有価証券報告書-第81期(平成25年4月1日-平成26年3月31日)

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2014/06/30 10:35
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123項目

対処すべき課題

(1)当社グループの対処すべき課題について
当社グループは、地上波テレビ放送で培ったコンテンツ制作力をコアコンピタンスとし、それを最大限活用して事業ポートフォリオを拡大してきました。しかし、少子高齢化で日本国内の市場の伸びが中長期的に期待できない中、地上波テレビ放送事業の競争環境はますます激化しています。また、広告の手法も多様化し、テレビが広告媒体としてこれまでのように優越的地位を保ち続けることは困難になってきたと認識しています。当社グループとしては、BS放送、CS放送も含めた放送事業の更なる強化、他のデジタルメディアとの連携、コンテンツの海外展開の強化・加速、新規事業を含めた放送外事業の強化・育成が必要と考えてきました。そうした中、平成24年10月1日付で認定放送持株会社体制へ移行し、平成24年度(2012年度)から平成27年度(2015年度)を計画期間とする中期経営計画(日本テレビグループ 中期経営計画 2012-2015 Next60)を策定しました。現在もその目標に向け、グループ一丸となって事業に取り組んでいます。
中期経営目標への取り組みは、次のとおりです。
①報道機関としての信頼性の維持・向上
メディアの信頼性が厳しく問われる中、当社グループは、電波を預かって事業を営む公共性と、その社会的影響力の大きさを強く認識します。報道機関として人々に伝えるべきテーマを的確にとらえ、正確かつ公正な情報を速やかに提供するとともに、分かりやすく質の高い番組づくりに努めます。他メディアとの差別化を図ることが肝要で、「本質を見抜く力」を放送で示していきたいと思います。また、有事への対応準備を怠りなく進めています。
②人々を豊かにするコンテンツの創造
当社グループは、人々のニーズを的確にとらえ、最も視聴され共感されるコンテンツの制作を目指します。
地上波の平成25年度平均視聴率(平成25年4月1日~平成26年3月30日)は、世帯視聴率において、全日帯、ゴールデン帯でトップを獲得し、プライム帯は僅差の2位となりました。広告スポンサーからのニーズが高いコアターゲット視聴率(※)は、引き続き3冠を獲得しています。
こうした好調な視聴率を受けて、平成25年度の在京キー局間のスポット広告収入シェアは26%となり、トップを獲得いたしました。今後は、世帯視聴率の年間・年度「三冠王」の奪還を目指します。
※コアターゲット視聴率:当社のオリジナル指標で、個人全体のうち男女13~49歳を母数として算出した視聴率。
③継続的成長を目指した変化への対応
「持株会社」という枠組みによる経営の選択肢の拡大や機動力の増大というメリットを活かし、環境変化への対応を怠ることなく、平成27年度(2015年度)までに総額500億円の投資枠を設定するなど、積極的投資及び新規事業戦略を実施し、事業ポートフォリオの多様化を目指しています。
この方針に沿う形で、平成26年1月に㈱タツノコプロの株式を取得し、当社グループの子会社としました。また、アメリカの動画配信会社「Hulu,LLC」の日本市場向け事業を承継し、定額制動画配信事業に参入することとし、平成26年4月に同事業の運営会社HJホールディングス合同会社を当社グループの子会社としました。
また、不動産賃貸事業に関しましては、平成25年8月に、日本テレビ放送網㈱社長室に麹町再開発事務局を新設し、千代田区二番町の既存スタジオ棟の老朽化や、放送設備が更新時期を迎えることに伴い、同社保有の敷地と隣地を加えた敷地に新しいスタジオ棟を建設することを決定するなど、麹町再開発事業を着実に進めてまいります。
④海外における確固たるポジションの獲得
海外事業の展開を加速させるために、成長著しいアジア市場を強く意識し、現地企業との協業も含めた積極的な事業計画案を策定し、アクションプランを検討しております。当連結会計年度においては、平成26年1月に、「金田一少年の事件簿~獄門塾殺人事件~」をマレーシアのメディア企業「Media Prima」と共同制作、放送いたしました。また、期末期首番組として放送されているクイズ・バラエティー番組「宝探しアドベンチャー謎解きバトルTORE!」は、平成26年1月に、中国全土とタイで現地版の放送が始まっております。
⑤メディア・コンテンツ企業ならではの社会貢献
公共性が高く社会に対する影響も大きいメディア・コンテンツ企業である当社グループは、他に増して積極的に社会貢献を行うことが重要だと考えています。毎年の「24時間テレビ」は言うまでもなく、開局60年を機にスタートした未来貢献キャンペーン「7daysチャレンジTV 一緒に、未来貢献。」を継続します。今年は、「子どもたちに、幸せな未来を」をテーマに、複数の番組やイベント、Web企画を展開します。東日本大震災においては、震災の記憶を風化させず、復興への取り組みを後押しするために、丁寧な継続取材・放送を行ってまいります。
