有価証券報告書-第41期(令和2年9月1日-令和3年8月31日)

【提出】
2021/11/22 11:10
【資料】
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【項目】
161項目
(1) 経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という)の状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症(以下「本感染症」という)の影響により厳しい状況にあるなか、持ち直しの動きが続いているものの、このところそのテンポが弱まっております。本感染症の影響により個人消費や雇用情勢は弱い動きとなっており、企業収益は一部に弱さがみられるものの、総じてみれば持ち直しております。
当家電小売業界における売上は、スマートフォン等が好調、テレビ等が堅調に推移いたしましたが、冷蔵庫、エアコンやパソコン等が低調であったため、総じて低調に推移いたしました。
こうした状況下にあって、サステナビリティ経営を推進し、企業が社会に存在する意義であるパーパスを「お客様の購買代理人としてくらしにお役に立つくらし応援企業であること」として定め、「専門性と先進性で、より豊かな生活を提案する、進化し続けるこだわりの専門店の集合体」を目指し、お客様の購買代理人として、独自性のあるプライベートブランド商品の開発や目利きの効いた商材の調達や新規サービス・新規事業の開拓等による「商品力」の強化、接客力と商品知識を基盤にした「人の力」とお客様目線の売場づくりといった「場の力」に集約される「販売力」の強化に取り組んでおります。また、現場業務の効率化・短時間化、人財育成、組織活性化等による生産性の向上にも取り組んでおります。
本感染症による当社グループへの影響につきましては、本感染症拡大防止を重視する観点から実施していた営業時間の短縮を、緊急事態宣言の再発出に伴い一層強化したほか、一部店舗(Air BicCameraの一部)では臨時休業を継続しております。営業にあたっては、お客様と従業員の安全確保を最優先に考え、マスク着用、丁寧な手洗い・消毒、従業員の出退勤時の検温、店内消毒、レジ・カウンター等への飛沫感染防止シート設置、ソーシャルディスタンスの確保などの対策を継続して実施しております。ビックカメラにおきましては、都心の昼間人口減少にインバウンドの激減が重なり実店舗の販売は低迷いたしました。インターネット通販事業は、販売を大きく伸ばしたものの実店舗の低迷を補うには至りませんでした。一方、都市近郊を中心に事業を行うコジマにおきましては、テレワークなどによる商圏内の昼間人口増加などを背景に販売を伸ばしました。
なお、2021年6月から8月にかけ、首都圏・関西圏に勤務する当社グループの従業員、その家族及び取引先の希望者、約17,500名を対象に新型コロナウイルスワクチンの職域接種を実施しております。
店舗展開におきましては、2021年3月5日に「ビックカメラ アミュプラザくまもと店」(熊本県熊本市)、地域の特性や環境に合わせて取扱商品を厳選した店舗形態の新店として、7月30日に「ビックカメラ 池袋SELECT」(東京都豊島区)を開店いたしました。また、スマートフォンやパソコンといったApple製品の販売や修理・サポートを行うApple専門店として、2020年9月14日に「Bic Style ららぽーと愛知東郷店」(愛知県愛知郡東郷町)、2021年1月28日に「Bic Style イオンモール松本店」(長野県松本市)を開店いたしました。
グループ会社におきましては、株式会社コジマが、「コジマ×ビックカメラ イオンモール新利府北館店」(宮城県宮城郡利府町、2021年7月2日開店)など3店舗を開店したほか、2021年9月23日に「コジマ×ビックカメラ ニトリホームズ宮原店」(埼玉県さいたま市)を開店いたしました。
a.財政状態
当連結会計年度末における総資産は、前連結会計年度末に比べ 176億8百万円減少(前年同期比 3.7%減)し、4,544億66百万円となりました。
当連結会計年度末における負債合計は、前連結会計年度末に比べ 273億40百万円減少(前年同期比 9.0%減)し、2,749億42百万円となりました。
当連結会計年度末における純資産合計は、前連結会計年度末に比べ 97億31百万円増加(前年同期比 5.7%増)し、1,795億23百万円となりました。
b.経営成績
当連結会計年度の売上高は 8,340億60百万円(前年同期比 1.6%減)、営業利益は 182億17百万円(前年同期比 51.0%増)、経常利益は 216億29百万円(前年同期比 47.2%増)、税金等調整前当期純利益は 195億40百万円(前年同期比 54.7%増)となりました。法人税等合計が 67億85百万円、非支配株主に帰属する当期純利益が 39億94百万円となったため、親会社株主に帰属する当期純利益は 87億61百万円(前年同期比 60.7%増)となり、ROE(自己資本当期純利益率)は 6.2%となりました。
セグメントの業績は、次のとおりであります。
(物品販売事業)
売上高は、家庭電化商品及び情報通信機器商品が堅調に推移いたしましたが、音響映像商品が低調であったため、総じて低調に推移した一方で、利益率の高い高付加価値商品やプライベートブランド商品の販売伸長に努めました。その結果、当セグメントの売上高は 8,212億28百万円(前年同期比 1.7%減)、経常利益は 187億58百万円(前年同期比 51.5%増)となりました。
