有価証券報告書-第37期(2023/04/01-2024/03/31)
(1)経営成績等の状況の概要
当事業年度における当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
①財政状態及び経営成績の状況
当事業年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルスの感染症法上の位置付けが5類に移行されたことによる経済社会活動の正常化が進む中、個人消費は持ち直しつつあるものの、所得の伸びが物価の伸びを下回り、力強さを欠く状況で推移しました。
このような状況の中、当社は公共交通機関としての役割を果たすため、また、地域間交流、観光に不可欠な公共交通機関として、列車の安全・安定輸送を第一に、県内外からの団体旅行客の誘客等、鉄道利用の働きかけに努めてまいりましたが、1月1日に発生した能登半島地震により、地域全体に甚大な被害が発生し、当社においても長期間にわたる列車の運休や鉄道施設への被害が発生しました。
当事業年度の業績は、12月までは前事業年度を上回る利用者、それに付随した営業収益の増加など、順調に推移しましたが、令和6年能登半島地震以降、列車運休や旅行業・物品販売業の窓口閉鎖等により、大幅に落ち込み、営業収益は174,057千円(前年同期比3.6%減)、営業損失は、地震により計画していた修繕等の延期、運休に伴う動力費の減少等の営業費が減少したこともあり、264,085千円(前年同期比0.3%減)となりました。また、営業外収益として、補助金等215,764千円を計上したことにより、経常損失は48,320千円(前年同期比3.2%減)となりました。
なお、当期純損益は特別利益として、施設整備に対する補助金、運営費補助や地震の代行バス運行に伴う補助金など159,690千円の計上、特別損失として、固定資産圧縮損や災害による損失等120,212千円の計上により、9,379千円の当期純損失(前年同期比258.9%増)の計上となりました。
セグメントの業績は、次のとおりであります。
鉄道事業
鉄道事業は、地域住民の生活の足を支え、また地域内外の交流を支える不可欠な公共交通機関として、安全・安定輸送を第一に取り組んでまいりました。新型コロナウイルス感染症の影響による利用者の減少は徐々に回復傾向で推移し、定期外利用者については12月までは前期比で3割強の増、定期利用者についても12月までは前期比微増で推移したものの、令和6年能登半島地震により、当事業年度全体の輸送人員は460千人(前年同期比5.2%減)となりました。これにより、営業収益は140,221千円(前年同期比1.2%増)となりました。
一方、営業費は、地震により計画していた修繕の延期や運休に伴う動力費の減少により、405,298千円(前年同期比0.3%減)となりました。
これらの結果、営業損失は265,077千円(前年同期比1.0%減)となりました。
国内旅行業
国内旅行業は、新型コロナウイルス感染症の5類移行などによる国内観光需要の回復により、令和6年能登半島地震前までは手配旅行やJR券の取り扱いが増加しましたが、地震により営業収益は4,751千円(前年同期比7.8%減)、営業費は4,756千円(前年同期比13.0%減)となりました。
結果として、営業損失4千円(前年同期比98.4%減)の計上となりました。
物品販売業
物品販売業は、穴水町から委託を受け、穴水町物産館「四季彩々」の営業を行っております。
12月までは来店者数は前期比で1割程度増加していたものの、令和6年能登半島地震により年度末まで営業の中止が余儀なくされ、営業収益は29,084千円(前年同期比13.8%減)となりました。営業費は、28,087千円(前年同期比10.2%減)となりました。
結果として、営業利益は997千円(前年同期比59.3%減)となりました。
その他事業
その他事業として、例年、冬季限定で能登地域の冬の名産である牡蠣を炉端焼き等にて提供する飲食業の営業を行っておりますが、当事業年度は令和6年能登半島地震のため中止となりました。前事業年度は、予約制により21日間の営業を行い、営業収益は3,091千円、営業費は2,379千円、営業利益は711千円となっております。
②キャッシュ・フローの状況
当事業年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、補助金等の受入による収入、営業活動や設備投資における支出があり、前事業年度末に比べ9,183千円増加し、当事業年度末には92,540千円となりました。
また当事業年度中における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は、次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果使用した資金は264,793千円(前年同期は251,833千円の使用)となりました。
