半期報告書-第18期(2024/03/01-2025/02/28)

【提出】
2024/10/10 14:55
【資料】
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【項目】
42項目
文中の将来に関する事項は、当中間連結会計期間の末日現在において判断したものであります。
(1)経営成績の分析
(単位:百万円、%)2025年2月期
中間連結会計期間(3-8月)
実績対前年対6月公表数値
増減高増減率増減高
総額売上高610,46970,33713.014,469
売上収益209,36817,7349.32,368
売上総利益108,44615,06416.13,246
販売費及び一般管理費75,9702,7853.8270
事業利益32,47612,27960.82,976
その他の営業収益8,9067,089390.18,406
その他の営業費用2,018△311△13.4△982
営業利益39,36419,680100.012,364
親会社の所有者に
帰属する中間利益
29,09416,194125.511,094

当中間連結会計期間(2024年3月1日から2024年8月31日)の連結業績は、国内売上が堅調に推移したことに加え、インバウンド売上の好調等を背景に、売上収益が前年同期比9.3%増の209,368百万円、事業利益は前年同期比60.8%増の32,476百万円、親会社の所有者に帰属する中間利益は前年同期比125.5%増の29,094百万円となり、各利益段階で過去最高益となりました。
6月公表数値に対しては、インバウンドを中心とする売上収益の増加などにより、百貨店事業やショッピングセンター事業(以下、SC事業)を中心に事業利益が増加しました。加えて、株式会社心斎橋共同センタービルディングの株式取得(子会社化)に伴う段階取得に係る差益の計上などにより営業利益、親会社の所有者に帰属する中間利益は増加しました。
当中間連結会計期間におけるわが国経済は、インバウンド消費の好調や、雇用・所得環境の改善などを背景に個人消費が堅調に推移したことにより、緩やかな回復を見せました。一方で、金利や為替変動等による内外経済の先行きや物価上昇の長期化等による国内、インバウンド消費の下押しリスクについて、引き続き注視していく必要があると認識しています。
こうしたなか、当社は新たな経営体制の下、2030年を見据えた中期経営計画(2024‐2026年度)をスタートさせました。本中期経営計画は、2030年を見据えた「変革期」と位置づけ、百貨店事業・SC事業など「リテール事業の深化」、飛躍的成長に向けた「グループシナジーの進化」、これらの戦略の実効性を高める「グループ経営基盤の強化」に集中して取り組んでおります。
「リテール事業の深化」では、主に、重点エリアと位置づける名古屋エリアでの競争優位性のさらなる向上に向け、百貨店事業では、既存顧客の深耕や、次世代顧客に対応した名古屋店の改装を推進し、2024年11月よりフロアごとに順次、リニューアルオープンを予定しております。この他、心斎橋におけるエリア戦略を強化推進するため、株式会社心斎橋共同センタービルディングを100%子会社化することを決定しました。SC事業では、東海エリア随一のファッションとエンタテインメント集積を目指した名古屋PARCOをはじめ重点店舗において戦略改装を実施したほか、人気漫画に登場する飲食店を基幹店でオープンするなどパルコの強みであるアニメやサブカルチャーなどの拡大に取り組みました。また、海外顧客層マーケットへの対応強化のため、海外在住顧客のアプリ会員化や海外企業との提携強化に向けた取り組みに加え、当社のCVC(コーポレートベンチャーキャピタル)ファンドによる出資先であるオルタナティブ投資(不動産、アート、ワイン等)のグローバルプラットフォームを有するWealthPark株式会社の子会社と顧客紹介に関する包括的業務提携を締結しました。
「グループシナジーの進化」では、エリアシナジーの最大化に向けたリテール事業での戦略改装と共に、デベロッパー事業において2026年開業予定の「ザ・ランドマーク名古屋栄」や心斎橋エリアにおける複合商業施設の開発を進めたほか、2030年開業予定の福岡天神エリアの開発計画を推進しました。また、各地域が抱える事業承継課題の解決や地域経済への貢献、魅力ある地域コンテンツの発掘を目的に、3月に外部パートナーと共同で事業承継ファンドを設立しました。加えて、内装事業及びビルマネジメント事業の強化・一元化に向け、グループ内事業再編を行うことを決定しました。決済・金融事業では、自社カード発行業務のグループ内集約を進めており、4月より新たなGINZA SIXカードの発行を開始しました。
「グループ経営基盤の強化」では、事業・機能再編に加え、グループ共通の会計システムの導入を進めたほか、グループウェアの統合などに取り組みました。コーポレートガバナンスに関しては、従来からの法定3委員会の委員長に加え、取締役会議長を独立社外取締役が担う体制に変更しました。財務戦略では、中長期的な資本収益性の向上、自己資本の適正化を目的に、5月から7月にかけて総額100億円の自己株式の取得を実施したほか、今期業績予想の上方修正を踏まえ、中間配当及び期末配当予想をそれぞれ1株当たり20円から22円に引き上げました。
セグメントの業績は、以下のとおりであります。
事業管理区分の見直しにより、株式会社パルコデジタルマーケティングを2024年3月1日付で「デベロッパー事業」から「SC事業」に移管しております。これに伴い、前連結会計年度の期首(2023年3月1日)より移管されたものとみなし遡及修正しております。
<百貨店事業>
(単位:百万円、%)2025年2月期
中間連結会計期間(3-8月)
実績対前年対6月公表数値
増減高増減率増減高
売上収益127,29314,90713.3293
事業利益20,1548,47772.61,654
営業利益19,4499,34392.41,749

