有価証券報告書-第13期(平成31年3月1日-令和2年2月29日)
(1)財政状態及び経営成績の状況
① 当期の経営成績
当連結会計年度の日本経済は、海外経済の減速や自然災害などの影響から、輸出・生産が伸び悩み、設備投資や国内需要の減少など景気回復が鈍化するなか、年度終盤において企業の生産や設備投資、消費など内外経済の不確実性が急速に高まり、不安定な状況となりました。個人消費は、雇用・所得環境は堅調に推移したものの、消費税率引き上げに伴う消費低迷の長期化などにより力強さを欠いたことに加え、新型コロナウイルス感染症の影響により、インバウンド消費、国内消費ともに落ち込み、年度終盤において悪化いたしました。
このような状況のなか、当社グループは、グループビジョンの実現、事業ポートフォリオの変革に向けた「2017~2021年度 中期経営計画」の3年目の取り組みとして、以下5つの成長戦略及び基盤強化戦略に取り組みました。とりわけ今年度は、新たな百貨店ビジネスモデルを具現化した「大丸心斎橋店本館」、次世代型商業空間を創造する「渋谷パルコ」の大型再開発プロジェクトを完成させました。
当社グループを取り巻く経営環境は大きな変化に直面しており、当社とパルコの企業価値・ブランド価値のさらなる向上には、日々変化する消費者ニーズを的確に捉えていくことが求められます。今後、当社グループとしての抜本的かつ機動的な事業ポートフォリオの変革を、迅速な意思決定のもとスピード感をもって推進するには、両社の連携をさらに深め、経営資源を集中していく必要があることから、パルコ株式の公開買付けおよび株主売渡請求を行い、結果、パルコの完全子会社化を実施いたしました。これらにより、グループシナジーを最大化し、グループビジョン“くらしの「あたらしい幸せ」を発明する。”の実現に向け、グループ構造変革への取り組みを加速させてまいります。
「マルチサービスリテイラー戦略」では、既存事業領域の拡大への取り組みとして、クレジット金融事業において7月にVISAやマスターカードのライセンスを取得し、当社グループ内でのアクワイアリング(加盟店契約)事業の実施に向け、環境整備を進めたほか、2020年秋に導入予定の新ポイントプログラムや付帯サービス等を刷新する既存カードのリニューアルに取り組みました。また、新規事業領域の拡大への取り組みとして、「物やサービスなどを所有ではなく共有する」という価値観が進展するなか、これらのリスクに対応するため、ファッションレンタル事業のマーケット理解と参入への検討を進めました。
「アーバンドミナント戦略」では、GINZA SIX(ギンザ シックス)や上野フロンティアタワーに次ぐ、大型エリア再開発プロジェクトである大丸心斎橋店本館を9月に、渋谷パルコを11月に完成させたほか、京都・上野エリアにビューティー&ヘルスをコンセプトとする商業施設「BINO(ビーノ)」を2店舗オープンさせるなど、基幹店舗を中心とした周辺開発に取り組みました。また、上野・名古屋・神戸エリアで百貨店とパルコの共同プロモーションやエリア活性化イベントを開催したほか、地域の大学と共同で次世代支援や地域振興などに向けて連携するなど、街の魅力度向上に努めました。
「IoT時代におけるICT戦略」では、顧客データをグループの共通資産として統合的に活用し、お客様のライフタイム・バリューの最大化(※)を目指す「ライフタイム・サービスHUB構想」の推進基盤となる統合データベースの構築に取り組みました。あわせて、グループ各社のセキュリティ管理やビジネス戦略のデジタル化に迅速かつ柔軟に対応できるクラウド環境の構築などに取り組みました。(※お客様一人ひとりのライフステージに応じた商品サービスの提供を通じて、顧客との生涯にわたる関係をより強固にし、顧客価値を最大化していくこと)
「既存事業の革新」では、百貨店事業では、大丸心斎橋店本館において従来の百貨店にはない斬新なフロア構成により、成長性と収益性を兼ね備えた新たな百貨店ビジネスモデルを具現化させるとともに、マーケット変化に対応した新たな売場開発を各店において推進しました。また、下関大丸、大丸芦屋店をはじめ地方・郊外店舗の構造改革を着実に推進しました。創業50周年を迎えたパルコでは、体験型コンテンツの拡充やファッションの再提案、ICTを活用した未来型の売場づくりなど、パルコブランドの新たな魅力を表現した次世代型商業施設「新生・渋谷パルコ」を開業させました。また、錦糸町パルコ、サンエー浦添西海岸 PARCO CITY、川崎ゼロゲートを開業するなど多様な業態開発を着実に推進しました。
「ESGへの取り組み」では、「低炭素社会への貢献」など5つの重要課題の解決に向けた全社的な取り組みを推進しました。ESG推進のフラッグシップ店舗である大丸心斎橋店本館では、館内で使用する全ての電力を再生可能エネルギーに切り替えたほか、大丸松坂屋百貨店では、2019年に策定した「JFRお取引先様行動原則」について、ESG活動の協同推進に向けたお取引先様への説明会を初開催いたしました。これらの取り組みの結果、気候変動調査など外部機関によるESGに係る認定や評価が向上しました。(ESG:環境(Environment)、社会(Social)、ガバナンス(Governance))