⑥働く人全てが能力を発揮できる環境の醸成
当社グループで働く者として、自立した「プロ意識」を持ち、常に研鑽を続けます。また、改革と挑戦に向けて努力し、それを支援・評価する職場文化の醸成に努めます。
これらの目標を達成することにより、企業価値の拡大を図り、平成27年度(2015年度)に、連結売上高4,000億円、連結経常利益500億円(経常利益率12.5%)以上を目指します。当社グループは、一丸となって、中期経営計画の目標達成に向け「改革と挑戦」を続けてまいります。
(2)株式会社の支配に関する基本方針について
①基本方針の内容の概要
当社は、当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者は、当社の企業価値の源泉を理解し、当社の企業価値・株主の皆様の共同の利益を継続的かつ持続的に確保・向上していくことを可能とする者である必要があると考えています。
当社は、当社の支配権の移転を伴う買収提案についての判断は、最終的には当社の株主全体の意思に基づき行われるべきものと考えております。また、当社は、当社株式について大量買付がなされる場合、これが当社の企業価値ひいては株主共同の利益に資するものであれば、これを否定するものではありません。
しかし、株式の大量買付の中には、対象会社の企業価値・株主共同の利益に資さないものも少なくありません。また、当社株式の大量買付を行う者が当社の企業価値の源泉を理解し、これらを中長期的に確保し、向上させられるのでなければ、当社の企業価値ひいては株主共同の利益は毀損されることになります。
当社は、このような当社の企業価値・株主共同の利益に資さない大量買付を行う者は、当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者として不適切であり、このような者による大量買付に対しては、必要かつ相当な対抗措置を講じることにより、当社の企業価値ひいては株主共同の利益を確保する必要があると考えます。
②基本方針の実現のための取組みの内容の概要
ア基本方針の実現に資する特別な取組みの内容の概要
当社は、平成24年10月1日付で認定放送持株会社へ移行し、この新体制の下、平成24年度(2012年度)から平成27年度(2015年度)を計画期間とする中期経営計画(日本テレビグループ中期経営計画 2012-2015 Next60)を策定いたしました。
日本テレビグループは、報道機関として社会的責任を果たし、「“豊かな時を提供する企業”として人々から常に愛される存在になっている」ことを将来のあるべき姿ととらえております。
その上で、2012-2015中期経営目標として、グループ各社の連携強化による付加価値・収益の最大化を図りながら、平成27年度(2015年度)までに、(a)報道機関としての信頼性の維持・向上、(b)人々を豊かにするコンテンツの創造、 (c)継続的成長を目指した変化への対応、(d)海外における確固たるポジションの獲得、(e)メディア・コンテンツ企業ならではの社会貢献、及び (f)働く人全てが能力を発揮できる環境の醸成という目標達成を目指しております。
この目標達成のため、主に、(a)3波統合経営による新規コンテンツ開発、(b)開局60年展開を軸にした次世代コンテンツ開発の継続、(c)「JoinTV」「wiz tv」の積極展開と収益増大化に向けた拡張・進化、(d)シェアトップに向けた商品力・ラインナップの強化と営業改革「SI60」(セールスイノベーション60)の実現、(e)各種コンテンツの価値最大化を目指し、多様なメディアやデバイスに複合展開するデザイン策定の推進、(f)アジアを中心に現地企業との協業も視野に入れた積極的な海外事業の推進、及び(g)積極的投資及び新規事業戦略の実施(平成27年度(2015年度)までに総額500億円を投資枠として設定)に取り組んでおります。
これらの目標を達成することにより、企業価値の拡大を図り、平成27年度(2015年度)に、連結売上高4,000億円、連結経常利益500億円(経常利益率12.5%)以上を目指しております。日本テレビグループは、グループ一丸となって、中期経営計画の目標達成に向け「改革と挑戦」を続けてまいります。
また、当社は、上記諸施策の実行に向けた体制を整備するべく、社外からの経営監視機能を強化し、経営の健全性及び意思決定プロセスの透明性を高めるため、取締役全12名のうち5名を社外取締役としております。また、経営陣の株主の皆様に対する責任をより一層明確化するため、取締役の任期を1年としております。当社は、これらの取組みに加え、今後も引き続きコーポレート・ガバナンスの更なる強化を図っていく予定です。
