有価証券報告書-第83期(令和2年4月1日-令和3年3月31日)
(1) 経営成績等の状況の概要
①経営成績の状況
当連結会計年度における日本経済は、上期は新型コロナウイルスの感染拡大に伴い景気は大きく落ち込んだものの、下期に入り中国経済が他国に先立ち回復し、米国は年明け後にワクチン接種効果が出始め、海外経済が景気回復に向かうなか製造業は改善傾向となりました。
一方、非製造業のうち航空・運輸、観光産業や飲食業界においては大幅な減収が響き深刻な状況となっており、業種間にばらつきが見られております。
また、企業の設備投資は、新型コロナウイルス感染症の先行き不透明な状況下で慎重な姿勢が見られ、個人消費は、政府による特別定額給付金や「GO TOキャンペーン」による需要喚起策が実施され効果が表れ始めたものの、昨年末以降の第3波による感染再拡大が水を差す結果となりました。
このような経済環境のなかで、当社グループの主たる事業である曳船事業を取り巻く状況につきましては、新型コロナウイルス感染症が海上物流に与える悪影響は4月に入り出始め、第3四半期の10月までは東京湾への入出港船舶数の減少傾向は続いておりましたが、11月以降一部の船種に底打ち感が見え始め、第4四半期(1月~3月)には売上は前年と同水準となりました。
一方、旅客船事業では、新型コロナウイルス感染拡大と天候不順が重なり夏場の需要期も大きく低迷しました。9月に入り「GO TOキャンペーン」の効果が出始めたものの、昨年末以降の第3波による感染再拡大により期末にかけて業績はさらに悪化し、先行き不透明感が増大する事態となっております。
このようなコロナ禍での未曽有の経営環境のなかで、当社グループ全体の売上高は1,936百万円減少し9,889百万円(前期比16.4%減)と大幅な減収となりました。
利益面では、原油価格は第4四半期に入り上昇傾向となりましたが、上期の景気減速を受け通期では低水準となり、燃料費は300百万円減少しましたが、大幅な減収が響き621百万円の営業損失(前期は170百万円の営業利益)、340百万円の経常損失(前期は503百万円の経常利益)となりました。
親会社株主に帰属する当期純利益は、固定資産売却益(曳船売却益)が発生しましたが、旅客船事業で臨時休業等による損失や貸倒引当金繰入額が発生し、94百万円の当期純損失(前期は300百万円の当期純利益)となりました。
セグメント別の業績を示すと、次のとおりです。
曳船事業
曳船事業は、横浜川崎地区では、コンテナ船、自動車専用船、大型タンカーへの作業数は第4四半期において上昇に転じましたが、通期ではほぼ全ての船種の入出港船舶数が減少し減収となりました。東京地区では、第2四半期まではコンテナ船の入出港数は微減に留まりましたが、第3四半期以降はしだいに陰りが見えはじめ期末にかけて減少幅が拡大いたしました。横須賀地区では、コンテナ船、危険物積載船や大型客船を中心に入出港数が減少し、エスコート作業や東京湾口水先艇の乗下船作業が減少し大幅な減収となりました。千葉地区では、プロダクトタンカーが増加しましたが、大型タンカー・LNG船等の危険物積載船が減少し減収となりました。
この結果、曳船事業セグメントの売上高は783百万円減少し8,117百万円(前期比8.8%減)となり、燃料費は減少したものの大幅な減収が響き27百万円の営業利益(前期比94.9%減)に留まりました。
旅客船事業
旅客船事業は、横浜港における観光船部門では、新型コロナウイルス感染症の拡大を回避するため4月から観光船を運休しておりましたが、一部を除き5月25日から運航再開となりました。夏場の需要期は、猛暑と船内での感染リスク懸念から客足は伸びず、9月に入り政府による「GO TOキャンペーン」の効果が出始めたものの、観光船の利用客は昨年末以降の第3波の感染再拡大により激減し大幅な減収となりました。
久里浜・金谷間を結ぶカーフェリー部門では、4月に入りバスツアー団体客の利用がなくなり、さらに、ゴールデンウィーク期間中の運休やその後の減便での運航に加え、外出自粛要請から一般の利用客も大幅に減少いたしました。第3四半期に入り、政府による上記の観光需要喚起策で一般の利用客は戻り始めましたが、今年に入り観光船同様に感染再拡大により大幅な減収となりました。
この結果、旅客船事業セグメントの売上高は882百万円減少し1,398百万円(前期比38.7%減)となり、営業費用のうち燃料費は運航休止により減少しましたが、大幅な減収が響き580百万円の営業損失(前期は325百万円の営業損失)となりました。
売店・食堂事業
