有価証券報告書-第36期(2022/04/01-2023/03/31)
(1)経営成績等の状況の概要
当事業年度における当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
①財政状態及び経営成績の状況
当事業年度におけるわが国経済は、3年目となる新型コロナウイルス感染症の影響により、経済活動の抑制と緩和が繰り返されてきましたが、徐々にコロナ禍前の水準に戻りつつあるなかで、ウクライナ情勢を背景とするエネルギー価格の高騰、原材料価格の上昇に伴う物価上昇、それに伴う実質賃金の低下など、厳しい状況で推移しました。
このような状況の中、当社は公共交通機関としての役割を果たすため、引き続き各駅における手指消毒液の設置や車両・待合室の抗ウイルス・抗菌処理など、感染対策を講じながら運行維持を図ってまいりました。
当事業年度の業績は、営業収益は180,474千円(前年同期比25.3%増)、営業損失は264,977千円(前年同期比21.7%減)となりました。また、営業外収益として、補助金等215,038千円を計上したことにより、経常損失は49,938千円(前年同期比8.5%減)となりました。
なお、当期純損益は特別利益として、施設整備に対する補助金、運営費補助やコロナ関係の支援事業を積極的に活用し131,696千円の計上、特別損失として、固定資産圧縮損等83,834千円の計上により、2,613千円の当期純損失(前年同期比252.9%増)の計上となりました。
セグメントの業績は、次のとおりであります。
鉄道事業
鉄道事業は、地域住民の生活の足を支え、また地域内外との交流を支える不可欠な公共交通機関として、安全・安定輸送を第一に、関係機関・団体等の協力・支援を得て、新型コロナウイルス感染対策をとりながら取り組んでまいりました。新型コロナウイルス感染症の影響は徐々に回復傾向で推移し、輸送人員は486千人(前年同期比5.4%増)となりました。これにより、営業収益は138,495千円(前年同期比20.7%増)となりました。
一方、営業費は、燃料単価の高騰による動力費の増加はあったものの、車両の大規模検査両数の減少により、406,319千円(前年同期比9.7%減)となりました。
これらの結果、営業損失は267,824千円(前年同期比20.1%減)となりました。
国内旅行業
国内旅行業は、全国旅行支援を追い風とした国内観光需要の回復などにより、手配旅行やJR券の取り扱いが増加し、営業収益は5,154千円(前年同期比73.0%増)、営業費は5,465千円(前年同期比6.3%増)となりました。
結果として、回復傾向にあるものの、営業損失311千円(前年同期比85.6%減)の計上となりました。
物品販売業
物品販売業は、穴水町から委託を受け、穴水町物産館「四季彩々」の営業を行っております。
新型コロナウイルス感染症の影響低下を受け、徐々に来店者数は回復し、営業収益は33,733千円(前年同期比29.6%増)となりました。一方、営業費は、光熱費や仕入れの増加等により31,286千円(前年同期比16.1%増)となりました。
結果として、営業利益は2,447千円(前年同期は927千円の営業損失)となりました。
その他事業
その他事業として、冬期間限定で能登地域の冬の名産である牡蠣を炉端焼き等にて提供する飲食業の営業を行っております。前事業年度は石川県にまん延防止等重点措置が適用されたため2日間で営業中止をしましたが、当事業年度は、予約制により21日間の営業を行い、営業収益は3,091千円(前年同期比1,001.4%増)、営業費は2,379千円(前年同期比367.8%増)、営業利益は711千円(前年同期は228千円の営業損失)となりました。
②キャッシュ・フローの状況
当事業年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、補助金等の受入による収入、営業活動や設備投資における支出があり、前事業年度末に比べ25,516千円増加し、当事業年度末には83,357千円となりました。
また当事業年度中における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は、次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果使用した資金は251,833千円(前年同期は319,704千円の使用)となりました。
これは、主に減価償却費を除く営業損失256,745千円によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は84,205千円(前年同期は76,650千円の使用)となりました。
これは、主に鉄道事業の安全対策のため、PC枕木等の整備により85,581千円を使用し、土地等の売却により1,375千円獲得したことによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果獲得した資金は361,555千円(前年同期は387,257千円の獲得)となりました。
これは、地方公共団体等補助金の受入によるものであります。
③財政状態の分析
財政状態の分析は前事業年度末との比較で記載しております。
当事業年度末の総資産は、前事業年度末に比べ4,577千円減少し、227,108千円となりました。
(流動資産)
流動資産は前事業年度末に比べ1,899千円増加し、186,354千円となりました。これは、主に補助金等の未収金や未収消費税等が減少し、現金及び預金が増加したためであります。
(固定資産)
固定資産は前事業年度末に比べ6,477千円減少し、40,754千円となりました。これは、主に設備投資など固定資産の取得による増加と地方公共団体等補助金の受入による固定資産の圧縮、減価償却費の計上による減少によるものであります。
(流動負債)
流動負債は前事業年度末に比べ2,744千円減少し、54,054千円となりました。これは、主に未払金が減少し、買掛金が増加したことによるものであります。
(固定負債)
固定負債は前事業年度末に比べ780千円増加し、10,340千円となりました。これは、退職給付引当金の増加によるものであります。
(純資産)
純資産は前事業年度末に比べ2,613千円減少し、162,713千円となりました。これは、当期純損失2,613千円の計上によるものであります。
④生産、受注及び販売の実績
a.鉄道事業の輸送実績
当事業年度における輸送実績は次のとおりであります。