グループ人事改革においては、持続的な成長実現に向けた人財開発企業を目指し、新たな価値を生み出す“人財力”を基軸とする人財マネジメントの再構築を図るため、創造と挑戦を引き出す人事制度改正を推進したほか、専門人財の採用、またシニア活躍の観点から各社において65歳への定年延長を推進しました。
グループ財務戦略においては、資本効率の高い経営体質の構築を目指すB/S視点の経営管理の推進による資産効率の向上に取り組みましたほか、国際会計基準(IFRS)に基づく新リース会計基準に着実に対応いたしました。また、投資家の皆様との対話機会の充実を目的に「事業戦略説明会」を初開催いたしました。
グループ業務システム革新においては、情報セキュリティの強化や、RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)の拡大によるグループ後方業務を中心とした業務自動化の推進、生産性向上に向けたビジネスツールの導入など、経営効率の向上に努めました。
以上のような諸施策に取り組みました結果、当期の連結業績は、消費税率引き上げによる消費低迷の長期化や自然災害・暖冬影響に加え、新型コロナウイルス感染症の影響等がありましたものの、売上収益は渋谷再開発における保留床売却等により前年に比べ4.5%増の4,806億21百万円となりましたが、営業利益は1.5%減の402億86百万円、税引前利益は11.8%減の371億61百万円、親会社の所有者に帰属する当期利益は22.3%減の212億51百万円となりました。また、親会社所有者帰属持分当期利益率(ROE)は5.4%(対前年1.4pt減)、親会社所有者帰属持分比率は31.2%(同8.9pt減)となりました。
なお期末配当金につきましては、1株あたり18円とさせていただきました。この結果、中間配当金18円と合わせた年間配当金は1株につき36円となり、9年連続の増配となりました。
セグメント業績
<百貨店事業>9月に建て替えオープンした大丸心斎橋店本館は、強みである富裕層や訪日外国人客への対応を強化しながら、“生活を積極的に楽しむすべてのお客様”をターゲットに、世界と未来に向け進化する百貨店へと生まれ変わりました。
新顧客戦略の展開では、顧客基盤の拡大に向け、5月末に「大丸・松坂屋アプリ」を展開いたしました。また、拡大する富裕層マーケットに対応するため、新規口座開拓に継続して取り組むとともに、新たな外商ビジネスモデルの展開に向け、ICTを活用した業務支援システムの整備や新たな組織体制の構築に取り組みました。
以上のような諸施策に取り組みましたものの、自然災害の発生に伴う営業時間短縮や休業、消費税率引き上げによる消費低迷に加え、新型コロナウイルス感染症の影響などから、前年に比べ売上収益は4.2%減の2,637億48百万円、営業利益は27.2%減の176億25百万円となりました。
<パルコ事業>新しい消費体験・価値観を提供する唯一無二の次世代型商業施設として新生・渋谷パルコを11月に開業いたしました。また、リノベーション型の開発物件である「錦糸町パルコ(3月)」、株式会社サンエーとの共同事業による「サンエー浦添西海岸 PARCO CITY(6月)」、「川崎ゼロゲート(8月)」を開業し、多様な業態開発手法に基づく不動産開発を推進いたしました。パルコ店舗では、デジタル環境の進化や消費志向の変化を捉え、優待方法を割引からポイントサービスに変更するなど、顧客起点でのビジネスモデル変革を進める体制を整え、新たなテナント開発や顧客接点拡大・満足度向上に向けたコミュニケーション強化に取り組みました。
以上のような諸施策に取り組みました結果、一部のパルコ既存店舗や事業などが苦戦したものの、新たに開業した錦糸町パルコや新生・渋谷パルコなどの貢献、渋谷再開発における保留床売却等により、前年に比べ売上収益は24.7%増の1,122億12百万円、営業利益は前年度において店舗営業終了に伴う損失やその他店舗の減損損失などを計上した反動もあり、98.7%増の108億23百万円となりました。
<不動産事業>アーバンドミナント戦略における重点エリア(上野、名古屋、京都、心斎橋、神戸)を中心に、賃貸床面積の拡大による不動産賃貸事業の強化に取り組みました。具体的には、京都烏丸エリアに「BINO東洞院(4月)」を、松坂屋上野店第二別館跡地に「BINO御徒町(12月)」を新たにオープンしたほか、心斎橋エリアで「DAIMARU WHITE AVENUE(大丸 ホワイトアベニュー)」を改装(11月)するなど、周辺店舗開発を着実に推進しました。
以上のような諸施策への取り組みや、2017年度に開業したGINZA SIXが堅調に推移したことなどにより、前年に比べ売上収益は4.7%増の177億93百万円となりました。営業利益は2020年秋に開業予定の大丸心斎橋店北館への投資が先行した一方、固定資産の売却等により、44.2%増の67億25百万円となりました。
<クレジット金融事業>外部加盟店における取扱高の拡大やショッピングリボ、分割払いなどの利用促進により、加盟店手数料収入、割賦販売利息収入等が増加し、前年に比べ売上収益は1.4%増の107億19百万円となりました。営業利益は、決済・金融サービスを基軸とする中長期の成長実現に向けた人財採用、組織強化などにより費用が増加しましたことから、19.1%減の19億8百万円となりました。