売店・食堂事業は、新型コロナウイルス感染症拡大の原因とされる団体による旅行・飲食が敬遠されるなか、4月に入りカーフェリー部門同様にバスツアー団体客の利用が途絶え、旗艦店金谷センターだけでなく久里浜センターも大打撃を受けました。
この結果、売上高は270百万円減少し373百万円(前期比42.0%減)となり68百万円の営業損失(前期は39百万円の営業損失)となりました。
②財政状態の概況
資産、負債及び純資産の状況
当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末に比べ297百万円増加し26,993百万円となりました。
流動資産の部では、現金及び預金は洋上風力発電交通船(CTV=Crew Transfer Vessel)への設備投資を主因として2,502百万円減少いたしました。また、リース契約に基づき洋上風力発電交通船(CTV)をリース会社へ売却し未収金が発生し、その他流動資産が732百万円増加いたしました。固定資産の部では、曳船の設備更新に加え上記のCTV新規投資により建設仮勘定が908百万円増加いたしました。
負債は、前連結会計年度末に比べ、231百万円増加し5,716百万円となりました。流動負債の部では、支払手形及び買掛金が44百万円増加し、洋上風力発電交通船(CTV) のリース債務及び未払金の増加により、その他流動負債が164百万円増加いたしました。固定負債の部では、上記リース債務が341百万円増加し、デリバティブ債務の決済期日が1年内となったことで流動負債の部その他に振替え、その他固定負債が152百万円減少いたしました。
純資産は、前連結会計年度末に比べ、65百万円増加し21,277百万円となりました。これは主に94百万円の親会社株主に帰属する当期純損失と、剰余金の配当を198百万円実施したことにより利益剰余金が293百万円減少し、その他有価証券評価差額金が216百万円、繰延ヘッジ損益が91百万円増加したことによるものです。
この結果、自己資本比率は前連結会計年度末の76.1%から75.5%と0.6ポイント減少いたしました。
③キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ1,397百万円増加し4,152百万円となりました。
当連結会計年度に係る区分ごとのキャッシュ・フローの状況は以下のとおりとなりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における営業活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度に比べ835百万円減少し231百万円の資金取得となりました。資金収支の主な内訳は、税金等調整前当期純損失が2百万円となり、減価償却費が1,146百万円、法人税等の支払額が235百万円、固定資産売却益が405百万円発生したことです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における投資活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度に比べ1,891百万円支出が減少し1,404百万円の資金取得となりました。資金収支の主な内訳は、設備更新(曳船の代替)と洋上風力発電交通船(CTV)4隻の建造及び購入により有形固定資産取得による支出が2,841百万円発生しましたが、有形固定資産売却による収入が454百万円、預入期間が3カ月を超える定期預金の払戻による収入が預入による支出を3,900百万円上回りました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における財務活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度に比べ160百万円減少し238百万円の資金支出となりました。資金収支の主な内訳は、長期借入金を128百万円返済したこと、配当金の支払額が193百万円発生したことです。
④生産、受注及び販売の実績
当社グループの報告セグメントは、曳船事業、旅客船事業、売店・食堂事業であり、生産及び受注を伴う事業ではないため生産及び受注の実績については記載を省略し、販売の実績については「①経営成績の状況」におけるセグメント別の経営成績に関連付けて記載しております。
最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
(注)上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点における当社グループの経営成績等に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
