有価証券報告書-第50期(平成31年1月1日-令和1年12月31日)
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
(1) 経営成績
当連結会計年度における日本経済は、雇用・所得環境の改善が継続し、緩やかな回復基調が続いているものの、米国通商政策による海外経済の減速や原材料高騰等の影響により、製造業を中心に業況や景気動向指数が悪化する等、不確実性が高まってきております。
一方、情報サービス分野では、デジタルトランスフォーメーションに代表されるICTを使った新たなデジタルビジネスの創造や革新の流れの中で、AIやIoTといった最新テクノロジー分野への対応やサイバーセキュリティ対策の重要性が高まっております。また、政府は、「デジタル・ニューディール」として、中小企業のIT投資支援や学校のICT化などの方針を打ち出しており、ICTの高度化・多様化に対応するための技術者不足も課題となるなか、ICTサービスに対する需要がますます拡大しております。
こうした状況の下、当社グループは、大きく変化するマーケット環境に対応し、クラウドサービスや仮想化技術を活用したシステムインフラ構築分野やネット関連ビジネス分野といった需要の高い分野に社内のリソースを重点的に配分する等の施策により、ビジネスの拡大を図ってまいりました。予てから進めている人材強化におきましては、採用やビジネスパートナーとの連携強化による人員増強とともに、最先端技術分野のスペシャリストやPM(プロジェクトマネージャー)育成等にも注力してまいりました。さらに、最新技術分野につきましては、AIやIoT等を重点技術分野とした「AIS-CRM」(*1)戦略を掲げ、技術研究や製品開発、先進ベンチャー企業との協業に加えて、国内外のベンダーが提供するプラットフォームの利用研究を深め、多くのインテグレーション案件を進める等、付加価値の高い事業拡大に努めてまいりました。
業務系システム開発におきましては、流通・サービス分野を中心に、インターネットやスマートフォンを利用した売買やサービスの重要性が高まっており、ECサイトの改修および大規模な再構築、デジタルコンテンツ分野などの需要が活況で、好調に推移してまいりました。システムインフラ構築を中心とした分野では、デジタルトランスフォーメーションへの対応をはじめとする、基幹システムの刷新やシステムインフラ基盤の再構築、レガシーシステムのクラウド化対応などのニーズを背景に、Microsoft Corporation、Amazon Web Services,Inc.、 Salesforce.com、Oracle Corporation、VMware,Inc.といったグローバルベンダーのクラウドサービスや仮想化技術を活用したインテグレーションビジネスを拡大してまいりました。また、働き方改革をテーマとしたシステム改善やグループウェアの刷新、Windows10の対応におけるクライアント端末移行のニーズも高く、クラウドを利用した経費精算システムや業務自動化を目的としたRPAシステム(*2)と、それらを結びつけるシステム共通基盤を組み合わせた提案など、当社の強みを活かした開発から保守までのトータルサポートを提供してまいりました。これらの取り組みが高く評価されたことにより、「マイクロソフトパートナーオブザイヤー2019 アワード」で最優秀賞を受賞致しました。また、Amazon WebServices,Inc.からは、マネージドサービスの展開実績と能力を持ち、十分な知識を持ったスタッフが揃っていること等を高く評価いただき、政府機関向けの専門的能力を実証したパートナーとして国内で初となる「政府機関コンピテンシー」の認定、コンサルティングパートナーとして国内で初となる「IoTコンピテンシー」の認定を受け、VMware,Inc.からは、デジタルワークスペースの開発等専門知識を備えるパートナーとしてアジア圏で唯一の「VMwareマスターサービスコンピテンシー」の認定を取得しました。なお、当社には、VMwareの高い知見を有する「vExpert」の認定者がソフトウェア開発事業者として国内最多となる8名在籍しております。
組込系/制御系システム開発におきましては、自動車関連で、2020年の自動運転レベル3(条件付運転自動化)の導入に向け、先進運転支援システム(ADAS)を中心に需要拡大が継続し、電動化・自動運転・事故予防・車外との通信接続など、CASE分野の車載制御ソフトウェア開発が一層好調に推移してまいりました。機械制御系では、製造業の一部において投資意欲の抑制が見られるものの、クラウド環境やAIを活用した効率的な工場の制御管理システムを実現するためのIoT化の環境構築やシステム開発、またFA(工作機械)等のライン制御システム開発の需要は拡大しております。社会インフラ系では、電力会社等の次世代システム開発が好調に推移したほか、新たな成長分野である5Gのサービスインなどを背景に通信キャリアサービスの開発やモバイル通信網の整備に係る開発を中心に受注を拡大してまいりました。
