有価証券報告書-第41期(平成31年4月1日-令和2年3月31日)

【提出】
2020/06/30 17:14
【資料】
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【項目】
162項目
(1) 経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態及び経営成績の状況
日本の温浴業界につきましては、個人消費の持ち直しを背景に「安・近・短」の手軽なレジャーとしてのニーズが引き続き底堅く推移する一方、人件費高騰や物価上昇に加え、ニーズの多様化や感染症防止対策への取り組み等、厳しい経営環境が続きました。このような状況の中、2019年7月には5店舗の温浴事業の譲受け、9月には直営共通会員制度の廃止、その他「RAKU SPA 鶴見」の改装、折込チラシを中心とした販促活動や各種コラボイベントの実施等、業績向上を目指して積極的に取り組みました。
一方、中国におきましては、春の気温上昇や新たな競合施設の出店、割引サイトの影響などにより難しい店舗運営を強いられていたところへ、新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、繁忙期最中の1月下旬に全店臨時休業を余儀なくされるなど、厳しい経営環境で推移いたしました。このような状況の中、運営コストを徹底的に抑えるため、人員配置や賃料を含めた各種支出項目の精査、見直し交渉等に取り組みました。
引き続き、新型コロナウイルスの感染拡大防止に最大限努めつつ、お客様から必要とされる癒しを提供する企業であることを再認識し、より一層の安心・安全そして高品質なサービスを国内外で提供すべく取り組んでまいります。
以上の結果、連結売上高14,597百万円(前期比8.7%減)、営業損失348百万円(前期営業利益270百万円)、経常損失707百万円(前期経常利益172百万円)、親会社株主に帰属する当期純損失3,264百万円(前期親会社株主に帰属する当期純利益2百万円)となりました。
なお、当社グループの業績をより適切に開示するため、前連結会計期間の第1四半期連結会計期間より中国子会社については連結決算日である3月31日に仮決算を行い連結する方法に変更しております。前連結累計期間における中国子会社の経営成績は、2018年1月1日から2019年3月31日迄の15ヶ月間の業績を反映しております。
セグメントの業績を示すと次のとおりです。
<日本>当セグメントにおきましては、売上高12,603百万円(前期比9.1%増)、セグメント利益(営業利益)313百万円(前期比15.6%増)となりました。
<中国>当セグメントにおきましては、売上高2,025百万円(前期比54.8%増)、セグメント損失(営業損失)485百万円(前期セグメント利益163百万円)となりました。
なお、前期より連結決算日である3月31日に仮決算を行い連結する方法に変更したことに伴い、セグメント情報の対象期間は前期が1月から3月の15ヶ月に対して当期は4月から3月の12ヶ月の数値となっております。仮決算を行った中国子会社の2018年4月1日から2019年3月31日までの売上高は3,049百万円、セグメント損失(営業損失)は173百万円であります。
当連結会計年度における中国の業績は、気温が高く推移したことや競業店の影響により、来店客数の落ち込みがみえていたところへ、繁忙期である1月下旬から全店臨時休業を余儀なくされ、セグメント損失(営業損失)が一層増加する結果となりました。
当連結会計年度末における総資産は、前連結会計年度末に比べ2,000百万円減少し21,510百万円となりました。負債合計は、前連結会計年度末に比べ2,912百万円増加し17,544百万円となりました。純資産合計は、前連結会計年度末に比べ4,912百万円減少し3,966百万円となりました。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は4,989百万円(前期は2,792百万円)となりました。
当連結会計年度末における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
前期は、「RAKU SPA GARDEN 名古屋」の出店費用に係る消費税の支出が大きかったため未払消費税の増減額が172百万円の減少となりましたが、当期は、前期開業店舗の通期に渡る業績貢献に加え、日本で5店舗の温浴事業を譲受けたこと等により、営業活動によるキャッシュ・フローは、前期に比べ260百万円増加し、1,885百万円の獲得となりました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当期は、5店舗の温浴事業の譲受けに伴う支出があったものの、前期は有形固定資産の取得による支出が4,961百万円である等、出店に係る支出が多かったため、投資活動によるキャッシュ・フローは、前期に比べ3,416百万円減少の1,884百万円の支出となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当期は、長期借入れによる収入が前期に比べ607百万円増加した一方、短期借入金の増減額が前期に比べ791百万円増加しました。また、前期に自己株式の取得598百万円の支出があったこと等により、財務活動によるキャッシュ・フローは、前期に比べ1,771百万円増加し、2,260百万円の獲得となりました。
③ 生産、受注及び販売の実績
a. 生産実績
該当事項はありません。
b. 受注実績
該当事項はありません。
c. 販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称販売高(千円)前期比(%)
日本12,572,664+9.1
中国2,025,240△54.8
合計14,597,904△8.7