A.経営成績
(売上高)
曳船事業においては、曳船作業対象船舶の減少傾向は、新型コロナウイルスの感染拡大により4月に入り出始め、第3四半期の10月まで低迷しましたが、第4四半期に入りほぼ前年同期並みの水準となりました。特にコンテナ船、自動車専用船や大型危険物船の入出港数が増加し、予想を200百万円ほど上回る結果となり、5月10日に行った上方修正の適時開示の主な要因となりました。
しかし、ここ数年来、曳船作業対象船舶の大型化により東京湾への入出港船舶数は漸減傾向が続いており、新型コロナウイルス感染症による入出港数の減少が重なり大幅な減収となりました。
旅客船事業においては、昨年末以降の新型コロナウイルス感染症の第3波による感染再拡大により大幅な減収となり、期末にかけて運転資金に支障を来たす状況となりました。この事態は、旅客船事業にとってワクチン接種の遅れによる新型コロナウイルス感染症災害ともいえる状況です。
横浜港の観光船部門では、連結子会社の保有する投資有価証券を当社が買取り、また緊急融資を受けた際の債務引受を行い運転資金を注入いたしました。
また、公的支援として政府の各種助成金を活用しながら非常事態に陥った連結子会社の事業継続に向け支援・救済を進めてまいりました。
同社は、観光船の運航以外に海事関係者を送迎する港湾交通船や危険物積載船の警戒作業を行い、当社の曳船事業の一部を補完する重要な役割を担っております。
久里浜・金谷間を結ぶカーフェリー部門でも同様に、9月からのGO TOキャンペーンで回復の兆しが見え始めたものの、新型コロナウイルス感染症の第3波の影響と悪天候による欠航も重なり、期末にかけて利用客が激減し大幅な減収を余儀なくされました。
この結果、コロナ禍での未曽有の経営環境のなかで、当社グループ全体の売上高は1,936百万円減少し9,889百万円(前期比16.4%減)と大幅な減収となりました。
(営業利益)
営業損益は、前期に比べ791百万円悪化し621百万円の営業損失(前期は170百万円の営業利益)となりました。
原油価格は第4四半期に入り上昇傾向となりましたが、上期の景気減速を受け通期では低水準で推移し、燃料費は当社及び当社グループ全体で300百万円減少いたしました。
曳船事業セグメントでは、稼働率の低下により乗組員の時間外手当の減少や随時用船料は減少となり27百万円の営業利益となりました。
一方、旅客船事業及び売店・食堂事業セグメントでは、昨年4月の第1回目の緊急事態宣言によりゴールデンウィークは営業休止を余儀なくされ、昨年末からは第3波の感染拡大による大幅な減収が響き両セグメント合計で648百万円の営業損失となりました。
(経常利益)
経常損益は、持分法投資利益が129百万円となりましたが、大幅な減収が響き前期に比べ843百万円悪化し340百万円の経常損失(前期は503百万円の経常利益)となりました。
(親会社株主に帰属する当期純利益)
親会社株主に帰属する当期純利益は、設備更新により曳船3隻を売却し固定資産売却益が405百万円計上されましたが、非連結子会社に対する貸倒引当金繰入額や臨時休業等による損失が発生し、前期に比べ394百万円悪化し94百万円の最終損失(前期は300百万円の最終利益)となりました。
B.財政状態
財政状態につきましては、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要」に記載しております。
②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当社グループの運転資金需要のうち主なものは、営業原価、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。また、投資を目的とした資金需要は、主要な設備であります曳船の設備更新と洋上風力発電交通船(CTV)の新規設備投資によるものです。
短期運転資金は自己資金及び金融機関からの短期借入金を基本としており、設備投資や長期運転資金の調達につきましては自己資金及びファイナンス・リースを基本としております。
今期は、旅客船事業のうち横浜港の観光船部門では、新型コロナウイルスの感染拡大による経営環境の悪化で大幅な減収を余儀なくされ運転資金に支障をきたし、 感染症災害ともいえるコロナ禍からの復旧支援を、親会社の責務として保有する投資有価証券を当社が購入し、緊急融資の300百万円の債務引受を行い、総額で644百万円の資金注入を実施いたしました。
カーフェリー部門でも上記の観光船部門同様に資金不足に陥り、保有する投資有価証券を当社が購入し108百万円の資金支援を行いました。