プロダクトサービス分野におきましては、2016年より当社オリジナル商品として提供しているコンシューマー向けのWi-Fiルーター「+F FS030W」が好調に推移したほか、IoT化の流れにより法人向けのWi-Fiドングル「+F FS040U」も好調に推移しました。教育分野では、2019年10月に発売されたデジタル教科書・教材をより簡単に低コストで開発・提供できる「みらいスクールプラットフォーム」は、既に複数の教科書出版会社や教材会社において採用されております。また当社では、全社員にタブレット端末を配布し、当社製品の「moreNOTE」(*3)等を活用した時間や場所を選ばないモバイルワークスタイルの実現による働き方改革を推進しており、そのノウハウをお客様提案にも繋げてまいりました。
「AIS-CRM」分野におきましては、受託開発に加えて、新たなテクノロジーやサービスの研究開発に取り組んでおります。AI技術分野では、お客様でのデータ利活用の関心は高く、特に動画の画像認識やカメラ画像での動態検知、FA分野における各種自動化での受注が拡大しております。また、大学病院との共同研究による深層学習に不可欠なGPU環境の研究や、ソフトウェア開発における生産性向上や品質向上を目指した研究・実証も進めております。IoT分野では、工場内のデータの見える化と活用をテーマに、製造業向けプラットフォームと各工場設備との効率的なデータ連携における通信や接続方法等の調査、より付加価値の高い技術やソリューションの開発を実施してまいりました。セキュリティ分野では、さらに巧妙化・複雑化する攻撃型ウィルスへの対応強化やIoTの拡大の中で脅威が増大する組込セキュリティ分野におきましても、当社の強みを活かしたサービス化の研究とともに、国内外のサービスベンダーとの協業も進めております。また、神奈川サイバー犯罪対策研究会主催のセキュリティ競技会「CTF神奈川」の問題作成(暗号やネットワーク等)に協力し、当社の高いセキュリティ技術を活かし、サイバー犯罪の対処能力の向上をサポートいたしました。ロボット分野では、北九州市の「介護ロボット等開発事業」において認知症介護者の負担軽減に向けた研究開発が採択されました。また、予てより進めている再生医療分野では、2005年より研究を開始した「インプラント型再生軟骨」におきまして、国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)による成功認定を受け2020年の製造販売に向けて事業化を進めております。
CSR(企業の社会的責任)活動としましては、特例子会社の富士ソフト企画株式会社を通して、「就職予備校」等による障がい者の就労拡大に向けた就労移行支援活動や、ICT技術を生かした新しい農業としてのしいたけ栽培にも取り組んでおり、福島県にて開催された全国サンマッシュ生産協議会が主催する菌床椎茸品評会にて5年連続金賞を受賞いたしました。また、海外35カ国が参加し世界一を決めるロボット競技大会「全日本ロボット相撲大会2019(All Japan Robot SUMO Tournament2019 Grand Final)」を開催する等、ロボット相撲を通して「ものづくり」の楽しさを広め、ロボットテクノロジーの向上を図る活動を推進してまいりました。
このような活動により、当連結会計年度の業績につきましては、SI事業が好調に推移し、売上高は2,310億74百万円(前年同期比13.1%増)となりました。また、体制強化による人件費の増加や拠点整備に伴う経費等により、販売費及び一般管理費が394億70百万円(前年同期比9.3%増)になったものの、増収により営業利益は132億66百万円(前年同期比16.4%増)、経常利益は137億49百万円(前年同期比13.9%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は78億36百万円(前年同期比20.3%増)となりました。
*1:AIS-CRM(A:AI I:IoT S:Security C:Cloud R:Robot M:Mobile&AutoMotive)
当社が重点技術と位置づける技術領域
*2:RPA(Robotic Process Automation)
人に代わり処理することができる、AI・ロボット技術を活用したオペレーション自動化の仕組み
*3:moreNOTE(モアノート)
株式会社アイ・ティ・アールが発行した市場調査レポートよりモバイルコンテンツ管理市場における製品別売上で業界シェア№1を誇るペーパーレスシステム。タブレットやスマートフォン、PCを使用してドキュメントや動画・画像等の各種資料を手軽に共有・閲覧・編集できるサービス
セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。
① SI(システムインテグレーション)事業
SI事業における、組込系/制御系ソフトウェアにおきましては、社会インフラ系や自動車関連が好調に推移したことにより増収・増益となりました。業務系ソフトウェアにおきましては、製造業、流通・サービス向け、ノンバンクやインターネットサービスを中心にシステム構築分野が好調に推移したことにより増収・増益となりました。プロダクト・サービスにおきましては、ライセンス販売が好調に推移したことにより増収・増益となりました。アウトソーシングにおきましては、単体での運用保守案件が増加したものの、グループ会社における流通・サービス向けが減少したことにより、減収・減益となりました。
以上の結果、売上高は2,155億8百万円(前年同期比13.9%増)となり、営業利益は117億37百万円(前年同期比21.0%増)となりました。
※SI事業の主な売上高及び営業利益の内訳については、次のとおりであります。
(単位:百万円)
(注) 営業利益については、セグメント間取引消去△0百万円が含まれております。
② ファシリティ事業
ファシリティ事業におきましては、当社及び一部の連結子会社が所有しているオフィスビルの賃貸収入等の売上高は28億99百万円(前年同期比0.4%減)となり、営業利益は12億11百万円(前年同期比7.1%増)となりました。
③ その他
その他におきましては、データエントリー事業やコンタクトセンター事業が好調に推移したことにより、売上高は126億67百万円(前年同期比4.3%増)となり、再生医療分野での事業化に向けた体制強化に伴う販売費及び一般管理費の増加により営業利益は3億17百万円(前年同期比44.5%減)となりました。
生産、受注及び販売の実績は、次のとおりであります。
① 生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1 セグメント間の取引については相殺消去しております。
2 金額は、製造原価により算出しております。
3 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
② 受注実績
当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1 セグメント間の取引については相殺消去しております。
2 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
③ 販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1 セグメント間の取引については相殺消去しております。
2 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
3 主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合は、100分の10に満たないため、記載を省略しております。
(2) 財政状態
資産
当連結会計年度末における総資産は2,076億18百万円(前連結会計年度末差149億92百万円増)となりました。その内訳は、流動資産が880億9百万円(前連結会計年度末差106億93百万円増)、固定資産が1,196億9百万円(前連結会計年度末差42億98百万円増)であります。
流動資産の主な変動要因は、売上高の増加に伴い受取手形及び売掛金が495億70百万円となり、前連結会計年度末より51億14百万円増加したこと、有価証券が70億円となり、前連結会計年度末より30億円増加したこと等によるものです。
固定資産の主な変動要因は、事業拡大に伴う名古屋ビル建設予定地の取得等により土地が531億35百万円となり、前連結会計年度末より51億75百万円増加したこと等によるものです。
セグメントごとの資産は、次のとおりであります。
① SI事業
SI事業におきましては、好調な受注環境により売掛金が増加したこと及び事業拡大に名古屋にビル建設予定地の取得により、セグメント資産は、2,011億66百万円(前連結会計年度末差138億90百万円増)となりました。
② ファシリティ事業
ファシリティ事業におきましては、建物等の減価償却によりセグメント資産は2億8百万円(前連結会計年度末差30百万円減)となりました。
③ その他
その他におきましては、建物等の減価償却によりセグメント資産は62億42百万円(前連結会計年度末差5億21百万円減)となりました。
負債
当連結会計年度末における負債総額は807億97百万円(前連結会計年度末差78億42百万円増)となりました。その内訳は、流動負債が481億6百万円(前連結会計年度末差13億21百万円減)、固定負債が326億91百万円(前連結会計年度末差91億64百万円増)であります。
