有価証券報告書-第60期(平成31年4月1日-令和2年3月31日)
(1) 経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という)の状況の概要は次のとおりであります。
①財政状態及び経営成績の状況
(財政状態の状況)
当連結会計年度末における財政状態とそれらの要因は次のとおりです。
(資産)
当連結会計年度末の資産の部合計は、1,010,651百万円(前期末比3.9%減)となりました。
流動資産は、現金及び預金の減少などにより、316,741百万円(同28.3%減)となりました。
固定資産は、有形固定資産の増加などにより、693,910百万円(同13.8%増)となりました。
(負債)
当連結会計年度末の負債の部合計は、190,394百万円(同23.3%減)となりました。
流動負債は、1年内償還予定の社債の減少などにより、100,495百万円(同35.0%減)となりました。
固定負債は、その他の固定負債の減少などにより、89,898百万円(同4.0%減)となりました。
(純資産)
当連結会計年度末の純資産の部合計は、利益剰余金の増加などにより、820,257百万円(同2.1%増)となり、自己資本比率は81.2%(同4.8ポイント増)となりました。
(経営成績の状況)
当連結会計年度は、東京ディズニーリゾート35周年イベントの翌年でありましたが、新規アトラクションの導入やスペシャルイベントが好評を博し、ゲスト1人当たり売上高は減少したものの、入園者数は好調に推移しました。しかしながら、新型コロナウイルス感染拡大防止のため、両パークを臨時休園したことから通年では入園者数が減少しました。さらに、臨時休園に伴い、特別損失として臨時休園による損失9,270百万円を計上しました。これらの結果、売上高は464,450百万円(前年同期比11.6%減)、営業利益は96,862百万円(同25.1%減)、経常利益は98,062百万円(同24.2%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は62,217百万円(同31.1%減)となりました。
セグメント別の業績は次のとおりです。
(テーマパーク)
売上高は、臨時休園により入園者数が減少したことに加え、ゲスト1人当たり売上高が減少したことなどにより、384,031百万円(前年同期比12.2%減)と減収となりました。
営業利益は、業績賞与などの人件費などが減少したものの、売上高が減少したことなどにより、79,660百万円(同25.7%減)と減益となりました。
(ホテル)
売上高は、東京ディズニーリゾート35周年イベントの翌年により宿泊収入が減少したことや、テーマパークの臨時休園の影響による宿泊収入の減少により、64,375百万円(前年同期比11.1%減)と減収となりました。 営業利益は、売上高の減少などにより、14,769百万円(同23.2%減)と減益となりました。
(その他)
売上高は、植栽事業の売上高が増加したことにより、16,043百万円(前年同期比2.2%増)と増収となりました。
営業利益は、新型コロナウイルス感染拡大防止のため、イクスピアリを臨時休業したことなどから、2,161百万円(同14.5%減)と減益となりました。
②キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物の期末残高は、財務活動によるキャッシュ・フローがマイナスにな
ったものの、営業活動によるキャッシュ・フロー及び投資活動によるキャッシュ・フローがプラスになったことか
ら、261,164百万円(前期末残高222,551百万円)となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは、73,336百万円(前年同期134,974百万円)となりました。前年同期に比
べ、収入が減少した要因は、税金等調整前当期純利益が減少したことなどによります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは、20,534百万円(同△135,360百万円)となりました。前年同期に比べ、収入が増加した要因は、定期預金の払戻による収入が増加したことなどによります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは、△55,257百万円(同36,601百万円)となりました。前年同期に比べ、支
出が増加した要因は、自己株式の取得による支出が増加したことなどによります。
