有価証券報告書-第51期(2025/04/01-2026/03/31)
(業績等の概要)
(1) 業績
当連結会計年度における我が国経済は、継続的な高い賃上げ率を背景とした雇用・所得環境の改善により、緩やかな回復基調で推移しました。一方で、日銀の追加利上げや物価上昇の継続、深刻な人手不足によるコスト増加圧力が続いたほか、為替変動や緊迫化する国際情勢などにより、先行きは依然として不透明な状況が続いております。
学習塾業界におきましては、少子化に伴う学齢人口の減少という構造的な課題に直面する一方、大学入試改革やICT教育の進展、さらには生成AI等の新技術への対応が求められております。教育ニーズの多様化・高度化を背景に、異業種も巻き込んだ競争環境が続いております。
このような状況の中、当社グループでは、すべての授業に単方向映像授業を完備した「ダブル学習システム」を展開するなど、映像やオンラインを活用した学力向上体制の強化に努めております。また、安心・安全面への取り組みの一環として、すべての授業や合宿の様子を保護者様がネットでリアルタイムに確認することができるサービス「ネット授業参観」を導入しております。当該サービスの設備を利用した社内の授業点検を同時に実施することにより、授業の質の向上を図っております。
当連結会計年度での合格実績につきましては、全都立中高一貫校11校(千代田区立九段中等を含む)の入試におい て、最難関の小石川中をはじめ、桜修館中や白鷗高附属中で当社史上最高合格者数を記録するなど、計1,097名となりました。また、高校受験においては、都立進学指導重点校7校の合格実績が計377名となり、全塾中№1を獲得するとともに、国私立高の入試においても、国立附属高や早慶大系列高、明治大系列高をはじめ、多くの合格者を出すことができました。
収益面におきましては、東京都による私立高校授業料の実質無償化拡充の影響もあり、当社の強みとする都立中・都立高を目指す生徒数が減少したことから、売上高は前年同期と比較して減少しました。一方で、当社の教育サービスの強みの一つである合宿については、季節講習の一環として、夏期に従来の5泊6日を10泊11日へ拡充したほか、22泊23日の長期合宿を新たに実施しました。続く冬期においても、13泊14日の長期合宿を実施し、いずれも多数の生徒が参加した結果、収益に大きく寄与しました。
費用面におきましては、交通広告をはじめとする新たな広告手法の導入による広告宣伝費が増加したほか、季節講習における合宿の拡充に伴い運営費用が増加しました。一方で、前年度に実施した校舎及び合宿場の環境改善に伴う一時的な費用の剥落に加え、校舎の統廃合を機動的に進めるなど、全社的な経営効率化への取り組みによる費用削減が寄与した結果、営業費用全体としては前年同期と比較して減少しました。
以上の結果、当連結会計年度の売上高は13,069百万円(前年同期比1.7%減)、営業利益は2,904百万円(前年同期比10.8%増)、経常利益は3,004百万円(前年同期比13.0%増)となりました。一方、前連結会計年度において、関係会社株式売却益を計上した影響や、当連結会計年度において、校舎等の統廃合に伴う減損損失を計上した影響もあり、親会社株主に帰属する当期純利益は1,848百万円(前年同期比0.8%減)となりました。
セグメントの業績を示すと、次のとおりであります。なお、セグメント別の売上高はセグメント間の内部取引消去前の金額によっております。
① 教育事業
小中学生部門(ena小中学部)につきましては、生徒数は前年を下回って推移したものの、夏期合宿や冬期合宿を含む季節講習売上が伸長したことにより、売上高は前年同期と比較して微減となりました。
個別指導部門(ena個別)につきましては、閉校に伴う校舎数の減少等を受けて生徒数が前年を下回ったことにより、売上高は前年同期と比較して減少しました。
大学受験部門(ena看護、ena美術、ena高校部)につきましては、特にena看護において生徒数が前年を下回ったことにより、部門全体の売上高は前年同期と比較して減少しました。
海外校舎を主に展開するGAKKYUSHA USA グループ(GAKKYUSHA U.S.A.CO.,LTD.、GAKKYUSHA CANADA CO.,LTD.、ENA EUROPE GmbH及び株式会社学究社帰国教育)につきましては、グループ生徒数が順調に推移したことにより、売上高は前年同期と比較して増加しました。
これらの結果、売上高は12,418百万円(前年同期比1.7%減)となりました。
② 不動産事業
不動産事業につきましては、保有する賃貸用物件が概ね安定的に稼働しており、賃貸収入は前年同期と同水準で推移しました。
これらの結果、売上高は164百万円(前年同期比0.6%減)となりました。
③ その他
インターネットによる受験、教育情報の配信サービス事業等につきましては、広告関連売上につきましては、一般企業等法人は前年同期と比較して減少したものの、学校法人関連は新規アプリ及びバナー商品の売上高が伸長したことにより、前年同期と比較して増加しました。一方で、グループ会社との取引が縮小した影響により、広告関連売上全体としては前年同期と比較して減少しました。人材サービス売上につきましては、塾訪問サービスの需要が関西をはじめとする他地域や大学へと拡大し、契約校数が増加したことにより、前年同期と比較して増加しました。
