有価証券報告書-第61期(令和2年4月1日-令和3年3月31日)
(1) 経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という)の状況の概要は次のとおりであります。
①財政状態及び経営成績の状況
(財政状態の状況)
当連結会計年度末における財政状態とそれらの要因は次のとおりです。
(資産)
当連結会計年度末の資産の部合計は、1,040,465百万円(前期末比2.9%増)となりました。
流動資産は、現金及び預金の減少などにより、274,134百万円(同13.5%減)となりました。
固定資産は、有形固定資産の増加などにより、766,331百万円(同10.4%増)となりました。
(負債)
当連結会計年度末の負債の部合計は、280,517百万円(同47.3%増)となりました。
流動負債は、1年内償還予定の社債の増加などにより、121,370百万円(同20.8%増)となりました。
固定負債は、社債の増加などにより、159,147百万円(同77.0%増)となりました。
(純資産)
当連結会計年度末の純資産の部合計は、利益剰余金の減少などにより、759,948百万円(同7.4%減)となり、自
己資本比率は73.0%(同8.2ポイント減)となりました。
(経営成績の状況)
当連結会計年度は、新型コロナウイルス感染症流行の影響を受け、2020年6月30日まで両パークを臨時休園したことや、両パークの営業再開後も「遊園地・テーマパークにおける新型コロナウイルス感染拡大予防ガイドライン」や、緊急事態宣言に伴う政府、自治体からの要請に準じて営業したことなどにより、入園者数が減少しました。また臨時休園に伴い、特別損失として臨時休園による損失12,965百万円を計上しました。これらの結果、売上高は170,581百万円(前年同期比63.3%減)、営業損失は45,989百万円(前年同期は営業利益96,862百万円)、経常損失は49,205百万円(前年同期は経常利益98,062百万円)、親会社株主に帰属する当期純損失は54,190百万円(前年同期は親会社株主に帰属する当期純利益62,217百万円)となりました。
セグメント別の業績は次のとおりです。
(テーマパーク)
売上高は、ゲスト1人当たり売上高は増加したものの、臨時休園や入園者数の制限などによる入園者数の減少により、134,293百万円(前年同期比65.0%減)と減収となりました。
売上高が大幅に減少したことから、営業損失は41,982百万円(前年同期は営業利益79,660百万円)となりました。
(ホテル)
売上高は、ディズニーホテルの臨時休館や客室販売数の制限などによる宿泊収入の減少により、28,627百万円(前年同期比55.5%減)と減収となりました。
売上高が大幅に減少したことから、営業損失は1,954百万円(前年同期は営業利益14,769百万円)となりました。
(その他)
売上高は、テーマパークの臨時休園の影響によるモノレール事業の減収や、イクスピアリの臨時休業によるイクスピアリ事業の減収などにより、7,660百万円(前年同期比52.3%減)と減収となりました。
売上高が大幅に減少したことから、営業損失は2,312百万円(前年同期は営業利益2,161百万円)となりました。
②キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物の期末残高は、財務活動によるキャッシュ・フローがプラスになっ
たものの、営業活動によるキャッシュ・フロー及び投資活動によるキャッシュ・フローがマイナスになったことか
ら、165,317百万円(前期末残高261,164百万円)となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは、△23,834百万円(前年同期73,336百万円)となりました。前年同期に比
べ、収入が減少した要因は、税金等調整前当期純損失を計上したことなどによります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは、△160,738百万円(同20,534百万円)となりました。前年同期に比べ、収入が減少した要因は、定期預金の払戻による収入が減少したことなどによります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは、88,724百万円(同△55,257百万円)となりました。前年同期に比べ、収
入が増加した要因は、社債の発行による収入が増加したことなどによります。
③販売の実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