流動負債及び固定負債の主な変動要因は、支払手形及び買掛金が133億61百万円となり、前連結会計年度末より38億35百万円増加、短期借入金が31億93百万円となり、前連結会計年度末より107億74百万円減少したこと等によるものです。
固定負債の主な変動要因は、長期借入金が226億18百万円となり、前連結会計年度末より92億98百万円増加したこと等によるものです。
純資産
当連結会計年度末における純資産は1,268億20百万円(前連結会計年度末差71億49百万円増)となりました。
この結果、自己資本比率は前連結会計年度末の55.1%から54.1%となりました。
(3) キャッシュ・フロー
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下、「資金」という)の残高は、261億58百万円で前連結会計年度末に比べ15億70百万円増加しました。
営業活動によるキャッシュ・フロー
当連結会計年度における営業活動による資金の増加は125億84百万円となりました。
これは、好調な受注環境での増収によるもので、主に税金等調整前当期純利益140億14百万円、減価償却費50億36百万円等により増加し、売上債権の増減額48億2百万円及び法人税等の支払額38億74百万円により減少しました。
投資活動によるキャッシュ・フロー
当連結会計年度における投資活動による資金の減少は94億42百万円となりました。
これは、主に設備投資によるもので、有形・無形固定資産の取得による支出84億91百万円により減少しました。
財務活動によるキャッシュ・フロー
当連結会計年度における財務活動による資金の減少は14億51百万円となりました。
これは、主に配当金の支払等によるものです。
資本の財源及び資金の流動性についての分析
当社グループの運転資金需要のうち主なものは、人件費及び外注費のほか、オフィスの賃借に伴う地代家賃等の営業費用であります。当社グループは、事業運営上適切な手元流動性と資金需要に応じた調達手段を安定的に確保することを基本方針としております。短期運転資金は、自己資金に加えて、金融機関からの短期借入及びコマーシャル・ペーパーによる調達を基本としており、設備投資や長期運転資金の調達につきましては、金融機関からの長期借入を基本としております。当社は、㈱日本格付研究所から信用格付を取得しており、当連結会計年度末現在、当社の発行体格付は、A-(長期)、J-1(短期)となっております。なお、当連結会計年度末における借入金及びリース債務を含む有利子負債の残高は298億57百万円となっております。また、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は261億58百万円となっております。
(4) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づいて作成されています。この連結財務諸表の作成にあたって、経営者は会計方針の選択・適用、また、資産・負債及び収益・費用の報告金額並びに開示に影響を与える見積りを必要としています。これらの見積もりについては過去の実績等を勘案し合理的に判断していますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。
② 経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループは、売上高成長率、営業利益率及び安定配当を重要な経営目標と位置づけしております。
売上高におきましては、当連結会計年度は2,310億74百万円となり、売上高成長率は13.1%となりました。主な要因としては、SI事業における組込/制御系では社会インフラ系、自動車関連、業務系では製造業、流通・サービス業向け、ノンバンクやインターネットサービス分野およびシステムインフラ構築など、システム構築事業が好調に推移したことであります。
営業利益におきましては、当連結会計年度は132億66百万円となり、営業利益率は5.7%となりました。主な要因としては、売上高の増収及び前年度に働き方改革の促進・生産性向上のためのモバイル機器取得等の先行投資があったこともあり、販管費率が改善したことであります。
また配当については、当連結会計年度の年間1株当たり配当額は42円と期初予想を上回る進捗となりました。
今後も当社グループの企業価値向上に努めてまいります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
(1) 経営成績
当連結会計年度における日本経済は、雇用・所得環境の改善が継続し、緩やかな回復基調が続いているものの、米国通商政策による海外経済の減速や原材料高騰等の影響により、製造業を中心に業況や景気動向指数が悪化する等、不確実性が高まってきております。
