四半期報告書-第14期第1四半期(令和2年3月1日-令和2年5月31日)

【提出】
2020/07/14 11:14
【資料】
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【項目】
19項目
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において判断したものであります。
(1)経営成績の分析
当第1四半期連結累計期間(2020年3月1日〜2020年5月31日)の日本経済は、新型コロナウイルス感染症の拡大による影響を大きく受ける結果となりました。2020年3月の景気動向指数は前月比4.9ポイント減の88.8と大きく低下し、緊急事態宣言が発出された4月に至っては過去最大の下げ幅となる7.3ポイント減の81.5を記録するなど急激に悪化いたしました。
小売業界におきましても、新型コロナウイルス感染症拡大の影響を大きく受けました。店舗において営業時間の短縮や営業を自粛する状況が続き、大手のアパレルメーカーも含め、業績悪化などから倒産する企業も見られました。個人消費に関しましても、消費者の多くが不要不急の外出を自粛したことにより大きく落ちこんでおり、消費の低迷は長期間に及ぶ可能性があると想定しております。
このような状況の中、当社グループは、財務安定性、手許流動性を確保するため、投資の抑制や不要不急のコスト削減に取り組むとともに、手許資金の積上げや資金調達枠の増額などの対策を講じ、当面の運転資金の確保を進めております。
百貨店事業におきましては、3月は不要不急の外出自粛に伴う個人消費の低迷やインバウンド消費の消滅、4月は緊急事態宣言が発出されたことを受けて、ほぼ全ての店舗で営業を自粛し、業績は大きく悪化いたしました。5月に入り順次食品フロアから営業を再開し、5月下旬には全店・全館にて営業再開をいたしましたが、再開後も、ソーシャルディスタンスの確保や検温の実施等、お客様と従業員の安心安全を第一に考え、徹底した衛生管理を行っております。
その中で、地方百貨店構造改革の一環として下関大丸の直営化を行い、3月23日にリニューアルオープンいたしました。また3月13日には大丸芦屋店、3月15日には大丸須磨店が同じくリニューアルオープンし、郊外店ならではの地域密着の店づくりを進めております。
パルコ事業におきましても、百貨店事業と同様、消費者の外出自粛や営業自粛により取扱高は大きく減少いたしましたが、緊急事態宣言の解除後、順次営業を再開しております。
また、国内外の変化を確実に捉え、新たな事業機会の拡大に向けて、4月3日に10代向けの新たな教育配信事業『Inspire High』と提携いたしました。今回の提携を通じて「ソフトコンテンツの拡大」を推進してまいります。
以上のような厳しい環境下で諸施策に取り組みましたものの、新型コロナウイルス感染症の拡大による店舗の営業自粛等の影響が大きく、当第1四半期連結累計期間の連結業績は、前年同四半期に比べ売上収益は43.6%減の634億59百万円、減損損失の計上もあり、営業損失は271億3百万円(前第1四半期連結累計期間は営業利益127億94百万円)、税引前四半期損失は284億92百万円(前第1四半期連結累計期間は税引前四半期利益121億50百万円)、親会社の所有者に帰属する四半期損失は203億34百万円(前第1四半期連結累計期間は親会社の所有者に帰属する四半期利益74億47百万円)となりました。
セグメントの業績は、以下のとおりであります。
<百貨店事業>店舗戦略の基軸となる営業力の強化策として、地方・郊外店の改革に積極的に取り組みました。
開業40周年を迎えた大丸須磨店は、新ストアコンセプト「須磨の暮らしの真ん中に。『地域共生百貨店』」のもと、初めての大規模改装(第1期)を実施いたしました。大丸芦屋店も全館リニューアルを実施し、『この街の毎日がここにある、芦屋マルシェの提案』をコンセプトに、芦屋の街に相応しい上質な空間と品揃えの地域密着型のコンパクト百貨店に生まれ変わりました。
また、大丸松坂屋百貨店に吸収合併されると同時に屋号を変更した大丸下関店におきましては、18年ぶりとなる全館リニューアルを実施し、「観光客・地元3世代が共に楽しめる、『美・食・遊』に満ちたお店」を目指して、従来の百貨店ビジネスモデルに加えて定期賃貸借契約を大胆に活用し、ハイブリッドな事業構造に転換いたしました。
一方、松坂屋豊田店につきましては、昨今の経営環境の変化と競合激化が進む中、今後の成長を見通すことは困難であるとの判断から、2021年9月30日をもって営業を終了することを決定いたしました。
