有価証券報告書-第35期(令和3年4月1日-令和4年3月31日)
(1)経営成績等の状況の概要
当事業年度における当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
なお、当事業年度より、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を適用しております。
これに伴い、当事業年度におけるその他事業の営業収益は、前事業年度と比較して大きく減少しております。
そのため、当事業年度における経営成績に関する説明は、前事業年度と比較しての増減額及び前年同期比(%)を記載せずに説明しております。
詳細は、「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1) 財務諸表 注記事項(会計方針の変更)」に記載のとおりであります。
①財政状態及び経営成績の状況
当事業年度におけるわが国経済は、昨年度に引き続き、新型コロナウイルスの感染症の影響により、国内外の経済活動が大きく制限を受け、特に対面型のサービス業は外出自粛等により、厳しい状況が続きました。
本県経済も、新型コロナウイルス感染症拡大に伴う、個人消費の落ち込み等による企業収益の悪化、雇用環境の悪化など、厳しい状況で推移しました。
このような状況の中、当社は、国等の要請を踏まえ、公共交通機関としての役割を果たすため、各駅における手指消毒液の設置や車両・待合室の抗ウイルス・抗菌処理など、感染対策を講じながら運行維持を図ってまいりました。
当事業年度は、移動自粛にともなう県外客や地元利用者の減少等があったものの、昨年度実施された学校の一斉休校等は無かったため、営業収益は143,979千円(前年同期は141,020千円)、営業費は光熱費や燃料単価の高騰などにより482,543千円(前年同期は476,818千円)となり、営業損失は338,563千円(前年同期は335,797千円の営業損失)となりました。また、営業外収益として、補助金等284,007千円を計上したことにより、経常損失は54,556千円(前年同期は39,563千円の経常損失)となりました。
なお、当期純損益は特別利益として、施設整備に対する補助金、運営費補助やコロナ関係の支援事業を積極的に活用し127,592千円の計上、特別損失として、固定資産圧縮損等73,241千円の計上により、740千円の当期純損失(前年同期は800千円の当期純損失)の計上となりました。
セグメントの業績は、次のとおりであります。
鉄道事業
鉄道事業は、地域住民の生活の足を支え、また地域内外との交流を支える不可欠な公共交通機関として、安全・安定輸送を第一に、関係機関・団体等の協力・支援を得て、新型コロナウイルス感染対策をとりながら取り組んでまいりました。新型コロナウイルス感染症の影響による移動自粛はあったものの、昨年度実施された学校の一斉休校は無く、輸送人員は461千人(前年同期は421千人)となりました。これにより、営業収益は114,696千円(前年同期は101,693千円)となりました。
一方、営業費は、経費の削減に努めたものの、燃料単価の高騰による動力費の増加等により、449,941千円(前年同期は436,267千円)となりました。
これらの結果、営業損失は335,245千円(前年同期は334,573千円の営業損失)となりました。
国内旅行業
国内旅行業は、前事業年度は石川県の県民宿泊割事業による売上があったものの、当事業年度は新型コロナウイルスの影響による移動自粛により、手配旅行や主催旅行の減少により、営業収益は2,978千円(前年同期は4,130千円)、営業費は費用の抑制に努め5,141千円(前年同期は5,310千円)となりました。
結果として、営業損失は2,163千円(前年同期は1,179千円の営業損失)となりました。
物品販売業
物品販売業は、穴水町から委託を受け、穴水町物産館「四季彩々」の営業を行なっております。
前事業年度に実施した石川県の要請に基づく一時的な営業休止等は無かったものの、新型コロナウイルスの影響による移動自粛により依然として来店者数は少なく、営業収益は26,023千円(前年同期は35,196千円)となりました。一方、営業費は、26,951千円(前年同期は35,240千円)となりました。
結果として、営業損失は927千円(前年同期は44千円の営業損失)となりました。
なお、収益認識会計基準等の適用により、営業収益及び営業費は、それぞれ13,178千円減少しております。
その他事業
その他事業として、冬期間限定で能登地域の冬の名産である牡蠣を炉端焼き等にて提供する飲食業の営業を行っています。前事業年度は新型コロナウイルス感染症拡大防止の観点より営業を中止し、当事業年度は完全予約制にて営業を開始しましたが、直後に石川県にまん延防止等重点措置が適用されたため、営業中止をしております。
営業収益は280千円、営業費は508千円、営業損失は228千円となりました。
