四半期報告書-第30期第2四半期(令和3年7月1日-令和3年9月30日)

【提出】
2021/11/12 9:55
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【項目】
41項目
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において当社グループが判断したものであります。
なお、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を第1四半期連結会計期間の期首から適用しております。詳細は、「第4 経理の状況 1 四半期連結財務諸表 注記事項(会計方針の変更)」に記載のとおりであります。
(1) 財政状態及び経営成績等の状況
調剤薬局業界においては、新型コロナウイルスの感染拡大による患者さまの医療機関への受診控え及び医療機関の外来診療の抑制の影響を受ける等厳しい状況が続いておりますが、新型コロナウイルスに対するワクチン接種の普及により新規感染者数が減少する等、徐々に回復の兆しが見受けられる状況となっております。また、2021年8月より薬局開設者等に対し、法令遵守体制の整備が義務化されており、医薬品に関わる事業者がより高い倫理観を持つことが求められております。
当社グループでは患者さまにいちばん近い会社であり続けるため、感染拡大防止策を徹底している他、従業員に対してワクチンの職域接種を行う等、新型コロナウイルスから患者さま・従業員を守る経営を最優先してまいりました。全社戦略については引き続きウィズコロナの時代の中で中期目標を実現するために、「規模の拡大」「利益の最大化」「デジタル化」に全事業一体となって取り組んでおります。当社グループでは多くのステークホルダーの皆さまにとって魅力ある安定成長企業となるため、環境、社会、ガバナンスの各分野において、企業価値を向上させる取り組みを継続しております。2021年6月には、取締役会の監督機能の一層の強化、コーポレート・ガバナンス体制の更なる充実を図るため、監査役会設置会社から監査等委員会設置会社に移行いたしました。さらに、当社グループは、持続可能な社会の発展には経済価値のみならず社会価値も不可欠な要素ととらえており、2021年4月には、薬局を「健康について楽しく学べる場所」とすることを目的として、米国NPO団体セサミワークショップが展開する「セサミストリートファーマシー会員制プログラム」の日本事務局となりました。セサミストリートは「世界中の子どもたちがかしこく、たくましく、やさしく育つよう支援する」という理念を掲げております。当社グループは、SDGsが掲げる持続可能で多様性と包摂性のある社会の実現を目指す取り組みの一環として、本プログラムを通じて、子どもたちの「身体的健康」「精神的健康」「社会的健康」を支援するため、健康・教育・子育てに関する情報提供を行ってまいります。また、当社グループでは長期的に成長を続けていくため、産休・育休制度をはじめとして、女性や障がい者等多様な人財が能力を最大限発揮できる制度を設けております。2021年9月30日には当社グループの中核事業会社であるクオール株式会社が、日本最大規模の女性活躍アワード「Forbes JAPAN WOMEN AWARD 2021」において、企業部門従業員規模別1,000名以上の部で第3位を受賞いたしました。
保険薬局事業においては、積極的なM&A、新規出店を進める他、新たな事業の柱として在宅・施設調剤の推進を図っており、地域医療の安定化及び患者さまの利便性向上に寄与する体制を構築しております。また、生活者の方々の健やかな暮らしの役に立つために、株式会社良品計画が展開する「まちの保健室」に参画しております。「まちの保健室」では処方箋薬から漢方をはじめとした一般用医薬品を取り扱うだけでなく、健康相談や身体測定、健康体操といった様々な健康イベントを開催する等、地域の皆さまに健康づくりの場を提供しております。
医療関連事業においては、引き続き主力事業であるCSO事業、紹介派遣事業、医薬品製造販売事業の拡大に尽力し、総合ヘルスケアカンパニーへと前進するための安定した基盤構築を図ってまいります。
このような環境のもと、当第2四半期連結累計期間における当社グループ連結業績は、売上高81,814百万円(前年同期比3.4%増加)、営業利益4,177百万円(前年同期比100.8%増加)、経常利益4,274百万円(前年同期比102.7%増加)、親会社株主に帰属する四半期純利益は2,455百万円(前年同期比289.4%増加)となりました。また、EBITDAについては、6,493百万円(前年同期比48.3%増加)となりました。