これは、主に減価償却費を除く営業損失257,889千円の計上によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は93,127千円(前年同期は84,205千円の使用)となりました。
これは、主に鉄道事業の安全対策のためのPC枕木等の設備投資による支出94,140千円の計上によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果獲得した資金は367,103千円(前年同期は361,555千円の獲得)となりました。
これは、地方公共団体等補助金の受入によるものであります。
③財政状態の分析
財政状態の分析は前事業年度末との比較で記載しております。
当事業年度末の総資産は、前事業年度末に比べ23,990千円増加し、251,099千円となりました。
(流動資産)
流動資産は前事業年度末に比べ30,570千円増加し、216,924千円となりました。これは、主に補助金等の未収金や未収消費税等が増加したためであります。
(固定資産)
固定資産は前事業年度末に比べ6,579千円減少し、34,174千円となりました。これは、主に設備投資など固定資産の取得による増加と地方公共団体等補助金の受入による固定資産の圧縮、減価償却費の計上による減少によるものであります。
(流動負債)
流動負債は前事業年度末に比べ32,859千円増加し、86,914千円となりました。これは、主に災害に伴う代行バス運行に係る未払金が増加したことによるものであります。
(固定負債)
固定負債は前事業年度末に比べ510千円増加し、10,851千円となりました。これは、退職給付引当金の増加によるものであります。
(純資産)
純資産は前事業年度末に比べ9,379千円減少し、153,333千円となりました。これは、当期純損失9,379千円の計上によるものであります。
④生産、受注及び販売の実績
a.鉄道事業の輸送実績
当事業年度における輸送実績は次のとおりであります。
| 区分 | 前事業年度 (自 2022年4月1日 至 2023年3月31日) | 当事業年度 (自 2023年4月1日 至 2024年3月31日) | |||
| 営業日数 | 365日 | 339日 | |||
| 営業区間 | 七尾~穴水 | 七尾~穴水 | |||
| 営業キロ | 33.1㎞ | 33.1㎞ | |||
| 延日キロ | 12,081日キロ | 11,221日キロ | |||
| 輸送量 | 人 員 (人) | 金 額 (千円) | 人 員 (人) | 金 額 (千円) | 前年同期比 (%) |
| 定期外 | 145,350 | 62,149 | 154,164 | 70,542 | 113.5 |
| 定期 | 340,860 | 57,532 | 306,584 | 50,744 | 88.2 |
| 通勤 | 58,140 | 15,390 | 46,900 | 11,828 | 76.9 |
| 通学 | 282,720 | 42,141 | 259,684 | 38,916 | 92.3 |
| 運輸雑収 | - | 18,813 | - | 18,933 | 100.6 |
| 計 | 486,210 | 138,495 | 460,748 | 140,221 | 101.2 |
(注)1.前年同期比は、金額に対する比較であります。
2.延日キロは、令和6年能登半島地震による全線運休期間(2024年1月2日~2024年1月28日)を除いて算定。2024年1月29日~バス代行開始、2024年2月15日~七尾・能登中島間で運転再開(能登中島・穴水間はバス代行)
b.販売実績
当事業年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
| セグメントの名称 | 第37期 (自 2023年4月1日 至 2024年3月31日) | 前年同期比(%) |
| 鉄道事業(千円) | 140,221 | 101.2 |
| 国内旅行業(千円) | 4,751 | 92.2 |
| 物品販売業(千円) | 29,084 | 86.2 |
| 報告セグメント計(千円) | 174,057 | 96.4 |
| その他(千円) | - | - |
| 合計(千円) | 174,057 | 96.4 |
(注)1.セグメント間の取引については、相殺消去しております。
2.その他は、冬季限定の飲食業であり、当事業年度は令和6年能登半島地震のため、営業を中止しております。なお、前事業年度の販売実績は3,091千円です。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において判断したものであります。
