概況 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
資本の財源及び資金の流動性の分析
当社グループの運転資金需要のうち主なものは、商品仕入の他、販売費及び一般管理費等の営業費用によるものです。投資を目的とした資金需要は、出店等の設備投資によるものです。
また、当社グループの運転資金及び出店資金については自己資本を基本としておりますが、必要に応じて設備投資や長期運転資金の調達について銀行借入及びリース契約を使用する場合があります。
当連結会計年度においては、取引銀行5行と極度額15,800百万円、120百万中国元、25百万香港ドル及び13百万台湾ドルの当座貸越契約、取引銀行4行と総額8,000百万円のコミットメントライン契約を締結しており、機動的かつ安定的な投資資金の調達の実現を図っております。
加えて、2020年2月にアイウエア事業のさらなる拡大及び新規事業の開発や持続的成長を可能にするための投資等を目的とした総額20,000百万円のユーロ円建転換社債型新株予約権付社債を発行いたしました。
なお、当連結会計年度末における上記契約を含む金融機関からの資金調達額は218百万円、リース債務残高は825百万円であります。
① 財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度(2020年9月1日~2021年8月31日)における国内経済は、1月以降、都心部を中心に新型コロナウイルス感染症拡大に伴う緊急事態宣言等が断続的に発令され、とりわけ4月には対象地域の大型商業施設では営業自粛を要請されるなど、個人消費を中心に経済に大きく影響が出ておりました。世界経済においては、各国において新型コロナウイルス感染症対策としてワクチン接種が進められており、国、地域によって経済の回復状況は異なっているものの、景気の回復傾向が見受けられます。一方で、足元では中国政府の投資抑制策による経済への影響が懸念されており、今後の動向を注視しております。 また、国内眼鏡小売市場(視力矯正眼鏡)は、新型コロナウイルス感染症拡大に伴う緊急事態宣言の影響に関して、前年も厳しい営業自粛要請を伴っていたこともあり、前年比では市場規模はほぼ横ばいとなっていますが、前々年の水準には至っていない状況であります。
このような市場環境の中で、当社グループのアイウエア事業では、経営課題として掲げている商品ラインアップの多様化及びデジタルトランスフォーメーションの推進などの取り組みを進めてまいりました。国内アイウエア事業においては、より利便性の高い購買体験の提供を進めている中、度数情報や保証書機能を持ったJINSアプリの会員数が2021年8月末現在で約870万人となりました。また、フランスのデジタルアイウエアカンパニーであるFITTINGBOX社と資本業務提携契約を締結し、同社の保有するバーチャル試着及びAR(拡張現実)ソリューションをはじめとした先進的なデジタル技術を取り入れた購買体験の取り組みを加速しております。店舗開発につきましては、都心でのショッピングを避ける傾向も見受けられることから、主にインバウンド需要の高かった都心の店舗を閉店しつつ、より生活圏に近い立地への出店を進めるなど、新しい生活様式に対応した取り組みを進めてまいりました。商品開発につきましては、「近視のない世界の実現」に向けた取り組みの一環として、バイオレットライトを用いた近視進行抑制メガネ型医療機器開発の共同プロジェクトを進めており、当連結会計年度の研究開発費の総額は373百万円となりました。
店舗展開につきましては、当連結会計年度末におけるアイウエアショップの店舗数は、国内434店舗、海外220店舗(中国170店舗、台湾38店舗、香港6店舗、米国6店舗)の合計654店舗となりました。
この結果、当連結会計年度の経営成績及び財政状態は以下のとおりとなりました。
(イ) 経営成績
当連結会計年度の経営成績は、売上高63,898百万円(前年同期比6.0%増)、営業利益5,049百万円(前年同期比10.1%減)、経常利益5,020百万円(前年同期比13.8%減)、親会社株主に帰属する当期純利益3,292百万円(前年同期比95.1%増)となりました。
なおセグメントごとの経営成績は次のとおりです。
国内アイウエア事業の業績につきましては、売上高51,160百万円(前年同期比8.1%増)、営業利益4,886百万円(前年同期比17.8%減)となりました。
海外アイウエア事業の業績は、売上高12,737百万円(前年同期比17.3%増)、営業利益162百万円(前年同期は営業損失9百万円)となりました。
なお、雑貨事業につきましては前連結会計年度末をもって撤退しております。
(ロ) 財政状態
当連結会計年度末における資産合計は53,007百万円となり、前連結会計年度末に比べ385百万円減少いたしました。
当連結会計年度末における負債合計は32,787百万円となり、前連結会計年度末に比べ2,842百万円減少いたしました。