当中間連結会計期間の百貨店事業の業績は、売上収益が前年同期比13.3%増の127,293百万円、事業利益が前年同期比72.6%増の20,154百万円、営業利益が前年同期比92.4%増の19,449百万円となりました。
店舗別では、インバウンド売上が好調であった心斎橋店や京都店に加え、前中期経営計画にて戦略的に売場改装を実施してきた神戸店・札幌店、ターミナル店舗である東京店・梅田店など、主要店舗の好調が業績を牽引しました。
6月公表数値に対しては、インバウンド売上が大きく伸長したことに加え、堅調な富裕層マーケットへの対応をはじめとする戦略・施策の効果なども奏功し、売上収益、各利益ともに増加しました。
中期経営計画に基づく重点戦略の推進において、基幹店を中心にラグジュアリーなど主力カテゴリーの強化・リニューアルを通じて、高質・高揚消費層へのコンテンツ拡充に取り組みました。具体的には、京都店に新規ブランドを導入し、神戸店では、主力ブランドのリニューアルなどを行いました。加えて、「当社らしいコンテンツの拡充」を目指し、名古屋店の改装を推進しております。既存顧客に加え、若年富裕層など新たな顧客層からの支持獲得に向け、婦人ファッションの圧縮を行う一方、ラグジュアリー・アートなど強化カテゴリーの拡大を予定しており、本年11月に第一期オープンを予定しております。また、これら店舗の魅力化と共に、お客様との強固な関係性を構築すべく、大丸・松坂屋アプリを通じた国内・海外在住顧客とのタッチポイントのデジタル化の取り組みを推進しました。
また、本年7月には、持分法適用関連会社である株式会社心斎橋共同センタービルディングを大丸松坂屋百貨店の100%子会社化とすることを決定しました。心斎橋エリアは、地域のお客様をはじめインバウンドを含めた来街者の増加、また大阪市が推進している御堂筋の側道歩行者空間化などにより、より一層の発展と魅力向上が見込まれます。同社を完全子会社とすることにより、心斎橋エリア戦略について当社による自由度の高い事業計画の策定に取り組んでまいります。
(単位:百万円、%)2025年2月期
中間連結会計期間(3-8月)
実績対前年対6月公表数値
増減高増減率増減高
売上収益31,8113,43812.1711
事業利益7,8362,97061.01,136
営業利益7,1181,33723.12,318

当中間連結会計期間のSC事業の業績は、売上収益は前年同期比12.1%増の31,811百万円、事業利益は前年同期比61.0%増の7,836百万円、営業利益は前年同期比23.1%増の7,118百万円となりました。
インバウンド取扱高の伸長に加えて、基幹店改装や各店でのプロモーション強化などにより国内取扱高も伸長したことから、増収増益となりました。
6月公表数値に対しては、テナント取扱高の伸長とエンタテインメント事業の好調により売上収益が増加し、販管費の減少も加わって、事業利益、営業利益は増加となりました。
中期経営計画の重点戦略の一つである顧客接点の魅力向上については、インターナショナル/ジャパンモード、ポップカルチャーショップの拡大を強化テーマに改装を推進し、基幹店において、高感度なファッションブランドの導入やポップカルチャーゾーンを構築しました。下期は、名古屋PARCOにおいて、東海エリア随一の洗練された「FASHION」と多彩な「ENTERTAINMENT」をテーマとしたリニューアルを予定しています。
「コンテンツ事業の拡大」では、名古屋PARCOと渋谷PARCOに、人気漫画に登場する飲食店をオープンしました。
また韓国の大手百貨店「現代(ヒュンダイ)百貨店」と戦略的協業に関する基本合意を4月に締結しました。これを受け、渋谷PARCOでポップアップイベントを開催し、MZ世代を中心に新たな顧客層を集客しました。韓国ファッションブランドやエンタテインメントなどの日本での展開に加え、将来的に日本のファッションやカルチャーをソウルを通じてアジアなどグローバルに発信することを目指してまいります。
<デベロッパー事業>
(単位:百万円、%)2025年2月期
中間連結会計期間(3-8月)
実績対前年対6月公表数値
増減高増減率増減高
売上収益37,0133,77411.43,613
事業利益4,2102,218111.3210
営業利益4,1761,94487.1276