以上のような諸施策に取り組みましたが、営業自粛等の影響が大きく、前年同四半期に比べ売上収益は63.2%減の243億8百万円、減損損失の計上もあり営業損失は231億56百万円(前第1四半期連結累計期間は営業利益61億30百万円)となりました。
<パルコ事業>新型コロナウイルス感染症拡大の影響により、パルコ店舗の休業や時間短縮営業・出店テナントの条件緩和施策の実施、エンタテインメント施設の営業休止、専門店事業の店舗休業や総合空間事業の受託が減少となったことなどを受け、前年同四半期に比べ売上収益は45.1%減の121億32百万円、営業損失は41億27百万円(前第1四半期連結累計期間は営業利益34億8百万円)となりました。
<不動産事業>エリアの魅力を最大化し、地域とともに成長する「アーバンドミナント戦略」の一環として、2020年秋開業予定の大丸心斎橋店新北館の開業準備に加え、重点エリアである上野、名古屋栄、京都、心斎橋、神戸において新規不動産開発を推進することで基盤強化を図ってまいりました。
しかしながら、新型コロナウイルス感染症拡大に伴い、GINZA SIX、上野フロンティアタワーを含めた多くの施設において営業を自粛した影響が大きく、前年同四半期に比べ売上収益は
38.0%減の27億39百万円、営業利益は77.4%減の3億80百万円となりました。
<クレジット金融事業>新型コロナウイルス感染症拡大に伴う大丸松坂屋百貨店や外部加盟店の営業自粛や営業時間の短縮により加盟店手数料収入が減少した結果、前年同四半期に比べ売上収益は19.5%減の20億95百万円、営業利益は90.9%減の72百万円となりました。
(2)財政状態の分析
当第1四半期連結会計期間末の資産合計は1兆2,811億63百万円となり、前連結会計年度末に比べ408億55百万円増加いたしました。一方、負債合計は9,067億29百万円となり、前連結会計年度末に比べ661億2百万円増加いたしました。資本合計は3,744億34百万円となり、前連結会計年度末に比べ252億47百万円減少いたしました。
(3)キャッシュ・フローの状況
当第1四半期連結会計期間末における「現金及び現金同等物」の残高は、前連結会計年度末に比べ1,013億68百万円増の1,360億1百万円となりました。これは今後の財務安定性確保のための手許資金の積上げによるものであります。
当第1四半期連結累計期間における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
① 営業活動によるキャッシュ・フロー
営業活動によるキャッシュ・フローは88億44百万円の支出となりました。前第1四半期連結累計期間との比較では、税引前四半期損失となったことなどにより278億68百万円減少いたしました。
② 投資活動によるキャッシュ・フロー
投資活動によるキャッシュ・フローは58億42百万円の支出となりました。前第1四半期連結累計期間との比較では、有形固定資産の取得による支出の増加などにより10億55百万円の支出増となりました。
③ 財務活動によるキャッシュ・フロー
財務活動によるキャッシュ・フローは1,160億65百万円の収入となりました。前第1四半期連結累計期間との比較では、コマーシャル・ペーパーの発行及び借入金の増加などにより1,089億27百万円の収入増となりました。
(4)事業上及び財務上の対処すべき課題
当第1四半期連結累計期間において、当社グループの事業上及び財務上の対処すべき課題に重要な変更及び新たに生じた課題はありません。
なお、当社は株式会社の支配に関する基本方針について定めており、その内容は次のとおりであります。
① 基本方針の内容
当社は、当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者は、当社グループの財務及び事業の内容や当社グループの企業価値の源泉を十分に理解し、当社グループの企業価値ひいては株主共同の利益を継続的かつ持続的に確保し、これを向上していくことを可能とする者であることが必要であるものと考えております。
当社は、当社が上場会社であることから、当社の株主のあり方については、一般的には金融商品取引所における自由な市場取引を通じて決まるものであり、特定の株主または特定の株主グループによって当社株式の一定規模以上の取得行為(以下「大量取得行為」といいます。)が行われる場合であっても、当該大量取得行為が当社グループの企業価値ひいては株主共同の利益に資するものであれば、一概にこれを否定するものではなく、これに応じるか否かについては、最終的には株主の皆さまのご判断に委ねられるべきものと考えております。
