有価証券報告書-第63期(2022/04/01-2023/03/31)

【提出】
2023/06/29 14:20
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【項目】
153項目
(1) 経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という)の状況の概要は次のとおりであります。
①財政状態及び経営成績の状況
(財政状態の状況)
当連結会計年度末における財政状態とそれらの要因は次のとおりです。
(資産)
当連結会計年度末の資産の部合計は、1,206,419百万円(前期末比11.0%増)となりました。
流動資産は、有価証券の増加などにより、348,941百万円(同28.6%増)となりました。
固定資産は、有形固定資産の増加などにより、857,477百万円(同5.2%増)となりました。
(負債)
当連結会計年度末の負債の部合計は376,730百万円(同14.0%増)となりました。
流動負債は、1年内償還予定の社債の増加などにより、161,249百万円(同89.2%増)となりました。
固定負債は、社債の減少などにより、215,480百万円(同12.2%減)となりました。
(純資産)
当連結会計年度末の純資産の部合計は、利益剰余金の増加などにより、829,689百万円(同9.7%増)となり、自己資本比率は68.8%(同0.8ポイント減)となりました。
(経営成績の状況)
前年同期は千葉県に緊急事態宣言やまん延防止等重点措置が発出され、政府・自治体からの要請を踏まえて入園者数を制限していましたが、2022年3月には「遊園地・テーマパークにおける新型コロナウイルス感染拡大予防ガイドライン」で求められるソーシャルディスタンスが「前後左右ともに人と人とが触れ合わない程度の間隔」に緩和されました。これを受けて、当社グループでは東京ディズニーランド・東京ディズニーシーの入園者数の上限を段階的に引き上げて運営したため、当連結会計年度の入園者数は大幅に増加しました。
その結果、売上高は483,123百万円(前年同期比75.2%増)、営業利益は111,199百万円(前年同期は営業利益7,733百万円)、経常利益は111,789百万円(前年同期比891.2%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は80,734百万円(前年同期比900.7%増)となりました。
セグメント別の業績は次のとおりです。
(テーマパーク)
テーマパーク事業においては、入園者数の増加に加え、ゲスト1人当たり売上高も増加したことなどから、売上高は396,098百万円(前年同期比81.2%増)となりました。
各費用は増加したものの、売上高が増加したことから、営業利益は93,394百万円(前年同期は営業利益2,512百万円)となりました。
(ホテル)
ホテル事業は、宿泊収入が増加したことなどにより、売上高は73,861百万円(前年同期比55.7%増)となりました。
各費用は増加したものの、売上高の増加により営業利益は17,272百万円(前年同期比178.5%増)となりました。
(その他)
売上高は13,162百万円(前年同期比35.3%増)となりました。
売上高が増加したことから、営業利益は232百万円(前年同期は営業損失1,305百万円)となりました。
②キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物の期末残高は、投資活動によるキャッシュ・フロー及び財務活動によるキャッシュ・フローがマイナスになったものの、営業活動によるキャッシュ・フローがプラスになったことから、142,232百万円(前期末残高129,868百万円)となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは、167,729百万円(前年同期54,602百万円)となりました。前年同期に比べ、収入が増加した要因は、税金等調整前当期純利益が増加したことなどによります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは、△144,426百万円(同△138,984百万円)となりました。前年同期に比べ、支出が増加した要因は、有価証券の取得による支出が増加したことなどによります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは、△10,939百万円(同48,933百万円)となりました。前年同期に比べ、支出が増加した要因は、社債の発行による収入が減少したことなどによります。
③販売の実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称当連結会計年度
(自 2022年4月1日
至 2023年3月31日)
前年同期比(%)
テーマパーク(百万円)396,098181.2
ホテル(百万円)73,861155.7
報告セグメント計(百万円)469,960176.7
その他(百万円)13,162135.3
合計(百万円)483,123175.2

a.テーマパーク
区分当連結会計年度
(自 2022年4月1日
至 2023年3月31日)
前年同期比(%)
アトラクション・ショー収入(百万円)197,847184.3
商品販売収入(百万円)122,685182.0
飲食販売収入(百万円)68,711175.4
その他の収入(百万円)6,853147.3
合計(百万円)396,098181.2