①重要な会計方針及び見積り
当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。なお、個々の重要な会計方針及び見積りについては、「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項 重要な会計方針」に記載のとおりであります。
なお、当社の財政状態及び経営成績に重要な影響を与える可能性がある事象につきましては、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載のとおりであります。
②当事業年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
当社は、基幹事業である鉄道事業において、地域住民の生活の足を支え、また地域内外の交流を支える不可欠な公共交通機関として、安全・安定輸送を第一に取り組むとともに、鉄道事業の損失を軽減すべく国内旅行業、物品販売業及び飲食業(当事業年度は令和6年能登半島地震のため中止)を営業しております。
鉄道事業においては、沿線人口の減少に伴う地元利用者が減少する中、増収施策として観光列車の運行や県外からの団体客の誘客に力を入れております。当事業年度においては、旅行やレジャー消費が回復傾向で推移したこともあり、12月までは鉄道利用者数は増加しておりましたが、1月1日に発生しました「令和6年能登半島地震」の影響により、当社施設を含む地域全体が甚大な被害を受けました。当社の被災箇所は約50カ所に及びましたが、西日本旅客鉄道株式会社や同グループ企業など、多くの関係者のご協力を得て、2月15日には一部区間での運行再開、4月6日には全線で運行を再開することができました。しかしながら、一部の駅舎等の修繕は未だ完了しておらず、利用者の皆様にはご不便をおかけしている状況が続いており、今後も順次復旧を進めてまいります。
これらにより、鉄道事業の営業収益は140,221千円(前年同期比1.2%増)となりました。営業費は、能登半島地震に伴い、計画していた修繕の延長や列車運休に伴い動力費等が減少したことにより、405,298千円(前年同期比0.3%減)となりました。結果として、鉄道事業の営業損失は265,077千円(前年同期比1.0%減)となりました。
国内旅行業においては、国内観光需要の回復などにより、地震前までは手配旅行やJR券の取り扱いが増加しましたが、地震により当事業年度の営業収益は4,751千円(前年同期比7.8%減)となり、営業費は4,756千円(前年同期比13.0%減)、営業損失は4千円(前年同期比98.4%減)となりました。
物品販売業においては、穴水町から委託を受けた物産館「四季彩々」を営業しており、来店者は増加したものの、地震により1月2日~3月31日までは、営業を中止し、営業収益は29,084千円(前年同期比13.8%減)となり、営業費は28,087千円(前年同期比10.2%減)、営業利益は997千円(前年同期比59.3%減)となりました。
その他事業としては、例年、冬場に落ち込む鉄道旅客需要の喚起策として、能登地域の冬の名産である牡蠣を炉端焼き等にて提供する飲食業を営業しております。前事業年度は、鉄道利用者を中心とした予約制にて、21日間の営業を行いましたが、当事業年度は、地震により営業を中止いたしました。
今後も、地域人口の減少や設備の老朽化に伴う対策など厳しい経営環境が続くと予想され、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (3)対処すべき課題及び経営戦略」に記載した増収施策を今後も続けるとともに、震災からの復興を第一に、営業損失の削減・経営の安定化に努めてまいります。
③キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当社のキャッシュ・フロー状況は、基幹事業である鉄道事業において、継続的に多額の営業損失を計上しており、営業キャッシュ・フローはマイナスの状況が続いており、日々の売上のほか、関係自治体からの補助金等による支援により資金繰りが成り立っている状況です。
当事業年度においては、地方公共団体等補助金として367,103千円を受け入れており、財務活動によるキャッシュ・フローとして計上しております。
また、事業活動における運転資金需要の主なものは、鉄道事業に係る動力費や修繕費等、その他事業における商品仕入、共通するものとして販売費及び一般管理費等の営業費があります。また、設備資金需要としては主に鉄道事業における列車運行の安全確保を目的とした鉄道施設への設備投資であります。