重要な設備投資等の予定及びその資金調達方法については、「第3 設備の状況 3 設備の新設、除却等の計画」に記載しております。
今後は、旅客船部門では老朽化した船舶や設備の見直しを総合的に検討していく予定です。
③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表の作成に係る会計方針及び見積りについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項、重要な会計上の見積り」に記載しております。
なお、新型コロナウイルス感染症に伴う会計上の見積りについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表 注記事項 追加情報」に記載しております。
④次期の見通しについて
今後の見通しにつきましては、曳船事業においては、新型コロナウイルス変異株の感染拡大が懸念されますが、世界的にワクチン接種が広がり徐々に感染拡大に歯止めがかかり、中国や米国を中心に景気回復の兆しが出始めていることから、海上輸送の先行きは上向くことが予想されます。また、建設用洋上風力発電交通船(CTV)の稼働が加わり増収を見込んでおります。
費用面では、昨年12月末に実施した減船によるコスト削減効果は出てくるものの、OPECの協調減産の継続による供給面での要因や、世界経済の回復による需要増も予想され原油価格の上昇による燃料費の増加懸念があります。
旅客船事業においては、変異株の感染拡大により首都圏で3度目の緊急事態宣言が発出されたのに加え、ワクチン接種の遅れから感染症は年内に収束することが難しい状況となっております。
また、観光需要に大きく悪影響を与える雇用・所得不安もあり、本年度中の利用客の本格的回復は困難で、旅客船事業は前期同様に営業赤字を予想しております。
通期の連結業績予想につきましては、ワクチン接種の効果が出始め新型コロナウイルス感染症が収束に向かう時期が年末以降になることを前提に、売上高を11,116百万円、営業損失261百万円、経常損失130百万円、親会社株主に帰属する当期純損失80百万円を予想しております。
①経営成績の状況
当連結会計年度における日本経済は、上期は新型コロナウイルスの感染拡大に伴い景気は大きく落ち込んだものの、下期に入り中国経済が他国に先立ち回復し、米国は年明け後にワクチン接種効果が出始め、海外経済が景気回復に向かうなか製造業は改善傾向となりました。
一方、非製造業のうち航空・運輸、観光産業や飲食業界においては大幅な減収が響き深刻な状況となっており、業種間にばらつきが見られております。
また、企業の設備投資は、新型コロナウイルス感染症の先行き不透明な状況下で慎重な姿勢が見られ、個人消費は、政府による特別定額給付金や「GO TOキャンペーン」による需要喚起策が実施され効果が表れ始めたものの、昨年末以降の第3波による感染再拡大が水を差す結果となりました。
このような経済環境のなかで、当社グループの主たる事業である曳船事業を取り巻く状況につきましては、新型コロナウイルス感染症が海上物流に与える悪影響は4月に入り出始め、第3四半期の10月までは東京湾への入出港船舶数の減少傾向は続いておりましたが、11月以降一部の船種に底打ち感が見え始め、第4四半期(1月~3月)には売上は前年と同水準となりました。
一方、旅客船事業では、新型コロナウイルス感染拡大と天候不順が重なり夏場の需要期も大きく低迷しました。9月に入り「GO TOキャンペーン」の効果が出始めたものの、昨年末以降の第3波による感染再拡大により期末にかけて業績はさらに悪化し、先行き不透明感が増大する事態となっております。
このようなコロナ禍での未曽有の経営環境のなかで、当社グループ全体の売上高は1,936百万円減少し9,889百万円(前期比16.4%減)と大幅な減収となりました。
利益面では、原油価格は第4四半期に入り上昇傾向となりましたが、上期の景気減速を受け通期では低水準となり、燃料費は300百万円減少しましたが、大幅な減収が響き621百万円の営業損失(前期は170百万円の営業利益)、340百万円の経常損失(前期は503百万円の経常利益)となりました。
親会社株主に帰属する当期純利益は、固定資産売却益(曳船売却益)が発生しましたが、旅客船事業で臨時休業等による損失や貸倒引当金繰入額が発生し、94百万円の当期純損失(前期は300百万円の当期純利益)となりました。
セグメント別の業績を示すと、次のとおりです。
曳船事業