a.テーマパーク
(東京ディズニーランド及び東京ディズニーシーの入園者数)
b.ホテル
c.その他
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
①財政状態及び経営成績に関する認識及び分析・検討内容
(財政状態に関する認識及び分析・検討内容)
(資産の部)
当連結会計年度は、2020中期経営計画で予定していた設備投資を行ったことなどにより、現金及び預金が減少し、有形固定資産が増加しました。
なお、当連結会計年度の設備投資額は1,083億円となりました。セグメント毎の設備投資額(有形固定資産・無形固定資産・長期前払費用)は以下のとおりです。
(負債の部)
当連結会計年度は、社債の発行を行ったことにより、有利子負債が増加しました。
(純資産の部)
当連結会計年度は、親会社株主に帰属する当期純損失の計上に加えて、配当を支払ったことにより純資産は減少しました。
(経営成績に関する認識及び分析・検討内容)
当社グループにおいては、新型コロナウイルス感染症流行の影響を受け、2020年6月30日まで両パークを臨時休園したことや、両パークの営業再開後も「遊園地・テーマパークにおける新型コロナウイルス感染拡大予防ガイドライン」や、緊急事態宣言に伴う政府、自治体からの要請に準じて営業したことなどにより、入園者数が減少しました。さらに臨時休園に伴い、特別損失を計上しました。これらの結果、売上高、営業利益、経常利益、親会社株主に帰属する当期純利益いずれも減少しました。
セグメントごとの要因は次のとおりです。
(テーマパーク)
2020年7月1日より両パークの営業を再開いたしましたが、「遊園地・テーマパークにおける新型コロナウイルス感染拡大予防ガイドライン」に沿った対策を講じながら、ゲストとキャストの安全を最優先として運営いたしました。安全対策の一環として、公式アプリ「東京ディズニーリゾート・アプリ」にエントリー受付やスタンバイパスなどの機能を新たに追加し、ソーシャルディスタンスを確保しながら、徐々に入園者数の上限を引き上げてまいりました。
また、東京ディズニーランドでは、史上最大規模の開発エリア内各施設を2020年9月28日にオープンいたしました。ファンタジーランドには大型アトラクション「美女と野獣“魔法のものがたり”」やショップ、レストランをオープンし、トゥモローランドにはアトラクション「ベイマックスのハッピーライド」やポップコーン専門ショップ「ビッグポップ」、トゥーンタウンにはキャラクターグリーティング施設「ミニーのスタイルスタジオ」をオープンし、好評を博しました。
ゲスト1人当たり売上高は、入園券種の限定やチケットの価格改定などにより増加しましたが、両パークを2020年6月30日まで臨時休園したことや、営業再開後も入園者数を制限していたことなどから、売上高は減収となりました。
各費用で特別損失への振替などがあったものの、売上高が大幅に減少したことにより、営業損失となりました。
なお現在、政府、自治体からの要請に準じて運営しているものの、先々の外部環境は不透明な状況が続いております。今後も「遊園地・テーマパークにおける新型コロナウイルス感染拡大予防ガイドライン」や、政府、自治体からの要請に準じた運営が必要であり、入園者数を制限することによる売上高の減少など、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(ホテル)
売上高は、ディズニーホテルを2020年6月29日まで臨時休館したことや、営業再開後も客室販売数を制限していたことなどにより、宿泊収入が減少したことから、減収となりました。
各費用で特別損失への振替などがあったものの、売上高が大幅に減少したことにより、営業損失となりました。
また、ブライトンホテル事業に関する固定資産について減損損失を計上しました。
(その他)
売上高は、テーマパークの臨時休園の影響でモノレール事業の売上高が減少したことや、イクスピアリを2020年5月31日まで臨時休業したことによるイクスピアリ事業の売上高が減少したことなどにより、減収となりました。
売上高が大幅に減少したことにより、営業損失となりました。
②中長期的な目標に照らした経営者の分析・評価
2020中期経営計画に対する評価
2020中期経営計画は、「長期持続的な成長に向けた事業基盤の強化」を方針としており、最終年度である2020年度にA「高い満足度を伴ったパーク体験を提供できている状態とする」、B「過去最高の入園者数及び営業キャッシュ・フローを目指す」の2点を目標としておりました。
A 「高い満足度を伴ったパーク体験を提供できている状態とする」
