有価証券報告書-第38期(2024/04/01-2025/03/31)
(1)経営成績等の状況の概要
当事業年度における当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
①財政状態及び経営成績の状況
当事業年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症からの回復が本格化し、観光をはじめとする人の移動や消費活動に明るい兆しが見られました。一方で、物価上昇やエネルギー価格の不安定化、国際情勢の緊張など、先行き不透明感は依然として残り、地域経済への影響も懸念される状況が続いております。
このような状況の中、当社の営業基盤である能登地域では、令和6年能登半島地震に加え、同年9月の奥能登豪雨という複合災害が地域に甚大な影響を与えました。観光地や温泉地をはじめとする各地域では復旧の努力が続けられており、日常の再建にはなお時間を要する状況が続いております。そのような中にあって、地域の生活を支える公共交通機関としての役割が、かつてなく問われる一年となりました。
当社は、国・石川県・沿線自治体・西日本旅客鉄道株式会社など関係各所からの支援、地域住民の皆様からの温かい励ましに支えられ、2024年4月6日に全線での運行を再開しました。代行バスの運行や応急復旧工事を通じ、災害下においても地域の移動を確保することに全力で取り組んでまいりました。
全線運行再開後、当社は厳しい利用環境の中にあっても、地域との関連性を保ち、利用促進につなげるための取り組みとして、被災地の現状を伝えることを通じて沿線地域への関心を呼び起こし、観光や交流人口の回復を図るため、「震災語り部列車」の運行、震災後の不安や沈静ムードが続く中で、地域の子どもたちやご家族に元気と笑顔を届けるため、「ポケモン列車」を運行し、家族層を中心とした来訪が見られ、地域のにぎわいや乗車促進にも一定の効果をもたらしました。
いずれの取り組みも、震災後の経営環境の中で、公共性と収益性の両立を図るため取り組んでいるものであり、今後の事業運営においても重要な位置づけとして継続してまいります。
一方で、地震に伴う人口の流出、団体旅行需要の減少、少子化の影響が一層顕在化する中で、当社を取り巻く経営環境は依然として厳しい状況にあります。
このような状況の中、当事業年度の営業収益は155,225千円(前年同期比10.8%減)、営業損失は、地震により当事業年度に繰越した修繕費の増加などによる営業費用の増加で351,883千円(前年同期比33.2%増)となりました。また、営業外収益として、補助金等249,437千円を計上したことにより、経常損失は102,446千円(前年同期比112.0%増)となりました。
なお、当期純損益は特別利益として、施設整備に対する補助金、運営費補助や災害復旧に伴う補助金など825,383千円の計上、特別損失として、固定資産圧縮損や災害による損失等723,066千円の計上により、426千円の当期純損失(前年同期比95.5%減)の計上となりました。
セグメントの業績は、次のとおりであります。
鉄道事業
鉄道事業は、地域住民の生活の足を支え、また地域内外の交流を支える不可欠な公共交通機関として、安全・安定輸送を第一に取り組んでまいりました。当事業年度の輸送人員は地震による県外からの団体客の減少などもあり、433千人(前年同期比5.9%減)となりました。これにより、営業収益は107,328千円(前年同期比23.5%減)となりました。
一方、営業費は、地震により延期していた修繕の実施など、471,112千円(前年同期比16.2%増)となりました。
これらの結果、営業損失は363,783千円(前年同期比37.2%増)となりました。
国内旅行業
国内旅行業は、地震や大雨による旅行需要の減少などにより、営業収益は3,590千円(前年同期比24.4%減)、営業費は4,293千円(前年同期比9.7%減)となりました。
結果として、営業損失702千円(前年同期比14,430.7%増)の計上となりました。
物品販売業
物品販売業は、穴水町から委託を受け、穴水町物産館「四季彩々」の営業を行っております。
店舗は地震の影響もあったものの、周辺施設の営業再開が遅れる中、年度当初から営業を再開し、震災復興やボランティア等で奥能登地域を訪れた方々の応援購入もあり、営業収益は44,305千円(前年同期比52.3%増)となりました。一方、営業費は、31,703千円(前年同期比12.9%増)となりました。
結果として、営業利益は12,602千円(前年同期比1,164.0%増)となりました。
その他事業
その他事業として、例年、冬季限定で能登地域の冬の名産である牡蠣を炉端焼き等にて提供する飲食業の営業を行っておりますが、当事業年度は、前事業年度に引き続き、令和6年能登半島地震のため中止となりました。
②キャッシュ・フローの状況