曳船事業は、横浜川崎地区では、コンテナ船、自動車専用船、大型タンカーへの作業数は第4四半期において上昇に転じましたが、通期ではほぼ全ての船種の入出港船舶数が減少し減収となりました。東京地区では、第2四半期まではコンテナ船の入出港数は微減に留まりましたが、第3四半期以降はしだいに陰りが見えはじめ期末にかけて減少幅が拡大いたしました。横須賀地区では、コンテナ船、危険物積載船や大型客船を中心に入出港数が減少し、エスコート作業や東京湾口水先艇の乗下船作業が減少し大幅な減収となりました。千葉地区では、プロダクトタンカーが増加しましたが、大型タンカー・LNG船等の危険物積載船が減少し減収となりました。
この結果、曳船事業セグメントの売上高は783百万円減少し8,117百万円(前期比8.8%減)となり、燃料費は減少したものの大幅な減収が響き27百万円の営業利益(前期比94.9%減)に留まりました。
旅客船事業
旅客船事業は、横浜港における観光船部門では、新型コロナウイルス感染症の拡大を回避するため4月から観光船を運休しておりましたが、一部を除き5月25日から運航再開となりました。夏場の需要期は、猛暑と船内での感染リスク懸念から客足は伸びず、9月に入り政府による「GO TOキャンペーン」の効果が出始めたものの、観光船の利用客は昨年末以降の第3波の感染再拡大により激減し大幅な減収となりました。
久里浜・金谷間を結ぶカーフェリー部門では、4月に入りバスツアー団体客の利用がなくなり、さらに、ゴールデンウィーク期間中の運休やその後の減便での運航に加え、外出自粛要請から一般の利用客も大幅に減少いたしました。第3四半期に入り、政府による上記の観光需要喚起策で一般の利用客は戻り始めましたが、今年に入り観光船同様に感染再拡大により大幅な減収となりました。
この結果、旅客船事業セグメントの売上高は882百万円減少し1,398百万円(前期比38.7%減)となり、営業費用のうち燃料費は運航休止により減少しましたが、大幅な減収が響き580百万円の営業損失(前期は325百万円の営業損失)となりました。
売店・食堂事業
売店・食堂事業は、新型コロナウイルス感染症拡大の原因とされる団体による旅行・飲食が敬遠されるなか、4月に入りカーフェリー部門同様にバスツアー団体客の利用が途絶え、旗艦店金谷センターだけでなく久里浜センターも大打撃を受けました。
この結果、売上高は270百万円減少し373百万円(前期比42.0%減)となり68百万円の営業損失(前期は39百万円の営業損失)となりました。
②財政状態の概況
資産、負債及び純資産の状況
当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末に比べ297百万円増加し26,993百万円となりました。
流動資産の部では、現金及び預金は洋上風力発電交通船(CTV=Crew Transfer Vessel)への設備投資を主因として2,502百万円減少いたしました。また、リース契約に基づき洋上風力発電交通船(CTV)をリース会社へ売却し未収金が発生し、その他流動資産が732百万円増加いたしました。固定資産の部では、曳船の設備更新に加え上記のCTV新規投資により建設仮勘定が908百万円増加いたしました。
負債は、前連結会計年度末に比べ、231百万円増加し5,716百万円となりました。流動負債の部では、支払手形及び買掛金が44百万円増加し、洋上風力発電交通船(CTV) のリース債務及び未払金の増加により、その他流動負債が164百万円増加いたしました。固定負債の部では、上記リース債務が341百万円増加し、デリバティブ債務の決済期日が1年内となったことで流動負債の部その他に振替え、その他固定負債が152百万円減少いたしました。
純資産は、前連結会計年度末に比べ、65百万円増加し21,277百万円となりました。これは主に94百万円の親会社株主に帰属する当期純損失と、剰余金の配当を198百万円実施したことにより利益剰余金が293百万円減少し、その他有価証券評価差額金が216百万円、繰延ヘッジ損益が91百万円増加したことによるものです。
この結果、自己資本比率は前連結会計年度末の76.1%から75.5%と0.6ポイント減少いたしました。
③キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ1,397百万円増加し4,152百万円となりました。
