四半期報告書-第15期第3四半期(令和3年9月1日-令和3年11月30日)

【提出】
2022/01/13 11:50
【資料】
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【項目】
42項目
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において判断したものであります。
(1)経営成績の分析
(単位:百万円、%)2022年2月期
第3四半期連結累計期間(3~11月)
(参考)2022年2月期
第3四半期連結会計期間(9~11月)
実績対前年実績対前年
増減高増減率増減高増減率
総額売上高623,34888,74016.6221,1997,2273.4
売上収益237,4796,7802.980,146△3,082△3.7
売上総利益107,91811,06911.438,2248262.2
販売費及び一般管理費99,0344,0754.332,995△2,763△7.7
事業利益8,8836,993369.95,2283,588218.8
その他の営業収益2,987△1,884△38.71,33015112.7
その他の営業費用7,463△17,783△70.47629614.4
営業利益4,40722,890-5,7963,643169.1
親会社の所有者に
帰属する四半期利益
3,66919,301-5,6654,986733.8

当第3四半期連結累計期間(2021年3月1日から2021年11月30日)の連結業績は、前年同期に比べ売上収益は2.9%増の2,374億79百万円、営業利益は44億7百万円(前第3四半期連結累計期間は営業損失184億83百万円)、税引前四半期利益は20億79百万円(前第3四半期連結累計期間は税引前四半期損失215億93百万円)、親会社の所有者に帰属する四半期利益は36億69百万円(前第3四半期連結累計期間は親会社の所有者に帰属する四半期損失156億32百万円)となりました。
また、当第3四半期連結会計期間(2021年9月1日から2021年11月30日)の連結業績は、前年同期に比べ売上収益は3.7%減の801億46百万円、営業利益は169.1%増の57億96百万円、税引前四半期利益は324.1%増の49億50百万円、親会社の所有者に帰属する四半期利益は733.8%増の56億65百万円となりました。
当第3四半期連結累計期間における日本経済は、新型コロナウイルス感染症(以下、コロナ感染症)の再拡大の影響を受ける結果となりました。年度初めに持ち直しの動きが見られたものの、その後コロナ感染症の再拡大により緊急事態宣言が断続的に発出され、その回復は足踏み状態となりました。9月以降は感染者数の減少や緊急事態宣言の解除等により、消費者態度指数が2ヶ月連続で上昇するなど経済活動の再開と合わせ消費回復の動きが見られたものの、コロナ感染症再拡大への懸念から緩やかな回復に留まり、出入国規制の緩和も一定の時間を要すると見込まれることなどから、先行きが見通せない状況が続いております。
このような状況の中、当社グループは、サステナビリティを経営の中核に据え、「2021~2023年度 中期経営計画」の初年度として、3つの重点戦略及び経営構造改革を推進いたしました。
「リアル×デジタル戦略」では、百貨店事業及びSC事業において、リアル店舗の魅力化に向け、ラグジュアリーブランドなど重点カテゴリーを拡充するとともに、10月に大丸東京店で当社初となるショールーミングスペース「明日見世(asumise)」のオープン、11月には心斎橋PARCOで新規事業として医療ウェルネスモール「Welpa(ウェルパ)」の展開、浦和PARCOの店舗改装などを実施いたしました。また、デジタルシフトへの取り組みでは、顧客とのタッチポイントであるアプリの会員獲得や機能拡充、販売スタッフやクリエイターなど人財が持つ魅力をデジタルの力で拡張するOMO(オンラインとオフラインの融合)の開発も進めております。
「プライムライフ戦略」では、文化や芸術に価値を置き、こころ豊かでサステナブルなライフスタイルを楽しむ生活者への取り組みを強化しております。百貨店事業では、インターネットを活用したライブショッピングや現代アートのオークションを開催したほか、全店で一部特選ブティックのオンライン接客サービスを開始いたしました。また、店舗の空間価値向上としてお得意様ラウンジの構築や、富裕層向けの新しい提案型メディアであるWEBサイトのリニューアルなど、良質な商品・サービスの提供の幅を広げる取り組みを推進いたしました。
「デベロッパー戦略」では、パルコに集約した不動産物件の活用を進めたほか、新たな物件の開発や商業以外の多様な開発を行っております。また、重点エリアである名古屋、心斎橋を中心に不動産開発計画を推進しております。
「経営構造改革」については、組織・要員構造改革及び経費構造改革による固定費削減とともに、グループ事業再編による経営効率と収益性の向上の観点から、各事業の厳格な見極めを進めております。こうした中、6月にヌーヴ・エイの全株式を譲渡し連結子会社から除外いたしました。
「サステナビリティの取り組み」については、事業活動を通じて持続可能な社会との共存を実現するため、当期より新たに「サーキュラー・エコノミーの推進」と「お客様の健康・安全・安心なくらしの実現」の2項目をマテリアリティに追加いたしました。また、これらの課題解決を着実に推進するため、5月にサステナビリティボンドを発行いたしました。10月には、お取引先様との協働による温室効果ガス削減やサプライチェーン上における人権と健康を守る取り組みを強化すべく、「JFRお取引先様行動原則」の理解浸透に向けたアセスメントを実施するなど、着実に取り組みを推進しております。
「コロナ感染症への対応」について、店舗・売場では、ソーシャルディスタンスの確保、手指消毒や検温の実施、従業員施設の抗ウイルス対応など、お客様と従業員の安心安全を第一に考え、徹底した衛生管理と感染防止対策を行っております。また、従業員や同居家族、一部お取引先従業員を対象に職域接種を実施いたしました。同時に、事業継続と経営の安定を図る観点から、感染症影響が想定を上回る規模で生じる際への備えとして、昨年度実施した投資抑制、経費圧縮、手許資金の積み増し、資金調達枠の増額等の対策を今年度も継続的に実施することで、財務安定性と流動性を確保しております。
こうした取り組みにより、当社の業績は、前年の緊急事態宣言期間中に全館臨時休業などを行っていた反動もあり、売上収益、事業利益、営業利益、四半期利益は前年同期比で増加となりました。
セグメントの業績は、以下のとおりであります。
なお、第1四半期連結会計期間より報告セグメントの区分を変更しており、以下の前年同期比較においては、前年同期の数値を変更後のセグメント区分に組み替えて比較しております。
<百貨店事業>
(単位:百万円、%)2022年2月期
第3四半期累計期間(3~11月)
(参考)2022年2月期
第3四半期会計期間(9~11月)
実績対前年実績対前年
増減高増減率増減高増減率
売上収益132,66213,40911.246,1781,3222.9
事業利益583,120-1,5661,703-
営業利益△2,80917,390-1,7571,565813.1