<その他>人材派遣事業のディンプルは派遣事業が苦戦し、また卸売事業の大丸興業では電子デバイス部門の不調により減収減益となりましたが、建装事業のJ.フロント建装がホテルやラグジュアリーブランドなど内装工事の受注拡大に加え、大丸心斎橋店本館の改装工事などの受注増により大幅増収増益となりましたことから、前年に比べ売上収益は18.2%増の1,232億75百万円、営業利益は34.0%増の47億円となりました。
② 財政状態
当連結会計年度末の資産合計は1兆2,403億8百万円となり、前連結会計年度末に比べ
2,107億35百万円増加いたしました。これは主にIFRS第16号「リース」の適用による使用権資産の増加などによるものです。一方、負債合計は8,406億27百万円となり、前連結会計年度末に比べ2,795億40百万円増加いたしました。なお、有利子負債残高は4,787億73百万円となり、前連結会計年度末に比べ3,043億95百万円増加いたしました。これは主にIFRS第16号「リース」の適用によるリース負債の増加などによるものです。
資本合計は、3,996億81百万円となり、前連結会計年度末に比べ688億4百万円減少いたしました。これは主にパルコ株式追加取得による資本剰余金及び非支配持分の減少などによるものです。
③ キャッシュ・フロー
当連結会計年度末における「現金及び現金同等物」の残高は、前連結会計年度末に比べ89億74百万円増の346億33百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
「営業活動によるキャッシュ・フロー」は733億58百万円の収入となりました。前連結会計年度との比較では、使用権資産の増加にかかる減価償却費及び償却費の調整や棚卸資産の減少などにより384億88百万円の収入増となりました。
「投資活動によるキャッシュ・フロー」は495億59百万円の支出となりました。前連結会計年度との比較では、投資有価証券の取得による支出の増加などにより227億23百万円の支出増となりました。
「財務活動によるキャッシュ・フロー」は148億29百万円の支出となりました。前連結会計年度との比較では、パルコ株式追加取得による支出やリース負債の返済額の計上があったものの、社債の発行などの資金調達により64億45百万円の支出減となりました。
④ 生産、受注及び販売の実績
1)生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注)1 上記金額には、消費税等は含まれておりません。
2 上記以外のセグメントについては該当事項はありません。
2)受注実績
当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注)1 上記金額には、消費税等は含まれておりません。
2 上記以外のセグメントについては該当事項はありません。
3)販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注)1 セグメント間の取引については、「調整額」欄で調整しております。
2 販売高は、売上収益を記載しております。
3 上記金額には、消費税等は含まれておりません。
(2) 経営者の視点による経営成績の状況に関する分析・検討内容
当社グループに関する財政状態及び経営成績の分析・検討内容は、原則として連結財務諸表に基づいて分析した内容であります。
文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
①重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、国際会計基準に基づいて作成しております。この連結財務諸表の作成にあたって、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要とします。経営者は、これらの見積りについて、過去の実績や現状を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。
当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 連結財務諸表注記 3.重要な会計方針」に記載しております。
②当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
1)経営成績等
a)売上収益
売上収益は、百貨店事業は減収となりましたものの、パルコ事業、不動産事業、クレジット金融事業が増収となったことや建装事業が好調だったこともあり、前連結会計年度に比べ207億81百万円増の4,806億21百万円となりました。
b)営業利益
営業利益は、前連結会計年度に比べ6億5百万円減の402億86百万円となりました。
c)税引前利益
税引前利益は、前連結会計年度に比べ49億65百万円減の371億61百万円となりました。
d)親会社の所有者に帰属する当期利益
親会社の所有者に帰属する当期利益は、前連結会計年度に比べ61億7百万円減の212億51百万円となりました。
e)キャッシュ・フロー
