有価証券報告書-第18期(2024/03/01-2025/02/28)
(1)財政状態及び経営成績の状況
① 当期の経営成績
当連結会計年度の日本経済は、住宅投資など一部に弱めの動きが見られたものの、企業収益の改善傾向を背景に設備投資が堅調に推移し、また訪日外国人消費が拡大するなど、総じて緩やかな回復を見せました。
個人消費について、雇用・所得環境は改善基調が続いたものの、消費者物価の上昇などにより消費マインドの改善に足踏みが見られるなど不安定な状況が続きました。
こうしたなか、当社は新たな経営体制の下、2030年を見据えた中期経営計画(2024‐2026年度)をスタートさせました。
当社はグループビジョン“くらしの「あたらしい幸せ」を発明する。”の実現に向け、事業を通じて環境・社会課題の解決を図る「サステナビリティ経営」を基軸に、企業活動を推進しています。昨年春には、当社が重要視する経営環境の変化や当社の強みを踏まえ、当社が2030年に目指す姿として「リテール事業を中心に、3つの共創価値を提供し続ける“価値共創リテーラー”への変革」を掲げました。
本中期経営計画は、2030年に目指す姿の実現、中長期の成長を確かなものとする「変革期」と位置づけ、重点戦略として百貨店事業・SC事業など「リテール事業の深化」、飛躍的成長に向けた「グループシナジーの進化」、これらの戦略の実効性を高める「グループ経営基盤の強化」に集中して取り組んでいます。
「リテール事業の深化」では、顧客接点の魅力化、競争優位性のさらなる向上に向け、主に、百貨店事業では既存顧客の深耕や次世代顧客の獲得に向け、松坂屋名古屋店の改装に着手し、2024年11月よりフロアごとに順次、リニューアルオープンしました。また大丸梅田店は、開業以来初となる大規模リニューアルを他社連携で推進することを決定しました。
SC事業では、東海エリア随一のファッションとエンタテインメント集積をテーマに名古屋PARCOをリニューアルし、有力ファッションブランドを導入するとともに、ポップカルチャーショップを拡大しました。また、パルコの強みであるアニメやサブカルチャーの分野において、高質・高揚消費層へのコンテンツ拡充を推進するため、人気漫画のライセンスを活用した事業開発に取り組みました。
顧客層拡大への取り組みでは、アプリ会員の拡大に取り組んだほか、アプリの改修によりメディア機能の強化を図りました。また海外顧客層への対応強化に向け、百貨店事業において訪日外国人客を対象としたコミュニケーション基盤を新たに構築したほか、国内外企業との提携による相互送客に取り組みました。
「グループシナジーの進化」では、重点7エリアを中心とするエリアシナジーの最大化に向け、主に、名古屋栄エリアでは店舗リニューアルとともに、デベロッパー事業において2026年開業予定の「ザ・ランドマーク名古屋栄」の開発計画を推進しました。心斎橋エリアでは2026年開業予定の「(仮称)心斎橋プロジェクト」の開発を進めたほか、新たに、大丸心斎橋店南館を保有する株式会社心斎橋共同センタービルディングの子会社化、心斎橋ビル(旧関西アーバン銀行本社)を取得する特定目的会社への出資を決定しました。また、福岡天神エリアにおいて他社連携による再開発計画を推進しました。
内装事業及びビルマネジメント事業の再編強化に向けた方針に基づき、2024年9月にグループ内のビルマネジメント事業を、株式会社パルコスペースシステムズに統合しました。
決済・金融事業では、グループ顧客基盤の拡大に向け、自社カード発行業務のグループ内集約を進めており、2024年4月より新GINZA SIXカード、2025年2月より新PARCOカードの発行を開始しました。
この他、今後拡大が予測されるリユース市場への参入による顧客接点の拡大と新たな価値提供に向け、2024年11月に株式会社コメ兵と合弁会社設立に関する契約を締結しました。また、各地域が抱える事業承継課題の解決や地域社会への貢献、魅力ある地域コンテンツの発掘を目的に、外部パートナーと共同で事業承継ファンドを設立し、第1号案件への投資を実行しました。
「グループ経営基盤の強化」として、人財戦略では、価値共創リテーラーへの変革実現、経営戦略と一体となった新たなグループ人財戦略の推進に向け、グループ共通の「人財マネジメントポリシー」を制定し、人財戦略の実行を加速するための体制強化を図りました。
システム戦略では、経営管理の高度化と業務の効率化を図るグループ共通の会計システムの各社への導入を進めたほか、社内外コミュニケーションの活性化を促すグループウェアの統合などに取り組みました。また、「グループシステムフィロソフィー」を新たに制定しました。
コーポレートガバナンスに関しては、従来の法定3委員会の委員長に加え、取締役会議長を独立社外取締役が担う体制に変更し、監督機能を更に強化しました。
財務戦略では、ROIC経営の社内浸透に向け事業会社と連携して取り組みを進めたほか、中長期的な資本収益性の向上や自己資本の適正化、株主還元の強化を目的に、連結配当性向40%以上の配当(段階取得に係る差益を除く)と総額100億円の自社株取得を実施しました。
以上のような諸施策に取り組みました結果、当期の連結業績について各利益段階で経営統合以降、過去最高益となり、中期経営計画最終年度(2026年度)の利益目標を達成しました。
具体的には、売上収益は441,877百万円(対前年8.6%増)となりました。事業利益は売上収益の増加に加え、戦略的支出の一方で経費の節減に努めた結果、53,490百万円(対前年20.7%増)となりました。営業利益は一部店舗で減損損失を計上する一方、主に段階取得に係る差益の計上などにより58,199百万円(対前年35.2%増)、税引前利益は55,785百万円(対前年34.9%増)、親会社の所有者に帰属する当期利益は41,424百万円(対前年38.5%増)と大幅増益となりました。
