有価証券報告書-第14期(令和2年3月1日-令和3年2月28日)
(1)財政状態及び経営成績の状況
① 当期の経営成績
当連結会計年度の日本経済は、新型コロナウイルス感染症拡大の影響を大きく受ける結果となりました。実質GDP成長率は、記録的なマイナスに陥った年度序盤を底に持ち直しの動きが見られたものの、年度後半の感染再拡大により緩やかな回復に留まりました。企業業績は好調な業種も見られる一方、投資抑制や雇用・所得の減少を余儀なくされる状況が散見されました。個人消費についても年度序盤の落ち込みから徐々に回復したものの、年度終盤の緊急事態宣言再発出などの影響も加わり、低迷しました。
未曾有の経営環境に直面するなか、当社グループは、お客様や従業員の安全安心の確保と企業存続を最優先に、各事業において刻々と変化する状況に応じた事業運営に努めました。同時に、将来を見据え、持続可能な社会への貢献と当社グループの中長期的な成長実現に向けた取り組みを推進しました。
「新型コロナウイルス感染症への対応」では、感染症拡大による未曾有の経営環境へ適切に対応するため、当社グループは感染症拡大初期段階から緊急対策本部を設置し、徹底した衛生管理による安全安心の確保、事業継続と経営の安定を図るための対策を実行しました。
営業面では、主に政府や各自治体の要請を踏まえ店舗休業や時短営業を実施しました。営業に際しては店舗内の消毒や顧客導線の確保、空調管理、催事の見直しなど、お客様に安心してご利用いただける店頭体制の構築など感染症拡大防止に取り組みました。また、お取引先様には当社ウェブサイトなどの活用による販売支援、店頭販売員には休憩所やロッカーなどの衛生管理の徹底、事務部門ではテレワークや時差出勤の推奨、WEB会議の活用など職場環境の整備に努めました。
同時に、事業継続と経営の安定を図る観点から、感染症影響が想定を上回る規模で生じる際への備えとして、投資抑制や経費圧縮、手許資金の積み増し、資金調達枠の増額などの対策を早期に講じ、財務安定性・流動性の確保に取り組みました。
一方、外出自粛が広がるなか、新たな生活様式に対応するため、デジタル技術を活用した営業活動を進めました。具体的には、百貨店においてオンラインショップの品揃え拡充や店頭からのオンライン接客・動画配信によるリモート販売に取り組みました。また、各地の生産者支援のため9月に始動させた「Think LOCAL」では店舗のある地域の名産品をウェブサイトで紹介しました。パルコでは、心斎橋PARCOにおける館内バーチャルツアーの配信や、お取引先様との協働によるオンライン販売の強化など、リアル店舗とオンラインの融合に向けた取り組みを推進しました。
「中長期の成長実現に向けた取り組み」では、パルコの完全子会社化による体制整備として組織改革、不動産事業の集約を行いました。組織改革では「新体制検討委員会」を設置し、グループシナジーの早期創出と高効率経営の推進の観点から持株会社及びパルコ本社機能の再編・統合を行い、パルコにおいて事業強化に専心できる体制を構築しました。不動産事業の集約については、9月に大丸松坂屋百貨店の不動産事業をパルコに移管し、グループ資源の集約と運営・管理・開発機能の一元化を図りました。
また、グループシナジー創出への取り組みとして、心斎橋PARCOを11月に開業しました。この店舗は、一体化した大丸心斎橋店とともに地域社会との共生、心斎橋エリアの賑わい創出への貢献、新たな顧客層の獲得によるエリア顧客基盤の拡大を目指しており、当社グループが推進するサステナビリティ経営、百貨店とパルコの融合を具現化した新たな商業施設です。開業後は幅広い層のお客様がご来店され、大丸心斎橋店との相乗効果を発揮しています。
こうした中長期の成長実現に向けた基盤強化とともに、2021年度から始動する新たな中期経営計画の策定に取り組みました。このうち経営構造改革については、将来に向けた成長基盤を早期に構築するため、ビジネスモデルの転換加速による収益改善、グループ事業再編による経営効率向上とともに、各事業の将来性や成長性の厳格な見極めを掲げています。こうしたなか、各事業の環境変化やマーケットの将来性に鑑み、2月に飲食店業のJ.フロントフーズの全株式を譲渡し連結子会社から除外したほか、パルコ事業の津田沼PARCO及び新所沢PARCOの営業終了(津田沼PARCOは2023年2月28日営業終了予定、新所沢PARCOは2024年2月29日営業終了予定)を決定しました。
以上のような諸施策に取り組みましたものの、感染症拡大の影響により、特に中核の百貨店事業において国内消費・インバウンド消費がともに低迷したことなどから、当期の連結業績は、前年に比べ売上収益は33.6%減の3,190億79百万円となりました。
こうしたなか、年度を通じた投資抑制や経費削減に努めました結果、事業利益は23億66百万円と黒字を確保しましたものの、営業利益は主に休業に伴う固定費の振替、店舗閉鎖や減損損失等の費用計上が加わり、242億65百万円の損失(前年は営業利益402億86百万円)となりました。税引前損失は286億72百万円(前年は税引前利益371億61百万円)、親会社の所有者に帰属する当期利益は子会社の繰延税金資産の取り崩しによる費用増も加わり、261億93百万円の損失(前年は親会社の所有者に帰属する当期利益212億51百万円)となりました。