しかしながら、大量取得行為の中には、その目的等からして当社グループの企業価値に対する明白な侵害をもたらすもの、株主の皆さまに当社株式の売却を事実上強要するおそれがあるもの、当社取締役会や株主の皆さまが大量取得者の提案内容等について検討し、または当社取締役会が代替案を提案するための十分な時間や情報を提供しないものなど、当社グループの企業価値を毀損する重大なおそれをもたらすものも想定されます。
このような当社グループの企業価値ひいては株主共同の利益に資さない大量取得行為を行う者(以下「大量取得者」といいます。)は、当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者としては不適切であり、当社は、このような大量取得行為に対しては、大量取得者による情報提供並びに当社取締役会による検討及び評価といったプロセスを確保するとともに、当社グループの企業価値ひいては株主共同の利益の毀損を防止するため、当社取締役会及び株主の皆さまが大量取得者の提案内容を検討するための十分な時間を確保することこそが、株主の皆さまから当社経営の負託を受けた当社取締役会の責務であると考えております。
② 基本方針の実現に資する取り組み
当社グループは、大丸・松坂屋の創業以来、その企業理念、伝統精神である「先義後利(義を先にして利を後にする者は栄える)」、「諸悪莫作 衆善奉行(諸悪をなすなかれ、多くの善行を行え)」、「人の利するところにおいて、われも利する」に基づき、永年にわたって呉服商、百貨店業を営んでまいりました。
当社は、当社グループの企業価値の源泉は、これらの理念、精神に基づくことにより築き上げられてきた、お客様及び社会との信頼関係にあるものと考えております。
そこで、当社は、これらの理念、精神に共通する「お客様第一主義」、「社会への貢献」を体現するため、当社グループの基本理念として「時代の変化に即応した高質な商品・サービスを提供し、お客様の期待を超えるご満足の実現を目指す」、「公正で信頼される企業として、広く社会への貢献を通じてグループの発展を目指す」ことを掲げ、この基本理念に基づき、当社グループの企業価値ひいては株主共同の利益の確保及び向上に資するため、当社グループのビジョンとして“くらしの「あたらしい幸せ」を発明する。”を掲げ、さまざまな施策に取り組んでおります。
③ 基本方針に照らして不適切な者によって当社の財務及び事業の方針の決定が支配されることを防止するための取り組み
当社は、現在のところ、大量取得者が出現した場合の具体的な取り組み、いわゆる買収防衛策について特にこれを定めてはおりません。
しかしながら、大量取得者が出現した場合には、当社グループの企業価値の毀損を防止するため、大量取得者の属性、大量取得行為の目的、大量取得者が提案する財務及び事業の方針、株主の皆さま及び当社グループのお客様・お取引先様・従業員・当社グループを取り巻く地域社会その他のステークホルダーに対する対応方針など、大量取得者に関するこれらの情報を把握した上で、当該大量取得行為が当社グループの企業価値に及ぼす影響を慎重に検討する必要があるものと考えます。
したがって、このような場合には、当社は、当社社内取締役から独立した立場にある社外取締役及び有識者をメンバーとする独立委員会を設置し、その勧告意見を踏まえた上で、当該大量取得者が前記の基本方針に照らして不適切な者であると判断されるときは、必要かつ相当な対応を講じることにより、当社グループの企業価値ひいては株主共同の利益を確保する所存であります。
④ 具体的な取り組みに対する当社取締役会の判断及びその理由
当社グループで策定するさまざまな施策は、当社グループの基本理念に基づいて策定されており、当社グループの企業価値の源泉であるお客様及び社会との信頼関係のさらなる構築を目指すものであります。したがって、これらの施策は、基本方針の内容に沿うものであり、当社グループの企業価値ひいては株主共同の利益の確保・向上に資するものであると考えております。
また、基本方針に照らして不適切な者であると判断される大量取得者に対して必要かつ相当な対応を講じることについては、当社社内取締役からの独立性が確保されている独立委員会の勧告意見を踏まえて判断することにより、その判断の公正性・中立性・合理性が担保されており、当社グループの企業価値・株主共同の利益を損なうものではないとともに、当社の会社役員の地位の維持をその目的とするものではないと考えております。
(5)研究開発活動
特記事項はありません。