当事業年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、補助金等の受入による収入、営業活動や設備投資における支出があり、前事業年度末に比べ35,462千円減少し、当事業年度末には57,077千円となりました。
また当事業年度中における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は、次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果使用した資金は425,978千円(前年同期は264,793千円の使用)となりました。
これは、主に減価償却費を除く営業損失345,329千円の計上及び未収消費税の計上によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は95,559千円(前年同期は93,127千円の使用)となりました。
これは、主に鉄道事業の安全対策のためのPC枕木等の設備投資による支出96,360千円の計上によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果獲得した資金は486,075千円(前年同期は367,103千円の獲得)となりました。
これは、地方公共団体等補助金の受入によるものであります。
③財政状態の分析
財政状態の分析は前事業年度末との比較で記載しております。
当事業年度末の総資産は、前事業年度末に比べ590,670千円増加し、841,769千円となりました。
(流動資産)
流動資産は前事業年度末に比べ591,678千円増加し、808,603千円となりました。これは、主に補助金等の未収金や未収消費税等が増加したためであります。
(固定資産)
固定資産は前事業年度末に比べ1,007千円減少し、33,166千円となりました。これは、主に差入保証金の払い戻しによるものであります。
(流動負債)
流動負債は前事業年度末に比べ591,000千円増加し、677,914千円となりました。これは、主に災害工事に係る未払金が増加したことによるものであります。
(固定負債)
固定負債は前事業年度末に比べ96千円増加し、10,947千円となりました。これは、退職給付引当金の増加によるものであります。
(純資産)
純資産は前事業年度末に比べ426千円減少し、152,907千円となりました。これは、当期純損失426千円の計上によるものであります。
④生産、受注及び販売の実績
a.鉄道事業の輸送実績
当事業年度における輸送実績は次のとおりであります。
| 区分 | 前事業年度 (自 2023年4月1日 至 2024年3月31日) | 当事業年度 (自 2024年4月1日 至 2025年3月31日) | |||
| 営業日数 | 339日 | 365日 | |||
| 営業区間 | 七尾~穴水 | 七尾~穴水 | |||
| 営業キロ | 33.1㎞ | 33.1㎞ | |||
| 延日キロ | 11,221日キロ | 12,081日キロ | |||
| 輸送量 | 人 員 (人) | 金 額 (千円) | 人 員 (人) | 金 額 (千円) | 前年同期比 (%) |
| 定期外 | 154,164 | 70,542 | 115,240 | 52,035 | 73.8 |
| 定期 | 306,584 | 50,744 | 318,480 | 49,743 | 98.0 |
| 通勤 | 46,900 | 11,828 | 54,000 | 12,954 | 109.5 |
| 通学 | 259,684 | 38,916 | 264,480 | 36,788 | 94.5 |
| 運輸雑収 | - | 18,933 | - | 5,550 | 29.3 |
| 計 | 460,748 | 140,221 | 433,720 | 107,328 | 76.5 |
(注)1.前年同期比は、金額に対する比較であります。
2.延日キロは、令和6年能登半島地震による全線運休期間(2024年1月2日~2024年1月28日)を除いて算定。2024年1月29日~バス代行開始、2024年2月15日~七尾・能登中島間で運転再開(能登中島・穴水間はバス代行)、2024年4月6日から全線での運行再開。
b.販売実績
当事業年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
| セグメントの名称 | 第38期 (自 2024年4月1日 至 2025年3月31日) | 前年同期比(%) |
| 鉄道事業(千円) | 107,328 | 76.5 |
| 国内旅行業(千円) | 3,590 | 75.6 |
| 物品販売業(千円) | 44,305 | 152.3 |
| 報告セグメント計(千円) | 155,225 | 89.2 |
| その他(千円) | - | - |
| 合計(千円) | 155,225 | 89.2 |