なお、配当金につきましては、中間配当金は未曾有の経営環境、厳しい業績見通し及び財務状況を踏まえ、1株あたり9円(前年実績18円)とさせていただきましたが、期末配当金は株主の皆様への安定配当の観点から、前年実績と同額の1株あたり18円とさせていただきました。この結果、年間配当金は1株につき27円となりました。
セグメント業績
<百貨店事業>感染症拡大の影響により、各店において3月から営業の縮小、4月の緊急事態宣言発出後は食料品売場を除き、ほぼ全店を休業しました。5月中旬から順次、営業再開したものの、外出自粛に加え、「3密」回避の観点から催事やセール運営の見直し、海外からの渡航制限などにより、年間を通じて入店客数、売上ともに大きく減少しました。
一方、巣ごもり需要に対応した「大丸松坂屋オンラインショッピング」の品揃え拡充やご自宅にいながらお買い物が楽しめるリモート販売、来場予約システムの活用など、デジタルを活用した営業活動を推進しました。また、顧客参加型の衣料品回収「ECOFF(エコフ)リサイクルキャンペーン」において非接触型回収ボックスを設置するなど、コロナ禍のなか新たな施策を実施しました。
このほか、大丸心斎橋店では心斎橋PARCO開業時に大丸心斎橋店顧客をご招待し、また百貨店・パルコ双方のハウスカードを利用した相互送客などを実施しました。
また地方郊外店舗の構造改革として、下関大丸を直営化し、3月にリニューアルオープンしたほか、大丸芦屋店・須磨店において地域に密着した店づくりを推進しました。
以上のような諸施策とあわせ、年度を通じた設備投資や経費削減などに取り組みましたものの、国内消費・インバウンド消費がともに低迷したことなどにより、前年に比べ売上収益は37.8%減の1,640億24百万円と大幅減収、営業利益は減損損失等の計上も加わり、221億99百万円の損失(前年は営業利益176億25百万円)となりました。
<パルコ事業>感染症拡大の影響により、店舗の休業や時短営業、エンタテインメント拠点における入場制限を余儀なくされ、入店客数・テナント取扱高ともに大きく減少しました。こうしたなか、顧客コミュニケーションの進化を図るため、お取引先様との協働による「PARCO ONLINE STORE」の強化やオンライン展覧会の開催、ライブコマースの推進、海外向けECサービスの導入など新たなデジタル施策に取り組みました。
また、パルコとして約9年ぶりの大阪・心斎橋への出店となる心斎橋PARCOを11月に開業しました。感染症が再拡大するなかでの開業となりましたが、幅広い層のお客様がご来店され、想定を上回る売上で推移しました。
以上のような諸施策に加え、設備投資や売上原価、経費の圧縮などに取り組みました結果、事業利益は20億62百万円と黒字を確保したものの、売上収益は前年の渋谷再開発における保留床売却の反動などにより、前年に比べ38.6%減の688億61百万円となりました。また、営業利益は店舗閉鎖関連費用の計上等により、68億95百万円の損失(前年は営業利益108億23百万円)となりました。
<不動産事業>百貨店事業やパルコ事業と同様に、施設の休業や営業時間短縮を余儀なくされるほか、外出自粛などの影響によるテナント売上の減少に伴い、賃貸収入が減少しました。一方、松坂屋名古屋店・名古屋PARCO等とともに名古屋・栄地区の魅力化に向けたエリア開発を推進しました。具体的には2026年の竣工・開業を目指す「錦三丁目25番街区開発」における基本協定を7月に締結し、また「BINO(ビーノ)栄」を11月に開業しました。
以上のような諸施策に取り組みましたものの、休業期間中の受取固定賃料の減免措置、歩合賃料の減少などにより、前年に比べ売上収益は13.6%減の153億72百万円、営業利益は前年の不動産売却益計上の反動も加わり70.5%減の19億86百万円となりました。
<クレジット金融事業>事業の強化に向け、1月に大丸松坂屋カードのリニューアルを実施し、サービス面の充実を図るとともに新ポイントプログラム「QIRA(キラ)ポイント」を導入しました。また2月には個人向けカードローン「QIRA ローン –BRIGHT LIFE-」の取り扱いを開始しました。
以上のような諸施策に取り組みましたものの、主に百貨店における取扱高の減少やカードリニューアルに伴う費用増などにより、前年に比べ売上収益は15.7%減の90億35百万円、営業利益は77.9%減の4億21百万円となりました。
<その他>卸売業の大丸興業は電子デバイス部門が好調に推移しました。一方、建装工事請負業のJ.フロント建装において前年の大丸心斎橋店本館改装に係る特需の反動や、人材派遣業のディンプルにおいて派遣先施設の休業影響などにより、前年に比べ売上収益は22.4%減の957億22百万円、営業利益は39.3%減の28億52百万円となりました。
② 財政状態
