四半期報告書-第14期第2四半期(令和2年6月1日-令和2年8月31日)

【提出】
2020/10/14 10:51
【資料】
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【項目】
18項目
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において判断したものであります。
(1)経営成績の分析
当第2四半期連結累計期間(2020年3月1日〜2020年8月31日)の日本経済は、新型コロナウイルス感染症拡大の影響を大きく受ける結果となりました。2020年4~6月の国内総生産(GDP)は前期比年率28.1%減(内閣府2次速報)であり、現行基準となった1980年以降で最悪の落ち込みとなりました。また、個人消費に関しましても、4~6月の家計最終消費支出が対前年同期比11.3%減と過去最悪の落ち込みとなりました。現状緊急事態宣言下の最悪の状態は脱したと見ておりますが、先行きが不透明な状況が続いております。
小売業界におきましても、商業動態統計(速報)によると、2020年7月の小売業販売額は、2.8%減と5ヵ月連続のマイナスとなっており、依然として厳しい状況が続いております。
当社グループの中核事業である百貨店事業及びパルコ事業におきましては、新型コロナウイルス感染症拡大の影響により、インバウンド消費が消滅したこと、及び4月の緊急事態宣言により店舗の営業自粛を余儀なくされたことなどにより、業績に大きな影響を及ぼす形となりました。
営業再開に関しましては、3密を回避した売場づくり、入店時の検温の実施など、お客様と従業員の安心安全への配慮と徹底した衛生管理のもと、新しい生活様式における新たな販売方法として、百貨店事業では北海道物産ライブショッピングや特選ブランドのオンライン接客、パルコ事業ではオンライン展覧会の実施や中国向けのライブコマースに取り組んでまいりました。しかしながら、7月8月と再び感染者が増加した影響もあり、消費マインドは回復せず、業績の回復には到りませんでした。
財務面に関しましては、投資の抑制やさらなるコスト削減に取り組むとともに、財務安定性、流動性を確保するため、手許資金の積上げや資金調達枠の増額などの対策を講じました。
またパルコ完全子会社化の政策の一環として、不動産事業のパルコへの一元化へ向けた準備を推し進めてまいりました。このような状況の中、2020年11月には心斎橋パルコが開業いたします。2019年9月にリニューアルオープンした大丸心斎橋店本館との一体運営となり、心斎橋エリアでの「アーバンドミナント戦略」の具現化を推進してまいります。
以上のような厳しい環境下、当社グループは、第2四半期連結会計期間(6~8月)で黒字を確保することができましたが、営業自粛期間の影響が大きく、当第2四半期連結累計期間の連結業績は、前年同四半期に比べ売上収益は34.7%減の1,474億71百万円、営業損失は206億37百万円(前第2四半期連結累計期間は営業利益251億75百万円)、税引前四半期損失は227億60百万円(前第2四半期連結累計期間は税引前四半期利益239億60百万円)、親会社の所有者に帰属する四半期損失は163億11百万円(前第2四半期連結累計期間は親会社の所有者に帰属する四半期利益143億67百万円)となりました。
セグメントの業績は、以下のとおりであります。
<百貨店事業>緊急事態宣言の解除を受けた営業再開後、消費マインドは6月から7月にかけて緩やかに回復いたしました。8月には感染者増大により回復のペースが一旦は足踏み状態となりましたが、その後は再び持ち直しの動きが見られます。
一方で、消費者の在宅での購買意欲の高まりを受けて、ECやライブコマースの強化に取り組んでまいりました。
地方・郊外店対策の一環として、開業40周年を迎えた大丸須磨店は、新ストアコンセプト「須磨の暮らしの真ん中に。『地域共生百貨店』」のもと、初めての大規模改装(第1期)を実施いたしました。大丸芦屋店も全館リニューアルを実施し、『この街の毎日がここにある、芦屋マルシェの提案』をコンセプトに、芦屋の街に相応しい上質な空間と品揃えの地域密着型のコンパクト百貨店に生まれ変わりました。
また、大丸松坂屋百貨店に吸収合併されると同時に屋号を変更した大丸下関店におきましては、18年ぶりとなる全館リニューアルを実施し、「観光客・地元3世代が共に楽しめる、『美・食・遊』に満ちたお店」を目指して、従来の百貨店ビジネスモデルに加えて定期賃貸借契約を大胆に活用し、ハイブリッドな事業構造に転換いたしました。
以上のような諸施策に取り組みましたが、前年同四半期に比べ売上収益は46.9%減の701億2百万円、減損損失の計上もあり営業損失は213億57百万円(前第2四半期連結累計期間は営業利益105億80百万円)となりました。