イ基本方針に照らして不適切な者によって当社の財務及び事業の方針の決定が支配されることを防止するための取組みの内容の概要
当社は、平成25年5月9日開催の取締役会及び同年6月27日開催の第80期定時株主総会において、当社株式の大量取得行為に関する対応策(買収防衛策)を更新することを決議いたしました(以下更新後の対応策を「本プラン」といいます。)。
本プランは、当社株式の大量取得行為が行われる場合に、株主の皆様が適切な判断をするために必要・十分な情報と時間を確保するとともに、買収者との交渉の機会を確保すること等により、当社の企業価値・株主共同の利益を確保し、向上させることを目的としています。
本プランは、(ⅰ)当社株券等について、保有者の株券等保有割合が20%以上となる買付その他の取得若しくは(ⅱ)当社株券等について、公開買付けを行う者の株券等所有割合及びその特別関係者の株券等所有割合の合計が20%以上となる公開買付けのいずれかに該当する当社株券等の買付その他の取得又はこれらに類似する行為(これらの提案を含みます。)(以下「買付等」といいます。)がなされる場合を原則として適用対象とします。買付等を行おうとする者(以下「買付者等」といいます。)には、予め本プランに定められる手続に従っていただくこととします。
買付者等には、当該買付等に先立ち、当社に対して、意向表明書、及び、当社所定の情報等を記載した書面(以下「買付説明書」といいます。)を提出していただきます。
企業価値評価独立委員会は、買付者等から買付説明書等が提出されたと合理的に認めた場合、当社取締役会に対しても、適宜回答期限を定めた上(原則として60日を上限とします。)、買付者等の買付等の内容に対する意見及びその根拠資料、代替案等を提供するよう要求することができます。
企業価値評価独立委員会は、買付者等及び当社取締役会からの情報等を受領したと合理的に認めた時点から原則として最長60日が経過するまでの間、買付等の内容の検討、買付者等と当社取締役会の経営方針・事業計画等に関する情報収集・比較検討、代替案の検討、当該買付者等との協議・交渉等を行います。
企業価値評価独立委員会は、買付者等による買付等が、本プランに定められた手続に従わない買付等である場合や、当社の企業価値ひいては株主共同の利益に対する明白な侵害をもたらすおそれのある買付等である場合等で、本プラン所定の要件に該当するとき、差別的行使条件及び差別的取得条項が付された新株予約権の無償割当てその他の法令及び当社定款の下でとりうる適切な施策を実施することを勧告します。なお、企業価値評価独立委員会は、一定の場合に、当該実施に関して株主総会の承認を得るべき旨の留保を付すことができます。
当社取締役会は、企業価値評価独立委員会の上記勧告を最大限尊重して上記新株予約権の無償割当て等の実施又は不実施等に関する会社法上の機関としての決議を行います。但し、企業価値評価独立委員会が上記新株予約権の無償割当て等を実施するに際して、株主総会の承認を得るべき旨の留保を付した場合等には、当社取締役会は株主総会を招集し、株主の皆様の意思を確認することができるものとします。
本プランの有効期間は、原則として、第80期定時株主総会終結後3年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時株主総会の終結の時までとされています。
③上記各取組みに対する当社取締役会の判断及びその理由
経営方針、コーポレート・ガバナンスの強化等といった各施策は、上記②ア記載のとおり、当社の企業価値・株主共同の利益を継続的かつ持続的に向上させるための具体的方策として策定されたものであり、まさに基本方針の実現に資するものです。
また、本プランは、上記②イ記載のとおり、企業価値・株主共同の利益を確保し、向上させる目的をもって導入されたものであり、基本方針に沿うものです。
特に、本プランは、経済産業省及び法務省が平成17年5月27日に発表した企業価値・株主共同の利益の確保又は向上のための買収防衛策に関する指針の定める三原則を充足していること、株主総会において株主の承認を得て更新されたものであること、一定の場合に、本プランの発動の是非について株主総会に付議されることがあること、独立性のある社外取締役等のみによって構成される企業価値評価独立委員会が設置されており、本プランの発動に際しては必ず企業価値評価独立委員会の判断を経ることが必要とされていること、その内容として本プランの発動に関する合理的な客観的要件が設定されていること、企業価値評価独立委員会は当社の費用で専門家の助言を得ることができるとされていること、本プランの有効期間が3年間と定められた上、株主総会又は取締役会によりいつでも廃止できるとされていること、当社取締役の任期は1年とされていること等により、その公正性・客観性が担保されております。
従って、これらの各取組みは、基本方針に沿い、当社の企業価値ひいては株主共同の利益に資するものであり、当社の会社役員の地位の維持を目的とするものではありません。