当社グループは、事業活動のための適切な資金確保、流動性の維持並びに健全な財政状況を目指し、安定的な営業キャッシュ・フローの創出、幅広い資金調達手段の確保に努めております。
また、当社グループの成長を維持するために将来必要な運転資金及び設備投資、投融資資金は、主に手許資金と営業活動によるキャッシュ・フローに加え、社債の発行及び金融機関からの借入などにより調達しております。
「営業活動によるキャッシュ・フロー」は733億58百万円の収入となりました。一方、「投資活動によるキャッシュ・フロー」は495億59百万円の支出、「財務活動によるキャッシュ・フロー」は148億29百万円の支出となりました。
この結果、当連結会計年度末における「現金及び現金同等物」は、前連結会計年度末に比べ89億74百万円増の346億33百万円となりました。
今後も、利益水準やキャッシュ・フローの動向等を考慮し、適切な利益配分や設備投資を行っていく予定であります。
f)財政状態
当連結会計年度の資産合計は1兆2,403億8百万円となり、IFRS第16号「リース」の適用による大丸松坂屋百貨店やパルコにおける使用権資産の増加などにより前連結会計年度末に比べ2,107億35百万円増加いたしました。一方、負債合計は8,406億27百万円となり、前連結会計年度末に比べ2,795億40百万円増加いたしました。なお、有利子負債残高は4,787億73百万円となり、IFRS第16号「リース」の適用によるリース負債の増加などにより前連結会計年度末に比べ3,043億95百万円増加いたしました。
資本合計は3,996億81百万円となり、前連結会計年度末に比べ688億4百万円減少いたしました。
これらの結果、資産合計営業利益率(ROA)は、3.2%、親会社所有者帰属持分当期利益率(ROE)は、5.4%、親会社所有者帰属持分比率は、31.2%となりました。
(資本の財源及び資金の流動性)
当社グループは、事業活動に必要となる資金は、自ら創出した資金でまかなうことを基本方針としております。そのうえで、事業投資等で必要資金が生じる場合には、財務の健全性維持を勘案し、主として社債の発行及び金融機関からの借入などにより資金調達を行っております。
グループ子会社については原則として金融機関からの資金調達を行わず、キャッシュ・マネジメントシステムを利用したグループ内ファイナンスにより、資金調達の一元化と資金効率化を推進しております。
また、適切な現預金残高を維持することに加え、一時的な資金不足に備え、主要取引銀行とのコミットメントライン契約及び当座借越契約、並びにコマーシャル・ペーパー発行枠を確保することにより、充分な流動性を確保しております。
なお、資金調達に係るリスクについては、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載しております。
2)経営目標の達成状況
「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (3)対処すべき課題」に記載しておりますとおり、「2017~2021年度 中期経営計画」は2020年度をもって終了し、今年度を「グループビジョンの実現に向け、新たな成長戦略を始動していくための年度」と位置づけ、次年度からの新中期経営計画スタートにグループ一丸となり取り組んでまいります。
したがいまして、本中期経営計画最終年度である2021年度において掲げておりました経営数値目標の達成状況は記載を省略いたします。
経営成績等の状況の概要に係る主要な項目における差異に関する情報
IFRSにより作成した連結財務諸表における主要な項目と連結財務諸表規則(第7章及び第8章を除く。以下「日本基準」という。)により作成した場合の連結財務諸表におけるこれらに相当する項目との差異に関する事項は、以下のとおりであります。
(表示組替)
日本基準では、営業外収益、営業外費用、特別利益及び特別損失に表示していた項目を、IFRSでは金融収益又は金融費用、その他の営業収益及びその他の営業収費用等に表示しております。
(売上収益の純額表示に関する事項)
当社グループにおいては、取引の当事者として提供される財又はサービス自体の付加価値を高める機能を有し、取引に係る重要なリスクを負担している取引以外の取引について、日本基準では、売上高を計上し関連する売上原価を総額で認識しておりますが、IFRSでは、対象となる取引が他社の代理人であると判断されるため、売上収益を純額で認識しております。
この影響により、当連結会計年度にて、IFRSでは日本基準に比べて、売上収益が6,530億33百万円減少しております。
① 当期の経営成績
当連結会計年度の日本経済は、海外経済の減速や自然災害などの影響から、輸出・生産が伸び悩み、設備投資や国内需要の減少など景気回復が鈍化するなか、年度終盤において企業の生産や設備投資、消費など内外経済の不確実性が急速に高まり、不安定な状況となりました。個人消費は、雇用・所得環境は堅調に推移したものの、消費税率引き上げに伴う消費低迷の長期化などにより力強さを欠いたことに加え、新型コロナウイルス感染症の影響により、インバウンド消費、国内消費ともに落ち込み、年度終盤において悪化いたしました。