(BSデジタル放送事業)
売上高は、自社制作の特別番組等が評価を受け企業広告収入が増加したことにより堅調に推移いたしました。その結果、当セグメントの売上高は 112億69百万円(前年同期比 5.7%増)、経常利益は 27億4百万円(前年同期比 25.7%増)となりました。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における連結ベースの現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、前連結会計年度末に比べ 89億79百万円減少し、当連結会計年度末には 1,088億57百万円となりました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果獲得した資金は 77億63百万円(前年同期は 520億4百万円の獲得)となりました。これは主に、仕入債務の減少額 208億67百万円があったものの、税金等調整前当期純利益 195億40百万円、減価償却費 102億95百万円によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は 123億56百万円(前年同期は 156億91百万円の使用)となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出 41億7百万円、無形固定資産の取得による支出 52億64百万円、連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得による支出 28億19百万円によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果使用した資金は 43億87百万円(前年同期は 551億6百万円の獲得)となりました。これは主に、短期借入金の純増加額 243億20百万円があったものの、長期借入金の純減少額(収入と支出の差額)254億11百万円、配当金の支払額 14億9百万円によるものであります。
③ 生産、受注及び販売の実績
セグメント別売上高
セグメントの名称及び品目当連結会計年度
(自 2020年9月1日
至 2021年8月31日)
売上高
(百万円)
構成比
(%)
前年同期比増減率
(%)
音響映像商品カメラ22,5712.7△10.3
テレビ50,1976.05.7
レコーダー・ビデオカメラ13,6951.6△8.6
オーディオ11,9951.4△13.1
その他29,2793.6△7.2
小計127,73915.3△3.9
家庭電化商品冷蔵庫43,0855.20.4
洗濯機41,9865.03.9
調理家電34,1704.1△5.9
季節家電71,6068.69.9
理美容家電37,8384.53.1
その他50,5766.1△6.0
小計279,26433.51.4
情報通信機器
商品
パソコン本体77,3969.3△8.7
パソコン周辺機器30,8453.77.6
携帯電話108,44713.08.3
その他53,7776.4△3.1
小計270,46632.40.5
その他の商品ゲーム43,7835.38.3
時計11,2461.4△29.2
中古パソコン等10,1061.20.6
スポーツ用品10,0611.2△0.2
玩具11,4551.4△9.5
メガネ・コンタクト4,3600.5△16.9
酒類・飲食物5,9090.7△13.5
医薬品・日用雑貨8,6911.0△39.0
その他38,0784.6△11.2
小計143,69317.3△9.2
物品販売事業821,16498.5△1.7
BSデジタル放送事業11,1881.35.9
その他の事業1,7070.2△2.1
合計834,060100.0△1.6

(注) 上記の金額には消費税等は含まれておりません。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されており、重要な会計方針につきましては、「第5経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載のとおりであります。この連結財務諸表の作成にあたっては、一定の会計基準の範囲内で見積りがなされ、資産の評価、引当金の計上等の数値に反映されております。これらの見積りにつきましては、必要に応じて見直しを行っておりますが、不確実性があるため、実際の結果が見積りと異なる場合があります。
なお、連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載しております。
② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
a.経営成績等
1) 財政状態
(資産の部)
当連結会計年度末における総資産は、前連結会計年度末に比べ 176億8百万円減少(前年同期比 3.7%減)し、4,544億66百万円となりました。主な要因は、のれんの増加 15億2百万円があったものの、現金及び預金の減少 82億38百万円、売掛金の減少 34億84百万円、商品及び製品の減少 23億40百万円、投資有価証券の減少 23億23百万円によるものであります。
(負債の部)