高い満足度を伴ったパーク体験を提供するため「“新鮮さ”と“快適さ”を兼ね備えたテーマパーク」を目指し、テーマパークの集客力と収益力を向上させるとともに、事業基盤の強化に取り組んでまいりました。
「新鮮さ」を提供するハードの強化として、東京ディズニーリゾート35周年イベントの展開、「イッツ・ア・スモールワールド」のリニューアル及び新規大型アトラクション「ソアリン:ファンタスティック・フライト」の導入、東京ディズニーランド大規模開発の実施、両パークにおけるレギュラーエンターテイメントやイベントの刷新等、新たなコンテンツを積極的に導入してまいりました。
「快適さ」を提供するハードの強化として、喫食環境の整備、レストルームの増設等を実施している他、ITの活用(東京ディズニーリゾート・アプリ、電子マネーの導入等)も進めてまいりました。
ソフト(人財力)の強化としては、働きやすい環境の整備と成長を実感できる施策の実施により、「ホスピタリティ力」と「オペレーション力」双方を高めております。
それらの結果、新型コロナウイルス感染症流行前まで、満足度を示す指標の1つである再来園意向率は、高い水準を維持してきました。2020年度は、パークの環境が従前と大きく異なり、一概に過去の数値と比較できないため、あくまで参考値ではありますが、結果的に高い水準で推移しました。エンターテイメントプログラムなど、一部のコンテンツを実施できない状況であったものの、感染症対策を徹底して安全・安心なパーク環境を提供できたことなどによる影響が大きかったと捉えています。
B 「過去最高の入園者数及び営業キャッシュ・フローを目指す」
*営業キャッシュ・フロー = 親会社株主に帰属する当期純利益 + 減価償却費
新型コロナウイルス感染症流行による経営環境の変化によって目標を達成できなかったため、定量目標を取り下げました。しかし、新型コロナウイルス感染症流行前までは着実に入園者数と営業キャッシュ・フローを成長させることができました。
なお、新型コロナウイルス感染症の流行後は、安全・安心を最優先として、当初の計画にはなかった感染症対策を複数実施いたしました。この中には、以前から議論していた施策(チケットの事前予約制やメニュー二次元コード等)を、コロナ禍に対応する形で前倒して実施したものも含まれております。また、これまでの2020中期経営計画期間での取組みを活かせたものも多くあります。たとえば、本中期経営計画の活動の一環としてデジタル化を推進してきたことにより、スタンバイパスやエントリー受付などを、迅速に計画、実行できたことは、非常に大きな成果でありました。コロナ禍で実施したこれらの施策も、一時的な対応にすることなく、今後のパーク環境を見据えながら、引き続き進化させてまいります。
中長期的な成長に向けて
当社グループの中長期的な成長を目指すため、東京ディズニーシーではディズニーホテルを含めた大規模なパーク拡張として8番目のテーマポート「ファンタジースプリングス」の開発、さらには「東京ディズニーリゾート・トイ・ストーリーホテル」の導入により、これまでにない新しい魅力を提供することを検討してまいりました。また、これらの大規模投資の検討と並行し、ゲスト満足度の向上に向けた暑さ対策や混雑感の緩和に資する環境改善に対する投資、及び運営力強化に向けたテーマパークオペレーション社員制度の導入や従業員施設への投資なども、検討と一部実行をしてまいりました。これらの検討、実行を通じて、ハードとソフトの両面から当社グループのコア事業の価値向上が順調に進捗しております。
また、新規事業については、目標時期を限定することなく、当社グループの永続的な成長に寄与すべく引き続き検討してまいります。それに対するひとつの手法として、新規事業の創出を目的に、2020年度には株式会社オリエンタルランド・イノベーションズを設立し、小規模のマイノリティ投資を通じて、可能性のある複数の分野への知見を蓄積しております。「当社グループが営む事業に密接に関わる領域」「当社グループが営む事業にも影響している社会的課題を解決する領域」「当社グループ企業理念に合致する領域、又は既存事業の課題解決・脅威への備えに関わる領域」において可能性を模索し、コア事業を超えたより幅広い範囲で企業使命を果たし、企業価値の向上を目指してまいります。
③キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当社グループの当連結会計年度末における現金及び現金同等物の期末残高は、165,317百万円(前期末残高261,164百万円)となりました。各キャッシュ・フロー分析は次のとおりです。
営業活動によるキャッシュ・フローは、△23,834百万円(前年同期73,336百万円)となりました。前年同期に比