当連結会計年度末の資産合計は1兆2,637億22百万円となり、前連結会計年度末に比べ234億14百万円増加いたしました。一方、負債合計は8,993億78百万円となり、前連結会計年度末に比べ587億51百万円増加いたしました。なお、有利子負債残高(含むリース負債)は5,628億15百万円となり、前連結会計年度末に比べ840億42百万円増加いたしました。資本合計は3,643億43百万円となり、前連結会計年度末に比べ353億38百万円減少いたしました。
③ キャッシュ・フロー
当連結会計年度末における「現金及び現金同等物」の残高は、前連結会計年度末に比べ942億92百万円増の1,289億25百万円となりました。これは財務安定性確保のため、手許資金を積み上げたことによるものであります。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
「営業活動によるキャッシュ・フロー」は564億71百万円の収入となりました。前連結会計年度との比較では、税引前損失となったことなどにより168億87百万円の収入減となりました。
「投資活動によるキャッシュ・フロー」は208億70百万円の支出となりました。前連結会計年度との比較では、有形固定資産の取得による支出の減少などにより286億89百万円の支出減となりました。
「財務活動によるキャッシュ・フロー」は587億27百万円の収入となりました。前連結会計年度との比較では、コマーシャル・ペーパーの発行などにより735億56百万円の収入増となりました。
④ 生産、受注及び販売の実績
1)生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注)1 上記金額には、消費税等は含まれておりません。
2 上記以外のセグメントについては該当事項はありません。
2)受注実績
当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注)1 上記金額には、消費税等は含まれておりません。
2 上記以外のセグメントについては該当事項はありません。
3)販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注)1 セグメント間の取引については、「調整額」欄で調整しております。
2 販売高は、売上収益を記載しております。
3 上記金額には、消費税等は含まれておりません。
(2) 経営者の視点による経営成績の状況に関する分析・検討内容
当社グループに関する財政状態及び経営成績の分析・検討内容は、原則として連結財務諸表に基づいて分析した内容であります。
文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
①重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、国際会計基準に基づいて作成しております。この連結財務諸表の作成にあたって、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要とします。経営者は、これらの見積りについて、過去の実績や現状を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。
当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 連結財務諸表注記 3.重要な会計方針」に記載しております。
また、連結財務諸表作成にあたって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 連結財務諸表注記 4.重要な会計上の見積り及び見積りを伴う判断」に記載しております。
②当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
1)経営成績等
セグメントごとの情報については、(1)財政状態及び経営成績の状況 ① 当期の経営成績に記載しております。
a)売上収益
売上収益は、新型コロナウイルス感染症拡大の影響で消費が落ち込み、全てのセグメントにおいて減収となったことにより、前連結会計年度に比べ1,615億42百万円減の3,190億79百万円となりました。
b)営業利益
営業利益は、前連結会計年度に比べ645億51百万円減の242億65百万円の損失となりました。
c)税引前利益
税引前利益は、前連結会計年度に比べ658億33百万円減の286億72百万円の損失となりました。
d)親会社の所有者に帰属する当期利益
親会社の所有者に帰属する当期利益は、前連結会計年度に比べ474億44百万円減の261億93百万円の損失となりました。
e)財政状態
当連結会計年度の資産合計は1兆2,637億22百万円、手許資金を積み増したことなどにより前連結会計年度末に比べ234億14百万円増加いたしました。一方、負債合計は
8,993億78百万円、前連結会計年度末に比べ587億51百万円増加いたしました。なお、有利子負債残高(含むリース負債)は5,628億15百万円、金融機関からの借入やコマーシャル・ペーパーの発行などにより前連結会計年度末に比べ840億42百万円増加いたしました。
資本合計は3,643億43百万円、前連結会計年度末に比べ353億38百万円減少いたしました。
