四半期報告書-第14期第3四半期(令和2年9月1日-令和2年11月30日)

【提出】
2021/01/13 10:07
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【項目】
19項目
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において判断したものであります。
(1)経営成績の分析
当第3四半期連結累計期間(2020年3月1日〜2020年11月30日)の日本経済は、新型コロナウイルス感染症拡大の影響を大きく受ける結果となりました。2020年7〜9月の実質GDP成長率は前年同期比5.7%減(内閣府2次速報)であり、戦後最大のマイナス成長を記録した2020年4〜6月に比べると回復いたしましたが、厳しい水準に変わりはありません。また、個人消費に関しましても7〜9月の民間最終消費支出が前年同期比7.3%減であり、こちらも4〜6月と比べますと回復いたしましたが、依然として厳しい状況が続いております。
小売業界の状況につきましては、2020年4月7日に発出された緊急事態宣言解除後、経済活動の再開やGo Toキャンペーンなどの効果もあり、一定の回復をみせましたが、再び感染者が増加したことや賃金減少などが重しとなり、先行きが不透明な状況が続いております。
このような経営環境の中、当社では早期の業績回復と将来に向けた再成長を実現していくため、「投資の抑制と徹底したコスト管理」「安心安全への配慮と徹底した衛生管理」「デジタル施策の推進」及び「アーバンドミナント戦略の推進」に取り組んでまいりました。財務面におきましては、財務安定性、流動性を確保するため、投資の抑制や不要不急のコスト削減に継続して取り組むとともに、手許資金の積上げや資金調達枠の増額などの対策を講じ、当面の運転資金を確保しております。
百貨店・パルコ事業におきましては、緊急事態宣言下で一時営業自粛を行った店舗がございましたが、現在は、お客様・従業員の安心安全への配慮と徹底した衛生管理のもと、全店で営業を継続しております。また、新しい生活様式に対応した新しい取り組みとしてデジタル施策を推進してまいりました。コロナ禍においても安定した収益を維持してきた外商事業において、外商顧客向けの催事の中で新たな取り組みとしてライブコマースを実施し、好評を得ることができました。パルコ事業におきましてはオンライン展覧会の開催、中国向け越境ECの強化に引き続き取り組みました。今後もさらなるデジタル施策の開発に取り組んでまいります。
アーバンドミナント戦略の具現化を推進するため、11月6日に「BINO栄(ビーノサカエ)」を、11月20日に心斎橋パルコを開業いたしました。BINO栄はBINOシリーズの4館目にあたり、これまでのBINOシリーズのコンセプトであった「美と健康」から一歩踏み出した「美食×美飾」がコンセプトとなっており、栄エリアの回遊性向上とさらなる街の魅力アップに貢献してまいります。心斎橋パルコは、パルコ事業として約9年ぶりの大阪・心斎橋への出店であり、昨年9月に開業いたしました大丸心斎橋店本館と合わせてグループシナジーの発揮、心斎橋エリアのさらなる活性化に貢献してまいります。
以上のような諸施策に取り組みました結果、第3四半期連結会計期間(9~11月)は、第2四半期連結会計期間に続き、二四半期連続の黒字を確保することができましたが、第1四半期の営業自粛期間の影響が大きく、当第3四半期連結累計期間の連結業績は、前年同四半期に比べ売上収益は36.2%減の2,306億99百万円、営業損失は184億83百万円(前第3四半期連結累計期間は営業利益370億42百万円)、税引前四半期損失は215億93百万円(前第3四半期連結累計期間は税引前四半期利益348億97百万円)、親会社の所有者に帰属する四半期損失は156億32百万円(前第3四半期連結累計期間は親会社の所有者に帰属する四半期利益209億97百万円)となりました。
セグメントの業績は、以下のとおりであります。
<百貨店事業>9月、10月にかけて消費マインドは段階的に回復しておりましたが、新型コロナウイルス新規感染者数が再び増加した11月は売上の回復に遅れが見られました。一方で、消費者の在宅での購買意欲の高まりを受けて、ECやライブコマースの強化に取り組んでまいりました。大丸心斎橋店では、11月20日にオープンした心斎橋パルコとの相互ポイントサービスによる回遊性強化をはかるなど、パルコと一体となってお客様のショッピング・サービスのご利用の利便性と満足度の向上に取り組んでおります。
サステナビリティ活動の一環として、日本の各地に店舗を構えている大丸・松坂屋が、それぞれのまちや、そのまちに暮らす人々の課題をお客様と一緒に考え、応援していくことを目的とした社会貢献活動「Think LOCAL」を9月に始動いたしました。また、環境負荷の少ないサステナブルな商品・サービスを提案する活動「Think GREEN」にも取り組んでおり、10月から11月にはECO活動を通じてお客様への負担や地球への負荷をOFFする持続可能な参加型プロジェクトである「ECOFF(エコフ)リサイクルキャンペーン」を、大丸・松坂屋11店舗で展開いたしました。