べ、収入が減少した要因は、両パークを6月30日まで臨時休園したことや営業再開後も入園者数を制限していることで、売上高が減少したことなどから、税金等調整前当期純損失を計上したことなどによります。
投資活動によるキャッシュ・フローは、△160,738百万円(同20,534百万円)となりました。前年同期に比べ、収入が減少した要因は、短期で運用しておりました定期預金の払い戻しが減少したことなどによります。
財務活動によるキャッシュ・フローは、88,724百万円(同△55,257百万円)となりました。前年同期に比べ、収
入が増加した要因は、2023年度開業予定の「ファンタジースプリングス」などの長期的な成長投資に対する設備投資資金に充当するため社債を発行したことなどによります。
今後の当社グループの事業活動における資金需要の主なものとしては、「東京ディズニーリゾート・トイ・ストーリーホテル」の新設(2021年度開業予定、投資予算額 約315億円)及び「ファンタジースプリングス」の開発(2023年度開業予定、投資予算額 約2,500億円)を予定しております。これらにより、東京ディズニーリゾートのより一層の進化を図ります。
当社グループの事業活動における運転資金及び設備投資資金については、内部資金及び営業活動で獲得した資金を主な財源とする予定であります。また、依然として先行きが不透明ななかで更なる不測の事態に備えた財務基盤の強化も進めております。多くの従業員を抱えながら、パークの持続的な成長に不可欠な大規模投資を予定するなかで、手元資金に加えて、次のとおり手元流動性を確保しております。 一つ目に、新型コロナウイルス感染症流行の影響の長期化に伴う売上高の減少などに備え、2020年5月に2,000億円のコミットメントラインを設定いたしました。融資枠を設定することで、今後、仮に資金が必要になった場合にも機動的かつ柔軟に必要な額を調達でき、確実な手元流動性の確保が可能となります。 二つ目に、長期資金を機動的に調達できる体制も整えておくために、2020年8月に2,000億円の社債の発行登録をいたしました。その後、2023年度開業予定の「ファンタジースプリングス」などの長期的な成長投資に対する設備投資資金に充当するために、2020年9月に1,000億円の社債を発行いたしました。
その他にも、2019年1月の社債発行による手元資金500億円、及び「地震リスク対応型コミットメント期間付タームローン」1,500億円の活用も可能ですが、地震リスクにも備え現時点での活用予定はありません。
また、コスト構造の見直しや固定費抑制を目的に2020年6月に組成した「コストコントロールチーム」が中心となって、着実にキャッシュアウトの抑制を実施いたしました。コスト削減や効率化の考え方が全社に浸透したことに伴い、コストコントロールチームとしての活動は2020年度で終了しましたが、引き続き、全社をあげて有事に対して盤石な備えを実現しつつ、コストの精査・コントロールを継続していくことで、着実な財務基盤の強化を進めております。
④重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等
(1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載しております。
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という)の状況の概要は次のとおりであります。
①財政状態及び経営成績の状況
(財政状態の状況)
当連結会計年度末における財政状態とそれらの要因は次のとおりです。
(資産)
当連結会計年度末の資産の部合計は、1,040,465百万円(前期末比2.9%増)となりました。
流動資産は、現金及び預金の減少などにより、274,134百万円(同13.5%減)となりました。
固定資産は、有形固定資産の増加などにより、766,331百万円(同10.4%増)となりました。
(負債)
当連結会計年度末の負債の部合計は、280,517百万円(同47.3%増)となりました。
流動負債は、1年内償還予定の社債の増加などにより、121,370百万円(同20.8%増)となりました。
固定負債は、社債の増加などにより、159,147百万円(同77.0%増)となりました。
(純資産)
当連結会計年度末の純資産の部合計は、利益剰余金の減少などにより、759,948百万円(同7.4%減)となり、自
己資本比率は73.0%(同8.2ポイント減)となりました。
(経営成績の状況)
