有価証券報告書-第49期(平成30年1月1日-平成30年12月31日)
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
(1) 経営成績
当連結会計年度における日本経済は、米国通商政策の動向、中国を始めとしたアジア新興国等の経済の先行き、地震・豪雨等の相次ぐ自然災害の影響が懸念されるものの、企業収益や雇用・所得環境が改善する等、景気は引き続き拡大いたしました。
情報サービス産業におきましては、政府による「未来投資戦略2018」(*1)等を通じた「Society5.0」(*2)の実現に向けた取り組みの中で、AIやIoT、ロボティクス等の先進技術を活用した新たなサービスや商品が登場し始めております。一方では、これらの新技術の高度化・多様化に対応するためのICT技術者不足や、巧妙化・複雑化するサイバー攻撃に対応するためのサイバーセキュリティ強化対策等が課題となっており、ICTサービスに対する需要の拡大が見込まれております。
こうした状況の下、当社グループは、積極的な人材採用と技術者の育成に注力し、ビジネスパートナーとの連携強化を含めた体制整備を進めてまいりました。また、最新技術分野につきましては、「AIS-CRM」(*3)を重点技術分野と位置付け、技術研究や製品開発、新たなビジネス創出のための先進技術力の向上(情報処理安全確保支援士、日本ディープラーニング協会ジェネラリスト検定等)に努めてまいりました。さらに、生産性向上や付加価値向上への取り組みを通じ、中期方針である「ICTの発展をお客様価値向上へ結びつけるイノベーション企業グループ」を目指してまいりました。
システム構築分野では、「自動運転」、「電動化」、「Connectivity」(*4)等のキーワードで注目される自動車関連におきまして、活況な市場の下、開発需要はさらに高まっており、安全支援(ADAS)や電気自動車関連等を中心とした車載制御ソフトウェア開発が引き続き好調に推移いたしました。また、かねてから取り組んでまいりました、APTJ株式会社(*5)との共同開発によるAUTOSAR(*6)仕様準拠の車載ソフトウェアプラットフォーム「Julinar SPF」(*7)の正式販売を2018年10月より開始いたしました。機械制御系におけるFA(工作機械)につきましても、開発需要は引き続き高く、制御ソフトウェア開発が好調に推移いたしました。また、新たな成長分野である産業用ロボットSI事業へも積極的に取り組んでまいりました。業務系システム開発では、金融分野におきまして、デジタルトランスフォーメーションやフィンテックを背景とするシステム刷新やRPA(ロボットによる業務自動化)(*8)を活用した業務効率化等のニーズの高まりを受け、受注を拡大してまいりました。また、ECを始めとしたネット関連や官公庁系におけるシステム開発、仮想基盤やクラウド基盤を利用したインフラ構築も好調に推移してまいりました。クラウドSIビジネスにおきましては、Amazon.com,Inc.、Microsoft Corporation、Salesforce.com、Oracle Corporationといったグローバルベンダーの製品を活用した付加価値の高いサービスを提供してまいりました。
プロダクトサービス分野では、ライセンスビジネス等におきまして、引き続き販売が好調に推移いたしました。コミュニケーションロボット「PALRO(パルロ)」におきましては、経済産業省や厚生労働省が指定する介護ロボット機器の開発重点分野としてコミュニケーション分野が選定され、コミュニケーションロボットへの注目が高まる中、コンシューマシリーズの発売を開始する等、事業領域の拡大にも努めてまいりました。また、新4K8K衛星放送が2018年12月より開始される等の放送サービスの高度化に合わせ4K8K対応のデジタルテレビ放送受信機向けミドルウェア「FSDTV Middleware for ARIB」(*9)の提供を開始いたしました。
先進技術への取り組みでは、AI技術者の育成やAIベンチャー企業との協業、各種プラットフォームを利用した導入コンサルティングから保守運用支援までのAIインテグレーションサービスの他、製造業におけるIoT導入のソリューション提案やセキュリティの調査・診断から事前の対策及び万一の時の対応・改善までのトータルサービス等を進めてまいりました。
新たなテクノロジーや開発分野の拡大強化等のため、各地(北海道札幌市・東京都墨田区・神奈川県横浜市・愛知県刈谷市・福岡県福岡市・大阪府大阪市)にオフィスを増設し、汐留(東京都港区)にビル建設予定地を取得いたしました。また、子会社のヴィンクスにおきまして成長著しいアセアン地域での業容拡大のため、タイに流通・サービス分野の現地法人を設立いたしました。
再生医療分野では、2005年より研究を開始した「インプラント型再生軟骨」におきまして、国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)による成功認定を受け2019年の製造販売に向けて事業化を進めております。