以上のような諸施策に取り組みましたが、前年同四半期に比べ売上収益は42.0%減の
1,122億24百万円、減損損失の計上もあり営業損失は220億87百万円(前第3四半期連結累計期間は営業利益140億32百万円)となりました。
<パルコ事業>2020年4月7日に発出された緊急事態宣言解除後の営業再開以降、緩やかに消費マインドも回復し、9月下旬にはイベント人数規制の緩和により、エンタテインメント施設(映画・劇場)において席数制限なく上演可能になりました。また、新しい生活様式への変化に対応し、オンライン展覧会やライブコマース、オンライン配信などに取り組みました。加えて、11月に心斎橋パルコを開業し、新たな事業開発として、コミュニティ型ワーキングスペース『SkiiMa(スキーマ)』の第一号店を心斎橋パルコ内にオープンいたしました。また、渋谷パルコの開業1周年企画や販促施策として全店舗でコード決済キャンペーンを実施いたしました。
以上のような諸施策に取り組みましたが、前年同四半期に比べ売上収益は43.9%減の493億91百万円、第2、第3四半期連結会計期間は黒字を確保できましたが、全館休業の影響が大きく、営業損失は15億79百万円(前第3四半期連結累計期間は営業利益101億30百万円)となりました。
<不動産事業>エリアの魅力を最大化し、地域とともに成長する「アーバンドミナント戦略」の一環として、11月6日に名古屋の「BINO栄」を開業するとともに重点エリアである上野、名古屋栄、京都、心斎橋、神戸において新規不動産開発を推進いたしました。
また、パルコの完全子会社化に伴い、不動産事業のパルコへの一元化に向けた物件の移管などの諸手続きを行い、不動産機能の集約化をはかりました。
以上のような諸施策に取り組みましたが、新型コロナウイルス感染症拡大に伴い、多くの施設において賃料の減免対応等を行った影響もあり、前年同四半期に比べ売上収益は16.7%減の110億48百万円、営業利益は63.9%減の25億97百万円となりました。
<クレジット金融事業>新型コロナウイルス感染症拡大に伴う、加盟店の臨時休業や時間短縮営業の影響もあり、百貨店や外部加盟店でのカード取扱高や加盟店手数料等が減少し、前年同四半期に比べ売上収益は
13.6%減の69億31百万円となりました。一方、販売費及び一般管理費において、百貨店の店頭でのカード開拓関連費用等が減少したものの、カードリニューアルの事前告知費用やアクワイアリングシステム等の構築や運用費用が発生した結果、営業利益は76.2%減の4億53百万円となりました。
(2)財政状態の分析
当第3四半期連結会計期間末の資産合計は1兆2,992億72百万円となり、前連結会計年度末に比べ589億64百万円増加いたしました。一方、負債合計は9,225億56百万円となり、前連結会計年度末に比べ819億29百万円増加いたしました。資本合計は3,767億15百万円となり、前連結会計年度末に比べ229億66百万円減少いたしました。
(3)キャッシュ・フローの状況
当第3四半期連結会計期間末における「現金及び現金同等物」の残高は、前連結会計年度末に比べ863億79百万円増の1,210億12百万円となりました。これは財務安定性確保のため、手許資金を積上げたことによるものであります。
当第3四半期連結累計期間における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
① 営業活動によるキャッシュ・フロー
営業活動によるキャッシュ・フローは343億29百万円の収入となりました。前第3四半期連結累計期間との比較では、税引前四半期損失となったことなどにより332億3百万円の収入減となりました。
② 投資活動によるキャッシュ・フロー
投資活動によるキャッシュ・フローは175億22百万円の支出となりました。前第3四半期連結累計期間との比較では、投資の抑制に加え、前年の有形固定資産の取得による支出の反動などにより81億32百万円の支出減となりました。
③ 財務活動によるキャッシュ・フロー
財務活動によるキャッシュ・フローは695億86百万円の収入となりました。前第3四半期連結累計期間との比較では、コマーシャル・ペーパーの発行及び借入金の増加などにより879億62百万円の収入増となりました。
(4)事業上及び財務上の対処すべき課題
当第3四半期連結累計期間において、当社グループの事業上及び財務上の対処すべき課題に重要な変更及び新たに生じた課題はありません。
なお、当社は株式会社の支配に関する基本方針について定めており、その内容は次のとおりであります。
① 基本方針の内容
当社は、当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者は、当社グループの財務及び事業の内容や当社グループの企業価値の源泉を十分に理解し、当社グループの企業価値ひいては株主共同の利益を継続的かつ持続的に確保し、これを向上していくことを可能とする者であることが必要であるものと考えております。