③販売の実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
a.テーマパーク
(東京ディズニーランド及び東京ディズニーシーの入園者数)
b.ホテル
c.その他
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
①財政状態及び経営成績に関する認識及び分析・検討内容
(財政状態に関する認識及び分析・検討内容)
(資産の部)
当連結会計年度は主に営業活動により獲得した営業キャッシュ・フローをもとに、2020中期経営計画で予定していた設備投資を行いました。この結果、現金及び預金が減少し、有形固定資産が増加しました。
なお、当連結会計年度の設備投資額は1,396億円となりました。セグメント毎の設備投資額(有形固定資産・無形固定資産・長期前払費用)は以下のとおりです。
(負債の部)
当連結会計年度は社債の償還を行ったことなどにより、有利子負債が減少しました。
(純資産の部)
株主還元については、「安定的な配当を目指す」という方針のもと、当期の1株当たりの年間配当金を前年度から2円増配となる44円とすることにいたしました。また、公開買付けによる自己株式の取得を行い、買付予定数としていた150万株を207億円で取得いたしました。
(経営成績に関する認識及び分析・検討内容)
当社グループにおいては、東京ディズニーリゾート35周年イベントの翌年でありましたが、新規アトラクションの導入やスペシャルイベントが好評を博し、ゲスト1人当たり売上高は減少したものの、入園者数は好調に推移しました。しかしながら、新型コロナウイルス感染拡大防止のため、両パークを臨時休園したことから通年では入園者数が減少しました。さらに、臨時休園に伴い、特別損失として臨時休園による損失を計上しました。これらの結果、売上高、営業利益、経常利益、親会社株主に帰属する当期純利益いずれも減少しました。
セグメントごとの要因は次のとおりです。
(テーマパーク)
東京ディズニーリゾートでは、春のスペシャルイベント「ディズニー・イースター」に加え、「ディズニー・ハロウィーン」、「ディズニー・クリスマス」などの季節感あふれるスペシャルイベントを実施いたしました。 東京ディズニーシーでは、7月23日にオープンした新規大型アトラクション「ソアリン:ファンタスティック・フライト」が好評を博しました。
これらの新規アトラクションやスペシャルイベントが好調に推移したことに加え、アトラクション体験人数の増加及びパーク内のゲストの滞留バランスの改善による混雑緩和の効果がありました。また、パーク内外でさまざまなサービスが利用できる公式アプリ「東京ディズニーリゾート・アプリ」の機能を拡充し、「ディズニー・ファストパス」の取得ができる機能の追加や、パーク内のフォトサービス「ディズニー・フォト」の導入、オンラインチェックインの対象ホテルの拡充など、ゲストの利便性を向上させることができました。
ソフト面では、新たな雇用区分「テーマパークオペレーション社員」を導入するなど、従業員が安心して働ける環境づくりを進めてまいりました。このように、中長期ではゲスト満足度の向上に向け、ハード・ソフト両面でさまざまな取組みを行ってまいりました。
その結果、当期の入園者数は好調に推移していたものの、新型コロナウイルス感染拡大防止のため、両パークを臨時休園したことにより売上高は減収となりました。また、東京ディズニーリゾート35周年イベントの翌年であったことから、35周年イベント関連商品販売終了により商品販売収入が減少し、ゲスト1人当たり売上高も減少しました。
営業利益は、テーマパーク事業で業績賞与などの人件費や減価償却費などが減少したものの、売上高が減少したことにより、減益となりました。
また、2020年度の見込みでありますが、現在、両パークの再開に向け準備を進めております。再開に向けては、複数のシナリオの想定のもと、パークの運営方法とそれに伴う業績への影響をシミュレーションしております。しかしながら、再開後もレジャーに対する消費マインドの低下や、パークの中でのさまざまなシーンにおいて「密閉・密集・密接」の3つの密を念頭に置いた、従来以上に安全に配慮した運営方法を検討していくことにより、一時的に入園者数が減少し、売上高の減少など当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
事業資金については、手元資金を充当することにより対応しており、直ちに融資が必要な状態にはありませんが、資金が必要になった場合に備え、2020年5月15日に2,000億円のコミットメントラインの締結をいたしました。
