有価証券報告書-第87期(2024/04/01-2025/03/31)
(1) 経営成績等の状況の概要
①経営成績の状況
(単位:百万円)
当連結会計年度は、昨年度と同様の地政学リスクを背景とした資源高と円安によりエネルギー価格は高値圏で推移し食料品の値上げも重なり実質賃金はマイナスとなり、年度後半にかけて個人消費は弱含み景気回復は鈍化いたしました。
また、中国経済の不動産不況による景気低迷やロシアとウクライナの戦争長期化に加え、中東情勢の緊迫化や米国トランプ政権の発足で、世界経済は不透明感を深める状況となりました。
当社グループの主たる事業である曳船事業を取り巻く状況につきましては、曳船作業対象船舶の東京湾への入出港数は、堅調を維持していた自動車専用船、コンテナ船は減少に転じ、大型タンカーを中心に危険物積載船は弱含みで推移いたしました。
洋上風力発電交通船(CTV)は、前期の秋田港・能代港、石狩新港での建設用作業が終了し、富山県入善港と北九州ひびき灘での稼働となり減収となりました。
旅客船事業では、カーフェリー部門で昨年度末に発生した岸壁接触事故による船体損傷の影響で減収となりましたが、横浜港のレストラン船は好調を維持し増収となりました。
このような経済環境のなかで、当社グループは総力を挙げて業績向上に努めた結果、売上高は474百万円減少し12,041百万円(前期比3.8%減)となりました。
利益面では、ベースアップや労働時間の規制が強化されたことで人件費が162百万円増加し、洋上風力発電交通船(CTV)の新造や建造価額の上昇で減価償却費が254百万円の増加となりましたが、CTV事業の稼働減少に伴い用船料が165百万円減少いたしました。
この結果、曳船事業の減収が響き511百万円の営業損失(前期は368百万円の営業利益)となり、経常損失は259百万円(前期は684百万円の経常利益)となりました。
また、特別利益として投資有価証券売却益が2,081百万円、関係会社株式売却益が221百万円、また固定資産(曳船)売却益が497百万円発生し、親会社株主に帰属する当期純利益は2,044百万円(前期比256.9%増)となりました。
セグメント別の売上高(上段)及び営業損益(下段)の概況は下記のとおりです。
(単位:百万円)
(注)売上高は外部顧客に対する売上高を表示しております。
曳船事業
曳船事業は、横浜川崎地区では、作業対象船舶のうち中小型コンテナ船の入出港数が増加となったものの、大型コンテナ船の減少は第4四半期に入りさらに拡大いたしました。また、堅調に推移していた自動車船の入出港数は減少に転じ、精油所の定期修繕の影響もあり大型タンカーを中心に危険物積載船の低迷が響き減収となりました。作業対象船舶がコンテナ船中心である東京地区も減少に転じ減収となりました。横須賀地区では、エスコート作業対象外の中小型コンテナ船が増加した上に、大型タンカーやLNG船の減少傾向が響き減収となりました。千葉地区では、昨年度低迷していた危険物積載船の入港数が回復したものの、大型鉱石船を中心にほぼ全ての船種が減少し減収となりました。
一方、洋上風力発電交通船(CTV)は、前期の秋田港・能代港、石狩新港での建設用作業が終了し、富山県入善港と北九州ひびき灘でのO&M作業用の稼働と一部短期の建設用作業となり減収となりました。
この結果、曳船事業セグメントの売上高は561百万円減少し9,004百万円(前期比5.9%減)となり、393百万円の営業損失(前期は397百万円の営業利益)となりました。
旅客船事業
旅客船事業は、横浜港における観光船部門では、レストラン船マリーンルージュは年間を通じて堅調に推移し、また、山下公園シーバス発着所が8月にリニューアルオープンしたこともあり増収となりました。
久里浜・金谷間を結ぶカーフェリー部門では、昨年度末に強風による岸壁接触事故で運航休止を余儀なくされました。復帰は8月10日と予想より約2カ月早まったものの、シルバーウィークや秋の観光需要期に強風による欠航が痛手となりました。また、食料品の値上りやガソリン価格の高止まりの影響で節約志向が高まり、観光バス団体客やマイカーでの利用客は減少し、売上高は前期並みに留まりました。
この結果、旅客船事業セグメントの売上高は90百万円増加し2,476百万円(前期比3.8%増)となりましたが、船員の労働時間の規制が強化されたことで人件費が増加し115百万円の営業損失(前期は29百万円の営業損失)となりました。
売店・食堂事業
売店・食堂事業は、カーフェリー部門の運航休止の影響を受け低迷し、売店・食堂事業セグメントの売上高は3百万円減少し560百万円(前期比0.6%減)となり、15百万円の営業損失(前期は5百万円の営業損失)となりました。
②財政状態の概況
資産、負債及び純資産の状況
当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末に比べ2,143百万円増加し31,261百万円となりました。