当連結会計年度に係る区分ごとのキャッシュ・フローの状況は以下のとおりとなりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における営業活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度に比べ835百万円減少し231百万円の資金取得となりました。資金収支の主な内訳は、税金等調整前当期純損失が2百万円となり、減価償却費が1,146百万円、法人税等の支払額が235百万円、固定資産売却益が405百万円発生したことです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における投資活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度に比べ1,891百万円支出が減少し1,404百万円の資金取得となりました。資金収支の主な内訳は、設備更新(曳船の代替)と洋上風力発電交通船(CTV)4隻の建造及び購入により有形固定資産取得による支出が2,841百万円発生しましたが、有形固定資産売却による収入が454百万円、預入期間が3カ月を超える定期預金の払戻による収入が預入による支出を3,900百万円上回りました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における財務活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度に比べ160百万円減少し238百万円の資金支出となりました。資金収支の主な内訳は、長期借入金を128百万円返済したこと、配当金の支払額が193百万円発生したことです。
④生産、受注及び販売の実績
当社グループの報告セグメントは、曳船事業、旅客船事業、売店・食堂事業であり、生産及び受注を伴う事業ではないため生産及び受注の実績については記載を省略し、販売の実績については「①経営成績の状況」におけるセグメント別の経営成績に関連付けて記載しております。
最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
| 相手先 | 前連結会計年度 | 当連結会計年度 | ||
| 金額(千円) | 割合(%) | 金額(千円) | 割合(%) | |
| 東京湾海事事業協同組合 | 1,338,353 | 11.32 | 1,210,912 | 12.24 |
(注)上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点における当社グループの経営成績等に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
A.経営成績
(売上高)
曳船事業においては、曳船作業対象船舶の減少傾向は、新型コロナウイルスの感染拡大により4月に入り出始め、第3四半期の10月まで低迷しましたが、第4四半期に入りほぼ前年同期並みの水準となりました。特にコンテナ船、自動車専用船や大型危険物船の入出港数が増加し、予想を200百万円ほど上回る結果となり、5月10日に行った上方修正の適時開示の主な要因となりました。
しかし、ここ数年来、曳船作業対象船舶の大型化により東京湾への入出港船舶数は漸減傾向が続いており、新型コロナウイルス感染症による入出港数の減少が重なり大幅な減収となりました。
旅客船事業においては、昨年末以降の新型コロナウイルス感染症の第3波による感染再拡大により大幅な減収となり、期末にかけて運転資金に支障を来たす状況となりました。この事態は、旅客船事業にとってワクチン接種の遅れによる新型コロナウイルス感染症災害ともいえる状況です。
横浜港の観光船部門では、連結子会社の保有する投資有価証券を当社が買取り、また緊急融資を受けた際の債務引受を行い運転資金を注入いたしました。
また、公的支援として政府の各種助成金を活用しながら非常事態に陥った連結子会社の事業継続に向け支援・救済を進めてまいりました。
同社は、観光船の運航以外に海事関係者を送迎する港湾交通船や危険物積載船の警戒作業を行い、当社の曳船事業の一部を補完する重要な役割を担っております。
久里浜・金谷間を結ぶカーフェリー部門でも同様に、9月からのGO TOキャンペーンで回復の兆しが見え始めたものの、新型コロナウイルス感染症の第3波の影響と悪天候による欠航も重なり、期末にかけて利用客が激減し大幅な減収を余儀なくされました。
この結果、コロナ禍での未曽有の経営環境のなかで、当社グループ全体の売上高は1,936百万円減少し9,889百万円(前期比16.4%減)と大幅な減収となりました。
(営業利益)
営業損益は、前期に比べ791百万円悪化し621百万円の営業損失(前期は170百万円の営業利益)となりました。
原油価格は第4四半期に入り上昇傾向となりましたが、上期の景気減速を受け通期では低水準で推移し、燃料費は当社及び当社グループ全体で300百万円減少いたしました。