また、現在、東京ディズニーシー大規模拡張プロジェクト、及び『トイ・ストーリー』シリーズをテーマとした新たなディズニーホテルの建設を進めており、計画通り実施予定です。当該設備投資資金は営業キャッシュ・フローを充当する予定ですが、これらの設備投資資金の調達も必要になる可能性があります。これら2つの計画を除く更新改良などの投資計画については精査しております。
(ホテル)
売上高は、東京ディズニーリゾート35周年イベントの翌年であるものの好調を維持しておりましたが、新型コロナウイルス感染拡大の影響を受け、2020年2月末から一部内容を変更して営業をしておりました。この結果、宿泊収入は減少し、減収となりました。
営業利益は、人件費などの費用が減少したものの、売上高が減少したことなどにより、減益となりました。
(その他)
売上高は、植栽事業の工事受注件数が増加したことなどにより、増収となりました。
営業利益は、イクスピアリ事業が減収となったことなどにより、減益となりました。
②中長期的な目標に照らした経営者の分析・評価
当社グループの中長期的な成長を目指すため、東京ディズニーランドでは体験価値の向上を目指したアトラクション開発、東京ディズニーシーではディズニーホテルを含めた大規模なパーク拡張として8番目のテーマポート「ファンタジースプリングス」の開発、さらにはディズニー/ピクサー映画『トイ・ストーリー』シリーズをテーマとした新たなディズニーホテルの導入による東京ディズニーリゾート内のホテル客室数の増加などを検討してまいりました。また、これらの大規模投資の検討と並行し、ゲスト満足度の向上に向けた暑さ対策や混雑感の緩和に資する環境改善に対する投資、及び運営力強化に向けたテーマパークオペレーション社員制度の導入や従業員施設への投資なども、検討と一部実行をしてまいりました。これらの検討、実行を通じて、ハードとソフトの両面から当社グループのコア事業の価値向上が順調に進捗しております。
また、新規事業については、目標時期を限定することなく、1セグメント化を目指し引き続き検討してまいります。それに対するひとつの手法として、新規事業の創出を目的に、2020年度にはCVC(Corporate Venture Capital)を設立し、小規模のマイノリティ投資を通じて、可能性のある複数の分野への知見を蓄積してまいります。「当社グループが営む事業に密接に関わる領域」「当社グループが営む事業にも影響している社会的課題を解決する領域」「当社グループ企業理念に合致する領域、又は既存事業の課題解決・脅威への備えに関わる領域」において可能性を模索し、コア事業を超えたより幅広い範囲で企業使命を果たし、企業価値の向上を目指してまいります。
2020中期経営計画は、「長期持続的な成長に向けた事業基盤の強化」を方針としており、最終年度である2020年度に「高い満足度を伴ったパーク体験を提供できている状態とする」「過去最高の入園者数及び営業キャッシュ・フローを目指す」の2点を目標としております。当連結会計年度末現在、ハードの強化としては、「新鮮さ」を提供するため、東京ディズニーリゾート35周年イベントの展開、アトラクションでは「イッツ・ア・スモールワールド」のリニューアル及び新規大型アトラクション「ソアリン:ファンタスティック・フライト」の導入、両パークにおけるレギュラーエンターテイメントやイベントの刷新等、新たなコンテンツを積極的に導入してまいりました。「快適さ」の観点では、喫食環境の整備、レストルームの増設等を実施している他、ITの活用(東京ディズニーリゾート・アプリ、電子マネーの導入等)や海外ゲストを受け入れる体制の強化も進めております。なお、東京ディズニーランド大規模開発についても、オープンに向けて順調に進捗しておりましたが、新型コロナウイルス感染拡大の影響に伴い現時点でオープン時期は未定としております。
ソフト(人財力)の強化としては、働きやすい環境の整備と成長を実感できる施策の実施により、「ホスピタリティ力」と「オペレーション力」双方を高めております。それらの結果として、当連結会計年度においても高い満足度を維持することができました。
このようなハード・ソフトの両面への投資を継続することにより、「高い満足度を伴ったパーク体験を提供できている状態」を実現し、2020年度における「過去最高の入園者数及び営業キャッシュ・フロー」の目標達成に向けて順調に進捗しておりましたが、当期の終盤より新型コロナウイルス感染拡大防止のため両パークを臨時休園したことに伴い、現在、2020中期経営計画の扱いについて精査しております。2020年度の業績予想と合わせて発表する予定です。
③キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当社グループの当連結会計年度末における現金及び現金同等物の期末残高は、261,164百万円(前期末残高 222,551百万円)となりました。各キャッシュ・フロー分析は次のとおりです。
営業活動によるキャッシュ・フローは、73,336百万円(前年同期134,974百万円)となりました。前年同期に比べ、収入が減少した要因は、2020年2月29日より臨時休園したことから税金等調整前当期純利益が減少したことなどによります。
投資活動によるキャッシュ・フローは、20,534百万円(同△135,360百万円)となりました。前年同期に比べ、収入が増加した要因は、「東京ディズニーシー大規模拡張プロジェクト」などに係る支出をした一方で、臨時休園期間の運転資金を確保するために短期で運用しておりました定期預金を払い戻したことなどによります。
財務活動によるキャッシュ・フローは、△55,257百万円(同36,601百万円)となりました。前年同期に比べ、支出が増加した要因は、株主還元の充実を図るため自己株式を取得したこと及び社債を償還したことなどによります。
今後の当社グループの事業活動における資金需要の主なものとしては、東京ディズニーリゾート内でのディズニー/ピクサー映画『トイ・ストーリー』シリーズをテーマとしたホテルの新設(2021年度開業予定、投資予算額 約315億円)及び「東京ディズニーシー大規模拡張プロジェクト」(2023年度開業予定、投資予算額 約2,500億円)による東京ディズニーシーでの新しいテーマポート「ファンタジースプリングス」の開発を予定しております。これらにより、東京ディズニーリゾートのより一層の進化を図ります。
上記投資資金を含む、当社グループの事業活動における運転資金及び設備投資資金については、内部資金及び営業活動で獲得した資金を主な財源とする予定です。 また、新型コロナウイルス感染拡大の状況並びに政府、自治体からの要請等を踏まえ、臨時休園を実施している期間中は、売上高が著しく減少しております。事業資金については、内部資金を充当することにより対応しておりますが、テーマパークやホテルの営業再開後も、レジャーに対する消費マインドの低下、感染症対策の実施等による一時的な入園者数減少に伴う売上高の減少など、当社グループの業績に影響を及ぼす場合に資金調達が必要となる可能性があります。このような状況に備えるため、今後、仮に資金が必要になった場合にも機動的かつ柔軟に必要な額を調達することを目的に、新たに2,000億円のコミットメントラインの契約を締結いたしました。
なお、地震リスク対応を使途とした発行済の社債の充当や設定済みの地震リスク対応型ファイナンスの活用も可能ですが、地震リスクにも備え現時点での活用予定はございません。
④重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等
(1)連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)、(追加情報)」に記載しております。
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という)の状況の概要は次のとおりであります。
①財政状態及び経営成績の状況
(財政状態の状況)
当連結会計年度末における財政状態とそれらの要因は次のとおりです。
(資産)
当連結会計年度末の資産の部合計は、1,010,651百万円(前期末比3.9%減)となりました。
流動資産は、現金及び預金の減少などにより、316,741百万円(同28.3%減)となりました。
固定資産は、有形固定資産の増加などにより、693,910百万円(同13.8%増)となりました。
(負債)
当連結会計年度末の負債の部合計は、190,394百万円(同23.3%減)となりました。
流動負債は、1年内償還予定の社債の減少などにより、100,495百万円(同35.0%減)となりました。
固定負債は、その他の固定負債の減少などにより、89,898百万円(同4.0%減)となりました。
(純資産)
当連結会計年度末の純資産の部合計は、利益剰余金の増加などにより、820,257百万円(同2.1%増)となり、自己資本比率は81.2%(同4.8ポイント増)となりました。
(経営成績の状況)