流動資産の部では、現金及び預金は406百万円増加し、その他流動資産が576百万円減少いたしました。固定資産の部では、曳船の代替船建造と洋上風力発電交通船(CTV)の竣工により船舶が1,561百万円増加し、投資有価証券が183百万円増加し、関連会社の設立や追加取得を主因として関係会社株式が149百万円増加いたしました。
負債は、前連結会計年度末に比べ、49百万円減少し6,466百万円となりました。流動負債の部では、未払法人税等が90百万円増加いたしました。固定負債の部では、長期借入金が105百万円、リース債務が123百万円減少し、特別修繕引当金が125百万円増加いたしました。
純資産は、前連結会計年度末に比べ、2,193百万円増加し24,794百万円となりました。これは主に親会社株主に帰属する当期純利益が2,044百万円となり、剰余金の配当を198百万円実施したことにより利益剰余金が1,844百万円増加、その他有価証券評価差額金が142百万円増加し、為替換算調整勘定が185百万円増加したことによるものです。
この結果、自己資本比率は前連結会計年度末の74.2%から76.0%と1.8ポイント増加いたしました。
③キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ1,406百万円増加し6,761百万円となりました。
(単位:百万円)
当連結会計年度に係る区分ごとのキャッシュ・フローの状況は以下のとおりとなりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における営業活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度に比べ588百万円増加し1,206百万円の資金取得となりました。資金収支の主な内訳は、税金等調整前当期純利益が2,471百万円となり、減価償却費が1,622百万円計上されました。また、投資有価証券売却益が2,081百万円、関係会社株式売却益が221百万円、法人税等の支払額が535百万円発生したことです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における投資活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度に比べ1,275百万円支出が減少し636百万円の資金取得となりました。資金収支の主な内訳は、曳船の購入と設備更新(曳船の代替)に加え洋上風力発電交通船(CTV)の建造により有形固定資産の取得による支出が3,648百万円となりましたが、有形固定資産の売却による収入が1,126百万円発生いたしました。また、預入期間が3カ月を超える定期預金の解約による収入が預入による支出を1,000百万円上回り、投資有価証券の売却による収入が2,104百万円、関係会社株式の売却による収入が222百万円発生したことです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における財務活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度に比べ552百万円減少し432百万円の資金支出となりました。資金収支の主な内訳は、長期借入金の返済による支出が79百万円、リース債務の返済による支出が137百万円、配当金の支払い額が199百万円発生したことです。
④生産、受注及び販売の実績
当社グループの報告セグメントは、曳船事業、旅客船事業、売店・食堂事業であり、生産及び受注を伴う事業ではないため生産及び受注の実績については記載を省略し、販売の実績については「①経営成績の状況」におけるセグメント別の経営成績に関連付けて記載しております。
最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点における当社グループの経営成績等に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
A.経営成績
(売上高)
当社グループ全体の売上高は、主力の曳船事業が大幅な減収となったことで、前期に比べ474百万円減少し12,041百万円(前期比3.8%減)となりました。
特に横浜川崎地区では、作業対象船舶のうちサービスレートでの作業となる中小型コンテナ船が増加いたしました。また、危険物積載船の入港数の低迷が続くなか、大型コンテナ船や自動車専用船の減少が第4四半期に入り拡大し、減収幅が拡大いたしました。東京地区でも同様に中小型コンテナ船が増加し採算が悪化いたしました。横須賀地区では、自動車専用船の減少で湾口水先艇作業が減少し、エスコート作業対象外の中小型コンテナ船の増加もあり減収となりました。千葉地区では、前期低調であった大型タンカー等の危険物積載船が反動増となりましたが、大型鉱石船を中心にほぼ全ての船種が減少し減収となりました。