このような状況のなか、当社グループは、グループビジョンの実現、事業ポートフォリオの変革に向けた「2017~2021年度 中期経営計画」の3年目の取り組みとして、以下5つの成長戦略及び基盤強化戦略に取り組みました。とりわけ今年度は、新たな百貨店ビジネスモデルを具現化した「大丸心斎橋店本館」、次世代型商業空間を創造する「渋谷パルコ」の大型再開発プロジェクトを完成させました。
当社グループを取り巻く経営環境は大きな変化に直面しており、当社とパルコの企業価値・ブランド価値のさらなる向上には、日々変化する消費者ニーズを的確に捉えていくことが求められます。今後、当社グループとしての抜本的かつ機動的な事業ポートフォリオの変革を、迅速な意思決定のもとスピード感をもって推進するには、両社の連携をさらに深め、経営資源を集中していく必要があることから、パルコ株式の公開買付けおよび株主売渡請求を行い、結果、パルコの完全子会社化を実施いたしました。これらにより、グループシナジーを最大化し、グループビジョン“くらしの「あたらしい幸せ」を発明する。”の実現に向け、グループ構造変革への取り組みを加速させてまいります。
「マルチサービスリテイラー戦略」では、既存事業領域の拡大への取り組みとして、クレジット金融事業において7月にVISAやマスターカードのライセンスを取得し、当社グループ内でのアクワイアリング(加盟店契約)事業の実施に向け、環境整備を進めたほか、2020年秋に導入予定の新ポイントプログラムや付帯サービス等を刷新する既存カードのリニューアルに取り組みました。また、新規事業領域の拡大への取り組みとして、「物やサービスなどを所有ではなく共有する」という価値観が進展するなか、これらのリスクに対応するため、ファッションレンタル事業のマーケット理解と参入への検討を進めました。
「アーバンドミナント戦略」では、GINZA SIX(ギンザ シックス)や上野フロンティアタワーに次ぐ、大型エリア再開発プロジェクトである大丸心斎橋店本館を9月に、渋谷パルコを11月に完成させたほか、京都・上野エリアにビューティー&ヘルスをコンセプトとする商業施設「BINO(ビーノ)」を2店舗オープンさせるなど、基幹店舗を中心とした周辺開発に取り組みました。また、上野・名古屋・神戸エリアで百貨店とパルコの共同プロモーションやエリア活性化イベントを開催したほか、地域の大学と共同で次世代支援や地域振興などに向けて連携するなど、街の魅力度向上に努めました。
「IoT時代におけるICT戦略」では、顧客データをグループの共通資産として統合的に活用し、お客様のライフタイム・バリューの最大化(※)を目指す「ライフタイム・サービスHUB構想」の推進基盤となる統合データベースの構築に取り組みました。あわせて、グループ各社のセキュリティ管理やビジネス戦略のデジタル化に迅速かつ柔軟に対応できるクラウド環境の構築などに取り組みました。(※お客様一人ひとりのライフステージに応じた商品サービスの提供を通じて、顧客との生涯にわたる関係をより強固にし、顧客価値を最大化していくこと)
「既存事業の革新」では、百貨店事業では、大丸心斎橋店本館において従来の百貨店にはない斬新なフロア構成により、成長性と収益性を兼ね備えた新たな百貨店ビジネスモデルを具現化させるとともに、マーケット変化に対応した新たな売場開発を各店において推進しました。また、下関大丸、大丸芦屋店をはじめ地方・郊外店舗の構造改革を着実に推進しました。創業50周年を迎えたパルコでは、体験型コンテンツの拡充やファッションの再提案、ICTを活用した未来型の売場づくりなど、パルコブランドの新たな魅力を表現した次世代型商業施設「新生・渋谷パルコ」を開業させました。また、錦糸町パルコ、サンエー浦添西海岸 PARCO CITY、川崎ゼロゲートを開業するなど多様な業態開発を着実に推進しました。
「ESGへの取り組み」では、「低炭素社会への貢献」など5つの重要課題の解決に向けた全社的な取り組みを推進しました。ESG推進のフラッグシップ店舗である大丸心斎橋店本館では、館内で使用する全ての電力を再生可能エネルギーに切り替えたほか、大丸松坂屋百貨店では、2019年に策定した「JFRお取引先様行動原則」について、ESG活動の協同推進に向けたお取引先様への説明会を初開催いたしました。これらの取り組みの結果、気候変動調査など外部機関によるESGに係る認定や評価が向上しました。(ESG:環境(Environment)、社会(Social)、ガバナンス(Governance))
グループ人事改革においては、持続的な成長実現に向けた人財開発企業を目指し、新たな価値を生み出す“人財力”を基軸とする人財マネジメントの再構築を図るため、創造と挑戦を引き出す人事制度改正を推進したほか、専門人財の採用、またシニア活躍の観点から各社において65歳への定年延長を推進しました。
グループ財務戦略においては、資本効率の高い経営体質の構築を目指すB/S視点の経営管理の推進による資産効率の向上に取り組みましたほか、国際会計基準(IFRS)に基づく新リース会計基準に着実に対応いたしました。また、投資家の皆様との対話機会の充実を目的に「事業戦略説明会」を初開催いたしました。
グループ業務システム革新においては、情報セキュリティの強化や、RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)の拡大によるグループ後方業務を中心とした業務自動化の推進、生産性向上に向けたビジネスツールの導入など、経営効率の向上に努めました。