当連結会計年度は、東京ディズニーリゾート35周年イベントの翌年でありましたが、新規アトラクションの導入やスペシャルイベントが好評を博し、ゲスト1人当たり売上高は減少したものの、入園者数は好調に推移しました。しかしながら、新型コロナウイルス感染拡大防止のため、両パークを臨時休園したことから通年では入園者数が減少しました。さらに、臨時休園に伴い、特別損失として臨時休園による損失9,270百万円を計上しました。これらの結果、売上高は464,450百万円(前年同期比11.6%減)、営業利益は96,862百万円(同25.1%減)、経常利益は98,062百万円(同24.2%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は62,217百万円(同31.1%減)となりました。
セグメント別の業績は次のとおりです。
(テーマパーク)
売上高は、臨時休園により入園者数が減少したことに加え、ゲスト1人当たり売上高が減少したことなどにより、384,031百万円(前年同期比12.2%減)と減収となりました。
営業利益は、業績賞与などの人件費などが減少したものの、売上高が減少したことなどにより、79,660百万円(同25.7%減)と減益となりました。
(ホテル)
売上高は、東京ディズニーリゾート35周年イベントの翌年により宿泊収入が減少したことや、テーマパークの臨時休園の影響による宿泊収入の減少により、64,375百万円(前年同期比11.1%減)と減収となりました。 営業利益は、売上高の減少などにより、14,769百万円(同23.2%減)と減益となりました。
(その他)
売上高は、植栽事業の売上高が増加したことにより、16,043百万円(前年同期比2.2%増)と増収となりました。
営業利益は、新型コロナウイルス感染拡大防止のため、イクスピアリを臨時休業したことなどから、2,161百万円(同14.5%減)と減益となりました。
②キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物の期末残高は、財務活動によるキャッシュ・フローがマイナスにな
ったものの、営業活動によるキャッシュ・フロー及び投資活動によるキャッシュ・フローがプラスになったことか
ら、261,164百万円(前期末残高222,551百万円)となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは、73,336百万円(前年同期134,974百万円)となりました。前年同期に比
べ、収入が減少した要因は、税金等調整前当期純利益が減少したことなどによります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは、20,534百万円(同△135,360百万円)となりました。前年同期に比べ、収入が増加した要因は、定期預金の払戻による収入が増加したことなどによります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは、△55,257百万円(同36,601百万円)となりました。前年同期に比べ、支
出が増加した要因は、自己株式の取得による支出が増加したことなどによります。
③販売の実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 | 当連結会計年度 (自 2019年4月1日 至 2020年3月31日) | 前期比(%) |
テーマパーク(百万円) | 384,031 | 87.8 |
ホテル(百万円) | 64,375 | 88.9 |
報告セグメント計(百万円) | 448,406 | 87.9 |
その他(百万円) | 16,043 | 102.2 |
合計(百万円) | 464,450 | 88.4 |
a.テーマパーク
区分 | 当連結会計年度 (自 2019年4月1日 至 2020年3月31日) | 前期比(%) |
アトラクション・ショー収入(百万円) | 179,965 | 89.2 |
商品販売収入(百万円) | 126,822 | 83.2 |
飲食販売収入(百万円) | 70,815 | 92.8 |
その他の収入(百万円) | 6,428 | 91.0 |
合計(百万円) | 384,031 | 87.8 |
(東京ディズニーランド及び東京ディズニーシーの入園者数)
区分 | 当連結会計年度 (自 2019年4月1日 至 2020年3月31日) | 前期比(%) |
入園者数(千人) | 29,008 | 89.1 |
b.ホテル
区分 | 当連結会計年度 (自 2019年4月1日 至 2020年3月31日) | 前期比(%) |
ディズニーホテル(百万円) | 56,799 | 89.7 |
