有価証券報告書-第45期(平成31年4月1日-令和2年3月31日)
(業績等の概要)
(1) 業績
当連結会計年度における我が国経済は、企業収益の拡大を背景に、雇用・所得環境の改善がみられ、景気は緩やかな回復基調で推移いたしました。一方で、消費増税による個人消費への影響など先行きは不安定な状況にあります。また、海外経済については、米中貿易摩擦の影響や中国を始めとするアジア新興国の経済の先行き等、不確実性に留意が必要な状況が続いております。
そのような状況の中、2020年1月以降に顕在化した新型コロナウイルスの感染拡大により、経済・社会に大きな影響を及ぼしており、先行きは不透明で予断を許さない状況となっております。
学習塾業界におきましては、少子化による市場の縮小や家庭内における教育費の抑制が続く中で、2020年の教育改革を控え、新規参入組も相まって企業間競争に一層拍車がかかっております。また、業界の再編成が顕著化し、業界としての注目度も高まってきております。
このような状況の中、当社グループは、学齢人口の増加が続いている東京都内に、「ena」(集団授業)、「個別ena」(個別指導)を中心とする進学塾を展開し、生徒・保護者様のニーズに応えられる教育環境を築いてまいりました。一方で、首都圏の私立大学の定員厳格化や、2020年の教育改革の不透明感による不安の高まりを受けて、首都圏では私立中高受験需要が高まる状況になっております。このことは、当社グループが掲げてきた『都立専門ena』というブランドイメージが、特に高校受験においては逆風となる状況です。このような状況を受け、前期に引き続き『都立も私立も』というキャンペーンをTVCMはじめ、あらゆるメディアにおいて展開してまいりました。また、新たな取り組みとして、全校舎にプロジェクターを配置し、映像による学校の試験対策等を行うなど、きめ細かな生徒指導に努めております。
その結果、当連結会計年度において、全都立中高一貫校11校(千代田区立九段中等を含む)の入試において、合格実績が過去最高の823名(前期は771名)となりました。また、全都立中高一貫校の一般定員合計に対する合格占有率は51%(前期は48%)と過半数を超え、都立中高一貫校の受検対策塾としての「ena」ブランドを確立しております。東京都をドミナントエリアと定めた立地戦略の中で、新規出校により東京東部及び北部の校舎数が増加し、都立中高一貫校の合格実績の躍進が続いております。また、高校受験においても、都立進学指導重点校7校の合格実績が353名(前期は362名)となり、前期に引き続き全塾中№1を獲得することができました。
当連結会計年度での新規出校につきましては、「ena」を6校舎(南千住、舎人、五反野、南砂町、方南町、下丸子)、「ena最高水準」を3校舎(北千住、練馬、調布)、「個別ena」を2校舎(西大島、綾瀬)開校いたしました。これらの校舎につきましては順調にスタートすることができましたが、開校後間もないため、当連結会計年度の売上高に大きく貢献するには至っておりません。今後、生徒数及び売上高の増加に貢献するものと期待しております。
収益面におきましては、新規出校により東京東部及び北部を中心に校舎数が増加し、都立中高一貫校の合格実績が躍進を続けていることや各種施策の効果も相まって、前年同期と比較して生徒数が堅調に推移し、売上高の増加に寄与いたしました。
費用面におきましては、効果的な広告宣伝活動や業務の効率化による経費削減等に取り組みました。しかしながら、内部充実を図るための従業員増加に伴う人件費や新規出校に伴う家賃等の増加により、費用全体としては前年同期と比較して増加いたしました。
これらの結果、当連結会計年度の売上高は10,920百万円(前年同期比3.3%増)、営業利益は1,486百万円(前年同期比14.9%増)、経常利益は1,600百万円(前年同期比21.8%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は937百万円(前年同期比9.3%増)となりました。
セグメントの業績を示すと、次のとおりであります。なお、セグメント別の売上高はセグメント間の内部取引消去前の金額によっております。
① 教育事業
小中学生部門につきましては、季節講習生及び小学生が好調に推移したことにより、売上高は前年同期と比較して増加いたしました。
個別指導部門につきましては、生徒数が回復基調に乗り好調に推移したことにより、売上高は前年同期と比較して増加いたしました。
大学受験部門につきましては、生徒数が低調に推移したことにより、売上高は前年同期と比較して減少いたしました。
看護医療系受験部門「ena新セミ」につきましては、生徒数が好調に推移したこと及び生徒一人当たりの単価が上昇したことにより、売上高は前年同期と比較して増加いたしました。
芸大・美大受験部門「ena新美」につきましては、前年度と比べ生徒数は横ばいで推移しましたが、生徒一人当たりの単価が下落したことにより、売上高は前年同期と比較して減少いたしました。
海外校舎を主に展開するGAKKYUSHA USA グループ(GAKKYUSHA U.S.A.CO.,LTD.、GAKKYUSHA CANADA CO.,LTD.、GAKKYUSHA SINGAPORE PTE.LTD.及び株式会社学究社帰国教育)につきましては、本科生徒数は堅調に推移したものの、季節講習生が減少したことにより、売上高は前年同期と比較して微増となりました。
これらの結果、売上高は10,453百万円(前年同期比2.8%増)となりました。
② 不動産事業