当第3四半期累計期間の百貨店事業の業績は、売上収益が前年同期比11.2%増の1,326億62百万円、営業損失が28億9百万円(前第3四半期累計期間は201億99百万円)となりました。
また、当第3四半期会計期間(9~11月)の百貨店事業の業績は、売上収益が前年同期比
2.9%増の461億78百万円、営業利益が前年同期比813.1%増の17億57百万円となりました。
第3四半期の売上収益は、9月末で緊急事態宣言が解除されたことを受け、10月以降、入店客数が増加したことなどから、前年同期比で増収となり、営業利益も大幅な増加となりました。
コロナ感染症の対策については、引き続き、安心・安全なお買物・職場環境づくりに全社をあげて取り組んでおります。
こうした環境下において、お客様の更なる利便性の向上のため、大丸・松坂屋アプリに「支払いサービス機能」を導入したほか、国内キャッシュレス決済アプリを利用できるようにいたしました。また、お得意様カード会員のプレミアムWEBサイト「コネスリーニュ(connaissligne)」では、ラグジュアリーブランドのオンライン接客サービスを始めました。
店舗の魅力化の一環として、基幹店を中心にラグジュアリーブランドの強化やお得意様ラウンジのリニューアルを進めてきたほか、大丸須磨店では百貨店初となる公立図書館を導入することで新たな郊外店モデルを見出すことができました。
また、新たな取り組みとして、リアル店舗と豊かな人財を持つ百貨店の強みを活かし、10月に大丸東京店4階に、D2Cブランドのショールーミングスペース「明日見世(asumise)」をオープンいたしました。明日見世は単に「場」の提供ではなく、商品背景を熟知したスタッフ(=アンバサダー)が、作り手の思いを顧客に伝え、さらに、店頭で得た顧客の声を出品ブランドにつなぐことで、顧客と出品ブランドの双方にとっての「出会いの循環」を実現してまいります。
(単位:百万円、%)2022年2月期
第3四半期累計期間(3~11月)
(参考)2022年2月期
第3四半期会計期間(9~11月)
実績対前年実績対前年
増減高増減率増減高増減率
売上収益39,3456251.612,580△2,973△19.1
事業利益4,2772,754180.71,555982171.2
営業利益2,1044,158-1,64763162.1