セグメントの業績は、以下のとおりです。
事業管理区分の見直しにより、株式会社パルコデジタルマーケティングを2024年3月1日付で
「デベロッパー事業」から「SC事業」に移管しています。また、2024年9月1日付のグループ
内組織再編に伴い、株式会社J.フロントONEパートナー(旧:株式会社JFRサービス)の運営事業の一部を株式会社パルコスペースシステムズ他へ移管しました。これらに伴い、前連結会計年度の期首(2023年3月1日)より移管されたものとみなし、遡及修正しています。
セグメント業績
<百貨店事業>
主に、高質・高揚消費層へのコンテンツの拡充に向けた改装効果や、訪日外国人観光客による売上の伸長などにより、売上高は大幅な増収となりました。
店舗別では、インバウンド売上が好調な大丸心斎橋店・京都店に加え、戦略改装を実施してきた大丸神戸店・札幌店、またターミナル店舗の大丸東京店など、主要店舗の好調が業績を牽引しました。
重点戦略に基づき、松坂屋名古屋店では大規模改装を推進しており、昨年11月より順次オープンを迎えています。今回のリニューアルはリアル店舗ならではの「体験価値の向上」、「次世代顧客の獲得」に向け、ラグジュアリーブランドの拡充に加え、ファッション・アート・お酒・美や健康など、次世代のマーケットニーズを捉えたコンテンツを拡充しました。大丸梅田店では同店が入居する「サウスゲートビルディング」の大規模リニューアル計画を他社と共同で発表しました。
このほか、お客様との強固な関係性を構築すべく、大丸・松坂屋アプリを改修するなど、メディア機能の強化を図りました。
以上のような諸施策に取り組みました結果、売上収益は263,643百万円(対前年10.3%増)の増収となりました。事業利益は33,982百万円(対前年30.2%増)の大幅な増益となりました。
リテール事業の深化に向けてパルコ独自のブランド価値、来店価値の向上を図るため、MZ世代や海外顧客からの支持拡大に向けた戦略改装を実施しました。
名古屋PARCOでは、東海エリア随一の洗練されたファッションと多彩なエンタテインメントをテーマとしたリニューアル、仙台PARCOでは、ファッションやエンタテインメントの強化、広島PARCOではエリア唯一のショップ誘致を目的とした戦略改装を行いました。
また訪日外国人観光客への情報発信強化やアジアを中心とする海外企業との提携など関係強化に取り組み、渋谷PARCO・心斎橋PARCOではインバウンド取扱高が大幅に伸長し業績を牽引しました。
文化事業では、演劇が復調し、音楽は渋谷クアトロが好調、コラボレーションカフェは人気漫画のライセンスを活用した事業開発が奏功しました。
また韓国の大手百貨店「現代(ヒュンダイ)百貨店」と戦略的協業に関する基本合意を4月に締結し、渋谷PARCOでポップアップイベントを開催しMZ世代を中心に新たな顧客層を集客しました。
以上のような諸施策に取り組みました結果、売上収益は64,418百万円(対前年9.7%増)の増収となりました。事業利益は12,745百万円(対前年51.3%増)の大幅な増益となりました。
<デベロッパー事業>
主に、J.フロント都市開発株式会社において保有物件の売却益を計上したほか、株式会社J.フロント建装におけるホテル内装工事の受注増加などが牽引し、増収増益となりました。
重点戦略では、7つの重点エリア開発において、2026年度竣工・開業予定である「ザ・ランドマーク名古屋栄」ならびに「(仮称)心斎橋プロジェクト」を着実に推進しました。また、新たに心斎橋ビルを取得する特定目的会社への出資を決定しました。「(仮称)天神二丁目南ブロック駅前東西街区プロジェクト」では、地区計画及び市街地再開発事業の都市計画決定を踏まえ、グループ横断的に計画を推進してまいります。
このほか、グループのビルマネジメント事業の再編強化に向け、9月に株式会社J.フロントONEパートナー(旧:株式会社JFRサービス)のビルマネジメント事業を株式会社パルコスペースシステムズへ移管しました。
以上のような諸施策に取り組みました結果、売上収益は90,658百万円(対前年11.5%増)の増収となりました。事業利益は8,360百万円(対前年7.4%増)の増益となりました。
<決済・金融事業>
重点戦略の推進では、百貨店事業との協業によるカード会員の拡大及び利用促進を図りました。また、新たな顧客基盤の拡大に向け、グループ内カード集約の取り組みとして、新GINZA SIXカード、新PARCOカードの発行を開始しました。加盟店事業では、重点エリアを中心に外部加盟店を開拓したほか、グループ商業施設のアクワイアリングの拡大に取り組みました。
また、業界課題である不正利用対策の強化に向け、オンラインサービスへの多要素認証導入、ワンタイムパスワード導入等を実施しました。
以上のような諸施策に取り組みました結果、売上収益は取扱高増などにより加盟店手数料が増加した一方、ポイント費の増加などもあり13,135百万円(対前年0.1%増)となりました。販管費は、グループ内カード集約に向けた投資費用や人件費などが増加し、事業利益は1,637百万円(対前年41.0%減)の減益となりました。
② 財政状態
当連結会計年度末の資産合計は1,164,147百万円となり、前連結会計年度末に比べ49,421百万円増加しました。一方、負債合計は740,911百万円となり、前連結会計年度末に比べ20,417百万円増加しました。なお、有利子負債残高(含むリース負債)は、363,578百万円となり、前連結会計年度末に比べ820百万円減少しました。
資本合計は、423,235百万円となり、前連結会計年度末に比べ29,003百万円増加しました。
③ キャッシュ・フロー