CTV事業では、秋田港・能代港や石狩新港での建設用の洋上風力発電交通船(CTV)の稼働が終了し、富山県入善港と北九州ひびき灘でのO&M作業用の稼働と一部短期の建設用作業となり減収となりました。
旅客船事業においては、横浜港で運航しているレストラン船「マリーンルージュ」の利用客が年間を通じて好調を維持し、また、リニューアル工事で閉鎖中であった山下公園発着所が8月に再開されたこともあり増収となりました。
久里浜・金谷間を結ぶカーフェリー部門では、運航船舶2隻のうち「しらはま丸」が2024年3月に強風による岸壁接触事故が発生し、1隻での運航を余儀なくされ大幅な減収が予想されました。しかし、復帰が約2カ月早まり8月10日に再開されたことや、4月からの値上げ効果で売上高はほぼ前期並みとなりました。
カーフェリーに附随する売店・食堂事業では、4月から値上げを実施しましたが上記の岸壁接触事故の影響を受けほぼ横ばいとなりました。
(営業利益)
売上原価は、393百万円増加し10,583百万円(前期比3.9%増)となりました。乗組員の労働時間の規制強化やベースアップにより人件費が162百万円増加し、曳船の建造価額の高騰やCTV2隻の新規投資により減価償却費が254百万円増加いたしました。一方、用船料はCTVの運航が秋田港・能代港、石狩新港で終了したことを受け165百万円減少いたしました。
その結果、曳船事業の減収が響き511百万円の営業損失(前期は368百万円の営業利益)となりました。
曳船事業セグメントでは、人件費や減価償却費が増加し用船料は減少しましたが、同事業の大幅な減収が響き、393百万円の営業損失(前期は397百万円の営業利益)となりました。
旅客船事業セグメントでは、乗組員の労働時間の規制強化で時間外手当が増加し、山下公園発着所の地代家賃や修繕費が増加し、前期に比べ増収とはなりましたが115百万円の営業損失(前期は29百万円の営業損失)となりました。
売店・食堂事業セグメントでは、物価高騰で食料品原価が上昇し15百万円の営業損失(前期は5百万円の営業損失)となりました。
(経常利益)
経常損益は、受取配当金が76百万円(前期比1百万円減)、持分法による投資利益が163百万円(前期比13百万円減)計上されましたが、259百万円の経常損失(前期は684百万円の経常利益)となりました。
(親会社株主に帰属する当期純利益)
親会社株主に帰属する当期純利益は、政策保有株式を売却し投資有価証券売却益が2,081百万円、関係会社株式売却益が221百万円計上されたことで、2,044百万円(前期比256.9%増)となり過去最高益になりました。
B.財政状態
財政状態につきましては、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要」に記載しております。
②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当社グループの運転資金需要のうち主なものは、営業原価、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。また、投資を目的とした資金需要は、主に曳船の設備更新と洋上風力発電交通船(CTV)の建造資金です。
短期運転資金は自己資金及び金融機関からの短期借入金を基本としており、設備投資や長期運転資金の調達につきましては自己資金及びファイナンス・リースを基本としております。
2025年3月期の曳船2隻の設備更新及びCTV2隻の建造資金は、自己資金を充当いたしました。
重要な設備投資等の予定及びその資金調達方法については、「第3 設備の状況 3 設備の新設、除却等の計画」に記載しております。
③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表の作成に係る会計方針及び見積りについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項、重要な会計上の見積り」に記載しております。
④次期の見通しについて
今後の見通しにつきましては、ロシア・ウクライナ戦争の長期化や、中東情勢の緊迫化に加え、米国トランプ大統領の通商政策により世界経済に及ぼす悪影響が懸念され、海上物流が混乱する恐れが高まっています。
主力の曳船事業では、曳船作業対象船舶の東京湾への入港数の漸減傾向が続くなか、米国の追加関税政策により自動車専用船の運航は大幅に減少する懸念があります。このような事態に対処するため、曳船船隊規模を柔軟に最適化してまいります。
2025年5月からの港湾曳船作業料率やエスコート作業料率を値上げしましたが、湾口水先艇作業の料金についても適正化を進めると同時に、曳船の配船効率化により収支改善を図っていく方針です。