また、当第2四半期連結会計期間末の資産合計は、97,565百万円となり、前連結会計年度末から3,006百万円減少しております。
これは主に、商品及び製品が1,095百万円増加した一方、現金及び預金が3,217百万円、受取手形、売掛金及び契約資産が560百万円、のれんが376百万円減少したことによるものであります。
当第2四半期連結会計期間末の負債合計は、56,498百万円となり、前連結会計年度末から2,238百万円減少しております。
これは主に、未払法人税等が387百万円増加した一方、買掛金が1,784百万円、1年内償還予定の社債及び社債が554百万円、その他流動負債が356百万円減少したことによるものであります。
当第2四半期連結会計期間末の純資産合計は、41,066百万円となり、前連結会計年度末から768百万円減少しております。
これは主に、利益剰余金が1,927百万円、自己株式が162百万円増加した一方、当社連結子会社である株式会社ニチホスの株式を追加取得し完全子会社化したことにより、資本剰余金が2,214百万円、非支配株主持分が632百万円減少したことによるものであります。
セグメント別の業績は、次のとおりであります。なお、第1四半期連結会計期間より、セグメント利益の算定方法を変更しております。前第2四半期連結累計期間の業績においても同様の変更をしたうえで比較分析しております。
①保険薬局事業
保険薬局事業の事業戦略については、M&Aや新規出店による規模の拡大、コスト構造改革による利益の最大化、次世代薬局等のデジタル化に取り組んでおります。
当第2四半期連結累計期間において、出店状況は、新規出店13店舗、子会社化による取得8店舗の計21店舗増加した一方、閉店により3店舗減少した結果、当事業全体で店舗数は829店舗となりました。当期のM&Aについては、2021年7月に有限会社ケーアイ調剤薬局の全株式を取得し、九州で8店舗増加しております。今後も付加価値の高い薬局を展開していくためにM&A基準の厳格化等、戦略的出店による規模の拡大を図ってまいります。
また、新たな事業の柱として在宅・施設調剤を推進しており、有料老人ホーム等の施設運営企業への営業活動や医療機関との連携に取り組んだ結果、売上高及び受付回数が順調に推移しております。当社保険薬局では、在宅基幹店が施設と各店舗間の調整・サポートを行う等戦略的に取り組むことによって、患者さまに寄り添う医療の実現に注力している他、施設訪問時には日用品の販売を行い、利便性向上に努めております。今後は施設運営企業との関係性強化によって在宅専門店の広域展開を図り、更なる在宅・施設調剤の推進を目指してまいります。また、2021年8月より開始された薬局の認定制度においては、当第2四半期連結累計期間末時点で地域連携薬局が82店舗、専門医療機関連携薬局が7店舗認定を受けております。これらの認定制度により、患者さま自身が適した薬局を選択できるようになることが期待されます。当社グループは地域の皆さまのかかりつけ薬局としての役割を果たすため、質の高い医療サービスが行えるよう引き続き体制を構築してまいります。
業績につきましては、前期に実施したM&Aや新規出店の寄与と、在宅・施設調剤の推進により受付回数や薬剤料収入、技術料収入が増加しております。また、後発医薬品調剤体制加算や地域支援体制加算の取得店舗数の着実な増加、かかりつけ薬剤師指導料の算定件数が増加し、技術料単価が上昇いたしました。引き続き利益を最大化するため、賃料減額交渉等のコスト削減を行ってまいります。
その結果、売上高は75,341百万円(前年同期比4.2%増加)、営業利益は5,181百万円(前年同期比63.1%増加)となりました。
[新型コロナウイルス感染症対策]
当社グループは、コロナ禍において『医療の継続』を最優先に薬局の運営を続けております。引き続き全従業員にマスクの着用等の基本行動を徹底し、アクリルパーテーションやオゾン除菌・脱臭器「AIR BUSTER(エアバスター)」を設置する等、感染症拡大防止に最大限努めた薬局運営を行っております。