一方、情報サービス分野では、デジタルトランスフォーメーションに代表されるICTを使った新たなデジタルビジネスの創造や革新の流れの中で、AIやIoTといった最新テクノロジー分野への対応やサイバーセキュリティ対策の重要性が高まっております。また、政府は、「デジタル・ニューディール」として、中小企業のIT投資支援や学校のICT化などの方針を打ち出しており、ICTの高度化・多様化に対応するための技術者不足も課題となるなか、ICTサービスに対する需要がますます拡大しております。
こうした状況の下、当社グループは、大きく変化するマーケット環境に対応し、クラウドサービスや仮想化技術を活用したシステムインフラ構築分野やネット関連ビジネス分野といった需要の高い分野に社内のリソースを重点的に配分する等の施策により、ビジネスの拡大を図ってまいりました。予てから進めている人材強化におきましては、採用やビジネスパートナーとの連携強化による人員増強とともに、最先端技術分野のスペシャリストやPM(プロジェクトマネージャー)育成等にも注力してまいりました。さらに、最新技術分野につきましては、AIやIoT等を重点技術分野とした「AIS-CRM」(*1)戦略を掲げ、技術研究や製品開発、先進ベンチャー企業との協業に加えて、国内外のベンダーが提供するプラットフォームの利用研究を深め、多くのインテグレーション案件を進める等、付加価値の高い事業拡大に努めてまいりました。
業務系システム開発におきましては、流通・サービス分野を中心に、インターネットやスマートフォンを利用した売買やサービスの重要性が高まっており、ECサイトの改修および大規模な再構築、デジタルコンテンツ分野などの需要が活況で、好調に推移してまいりました。システムインフラ構築を中心とした分野では、デジタルトランスフォーメーションへの対応をはじめとする、基幹システムの刷新やシステムインフラ基盤の再構築、レガシーシステムのクラウド化対応などのニーズを背景に、Microsoft Corporation、Amazon Web Services,Inc.、 Salesforce.com、Oracle Corporation、VMware,Inc.といったグローバルベンダーのクラウドサービスや仮想化技術を活用したインテグレーションビジネスを拡大してまいりました。また、働き方改革をテーマとしたシステム改善やグループウェアの刷新、Windows10の対応におけるクライアント端末移行のニーズも高く、クラウドを利用した経費精算システムや業務自動化を目的としたRPAシステム(*2)と、それらを結びつけるシステム共通基盤を組み合わせた提案など、当社の強みを活かした開発から保守までのトータルサポートを提供してまいりました。これらの取り組みが高く評価されたことにより、「マイクロソフトパートナーオブザイヤー2019 アワード」で最優秀賞を受賞致しました。また、Amazon WebServices,Inc.からは、マネージドサービスの展開実績と能力を持ち、十分な知識を持ったスタッフが揃っていること等を高く評価いただき、政府機関向けの専門的能力を実証したパートナーとして国内で初となる「政府機関コンピテンシー」の認定、コンサルティングパートナーとして国内で初となる「IoTコンピテンシー」の認定を受け、VMware,Inc.からは、デジタルワークスペースの開発等専門知識を備えるパートナーとしてアジア圏で唯一の「VMwareマスターサービスコンピテンシー」の認定を取得しました。なお、当社には、VMwareの高い知見を有する「vExpert」の認定者がソフトウェア開発事業者として国内最多となる8名在籍しております。
組込系/制御系システム開発におきましては、自動車関連で、2020年の自動運転レベル3(条件付運転自動化)の導入に向け、先進運転支援システム(ADAS)を中心に需要拡大が継続し、電動化・自動運転・事故予防・車外との通信接続など、CASE分野の車載制御ソフトウェア開発が一層好調に推移してまいりました。機械制御系では、製造業の一部において投資意欲の抑制が見られるものの、クラウド環境やAIを活用した効率的な工場の制御管理システムを実現するためのIoT化の環境構築やシステム開発、またFA(工作機械)等のライン制御システム開発の需要は拡大しております。社会インフラ系では、電力会社等の次世代システム開発が好調に推移したほか、新たな成長分野である5Gのサービスインなどを背景に通信キャリアサービスの開発やモバイル通信網の整備に係る開発を中心に受注を拡大してまいりました。