旅客船事業においては、賃金の上昇が消費者物価には届いておらず、足元個人消費は弱含んでおり、観光需要に水を差すことが懸念されます。
このうち横浜港の観光船部門では、地元の同業者と新規に設立した合弁会社(持分法適用会社)に事業を移管し、協働で強みを生かし需要拡大を図る計画です。このため、同部門の連結売上高と営業費用は大幅に減少いたします。
カーフェリー部門では、老朽化している船舶の代替建造を視野に入れ、事業再構築を図ってまいります。
また、当社の持分法適用非連結子会社である株式会社横浜貿易ビルの所有する土地と建物を2025年10月以降に売却する予定です。その内容につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項 重要な後発事象」に記載のとおり、同社において固定資産売却益が発生し、譲渡予定日の第3四半期以降に約44億円の持分法による投資利益として営業外収益に計上する見込みです。
これを踏まえ通期の連結業績予想につきましては、売上高12,739百万円、営業利益138百万円、経常利益4,748百万円、親会社株主に帰属する当期純利益4,904百万円を予想しております。
①経営成績の状況
(単位:百万円)
| 前連結会計年度 | 当連結会計年度 | 増減額 | 増減率 | |
| 売上高 | 12,515 | 12,041 | △474 | △3.8% |
| 売上原価 | 10,190 | 10,583 | 393 | 3.9% |
| 販売費及び一般管理費 | 1,957 | 1,969 | 11 | 0.6% |
| 営業利益又は営業損失(△) | 368 | △511 | △879 | - |
| 経常利益又は経常損失(△) | 684 | △259 | △943 | - |
| 親会社株主に帰属する当期純利益 | 572 | 2,044 | 1,471 | 256.9% |
当連結会計年度は、昨年度と同様の地政学リスクを背景とした資源高と円安によりエネルギー価格は高値圏で推移し食料品の値上げも重なり実質賃金はマイナスとなり、年度後半にかけて個人消費は弱含み景気回復は鈍化いたしました。
また、中国経済の不動産不況による景気低迷やロシアとウクライナの戦争長期化に加え、中東情勢の緊迫化や米国トランプ政権の発足で、世界経済は不透明感を深める状況となりました。
当社グループの主たる事業である曳船事業を取り巻く状況につきましては、曳船作業対象船舶の東京湾への入出港数は、堅調を維持していた自動車専用船、コンテナ船は減少に転じ、大型タンカーを中心に危険物積載船は弱含みで推移いたしました。
洋上風力発電交通船(CTV)は、前期の秋田港・能代港、石狩新港での建設用作業が終了し、富山県入善港と北九州ひびき灘での稼働となり減収となりました。
旅客船事業では、カーフェリー部門で昨年度末に発生した岸壁接触事故による船体損傷の影響で減収となりましたが、横浜港のレストラン船は好調を維持し増収となりました。
このような経済環境のなかで、当社グループは総力を挙げて業績向上に努めた結果、売上高は474百万円減少し12,041百万円(前期比3.8%減)となりました。
利益面では、ベースアップや労働時間の規制が強化されたことで人件費が162百万円増加し、洋上風力発電交通船(CTV)の新造や建造価額の上昇で減価償却費が254百万円の増加となりましたが、CTV事業の稼働減少に伴い用船料が165百万円減少いたしました。
この結果、曳船事業の減収が響き511百万円の営業損失(前期は368百万円の営業利益)となり、経常損失は259百万円(前期は684百万円の経常利益)となりました。
また、特別利益として投資有価証券売却益が2,081百万円、関係会社株式売却益が221百万円、また固定資産(曳船)売却益が497百万円発生し、親会社株主に帰属する当期純利益は2,044百万円(前期比256.9%増)となりました。
セグメント別の売上高(上段)及び営業損益(下段)の概況は下記のとおりです。
(単位:百万円)
| セグメントの名称 | 前連結会計年度 | 当連結会計年度 | 増減額 | 増減率 |
| 曳船事業 | 9,565 | 9,004 | △561 | △5.9% |
| 397 | △393 | △790 | - | |
| 旅客船事業 | 2,386 | 2,476 | 90 | 3.8% |
| △29 | △115 | △86 | - | |
| 売店・食堂事業 | 563 | 560 | △3 | △0.6% |
| △5 | △15 | △9 | - |
(注)売上高は外部顧客に対する売上高を表示しております。
曳船事業