当連結会計年度末における「現金及び現金同等物」の残高は、前連結会計年度末(71,342百万円)に比べ16,367百万円減の54,975百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
「営業活動によるキャッシュ・フロー」は85,812百万円の収入となりました。前連結会計年度との比較では、税引前利益が増益となった一方、運転資金等の増加により4,880百万円の収入減となりました。
「投資活動によるキャッシュ・フロー」は28,308百万円の支出となりました。前連結会計年度との比較では、松坂屋名古屋店の改装や心斎橋共同センタービルディング株式を取得したことなどにより41,737百万円の支出増となりました。
「財務活動によるキャッシュ・フロー」は74,001百万円の支出となりました。前連結会計年度との比較では、自己株式を取得したことなどにより1,255百万円の支出増となりました。
④ 生産、受注及び販売の実績
1)生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注)1 請負工事につきましては生産実績を定義することが困難であるため、「生産実績」は記載しておりません。
2 上記以外のセグメントについては該当事項はありません。
2)受注実績
当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注)1 上記以外のセグメントについては該当事項はありません。
3)販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注)1 セグメント間の取引については、「調整額」欄で調整しております。
2 販売高は、売上収益を記載しております。
(2) 経営者の視点による経営成績の状況に関する分析・検討内容
当社グループに関する財政状態及び経営成績の分析・検討内容は、原則として連結財務諸表に基づいて分析した内容であります。
文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
①重要性のある会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、国際会計基準に基づいて作成しております。この連結財務諸表の作成にあたって、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要とします。経営者は、これらの見積りについて、過去の実績や現状を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。
当社グループの連結財務諸表で採用する重要性のある会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 連結財務諸表注記 3.重要性のある会計方針」に記載しております。
また、連結財務諸表作成にあたって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 連結財務諸表注記 4.重要な会計上の見積り及び見積りを伴う判断」に記載しております。
②当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
1)経営成績等
セグメントごとの情報については、(1)財政状態及び経営成績の状況 ① 当期の経営成績に記載しております。
a)売上収益
売上収益は、前連結会計年度に比べ34,871百万円増の441,877百万円となりました。
b)営業利益
営業利益は、前連結会計年度に比べ15,151百万円増の58,199百万円となりました。
c)税引前利益
税引前利益は、前連結会計年度に比べ14,442百万円増の55,785百万円となりました。
d)親会社の所有者に帰属する当期利益
親会社の所有者に帰属する当期利益は、前連結会計年度に比べ11,511百万円増の41,424百万円となりました。
e)財政状態
当連結会計年度末の資産合計は1,164,147百万円となり、前連結会計年度末に比べ49,421百万円増加いたしました。一方、負債合計は740,911百万円となり、前連結会計年度末に比べ20,417百万円増加いたしました。なお、有利子負債残高(含むリース負債)は、363,578百万円となり、前連結会計年度末に比べ820百万円減少いたしました。資本合計は、423,235百万円となり、前連結会計年度末に比べ29,003百万円増加いたしました。これらの結果、資産合計営業利益率(ROA)は、5.1%、親会社所有者帰属持分当期利益率(ROE)は、10.5%、親会社所有者帰属持分比率は、35.2%となりました。
f)キャッシュ・フロー
「営業活動によるキャッシュ・フロー」は85,812百万円の収入となりました。「投資活動によるキャッシュ・フロー」は28,308百万円の支出、「財務活動によるキャッシュ・フロー」は74,001百万円の支出となりました。
この結果、当連結会計年度末における「現金及び現金同等物」の残高は、前連結会計年度末に比べ16,367百万円減の54,975百万円となりました。
今後も、利益水準やキャッシュ・フローの動向等を考慮し、適切な利益配分や設備投資を行っていく予定であります。
g)資本の財源及び資金の流動性
(資本政策の基本方針)
当社は、フリーキャッシュ・フローの増大とROEの向上が持続的な成長と中長期的な企業価値を高めることに繋がるものと考えています。その実現に向けて、経営環境及びリスクへの備えを勘案した上で「戦略投資の実施」「株主還元の充実」及び「自己資本の拡充」のバランスを取った資本政策を推進します。