これらの結果、資産合計営業利益率(ROA)は、△1.9%、親会社所有者帰属持分当期利益率(ROE)は、△7.1%、親会社所有者帰属持分比率は、27.9%となりました。
f)キャッシュ・フロー
「営業活動によるキャッシュ・フロー」は564億71百万円の収入となりました。「投資活動によるキャッシュ・フロー」は208億70百万円の支出、「財務活動によるキャッシュ・フロー」は587億27百万円の収入となりました。
この結果、当連結会計年度末における「現金及び現金同等物」は、前連結会計年度末に比べ942億92百万円増の1,289億25百万円となりました。
今後も、利益水準やキャッシュ・フローの動向等を考慮し、適切な利益配分や設備投資を行っていく予定であります。
g)資本の財源及び資金の流動性
(資本政策の基本方針)
当社は、フリーキャッシュ・フローの増大とROEの向上が持続的な成長と中長期的な企業価値を高めることにつながるものと考えております。その実現に向けて、「戦略投資の実施」「株主還元の充実」及びリスクへの備えを考慮した「自己資本の拡充」のバランスを取った資本政策を推進いたします。
また、有利子負債による資金調達はフリーキャッシュ・フロー創出力と有利子負債残高を勘案して行うことを基本とし、資金効率と資本コストを意識した最適な資本・負債構成を目指します。
フリーキャッシュ・フロー、ROEの向上には、収益を伴った売上拡大を実現する「事業戦略」及び投下資本収益性を向上させる「財務戦略(資本政策を含みます。)」が重要です。併せて、基幹事業の強化、事業領域の拡大・新規事業の積極展開等に経営資源を重点配分することにより、営業利益の最大化と営業利益率を持続的に向上させていくことが重要であると考えております。
(資金調達の状況)
当社グループでは、事業活動に必要となる資金は、自ら創出した資金でまかなうことを基本方針としております。そのうえで、事業投資等で必要資金が生じる場合には、財務の健全性維持を勘案し、主として社債の発行及び金融機関からの借入などにより資金調達を行っております。
グループ子会社は金融機関からの資金調達を行わず、キャッシュ・マネジメントシステムを利用したグループ内ファイナンスにより、資金調達の一元化と資金効率化を推進しております。なお、パルコにつきましてもグループシナジー創出と経営効率化を図るため、完全子会社化を機に資金調達の一元化を完了しております。
当連結会計年度については、上記方針に基づき、感染症拡大の影響に伴う資金不足に備え、充分な手許資金を確保することを目的として、次のとおり資金調達を実施いたしました。金融機関からの長期借入金により820億円、短期借入金により470億円を調達したことに加え、コマーシャル・ペーパーにより660億円を調達いたしました。一方、第3回無担保普通社債100億円を償還したことに加え、短期借入金600億円、長期借入金234億円の返済を進めた結果、有利子負債残高(除くリース負債)は、前連結会計年度末に比べ1,017億円増加し、3,599億円、現預金残高が1,289億円となりました。さらに、感染症拡大の想定以上の長期化に対する資金不足の備えとして、コミットメントライン3,000億円の設定をいたしました。
なお、資金調達に係るリスクについては、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載しております。
(財務政策)
「2021-2023年度 中期経営計画」における財務政策については、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載しております。
(配当政策)
当社の剰余金の配当に関する基本方針並びに当期の配当実績については、「第4 提出会社の状況 3 配当政策」に記載しております。
2)経営目標の達成状況
「2017~2021年度 中期経営計画」は2020年度をもって終了いたしましたため、2021年度において掲げておりました経営数値目標の達成状況は記載を省略いたします。
なお、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載しておりますとおり、当社は「2021-2023中期経営計画」を策定いたしました。本中期経営計画を通じ、最終年度2023年度に財務数値を2019年度水準に回復し、コロナ禍からの「完全復活」を果たすとともに、2024年度以降の「再成長」への道筋をつける期間と位置づけ、目標達成に向けて取り組んでまいります。
① 当期の経営成績
当連結会計年度の日本経済は、新型コロナウイルス感染症拡大の影響を大きく受ける結果となりました。実質GDP成長率は、記録的なマイナスに陥った年度序盤を底に持ち直しの動きが見られたものの、年度後半の感染再拡大により緩やかな回復に留まりました。企業業績は好調な業種も見られる一方、投資抑制や雇用・所得の減少を余儀なくされる状況が散見されました。個人消費についても年度序盤の落ち込みから徐々に回復したものの、年度終盤の緊急事態宣言再発出などの影響も加わり、低迷しました。