曳船事業は、横浜川崎地区では、作業対象船舶のうち中小型コンテナ船の入出港数が増加となったものの、大型コンテナ船の減少は第4四半期に入りさらに拡大いたしました。また、堅調に推移していた自動車船の入出港数は減少に転じ、精油所の定期修繕の影響もあり大型タンカーを中心に危険物積載船の低迷が響き減収となりました。作業対象船舶がコンテナ船中心である東京地区も減少に転じ減収となりました。横須賀地区では、エスコート作業対象外の中小型コンテナ船が増加した上に、大型タンカーやLNG船の減少傾向が響き減収となりました。千葉地区では、昨年度低迷していた危険物積載船の入港数が回復したものの、大型鉱石船を中心にほぼ全ての船種が減少し減収となりました。
一方、洋上風力発電交通船(CTV)は、前期の秋田港・能代港、石狩新港での建設用作業が終了し、富山県入善港と北九州ひびき灘でのO&M作業用の稼働と一部短期の建設用作業となり減収となりました。
この結果、曳船事業セグメントの売上高は561百万円減少し9,004百万円(前期比5.9%減)となり、393百万円の営業損失(前期は397百万円の営業利益)となりました。
旅客船事業
旅客船事業は、横浜港における観光船部門では、レストラン船マリーンルージュは年間を通じて堅調に推移し、また、山下公園シーバス発着所が8月にリニューアルオープンしたこともあり増収となりました。
久里浜・金谷間を結ぶカーフェリー部門では、昨年度末に強風による岸壁接触事故で運航休止を余儀なくされました。復帰は8月10日と予想より約2カ月早まったものの、シルバーウィークや秋の観光需要期に強風による欠航が痛手となりました。また、食料品の値上りやガソリン価格の高止まりの影響で節約志向が高まり、観光バス団体客やマイカーでの利用客は減少し、売上高は前期並みに留まりました。
この結果、旅客船事業セグメントの売上高は90百万円増加し2,476百万円(前期比3.8%増)となりましたが、船員の労働時間の規制が強化されたことで人件費が増加し115百万円の営業損失(前期は29百万円の営業損失)となりました。
売店・食堂事業
売店・食堂事業は、カーフェリー部門の運航休止の影響を受け低迷し、売店・食堂事業セグメントの売上高は3百万円減少し560百万円(前期比0.6%減)となり、15百万円の営業損失(前期は5百万円の営業損失)となりました。
②財政状態の概況
資産、負債及び純資産の状況
当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末に比べ2,143百万円増加し31,261百万円となりました。
流動資産の部では、現金及び預金は406百万円増加し、その他流動資産が576百万円減少いたしました。固定資産の部では、曳船の代替船建造と洋上風力発電交通船(CTV)の竣工により船舶が1,561百万円増加し、投資有価証券が183百万円増加し、関連会社の設立や追加取得を主因として関係会社株式が149百万円増加いたしました。
負債は、前連結会計年度末に比べ、49百万円減少し6,466百万円となりました。流動負債の部では、未払法人税等が90百万円増加いたしました。固定負債の部では、長期借入金が105百万円、リース債務が123百万円減少し、特別修繕引当金が125百万円増加いたしました。
純資産は、前連結会計年度末に比べ、2,193百万円増加し24,794百万円となりました。これは主に親会社株主に帰属する当期純利益が2,044百万円となり、剰余金の配当を198百万円実施したことにより利益剰余金が1,844百万円増加、その他有価証券評価差額金が142百万円増加し、為替換算調整勘定が185百万円増加したことによるものです。
この結果、自己資本比率は前連結会計年度末の74.2%から76.0%と1.8ポイント増加いたしました。
③キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ1,406百万円増加し6,761百万円となりました。
(単位:百万円)
| 科目 | 前連結会計年度 | 当連結会計年度 | 増減額 |
| 現金及び現金同等物の期首残高 | 5,236 | 5,355 | 119 |
| Ⅰ.営業活動によるキャッシュ・フロー | 618 | 1,206 | 588 |
| Ⅱ.投資活動によるキャッシュ・フロー | △639 | 636 | 1,275 |
| Ⅲ.財務活動によるキャッシュ・フロー | 120 | △432 | △552 |
| 現金及び現金同等物の増加額(△は減少) | 119 | 1,406 | 1,286 |
| 現金及び現金同等物に係る換算差額 | 20 | △4 | △25 |
| 現金及び現金同等物の期末残高 | 5,355 | 6,761 | 1,406 |