当中間連結会計期間のデベロッパー事業の業績は、売上収益が前年同期比11.4%増の37,013百万円、事業利益が前年同期比111.3%増の4,210百万円、営業利益が前年同期比87.1%増の4,176百万円となりました。
J.フロント都市開発株式会社において保有物件の売却益を計上したほか、株式会社J.フロント建装におけるホテル内装工事の受注増加などにより、増収増益となりました。
6月公表数値に対しては、売上総利益の増加に加え販管費を抑制したことにより、事業利益、営業利益ともに増加しました。
重点戦略の推進では、当社における7つの重点エリア開発において、2026年度竣工・開業予定である「(仮称)錦三丁目25番街区計画(名古屋)」ならびに「(仮称)心斎橋プロジェクト(大阪・心斎橋)」を着実に推進しました。なお、「(仮称)錦三丁目25番街区計画」の建物の名称は「ザ・ランドマーク名古屋栄」に決定しました。また、2030年以降の開業を目指す「(仮)天神二丁目南ブロック駅前東西街区プロジェクト」は、J.フロント都市開発株式会社に加え、持株会社にも福岡天神エリア開発推進室を設置し、グループ横断的に計画を推進してまいります。
<決済・金融事業>
(単位:百万円、%)2025年2月期
中間連結会計期間(3-8月)
実績対前年対6月公表数値
増減高増減率増減高
売上収益6,489△244△3.6△11
事業利益1,062△502△32.1162
営業利益900△602△40.1100

当中間連結会計期間の決済・金融事業の業績は、売上収益は前年同期比3.6%減の6,489百万円、事業利益は同32.1%減の1,062百万円、営業利益は同40.1%減の900百万円となりました。
売上収益は取扱高増により加盟店手数料が増加した一方、付与ポイント増などに伴うポイント費の増加などにより、減収となりました。販管費は、グループカードの集約化に向けた投資費用や人財採用による人件費が増加しました。以上の結果、事業利益、営業利益とも減益となりました。
6月公表数値に対しては、売上収益が減少となった一方、販管費の抑制に努めた結果、事業利益、営業利益とも増加となりました。
重点戦略の推進では、百貨店事業との協業によるカード会員の拡大及び利用促進を図りました。また、新たな顧客基盤の拡大に向け、グループ内カード集約の取り組みの第一弾として新たにGINZA SIXカードの発行を開始し、会員数の拡大を進めています。加盟店事業では、特に名古屋・栄エリアでの顧客回遊の促進に向け、新たに開業した他社商業施設を加盟店化する等、重点エリアでの外部加盟店拡大を進めました。7月には名古屋エリアにおいて初めてエリアキャンペーンを実施しました。また、業界課題である不正利用対策としてオンラインサービスへの多要素認証導入、ワンタイムパスワード導入等を実施しました。
(2)財政状態の分析
(単位:百万円、%)2024年2月期2025年2月期
中間連結会計期間
増減高
流動資産246,501231,609△14,892
非流動資産868,225873,4555,230
資産合計1,114,7261,105,065△9,661
流動負債331,261334,5853,324
非流動負債389,232361,570△27,662
負債合計720,494696,156△24,338
親会社の所有者に帰属する持分381,898395,27613,378
親会社所有者帰属持分比率34.335.81.5
資本合計394,232408,90914,677

当中間連結会計期間末の資産合計は1,105,065百万円となり、前連結会計年度末に比べ9,661百万円減少しました。負債合計は696,156百万円となり、前連結会計年度末に比べ24,338百万円減少しました。一方、資本合計は408,909百万円となり、前連結会計年度末に比べ14,677百万円増加しました。
(3)キャッシュ・フローの状況
(単位:百万円)2024年2月期
中間連結会計期間
2025年2月期
中間連結会計期間
増減高
営業活動によるキャッシュ・フロー37,06548,98211,917
投資活動によるキャッシュ・フロー△671△9,970△9,299
フリーキャッシュ・フロー36,39339,0112,618
財務活動によるキャッシュ・フロー△28,544△51,071△22,527
現金及び現金同等物の増減額7,849△12,059△19,908
現金及び現金同等物の中間期末残高47,82459,41111,587

当中間連結会計期間末における「現金及び現金同等物」の残高は、前連結会計年度末(71,342百万円)に比べ11,931百万円減の59,411百万円となりました。
当中間連結会計期間における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
① 営業活動によるキャッシュ・フロー
営業活動によるキャッシュ・フローは48,982百万円の収入となりました。前中間連結会計期間との比較では、税引前中間利益が増益になったことなどにより11,917百万円の収入増となりました。
② 投資活動によるキャッシュ・フロー
投資活動によるキャッシュ・フローは9,970百万円の支出となりました。前中間連結会計期間との比較では、連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得などにより9,299百万円の支出増となりました。
③ 財務活動によるキャッシュ・フロー
財務活動によるキャッシュ・フローは51,071百万円の支出となりました。前中間連結会計期間との比較では、社債の償還や自己株式の取得による支出などにより22,527百万円の支出増となりました。
(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当中間連結会計期間において、当社グループの優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題に重要な変更及び新たに生じた課題はありません。
(5)研究開発活動
特記事項はありません。