以上のような諸施策に取り組みました結果、当期の連結業績は、消費税率引き上げによる消費低迷の長期化や自然災害・暖冬影響に加え、新型コロナウイルス感染症の影響等がありましたものの、売上収益は渋谷再開発における保留床売却等により前年に比べ4.5%増の4,806億21百万円となりましたが、営業利益は1.5%減の402億86百万円、税引前利益は11.8%減の371億61百万円、親会社の所有者に帰属する当期利益は22.3%減の212億51百万円となりました。また、親会社所有者帰属持分当期利益率(ROE)は5.4%(対前年1.4pt減)、親会社所有者帰属持分比率は31.2%(同8.9pt減)となりました。
なお期末配当金につきましては、1株あたり18円とさせていただきました。この結果、中間配当金18円と合わせた年間配当金は1株につき36円となり、9年連続の増配となりました。
セグメント業績
<百貨店事業>9月に建て替えオープンした大丸心斎橋店本館は、強みである富裕層や訪日外国人客への対応を強化しながら、“生活を積極的に楽しむすべてのお客様”をターゲットに、世界と未来に向け進化する百貨店へと生まれ変わりました。
新顧客戦略の展開では、顧客基盤の拡大に向け、5月末に「大丸・松坂屋アプリ」を展開いたしました。また、拡大する富裕層マーケットに対応するため、新規口座開拓に継続して取り組むとともに、新たな外商ビジネスモデルの展開に向け、ICTを活用した業務支援システムの整備や新たな組織体制の構築に取り組みました。
以上のような諸施策に取り組みましたものの、自然災害の発生に伴う営業時間短縮や休業、消費税率引き上げによる消費低迷に加え、新型コロナウイルス感染症の影響などから、前年に比べ売上収益は4.2%減の2,637億48百万円、営業利益は27.2%減の176億25百万円となりました。
<パルコ事業>新しい消費体験・価値観を提供する唯一無二の次世代型商業施設として新生・渋谷パルコを11月に開業いたしました。また、リノベーション型の開発物件である「錦糸町パルコ(3月)」、株式会社サンエーとの共同事業による「サンエー浦添西海岸 PARCO CITY(6月)」、「川崎ゼロゲート(8月)」を開業し、多様な業態開発手法に基づく不動産開発を推進いたしました。パルコ店舗では、デジタル環境の進化や消費志向の変化を捉え、優待方法を割引からポイントサービスに変更するなど、顧客起点でのビジネスモデル変革を進める体制を整え、新たなテナント開発や顧客接点拡大・満足度向上に向けたコミュニケーション強化に取り組みました。
以上のような諸施策に取り組みました結果、一部のパルコ既存店舗や事業などが苦戦したものの、新たに開業した錦糸町パルコや新生・渋谷パルコなどの貢献、渋谷再開発における保留床売却等により、前年に比べ売上収益は24.7%増の1,122億12百万円、営業利益は前年度において店舗営業終了に伴う損失やその他店舗の減損損失などを計上した反動もあり、98.7%増の108億23百万円となりました。
<不動産事業>アーバンドミナント戦略における重点エリア(上野、名古屋、京都、心斎橋、神戸)を中心に、賃貸床面積の拡大による不動産賃貸事業の強化に取り組みました。具体的には、京都烏丸エリアに「BINO東洞院(4月)」を、松坂屋上野店第二別館跡地に「BINO御徒町(12月)」を新たにオープンしたほか、心斎橋エリアで「DAIMARU WHITE AVENUE(大丸 ホワイトアベニュー)」を改装(11月)するなど、周辺店舗開発を着実に推進しました。
以上のような諸施策への取り組みや、2017年度に開業したGINZA SIXが堅調に推移したことなどにより、前年に比べ売上収益は4.7%増の177億93百万円となりました。営業利益は2020年秋に開業予定の大丸心斎橋店北館への投資が先行した一方、固定資産の売却等により、44.2%増の67億25百万円となりました。
<クレジット金融事業>外部加盟店における取扱高の拡大やショッピングリボ、分割払いなどの利用促進により、加盟店手数料収入、割賦販売利息収入等が増加し、前年に比べ売上収益は1.4%増の107億19百万円となりました。営業利益は、決済・金融サービスを基軸とする中長期の成長実現に向けた人財採用、組織強化などにより費用が増加しましたことから、19.1%減の19億8百万円となりました。
<その他>人材派遣事業のディンプルは派遣事業が苦戦し、また卸売事業の大丸興業では電子デバイス部門の不調により減収減益となりましたが、建装事業のJ.フロント建装がホテルやラグジュアリーブランドなど内装工事の受注拡大に加え、大丸心斎橋店本館の改装工事などの受注増により大幅増収増益となりましたことから、前年に比べ売上収益は18.2%増の1,232億75百万円、営業利益は34.0%増の47億円となりました。
② 財政状態
当連結会計年度末の資産合計は1兆2,403億8百万円となり、前連結会計年度末に比べ