当連結会計年度に係る区分ごとのキャッシュ・フローの状況は以下のとおりとなりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における営業活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度に比べ588百万円増加し1,206百万円の資金取得となりました。資金収支の主な内訳は、税金等調整前当期純利益が2,471百万円となり、減価償却費が1,622百万円計上されました。また、投資有価証券売却益が2,081百万円、関係会社株式売却益が221百万円、法人税等の支払額が535百万円発生したことです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における投資活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度に比べ1,275百万円支出が減少し636百万円の資金取得となりました。資金収支の主な内訳は、曳船の購入と設備更新(曳船の代替)に加え洋上風力発電交通船(CTV)の建造により有形固定資産の取得による支出が3,648百万円となりましたが、有形固定資産の売却による収入が1,126百万円発生いたしました。また、預入期間が3カ月を超える定期預金の解約による収入が預入による支出を1,000百万円上回り、投資有価証券の売却による収入が2,104百万円、関係会社株式の売却による収入が222百万円発生したことです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における財務活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度に比べ552百万円減少し432百万円の資金支出となりました。資金収支の主な内訳は、長期借入金の返済による支出が79百万円、リース債務の返済による支出が137百万円、配当金の支払い額が199百万円発生したことです。
④生産、受注及び販売の実績
当社グループの報告セグメントは、曳船事業、旅客船事業、売店・食堂事業であり、生産及び受注を伴う事業ではないため生産及び受注の実績については記載を省略し、販売の実績については「①経営成績の状況」におけるセグメント別の経営成績に関連付けて記載しております。
最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
| 相手先 | 前連結会計年度 | 当連結会計年度 | ||
| 金額(千円) | 割合(%) | 金額(千円) | 割合(%) | |
| 東京湾海事事業協同組合 | 1,301,520 | 10.40 | 1,319,793 | 10.96 |
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点における当社グループの経営成績等に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
A.経営成績
(売上高)
当社グループ全体の売上高は、主力の曳船事業が大幅な減収となったことで、前期に比べ474百万円減少し12,041百万円(前期比3.8%減)となりました。
特に横浜川崎地区では、作業対象船舶のうちサービスレートでの作業となる中小型コンテナ船が増加いたしました。また、危険物積載船の入港数の低迷が続くなか、大型コンテナ船や自動車専用船の減少が第4四半期に入り拡大し、減収幅が拡大いたしました。東京地区でも同様に中小型コンテナ船が増加し採算が悪化いたしました。横須賀地区では、自動車専用船の減少で湾口水先艇作業が減少し、エスコート作業対象外の中小型コンテナ船の増加もあり減収となりました。千葉地区では、前期低調であった大型タンカー等の危険物積載船が反動増となりましたが、大型鉱石船を中心にほぼ全ての船種が減少し減収となりました。
CTV事業では、秋田港・能代港や石狩新港での建設用の洋上風力発電交通船(CTV)の稼働が終了し、富山県入善港と北九州ひびき灘でのO&M作業用の稼働と一部短期の建設用作業となり減収となりました。
旅客船事業においては、横浜港で運航しているレストラン船「マリーンルージュ」の利用客が年間を通じて好調を維持し、また、リニューアル工事で閉鎖中であった山下公園発着所が8月に再開されたこともあり増収となりました。
久里浜・金谷間を結ぶカーフェリー部門では、運航船舶2隻のうち「しらはま丸」が2024年3月に強風による岸壁接触事故が発生し、1隻での運航を余儀なくされ大幅な減収が予想されました。しかし、復帰が約2カ月早まり8月10日に再開されたことや、4月からの値上げ効果で売上高はほぼ前期並みとなりました。
カーフェリーに附随する売店・食堂事業では、4月から値上げを実施しましたが上記の岸壁接触事故の影響を受けほぼ横ばいとなりました。
(営業利益)