当第3四半期累計期間のSC事業の業績は、売上収益が前年同期比1.6%増の393億45百万円、営業利益が21億4百万円(前第3四半期累計期間は営業損失20億54百万円)となりました。売上収益は、前年の緊急事態宣言期間中に全館臨時休業などを行っていた反動から、前年同期比で増収となりました。営業利益は、6月30日付でヌーヴ・エイの全株式を譲渡したことによる関連費用を含めた子会社株式売却損を計上したものの、期中での経費削減・見直しや前年に減損損失を計上したこともあり、前年同期比で増益となりました。
また、当第3四半期会計期間(9~11月)のSC事業の業績は、売上収益が前年同期比
19.1%減の125億80百万円、営業利益が前年同期比62.1%増の16億47百万円となりました。
第3四半期の売上収益は、6月にヌーヴ・エイの全株式を譲渡したことから前年同期比で減収となりましたが、9月末で緊急事態宣言が解除されたことを受け、百貨店事業と同様に入店客数が回復し、営業利益は大幅な増益となりました。
重点戦略に基づき、顧客拡大に向けたアプリ決済機能の拡充や「リアル×オンライン」の相乗効果拡大に向けた基盤整備を進めました。また、リアル店舗の魅力化に向け、浦和PARCOでは開業来最大の大規模改装を実施するなど、基幹店を中心とした店舗改装を推進いたしました。
ウェルネス領域の新規事業として、医療モールの開発・運営事業に参入し、医療~物販・サービスをシームレスに提供する新しいコンセプトの医療ウェルネスモール「Welpa(ウェルパ)」の1号拠点を11月19日、心斎橋PARCOに開業いたしました。
渋谷PARCOでは開業2周年、心斎橋PARCOでは開業1周年を記念し、出店テナントでも様々なイベントや限定アイテムを販売するキャンペーンを開催いたしました。
<デベロッパー事業>
(単位:百万円、%)2022年2月期
第3四半期累計期間(3~11月)
(参考)2022年2月期
第3四半期会計期間(9~11月)
実績対前年実績対前年
増減高増減率増減高増減率
売上収益38,445△7,930△17.112,707△777△5.8
事業利益2,7971455.51,07014916.3
営業利益3,10669628.91,29858682.2

当第3四半期累計期間のデベロッパー事業の業績は、売上収益が前年同期比17.1%減の
384億45百万円、営業利益が前年同期比28.9%増の31億6百万円となりました。百貨店から移管された不動産物件の活用に加え、経費や投資時期の見直し、また一部資産の売却等により、営業利益は増益となりました。
松坂屋流通センター跡地での商業施設の開業に加え、熊本市中心部の新規ビル(旧熊本PARCOの建替え物件)への出店を決定いたしました。このほか当社の重点エリアである名古屋、心斎橋エリアを中心とした新たな不動産開発の計画を推進しております。
<決済・金融事業>
(単位:百万円、%)2022年2月期
第3四半期累計期間(3~11月)
(参考)2022年2月期
第3四半期会計期間(9~11月)
実績対前年実績対前年
増減高増減率増減高増減率
売上収益7,9311,00014.42,97864127.4
事業利益1,125697162.7649666-
営業利益1,171718158.2664664-