(注) 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。重要な会計方針については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要事項)」に記載しております。連結財務諸表を作成するに当たり、必要な見積りを行っており、それらは資産、負債、収益及び費用の計上金額に影響を与えております。これらの見積りは、その性質上判断及び入手し得る情報に基づいて行いますので、実際の結果がそれらの見積りと相違する場合があります。特に以下の事項は、経営者の会計上の見積りの判断が財政状態及び経営成績に重要な影響を及ぼすと考えております。
a. 繰延税金資産
繰延税金資産は、将来の課税所得を合理的に見積り、回収可能性を十分に検討し、回収可能見込額を計上しております。繰延税金資産の回収可能性は、将来の課税所得の見積りに依存するため、その見積りの前提とした条件や仮定に変更が生じ、課税所得が減少した場合、繰延税金資産が取り崩され、税金費用を計上する可能性があります。
b. 固定資産の減損処理
減損の兆候のある資産又は資産グループについて、回収可能価額に基づき減損の判定を行っております。回収可能価額は、使用価値と正味売却価額のいずれか高い方により測定しております。回収可能価額は、事業計画や市場環境の変化により、その見積り金額の前提とした条件や仮定に変更が生じ減少した場合、追加の減損処理が必要になる可能性があります。なお、新型コロナウイルス感染拡大の影響に関する会計上の見積りについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項(追加情報)」に記載しております。
c. 貸倒引当金
当社グループは、一般債権については貸倒実績率等による計算の結果、合理的に引当金を算定しております。また、貸倒懸念債権等特定の債権に関しては個別に財務内容評価法を適用し、回収不能見込額を算定しております。
② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
当連結会計年度末における総資産は、現金及び預金が2,197百万円増加した一方で、減損損失の計上等により建物及び構築物が3,459百万円減少、中国のフランチャイズ先への貸付債権等に対する貸倒引当金が361百万円増加、減損損失の計上等により工具、器具及び備品が355百万円減少したことにより、前連結会計年度末に比べ2,000百万円減少し21,510百万円となりました。
次に、負債合計は、資金調達により長期借入金が1,830百万円増加、短期借入金が691百万円増加、事業譲受に伴う5店舗の取得により資産除去債務が257百万円増加したこと等により、前連結会計年度末に比べ2,912百万円増加し17,544百万円となりました。
最後に、純資産合計は、利益剰余金が3,363百万円減少、非支配株主持分が1,512百万円減少したことにより、前連結会計年度末に比べ4,912百万円減少し3,966百万円となりました。
セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容は、次のとおりであります。
<日本>当セグメントの業績は、GW10連休の好調な滑り出しに始まり、2019年7月に行った事業譲受による5店舗の増加や前期に開業した店舗が通期に渡って貢献したこと、消費税増税前の回数券駆け込み販売や各種コラボイベントの実施や販促チラシが効果的に作用したこと等により、2月中旬以降、新型コロナウイルス感染拡大による外出自粛の影響を受けましたが、売上高及びセグメント利益(営業利益)が増加いたしました。
<中国>当セグメントの業績は、気温が高く推移したことや競合店の影響により、来店客数の落ち込みがみえていたところへ、繁忙期である1月下旬から全店臨時休業を余儀なくされ、セグメント損失(営業損失)が一層増加する結果となりました。
今後の見通しにつきましては、日本では緊急事態宣言が解除され、各地域ごとに休業要請も解除されつつありますが、外出自粛の風潮や様々なイベントの中止等により国内外の経済活動に大きく影響し、厳しい経済環境が続くものと予想されます。中国では以前に比べ貯蓄への意識が高まり、個人消費が落ちていると言われております。実際に中国の直営4店舗のうち、1店舗の営業を4月から再開いたしましたが、まだ売上が以前に戻るには時間を要するとみております。また、日本や中国で、新型コロナウイルス感染症の第2波、クラスター等が近隣で発生した場合には、各店とも客数に影響を受けることが予想されます。
このような状況におきまして、当社グループは、「3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (3) 事業等のリスクに記載した重要事象等を改善するための対応策」に記載した対処すべき課題に取り組むことで、経営基盤の安定、業績の回復等に努めてまいります。
③ キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
a. キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容
「3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 ②キャッシュ・フロー状況」に記載のとおりです。
b. 資本の財源及び資金の流動性
当社グループの運転資金及び新規出店に伴う設備資金として、当連結会計年度中に、株式会社三井住友銀行をアレンジャー、株式会社みずほ銀行をコ・アレンジャーとするコミット型シンジケートローン1,404百万円、株式会社みずほ銀行をエージェントとするコミット型シンジケートローン1,800百万円を含む、3,954百万円の資金調達を実施いたしました。
当社グループの資金需要は、主に新規出店の設備資金や運転資金であります。金融機関からの資金調達につきましては、安定的かつ低利を前提としながら、将来の金融情勢の変化等も勘案してバランスのとれた調達を実施しております。