また、有利子負債による資金調達はフリーキャッシュ・フロー創出力と有利子負債残高を勘案して行うことを基本とし、資金効率と資本コストを意識した最適な資本・負債構成を目指します。
フリーキャッシュ・フロー、ROEの向上には、収益を伴った売上拡大を実現する「事業戦略」及び投下資本収益性を向上させる「財務戦略(資本政策を含みます。)」が重要です。併せて、基幹事業の強化、事業領域の拡大・新規事業の積極展開等に経営資源を重点配分することにより、事業利益の最大化と事業利益率を持続的に向上させていくことが重要であると考えております。
なお、中期経営計画の達成における重要財務指標として、資本効率性はROE、事業収益性は連結事業利益及びROIC、収益性・安全性はフリーキャッシュ・フロー、財務健全性は親会社所有者帰属持分比率(自己資本比率)の各指標を重視しております。
(資金調達の状況)
当社グループでは、事業活動に必要となる資金は、グループで創出した資金でまかなうことを基本方針としております。その上で、事業投資等で必要資金が生じる場合には、財務の健全性維持を勘案し、主として社債の発行及び金融機関からの借入などにより持株会社が一元的に資金調達を行っております。
グループ子会社は金融機関からの資金調達を行わず、キャッシュ・マネジメントシステムを利用したグループ内ファイナンスにより必要資金の調達を行うことで、グループ資金の効率化を推進しております。
当連結会計年度については、上記方針に基づき、金融機関からの長期借入金により85億円を調達いたしました。一方、長期借入金124億円を返済したことに加え、無担保普通社債200億円の償還を進めた結果、有利子負債残高(除くリース負債)は、前連結会計年度末に比べ238億円減少し、1,900億円となりました。
なお、資金調達に係るリスクについては、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載しております。
(財務政策)
「2024-2026年度 中期経営計画」における財務政策については、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載しております。
(配当政策)
当社の剰余金の配当に関する基本方針並びに当期の配当実績については、「第4 提出会社の状況 3 配当政策」に記載しております。
2)経営目標の達成状況
「2024-2026年度 中期経営計画」初年度である2024年度において、百貨店事業・SC事業など「リテール事業の深化」、飛躍的成長に向けた「グループシナジーの進化」、これらの戦略の実効性を高める「グループ経営基盤の強化」に取り組みました結果、連結業績について各利益段階で2007年の経営統合以降、過去最高益となり、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載しておりますとおり、中期経営計画の最終年度(2026年度)の利益目標を達成しました。
① 当期の経営成績
(単位:百万円、%) | 2025年2月期 | 対前年 | 対10月予想 | |
増減高 | 増減率 | 増減高 | ||
総額売上高 | 1,268,322 | 116,350 | 10.1 | 18,322 |
売上収益 | 441,877 | 34,871 | 8.6 | 4,877 |
売上総利益 | 212,596 | 17,080 | 8.7 | 1,096 |
販売費及び一般管理費 | 159,106 | 7,921 | 5.2 | △394 |
事業利益 | 53,490 | 9,160 | 20.7 | 1,490 |
その他の営業収益 | 11,831 | 8,158 | 222.1 | 2,331 |
その他の営業費用 | 7,122 | 2,167 | 43.7 | △2,378 |
営業利益 | 58,199 | 15,151 | 35.2 | 6,199 |
親会社の所有者に 帰属する当期利益 | 41,424 | 11,511 | 38.5 | 4,924 |
当連結会計年度の日本経済は、住宅投資など一部に弱めの動きが見られたものの、企業収益の改善傾向を背景に設備投資が堅調に推移し、また訪日外国人消費が拡大するなど、総じて緩やかな回復を見せました。
個人消費について、雇用・所得環境は改善基調が続いたものの、消費者物価の上昇などにより消費マインドの改善に足踏みが見られるなど不安定な状況が続きました。
こうしたなか、当社は新たな経営体制の下、2030年を見据えた中期経営計画(2024‐2026年度)をスタートさせました。
当社はグループビジョン“くらしの「あたらしい幸せ」を発明する。”の実現に向け、事業を通じて環境・社会課題の解決を図る「サステナビリティ経営」を基軸に、企業活動を推進しています。昨年春には、当社が重要視する経営環境の変化や当社の強みを踏まえ、当社が2030年に目指す姿として「リテール事業を中心に、3つの共創価値を提供し続ける“価値共創リテーラー”への変革」を掲げました。
本中期経営計画は、2030年に目指す姿の実現、中長期の成長を確かなものとする「変革期」と位置づけ、重点戦略として百貨店事業・SC事業など「リテール事業の深化」、飛躍的成長に向けた「グループシナジーの進化」、これらの戦略の実効性を高める「グループ経営基盤の強化」に集中して取り組んでいます。
「リテール事業の深化」では、顧客接点の魅力化、競争優位性のさらなる向上に向け、主に、百貨店事業では既存顧客の深耕や次世代顧客の獲得に向け、松坂屋名古屋店の改装に着手し、2024年11月よりフロアごとに順次、リニューアルオープンしました。また大丸梅田店は、開業以来初となる大規模リニューアルを他社連携で推進することを決定しました。