<パルコ事業>新型コロナウイルス感染症の拡大により、パルコ店舗の休業や時間短縮営業・出店テナントの条件緩和施策の実施、エンタテインメント施設の営業休止、専門店事業の店舗休業や内装工事の設計及び施工等を行う総合空間事業の受託減少などの影響を受けました。緊急事態宣言解除後の営業再開以降、パルコ店舗では自宅での生活を充実させる巣ごもりアイテム(インテリア・家電・書籍等)の営業強化、エンタテインメント施設でのオンライン配信などの諸施策に取り組みましたが、前年同四半期に比べ売上収益は31.1%減の301億15百万円、営業損失は26億4百万円(前第2四半期連結累計期間は営業利益58億65百万円)となりました。
<不動産事業>エリアの魅力を最大化し、地域とともに成長する「アーバンドミナント戦略」の一環として、2020年11月6日に開業する名古屋の「BINO栄(ビーノサカエ)」オープンに向けた準備を行うとともに、重点エリアである上野、名古屋栄、京都、心斎橋、神戸において新規不動産開発を推進いたしました。
また、パルコの完全子会社化に伴い、不動産事業のパルコへの一元化に向けた物件の移管などの諸手続きを行い、不動産機能の集約化をはかりました。
以上のような諸施策に取り組みましたが、新型コロナウイルス感染症の拡大に伴い、GINZA SIXを含めた多くの施設において賃料の減免対応等を行った影響もあり、前年同四半期に比べ売上収益は22.7%減の68億15百万円、営業利益は71.5%減の16億34百万円となりました。
<クレジット金融事業>新型コロナウイルス感染症の拡大に伴う臨時休業や営業時間の短縮により、大丸松坂屋百貨店や外部加盟店でのカード取扱高及び加盟店手数料等が減少した結果、前年同四半期に比べ売上収益は11.7%減の45億93百万円となりました。また、将来への投資として、カードリニューアル関係の費用が発生し、営業利益は58.3%減の4億53百万円となりました。
(2)財政状態の分析
当第2四半期連結会計期間末の資産合計は1兆2,842億17百万円となり、前連結会計年度末に比べ439億9百万円増加いたしました。一方、負債合計は9,062億16百万円となり、前連結会計年度末に比べ655億89百万円増加いたしました。資本合計は3,780億円となり、前連結会計年度末に比べ216億81百万円減少いたしました。
(3)キャッシュ・フローの状況
当第2四半期連結会計期間末における「現金及び現金同等物」の残高は、前連結会計年度末に比べ897億44百万円増の1,243億77百万円となりました。これは財務安定性確保のため、手許資金を積上げたことによるものであります。
当第2四半期連結累計期間における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
① 営業活動によるキャッシュ・フロー
営業活動によるキャッシュ・フローは197億58百万円の収入となりました。前第2四半期連結累計期間との比較では、税引前四半期損失となったことなどにより230億12百万円の収入減となりました。
② 投資活動によるキャッシュ・フロー
投資活動によるキャッシュ・フローは113億58百万円の支出となりました。前第2四半期連結累計期間との比較では、前年の投資不動産の売却による収入の反動や投資有価証券の売却による収入の減少もあり60億69百万円の支出増となりました。
③ 財務活動によるキャッシュ・フロー
財務活動によるキャッシュ・フローは813億55百万円の収入となりました。前第2四半期連結累計期間との比較では、コマーシャル・ペーパーの発行及び借入金の増加などにより834億77百万円の収入増となりました。
(4)事業上及び財務上の対処すべき課題
当第2四半期連結累計期間において、当社グループの事業上及び財務上の対処すべき課題に重要な変更及び新たに生じた課題はありません。
なお、当社は株式会社の支配に関する基本方針について定めており、その内容は次のとおりであります。
① 基本方針の内容
当社は、当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者は、当社グループの財務及び事業の内容や当社グループの企業価値の源泉を十分に理解し、当社グループの企業価値ひいては株主共同の利益を継続的かつ持続的に確保し、これを向上していくことを可能とする者であることが必要であるものと考えております。
当社は、当社が上場会社であることから、当社の株主のあり方については、一般的には金融商品取引所における自由な市場取引を通じて決まるものであり、特定の株主または特定の株主グループによって当社株式の一定規模以上の取得行為(以下「大量取得行為」といいます。)が行われる場合であっても、当該大量取得行為が当社グループの企業価値ひいては株主共同の利益に資するものであれば、一概にこれを否定するものではなく、これに応じるか否かについては、最終的には株主の皆さまのご判断に委ねられるべきものと考えております。