これらの結果、売上高は684百万円(前年同期比19.5%減)となりました。
(2) 財政状態
(資産)
流動資産は、前連結会計年度末に比べて、269百万円増加し、3,787百万円となりました。これは、主として現金及び預金の増加及びその他(流動資産)の減少等によるものであります。
固定資産は、前連結会計年度末に比べて、140百万円増加し、8,778百万円となりました。これは、主として、投資有価証券の増加及び建物及び構築物、差入保証金の減少等によるものであります。
この結果、総資産は前連結会計年度末に比べて、409百万円増加し、12,566百万円となりました。
(負債)
流動負債は、前連結会計年度末に比べて、171百万円減少し、2,673百万円となりました。これは、主として前受金の減少等によるものであります。
固定負債は、前連結会計年度末に比べて、255百万円減少し、1,718百万円となりました。これは、主として長期借入金及びリース債務の減少等によるものであります。
この結果、負債は前連結会計年度末に比べて、426百万円減少し、4,391百万円となりました。
(純資産)
純資産は、前連結会計年度末に比べて、836百万円増加し、8,174百万円となりました。これは、主として配当金の支払い及び親会社株主に帰属する当期純利益の計上等によるものであります。
この結果、自己資本比率は、65.0%(前連結会計年度末は60.3%)となりました。
(3) キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べて274百万円増加し、3,417百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(単位:千円)
| 前連結会計年度 | 当連結会計年度 | 増減 | |
| 営業活動によるキャッシュ・フロー | 2,246,025 | 2,448,834 | 202,808 |
| 投資活動によるキャッシュ・フロー | △110,583 | △909,394 | △798,810 |
| 財務活動によるキャッシュ・フロー | △1,249,957 | △1,304,159 | △54,202 |
| 現金及び現金同等物に係る換算差額 | 6,775 | 39,283 | 32,507 |
| 現金及び現金同等物の増減額 | 892,259 | 274,563 | △617,696 |
| 現金及び現金同等物の期首残高 | 2,251,002 | 3,143,262 | 892,259 |
| 現金及び現金同等物の期末残高 | 3,143,262 | 3,417,825 | 274,563 |
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは、2,448百万円の収入(前年同期は2,246百万円の収入)となりました。
主な内訳は、税金等調整前当期純利益、減価償却費、減損損失、前受金の増減額及び法人税等の支払額等であります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは、909百万円の支出(前年同期は110百万円の支出)となりました。
これは、主に有形固定資産の取得による支出、有形固定資産の除却による支出及び投資有価証券の取得による支出等によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは、1,304百万円の支出(前年同期は1,249百万円の支出)となりました。
これは、長期借入金の返済による支出、配当金の支払額及びリース債務の返済による支出によるものであります。
(キャッシュ・フロー関連指標の推移)
当社グループのキャッシュ・フロー指標のトレンドは下記のとおりであります。
| 2022年3月期 | 2023年3月期 | 2024年3月期 | 2025年3月期 | 2026年3月期 | |
| 自己資本比率(%) | 49.9 | 54.2 | 59.5 | 60.3 | 65.0 |
| 時価ベースの自己資本比率(%) | 171.9 | 203.5 | 212.5 | 194.2 | 202.9 |
| キャッシュ・フロー対有利子 負債比率(年) | 1.3 | 0.8 | 0.8 | 0.7 | 0.6 |
| インタレスト・カバレッジ・ レシオ(倍) | 333.7 | 191.5 | 185.7 | 179.1 | 126.9 |
(注)1 自己資本比率:自己資本/総資産
2 時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産
3 キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/キャッシュ・フロー
4 インタレスト・カバレッジ・レシオ:キャッシュ・フロー/利払い
(1)いずれも連結ベースの財務数値により計算しております。