SC事業では、東海エリア随一のファッションとエンタテインメント集積をテーマに名古屋PARCOをリニューアルし、有力ファッションブランドを導入するとともに、ポップカルチャーショップを拡大しました。また、パルコの強みであるアニメやサブカルチャーの分野において、高質・高揚消費層へのコンテンツ拡充を推進するため、人気漫画のライセンスを活用した事業開発に取り組みました。
顧客層拡大への取り組みでは、アプリ会員の拡大に取り組んだほか、アプリの改修によりメディア機能の強化を図りました。また海外顧客層への対応強化に向け、百貨店事業において訪日外国人客を対象としたコミュニケーション基盤を新たに構築したほか、国内外企業との提携による相互送客に取り組みました。
「グループシナジーの進化」では、重点7エリアを中心とするエリアシナジーの最大化に向け、主に、名古屋栄エリアでは店舗リニューアルとともに、デベロッパー事業において2026年開業予定の「ザ・ランドマーク名古屋栄」の開発計画を推進しました。心斎橋エリアでは2026年開業予定の「(仮称)心斎橋プロジェクト」の開発を進めたほか、新たに、大丸心斎橋店南館を保有する株式会社心斎橋共同センタービルディングの子会社化、心斎橋ビル(旧関西アーバン銀行本社)を取得する特定目的会社への出資を決定しました。また、福岡天神エリアにおいて他社連携による再開発計画を推進しました。
内装事業及びビルマネジメント事業の再編強化に向けた方針に基づき、2024年9月にグループ内のビルマネジメント事業を、株式会社パルコスペースシステムズに統合しました。
決済・金融事業では、グループ顧客基盤の拡大に向け、自社カード発行業務のグループ内集約を進めており、2024年4月より新GINZA SIXカード、2025年2月より新PARCOカードの発行を開始しました。
この他、今後拡大が予測されるリユース市場への参入による顧客接点の拡大と新たな価値提供に向け、2024年11月に株式会社コメ兵と合弁会社設立に関する契約を締結しました。また、各地域が抱える事業承継課題の解決や地域社会への貢献、魅力ある地域コンテンツの発掘を目的に、外部パートナーと共同で事業承継ファンドを設立し、第1号案件への投資を実行しました。
「グループ経営基盤の強化」として、人財戦略では、価値共創リテーラーへの変革実現、経営戦略と一体となった新たなグループ人財戦略の推進に向け、グループ共通の「人財マネジメントポリシー」を制定し、人財戦略の実行を加速するための体制強化を図りました。
システム戦略では、経営管理の高度化と業務の効率化を図るグループ共通の会計システムの各社への導入を進めたほか、社内外コミュニケーションの活性化を促すグループウェアの統合などに取り組みました。また、「グループシステムフィロソフィー」を新たに制定しました。
コーポレートガバナンスに関しては、従来の法定3委員会の委員長に加え、取締役会議長を独立社外取締役が担う体制に変更し、監督機能を更に強化しました。
財務戦略では、ROIC経営の社内浸透に向け事業会社と連携して取り組みを進めたほか、中長期的な資本収益性の向上や自己資本の適正化、株主還元の強化を目的に、連結配当性向40%以上の配当(段階取得に係る差益を除く)と総額100億円の自社株取得を実施しました。
以上のような諸施策に取り組みました結果、当期の連結業績について各利益段階で経営統合以降、過去最高益となり、中期経営計画最終年度(2026年度)の利益目標を達成しました。
具体的には、売上収益は441,877百万円(対前年8.6%増)となりました。事業利益は売上収益の増加に加え、戦略的支出の一方で経費の節減に努めた結果、53,490百万円(対前年20.7%増)となりました。営業利益は一部店舗で減損損失を計上する一方、主に段階取得に係る差益の計上などにより58,199百万円(対前年35.2%増)、税引前利益は55,785百万円(対前年34.9%増)、親会社の所有者に帰属する当期利益は41,424百万円(対前年38.5%増)と大幅増益となりました。
セグメントの業績は、以下のとおりです。
事業管理区分の見直しにより、株式会社パルコデジタルマーケティングを2024年3月1日付で
「デベロッパー事業」から「SC事業」に移管しています。また、2024年9月1日付のグループ
内組織再編に伴い、株式会社J.フロントONEパートナー(旧:株式会社JFRサービス)の運営事業の一部を株式会社パルコスペースシステムズ他へ移管しました。これらに伴い、前連結会計年度の期首(2023年3月1日)より移管されたものとみなし、遡及修正しています。
セグメント業績
<百貨店事業>
(単位:百万円、%) | 2025年2月期 | 対前年 | 対10月予想 | |
増減高 | 増減率 | 増減高 | ||
売上収益 | 263,643 | 24,543 | 10.3 | △2,357 |
事業利益 | 33,982 | 7,874 | 30.2 | △1,618 |
営業利益 | 29,677 | 6,247 | 26.7 | △3,623 |
主に、高質・高揚消費層へのコンテンツの拡充に向けた改装効果や、訪日外国人観光客による売上の伸長などにより、売上高は大幅な増収となりました。
店舗別では、インバウンド売上が好調な大丸心斎橋店・京都店に加え、戦略改装を実施してきた大丸神戸店・札幌店、またターミナル店舗の大丸東京店など、主要店舗の好調が業績を牽引しました。
重点戦略に基づき、松坂屋名古屋店では大規模改装を推進しており、昨年11月より順次オープンを迎えています。今回のリニューアルはリアル店舗ならではの「体験価値の向上」、「次世代顧客の獲得」に向け、ラグジュアリーブランドの拡充に加え、ファッション・アート・お酒・美や健康など、次世代のマーケットニーズを捉えたコンテンツを拡充しました。大丸梅田店では同店が入居する「サウスゲートビルディング」の大規模リニューアル計画を他社と共同で発表しました。