一方で、政府が推進する働き方改革に伴う多様な働き方の実現に向けて、ICTを活用した在宅勤務・サテライト勤務制度やウルトラフレックス制度(*10)等に取り組んでまいりました。また、時間や場所にとらわれずフレキシブルにモバイルワークスタイルを実現できるペーパーレスシステム「moreNOTE」(*11)や無人受付システム「moreReception」(*12)等を活用する等、働き方改革を多方面からサポートする体制を整え営業提案も進めてまいりました結果、ワークライフバランスの推進や健康増進への取り組み、残業削減や有休奨励の推進等を戦略的に実践する取り組みが評価され、経済産業省が発表する「健康経営優良法人」に2年連続で認定されました。
CSR(企業の社会的責任)活動としましては、特例子会社の富士ソフト企画株式会社を通して、「就職予備校」等による障がい者の就労拡大に向けた就労移行支援活動やICT技術を生かした新しい農業としてしいたけ栽培にも取り組んでおります。その中で、福島県にて開催された全国サンマッシュ生産協議会が主催する菌床椎茸品評会にて3年連続金賞を受賞し、さらに、特別賞の最高位である「株式会社 北研賞」も受賞いたしました。また、海外35カ国が参加し世界一を決めるロボット競技大会「全日本ロボット相撲大会2018(All Japan Robot SUMO Tournament 2018 Grand Final)」を開催する等、ロボット相撲を通して「ものづくり」の楽しさを広め、ロボットテクノロジーの向上を図る活動を推進してまいりました。
このような活動により、当連結会計年度の業績につきましては、SI事業が好調に推移し、売上高は2,043億29百万円(前年同期比13.0%増)となりました。また、体制強化による人件費の増加やオフィス増設に伴う経費等により、販売費及び一般管理費が361億19百万円(前年同期比11.6%増)になったものの、増収により営業利益は114億円(前年同期比17.4%増)、経常利益は120億71百万円(前年同期比17.7%増)となりました。投資有価証券売却益や事業譲渡益、のれん等の減損損失の特別損益を計上し、親会社株主に帰属する当期純利益は65億16百万円(前年同期比12.4%増)となりました。
*1:未来投資戦略2018
2017年に閣議決定された経済政策パッケージで2020年までの3年間を生産性革命・集中投資期間とし、大胆な税制、予算、規制改革等に取り組む政府の施策
*2:Society5.0(ソサエティ5.0)
「狩猟社会」「農耕社会」「工業社会」「情報社会」に続く、AI・IoT等を活用した第5の新たな社会「超スマート社会」
*3:AIS-CRM(A:AI I:IoT S:Security C:Cloud R:Robot M:Mobile&AutoMotive)
当社が重点技術と位置づける技術領域
*4:Connectivity(コネクティビティ)
車と様々なものがインターネットを通じて繋がること
*5:APTJ株式会社 (Automotive Platform Technology Japan)
国立大学法人名古屋大学発学内ベンチャー企業として2015年設立、自動運転システム向けのSPFの開発や、セキュリティ対策の強化によるIoT等にも対応し、将来的に車載制御システム向けSPFで国際的なトップクラスのソフトウェアを目指している
*6:AUTOSAR (AUTomotive Open System ARchitecture)
車載ソフトウェアの標準化のため2003年欧州にて設立された組織、及び同組織が策定する標準仕様の総称
*7:Julinar SPF(Joint development program by Users,Licensors,and Integrators for AUTOSAR-based software platforms)
APTJ株式会社が開発している、AUTOSAR仕様準拠のSPF、及びサービスの総称
*8:RPA(Robotic Process Automation)
人に代わり処理することができる、AI・ロボット技術を活用したオペレーション自動化の仕組み
*9:FSDTV Middleware for ARIB
地上デジタル/BS・CS110度デジタル放送に対応しており、選局機能を始めとするARIB(一般社団法人電波産業会)規格に準ずる機能を提供。テレビ、PC、モバイル機器、車載機器など様々な実装形態に合わせて、柔軟に対応することが可能
*10:ウルトラフレックス制度
半日有給休暇における時間帯を固定せずフレキシブルに取得可能とした「フレキシブル有休制度」、業務中のリフレッシュを10分単位で認める「リフレッシュタイム制度」を導入し、これらの制度導入により、これまでの「スーパーフレックス(1990年より導入しているコアタイムのないフレックスタイム)」を超える「ウルトラフレックス制度」とする勤務制度
*11:moreNOTE(モアノート)
株式会社アイ・ティ・アールが発行した市場調査レポートよりモバイルコンテンツ管理市場における製品別売上で業界シェア№1を誇るペーパーレスシステム。タブレットやスマートフォン、PCを使用してドキュメントや動画・画像等の各種資料を手軽に共有・閲覧・編集できるサービス
*12:moreReception(モアレセプション)
ICTで実現できるおもてなしと受付業務の効率化をコンセプトに、従来の課題である記帳の煩わしさ、取り次ぎ業務の手間や待ち時間などを解消できる受付システム
セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。
① SI(システムインテグレーション)事業
SI事業における、組込系/制御系ソフトウェアにおきましては、自動車関連や機械制御系が好調に推移したことにより増収・増益となりました。業務系ソフトウェアにおきましては、インターネットサービスや金融業向けが好調に推移したことにより増収・増益となりました。プロダクト・サービスにおきましては、ライセンス販売が好調に推移したことにより増収となりましたが、品質強化のための投資や収益性の高い一部グループ会社の製品販売の減少等があったことにより減益となりました。アウトソーシングにおきましては、官公庁向けのアウトソーシング案件があったものの、流通・サービス向けが減少し前年並みとなり、また、前期にデータセンターの改修費用があったことにより増益となりました。
以上の結果、売上高は1,892億77百万円(前年同期比13.1%増)となり、営業利益は96億96百万円(前年同期比20.5%増)となりました。
※SI事業の主な売上高及び営業利益の内訳については、次のとおりであります。
(単位:百万円)
(注) 営業利益については、セグメント間取引消去△768千円が含まれております。
② ファシリティ事業
ファシリティ事業におきましては、当社及び一部の連結子会社が所有しているオフィスビルの賃貸収入等の増加により、売上高は29億9百万円(前年同期比7.9%増)となり、営業利益は11億31百万円(前年同期比1.7%増)となりました。
③ その他
その他におきましては、データエントリー事業やコンタクトセンター事業が好調に推移したことにより、売上高は121億42百万円(前年同期比13.5%増)となり、営業利益は5億72百万円(前年同期比4.7%増)となりました。
生産、受注及び販売の実績は、次のとおりであります。
① 生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1 セグメント間の取引については相殺消去しております。
2 金額は、製造原価により算出しております。
3 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
② 受注実績
当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1 セグメント間の取引については相殺消去しております。
2 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
③ 販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1 セグメント間の取引については相殺消去しております。
2 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
3 主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合は、100分の10に満たないため、記載を省略しております。
(2) 財政状態
資産
当連結会計年度末における総資産は1,942億79百万円(前連結会計年度末差197億10百万円増)となりました。その内訳は、流動資産が799億77百万円(前連結会計年度末差75億19百万円増)、固定資産が1,143億2百万円(前連結会計年度末差121億91百万円増)であります。
流動資産の主な変動要因は、売上高の増加に伴い受取手形及び売掛金が444億56百万円となり、前連結会計年度末より41億67百万円増加したこと等によるものです。
固定資産の主な変動要因は、事業拡大に伴う両国オフィスや汐留ビル建設予定地の取得により土地が479億59百万円となり、前連結会計年度末より176億26百万円増加しました。一方、のれんが3億21百万円となり前連結会計年度末より18億82百万円減少したこと、上場株式の市場価額への評価替えにより投資有価証券が179億90百万円となり、23億35百万円減少しました。
セグメントごとの資産は、次のとおりであります。
① SI事業
SI事業におきましては、好調な受注環境により売掛金が増加したこと及び事業拡大に伴う両国オフィスや汐留ビル建設予定地の取得により、セグメント資産は、1,872億76百万円(前連結会計年度末差182億75百万円増)となりました。
② ファシリティ事業
SI事業におきましては、建物等の減価償却により、セグメント資産は、2億38百万円(前連結会計年度末差37百万円減)となりました。
③ その他
SI事業におきましては、好調な受注環境により売掛金が増加したことや設備の購入により、セグメント資産は、67億64百万円(前連結会計年度末差14億73百万円増)となりました。
負債
当連結会計年度末における負債総額は746億8百万円(前連結会計年度末差184億51百万円増)となりました。その内訳は、流動負債が494億28百万円(前連結会計年度末差102億30百万円増)、固定負債が251億80百万円(前連結会計年度末差82億21百万円増)であります。
流動負債及び固定負債の主な変動要因は、設備への投資により借入金が増加し、短期借入金が139億68百万円となり、前連結会計年度末より96億41百万円増加、長期借入金が133億19百万円となり、前連結会計年度末より91億37百万円増加しました。