当連結会計年度は、新型コロナウイルス感染症流行の影響を受け、2020年6月30日まで両パークを臨時休園したことや、両パークの営業再開後も「遊園地・テーマパークにおける新型コロナウイルス感染拡大予防ガイドライン」や、緊急事態宣言に伴う政府、自治体からの要請に準じて営業したことなどにより、入園者数が減少しました。また臨時休園に伴い、特別損失として臨時休園による損失12,965百万円を計上しました。これらの結果、売上高は170,581百万円(前年同期比63.3%減)、営業損失は45,989百万円(前年同期は営業利益96,862百万円)、経常損失は49,205百万円(前年同期は経常利益98,062百万円)、親会社株主に帰属する当期純損失は54,190百万円(前年同期は親会社株主に帰属する当期純利益62,217百万円)となりました。
セグメント別の業績は次のとおりです。
(テーマパーク)
売上高は、ゲスト1人当たり売上高は増加したものの、臨時休園や入園者数の制限などによる入園者数の減少により、134,293百万円(前年同期比65.0%減)と減収となりました。
売上高が大幅に減少したことから、営業損失は41,982百万円(前年同期は営業利益79,660百万円)となりました。
(ホテル)
売上高は、ディズニーホテルの臨時休館や客室販売数の制限などによる宿泊収入の減少により、28,627百万円(前年同期比55.5%減)と減収となりました。
売上高が大幅に減少したことから、営業損失は1,954百万円(前年同期は営業利益14,769百万円)となりました。
(その他)
売上高は、テーマパークの臨時休園の影響によるモノレール事業の減収や、イクスピアリの臨時休業によるイクスピアリ事業の減収などにより、7,660百万円(前年同期比52.3%減)と減収となりました。
売上高が大幅に減少したことから、営業損失は2,312百万円(前年同期は営業利益2,161百万円)となりました。
②キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物の期末残高は、財務活動によるキャッシュ・フローがプラスになっ
たものの、営業活動によるキャッシュ・フロー及び投資活動によるキャッシュ・フローがマイナスになったことか
ら、165,317百万円(前期末残高261,164百万円)となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは、△23,834百万円(前年同期73,336百万円)となりました。前年同期に比
べ、収入が減少した要因は、税金等調整前当期純損失を計上したことなどによります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは、△160,738百万円(同20,534百万円)となりました。前年同期に比べ、収入が減少した要因は、定期預金の払戻による収入が減少したことなどによります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは、88,724百万円(同△55,257百万円)となりました。前年同期に比べ、収
入が増加した要因は、社債の発行による収入が増加したことなどによります。
③販売の実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 | 当連結会計年度 (自 2020年4月1日 至 2021年3月31日) | 前年同期比(%) |
テーマパーク(百万円) | 134,293 | 35.0 |
ホテル(百万円) | 28,627 | 44.5 |
報告セグメント計(百万円) | 162,921 | 36.3 |
その他(百万円) | 7,660 | 47.7 |
合計(百万円) | 170,581 | 36.7 |
a.テーマパーク
区分 | 当連結会計年度 (自 2020年4月1日 至 2021年3月31日) | 前年同期比(%) |
アトラクション・ショー収入(百万円) | 66,938 | 37.2 |
商品販売収入(百万円) | 41,579 | 32.8 |
飲食販売収入(百万円) | 22,642 | 32.0 |
その他の収入(百万円) | 3,133 | 48.7 |
合計(百万円) | 134,293 | 35.0 |
(東京ディズニーランド及び東京ディズニーシーの入園者数)
区分 | 当連結会計年度 (自 2020年4月1日 至 2021年3月31日) | 前年同期比(%) |
入園者数(千人) | 7,560 | 26.1 |
b.ホテル
区分 | 当連結会計年度 (自 2020年4月1日 至 2021年3月31日) | 前年同期比(%) |
ディズニーホテル(百万円) | 25,571 | 45.0 |
その他(百万円) | 3,056 | 40.3 |
合計(百万円) | 28,627 | 44.5 |