その他(百万円) | 7,575 | 83.3 |
合計(百万円) | 64,375 | 88.9 |
c.その他
区分 | 当連結会計年度 (自 2019年4月1日 至 2020年3月31日) | 前期比(%) |
イクスピアリ事業(百万円) | 6,175 | 93.3 |
モノレール事業(百万円) | 4,767 | 100.6 |
その他(百万円) | 5,100 | 117.4 |
合計(百万円) | 16,043 | 102.2 |
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
①財政状態及び経営成績に関する認識及び分析・検討内容
(財政状態に関する認識及び分析・検討内容)
(資産の部)
当連結会計年度は主に営業活動により獲得した営業キャッシュ・フローをもとに、2020中期経営計画で予定していた設備投資を行いました。この結果、現金及び預金が減少し、有形固定資産が増加しました。
なお、当連結会計年度の設備投資額は1,396億円となりました。セグメント毎の設備投資額(有形固定資産・無形固定資産・長期前払費用)は以下のとおりです。
項目 | 前連結会計年度 (自 2018年4月1日 至 2019年3月31日) | 当連結会計年度 (自 2019年4月1日 至 2020年3月31日) | 増減 | 主な増減要因 | ||
テーマパークセグメント(億円) | 807 | 1,299 | 491 | |||
東京ディズニーランド(億円) | 392 | 567 | 175 | 東京ディズニーランド 大規模開発による増 | ||
東京ディズニーシー(億円) | 224 | 392 | 168 | 東京ディズニーシー大規模 拡張プロジェクトによる増 | ||
その他(億円) | 191 | 339 | 148 | 東京ディズニーシー大規模 拡張プロジェクトによる増 | ||
ホテルセグメント(億円) | 19 | 51 | 31 | 新規ディズニーホテル による増 | ||
その他(億円) | 33 | 46 | 12 | モノレール事業の増 | ||
消去又は全社(億円) | △0 | △0 | △0 | |||
合計(億円) | 860 | 1,396 | 535 |
(負債の部)
当連結会計年度は社債の償還を行ったことなどにより、有利子負債が減少しました。
(純資産の部)
株主還元については、「安定的な配当を目指す」という方針のもと、当期の1株当たりの年間配当金を前年度から2円増配となる44円とすることにいたしました。また、公開買付けによる自己株式の取得を行い、買付予定数としていた150万株を207億円で取得いたしました。
(経営成績に関する認識及び分析・検討内容)
当社グループにおいては、東京ディズニーリゾート35周年イベントの翌年でありましたが、新規アトラクションの導入やスペシャルイベントが好評を博し、ゲスト1人当たり売上高は減少したものの、入園者数は好調に推移しました。しかしながら、新型コロナウイルス感染拡大防止のため、両パークを臨時休園したことから通年では入園者数が減少しました。さらに、臨時休園に伴い、特別損失として臨時休園による損失を計上しました。これらの結果、売上高、営業利益、経常利益、親会社株主に帰属する当期純利益いずれも減少しました。
セグメントごとの要因は次のとおりです。
(テーマパーク)
東京ディズニーリゾートでは、春のスペシャルイベント「ディズニー・イースター」に加え、「ディズニー・ハロウィーン」、「ディズニー・クリスマス」などの季節感あふれるスペシャルイベントを実施いたしました。 東京ディズニーシーでは、7月23日にオープンした新規大型アトラクション「ソアリン:ファンタスティック・フライト」が好評を博しました。
これらの新規アトラクションやスペシャルイベントが好調に推移したことに加え、アトラクション体験人数の増加及びパーク内のゲストの滞留バランスの改善による混雑緩和の効果がありました。また、パーク内外でさまざまなサービスが利用できる公式アプリ「東京ディズニーリゾート・アプリ」の機能を拡充し、「ディズニー・ファストパス」の取得ができる機能の追加や、パーク内のフォトサービス「ディズニー・フォト」の導入、オンラインチェックインの対象ホテルの拡充など、ゲストの利便性を向上させることができました。
ソフト面では、新たな雇用区分「テーマパークオペレーション社員」を導入するなど、従業員が安心して働ける環境づくりを進めてまいりました。このように、中長期ではゲスト満足度の向上に向け、ハード・ソフト両面でさまざまな取組みを行ってまいりました。