純資産
当連結会計年度末における純資産は1,196億70百万円(前連結会計年度末差12億59百万円増)となりました。
この結果、自己資本比率は前連結会計年度末の59.9%から54.6%となりました。
(3) キャッシュ・フロー
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下、「資金」という)の残高は、245億87百万円で前連結会計年度末に比べ24億30百万円増加しました。
営業活動によるキャッシュ・フロー
当連結会計年度における営業活動による資金の増加は111億92百万円となりました。
これは、好調な受注環境での増収によるもので、主に税金等調整前当期純利益108億37百万円、減価償却費49億88百万円及び減損損失18億22百万円等により増加し、売上債権の増減額39億22百万円及び法人税等の支払額32億77百万円により減少しました。
投資活動によるキャッシュ・フロー
当連結会計年度における投資活動による資金の減少は234億24百万円となりました。
これは、主に設備投資によるもので、有形・無形固定資産の取得による支出233億11百万円により減少しました。
財務活動によるキャッシュ・フロー
当連結会計年度における財務活動による資金の増加は147億66百万円となりました。
これは、主に設備投資のための借入れによる資金調達があり増加しました。
資本の財源及び資金の流動性についての分析
当社グループの運転資金需要のうち主なものは、人件費及び外注費のほか、オフィスの賃借に伴う地代家賃等の営業費用であります。当社グループは、事業運営上適切な手元流動性と資金需要に応じた調達手段を安定的に確保することを基本方針としております。短期運転資金は、自己資金に加えて、金融機関からの短期借入及びコマーシャル・ペーパーによる調達を基本としており、設備投資や長期運転資金の調達につきましては、金融機関からの長期借入を基本としております。当社は、㈱日本格付研究所から信用格付を取得しており、当連結会計年度末現在、当社の発行体格付は、BBB+(長期)、J-2(短期)となっております。なお、当連結会計年度末における借入金及びリース債務を含む有利子負債の残高は296億76百万円となっております。また、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は245億87百万円となっております。
(4) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づいて作成されています。この連結財務諸表の作成にあたって、経営者は会計方針の選択・適用、また、資産・負債及び収益・費用の報告金額並びに開示に影響を与える見積りを必要としています。これらの見積もりについては過去の実績等を勘案し合理的に判断していますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。
② 経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
2018年2月15日公表の2018年12月期連結業績予想の達成状況は、次のとおりであります。売上高におきましては、SI事業における自動車関連や機械制御系の組込系/制御系ソフトウェア、インターネットサービスや金融業向けの業務形ソフトウェア開発が好調に推移した他、自社プロダクト・他社製品の販売及び付随する関連サービスも好調であり、計画を大きく上回り増収となりました。利益面では、営業利益及び経常利益、親会社株主に帰属する当期純利益におきましては、増収及び不採算案件の抑制や生産性向上による原価率の改善、為替変動に伴う為替差益の増加により増益となっております。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
(1) 経営成績
当連結会計年度における日本経済は、米国通商政策の動向、中国を始めとしたアジア新興国等の経済の先行き、地震・豪雨等の相次ぐ自然災害の影響が懸念されるものの、企業収益や雇用・所得環境が改善する等、景気は引き続き拡大いたしました。
情報サービス産業におきましては、政府による「未来投資戦略2018」(*1)等を通じた「Society5.0」(*2)の実現に向けた取り組みの中で、AIやIoT、ロボティクス等の先進技術を活用した新たなサービスや商品が登場し始めております。一方では、これらの新技術の高度化・多様化に対応するためのICT技術者不足や、巧妙化・複雑化するサイバー攻撃に対応するためのサイバーセキュリティ強化対策等が課題となっており、ICTサービスに対する需要の拡大が見込まれております。
こうした状況の下、当社グループは、積極的な人材採用と技術者の育成に注力し、ビジネスパートナーとの連携強化を含めた体制整備を進めてまいりました。また、最新技術分野につきましては、「AIS-CRM」(*3)を重点技術分野と位置付け、技術研究や製品開発、新たなビジネス創出のための先進技術力の向上(情報処理安全確保支援士、日本ディープラーニング協会ジェネラリスト検定等)に努めてまいりました。さらに、生産性向上や付加価値向上への取り組みを通じ、中期方針である「ICTの発展をお客様価値向上へ結びつけるイノベーション企業グループ」を目指してまいりました。