このほか、お客様との強固な関係性を構築すべく、大丸・松坂屋アプリを改修するなど、メディア機能の強化を図りました。
以上のような諸施策に取り組みました結果、売上収益は263,643百万円(対前年10.3%増)の増収となりました。事業利益は33,982百万円(対前年30.2%増)の大幅な増益となりました。
(単位:百万円、%) | 2025年2月期 | 対前年 | 対10月予想 | |
増減高 | 増減率 | 増減高 | ||
売上収益 | 64,418 | 5,687 | 9.7 | 418 |
事業利益 | 12,745 | 4,323 | 51.3 | 1,445 |
営業利益 | 12,850 | 3,387 | 35.8 | 3,050 |
リテール事業の深化に向けてパルコ独自のブランド価値、来店価値の向上を図るため、MZ世代や海外顧客からの支持拡大に向けた戦略改装を実施しました。
名古屋PARCOでは、東海エリア随一の洗練されたファッションと多彩なエンタテインメントをテーマとしたリニューアル、仙台PARCOでは、ファッションやエンタテインメントの強化、広島PARCOではエリア唯一のショップ誘致を目的とした戦略改装を行いました。
また訪日外国人観光客への情報発信強化やアジアを中心とする海外企業との提携など関係強化に取り組み、渋谷PARCO・心斎橋PARCOではインバウンド取扱高が大幅に伸長し業績を牽引しました。
文化事業では、演劇が復調し、音楽は渋谷クアトロが好調、コラボレーションカフェは人気漫画のライセンスを活用した事業開発が奏功しました。
また韓国の大手百貨店「現代(ヒュンダイ)百貨店」と戦略的協業に関する基本合意を4月に締結し、渋谷PARCOでポップアップイベントを開催しMZ世代を中心に新たな顧客層を集客しました。
以上のような諸施策に取り組みました結果、売上収益は64,418百万円(対前年9.7%増)の増収となりました。事業利益は12,745百万円(対前年51.3%増)の大幅な増益となりました。
<デベロッパー事業>
(単位:百万円、%) | 2025年2月期 | 対前年 | 対10月予想 | |
増減高 | 増減率 | 増減高 | ||
売上収益 | 90,658 | 9,340 | 11.5 | 13,158 |
事業利益 | 8,360 | 575 | 7.4 | 2,260 |
営業利益 | 8,189 | 515 | 6.7 | 2,389 |
主に、J.フロント都市開発株式会社において保有物件の売却益を計上したほか、株式会社J.フロント建装におけるホテル内装工事の受注増加などが牽引し、増収増益となりました。
重点戦略では、7つの重点エリア開発において、2026年度竣工・開業予定である「ザ・ランドマーク名古屋栄」ならびに「(仮称)心斎橋プロジェクト」を着実に推進しました。また、新たに心斎橋ビルを取得する特定目的会社への出資を決定しました。「(仮称)天神二丁目南ブロック駅前東西街区プロジェクト」では、地区計画及び市街地再開発事業の都市計画決定を踏まえ、グループ横断的に計画を推進してまいります。
このほか、グループのビルマネジメント事業の再編強化に向け、9月に株式会社J.フロントONEパートナー(旧:株式会社JFRサービス)のビルマネジメント事業を株式会社パルコスペースシステムズへ移管しました。
以上のような諸施策に取り組みました結果、売上収益は90,658百万円(対前年11.5%増)の増収となりました。事業利益は8,360百万円(対前年7.4%増)の増益となりました。
<決済・金融事業>
(単位:百万円、%) | 2025年2月期 | 対前年 | 対10月予想 | |
増減高 | 増減率 | 増減高 | ||
売上収益 | 13,135 | 20 | 0.1 | △299 |
事業利益 | 1,637 | △1,140 | △41.0 | △258 |
営業利益 | 1,460 | △1,123 | △43.5 | △229 |
重点戦略の推進では、百貨店事業との協業によるカード会員の拡大及び利用促進を図りました。また、新たな顧客基盤の拡大に向け、グループ内カード集約の取り組みとして、新GINZA SIXカード、新PARCOカードの発行を開始しました。加盟店事業では、重点エリアを中心に外部加盟店を開拓したほか、グループ商業施設のアクワイアリングの拡大に取り組みました。
また、業界課題である不正利用対策の強化に向け、オンラインサービスへの多要素認証導入、ワンタイムパスワード導入等を実施しました。
以上のような諸施策に取り組みました結果、売上収益は取扱高増などにより加盟店手数料が増加した一方、ポイント費の増加などもあり13,135百万円(対前年0.1%増)となりました。販管費は、グループ内カード集約に向けた投資費用や人件費などが増加し、事業利益は1,637百万円(対前年41.0%減)の減益となりました。
② 財政状態
(単位:百万円、%) | 2024年2月期 | 2025年2月期 | 増減高 |
流動資産 | 246,501 | 241,045 | △5,456 |
非流動資産 | 868,225 | 923,101 | 54,876 |
資産合計 | 1,114,726 | 1,164,147 | 49,421 |
流動負債 | 331,261 | 341,341 | 10,080 |
非流動負債 | 389,232 | 399,570 | 10,338 |
負債合計 | 720,494 | 740,911 | 20,417 |
親会社の所有者に帰属する持分 | 381,898 | 409,646 | 27,748 |