2,107億35百万円増加いたしました。これは主にIFRS第16号「リース」の適用による使用権資産の増加などによるものです。一方、負債合計は8,406億27百万円となり、前連結会計年度末に比べ2,795億40百万円増加いたしました。なお、有利子負債残高は4,787億73百万円となり、前連結会計年度末に比べ3,043億95百万円増加いたしました。これは主にIFRS第16号「リース」の適用によるリース負債の増加などによるものです。
資本合計は、3,996億81百万円となり、前連結会計年度末に比べ688億4百万円減少いたしました。これは主にパルコ株式追加取得による資本剰余金及び非支配持分の減少などによるものです。
③ キャッシュ・フロー
当連結会計年度末における「現金及び現金同等物」の残高は、前連結会計年度末に比べ89億74百万円増の346億33百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
「営業活動によるキャッシュ・フロー」は733億58百万円の収入となりました。前連結会計年度との比較では、使用権資産の増加にかかる減価償却費及び償却費の調整や棚卸資産の減少などにより384億88百万円の収入増となりました。
「投資活動によるキャッシュ・フロー」は495億59百万円の支出となりました。前連結会計年度との比較では、投資有価証券の取得による支出の増加などにより227億23百万円の支出増となりました。
「財務活動によるキャッシュ・フロー」は148億29百万円の支出となりました。前連結会計年度との比較では、パルコ株式追加取得による支出やリース負債の返済額の計上があったものの、社債の発行などの資金調達により64億45百万円の支出減となりました。
④ 生産、受注及び販売の実績
1)生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 | 生産高(百万円) | 前年同期比(%) |
その他 | 894 | 123.8 |
(注)1 上記金額には、消費税等は含まれておりません。
2 上記以外のセグメントについては該当事項はありません。
2)受注実績
当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 | 受注高(百万円) | 前年同期比(%) |
その他 | 59,694 | 164.5 |
(注)1 上記金額には、消費税等は含まれておりません。
2 上記以外のセグメントについては該当事項はありません。
3)販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 | 内訳 | 販売高(百万円) | 前年同期比(%) |
百貨店事業 | 大丸松坂屋百貨店 | 236,235 | 96.0 |
博多大丸 | 18,638 | 94.4 | |
下関大丸 | 4,327 | 92.5 | |
高知大丸 | 4,547 | 94.0 | |
計 | 263,748 | 95.8 | |
パルコ事業 | ショッピングセンター事業 | 73,186 | 145.5 |
専門店事業 | 17,885 | 90.5 | |
総合空間事業 | 14,431 | 101.9 | |
その他事業 | 6,709 | 116.9 | |
計 | 112,212 | 124.7 | |
不動産事業 | 不動産賃貸業・テナント業 | 17,793 | 104.7 |
クレジット金融事業 | クレジットカードの発行及び運営等 | 10,719 | 101.4 |
その他 | 卸売業 | 30,073 | 90.9 |
建装工事請負・家具製造販売業 | 44,752 | 158.8 | |
人材派遣業 | 22,195 | 97.6 | |
その他 | 26,253 | 129.6 | |
計 | 123,275 | 118.2 | |
調整額 | △47,128 | - | |
合計 | 480,621 | 104.5 |
(注)1 セグメント間の取引については、「調整額」欄で調整しております。
2 販売高は、売上収益を記載しております。
3 上記金額には、消費税等は含まれておりません。
(2) 経営者の視点による経営成績の状況に関する分析・検討内容
当社グループに関する財政状態及び経営成績の分析・検討内容は、原則として連結財務諸表に基づいて分析した内容であります。
文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
①重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、国際会計基準に基づいて作成しております。この連結財務諸表の作成にあたって、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要とします。経営者は、これらの見積りについて、過去の実績や現状を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。
当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 連結財務諸表注記 3.重要な会計方針」に記載しております。
②当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
1)経営成績等
a)売上収益