システム構築分野では、「自動運転」、「電動化」、「Connectivity」(*4)等のキーワードで注目される自動車関連におきまして、活況な市場の下、開発需要はさらに高まっており、安全支援(ADAS)や電気自動車関連等を中心とした車載制御ソフトウェア開発が引き続き好調に推移いたしました。また、かねてから取り組んでまいりました、APTJ株式会社(*5)との共同開発によるAUTOSAR(*6)仕様準拠の車載ソフトウェアプラットフォーム「Julinar SPF」(*7)の正式販売を2018年10月より開始いたしました。機械制御系におけるFA(工作機械)につきましても、開発需要は引き続き高く、制御ソフトウェア開発が好調に推移いたしました。また、新たな成長分野である産業用ロボットSI事業へも積極的に取り組んでまいりました。業務系システム開発では、金融分野におきまして、デジタルトランスフォーメーションやフィンテックを背景とするシステム刷新やRPA(ロボットによる業務自動化)(*8)を活用した業務効率化等のニーズの高まりを受け、受注を拡大してまいりました。また、ECを始めとしたネット関連や官公庁系におけるシステム開発、仮想基盤やクラウド基盤を利用したインフラ構築も好調に推移してまいりました。クラウドSIビジネスにおきましては、Amazon.com,Inc.、Microsoft Corporation、Salesforce.com、Oracle Corporationといったグローバルベンダーの製品を活用した付加価値の高いサービスを提供してまいりました。
プロダクトサービス分野では、ライセンスビジネス等におきまして、引き続き販売が好調に推移いたしました。コミュニケーションロボット「PALRO(パルロ)」におきましては、経済産業省や厚生労働省が指定する介護ロボット機器の開発重点分野としてコミュニケーション分野が選定され、コミュニケーションロボットへの注目が高まる中、コンシューマシリーズの発売を開始する等、事業領域の拡大にも努めてまいりました。また、新4K8K衛星放送が2018年12月より開始される等の放送サービスの高度化に合わせ4K8K対応のデジタルテレビ放送受信機向けミドルウェア「FSDTV Middleware for ARIB」(*9)の提供を開始いたしました。
先進技術への取り組みでは、AI技術者の育成やAIベンチャー企業との協業、各種プラットフォームを利用した導入コンサルティングから保守運用支援までのAIインテグレーションサービスの他、製造業におけるIoT導入のソリューション提案やセキュリティの調査・診断から事前の対策及び万一の時の対応・改善までのトータルサービス等を進めてまいりました。
新たなテクノロジーや開発分野の拡大強化等のため、各地(北海道札幌市・東京都墨田区・神奈川県横浜市・愛知県刈谷市・福岡県福岡市・大阪府大阪市)にオフィスを増設し、汐留(東京都港区)にビル建設予定地を取得いたしました。また、子会社のヴィンクスにおきまして成長著しいアセアン地域での業容拡大のため、タイに流通・サービス分野の現地法人を設立いたしました。
再生医療分野では、2005年より研究を開始した「インプラント型再生軟骨」におきまして、国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)による成功認定を受け2019年の製造販売に向けて事業化を進めております。
一方で、政府が推進する働き方改革に伴う多様な働き方の実現に向けて、ICTを活用した在宅勤務・サテライト勤務制度やウルトラフレックス制度(*10)等に取り組んでまいりました。また、時間や場所にとらわれずフレキシブルにモバイルワークスタイルを実現できるペーパーレスシステム「moreNOTE」(*11)や無人受付システム「moreReception」(*12)等を活用する等、働き方改革を多方面からサポートする体制を整え営業提案も進めてまいりました結果、ワークライフバランスの推進や健康増進への取り組み、残業削減や有休奨励の推進等を戦略的に実践する取り組みが評価され、経済産業省が発表する「健康経営優良法人」に2年連続で認定されました。
CSR(企業の社会的責任)活動としましては、特例子会社の富士ソフト企画株式会社を通して、「就職予備校」等による障がい者の就労拡大に向けた就労移行支援活動やICT技術を生かした新しい農業としてしいたけ栽培にも取り組んでおります。その中で、福島県にて開催された全国サンマッシュ生産協議会が主催する菌床椎茸品評会にて3年連続金賞を受賞し、さらに、特別賞の最高位である「株式会社 北研賞」も受賞いたしました。また、海外35カ国が参加し世界一を決めるロボット競技大会「全日本ロボット相撲大会2018(All Japan Robot SUMO Tournament 2018 Grand Final)」を開催する等、ロボット相撲を通して「ものづくり」の楽しさを広め、ロボットテクノロジーの向上を図る活動を推進してまいりました。