当社は、当社が上場会社であることから、当社の株主のあり方については、一般的には金融商品取引所における自由な市場取引を通じて決まるものであり、特定の株主または特定の株主グループによって当社株式の一定規模以上の取得行為(以下「大量取得行為」といいます。)が行われる場合であっても、当該大量取得行為が当社グループの企業価値ひいては株主共同の利益に資するものであれば、一概にこれを否定するものではなく、これに応じるか否かについては、最終的には株主の皆さまのご判断に委ねられるべきものと考えております。
しかしながら、大量取得行為の中には、その目的等からして当社グループの企業価値に対する明白な侵害をもたらすもの、株主の皆さまに当社株式の売却を事実上強要するおそれがあるもの、当社取締役会や株主の皆さまが大量取得者の提案内容等について検討し、または当社取締役会が代替案を提案するための十分な時間や情報を提供しないものなど、当社グループの企業価値を毀損する重大なおそれをもたらすものも想定されます。
このような当社グループの企業価値ひいては株主共同の利益に資さない大量取得行為を行う者(以下「大量取得者」といいます。)は、当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者としては不適切であり、当社は、このような大量取得行為に対しては、大量取得者による情報提供並びに当社取締役会による検討及び評価といったプロセスを確保するとともに、当社グループの企業価値ひいては株主共同の利益の毀損を防止するため、当社取締役会及び株主の皆さまが大量取得者の提案内容を検討するための十分な時間を確保することこそが、株主の皆さまから当社経営の負託を受けた当社取締役会の責務であると考えております。
② 基本方針の実現に資する取り組み
当社グループは、大丸・松坂屋の創業以来、その企業理念、伝統精神である「先義後利(義を先にして利を後にする者は栄える)」、「諸悪莫作 衆善奉行(諸悪をなすなかれ、多くの善行を行え)」、「人の利するところにおいて、われも利する」に基づき、永年にわたって呉服商、百貨店業を営んでまいりました。
当社は、当社グループの企業価値の源泉は、これらの理念、精神に基づくことにより築き上げられてきた、お客様及び社会との信頼関係にあるものと考えております。
そこで、当社は、これらの理念、精神に共通する「お客様第一主義」、「社会への貢献」を体現するため、当社グループの基本理念として「時代の変化に即応した高質な商品・サービスを提供し、お客様の期待を超えるご満足の実現を目指す」、「公正で信頼される企業として、広く社会への貢献を通じてグループの発展を目指す」ことを掲げ、この基本理念に基づき、当社グループの企業価値ひいては株主共同の利益の確保及び向上に資するため、当社グループのビジョンとして“くらしの「あたらしい幸せ」を発明する。”を掲げ、さまざまな施策に取り組んでおります。
③ 基本方針に照らして不適切な者によって当社の財務及び事業の方針の決定が支配されることを防止するための取り組み
当社は、現在のところ、大量取得者が出現した場合の具体的な取り組み、いわゆる買収防衛策について特にこれを定めてはおりません。
しかしながら、大量取得者が出現した場合には、当社グループの企業価値の毀損を防止するため、大量取得者の属性、大量取得行為の目的、大量取得者が提案する財務及び事業の方針、株主の皆さま及び当社グループのお客様・お取引先様・従業員・当社グループを取り巻く地域社会その他のステークホルダーに対する対応方針など、大量取得者に関するこれらの情報を把握した上で、当該大量取得行為が当社グループの企業価値に及ぼす影響を慎重に検討する必要があるものと考えます。
したがって、このような場合には、当社は、当社社内取締役から独立した立場にある社外取締役及び有識者をメンバーとする独立委員会を設置し、その勧告意見を踏まえた上で、当該大量取得者が前記の基本方針に照らして不適切な者であると判断されるときは、必要かつ相当な対応を講じることにより、当社グループの企業価値ひいては株主共同の利益を確保する所存であります。
④ 具体的な取り組みに対する当社取締役会の判断及びその理由
当社グループで策定するさまざまな施策は、当社グループの基本理念に基づいて策定されており、当社グループの企業価値の源泉であるお客様及び社会との信頼関係のさらなる構築を目指すものであります。したがって、これらの施策は、基本方針の内容に沿うものであり、当社グループの企業価値ひいては株主共同の利益の確保・向上に資するものであると考えております。
また、基本方針に照らして不適切な者であると判断される大量取得者に対して必要かつ相当な対応を講じることについては、当社社内取締役からの独立性が確保されている独立委員会の勧告意見を踏まえて判断することにより、その判断の公正性・中立性・合理性が担保されており、当社グループの企業価値・株主共同の利益を損なうものではないとともに、当社の会社役員の地位の維持をその目的とするものではないと考えております。
(5)研究開発活動
特記事項はありません。