不動産事業につきましては、前第3四半期連結会計期間以降、国立の校舎に隣接する中古マンションを購入したこと及び久米川校の建替えによる賃貸用マンションが完成したことにより、賃貸収入は前年同期と比較して大幅に増加いたしました。
これらの結果、売上高は83百万円(前年同期比132.1%増)となりました。
③ その他
インターネットによる受験、教育情報の配信サービス事業につきましては、広告関連売上については、一般企業等法人及び学校法人ともに前年同期と比較して増加いたしましたが、企業制作関連売上については、前期に大型案件が発生した影響により前年同期と比較して減少いたしました。また、ネットワーク広告売上については、媒体改善・広告枠の最適化を行ったものの、市況の変化等単価の下落により前年同期と比較して減少いたしました。
これらの結果、売上高は485百万円(前年同期比3.2%減)となりました。
(2) 財政状態
(資産)
流動資産は、前連結会計年度末に比べて、219百万円減少し、1,571百万円となりました。これは、主として現金及び預金の減少等によるものであります。
固定資産は、前連結会計年度末に比べて、1,085百万円増加し、7,087百万円となりました。これは、主として建物及び構築物、土地、建設仮勘定、関係会社株式の増加及び投資有価証券の減少等によるものであります。
この結果、総資産は前連結会計年度末に比べて、866百万円増加し、8,658百万円となりました。
(負債)
流動負債は、前連結会計年度末に比べて、172百万円増加し、3,019百万円となりました。これは、主として短期借入金の増加等によるものであります。
固定負債は、前連結会計年度末に比べて、668百万円増加し、1,656百万円となりました。これは、主として長期借入金の増加等によるものであります。
この結果、負債は前連結会計年度末に比べて、840百万円増加し、4,676百万円となりました。
(純資産)
純資産は、前連結会計年度末に比べて、26百万円増加し、3,982百万円となりました。これは、主として配当金の支払い、親会社株主に帰属する当期純利益の計上、自己株式の取得、その他有価証券評価差額金の減少等によるものであります。
この結果、自己資本比率は、46.0%(前連結会計年度末は50.8%)となりました。
(3) キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べて237百万円減少し、1,109百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(単位:千円)
| 前連結会計年度 | 当連結会計年度 | 増減 | |
| 営業活動によるキャッシュ・フロー | 1,280,939 | 1,333,181 | 52,241 |
| 投資活動によるキャッシュ・フロー | △1,336,122 | △1,613,968 | △277,845 |
| 財務活動によるキャッシュ・フロー | 239,082 | 42,752 | △196,329 |
| 現金及び現金同等物に係る換算差額 | 155 | 132 | △22 |
| 現金及び現金同等物の増減額 | 184,054 | △237,901 | △421,955 |
| 現金及び現金同等物の期首残高 | 1,162,901 | 1,346,956 | 184,054 |
| 現金及び現金同等物の期末残高 | 1,346,956 | 1,109,054 | △237,901 |
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは、1,333百万円の収入(前年同期は1,280百万円の収入)となりました。
主な内訳は、税金等調整前当期純利益、減価償却費、減損損失及び法人税等の支払額等であります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは、1,613百万円の支出(前年同期は1,336百万円の支出)となりました。
これは、主に有形固定資産の取得による支出、関係会社株式の取得による支出等によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは、42百万円の収入(前年同期は239百万円の収入)となりました。
これは、主に短期借入金の純増減額、長期借入れによる収入及び長期借入金の返済による支出、自己株式の取得による支出、配当金の支払額等によるものであります。
(キャッシュ・フロー関連指標の推移)
当社グループのキャッシュ・フロー指標のトレンドは下記のとおりであります。
| 2016年3月期 | 2017年3月期 | 2018年3月期 | 2019年3月期 | 2020年3月期 | |
| 自己資本比率(%) | 51.2 | 53.9 | 53.6 | 50.8 | 46.0 |
| 時価ベースの自己資本比率(%) | 251.8 | 317.4 | 293.9 | 186.9 | 148.5 |
| キャッシュ・フロー対有利子 負債比率(年) | 0.3 | 0.1 | 0.6 | 1.2 | 1.8 |
| インタレスト・カバレッジ・ レシオ(倍) | 244.3 | 446.0 | 600.2 | 637.7 | 362.4 |
(注)1 自己資本比率:自己資本/総資産
2 時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産
3 キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/キャッシュ・フロー