親会社所有者帰属持分比率 | 34.3 | 35.2 | 0.9 |
資本合計 | 394,232 | 423,235 | 29,003 |
当連結会計年度末の資産合計は1,164,147百万円となり、前連結会計年度末に比べ49,421百万円増加しました。一方、負債合計は740,911百万円となり、前連結会計年度末に比べ20,417百万円増加しました。なお、有利子負債残高(含むリース負債)は、363,578百万円となり、前連結会計年度末に比べ820百万円減少しました。
資本合計は、423,235百万円となり、前連結会計年度末に比べ29,003百万円増加しました。
③ キャッシュ・フロー
(単位:百万円) | 2024年2月期 | 2025年2月期 | 増減高 |
営業活動によるキャッシュ・フロー | 90,692 | 85,812 | △4,880 |
投資活動によるキャッシュ・フロー | 13,429 | △28,308 | △41,737 |
フリーキャッシュ・フロー | 104,122 | 57,503 | △46,619 |
財務活動によるキャッシュ・フロー | △72,746 | △74,001 | △1,255 |
現金及び現金同等物の増減額 | 31,375 | △16,498 | △47,873 |
現金及び現金同等物の期末残高 | 71,342 | 54,975 | △16,367 |
当連結会計年度末における「現金及び現金同等物」の残高は、前連結会計年度末(71,342百万円)に比べ16,367百万円減の54,975百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
「営業活動によるキャッシュ・フロー」は85,812百万円の収入となりました。前連結会計年度との比較では、税引前利益が増益となった一方、運転資金等の増加により4,880百万円の収入減となりました。
「投資活動によるキャッシュ・フロー」は28,308百万円の支出となりました。前連結会計年度との比較では、松坂屋名古屋店の改装や心斎橋共同センタービルディング株式を取得したことなどにより41,737百万円の支出増となりました。
「財務活動によるキャッシュ・フロー」は74,001百万円の支出となりました。前連結会計年度との比較では、自己株式を取得したことなどにより1,255百万円の支出増となりました。
④ 生産、受注及び販売の実績
1)生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 | 生産高(百万円) | 前年同期比(%) |
デベロッパー事業 | 527 | 86.4 |
(注)1 請負工事につきましては生産実績を定義することが困難であるため、「生産実績」は記載しておりません。
2 上記以外のセグメントについては該当事項はありません。
2)受注実績
当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 | 受注高(百万円) | 前年同期比(%) |
デベロッパー事業 | 49,307 | 78.4 |
(注)1 上記以外のセグメントについては該当事項はありません。
3)販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 | 内訳 | 販売高(百万円) | 前年同期比(%) |
百貨店事業 | 大丸松坂屋百貨店 | 243,068 | 110.5 |
博多大丸 | 17,088 | 108.8 | |
その他 | 3,487 | 103.6 | |
計 | 263,643 | 110.3 | |
SC事業 | パルコ | 63,482 | 109.7 |
その他 | 936 | 108.6 | |
計 | 64,418 | 109.7 | |
デベロッパー事業 | J.フロント都市開発 | 13,341 | 68.8 |
J.フロント建装 | 50,645 | 141.1 | |
パルコスペースシステムズ | 26,670 | 102.4 | |
計 | 90,658 | 111.5 | |
決済・金融事業 | JFRカード | 13,135 | 100.1 |
その他 | 卸売業 | 39,858 | 110.8 |
その他 | 10,858 | 95.6 | |
計 | 50,716 | 107.1 | |
調整額 | △40,694 | 124.8 | |
合計 | 441,877 | 108.6 |
(注)1 セグメント間の取引については、「調整額」欄で調整しております。
2 販売高は、売上収益を記載しております。
(2) 経営者の視点による経営成績の状況に関する分析・検討内容
当社グループに関する財政状態及び経営成績の分析・検討内容は、原則として連結財務諸表に基づいて分析した内容であります。
文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
①重要性のある会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、国際会計基準に基づいて作成しております。この連結財務諸表の作成にあたって、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要とします。経営者は、これらの見積りについて、過去の実績や現状を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。
当社グループの連結財務諸表で採用する重要性のある会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 連結財務諸表注記 3.重要性のある会計方針」に記載しております。