(2)株式時価総額は自己株式を除く発行済株式数をベースに計算しております。
(3)キャッシュ・フローは、営業キャッシュ・フローを利用しております。
(4)有利子負債は連結貸借対照表に計上されている負債のうち利子を支払っている全ての負債を対象としております。
(生産、受注及び販売の状況)
(1) 生産及び受注の状況
当社は、生徒に対して授業を行うことを主たる業務としておりますので、生産及び受注に該当する事項はございません。
(2) 販売の状況
(業績等の概要)におけるセグメントの業績をご参照ください。
(経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容)
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
(1) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成に当たって必要と思われる見積りは、その時点で最も合理的と考えられる基準に基づいて実施しておりますが、見積り等の不確実性があるため実際の結果は異なる場合があります。
当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載のとおりであります。
(2) 当連結会計年度の経営成績の分析
売上高は、13,069百万円(前年同期比1.7%減)となりました。これは主に、東京都による私立高校授業料の実質無償化拡充の影響を受けて、当社の強みとする都立中・都立高を目指す生徒数が減少したことによるものであります。
売上原価は、8,044百万円(前年同期比5.9%減)となりました。これは主に、前年度に発生した「ネット授業参観」の導入費用及び私立対策関連費用の反動減に加え、校舎の統廃合を機動的に進めるなど、全社的な経営効率化への取り組みによる費用削減が寄与したことによるものであります。この結果、売上総利益は、5,024百万円(前年同期比6.1%増)となりました。
販売費及び一般管理費は、2,120百万円(前年同期比0.2%増)となりました。これは主に、前年度に実施した当社合宿場の環境改善に伴う設備投資等の反動減があった一方で、交通広告をはじめとする新たな広告手法の導入による広告宣伝費が増加したことによるものであります。この結果、営業利益は、2,904百万円(前年同期比10.8%増)となり、過去最高益を更新しました。なお、売上高営業利益率は前連結会計年度の19.7%から2.5ポイント上昇し22.2%となり、計画を上回る結果となりました。
営業外収益は、122百万円(前年同期比87.8%増)となりました。これは主に、その他有価証券の運用に伴う運用益が増加したことによるものであります。一方、営業外費用は、21百万円(前年同期比17.7%減)となりました。これは主に、前連結会計年度において、その他有価証券の運用に伴う運用損が発生したことによるものであります。この結果、経常利益は、3,004百万円(前年同期比13.0%増)となり、営業利益とともに過去最高益を更新しました。
特別利益は、21百万円(前年同期比81.7%減)となりました。これは主に、前連結会計年度において、持分法適用関連会社であった株式会社市進ホールディングスの全株式を売却したことに伴う関係会社株式売却益が発生したことによるものであります。一方、特別損失は、310百万円(前年同期比85.3%増)となりました。これは主に、閉鎖及び移転の意思決定をした校舎に係る減損損失が増加したことによるものであります。この結果、税金等調整前当期純利益は、2,715百万円(前年同期比4.1%増)となりましたが、法人税等調整額(益)が減少したこと等により、親会社株主に帰属する当期純利益は、1,848百万円(前年同期比0.8%減)となりました。
(3) 経営成績に重要な影響を与える要因について
「3 事業等のリスク」に記載しております。
(4) キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
(キャッシュ・フロー)
「(業績等の概要) (3)キャッシュ・フローの状況」に記載しております。
(資金調達)
当社グループは、事業活動及び設備投資に必要な資金の確保を重視しており、その主要な財源として安定的な営業キャッシュ・フローの創出に取り組んでおります。
新規校舎の設備投資や短期運転資金については、自己資金及び金融機関からの短期借入を基本としており、不動産事業における賃貸等不動産の取得資金については、自己資金及び金融機関からの長期借入を基本としております。
当連結会計年度末の資金の流動性は十分に確保されていると認識しており、また、金融機関との間に当座借越契約の枠を設定することで、急な資金需要や不測の事態にも備えております。
なお、当連結会計年度末における当社の取引銀行との借入による資金調達余力は以下のようになっております。
| 当座借越契約 | |
| 株式会社三菱UFJ銀行 | 200百万円 |
| 株式会社みずほ銀行 | 100百万円 |
| 株式会社三井住友銀行 | 200百万円 |
| 合 計 | 500百万円 |