その結果、当期の入園者数は好調に推移していたものの、新型コロナウイルス感染拡大防止のため、両パークを臨時休園したことにより売上高は減収となりました。また、東京ディズニーリゾート35周年イベントの翌年であったことから、35周年イベント関連商品販売終了により商品販売収入が減少し、ゲスト1人当たり売上高も減少しました。
営業利益は、テーマパーク事業で業績賞与などの人件費や減価償却費などが減少したものの、売上高が減少したことにより、減益となりました。
また、2020年度の見込みでありますが、現在、両パークの再開に向け準備を進めております。再開に向けては、複数のシナリオの想定のもと、パークの運営方法とそれに伴う業績への影響をシミュレーションしております。しかしながら、再開後もレジャーに対する消費マインドの低下や、パークの中でのさまざまなシーンにおいて「密閉・密集・密接」の3つの密を念頭に置いた、従来以上に安全に配慮した運営方法を検討していくことにより、一時的に入園者数が減少し、売上高の減少など当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
事業資金については、手元資金を充当することにより対応しており、直ちに融資が必要な状態にはありませんが、資金が必要になった場合に備え、2020年5月15日に2,000億円のコミットメントラインの締結をいたしました。
また、現在、東京ディズニーシー大規模拡張プロジェクト、及び『トイ・ストーリー』シリーズをテーマとした新たなディズニーホテルの建設を進めており、計画通り実施予定です。当該設備投資資金は営業キャッシュ・フローを充当する予定ですが、これらの設備投資資金の調達も必要になる可能性があります。これら2つの計画を除く更新改良などの投資計画については精査しております。
(ホテル)
売上高は、東京ディズニーリゾート35周年イベントの翌年であるものの好調を維持しておりましたが、新型コロナウイルス感染拡大の影響を受け、2020年2月末から一部内容を変更して営業をしておりました。この結果、宿泊収入は減少し、減収となりました。
営業利益は、人件費などの費用が減少したものの、売上高が減少したことなどにより、減益となりました。
(その他)
売上高は、植栽事業の工事受注件数が増加したことなどにより、増収となりました。
営業利益は、イクスピアリ事業が減収となったことなどにより、減益となりました。
②中長期的な目標に照らした経営者の分析・評価
当社グループの中長期的な成長を目指すため、東京ディズニーランドでは体験価値の向上を目指したアトラクション開発、東京ディズニーシーではディズニーホテルを含めた大規模なパーク拡張として8番目のテーマポート「ファンタジースプリングス」の開発、さらにはディズニー/ピクサー映画『トイ・ストーリー』シリーズをテーマとした新たなディズニーホテルの導入による東京ディズニーリゾート内のホテル客室数の増加などを検討してまいりました。また、これらの大規模投資の検討と並行し、ゲスト満足度の向上に向けた暑さ対策や混雑感の緩和に資する環境改善に対する投資、及び運営力強化に向けたテーマパークオペレーション社員制度の導入や従業員施設への投資なども、検討と一部実行をしてまいりました。これらの検討、実行を通じて、ハードとソフトの両面から当社グループのコア事業の価値向上が順調に進捗しております。
また、新規事業については、目標時期を限定することなく、1セグメント化を目指し引き続き検討してまいります。それに対するひとつの手法として、新規事業の創出を目的に、2020年度にはCVC(Corporate Venture Capital)を設立し、小規模のマイノリティ投資を通じて、可能性のある複数の分野への知見を蓄積してまいります。「当社グループが営む事業に密接に関わる領域」「当社グループが営む事業にも影響している社会的課題を解決する領域」「当社グループ企業理念に合致する領域、又は既存事業の課題解決・脅威への備えに関わる領域」において可能性を模索し、コア事業を超えたより幅広い範囲で企業使命を果たし、企業価値の向上を目指してまいります。