当連結会計年度末における純資産合計は20,219百万円となり、前連結会計年度末に比べ2,456百万円増加いたしました。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は23,206百万円となり、前連結会計年度末に比べ1,461百万円減少いたしました。各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりです。
(イ) 営業活動によるキャッシュ・フロー
営業活動によるキャッシュ・フローは、前年同期に比べ2,691百万円収入が減少し、5,058百万円の収入となりました。
これは主に、税金等調整前当期純利益4,372百万円、減価償却費2,624百万円の計上による資金の増加があったものの、法人税等の支払額2,813百万円による資金の減少があったことによるものであります。
(ロ) 投資活動によるキャッシュ・フロー
投資活動によるキャッシュ・フローは、前年同期に比べ703百万円支出が減少し、3,175百万円の支出となりました。
これは主に、店舗の出店及び改装に伴う有形固定資産の取得による支出1,588百万円、投資有価証券取得による支出1,196百万円によるものであります。
(ハ) 財務活動によるキャッシュ・フロー
財務活動によるキャッシュ・フローは、前年同期に比べ16,196百万円収入が減少し、3,758百万円の支出となりました。
これは主に、長期借入金の返済による支出1,175百万円、配当金の支払額1,166百万円によるものであります。
③ 生産、受注及び販売の状況
当社は卸・小売業であり、生産活動を行っておりませんので、生産実績、受注実績は該当事項がありません。
販売実績につきましては、「(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容 ②当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容」における各報告セグメントの経営成績に関連付けて示しています。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき、重要な会計方針及び見積りにより作成されております。
当社は、連結財務諸表の作成に際し、決算日における資産・負債の決算数値及び偶発債務の開示並びに会計期間における収益・費用の決算数値に影響を与える見積り項目について、過去の実績や状況に応じ、合理的と考えられる様々な要因に基づいた見積りと判断を行っておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。
これらの連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項」の「重要な会計上の見積り」に記載しております。
② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
経営成績の分析
(売上高)
当連結会計年度の売上高は63,898百万円(前年同期比6.0%増)となりました。
国内アイウエア事業につきましては、TVCM等の広告施策を展開したコンタクトレンズ「JINS 1DAY(ジンズワンデー)」の無料お試しキャンペーンが好評だった他、世界中で愛され続けているキャラクター「ポケットモンスター(ポケモン)」をJINSならではの視点でデザインした「JINS ポケモンモデル」が売上を牽引しました。また、エアフレームの最上級モデル「Ultra Light Airframe」をはじめとした高付加価値商品が好調だったこと等による一式単価の上昇により、引き続き売上高総利益率が改善しました。新型コロナウイルス感染症の影響につきましては、前年の休業による影響と比べると改善はしているものの、海外渡航者の入国制限が継続していることからインバウンドの売上が大きく減少しました。また、1月以降、都心部を中心に新型コロナウイルス感染症拡大に伴う緊急事態宣言等が断続的に発令され、とりわけ4月には対象地域の大型商業施設では営業自粛を要請されるなど、業績に少なからず影響がありました。足元では7月下旬から8月にかけて新型コロナウイルス感染者数が全国的に爆発的に増加し、特に週末の外出を控える傾向が見受けられ、客足に大きな影響がありました。
また、店舗展開につきましては、地域と共生することを目指した新たな出店形態の取り組みとして、ベーカリーカフェを併設した「JINS PARK」を創業の地である群馬県前橋市にオープンするなど、お客様がよりお求めやすい店舗の開発を進め、前期から19店舗純増し国内直営店は434店舗となりました。
以上の結果、国内アイウエア事業の売上高は前年同期比8.1%増加しました。
海外アイウエア事業につきましては、中国においては、政府による新型コロナウイルス感染症の対策が功を奏しており、売上は概ね順調に推移しておりました。
台湾においては、新型コロナウイルス感染症の影響はほとんど見受けられず、売上は順調に推移しておりましたが、5月中旬以降、新規感染者の急増に端を発した政府の政策により社会活動の制限がなされ、客足に大きく影響がありました。
香港においては、政情不安によるデモ騒動の影響は沈静化しつつあり、新型コロナウイルス感染症の影響による消費の低迷からも回復基調にあります。売上はこれにより順調に回復しております。