未曾有の経営環境に直面するなか、当社グループは、お客様や従業員の安全安心の確保と企業存続を最優先に、各事業において刻々と変化する状況に応じた事業運営に努めました。同時に、将来を見据え、持続可能な社会への貢献と当社グループの中長期的な成長実現に向けた取り組みを推進しました。
「新型コロナウイルス感染症への対応」では、感染症拡大による未曾有の経営環境へ適切に対応するため、当社グループは感染症拡大初期段階から緊急対策本部を設置し、徹底した衛生管理による安全安心の確保、事業継続と経営の安定を図るための対策を実行しました。
営業面では、主に政府や各自治体の要請を踏まえ店舗休業や時短営業を実施しました。営業に際しては店舗内の消毒や顧客導線の確保、空調管理、催事の見直しなど、お客様に安心してご利用いただける店頭体制の構築など感染症拡大防止に取り組みました。また、お取引先様には当社ウェブサイトなどの活用による販売支援、店頭販売員には休憩所やロッカーなどの衛生管理の徹底、事務部門ではテレワークや時差出勤の推奨、WEB会議の活用など職場環境の整備に努めました。
同時に、事業継続と経営の安定を図る観点から、感染症影響が想定を上回る規模で生じる際への備えとして、投資抑制や経費圧縮、手許資金の積み増し、資金調達枠の増額などの対策を早期に講じ、財務安定性・流動性の確保に取り組みました。
一方、外出自粛が広がるなか、新たな生活様式に対応するため、デジタル技術を活用した営業活動を進めました。具体的には、百貨店においてオンラインショップの品揃え拡充や店頭からのオンライン接客・動画配信によるリモート販売に取り組みました。また、各地の生産者支援のため9月に始動させた「Think LOCAL」では店舗のある地域の名産品をウェブサイトで紹介しました。パルコでは、心斎橋PARCOにおける館内バーチャルツアーの配信や、お取引先様との協働によるオンライン販売の強化など、リアル店舗とオンラインの融合に向けた取り組みを推進しました。
「中長期の成長実現に向けた取り組み」では、パルコの完全子会社化による体制整備として組織改革、不動産事業の集約を行いました。組織改革では「新体制検討委員会」を設置し、グループシナジーの早期創出と高効率経営の推進の観点から持株会社及びパルコ本社機能の再編・統合を行い、パルコにおいて事業強化に専心できる体制を構築しました。不動産事業の集約については、9月に大丸松坂屋百貨店の不動産事業をパルコに移管し、グループ資源の集約と運営・管理・開発機能の一元化を図りました。
また、グループシナジー創出への取り組みとして、心斎橋PARCOを11月に開業しました。この店舗は、一体化した大丸心斎橋店とともに地域社会との共生、心斎橋エリアの賑わい創出への貢献、新たな顧客層の獲得によるエリア顧客基盤の拡大を目指しており、当社グループが推進するサステナビリティ経営、百貨店とパルコの融合を具現化した新たな商業施設です。開業後は幅広い層のお客様がご来店され、大丸心斎橋店との相乗効果を発揮しています。
こうした中長期の成長実現に向けた基盤強化とともに、2021年度から始動する新たな中期経営計画の策定に取り組みました。このうち経営構造改革については、将来に向けた成長基盤を早期に構築するため、ビジネスモデルの転換加速による収益改善、グループ事業再編による経営効率向上とともに、各事業の将来性や成長性の厳格な見極めを掲げています。こうしたなか、各事業の環境変化やマーケットの将来性に鑑み、2月に飲食店業のJ.フロントフーズの全株式を譲渡し連結子会社から除外したほか、パルコ事業の津田沼PARCO及び新所沢PARCOの営業終了(津田沼PARCOは2023年2月28日営業終了予定、新所沢PARCOは2024年2月29日営業終了予定)を決定しました。
以上のような諸施策に取り組みましたものの、感染症拡大の影響により、特に中核の百貨店事業において国内消費・インバウンド消費がともに低迷したことなどから、当期の連結業績は、前年に比べ売上収益は33.6%減の3,190億79百万円となりました。
こうしたなか、年度を通じた投資抑制や経費削減に努めました結果、事業利益は23億66百万円と黒字を確保しましたものの、営業利益は主に休業に伴う固定費の振替、店舗閉鎖や減損損失等の費用計上が加わり、242億65百万円の損失(前年は営業利益402億86百万円)となりました。税引前損失は286億72百万円(前年は税引前利益371億61百万円)、親会社の所有者に帰属する当期利益は子会社の繰延税金資産の取り崩しによる費用増も加わり、261億93百万円の損失(前年は親会社の所有者に帰属する当期利益212億51百万円)となりました。
なお、配当金につきましては、中間配当金は未曾有の経営環境、厳しい業績見通し及び財務状況を踏まえ、1株あたり9円(前年実績18円)とさせていただきましたが、期末配当金は株主の皆様への安定配当の観点から、前年実績と同額の1株あたり18円とさせていただきました。この結果、年間配当金は1株につき27円となりました。
セグメント業績
<百貨店事業>感染症拡大の影響により、各店において3月から営業の縮小、4月の緊急事態宣言発出後は食料品売場を除き、ほぼ全店を休業しました。5月中旬から順次、営業再開したものの、外出自粛に加え、「3密」回避の観点から催事やセール運営の見直し、海外からの渡航制限などにより、年間を通じて入店客数、売上ともに大きく減少しました。