売上原価は、393百万円増加し10,583百万円(前期比3.9%増)となりました。乗組員の労働時間の規制強化やベースアップにより人件費が162百万円増加し、曳船の建造価額の高騰やCTV2隻の新規投資により減価償却費が254百万円増加いたしました。一方、用船料はCTVの運航が秋田港・能代港、石狩新港で終了したことを受け165百万円減少いたしました。
その結果、曳船事業の減収が響き511百万円の営業損失(前期は368百万円の営業利益)となりました。
曳船事業セグメントでは、人件費や減価償却費が増加し用船料は減少しましたが、同事業の大幅な減収が響き、393百万円の営業損失(前期は397百万円の営業利益)となりました。
旅客船事業セグメントでは、乗組員の労働時間の規制強化で時間外手当が増加し、山下公園発着所の地代家賃や修繕費が増加し、前期に比べ増収とはなりましたが115百万円の営業損失(前期は29百万円の営業損失)となりました。
売店・食堂事業セグメントでは、物価高騰で食料品原価が上昇し15百万円の営業損失(前期は5百万円の営業損失)となりました。
(経常利益)
経常損益は、受取配当金が76百万円(前期比1百万円減)、持分法による投資利益が163百万円(前期比13百万円減)計上されましたが、259百万円の経常損失(前期は684百万円の経常利益)となりました。
(親会社株主に帰属する当期純利益)
親会社株主に帰属する当期純利益は、政策保有株式を売却し投資有価証券売却益が2,081百万円、関係会社株式売却益が221百万円計上されたことで、2,044百万円(前期比256.9%増)となり過去最高益になりました。
B.財政状態
財政状態につきましては、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要」に記載しております。
②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当社グループの運転資金需要のうち主なものは、営業原価、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。また、投資を目的とした資金需要は、主に曳船の設備更新と洋上風力発電交通船(CTV)の建造資金です。
短期運転資金は自己資金及び金融機関からの短期借入金を基本としており、設備投資や長期運転資金の調達につきましては自己資金及びファイナンス・リースを基本としております。
2025年3月期の曳船2隻の設備更新及びCTV2隻の建造資金は、自己資金を充当いたしました。
重要な設備投資等の予定及びその資金調達方法については、「第3 設備の状況 3 設備の新設、除却等の計画」に記載しております。
③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表の作成に係る会計方針及び見積りについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項、重要な会計上の見積り」に記載しております。
④次期の見通しについて
今後の見通しにつきましては、ロシア・ウクライナ戦争の長期化や、中東情勢の緊迫化に加え、米国トランプ大統領の通商政策により世界経済に及ぼす悪影響が懸念され、海上物流が混乱する恐れが高まっています。
主力の曳船事業では、曳船作業対象船舶の東京湾への入港数の漸減傾向が続くなか、米国の追加関税政策により自動車専用船の運航は大幅に減少する懸念があります。このような事態に対処するため、曳船船隊規模を柔軟に最適化してまいります。
2025年5月からの港湾曳船作業料率やエスコート作業料率を値上げしましたが、湾口水先艇作業の料金についても適正化を進めると同時に、曳船の配船効率化により収支改善を図っていく方針です。
旅客船事業においては、賃金の上昇が消費者物価には届いておらず、足元個人消費は弱含んでおり、観光需要に水を差すことが懸念されます。
このうち横浜港の観光船部門では、地元の同業者と新規に設立した合弁会社(持分法適用会社)に事業を移管し、協働で強みを生かし需要拡大を図る計画です。このため、同部門の連結売上高と営業費用は大幅に減少いたします。
カーフェリー部門では、老朽化している船舶の代替建造を視野に入れ、事業再構築を図ってまいります。
また、当社の持分法適用非連結子会社である株式会社横浜貿易ビルの所有する土地と建物を2025年10月以降に売却する予定です。その内容につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項 重要な後発事象」に記載のとおり、同社において固定資産売却益が発生し、譲渡予定日の第3四半期以降に約44億円の持分法による投資利益として営業外収益に計上する見込みです。
これを踏まえ通期の連結業績予想につきましては、売上高12,739百万円、営業利益138百万円、経常利益4,748百万円、親会社株主に帰属する当期純利益4,904百万円を予想しております。