(東京ディズニーランド及び東京ディズニーシーの入園者数)
区分当連結会計年度
(自 2022年4月1日
至 2023年3月31日)
前年同期比(%)
入園者数(千人)22,089183.2

b.ホテル
区分当連結会計年度
(自 2022年4月1日
至 2023年3月31日)
前年同期比(%)
ディズニーホテル(百万円)67,334154.0
その他(百万円)6,527176.2
合計(百万円)73,861155.7

c.その他
区分当連結会計年度
(自 2022年4月1日
至 2023年3月31日)
前年同期比(%)
イクスピアリ事業(百万円)5,923116.5
モノレール事業(百万円)3,752204.3
その他(百万円)3,486124.3
合計(百万円)13,162135.3

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
①財政状態及び経営成績に関する認識及び分析・検討内容
(財政状態に関する認識及び分析・検討内容)
(資産の部)
当連結会計年度は、設備投資を行ったことなどにより、有形固定資産が増加しました。
なお、当連結会計年度の設備投資額は994億円となりました。セグメント毎の設備投資額(有形固定資産・無形固定資産・長期前払費用)は以下のとおりです。
項目前連結会計年度
(自 2021年4月1日
至 2022年3月31日)
当連結会計年度
(自 2022年4月1日
至 2023年3月31日)
増減主な増減要因
テーマパークセグメント(億円)608782173
東京ディズニーランド(億円)3012392スペース・マウンテンのリニューアル、ディズニー・ハーモニー・イン・カラーの開発の増
東京ディズニーシー(億円)41149281ファンタジースプリングスの開発の増
その他(億円)166165△0
ホテルセグメント(億円)377178△199東京ディズニーリゾート・トイ・ストーリーホテル、ファンタジースプリングスの開発の減
その他(億円)193515劇場事業、モノレール事業の増
消去又は全社(億円)△3△02
合計(億円)1,002994△7