このような活動により、当連結会計年度の業績につきましては、SI事業が好調に推移し、売上高は2,043億29百万円(前年同期比13.0%増)となりました。また、体制強化による人件費の増加やオフィス増設に伴う経費等により、販売費及び一般管理費が361億19百万円(前年同期比11.6%増)になったものの、増収により営業利益は114億円(前年同期比17.4%増)、経常利益は120億71百万円(前年同期比17.7%増)となりました。投資有価証券売却益や事業譲渡益、のれん等の減損損失の特別損益を計上し、親会社株主に帰属する当期純利益は65億16百万円(前年同期比12.4%増)となりました。
*1:未来投資戦略2018
2017年に閣議決定された経済政策パッケージで2020年までの3年間を生産性革命・集中投資期間とし、大胆な税制、予算、規制改革等に取り組む政府の施策
*2:Society5.0(ソサエティ5.0)
「狩猟社会」「農耕社会」「工業社会」「情報社会」に続く、AI・IoT等を活用した第5の新たな社会「超スマート社会」
*3:AIS-CRM(A:AI I:IoT S:Security C:Cloud R:Robot M:Mobile&AutoMotive)
当社が重点技術と位置づける技術領域
*4:Connectivity(コネクティビティ)
車と様々なものがインターネットを通じて繋がること
*5:APTJ株式会社 (Automotive Platform Technology Japan)
国立大学法人名古屋大学発学内ベンチャー企業として2015年設立、自動運転システム向けのSPFの開発や、セキュリティ対策の強化によるIoT等にも対応し、将来的に車載制御システム向けSPFで国際的なトップクラスのソフトウェアを目指している
*6:AUTOSAR (AUTomotive Open System ARchitecture)
車載ソフトウェアの標準化のため2003年欧州にて設立された組織、及び同組織が策定する標準仕様の総称
*7:Julinar SPF(Joint development program by Users,Licensors,and Integrators for AUTOSAR-based software platforms)
APTJ株式会社が開発している、AUTOSAR仕様準拠のSPF、及びサービスの総称
*8:RPA(Robotic Process Automation)
人に代わり処理することができる、AI・ロボット技術を活用したオペレーション自動化の仕組み
*9:FSDTV Middleware for ARIB
地上デジタル/BS・CS110度デジタル放送に対応しており、選局機能を始めとするARIB(一般社団法人電波産業会)規格に準ずる機能を提供。テレビ、PC、モバイル機器、車載機器など様々な実装形態に合わせて、柔軟に対応することが可能
*10:ウルトラフレックス制度
半日有給休暇における時間帯を固定せずフレキシブルに取得可能とした「フレキシブル有休制度」、業務中のリフレッシュを10分単位で認める「リフレッシュタイム制度」を導入し、これらの制度導入により、これまでの「スーパーフレックス(1990年より導入しているコアタイムのないフレックスタイム)」を超える「ウルトラフレックス制度」とする勤務制度
*11:moreNOTE(モアノート)
株式会社アイ・ティ・アールが発行した市場調査レポートよりモバイルコンテンツ管理市場における製品別売上で業界シェア№1を誇るペーパーレスシステム。タブレットやスマートフォン、PCを使用してドキュメントや動画・画像等の各種資料を手軽に共有・閲覧・編集できるサービス
*12:moreReception(モアレセプション)
ICTで実現できるおもてなしと受付業務の効率化をコンセプトに、従来の課題である記帳の煩わしさ、取り次ぎ業務の手間や待ち時間などを解消できる受付システム
セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。
① SI(システムインテグレーション)事業
SI事業における、組込系/制御系ソフトウェアにおきましては、自動車関連や機械制御系が好調に推移したことにより増収・増益となりました。業務系ソフトウェアにおきましては、インターネットサービスや金融業向けが好調に推移したことにより増収・増益となりました。プロダクト・サービスにおきましては、ライセンス販売が好調に推移したことにより増収となりましたが、品質強化のための投資や収益性の高い一部グループ会社の製品販売の減少等があったことにより減益となりました。アウトソーシングにおきましては、官公庁向けのアウトソーシング案件があったものの、流通・サービス向けが減少し前年並みとなり、また、前期にデータセンターの改修費用があったことにより増益となりました。
以上の結果、売上高は1,892億77百万円(前年同期比13.1%増)となり、営業利益は96億96百万円(前年同期比20.5%増)となりました。
※SI事業の主な売上高及び営業利益の内訳については、次のとおりであります。
(単位:百万円)
| 売上高 | 前年同期比(%) | 営業利益 | 前年同期比(%) | |||
| SI事業合計 | 189,277 | 113.1 | 9,696 | 120.5 | ||
| システム構築 | 115,351 | 113.5 | 6,971 | 128.7 | ||