しかしながら、大量取得行為の中には、その目的等からして当社グループの企業価値に対する明白な侵害をもたらすもの、株主の皆さまに当社株式の売却を事実上強要するおそれがあるもの、当社取締役会や株主の皆さまが大量取得者の提案内容等について検討し、または当社取締役会が代替案を提案するための十分な時間や情報を提供しないものなど、当社グループの企業価値を毀損する重大なおそれをもたらすものも想定されます。
このような当社グループの企業価値ひいては株主共同の利益に資さない大量取得行為を行う者(以下「大量取得者」といいます。)は、当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者としては不適切であり、当社は、このような大量取得行為に対しては、大量取得者による情報提供並びに当社取締役会による検討及び評価といったプロセスを確保するとともに、当社グループの企業価値ひいては株主共同の利益の毀損を防止するため、当社取締役会及び株主の皆さまが大量取得者の提案内容を検討するための十分な時間を確保することこそが、株主の皆さまから当社経営の負託を受けた当社取締役会の責務であると考えております。
② 基本方針の実現に資する取り組み
当社グループは、大丸・松坂屋の創業以来、その企業理念、伝統精神である「先義後利(義を先にして利を後にする者は栄える)」、「諸悪莫作 衆善奉行(諸悪をなすなかれ、多くの善行を行え)」、「人の利するところにおいて、われも利する」に基づき、永年にわたって呉服商、百貨店業を営んでまいりました。
当社は、当社グループの企業価値の源泉は、これらの理念、精神に基づくことにより築き上げられてきた、お客様及び社会との信頼関係にあるものと考えております。
そこで、当社は、これらの理念、精神に共通する「お客様第一主義」、「社会への貢献」を体現するため、当社グループの基本理念として「時代の変化に即応した高質な商品・サービスを提供し、お客様の期待を超えるご満足の実現を目指す」、「公正で信頼される企業として、広く社会への貢献を通じてグループの発展を目指す」ことを掲げ、この基本理念に基づき、当社グループの企業価値ひいては株主共同の利益の確保及び向上に資するため、当社グループのビジョンとして“くらしの「あたらしい幸せ」を発明する。”を掲げ、さまざまな施策に取り組んでおります。
③ 基本方針に照らして不適切な者によって当社の財務及び事業の方針の決定が支配されることを防止するための取り組み
当社は、現在のところ、大量取得者が出現した場合の具体的な取り組み、いわゆる買収防衛策について特にこれを定めてはおりません。
しかしながら、大量取得者が出現した場合には、当社グループの企業価値の毀損を防止するため、大量取得者の属性、大量取得行為の目的、大量取得者が提案する財務及び事業の方針、株主の皆さま及び当社グループのお客様・お取引先様・従業員・当社グループを取り巻く地域社会その他のステークホルダーに対する対応方針など、大量取得者に関するこれらの情報を把握した上で、当該大量取得行為が当社グループの企業価値に及ぼす影響を慎重に検討する必要があるものと考えます。
したがって、このような場合には、当社は、当社社内取締役から独立した立場にある社外取締役及び有識者をメンバーとする独立委員会を設置し、その勧告意見を踏まえた上で、当該大量取得者が前記の基本方針に照らして不適切な者であると判断されるときは、必要かつ相当な対応を講じることにより、当社グループの企業価値ひいては株主共同の利益を確保する所存であります。
④ 具体的な取り組みに対する当社取締役会の判断及びその理由
当社グループで策定するさまざまな施策は、当社グループの基本理念に基づいて策定されており、当社グループの企業価値の源泉であるお客様及び社会との信頼関係のさらなる構築を目指すものであります。したがって、これらの施策は、基本方針の内容に沿うものであり、当社グループの企業価値ひいては株主共同の利益の確保・向上に資するものであると考えております。
また、基本方針に照らして不適切な者であると判断される大量取得者に対して必要かつ相当な対応を講じることについては、当社社内取締役からの独立性が確保されている独立委員会の勧告意見を踏まえて判断することにより、その判断の公正性・中立性・合理性が担保されており、当社グループの企業価値・株主共同の利益を損なうものではないとともに、当社の会社役員の地位の維持をその目的とするものではないと考えております。
(5)研究開発活動
特記事項はありません。