一方、巣ごもり需要に対応した「大丸松坂屋オンラインショッピング」の品揃え拡充やご自宅にいながらお買い物が楽しめるリモート販売、来場予約システムの活用など、デジタルを活用した営業活動を推進しました。また、顧客参加型の衣料品回収「ECOFF(エコフ)リサイクルキャンペーン」において非接触型回収ボックスを設置するなど、コロナ禍のなか新たな施策を実施しました。
このほか、大丸心斎橋店では心斎橋PARCO開業時に大丸心斎橋店顧客をご招待し、また百貨店・パルコ双方のハウスカードを利用した相互送客などを実施しました。
また地方郊外店舗の構造改革として、下関大丸を直営化し、3月にリニューアルオープンしたほか、大丸芦屋店・須磨店において地域に密着した店づくりを推進しました。
以上のような諸施策とあわせ、年度を通じた設備投資や経費削減などに取り組みましたものの、国内消費・インバウンド消費がともに低迷したことなどにより、前年に比べ売上収益は37.8%減の1,640億24百万円と大幅減収、営業利益は減損損失等の計上も加わり、221億99百万円の損失(前年は営業利益176億25百万円)となりました。
<パルコ事業>感染症拡大の影響により、店舗の休業や時短営業、エンタテインメント拠点における入場制限を余儀なくされ、入店客数・テナント取扱高ともに大きく減少しました。こうしたなか、顧客コミュニケーションの進化を図るため、お取引先様との協働による「PARCO ONLINE STORE」の強化やオンライン展覧会の開催、ライブコマースの推進、海外向けECサービスの導入など新たなデジタル施策に取り組みました。
また、パルコとして約9年ぶりの大阪・心斎橋への出店となる心斎橋PARCOを11月に開業しました。感染症が再拡大するなかでの開業となりましたが、幅広い層のお客様がご来店され、想定を上回る売上で推移しました。
以上のような諸施策に加え、設備投資や売上原価、経費の圧縮などに取り組みました結果、事業利益は20億62百万円と黒字を確保したものの、売上収益は前年の渋谷再開発における保留床売却の反動などにより、前年に比べ38.6%減の688億61百万円となりました。また、営業利益は店舗閉鎖関連費用の計上等により、68億95百万円の損失(前年は営業利益108億23百万円)となりました。
<不動産事業>百貨店事業やパルコ事業と同様に、施設の休業や営業時間短縮を余儀なくされるほか、外出自粛などの影響によるテナント売上の減少に伴い、賃貸収入が減少しました。一方、松坂屋名古屋店・名古屋PARCO等とともに名古屋・栄地区の魅力化に向けたエリア開発を推進しました。具体的には2026年の竣工・開業を目指す「錦三丁目25番街区開発」における基本協定を7月に締結し、また「BINO(ビーノ)栄」を11月に開業しました。
以上のような諸施策に取り組みましたものの、休業期間中の受取固定賃料の減免措置、歩合賃料の減少などにより、前年に比べ売上収益は13.6%減の153億72百万円、営業利益は前年の不動産売却益計上の反動も加わり70.5%減の19億86百万円となりました。
<クレジット金融事業>事業の強化に向け、1月に大丸松坂屋カードのリニューアルを実施し、サービス面の充実を図るとともに新ポイントプログラム「QIRA(キラ)ポイント」を導入しました。また2月には個人向けカードローン「QIRA ローン –BRIGHT LIFE-」の取り扱いを開始しました。
以上のような諸施策に取り組みましたものの、主に百貨店における取扱高の減少やカードリニューアルに伴う費用増などにより、前年に比べ売上収益は15.7%減の90億35百万円、営業利益は77.9%減の4億21百万円となりました。
<その他>卸売業の大丸興業は電子デバイス部門が好調に推移しました。一方、建装工事請負業のJ.フロント建装において前年の大丸心斎橋店本館改装に係る特需の反動や、人材派遣業のディンプルにおいて派遣先施設の休業影響などにより、前年に比べ売上収益は22.4%減の957億22百万円、営業利益は39.3%減の28億52百万円となりました。
② 財政状態
当連結会計年度末の資産合計は1兆2,637億22百万円となり、前連結会計年度末に比べ234億14百万円増加いたしました。一方、負債合計は8,993億78百万円となり、前連結会計年度末に比べ587億51百万円増加いたしました。なお、有利子負債残高(含むリース負債)は5,628億15百万円となり、前連結会計年度末に比べ840億42百万円増加いたしました。資本合計は3,643億43百万円となり、前連結会計年度末に比べ353億38百万円減少いたしました。
③ キャッシュ・フロー
当連結会計年度末における「現金及び現金同等物」の残高は、前連結会計年度末に比べ942億92百万円増の1,289億25百万円となりました。これは財務安定性確保のため、手許資金を積み上げたことによるものであります。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
「営業活動によるキャッシュ・フロー」は564億71百万円の収入となりました。前連結会計年度との比較では、税引前損失となったことなどにより168億87百万円の収入減となりました。