c.その他
区分 | 当連結会計年度 (自 2020年4月1日 至 2021年3月31日) | 前年同期比(%) |
イクスピアリ事業(百万円) | 4,272 | 69.2 |
モノレール事業(百万円) | 1,019 | 21.4 |
その他(百万円) | 2,368 | 46.4 |
合計(百万円) | 7,660 | 47.7 |
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
①財政状態及び経営成績に関する認識及び分析・検討内容
(財政状態に関する認識及び分析・検討内容)
(資産の部)
当連結会計年度は、2020中期経営計画で予定していた設備投資を行ったことなどにより、現金及び預金が減少し、有形固定資産が増加しました。
なお、当連結会計年度の設備投資額は1,083億円となりました。セグメント毎の設備投資額(有形固定資産・無形固定資産・長期前払費用)は以下のとおりです。
項目 | 前連結会計年度 (自 2019年4月1日 至 2020年3月31日) | 当連結会計年度 (自 2020年4月1日 至 2021年3月31日) | 増減 | 主な増減要因 | ||
テーマパークセグメント(億円) | 1,299 | 777 | △521 | |||
東京ディズニーランド(億円) | 567 | 116 | △450 | 東京ディズニーランド大規模開発、立体駐車場の減 | ||
東京ディズニーシー(億円) | 392 | 449 | 56 | ファンタジースプリングスによる増 | ||
その他(億円) | 339 | 211 | △127 | ファンタジースプリングスの減 | ||
ホテルセグメント(億円) | 51 | 267 | 215 | 東京ディズニーリゾート・トイ・ストーリーホテル、ファンタジースプリングスによる増 | ||
その他(億円) | 46 | 38 | △7 | |||
消去又は全社(億円) | △0 | - | 0 | |||
合計(億円) | 1,396 | 1,083 | △313 |
(負債の部)
当連結会計年度は、社債の発行を行ったことにより、有利子負債が増加しました。
(純資産の部)
当連結会計年度は、親会社株主に帰属する当期純損失の計上に加えて、配当を支払ったことにより純資産は減少しました。
(経営成績に関する認識及び分析・検討内容)
当社グループにおいては、新型コロナウイルス感染症流行の影響を受け、2020年6月30日まで両パークを臨時休園したことや、両パークの営業再開後も「遊園地・テーマパークにおける新型コロナウイルス感染拡大予防ガイドライン」や、緊急事態宣言に伴う政府、自治体からの要請に準じて営業したことなどにより、入園者数が減少しました。さらに臨時休園に伴い、特別損失を計上しました。これらの結果、売上高、営業利益、経常利益、親会社株主に帰属する当期純利益いずれも減少しました。
セグメントごとの要因は次のとおりです。
(テーマパーク)
2020年7月1日より両パークの営業を再開いたしましたが、「遊園地・テーマパークにおける新型コロナウイルス感染拡大予防ガイドライン」に沿った対策を講じながら、ゲストとキャストの安全を最優先として運営いたしました。安全対策の一環として、公式アプリ「東京ディズニーリゾート・アプリ」にエントリー受付やスタンバイパスなどの機能を新たに追加し、ソーシャルディスタンスを確保しながら、徐々に入園者数の上限を引き上げてまいりました。
また、東京ディズニーランドでは、史上最大規模の開発エリア内各施設を2020年9月28日にオープンいたしました。ファンタジーランドには大型アトラクション「美女と野獣“魔法のものがたり”」やショップ、レストランをオープンし、トゥモローランドにはアトラクション「ベイマックスのハッピーライド」やポップコーン専門ショップ「ビッグポップ」、トゥーンタウンにはキャラクターグリーティング施設「ミニーのスタイルスタジオ」をオープンし、好評を博しました。
ゲスト1人当たり売上高は、入園券種の限定やチケットの価格改定などにより増加しましたが、両パークを2020年6月30日まで臨時休園したことや、営業再開後も入園者数を制限していたことなどから、売上高は減収となりました。
各費用で特別損失への振替などがあったものの、売上高が大幅に減少したことにより、営業損失となりました。
なお現在、政府、自治体からの要請に準じて運営しているものの、先々の外部環境は不透明な状況が続いております。今後も「遊園地・テーマパークにおける新型コロナウイルス感染拡大予防ガイドライン」や、政府、自治体からの要請に準じた運営が必要であり、入園者数を制限することによる売上高の減少など、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(ホテル)
