四半期報告書-第13期第1四半期(平成31年3月1日-令和1年5月31日)

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2019/07/12 10:01
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14項目
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において判断したものであります。
(1)財政状態及び経営成績の状況
当第1四半期連結累計期間(2019年3月1日~2019年5月31日)の日本経済は、設備投資の増加傾向が続き、企業収益も堅調に推移したことから、緩やかな回復基調となったものの、米中貿易戦争や中国経済の減速を受け、その伸びは鈍化いたしました。
小売業界におきましては、雇用情勢の改善や所得の緩やかな回復が進む中で、好調に推移するインバウンド消費や消費者物価指数の回復など明るい材料が見られるものの、株価の低迷や食料品価格の上昇による消費者の節約志向は継続しており、個人消費全体では力強さを欠く動きとなりました。
このような状況の中、当社グループは“くらしの「あたらしい幸せ」を発明する。”という新しいグループビジョンの実現を目指した「2017~2021年度 中期経営計画」の3年目を迎え、小売業の枠を超えた「マルチサービスリテイラー」としての発展に向けて、既存事業の競争力と収益力の一段の強化をはかるとともに、重点3事業(クレジット金融事業、人材派遣事業、建装事業)の取り組みを加速させております。
加えて、持続可能な社会の実現への貢献と企業として持続的な成長の実現にむけたESGを重視した経営を実行するため、「低炭素社会への貢献」をはじめとする5つの重要課題を特定し、中長期の目標達成に向けた行動計画の立案など全社的な取り組みを進めております。5月にはその取り組みの一環として、TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)へ賛同いたしました。
百貨店事業につきましては、訪日外国人客を中心に化粧品、ラグジュアリーブランド等が好調に推移いたしました。また、「新しい価値」をお客様に提供していくことを目指した「新編集売場」の取り組みとして「美・食・雑貨」を融合させた新ゾーン「KiKiYOCOCHO(キキヨコチョ)」を大丸札幌店につぐ2店舗目として、3月に松坂屋名古屋店にオープンいたしました。その中に当社が運営するセルフ型ビューティショップ「Amuse Beauté(アミューズ ボーテ)」がオープンし、全国で7店舗目の展開となりました。また、4月には持続可能な社会の構築に貢献するため、不要となった衣料品などの回収を行う「ECOFF(エコフ)リサイクルキャンペーン」を大丸・松坂屋の基幹店舗で開催し、今回も多くのお客様にご参加いただきました。
一方で、地方郊外店の経済環境の変化と競合激化が進む中、当社グループの地方百貨店構造改革の一環として、下関大丸が今後も地域に貢献し、持続的な成長を目指すため、大丸松坂屋百貨店に吸収合併することを決定いたしました。また、大丸山科店については3月をもって営業を終了いたしました。
不動産事業につきましては、アーバンドミナント戦略の一環として、4月に京都烏丸エリアの東洞院通に「ビューティー&ヘルス」をキーワードとした商業施設「BINO 東洞院(ビーノ ヒガシノトウイン)」をオープンいたしました。
パルコ事業につきましては、「職住が接近する都心生活者のための新しいコミュニティの創造」をコンセプトに、3月に錦糸町パルコをオープンいたしました。また、6月にはサンエー浦添西海岸 PARCO CITYがオープンし、秋には渋谷パルコを開業いたします。一方で、取り巻く商環境の変化を勘案し、5月に宇都宮パルコを閉店いたしました。
その他小売業の枠を超えた事業領域拡大の取り組みとして、子育て世代の不安・不満の解消を目指し、教育の充実と長時間保育を両立させた認可外保育施設の第1号園「Daimaru Matsuzakaya Kids Duo International 青葉台」を3月に開園いたしました。
以上のような諸施策に取り組みました結果、当第1四半期連結累計期間の連結業績は、前年同四半期に比べ売上収益は1.3%増の1,124億82百万円、営業利益は1.6%減の127億94百万円、税引前四半期利益は8.0%減の121億50百万円、親会社の所有者に帰属する四半期利益は10.7%減の74億47百万円となりました。
セグメントの業績は、以下のとおりであります。
<百貨店事業>店舗戦略の基軸となる集客力強化の取り組みとして、松坂屋名古屋店・南館2階フロアを7年ぶりに改装し、「美・食・雑貨」を融合した新編集売場「KiKiYOCOCHO」を3月にオープンいたしました。日本初出店・東海地区初出店を含む25ショップで構成し、百貨店の高級感と横丁の賑わい感が共存する、女性の「ためせる・みつかる・くつろげる」をかなえる空間となっております。
顧客基盤拡大の取り組みでは、「新しい顧客体験の提供」と「営業施策の高度化」の視点に基づく、お客様との更なる関係性強化のため、5月末に<大丸・松坂屋アプリ>を全国13店舗へ拡大展開いたしました。