当連結会計年度末における負債合計は、前連結会計年度末に比べ 273億40百万円減少(前年同期比 9.0%減)し、2,749億42百万円となりました。主な要因は、短期借入金の増加 243億20百万円があったものの、買掛金の減少 202億2百万円、長期借入金の減少 274億68百万円によるものであります。
(純資産の部)
当連結会計年度末における純資産合計は、前連結会計年度末に比べ 97億31百万円増加(前年同期比 5.7%増)し、1,795億23百万円となりました。主な要因は、剰余金の配当(純資産の減少)14億7百万円、親会社株主に帰属する当期純利益の計上(純資産の増加)87億61百万円、非支配株主持分の増加(純資産の増加)30億16百万円によるものであります。
2) 経営成績
当連結会計年度における経営成績の概要については、「第2事業の状況 3経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」をご参照ください。連結損益計算書の主要項目ごとの前連結会計年度との主な増減要因等は次のとおりであります。
(売上高・売上総利益)
当連結会計年度の売上高は 8,340億60百万円(前年同期比 1.6%減)となりました。これは、主に、インターネット通販事業は販売を大きく伸ばしたものの、営業時間の短縮に加えインバウンドの激減も重なり低迷した実店舗の販売を補うには至らなかったことによるものであります。また、売上総利益は 2,385億58百万円(前年同期比 3.3%増)となりました。これは主に、売上高の減少があったものの、高付加価値商品やプライベートブランド商品の販売が伸びたことによるものであります。
(販売費及び一般管理費・営業利益・経常利益)
当連結会計年度の販売費及び一般管理費は 2,203億円40百万円(前年同期比 0.6%増)となりました。これは、主に、臨時休業による損失(特別損失)の減少に伴う給与及び手当や地代家賃の増加、減価償却費の増加によるものであります。
その結果、営業利益は 182億17百万円(前年同期比 51.0%増)となりました。
また、営業外収益は受取手数料等の計上により 40億71百万円(前年同期比 29.9%増)、支払利息等の計上により営業外費用は6億59百万円(前年同期比 29.5%増)となりました。
以上の結果、経常利益は 216億29百万円(前年同期比 47.2%増)となりました。
(特別利益・特別損失・税金等調整前当期純利益)
当連結会計年度の特別利益は助成金収入2億62百万円を計上したこと等により 5億66百万円(前年同期比 46.4%減)、特別損失は減損損失 17億60百万円を計上したこと等により 26億55百万円(前年同期比 14.8%減)となりました。
その結果、税金等調整前当期純利益は 195億40百万円(前年同期比 54.7%増)となりました。
(法人税等合計・非支配株主に帰属する当期純利益・親会社株主に帰属する当期純利益・包括利益)
当連結会計年度の法人税等合計は 67億85百万円、非支配株主に帰属する当期純利益が 39億94百万円となりました。
以上の結果、親会社株主に帰属する当期純利益は 87億61百万円(前年同期比 60.7%増)、包括利益は 120億95百万円(前年同期比 15.7%増)となりました。
なお、当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因としましては、「出店政策」「季節的要因」等を事業等のリスクとしております。詳細につきましては「第2事業の状況 2事業等のリスク」をご参照下さい。
3) キャッシュ・フローの状況
主な内容は「第2事業の状況 3経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
なお、キャッシュ・フロー指標のトレンドは、次のとおりであります。
2019年8月期2020年8月期2021年8月期
自己資本比率(%)33.429.031.6
時価ベースの自己資本比率(%)46.343.841.5
キャッシュ・フロー対有利子負債比率(年)6.92.919.4
インタレスト・カバレッジ・レシオ(倍)46.3185.824.2

自己資本比率 : 自己資本/総資産
時価ベースの自己資本比率 : 株式時価総額/総資産
キャッシュ・フロー対有利子負債比率 : 有利子負債/キャッシュ・フロー
インタレスト・カバレッジ・レシオ : キャッシュ・フロー/利払い
※ いずれも連結ベースの財務数値により計算しております。
※ 株式時価総額は、自己株式を除く発行済株式数をベースに計算しております。
※ キャッシュ・フローは、営業活動によるキャッシュ・フローを利用しております。
※ 有利子負債は、連結貸借対照表に計上されている負債のうち利子を支払っている全ての負債を対象としております。
b.資本の財源及び資金の流動性
当社グループの資金需要のうち主なものは、運転資金並びに店舗及びシステム開発等に係る設備投資によるものであります。当社グループの資金の源泉は主として、営業活動によるキャッシュ・フロー及び金融機関からの借入による資金調達によっております。
c.経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループは、売上高及びROE(自己資本当期純利益率)を重要な経営指標として位置付けておりましたが、新型コロナウイルス感染症の影響も考慮し、今後見直してまいります。なお、当連結会計年度における売上高は 8,340億60百万円(前年同期比 1.6%減)、ROE(自己資本当期純利益率)は 6.2%(前年同期比 2.2ポイント改善)となりました。