売上高は、ディズニーホテルを2020年6月29日まで臨時休館したことや、営業再開後も客室販売数を制限していたことなどにより、宿泊収入が減少したことから、減収となりました。
各費用で特別損失への振替などがあったものの、売上高が大幅に減少したことにより、営業損失となりました。
また、ブライトンホテル事業に関する固定資産について減損損失を計上しました。
(その他)
売上高は、テーマパークの臨時休園の影響でモノレール事業の売上高が減少したことや、イクスピアリを2020年5月31日まで臨時休業したことによるイクスピアリ事業の売上高が減少したことなどにより、減収となりました。
売上高が大幅に減少したことにより、営業損失となりました。
②中長期的な目標に照らした経営者の分析・評価
2020中期経営計画に対する評価
2020中期経営計画は、「長期持続的な成長に向けた事業基盤の強化」を方針としており、最終年度である2020年度にA「高い満足度を伴ったパーク体験を提供できている状態とする」、B「過去最高の入園者数及び営業キャッシュ・フローを目指す」の2点を目標としておりました。
A 「高い満足度を伴ったパーク体験を提供できている状態とする」
高い満足度を伴ったパーク体験を提供するため「“新鮮さ”と“快適さ”を兼ね備えたテーマパーク」を目指し、テーマパークの集客力と収益力を向上させるとともに、事業基盤の強化に取り組んでまいりました。
「新鮮さ」を提供するハードの強化として、東京ディズニーリゾート35周年イベントの展開、「イッツ・ア・スモールワールド」のリニューアル及び新規大型アトラクション「ソアリン:ファンタスティック・フライト」の導入、東京ディズニーランド大規模開発の実施、両パークにおけるレギュラーエンターテイメントやイベントの刷新等、新たなコンテンツを積極的に導入してまいりました。
「快適さ」を提供するハードの強化として、喫食環境の整備、レストルームの増設等を実施している他、ITの活用(東京ディズニーリゾート・アプリ、電子マネーの導入等)も進めてまいりました。
ソフト(人財力)の強化としては、働きやすい環境の整備と成長を実感できる施策の実施により、「ホスピタリティ力」と「オペレーション力」双方を高めております。
それらの結果、新型コロナウイルス感染症流行前まで、満足度を示す指標の1つである再来園意向率は、高い水準を維持してきました。2020年度は、パークの環境が従前と大きく異なり、一概に過去の数値と比較できないため、あくまで参考値ではありますが、結果的に高い水準で推移しました。エンターテイメントプログラムなど、一部のコンテンツを実施できない状況であったものの、感染症対策を徹底して安全・安心なパーク環境を提供できたことなどによる影響が大きかったと捉えています。
B 「過去最高の入園者数及び営業キャッシュ・フローを目指す」
*営業キャッシュ・フロー = 親会社株主に帰属する当期純利益 + 減価償却費
新型コロナウイルス感染症流行による経営環境の変化によって目標を達成できなかったため、定量目標を取り下げました。しかし、新型コロナウイルス感染症流行前までは着実に入園者数と営業キャッシュ・フローを成長させることができました。
なお、新型コロナウイルス感染症の流行後は、安全・安心を最優先として、当初の計画にはなかった感染症対策を複数実施いたしました。この中には、以前から議論していた施策(チケットの事前予約制やメニュー二次元コード等)を、コロナ禍に対応する形で前倒して実施したものも含まれております。また、これまでの2020中期経営計画期間での取組みを活かせたものも多くあります。たとえば、本中期経営計画の活動の一環としてデジタル化を推進してきたことにより、スタンバイパスやエントリー受付などを、迅速に計画、実行できたことは、非常に大きな成果でありました。コロナ禍で実施したこれらの施策も、一時的な対応にすることなく、今後のパーク環境を見据えながら、引き続き進化させてまいります。
中長期的な成長に向けて
当社グループの中長期的な成長を目指すため、東京ディズニーシーではディズニーホテルを含めた大規模なパーク拡張として8番目のテーマポート「ファンタジースプリングス」の開発、さらには「東京ディズニーリゾート・トイ・ストーリーホテル」の導入により、これまでにない新しい魅力を提供することを検討してまいりました。また、これらの大規模投資の検討と並行し、ゲスト満足度の向上に向けた暑さ対策や混雑感の緩和に資する環境改善に対する投資、及び運営力強化に向けたテーマパークオペレーション社員制度の導入や従業員施設への投資なども、検討と一部実行をしてまいりました。これらの検討、実行を通じて、ハードとソフトの両面から当社グループのコア事業の価値向上が順調に進捗しております。