②キャッシュ・フローの状況
当事業年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、補助金等の受入による収入、営業活動や設備投資における支出があり、前事業年度末に比べ9,097千円減少し、当事業年度末には57,841千円となりました。
また当事業年度中における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は、次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果使用した資金は319,704千円(前年同期は312,343千円の使用)となりました。
これは、主に減価償却費を除く営業損失328,600千円によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は76,650千円(前年同期は76,294千円の使用)となりました。
これは、主に鉄道事業の安全対策のため、PC枕木等の整備により79,073千円を使用し、土地等の売却により1,723千円獲得したことによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果獲得した資金は387,257千円(前年同期は390,467千円の獲得)となりました。
これは、地方公共団体等補助金の受入によるものであります。
③財政状態の分析
財政状態の分析は前事業年度末との比較で記載しております。
当事業年度末の総資産は、前事業年度末に比べ2,906千円減少し、231,686千円となりました。
(流動資産)
流動資産は前事業年度末に比べ1,877千円増加し、184,455千円となりました。これは、主に補助金等の未収金が増加し、現金及び預金が減少したためであります。
(固定資産)
固定資産は前事業年度末に比べ4,783千円減少し、47,231千円となりました。これは、主に設備投資など固定資産の取得による増加と地方公共団体等補助金の受入による固定資産の圧縮、減価償却費の計上による減少によるものであります。
(流動負債)
流動負債は前事業年度末に比べ1,788千円減少し、56,799千円となりました。これは、主に未払金が減少し、未払法人税等が増加したことによるものであります。
(固定負債)
固定負債は前事業年度末に比べ377千円減少し、9,560千円となりました。これは、主に退職給付引当金の減少によるものであります。
(純資産)
純資産は前事業年度末に比べ740千円減少し、165,327千円となりました。これは、当期純損失740千円の計上によるものであります。
④生産、受注及び販売の実績
a.鉄道事業の輸送実績
当事業年度における輸送実績は次のとおりであります。
| 区分 | 前事業年度 (自 2020年4月1日 至 2021年3月31日) | 当事業年度 (自 2021年4月1日 至 2022年3月31日) | |||
| 営業日数 | 365日 | 365日 | |||
| 営業区間 | 七尾~穴水 | 七尾~穴水 | |||
| 営業キロ | 33.1㎞ | 33.1㎞ | |||
| 延日キロ | 12,081日キロ | 12,081日キロ | |||
| 輸送量 | 人 員 (人) | 金 額 (千円) | 人 員 (人) | 金 額 (千円) | 前年同期比 (%) |
| 定期外 | 101,839 | 37,932 | 111,847 | 43,400 | 114.4 |
| 定期 | 319,200 | 52,988 | 349,620 | 58,350 | 110.1 |
| 通勤 | 58,440 | 13,978 | 61,320 | 15,876 | 113.6 |
| 通学 | 260,760 | 39,010 | 288,300 | 42,473 | 108.9 |
| 運輸雑収 | - | 10,772 | - | 12,944 | 120.2 |
| 計 | 421,039 | 101,693 | 461,467 | 114,696 | 112.8 |
(注)前年同期比は、金額に対する比較であります。
b.販売実績
当事業年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
| セグメントの名称 | 第35期 (自 2021年4月1日 至 2022年3月31日) | 前年同期比(%) |
| 鉄道事業(千円) | 114,696 | 112.8 |
| 国内旅行業(千円) | 2,978 | 72.1 |
| 物品販売業(千円) | 26,023 | - |
| 報告セグメント計(千円) | 143,698 | - |
| その他(千円) | 280 | - |
| 合計(千円) | 143,979 | - |
(注)1.セグメント間の取引については、相殺消去しております。