(注)1.セグメント間の取引については、相殺消去しております。
2.その他は、冬季限定の飲食業であり、前事業年度に引き続き、当事業年度も令和6年能登半島地震のため、営業を中止しております。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において判断したものであります。
①重要な会計方針及び見積り
当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。なお、個々の重要な会計方針及び見積りについては、「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項 重要な会計方針」に記載のとおりであります。
なお、当社の財政状態及び経営成績に重要な影響を与える可能性がある事象につきましては、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載のとおりであります。
②当事業年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
当社は、基幹事業である鉄道事業において、地域住民の生活の足を支え、また地域内外の交流を支える不可欠な公共交通機関として、安全・安定輸送を第一に取り組むとともに、鉄道事業の損失を軽減すべく国内旅行業、物品販売業及び飲食業(前事業年度より令和6年能登半島地震のため中止)を営業しております。
当事業年度においては、令和6年能登半島地震に加え、同年9月の奥能登豪雨による複合災害の影響が、当社施設を含む地域全体に甚大な影響を与えました。
当社は国や自治体、西日本旅客鉄道株式会社など関係各所からの支援、地域住民の皆様からの温かい励ましに支えられ、2024年4月6日に全線での運行を再開しました。
運行再開後も厳しい利用環境の中、被災地の現状を伝えるため「震災語り部列車」の運行、地域の子どもたちやご家族に元気と笑顔を届けるため「ポケモン列車」の運行を行いました。
いずれの取り組みも、震災後の経営環境の中で、公共性と収益性の両立を図るための取り組みであり、今後の事業運営においても重要な位置づけとして継続してまいります。
このような状況により、鉄道事業の営業収益は107,328千円(前年同期比23.5%減)となりました。営業費は、能登半島地震のため延期していた修繕費の増加などにより、471,112千円(前年同期比16.2%増)となりました。結果として、鉄道事業の営業損失は363,783千円(前年同期比37.2%増)となりました。
国内旅行業においては、地震や大雨による旅行需要の減少などにより、営業収益は3,590千円(前年同期比24.4%減)となり、営業費は4,293千円(前年同期比9.7%減)、営業損失は702千円(前年同期比14,430.7%増)となりました。
物品販売業においては、穴水町から委託を受けた物産館「四季彩々」を営業しており、震災復興やボランティア等で奥能登地域を訪れた方々の応援購入もあり、営業収益は44,305千円(前年同期比52.3%増)となり、営業費は31,703千円(前年同期比12.9%増)、営業利益は12,602千円(前年同期比1,164.0%増)となりました。
その他事業としては、例年、冬場に落ち込む鉄道旅客需要の喚起策として、能登地域の冬の名産である牡蠣を炉端焼き等にて提供する飲食業を営業しておりますが、前事業年度に引き続き、当事業年度も地震の影響により営業を中止いたしました。
また、急速に進む人口減少や通学需要の縮小、観光地の再建が進行中であることなど、当社と取り巻く環境は今後も厳しさを増してくことが見込まれます。これらは一過性の課題ではなく、地域と公共交通の将来をともに考える中長期的な経営課題と捉えており、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (3)対処すべき課題及び経営戦略」に記載した増収施策を今後も続けるとともに、持続可能な経営と公共性の両立を今後も追求してまいります。
③キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当社のキャッシュ・フロー状況は、基幹事業である鉄道事業において、継続的に多額の営業損失を計上しており、営業キャッシュ・フローはマイナスの状況が続いており、日々の売上のほか、関係自治体からの補助金等による支援により資金繰りが成り立っている状況です。
当事業年度においては、地方公共団体等補助金として486,075千円を受け入れており、財務活動によるキャッシュ・フローとして計上しております。
また、事業活動における運転資金需要の主なものは、鉄道事業に係る動力費や修繕費等、その他事業における商品仕入、共通するものとして販売費及び一般管理費等の営業費があります。また、設備資金需要としては主に鉄道事業における列車運行の安全確保を目的とした鉄道施設への設備投資であります。