また、新規事業については、目標時期を限定することなく、当社グループの永続的な成長に寄与すべく引き続き検討してまいります。それに対するひとつの手法として、新規事業の創出を目的に、2020年度には株式会社オリエンタルランド・イノベーションズを設立し、小規模のマイノリティ投資を通じて、可能性のある複数の分野への知見を蓄積しております。「当社グループが営む事業に密接に関わる領域」「当社グループが営む事業にも影響している社会的課題を解決する領域」「当社グループ企業理念に合致する領域、又は既存事業の課題解決・脅威への備えに関わる領域」において可能性を模索し、コア事業を超えたより幅広い範囲で企業使命を果たし、企業価値の向上を目指してまいります。
③キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当社グループの当連結会計年度末における現金及び現金同等物の期末残高は、165,317百万円(前期末残高261,164百万円)となりました。各キャッシュ・フロー分析は次のとおりです。
営業活動によるキャッシュ・フローは、△23,834百万円(前年同期73,336百万円)となりました。前年同期に比
べ、収入が減少した要因は、両パークを6月30日まで臨時休園したことや営業再開後も入園者数を制限していることで、売上高が減少したことなどから、税金等調整前当期純損失を計上したことなどによります。
投資活動によるキャッシュ・フローは、△160,738百万円(同20,534百万円)となりました。前年同期に比べ、収入が減少した要因は、短期で運用しておりました定期預金の払い戻しが減少したことなどによります。
財務活動によるキャッシュ・フローは、88,724百万円(同△55,257百万円)となりました。前年同期に比べ、収
入が増加した要因は、2023年度開業予定の「ファンタジースプリングス」などの長期的な成長投資に対する設備投資資金に充当するため社債を発行したことなどによります。
今後の当社グループの事業活動における資金需要の主なものとしては、「東京ディズニーリゾート・トイ・ストーリーホテル」の新設(2021年度開業予定、投資予算額 約315億円)及び「ファンタジースプリングス」の開発(2023年度開業予定、投資予算額 約2,500億円)を予定しております。これらにより、東京ディズニーリゾートのより一層の進化を図ります。
当社グループの事業活動における運転資金及び設備投資資金については、内部資金及び営業活動で獲得した資金を主な財源とする予定であります。また、依然として先行きが不透明ななかで更なる不測の事態に備えた財務基盤の強化も進めております。多くの従業員を抱えながら、パークの持続的な成長に不可欠な大規模投資を予定するなかで、手元資金に加えて、次のとおり手元流動性を確保しております。 一つ目に、新型コロナウイルス感染症流行の影響の長期化に伴う売上高の減少などに備え、2020年5月に2,000億円のコミットメントラインを設定いたしました。融資枠を設定することで、今後、仮に資金が必要になった場合にも機動的かつ柔軟に必要な額を調達でき、確実な手元流動性の確保が可能となります。 二つ目に、長期資金を機動的に調達できる体制も整えておくために、2020年8月に2,000億円の社債の発行登録をいたしました。その後、2023年度開業予定の「ファンタジースプリングス」などの長期的な成長投資に対する設備投資資金に充当するために、2020年9月に1,000億円の社債を発行いたしました。
その他にも、2019年1月の社債発行による手元資金500億円、及び「地震リスク対応型コミットメント期間付タームローン」1,500億円の活用も可能ですが、地震リスクにも備え現時点での活用予定はありません。
また、コスト構造の見直しや固定費抑制を目的に2020年6月に組成した「コストコントロールチーム」が中心となって、着実にキャッシュアウトの抑制を実施いたしました。コスト削減や効率化の考え方が全社に浸透したことに伴い、コストコントロールチームとしての活動は2020年度で終了しましたが、引き続き、全社をあげて有事に対して盤石な備えを実現しつつ、コストの精査・コントロールを継続していくことで、着実な財務基盤の強化を進めております。
④重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等
(1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載しております。