売上収益は、百貨店事業は減収となりましたものの、パルコ事業、不動産事業、クレジット金融事業が増収となったことや建装事業が好調だったこともあり、前連結会計年度に比べ207億81百万円増の4,806億21百万円となりました。
b)営業利益
営業利益は、前連結会計年度に比べ6億5百万円減の402億86百万円となりました。
c)税引前利益
税引前利益は、前連結会計年度に比べ49億65百万円減の371億61百万円となりました。
d)親会社の所有者に帰属する当期利益
親会社の所有者に帰属する当期利益は、前連結会計年度に比べ61億7百万円減の212億51百万円となりました。
e)キャッシュ・フロー
当社グループは、事業活動のための適切な資金確保、流動性の維持並びに健全な財政状況を目指し、安定的な営業キャッシュ・フローの創出、幅広い資金調達手段の確保に努めております。
また、当社グループの成長を維持するために将来必要な運転資金及び設備投資、投融資資金は、主に手許資金と営業活動によるキャッシュ・フローに加え、社債の発行及び金融機関からの借入などにより調達しております。
「営業活動によるキャッシュ・フロー」は733億58百万円の収入となりました。一方、「投資活動によるキャッシュ・フロー」は495億59百万円の支出、「財務活動によるキャッシュ・フロー」は148億29百万円の支出となりました。
この結果、当連結会計年度末における「現金及び現金同等物」は、前連結会計年度末に比べ89億74百万円増の346億33百万円となりました。
今後も、利益水準やキャッシュ・フローの動向等を考慮し、適切な利益配分や設備投資を行っていく予定であります。
f)財政状態
当連結会計年度の資産合計は1兆2,403億8百万円となり、IFRS第16号「リース」の適用による大丸松坂屋百貨店やパルコにおける使用権資産の増加などにより前連結会計年度末に比べ2,107億35百万円増加いたしました。一方、負債合計は8,406億27百万円となり、前連結会計年度末に比べ2,795億40百万円増加いたしました。なお、有利子負債残高は4,787億73百万円となり、IFRS第16号「リース」の適用によるリース負債の増加などにより前連結会計年度末に比べ3,043億95百万円増加いたしました。
資本合計は3,996億81百万円となり、前連結会計年度末に比べ688億4百万円減少いたしました。
これらの結果、資産合計営業利益率(ROA)は、3.2%、親会社所有者帰属持分当期利益率(ROE)は、5.4%、親会社所有者帰属持分比率は、31.2%となりました。
(資本の財源及び資金の流動性)
当社グループは、事業活動に必要となる資金は、自ら創出した資金でまかなうことを基本方針としております。そのうえで、事業投資等で必要資金が生じる場合には、財務の健全性維持を勘案し、主として社債の発行及び金融機関からの借入などにより資金調達を行っております。
グループ子会社については原則として金融機関からの資金調達を行わず、キャッシュ・マネジメントシステムを利用したグループ内ファイナンスにより、資金調達の一元化と資金効率化を推進しております。
また、適切な現預金残高を維持することに加え、一時的な資金不足に備え、主要取引銀行とのコミットメントライン契約及び当座借越契約、並びにコマーシャル・ペーパー発行枠を確保することにより、充分な流動性を確保しております。
なお、資金調達に係るリスクについては、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載しております。
2)経営目標の達成状況
「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (3)対処すべき課題」に記載しておりますとおり、「2017~2021年度 中期経営計画」は2020年度をもって終了し、今年度を「グループビジョンの実現に向け、新たな成長戦略を始動していくための年度」と位置づけ、次年度からの新中期経営計画スタートにグループ一丸となり取り組んでまいります。
したがいまして、本中期経営計画最終年度である2021年度において掲げておりました経営数値目標の達成状況は記載を省略いたします。
経営成績等の状況の概要に係る主要な項目における差異に関する情報
IFRSにより作成した連結財務諸表における主要な項目と連結財務諸表規則(第7章及び第8章を除く。以下「日本基準」という。)により作成した場合の連結財務諸表におけるこれらに相当する項目との差異に関する事項は、以下のとおりであります。
(表示組替)
日本基準では、営業外収益、営業外費用、特別利益及び特別損失に表示していた項目を、IFRSでは金融収益又は金融費用、その他の営業収益及びその他の営業収費用等に表示しております。
(売上収益の純額表示に関する事項)
当社グループにおいては、取引の当事者として提供される財又はサービス自体の付加価値を高める機能を有し、取引に係る重要なリスクを負担している取引以外の取引について、日本基準では、売上高を計上し関連する売上原価を総額で認識しておりますが、IFRSでは、対象となる取引が他社の代理人であると判断されるため、売上収益を純額で認識しております。
この影響により、当連結会計年度にて、IFRSでは日本基準に比べて、売上収益が6,530億33百万円減少しております。