拡大する富裕層マーケットに対しては、新規口座開拓を継続して取り組むとともに、新たな外商ビジネスモデルを展開するため、ICTを活用した業務支援システムの整備と新しい組織体制の構築に取り組みました。また、増加を続ける訪日外国人への対応として、化粧品売場の拡大やSNSを活用した情報発信、モバイル決済顧客向けキャンペーンによる集客力強化に取り組んだ結果、免税売上高は化粧品を中心に堅調に推移いたしました。
また、地方百貨店構造改革の一環として、下関大丸の今後の継続的な成長を目指し、2020年3月(予定)に同社を大丸松坂屋百貨店に吸収合併し、直営化することを決定いたしました。
なお、大丸山科店については昨今の経営環境の変化と競合激化が進む中、業績の改善を見通すことは困難であるとの判断から、2019年3月31日をもって営業を終了いたしました。
以上のような諸施策に取り組みました結果、前年同四半期に比べ売上収益は0.3%増の659億87百万円、営業利益は10.5%減の61億30百万円となりました。
<パルコ事業>ショッピングセンター事業では、3月に新たにリノベーション型の開発物件として墨田区錦糸町駅前に錦糸町パルコを開業し、都市部未出店エリアにおける提供価値拡大を推進いたしました。パルコ店舗では、デジタル環境の進化や消費志向の変化を捉え、顧客起点でのビジネスモデル変革を進める体制を整え、新たなテナント開発や顧客接点拡大・満足度向上に向けたコミュニケーション強化に取り組みました。
以上のような諸施策に取り組みました結果、前年同四半期に比べ売上収益は0.3%増の221億3百万円、営業利益は23.9%増の34億8百万円となりました。
<不動産事業>エリアの魅力を最大化し、地域とともに成長する「アーバンドミナント戦略」の一環として、2017年度に開業いたしましたGINZA SIXと上野フロンティアタワーが順調に推移し、当四半期を通じて業績向上に貢献いたしました。
また、4月にはアーバンドミナント戦略の重点地区である京都において、ビューティー&ヘルスをコンセプトとする商業施設「BINO 東洞院」を開業するなど周辺開発に取り組みました。(BINO=Beauty Inside and Out)
以上のような取り組みに加え、百貨店事業から神戸店・京都店・上野店の周辺店舗の移管を受けたこともあり、前年同四半期に比べ売上収益は6.7%増の44億21百万円、営業利益は4.9%増の16億86百万円となりました。
<クレジット金融事業>外部加盟店での利用増による手数料収入や割賦販売利息収入等が増加した結果、前年同四半期に比べ売上収益は1.4%増の26億2百万円、営業利益は7.7%増の7億95百万円となりました。
当第1四半期連結会計期間末の資産合計は1兆2,707億85百万円となり、前連結会計年度末に比べ2,412億12百万円増加いたしました。これは主にIFRS第16号「リース」の適用による使用権資産の増加などによるものです。一方、負債合計は8,142億94百万円となり、前連結会計年度末に比べ2,532億7百万円増加いたしました。これは主にIFRS第16号「リース」の適用によるリース負債の増加などによるものです。資本合計は4,564億90百万円となり、前連結会計年度末に比べ119億95百万円減少いたしました。これは主にIFRS第16号「リース」の適用による利益剰余金の減少などによるものです。
(2)キャッシュ・フローの状況
当第1四半期連結会計期間末における「現金及び現金同等物」の残高は、前連結会計年度末に比べ213億69百万円増の470億28百万円となりました。
当第1四半期連結累計期間における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
① 営業活動によるキャッシュ・フロー
営業活動によるキャッシュ・フローは190億24百万円の収入となりました。前第1四半期連結累計期間との比較では、IFRS第16号「リース」の適用による減価償却費及び償却費の調整や営業債務の増加などにより136億1百万円の収入増となりました。
② 投資活動によるキャッシュ・フロー
投資活動によるキャッシュ・フローは47億87百万円の支出となりました。前第1四半期連結累計期間との比較では、有形固定資産の取得による支出の減少などにより61億62百万円の支出減となりました。
③ 財務活動によるキャッシュ・フロー
財務活動によるキャッシュ・フローは71億38百万円の収入となりました。前第1四半期連結累計期間との比較では、IFRS第16号「リース」の適用によるリース負債の返済額の計上があったものの、社債を発行したことなどにより、186億63百万円増加いたしました。
(3)事業上及び財務上の対処すべき課題
当第1四半期連結累計期間において、当社グループの事業上及び財務上の対処すべき課題に重要な変更及び新たに生じた課題はありません。
なお、当社は株式会社の支配に関する基本方針について定めており、その内容は次のとおりであります。
① 基本方針の内容
当社は、当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者は、当社グループの財務及び事業の内容や当社グループの企業価値の源泉を十分に理解し、当社グループの企業価値ひいては株主共同の利益を継続的かつ持続的に確保し、これを向上していくことを可能とする者であることが必要であるものと考えております。