曳船事業セグメントでは、稼働率の低下により乗組員の時間外手当の減少や随時用船料は減少となり27百万円の営業利益となりました。
一方、旅客船事業及び売店・食堂事業セグメントでは、昨年4月の第1回目の緊急事態宣言によりゴールデンウィークは営業休止を余儀なくされ、昨年末からは第3波の感染拡大による大幅な減収が響き両セグメント合計で648百万円の営業損失となりました。
(経常利益)
経常損益は、持分法投資利益が129百万円となりましたが、大幅な減収が響き前期に比べ843百万円悪化し340百万円の経常損失(前期は503百万円の経常利益)となりました。
(親会社株主に帰属する当期純利益)
親会社株主に帰属する当期純利益は、設備更新により曳船3隻を売却し固定資産売却益が405百万円計上されましたが、非連結子会社に対する貸倒引当金繰入額や臨時休業等による損失が発生し、前期に比べ394百万円悪化し94百万円の最終損失(前期は300百万円の最終利益)となりました。
B.財政状態
財政状態につきましては、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要」に記載しております。
②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当社グループの運転資金需要のうち主なものは、営業原価、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。また、投資を目的とした資金需要は、主要な設備であります曳船の設備更新と洋上風力発電交通船(CTV)の新規設備投資によるものです。
短期運転資金は自己資金及び金融機関からの短期借入金を基本としており、設備投資や長期運転資金の調達につきましては自己資金及びファイナンス・リースを基本としております。
今期は、旅客船事業のうち横浜港の観光船部門では、新型コロナウイルスの感染拡大による経営環境の悪化で大幅な減収を余儀なくされ運転資金に支障をきたし、 感染症災害ともいえるコロナ禍からの復旧支援を、親会社の責務として保有する投資有価証券を当社が購入し、緊急融資の300百万円の債務引受を行い、総額で644百万円の資金注入を実施いたしました。
カーフェリー部門でも上記の観光船部門同様に資金不足に陥り、保有する投資有価証券を当社が購入し108百万円の資金支援を行いました。
重要な設備投資等の予定及びその資金調達方法については、「第3 設備の状況 3 設備の新設、除却等の計画」に記載しております。
今後は、旅客船部門では老朽化した船舶や設備の見直しを総合的に検討していく予定です。
③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表の作成に係る会計方針及び見積りについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項、重要な会計上の見積り」に記載しております。
なお、新型コロナウイルス感染症に伴う会計上の見積りについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表 注記事項 追加情報」に記載しております。
④次期の見通しについて
今後の見通しにつきましては、曳船事業においては、新型コロナウイルス変異株の感染拡大が懸念されますが、世界的にワクチン接種が広がり徐々に感染拡大に歯止めがかかり、中国や米国を中心に景気回復の兆しが出始めていることから、海上輸送の先行きは上向くことが予想されます。また、建設用洋上風力発電交通船(CTV)の稼働が加わり増収を見込んでおります。
費用面では、昨年12月末に実施した減船によるコスト削減効果は出てくるものの、OPECの協調減産の継続による供給面での要因や、世界経済の回復による需要増も予想され原油価格の上昇による燃料費の増加懸念があります。
旅客船事業においては、変異株の感染拡大により首都圏で3度目の緊急事態宣言が発出されたのに加え、ワクチン接種の遅れから感染症は年内に収束することが難しい状況となっております。
また、観光需要に大きく悪影響を与える雇用・所得不安もあり、本年度中の利用客の本格的回復は困難で、旅客船事業は前期同様に営業赤字を予想しております。
通期の連結業績予想につきましては、ワクチン接種の効果が出始め新型コロナウイルス感染症が収束に向かう時期が年末以降になることを前提に、売上高を11,116百万円、営業損失261百万円、経常損失130百万円、親会社株主に帰属する当期純損失80百万円を予想しております。