「投資活動によるキャッシュ・フロー」は208億70百万円の支出となりました。前連結会計年度との比較では、有形固定資産の取得による支出の減少などにより286億89百万円の支出減となりました。
「財務活動によるキャッシュ・フロー」は587億27百万円の収入となりました。前連結会計年度との比較では、コマーシャル・ペーパーの発行などにより735億56百万円の収入増となりました。
④ 生産、受注及び販売の実績
1)生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 | 生産高(百万円) | 前年同期比(%) |
その他 | 756 | 84.5 |
(注)1 上記金額には、消費税等は含まれておりません。
2 上記以外のセグメントについては該当事項はありません。
2)受注実績
当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 | 受注高(百万円) | 前年同期比(%) |
パルコ事業 | 7,798 | 79.4 |
その他 | 31,809 | 53.3 |
(注)1 上記金額には、消費税等は含まれておりません。
2 上記以外のセグメントについては該当事項はありません。
3)販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 | 内訳 | 販売高(百万円) | 前年同期比(%) |
百貨店事業 | 大丸松坂屋百貨店 | 149,602 | 63.3 |
博多大丸 | 11,153 | 59.8 | |
高知大丸 | 3,269 | 71.9 | |
計 | 164,024 | 62.2 | |
パルコ事業 | ショッピングセンター事業 | 42,829 | 58.5 |
専門店事業 | 11,873 | 66.4 | |
総合空間事業 | 10,680 | 74.0 | |
その他事業 | 3,478 | 51.8 | |
計 | 68,861 | 61.4 | |
不動産事業 | 不動産賃貸業・テナント業 | 15,372 | 86.4 |
クレジット金融事業 | クレジットカードの発行及び運営等 | 9,035 | 84.3 |
その他 | 卸売業 | 34,826 | 115.8 |
建装工事請負業 | 24,137 | 53.9 | |
人材派遣業 | 15,634 | 70.4 | |
その他 | 21,124 | 80.5 | |
計 | 95,722 | 77.6 | |
調整額 | △33,937 | - | |
合計 | 319,079 | 66.4 |
(注)1 セグメント間の取引については、「調整額」欄で調整しております。
2 販売高は、売上収益を記載しております。
3 上記金額には、消費税等は含まれておりません。
(2) 経営者の視点による経営成績の状況に関する分析・検討内容
当社グループに関する財政状態及び経営成績の分析・検討内容は、原則として連結財務諸表に基づいて分析した内容であります。
文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
①重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、国際会計基準に基づいて作成しております。この連結財務諸表の作成にあたって、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要とします。経営者は、これらの見積りについて、過去の実績や現状を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。
当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 連結財務諸表注記 3.重要な会計方針」に記載しております。
また、連結財務諸表作成にあたって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 連結財務諸表注記 4.重要な会計上の見積り及び見積りを伴う判断」に記載しております。
②当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
1)経営成績等
セグメントごとの情報については、(1)財政状態及び経営成績の状況 ① 当期の経営成績に記載しております。
a)売上収益
売上収益は、新型コロナウイルス感染症拡大の影響で消費が落ち込み、全てのセグメントにおいて減収となったことにより、前連結会計年度に比べ1,615億42百万円減の3,190億79百万円となりました。
b)営業利益
営業利益は、前連結会計年度に比べ645億51百万円減の242億65百万円の損失となりました。
c)税引前利益
税引前利益は、前連結会計年度に比べ658億33百万円減の286億72百万円の損失となりました。
d)親会社の所有者に帰属する当期利益
親会社の所有者に帰属する当期利益は、前連結会計年度に比べ474億44百万円減の261億93百万円の損失となりました。