当第3四半期累計期間の決済・金融事業の業績は、売上収益が前年同期比14.4%増の79億31百万円、営業利益が前年同期比158.2%増の11億71百万円となりました。
売上収益は、9月末で緊急事態宣言が解除されたことを受け、百貨店でのカード取扱高増加に伴う加盟店手数料収入の増加、年会費見直しによる年会費収入の増加等により、前年同期比で増収となりました。営業利益は、期中での経費削減・見直しにより前年同期比で増益となりました。
昨年度にリニューアルした大丸松坂屋カードのバリュー向上の取り組みとして、パルコのアプリ「POCKET PARCO」のアプリ決済機能への大丸松坂屋カードの登録を開始し、カード会員の利便性向上とグループ間の相互送客に向けた基盤を構築いたしました。また、地域社会との共生の取り組みの一環として、グループ商業施設の周辺エリアを中心とした他社との協業による加盟店事業の推進に加え、「令和3年8月豪雨災害 緊急災害支援基金」をポイント交換メニューに追加し、カード会員が保有するポイントで社会貢献できる仕組みを導入いたしました。
(2)財政状態の分析
(当第3四半期連結会計期間末における資産、負債、資本の状況)
(単位:百万円、%)2021年2月期2022年2月期
第3四半期
増減高
流動資産273,605299,10625,501
非流動資産990,116965,429△24,687
資産合計1,263,7221,264,536814
流動負債389,926408,67518,749
非流動負債509,451496,504△12,947
負債合計899,378905,1795,801
親会社の所有者に帰属する持分352,171347,391△4,780
親会社所有者帰属持分比率27.927.5△0.4
資本合計364,343359,357△4,986

当第3四半期連結会計期間末の資産合計は1兆2,645億36百万円となり、前連結会計年度末に比べ8億14百万円増加いたしました。一方、負債合計は9,051億79百万円となり、前連結会計年度末に比べ58億1百万円増加いたしました。資本合計は3,593億57百万円となり、前連結会計年度末に比べ49億86百万円減少いたしました。
(3)キャッシュ・フローの状況
(単位:百万円)2021年2月期
第3四半期
2022年2月期
第3四半期
増減高
営業活動によるキャッシュ・フロー34,32937,1432,814
投資活動によるキャッシュ・フロー△17,522△8,1469,376
フリーキャッシュ・フロー16,80728,99612,189
財務活動によるキャッシュ・フロー69,586△32,682△102,268
現金及び現金同等物の増減額86,394△3,685△90,079
現金及び現金同等物の四半期末残高121,012125,3484,336

当第3四半期連結会計期間末における「現金及び現金同等物」の残高は、前連結会計年度末に比べ35億77百万円減の1,253億48百万円となりました。
当第3四半期連結累計期間における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
① 営業活動によるキャッシュ・フロー
営業活動によるキャッシュ・フローは371億43百万円の収入となりました。前第3四半期連結累計期間との比較では、税引前四半期利益が黒字転換したことなどにより28億14百万円の収入増となりました。
② 投資活動によるキャッシュ・フロー
投資活動によるキャッシュ・フローは81億46百万円の支出となりました。前第3四半期連結累計期間との比較では、既存店改装など有形固定資産の取得による支出の減少などにより93億76百万円の支出減となりました。
③ 財務活動によるキャッシュ・フロー
財務活動によるキャッシュ・フローは326億82百万円の支出となりました。前第3四半期連結累計期間との比較では、社債の発行による収入があったものの、前年に実施したコロナ感染症対策の資金調達の反動などにより1,022億68百万円の収入減となりました。
(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当第3四半期連結累計期間において、当社グループの優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題に重要な変更及び新たに生じた課題はありません。
(5)研究開発活動
特記事項はありません。