2.物品販売業は当事業年度より収益認識会計基準等の適用により、販売実績は13,178千円減少しております。
このため、物品販売業、報告セグメント計及び合計の前年同期比の記載を省略しております。
3.その他は、飲食業であり、前事業年度は新型コロナウイルス感染拡大防止の観点より営業を中止しているため、販売実績はありません。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において判断したものであります。
①重要な会計方針及び見積り
当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。なお、個々の重要な会計方針及び見積りについては、「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項 重要な会計方針」に記載のとおりであります。
なお、当社の財政状態及び経営成績に重要な影響を与える可能性がある事象につきましては、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載のとおりであります。
②当事業年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
当社は、基幹事業である鉄道事業において、地域住民の生活の足を支え、また地域内外との交流を支える不可欠な公共交通機関として、安全・安定輸送を第一に取り組むとともに、鉄道事業の損失を軽減すべく国内旅行業、物品販売業及び飲食業を営業しております。
鉄道事業においては、沿線人口の減少に伴う地元利用者が減少する中、増収施策として観光列車の運行や県外からの団体客の誘客に力を入れております。当事業年度においては、前事業年度より旅客数は回復しておりますが、依然として新型コロナウイルスの影響に伴う移動自粛等により、コロナ以前への回復には程遠い状況です。
これらにより、鉄道事業の営業収益は114,696千円(前年同期は101,693千円)となりました。営業費は経費の削減に努めているものの、燃料単価の高騰に伴う動力費等の増加に伴い、449,941千円(前年同期は436,267千円)となりました。結果として、鉄道事業の営業損失は335,245千円(前年同期は334,573千円)となりました。
国内旅行業においては、前事業年度は石川県の県民宿泊割事業により、宿泊手配は好調でしたが、当事業年度においては新型コロナウイルスの影響による移動自粛により、手配・主催旅行の中止や取扱の大幅減少により、営業収益は2,978千円(前年同期は4,130千円)となり、営業費は5,141千円(前年同期は5,310千円)、営業損失は2,163千円(前年同期は1,179千円の営業損失)となりました。
物品販売業は、穴水町から委託を受けた物産館「四季彩々」を営業しており、新型コロナウイルスの影響による移動自粛、鉄道利用者の減少に伴い来店者数が減少し、営業収益は26,023千円(前年同期は35,196千円)となり、営業費は26,951千円(前年同期は35,240千円)、営業損失は927千円(前年同期は44千円の営業損失)となりました。
その他事業としては、例年、冬場に落ち込む鉄道の旅客対策として能登地域の冬の名産である牡蠣を炉端焼き等にて提供する飲食業を営業しておりましたが、前事業年度は、新型コロナウイルスの感染拡大防止の観点より営業を中止し、当事業年度は完全予約制にて営業を再開しましたが、石川県においてまん延防止等重点措置が適用されたため、2日間の営業で終了となりました。営業収益は280千円、営業費は508千円、営業損失は228千円となっております。
今後も、地域人口の減少や設備の老朽化に伴う対策、また、終息が見えない新型コロナウイルスの影響など厳しい経営環境が続くと予想され、感染対策を講じながら、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (3)対処すべき課題及び経営戦略」に記載した増収施策を今後も続けるとともに、引き続き、営業損失の削減・経営の安定化に努めてまいります。
③キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当社のキャッシュ・フロー状況は、基幹事業である鉄道事業において、継続的に多額の営業損失を計上しており、営業キャッシュ・フローはマイナスの状況が続いており、日々の売上のほか、関係自治体からの補助金等による支援により資金繰りが成り立っている状況です。
当事業年度においては、地方公共団体等補助金として387,257千円を受け入れており、財務活動によるキャッシュ・フローとして計上しております。
また、事業活動における運転資金需要の主なものは、鉄道事業に係る動力費や修繕費等、その他事業における商品仕入、共通するものとして販売費及び一般管理費等の営業費があります。また、設備資金需要としては主に鉄道事業における列車運行の安全確保を目的とした鉄道施設への設備投資であります。