4 インタレスト・カバレッジ・レシオ:キャッシュ・フロー/利払い
(1)いずれも連結ベースの財務数値により計算しております。
(2)株式時価総額は自己株式を除く発行済株式数をベースに計算しております。
(3)キャッシュ・フローは、営業キャッシュ・フローを利用しております。
(4)有利子負債は連結貸借対照表に計上されている負債のうち利子を支払っている全ての負債を対象としております。
(生産、受注及び販売の状況)
(1) 生産及び受注の状況
当社は、生徒に対して授業を行うことを主たる業務としておりますので、生産及び受注に該当する事項はございません。
(2) 販売の状況
(業績等の概要)におけるセグメントの業績をご参照ください。
(経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容)
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
(1) 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成に当たって必要と思われる見積りは、その時点で最も合理的と考えられる基準に基づいて実施しておりますが、見積り等の不確実性があるため実際の結果は異なる場合があります。
当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載のとおりであります。
なお、新型コロナウイルス感染症拡大の影響等不確実性が大きく、将来の業績予測等に反映させることが難しい要素もありますが、当連結会計年度末時点において入手可能な情報を基に会計上の見積りを行っております。
(2) 当連結会計年度の経営成績の分析
売上高は、10,920百万円(前年同期比3.3%増)となりました。これは主に、東京都をドミナントエリアと定めた立地戦略の中で、新規出校(2019年3月期に全ブランドで14校)により校舎数が増加したこと、都立中高一貫校の合格実績及び合格占有率が好調であったことを受けて、季節講習生及び小学生が増加したこと等によるものであります。
売上原価は、7,407百万円(前年同期比3.2%増)となりました。これは主に、臨時雇用者を含む従業員の増加に伴う人件費の増加及び新規出校による校舎数の増加に伴う賃借料の増加等によるものであります。この結果、売上総利益は、3,513百万円(前年同期比3.6%増)となりました。
販売費及び一般管理費は、2,026百万円(前年同期比3.4%減)となりました。これは主に、前年に続き実施したテレビコマーシャルの制作費を削減するなど、効果的な広告宣伝活動に取り組んだこと等によるものであります。この結果、営業利益は、1,486百万円(前年同期比14.9%増)となりましたが、目標とする売上高営業利益率15%にはわずかに及びませんでした。
営業外収益は、126百万円(前年同期比261.9%増)となりました。これは主に、当連結会計年度において持分法適用関連会社となった株式会社市進ホールディングスに関する持分法による投資利益が発生したこと等によるものであります。一方、営業外費用は、11百万円(前年同期比18.6%減)となりました。これは主に、訴訟関連費用が減少したこと等によるものであります。この結果、経常利益は、1,600百万円(前年同期比21.8%増)となりました。
特別利益は、11百万円(前年同期は0百万円)となりました。これは、持分変動利益及び固定資産受贈益が発生したこと等によるものであります。特別損失は、190百万円(前年同期比291.9%増)となりました。これは主に、国立1号館の建替えに伴う減損損失及び固定資産除却損が発生したこと等によるものであります。この結果、税金等調整前当期純利益は1,422百万円(前年同期比12.3%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は937百万円(前年同期比9.3%増)となりました。
なお、2020年1月以降に顕在化した新型コロナウイルスの感染拡大により、3月以降一部合宿を中止する等の影響はありましたが、教室での対面授業を停止し映像授業の提供を開始する等の施策により、当連結会計年度の業績への大きな影響は生じておりません。
(3) 経営成績に重要な影響を与える要因について
「2 事業等のリスク」に記載しております。
(4) 資本の財源及び資金の流動性についての分析
(キャッシュ・フロー)
「(業績等の概要) (3)キャッシュ・フローの状況」に記載しております。
(資金調達)
当社グループは、事業活動及び設備投資のための適切な資金確保を常に目指しており、その財源として安定的な営業キャッシュ・フローの創出を重視しております。
新規校舎の設備投資や短期運転資金については、自己資金及び金融機関からの短期借入を基本としており、不動産事業における賃貸等不動産の取得資金については、自己資金及び金融機関からの長期借入を基本としております。
当連結会計年度末の資金の流動性は十分に確保されていると認識しており、また、金融機関との間に当座借越契約の枠を設定することで、急な資金需要や不測の事態にも備えております。
なお、当連結会計年度末における当社の取引銀行との借入による資金調達余力は以下のようになっております。
| 当座借越契約 | |
| 株式会社三菱UFJ銀行 | 200百万円 |
| 株式会社みずほ銀行 | 100百万円 |
| 株式会社三井住友銀行 | 200百万円 |
| 合 計 | 500百万円 |