2020中期経営計画は、「長期持続的な成長に向けた事業基盤の強化」を方針としており、最終年度である2020年度に「高い満足度を伴ったパーク体験を提供できている状態とする」「過去最高の入園者数及び営業キャッシュ・フローを目指す」の2点を目標としております。当連結会計年度末現在、ハードの強化としては、「新鮮さ」を提供するため、東京ディズニーリゾート35周年イベントの展開、アトラクションでは「イッツ・ア・スモールワールド」のリニューアル及び新規大型アトラクション「ソアリン:ファンタスティック・フライト」の導入、両パークにおけるレギュラーエンターテイメントやイベントの刷新等、新たなコンテンツを積極的に導入してまいりました。「快適さ」の観点では、喫食環境の整備、レストルームの増設等を実施している他、ITの活用(東京ディズニーリゾート・アプリ、電子マネーの導入等)や海外ゲストを受け入れる体制の強化も進めております。なお、東京ディズニーランド大規模開発についても、オープンに向けて順調に進捗しておりましたが、新型コロナウイルス感染拡大の影響に伴い現時点でオープン時期は未定としております。
ソフト(人財力)の強化としては、働きやすい環境の整備と成長を実感できる施策の実施により、「ホスピタリティ力」と「オペレーション力」双方を高めております。それらの結果として、当連結会計年度においても高い満足度を維持することができました。
このようなハード・ソフトの両面への投資を継続することにより、「高い満足度を伴ったパーク体験を提供できている状態」を実現し、2020年度における「過去最高の入園者数及び営業キャッシュ・フロー」の目標達成に向けて順調に進捗しておりましたが、当期の終盤より新型コロナウイルス感染拡大防止のため両パークを臨時休園したことに伴い、現在、2020中期経営計画の扱いについて精査しております。2020年度の業績予想と合わせて発表する予定です。
③キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当社グループの当連結会計年度末における現金及び現金同等物の期末残高は、261,164百万円(前期末残高 222,551百万円)となりました。各キャッシュ・フロー分析は次のとおりです。
営業活動によるキャッシュ・フローは、73,336百万円(前年同期134,974百万円)となりました。前年同期に比べ、収入が減少した要因は、2020年2月29日より臨時休園したことから税金等調整前当期純利益が減少したことなどによります。
投資活動によるキャッシュ・フローは、20,534百万円(同△135,360百万円)となりました。前年同期に比べ、収入が増加した要因は、「東京ディズニーシー大規模拡張プロジェクト」などに係る支出をした一方で、臨時休園期間の運転資金を確保するために短期で運用しておりました定期預金を払い戻したことなどによります。
財務活動によるキャッシュ・フローは、△55,257百万円(同36,601百万円)となりました。前年同期に比べ、支出が増加した要因は、株主還元の充実を図るため自己株式を取得したこと及び社債を償還したことなどによります。
今後の当社グループの事業活動における資金需要の主なものとしては、東京ディズニーリゾート内でのディズニー/ピクサー映画『トイ・ストーリー』シリーズをテーマとしたホテルの新設(2021年度開業予定、投資予算額 約315億円)及び「東京ディズニーシー大規模拡張プロジェクト」(2023年度開業予定、投資予算額 約2,500億円)による東京ディズニーシーでの新しいテーマポート「ファンタジースプリングス」の開発を予定しております。これらにより、東京ディズニーリゾートのより一層の進化を図ります。
上記投資資金を含む、当社グループの事業活動における運転資金及び設備投資資金については、内部資金及び営業活動で獲得した資金を主な財源とする予定です。 また、新型コロナウイルス感染拡大の状況並びに政府、自治体からの要請等を踏まえ、臨時休園を実施している期間中は、売上高が著しく減少しております。事業資金については、内部資金を充当することにより対応しておりますが、テーマパークやホテルの営業再開後も、レジャーに対する消費マインドの低下、感染症対策の実施等による一時的な入園者数減少に伴う売上高の減少など、当社グループの業績に影響を及ぼす場合に資金調達が必要となる可能性があります。このような状況に備えるため、今後、仮に資金が必要になった場合にも機動的かつ柔軟に必要な額を調達することを目的に、新たに2,000億円のコミットメントラインの契約を締結いたしました。
なお、地震リスク対応を使途とした発行済の社債の充当や設定済みの地震リスク対応型ファイナンスの活用も可能ですが、地震リスクにも備え現時点での活用予定はございません。
④重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等
(1)連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)、(追加情報)」に記載しております。