| 組込系/制御系ソフトウェア | 59,622 | 112.4 | 4,242 | 130.5 | ||
| 業務系ソフトウェア | 55,729 | 114.8 | 2,729 | 125.9 | ||
| プロダクト・サービス | 73,925 | 112.4 | 2,725 | 103.5 | ||
| プロダクト・サービス | 58,883 | 116.1 | 1,703 | 87.6 | ||
| アウトソーシング | 15,041 | 100.0 | 1,021 | 148.8 | ||
(注) 営業利益については、セグメント間取引消去△768千円が含まれております。
② ファシリティ事業
ファシリティ事業におきましては、当社及び一部の連結子会社が所有しているオフィスビルの賃貸収入等の増加により、売上高は29億9百万円(前年同期比7.9%増)となり、営業利益は11億31百万円(前年同期比1.7%増)となりました。
③ その他
その他におきましては、データエントリー事業やコンタクトセンター事業が好調に推移したことにより、売上高は121億42百万円(前年同期比13.5%増)となり、営業利益は5億72百万円(前年同期比4.7%増)となりました。
生産、受注及び販売の実績は、次のとおりであります。
① 生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
| セグメントの名称 | 生産高(千円) | 前年同期比(%) |
| SI事業 | 144,594,106 | 113.2 |
| ファシリティ事業 | 1,733,327 | 113.7 |
| その他 | 10,481,483 | 110.4 |
| 合計 | 156,808,916 | 113.1 |
(注) 1 セグメント間の取引については相殺消去しております。
2 金額は、製造原価により算出しております。
3 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
② 受注実績
当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
| セグメントの名称 | 受注高(千円) | 前年同期比(%) | 受注残高(千円) | 前年同期比(%) |
| SI事業 | 193,810,253 | 112.4 | 44,627,901 | 111.3 |
| ファシリティ事業 | 3,007,733 | 111.6 | 1,133,470 | 109.5 |
| その他 | 12,052,538 | 107.9 | 1,816,575 | 95.3 |
| 合計 | 208,870,525 | 112.1 | 47,577,946 | 110.6 |
(注) 1 セグメント間の取引については相殺消去しております。
2 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
③ 販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
| セグメントの名称 | 販売高(千円) | 前年同期比(%) |
| SI事業 | 189,277,008 | 113.1 |
| ファシリティ事業 | 2,909,847 | 107.9 |
| その他 | 12,142,330 | 113.5 |
| 合計 | 204,329,186 | 113.0 |
(注) 1 セグメント間の取引については相殺消去しております。
2 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
3 主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合は、100分の10に満たないため、記載を省略しております。
(2) 財政状態
資産
当連結会計年度末における総資産は1,942億79百万円(前連結会計年度末差197億10百万円増)となりました。その内訳は、流動資産が799億77百万円(前連結会計年度末差75億19百万円増)、固定資産が1,143億2百万円(前連結会計年度末差121億91百万円増)であります。
流動資産の主な変動要因は、売上高の増加に伴い受取手形及び売掛金が444億56百万円となり、前連結会計年度末より41億67百万円増加したこと等によるものです。
固定資産の主な変動要因は、事業拡大に伴う両国オフィスや汐留ビル建設予定地の取得により土地が479億59百万円となり、前連結会計年度末より176億26百万円増加しました。一方、のれんが3億21百万円となり前連結会計年度末より18億82百万円減少したこと、上場株式の市場価額への評価替えにより投資有価証券が179億90百万円となり、23億35百万円減少しました。
セグメントごとの資産は、次のとおりであります。
① SI事業
SI事業におきましては、好調な受注環境により売掛金が増加したこと及び事業拡大に伴う両国オフィスや汐留ビル建設予定地の取得により、セグメント資産は、1,872億76百万円(前連結会計年度末差182億75百万円増)となりました。
② ファシリティ事業
SI事業におきましては、建物等の減価償却により、セグメント資産は、2億38百万円(前連結会計年度末差37百万円減)となりました。