e)財政状態
当連結会計年度の資産合計は1兆2,637億22百万円、手許資金を積み増したことなどにより前連結会計年度末に比べ234億14百万円増加いたしました。一方、負債合計は
8,993億78百万円、前連結会計年度末に比べ587億51百万円増加いたしました。なお、有利子負債残高(含むリース負債)は5,628億15百万円、金融機関からの借入やコマーシャル・ペーパーの発行などにより前連結会計年度末に比べ840億42百万円増加いたしました。
資本合計は3,643億43百万円、前連結会計年度末に比べ353億38百万円減少いたしました。
これらの結果、資産合計営業利益率(ROA)は、△1.9%、親会社所有者帰属持分当期利益率(ROE)は、△7.1%、親会社所有者帰属持分比率は、27.9%となりました。
f)キャッシュ・フロー
「営業活動によるキャッシュ・フロー」は564億71百万円の収入となりました。「投資活動によるキャッシュ・フロー」は208億70百万円の支出、「財務活動によるキャッシュ・フロー」は587億27百万円の収入となりました。
この結果、当連結会計年度末における「現金及び現金同等物」は、前連結会計年度末に比べ942億92百万円増の1,289億25百万円となりました。
今後も、利益水準やキャッシュ・フローの動向等を考慮し、適切な利益配分や設備投資を行っていく予定であります。
g)資本の財源及び資金の流動性
(資本政策の基本方針)
当社は、フリーキャッシュ・フローの増大とROEの向上が持続的な成長と中長期的な企業価値を高めることにつながるものと考えております。その実現に向けて、「戦略投資の実施」「株主還元の充実」及びリスクへの備えを考慮した「自己資本の拡充」のバランスを取った資本政策を推進いたします。
また、有利子負債による資金調達はフリーキャッシュ・フロー創出力と有利子負債残高を勘案して行うことを基本とし、資金効率と資本コストを意識した最適な資本・負債構成を目指します。
フリーキャッシュ・フロー、ROEの向上には、収益を伴った売上拡大を実現する「事業戦略」及び投下資本収益性を向上させる「財務戦略(資本政策を含みます。)」が重要です。併せて、基幹事業の強化、事業領域の拡大・新規事業の積極展開等に経営資源を重点配分することにより、営業利益の最大化と営業利益率を持続的に向上させていくことが重要であると考えております。
(資金調達の状況)
当社グループでは、事業活動に必要となる資金は、自ら創出した資金でまかなうことを基本方針としております。そのうえで、事業投資等で必要資金が生じる場合には、財務の健全性維持を勘案し、主として社債の発行及び金融機関からの借入などにより資金調達を行っております。
グループ子会社は金融機関からの資金調達を行わず、キャッシュ・マネジメントシステムを利用したグループ内ファイナンスにより、資金調達の一元化と資金効率化を推進しております。なお、パルコにつきましてもグループシナジー創出と経営効率化を図るため、完全子会社化を機に資金調達の一元化を完了しております。
当連結会計年度については、上記方針に基づき、感染症拡大の影響に伴う資金不足に備え、充分な手許資金を確保することを目的として、次のとおり資金調達を実施いたしました。金融機関からの長期借入金により820億円、短期借入金により470億円を調達したことに加え、コマーシャル・ペーパーにより660億円を調達いたしました。一方、第3回無担保普通社債100億円を償還したことに加え、短期借入金600億円、長期借入金234億円の返済を進めた結果、有利子負債残高(除くリース負債)は、前連結会計年度末に比べ1,017億円増加し、3,599億円、現預金残高が1,289億円となりました。さらに、感染症拡大の想定以上の長期化に対する資金不足の備えとして、コミットメントライン3,000億円の設定をいたしました。
なお、資金調達に係るリスクについては、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載しております。
(財務政策)
「2021-2023年度 中期経営計画」における財務政策については、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載しております。
(配当政策)
当社の剰余金の配当に関する基本方針並びに当期の配当実績については、「第4 提出会社の状況 3 配当政策」に記載しております。
2)経営目標の達成状況
「2017~2021年度 中期経営計画」は2020年度をもって終了いたしましたため、2021年度において掲げておりました経営数値目標の達成状況は記載を省略いたします。
なお、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載しておりますとおり、当社は「2021-2023中期経営計画」を策定いたしました。本中期経営計画を通じ、最終年度2023年度に財務数値を2019年度水準に回復し、コロナ禍からの「完全復活」を果たすとともに、2024年度以降の「再成長」への道筋をつける期間と位置づけ、目標達成に向けて取り組んでまいります。