| 区分 | 前事業年度 (自 2021年4月1日 至 2022年3月31日) | 当事業年度 (自 2022年4月1日 至 2023年3月31日) | |||
| 営業日数 | 365日 | 365日 | |||
| 営業区間 | 七尾~穴水 | 七尾~穴水 | |||
| 営業キロ | 33.1㎞ | 33.1㎞ | |||
| 延日キロ | 12,081日キロ | 12,081日キロ | |||
| 輸送量 | 人 員 (人) | 金 額 (千円) | 人 員 (人) | 金 額 (千円) | 前年同期比 (%) |
| 定期外 | 111,847 | 43,400 | 145,350 | 62,149 | 143.2 |
| 定期 | 349,620 | 58,350 | 340,860 | 57,532 | 98.6 |
| 通勤 | 61,320 | 15,876 | 58,140 | 15,390 | 96.9 |
| 通学 | 288,300 | 42,473 | 282,720 | 42,141 | 99.2 |
| 運輸雑収 | - | 12,944 | - | 18,813 | 145.3 |
| 計 | 461,467 | 114,696 | 486,210 | 138,495 | 120.7 |
(注)前年同期比は、金額に対する比較であります。
b.販売実績
当事業年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
| セグメントの名称 | 第36期 (自 2022年4月1日 至 2023年3月31日) | 前年同期比(%) |
| 鉄道事業(千円) | 138,495 | 120.7 |
| 国内旅行業(千円) | 5,154 | 173.0 |
| 物品販売業(千円) | 33,733 | 129.6 |
| 報告セグメント計(千円) | 177,383 | 123.4 |
| その他(千円) | 3,091 | 1,101.4 |
| 合計(千円) | 180,474 | 125.3 |
(注)セグメント間の取引については、相殺消去しております。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において判断したものであります。
①重要な会計方針及び見積り
当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。なお、個々の重要な会計方針及び見積りについては、「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項 重要な会計方針」に記載のとおりであります。
なお、当社の財政状態及び経営成績に重要な影響を与える可能性がある事象につきましては、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載のとおりであります。
②当事業年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
当社は、基幹事業である鉄道事業において、地域住民の生活の足を支え、また地域内外との交流を支える不可欠な公共交通機関として、安全・安定輸送を第一に取り組むとともに、鉄道事業の損失を軽減すべく国内旅行業、物品販売業及び飲食業を営業しております。
鉄道事業においては、沿線人口の減少に伴う地元利用者が減少する中、増収施策として観光列車の運行や県外からの団体客の誘客に力を入れております。当事業年度においては、前事業年度より旅客数は回復しておりますが、長引く新型コロナウイルスの影響やウクライナ情勢を背景とするエネルギー価格の高騰、原材料価格の上昇に伴う物価上昇など、コロナ以前への回復には程遠い状況です。
これらにより、鉄道事業の営業収益は138,495千円(前年同期比20.7%増)となりました。営業費は、燃料単価の高騰に伴う動力費等の増加があったものの、車両大規模修繕の両数減少に伴い、406,319千円(前年同期比9.7%減)となりました。結果として、鉄道事業の営業損失は267,824千円(前年同期比20.1%減)となりました。
国内旅行業においては、国内観光需要の回復などにより、手配旅行やJR券の取り扱いが増加し、営業収益は5,154千円(前年同期比73.0%増)となり、営業費は5,465千円(前年同期比6.3%増)、営業損失は311千円(前年同期比85.6%減)となりました。
物品販売業は、穴水町から委託を受けた物産館「四季彩々」を営業しており、鉄道利用者による利用は減少したものの、車等での来店客数は増加し、営業収益は33,733千円(前年同期比29.6%増)となり、営業費は31,286千円(前年同期比16.1%増)、営業利益は2,447千円(前年同期は927千円の営業損失)となりました。
その他事業としては、例年、冬場に落ち込む鉄道の旅客対策として能登地域の冬の名産である牡蠣を炉端焼き等にて提供する飲食業を営業しております。前事業年度は、石川県にまん延防止等重点措置が適用され、2日間で営業を終了しましたが、当事業年度は、鉄道利用者を中心とした予約制にて、21日間の営業を行いました。営業収益は3,091千円(前年同期比1,001.4%増)、営業費は2,379千円(前年同期比367.8%増)、営業利益は711千円(前年同期は228千円の営業損失)となっております。
今後も、地域人口の減少や設備の老朽化に伴う対策など厳しい経営環境が続くと予想され、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (3)対処すべき課題及び経営戦略」に記載した増収施策を今後も続けるとともに、引き続き、営業損失の削減・経営の安定化に努めてまいります。
③キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当社のキャッシュ・フロー状況は、基幹事業である鉄道事業において、継続的に多額の営業損失を計上しており、営業キャッシュ・フローはマイナスの状況が続いており、日々の売上のほか、関係自治体からの補助金等による支援により資金繰りが成り立っている状況です。
当事業年度においては、地方公共団体等補助金として361,555千円を受け入れており、財務活動によるキャッシュ・フローとして計上しております。
また、事業活動における運転資金需要の主なものは、鉄道事業に係る動力費や修繕費等、その他事業における商品仕入、共通するものとして販売費及び一般管理費等の営業費があります。また、設備資金需要としては主に鉄道事業における列車運行の安全確保を目的とした鉄道施設への設備投資であります。