③ その他
SI事業におきましては、好調な受注環境により売掛金が増加したことや設備の購入により、セグメント資産は、67億64百万円(前連結会計年度末差14億73百万円増)となりました。
負債
当連結会計年度末における負債総額は746億8百万円(前連結会計年度末差184億51百万円増)となりました。その内訳は、流動負債が494億28百万円(前連結会計年度末差102億30百万円増)、固定負債が251億80百万円(前連結会計年度末差82億21百万円増)であります。
流動負債及び固定負債の主な変動要因は、設備への投資により借入金が増加し、短期借入金が139億68百万円となり、前連結会計年度末より96億41百万円増加、長期借入金が133億19百万円となり、前連結会計年度末より91億37百万円増加しました。
純資産
当連結会計年度末における純資産は1,196億70百万円(前連結会計年度末差12億59百万円増)となりました。
この結果、自己資本比率は前連結会計年度末の59.9%から54.6%となりました。
(3) キャッシュ・フロー
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下、「資金」という)の残高は、245億87百万円で前連結会計年度末に比べ24億30百万円増加しました。
営業活動によるキャッシュ・フロー
当連結会計年度における営業活動による資金の増加は111億92百万円となりました。
これは、好調な受注環境での増収によるもので、主に税金等調整前当期純利益108億37百万円、減価償却費49億88百万円及び減損損失18億22百万円等により増加し、売上債権の増減額39億22百万円及び法人税等の支払額32億77百万円により減少しました。
投資活動によるキャッシュ・フロー
当連結会計年度における投資活動による資金の減少は234億24百万円となりました。
これは、主に設備投資によるもので、有形・無形固定資産の取得による支出233億11百万円により減少しました。
財務活動によるキャッシュ・フロー
当連結会計年度における財務活動による資金の増加は147億66百万円となりました。
これは、主に設備投資のための借入れによる資金調達があり増加しました。
資本の財源及び資金の流動性についての分析
当社グループの運転資金需要のうち主なものは、人件費及び外注費のほか、オフィスの賃借に伴う地代家賃等の営業費用であります。当社グループは、事業運営上適切な手元流動性と資金需要に応じた調達手段を安定的に確保することを基本方針としております。短期運転資金は、自己資金に加えて、金融機関からの短期借入及びコマーシャル・ペーパーによる調達を基本としており、設備投資や長期運転資金の調達につきましては、金融機関からの長期借入を基本としております。当社は、㈱日本格付研究所から信用格付を取得しており、当連結会計年度末現在、当社の発行体格付は、BBB+(長期)、J-2(短期)となっております。なお、当連結会計年度末における借入金及びリース債務を含む有利子負債の残高は296億76百万円となっております。また、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は245億87百万円となっております。
(4) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づいて作成されています。この連結財務諸表の作成にあたって、経営者は会計方針の選択・適用、また、資産・負債及び収益・費用の報告金額並びに開示に影響を与える見積りを必要としています。これらの見積もりについては過去の実績等を勘案し合理的に判断していますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。
② 経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
2018年2月15日公表の2018年12月期連結業績予想の達成状況は、次のとおりであります。売上高におきましては、SI事業における自動車関連や機械制御系の組込系/制御系ソフトウェア、インターネットサービスや金融業向けの業務形ソフトウェア開発が好調に推移した他、自社プロダクト・他社製品の販売及び付随する関連サービスも好調であり、計画を大きく上回り増収となりました。利益面では、営業利益及び経常利益、親会社株主に帰属する当期純利益におきましては、増収及び不採算案件の抑制や生産性向上による原価率の改善、為替変動に伴う為替差益の増加により増益となっております。
| 指標 | 2018年12月期 (計画) | 2018年12月期 (実績) | 計画差 | 計画比(%) |
| 売上高(百万円) | 187,000 | 204,329 | 17,329 | 109.3 |
| 営業利益(百万円) | 10,000 | 11,400 | 1,400 | 114.0 |
| 経常利益(百万円) | 10,300 | 12,071 | 1,771 | 117.2 |
| 親会社に帰属する 当期純利益(百万円) | 5,900 | 6,516 | 616 | 110.4 |
| 1株当たり 当期純利益(円 銭) | 188.53 | 208.22 | 19.69 | 110.4 |