当社グループの薬剤師は、新型コロナウイルスワクチン集団接種に積極的に参画し、予診票の確認・薬剤調製業務を実施するとともに、当社保険薬局においてワクチン接種前の予診票記入サポートや接種後の体調管理を継続して実施しております。2021年8月より東京ドームにて行われているワクチン大規模接種においても当社グループの薬剤師が参画しております。十分な研修を受けた薬剤師が参画することで、多くの人にワクチン接種の機会を設けることにより、新型コロナウイルス感染症の収束に貢献してまいります。
②医療関連事業
CSO事業においては、MR派遣需要が減少する等厳しい状況が続いておりますが、引き続き専門領域MRの育成プログラムの拡大や、幅広い経験を持った人財の採用強化、継続した教育による質の向上等、医療現場から求められる優秀な人財の育成に注力しております。また、2021年9月より炎症性腸疾患(IBD)治療を担う若手医師と、IBD治療薬を扱う製薬企業を対象にした「産学共同IBDプロジェクト-QOL向上を目指したIBDへの取り組み」を開始いたしました。本プロジェクトでは患者さまにとって最良な治療のために、企業同士、企業と医療現場の垣根を越えた議論が行われております。
紹介派遣事業においては、新型コロナウイルス感染拡大の影響で依然として薬局等への薬剤師紹介派遣市場は低迷しておりますが、ドラッグストアへの人財派遣及び産業医・産業保健師の派遣需要は回復傾向を見せており、成約件数及び売上高が増加しております。また、サービスラインナップの拡大に取り組んでおり、健康経営優良法人の認定取得をサポートするサービスや、ストレスチェック及びヘルスケアセミナーといったコンテンツの提供を行う等の健康管理業務支援を行っております。
医薬品製造販売事業においては、大手提携製薬企業との共同プロモーションによる売上が好調に推移しております。また、引き続き自社製品の販売促進を行うとともに、製造工程を可視化し作業者への指示や支援を行う生産実行システム(MES)の更新に向けて準備を進めております。これにより品質管理と生産性の向上、人為的ミスの発生防止を図ってまいります。さらに、工場の空調等の設備の交換、照明のLED化を進める等、CO2排出量の削減を推進しております。
その結果、売上高は6,473百万円(前年同期比4.2%減少)、営業利益は663百万円(前年同期比29.1%減少)となりました。
※EBITDA=営業利益+減価償却費+のれん償却額
※CSO:Contract Sales Organizationの略
※MR:Medical Representativeの略
※MES:Manufacturing Execution Systemの略
※IBD:Inflammatory Bowel Diseaseの略
(2)キャッシュ・フロー
当第2四半期連結累計期間におけるキャッシュ・フローは、営業活動によるキャッシュ・フローが2,638百万円の収入、投資活動によるキャッシュ・フローが1,775百万円の支出、財務活動によるキャッシュ・フローが4,125百万円の支出となりました。この結果、当第2四半期連結累計期間末の現金及び現金同等物の残高は、前連結会計年度末に比べ3,262百万円減少し、16,236百万円となりました。
当第2四半期連結累計期間における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
税金等調整前四半期純利益4,280百万円及び仕入債務の減少額1,848百万円により、2,638百万円の収入(前年同期2,862百万円の収入)となりました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得による支出1,794百万円及び有形固定資産の取得による支出670百万円により、1,775百万円の支出(前年同期2,027百万円の支出)となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
長期借入れによる収入5,100百万円及び長期借入金の返済による支出5,261百万円、連結の範囲の変更を伴わない子会社株式の取得による支出2,845百万円、社債の償還による支出554百万円、配当金の支払額527百万円により、4,125百万円の支出(前年同期2,875百万円の支出)となりました。
(3) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当第2四半期連結累計期間において、当社グループが対処すべき課題について重要な変更はありません。
(4) 研究開発活動
該当事項はありません。