当社は、当社が上場会社であることから、当社の株主のあり方については、一般的には金融商品取引所における自由な市場取引を通じて決まるものであり、特定の株主または特定の株主グループによって当社株式の一定規模以上の取得行為(以下「大量取得行為」といいます。)が行われる場合であっても、当該大量取得行為が当社グループの企業価値ひいては株主共同の利益に資するものであれば、一概にこれを否定するものではなく、これに応じるか否かについては、最終的には株主の皆さまのご判断に委ねられるべきものと考えております。
しかしながら、大量取得行為の中には、その目的等からして当社グループの企業価値に対する明白な侵害をもたらすもの、株主の皆さまに当社株式の売却を事実上強要するおそれがあるもの、当社取締役会や株主の皆さまが大量取得者の提案内容等について検討し、または当社取締役会が代替案を提案するための十分な時間や情報を提供しないものなど、当社グループの企業価値を毀損する重大なおそれをもたらすものも想定されます。
このような当社グループの企業価値ひいては株主共同の利益に資さない大量取得行為を行う者(以下「大量取得者」といいます。)は、当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者としては不適切であり、当社は、このような大量取得行為に対しては、大量取得者による情報提供並びに当社取締役会による検討及び評価といったプロセスを確保するとともに、当社グループの企業価値ひいては株主共同の利益の毀損を防止するため、当社取締役会及び株主の皆さまが大量取得者の提案内容を検討するための十分な時間を確保することこそが、株主の皆さまから当社経営の負託を受けた当社取締役会の責務であると考えております。
② 基本方針の実現に資する取り組み
当社グループは、大丸・松坂屋の創業以来、その企業理念、伝統精神である「先義後利(義を先にして利を後にする者は栄える)」、「諸悪莫作 衆善奉行(諸悪をなすなかれ、多くの善行を行え)」、「人の利するところにおいて、われも利する」に基づき、永年にわたって呉服商、百貨店業を営んでまいりました。
当社は、当社グループの企業価値の源泉は、これらの理念、精神に基づくことにより築き上げられてきた、お客様及び社会との信頼関係にあるものと考えております。
そこで、当社は、これらの理念、精神に共通する「お客様第一主義」、「社会への貢献」を体現するため、当社グループの基本理念として「時代の変化に即応した高質な商品・サービスを提供し、お客様の期待を超えるご満足の実現を目指す」、「公正で信頼される企業として、広く社会への貢献を通じてグループの発展を目指す」ことを掲げ、この基本理念に基づき、当社グループの企業価値ひいては株主共同の利益の確保及び向上に資するため、当社グループのビジョンとして“くらしの「あたらしい幸せ」を発明する。”を掲げ、さまざまな施策に取り組んでおります。
③ 基本方針に照らして不適切な者によって当社の財務及び事業の方針の決定が支配されることを防止するための取り組み
当社は、現在のところ、大量取得者が出現した場合の具体的な取り組み、いわゆる買収防衛策について特にこれを定めてはおりません。
しかしながら、大量取得者が出現した場合には、当社グループの企業価値の毀損を防止するため、大量取得者の属性、大量取得行為の目的、大量取得者が提案する財務及び事業の方針、株主の皆さま及び当社グループのお客様・お取引先様・従業員・当社グループを取り巻く地域社会その他のステークホルダーに対する対応方針など、大量取得者に関するこれらの情報を把握した上で、当該大量取得行為が当社グループの企業価値に及ぼす影響を慎重に検討する必要があるものと考えます。
したがって、このような場合には、当社は、当社社内取締役から独立した立場にある社外取締役及び有識者をメンバーとする独立委員会を設置し、その勧告意見を踏まえた上で、当該大量取得者が前記の基本方針に照らして不適切な者であると判断されるときは、必要かつ相当な対応を講じることにより、当社グループの企業価値ひいては株主共同の利益を確保する所存であります。
④ 具体的な取り組みに対する当社取締役会の判断及びその理由
当社グループで策定するさまざまな施策は、当社グループの基本理念に基づいて策定されており、当社グループの企業価値の源泉であるお客様及び社会との信頼関係のさらなる構築を目指すものであります。したがって、これらの施策は、基本方針の内容に沿うものであり、当社グループの企業価値ひいては株主共同の利益の確保・向上に資するものであると考えております。
また、基本方針に照らして不適切な者であると判断される大量取得者に対して必要かつ相当な対応を講じることについては、当社社内取締役からの独立性が確保されている独立委員会の勧告意見を踏まえて判断することにより、その判断の公正性・中立性・合理性が担保されており、当社グループの企業価値・株主共同の利益を損なうものではないとともに、当社の会社役員の地位の維持をその目的とするものではないと考えております。
(4)研究開発活動
特記事項はありません。