また、連結財務諸表作成にあたって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 連結財務諸表注記 4.重要な会計上の見積り及び見積りを伴う判断」に記載しております。
②当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
1)経営成績等
セグメントごとの情報については、(1)財政状態及び経営成績の状況 ① 当期の経営成績に記載しております。
a)売上収益
売上収益は、前連結会計年度に比べ34,871百万円増の441,877百万円となりました。
b)営業利益
営業利益は、前連結会計年度に比べ15,151百万円増の58,199百万円となりました。
c)税引前利益
税引前利益は、前連結会計年度に比べ14,442百万円増の55,785百万円となりました。
d)親会社の所有者に帰属する当期利益
親会社の所有者に帰属する当期利益は、前連結会計年度に比べ11,511百万円増の41,424百万円となりました。
e)財政状態
当連結会計年度末の資産合計は1,164,147百万円となり、前連結会計年度末に比べ49,421百万円増加いたしました。一方、負債合計は740,911百万円となり、前連結会計年度末に比べ20,417百万円増加いたしました。なお、有利子負債残高(含むリース負債)は、363,578百万円となり、前連結会計年度末に比べ820百万円減少いたしました。資本合計は、423,235百万円となり、前連結会計年度末に比べ29,003百万円増加いたしました。これらの結果、資産合計営業利益率(ROA)は、5.1%、親会社所有者帰属持分当期利益率(ROE)は、10.5%、親会社所有者帰属持分比率は、35.2%となりました。
f)キャッシュ・フロー
「営業活動によるキャッシュ・フロー」は85,812百万円の収入となりました。「投資活動によるキャッシュ・フロー」は28,308百万円の支出、「財務活動によるキャッシュ・フロー」は74,001百万円の支出となりました。
この結果、当連結会計年度末における「現金及び現金同等物」の残高は、前連結会計年度末に比べ16,367百万円減の54,975百万円となりました。
今後も、利益水準やキャッシュ・フローの動向等を考慮し、適切な利益配分や設備投資を行っていく予定であります。
g)資本の財源及び資金の流動性
(資本政策の基本方針)
当社は、フリーキャッシュ・フローの増大とROEの向上が持続的な成長と中長期的な企業価値を高めることに繋がるものと考えています。その実現に向けて、経営環境及びリスクへの備えを勘案した上で「戦略投資の実施」「株主還元の充実」及び「自己資本の拡充」のバランスを取った資本政策を推進します。
また、有利子負債による資金調達はフリーキャッシュ・フロー創出力と有利子負債残高を勘案して行うことを基本とし、資金効率と資本コストを意識した最適な資本・負債構成を目指します。
フリーキャッシュ・フロー、ROEの向上には、収益を伴った売上拡大を実現する「事業戦略」及び投下資本収益性を向上させる「財務戦略(資本政策を含みます。)」が重要です。併せて、基幹事業の強化、事業領域の拡大・新規事業の積極展開等に経営資源を重点配分することにより、事業利益の最大化と事業利益率を持続的に向上させていくことが重要であると考えております。
なお、中期経営計画の達成における重要財務指標として、資本効率性はROE、事業収益性は連結事業利益及びROIC、収益性・安全性はフリーキャッシュ・フロー、財務健全性は親会社所有者帰属持分比率(自己資本比率)の各指標を重視しております。
(資金調達の状況)
当社グループでは、事業活動に必要となる資金は、グループで創出した資金でまかなうことを基本方針としております。その上で、事業投資等で必要資金が生じる場合には、財務の健全性維持を勘案し、主として社債の発行及び金融機関からの借入などにより持株会社が一元的に資金調達を行っております。
グループ子会社は金融機関からの資金調達を行わず、キャッシュ・マネジメントシステムを利用したグループ内ファイナンスにより必要資金の調達を行うことで、グループ資金の効率化を推進しております。
当連結会計年度については、上記方針に基づき、金融機関からの長期借入金により85億円を調達いたしました。一方、長期借入金124億円を返済したことに加え、無担保普通社債200億円の償還を進めた結果、有利子負債残高(除くリース負債)は、前連結会計年度末に比べ238億円減少し、1,900億円となりました。
なお、資金調達に係るリスクについては、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載しております。
(財務政策)
「2024-2026年度 中期経営計画」における財務政策については、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載しております。
(配当政策)
当社の剰余金の配当に関する基本方針並びに当期の配当実績については、「第4 提出会社の状況 3 配当政策」に記載しております。
2)経営目標の達成状況
「2024-2026年度 中期経営計画」初年度である2024年度において、百貨店事業・SC事業など「リテール事業の深化」、飛躍的成長に向けた「グループシナジーの進化」、これらの戦略の実効性を高める「グループ経営基盤の強化」に取り組みました結果、連結業績について各利益段階で2007年の経営統合以降、過去最高益となり、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載しておりますとおり、中期経営計画の最終年度(2026年度)の利益目標を達成しました。