(負債の部)
当連結会計年度は、未払法人税等が増加したことなどにより、流動負債が増加しました。
(純資産の部)
当連結会計年度は、親会社株主に帰属する当期純利益が増加したことなどにより、純資産は増加しました。
(経営成績に関する認識及び分析・検討内容)
前年同期は千葉県に緊急事態宣言やまん延防止等重点措置が発出され、政府・自治体からの要請を踏まえて入園者数を制限していましたが、当連結会計年度は「遊園地・テーマパークにおける新型コロナウイルス感染拡大予防ガイドライン」で求められるソーシャルディスタンスが「前後左右ともに人と人とが触れ合わない程度の間隔」に緩和されたことを受け、当社グループでは東京ディズニーランド・東京ディズニーシーの入園者数の上限を段階的に引き上げて運営いたしました。それにより当連結会計年度の入園者数は大幅に増加しました。
その結果、売上高、営業利益、経常利益、親会社株主に帰属する当期純利益はいずれも増加しました。
セグメントごとの要因は次のとおりです。
(テーマパーク)
上記のとおり入園者数の上限を段階的に引き上げて運営したことに加え、両パークでのさまざまなスペシャルイベントや2022年11月にスタートした東京ディズニーシーの新規ナイトタイムエンターテイメント「ビリーヴ!~シー・オブ・ドリームス~」が好評であったこと、また政府・自治体の観光需要の喚起策の影響もありレジャー需要が回復したことなどから入園者数が大幅に増加しました。また、ゲスト1人当たり売上高は、2022年5月から新たに導入した「ディズニー・プレミアアクセス」等により増加しました。それらの結果、当連結会計年度は、前年同期と比較すると大幅な増収となりました。
各費用については人件費や諸経費が増加したものの、売上高の増加により増益となりました。
(ホテル)
当連結会計年度は、2022年4月より東京ディズニーリゾート・トイ・ストーリーホテルがオープンしたことに加え、販売客室数の制限を解除したことなどから、宿泊収入が増加し、増収となりました。
各費用は東京ディズニーリゾート・トイ・ストーリーホテルの開業に伴う費用などが増加したものの、売上高の増加により、増益となりました。
(その他)
売上高は、乗降客数の増加に伴うモノレール事業の売上高の増加に加え、不動産賃料収入の増加によるイクスピアリ事業の売上高の増加により、増収となりました。
各費用は増加したものの、主に売上高が増加したことにより、営業損益は黒字に転換いたしました。
②中長期的な目標に照らした経営者の分析・評価
2024中期経営計画は、「ゲスト体験価値向上」と「財務数値の回復」を目標としております。
2022年度は、1日当たりのパーク入園者数を新型コロナウイルス感染症流行の影響や運営体制の整備状況などを勘案し、入園者数上限を引き上げながら運営を行いました。また、パークチケットの変動価格制の通期での運用により平準化に取り組んでまいりました。選択肢の提供として、ディズニー・プレミアアクセスの導入・展開及び東京ディズニーリゾート・バケーションパッケージの拡充を実施してまいりました。パークの魅力向上として、東京ディズニーシー「ファンタジースプリングス」の工事は順調に進捗しており、また、「東京ディズニーリゾート40周年“ドリームゴーラウンド”」の開始に始まり、2023年度はスペシャルイベントやエンターテインメントプログラムなどの規模も順次回復させていく予定です。さらに効率的なパーク運営として、よりスリムな運営体制や省力化の推進、ITの活用など適切なコストコントロールを実施してまいりました。引き続きこれらを実行することでゲスト体験価値向上を図ってまいります。
また、2024中期経営計画の財務目標のうち、連結営業利益1,000億円以上及びROE8%以上については2022年度に前倒しで達成することができ、想定していたよりも早期にコロナ禍からの業績回復が実現し、財務目標については、当初予定より前倒しで達成できる見通しを持っております。これらは、ゲスト構成の変化やディズニー・プレミアアクセスの導入などでゲスト1人当たり売上高が高まり、入園者数とゲスト1人当たり売上高のバランスを取りながら財務レベルを回復させることができたと評価しております。
現在、内外環境の見通しを踏まえ2024年度の財務目標は再検討しております。なお、2024中期経営計画の戦略の方向性に大きな変更はございません。
③キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当社グループの当連結会計年度末における現金及び現金同等物の期末残高は、142,232百万円(前期末残高129,868百万円)となりました。各キャッシュ・フロー分析は次のとおりです。
営業活動によるキャッシュ・フローは、167,729百万円(前年同期54,602百万円)となりました。前年同期に比べ、収入が増加した要因は、当期は政府・自治体による制限が緩和されたことなどにより入園者数が増加したことやゲスト一人当たりの売上高が増加したことで売上高が増加したことなどから、税金等調整前当期純利益が増加したことなどによります。
投資活動によるキャッシュ・フローは、△144,426百万円(同△138,984百万円)となりました。前年同期に比べ、支出が増加した要因は、有価証券の取得による支出が増加したことなどによります。
財務活動によるキャッシュ・フローは、△10,939百万円(同48,933百万円)となりました。前年同期に比べ、支出が増加した要因は、当期社債を発行しなかったことや配当金の支払額が増加したことなどによります。
今後の当社グループの事業活動における資金需要の主なものとしては、東京ディズニーシーにおける「ファンタジースプリングス」の開発(2024年度第1四半期開業予定、投資予算額 約3,200億円)、東京ディズニーランドにおける「スペース・マウンテン」及び周辺環境の一新(2027年開業予定、投資予算額 約560億円)を予定しております。
当社グループの事業活動を行う上で必要となる運転資金及び設備投資資金については、営業活動によるキャッシュ・フローを主とした内部資金を主な財源とし、必要に応じて金融機関等からの借入や、社債発行等による資金調達も検討いたします。
なお、「ファンタジースプリングス」など、長期的な設備投資に対する設備投資資金として、前期までに社債発行により計1,800億円の資金を調達いたしました。また、2020年9月に設定いたしました社債発行登録枠が2022年8月31日をもって期限を迎えたため、コロナ禍の影響により不透明な環境が続く場合など、仮に今後資金が必要になった場合にも、機動的かつ柔軟に必要な金額を調達できるよう、2022年9月1日より新たに1,500億円の社債の発行登録をいたしました。
その他、地震災害等の有事に対しても、2019年1月の社債発行による手元資金500億円、及び「地震リスク対応型コミットメント期間付タームローン」1,500億円により備えております。
引き続き、コストの精査・コントロールを継続していくことで、着実な財務基盤の強化を進めております。