米国においては、新型コロナウイルス感染症の影響により出店しているカリフォルニア州では経済の停滞が長く続いていました。6月中旬以降、店舗は全店で営業を再開し、徐々に店舗売上は回復してきておりますが、引き続きDXを進め、EC販売に注力しております。
以上の結果、海外アイウエア事業の売上高は前年同期比17.3%増加しました。
(営業利益)
当連結会計年度の営業利益は5,049百万円(前年同期比10.1%減)となりました。
国内アイウエア事業につきましては、前年に引き続き高価格帯商品が好調だったこと等による一式単価の上昇により売上高総利益率が改善しました。販売管理費については、コンタクトレンズ「JINS 1DAY(ジンズワンデー)」のTVCM等により広告宣伝費が増加したこと、及び特に7、8月に新型コロナウイルス感染症の影響により売上が落ち込んだこと等により、売上高対販売管理費率が上昇し、減益となりました。
海外アイウエア事業につきましては、台湾、米国においては、新型コロナウイルス感染症による社会活動の制限の影響が拭い切れなかったものの、中国、香港は前年の影響からは業績が大きく回復したことにより、増益となりました。
(経常利益)
当連結会計年度の経常利益は5,020百万円(前年同期比13.8%減)となりました。
これは主に、営業利益が減益になったことに加え、前年営業外収益として発生していた還付消費税等がなくなったこと等によるものであります。
(税金等調整前当期純利益)
当連結会計年度の税金等調整前当期純利益は4,372百万円(前年同期比18.8%増)となりました。
これは主に、経常利益が減益になったものの、前年に特別損失として発生していた新型コロナウイルスの影響に伴う店舗臨時休業による損失及び雑貨事業の事業撤退損失がなくなったこと等によるものであります。
(親会社株主に帰属する当期純利益)
当連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純利益は3,292百万円(前年同期比95.1%増)となりました。
これは主に、税金等調整前当期純利益が増益になったことに加え、子会社の清算に伴う税効果等の影響により法人税等が減少したことによるものです。
財政状態及びキャッシュ・フローの分析
(資産)
流動資産は、33,205百万円となり、前連結会計年度末に比べ1,899百万円減少いたしました。
これは主に、商品及び製品が171百万円増加したものの、現金及び預金が1,461百万円、受取手形及び売掛金が690百万円減少したことによるものであります。
固定資産は、19,801百万円となり、前連結会計年度末に比べ1,513百万円増加いたしました。
これは主に、建物及び構築物等の有形固定資産が275百万円減少したものの、投資有価証券が1,152百万円、敷金及び保証金が196百万円増加したことによるものであります。
以上により、総資産は53,007百万円となり、前連結会計年度末に比べ385百万円減少いたしました。
(負債)
流動負債は、10,501百万円となり、前連結会計年度末に比べ2,336百万円減少いたしました。
これは主に、1年内返済予定の長期借入金が1,010百万円、未払法人税等が1,517百万円減少したことによるものであります。
固定負債は、22,285百万円となり、前連結会計年度末に比べ505百万円減少いたしました。
これは主に、リース債務が243百万円減少したことによるものであります。
以上により、負債合計は32,787百万円となり、前連結会計年度末に比べ2,842百万円減少いたしました。
(純資産)
純資産合計は、20,219百万円となり、前連結会計年度末に比べ2,456百万円増加いたしました。
これは主に、配当金の支払いにより1,167百万円減少したものの、親会社株主に帰属する当期純利益3,292百万円を計上したことによるものであります。
キャッシュ・フローの分析につきましては、「(1)経営成績等の状況の概況 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
資本の財源及び資金の流動性の分析
当社グループの運転資金需要のうち主なものは、商品仕入の他、販売費及び一般管理費等の営業費用によるものです。投資を目的とした資金需要は、出店等の設備投資によるものです。
また、当社グループの運転資金及び出店資金については自己資本を基本としておりますが、必要に応じて設備投資や長期運転資金の調達について銀行借入及びリース契約を使用する場合があります。
当連結会計年度においては、取引銀行5行と極度額15,800百万円、120百万中国元、25百万香港ドル及び13百万台湾ドルの当座貸越契約、取引銀行4行と総額8,000百万円のコミットメントライン契約を締結しており、機動的かつ安定的な投資資金の調達の実現を図っております。
加えて、2020年2月にアイウエア事業のさらなる拡大及び新規事業の開発や持続的成長を可能にするための投資等を目的とした総額20,000百万円のユーロ円建転換社債型新株予約権付社債を発行いたしました。
なお、当連結会計年度末における上記契約を含む金融機関からの資金調達額は218百万円、リース債務残高は825百万円であります。