プロダクトサービス分野におきましては、2016年より当社オリジナル商品として提供しているコンシューマー向けのWi-Fiルーター「+F FS030W」が好調に推移したほか、IoT化の流れにより法人向けのWi-Fiドングル「+F FS040U」も好調に推移しました。教育分野では、2019年10月に発売されたデジタル教科書・教材をより簡単に低コストで開発・提供できる「みらいスクールプラットフォーム」は、既に複数の教科書出版会社や教材会社において採用されております。また当社では、全社員にタブレット端末を配布し、当社製品の「moreNOTE」(*3)等を活用した時間や場所を選ばないモバイルワークスタイルの実現による働き方改革を推進しており、そのノウハウをお客様提案にも繋げてまいりました。
「AIS-CRM」分野におきましては、受託開発に加えて、新たなテクノロジーやサービスの研究開発に取り組んでおります。AI技術分野では、お客様でのデータ利活用の関心は高く、特に動画の画像認識やカメラ画像での動態検知、FA分野における各種自動化での受注が拡大しております。また、大学病院との共同研究による深層学習に不可欠なGPU環境の研究や、ソフトウェア開発における生産性向上や品質向上を目指した研究・実証も進めております。IoT分野では、工場内のデータの見える化と活用をテーマに、製造業向けプラットフォームと各工場設備との効率的なデータ連携における通信や接続方法等の調査、より付加価値の高い技術やソリューションの開発を実施してまいりました。セキュリティ分野では、さらに巧妙化・複雑化する攻撃型ウィルスへの対応強化やIoTの拡大の中で脅威が増大する組込セキュリティ分野におきましても、当社の強みを活かしたサービス化の研究とともに、国内外のサービスベンダーとの協業も進めております。また、神奈川サイバー犯罪対策研究会主催のセキュリティ競技会「CTF神奈川」の問題作成(暗号やネットワーク等)に協力し、当社の高いセキュリティ技術を活かし、サイバー犯罪の対処能力の向上をサポートいたしました。ロボット分野では、北九州市の「介護ロボット等開発事業」において認知症介護者の負担軽減に向けた研究開発が採択されました。また、予てより進めている再生医療分野では、2005年より研究を開始した「インプラント型再生軟骨」におきまして、国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)による成功認定を受け2020年の製造販売に向けて事業化を進めております。
CSR(企業の社会的責任)活動としましては、特例子会社の富士ソフト企画株式会社を通して、「就職予備校」等による障がい者の就労拡大に向けた就労移行支援活動や、ICT技術を生かした新しい農業としてのしいたけ栽培にも取り組んでおり、福島県にて開催された全国サンマッシュ生産協議会が主催する菌床椎茸品評会にて5年連続金賞を受賞いたしました。また、海外35カ国が参加し世界一を決めるロボット競技大会「全日本ロボット相撲大会2019(All Japan Robot SUMO Tournament2019 Grand Final)」を開催する等、ロボット相撲を通して「ものづくり」の楽しさを広め、ロボットテクノロジーの向上を図る活動を推進してまいりました。
このような活動により、当連結会計年度の業績につきましては、SI事業が好調に推移し、売上高は2,310億74百万円(前年同期比13.1%増)となりました。また、体制強化による人件費の増加や拠点整備に伴う経費等により、販売費及び一般管理費が394億70百万円(前年同期比9.3%増)になったものの、増収により営業利益は132億66百万円(前年同期比16.4%増)、経常利益は137億49百万円(前年同期比13.9%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は78億36百万円(前年同期比20.3%増)となりました。
*1:AIS-CRM(A:AI I:IoT S:Security C:Cloud R:Robot M:Mobile&AutoMotive)
当社が重点技術と位置づける技術領域
*2:RPA(Robotic Process Automation)
人に代わり処理することができる、AI・ロボット技術を活用したオペレーション自動化の仕組み
*3:moreNOTE(モアノート)
株式会社アイ・ティ・アールが発行した市場調査レポートよりモバイルコンテンツ管理市場における製品別売上で業界シェア№1を誇るペーパーレスシステム。タブレットやスマートフォン、PCを使用してドキュメントや動画・画像等の各種資料を手軽に共有・閲覧・編集できるサービス
セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。
① SI(システムインテグレーション)事業
SI事業における、組込系/制御系ソフトウェアにおきましては、社会インフラ系や自動車関連が好調に推移したことにより増収・増益となりました。業務系ソフトウェアにおきましては、製造業、流通・サービス向け、ノンバンクやインターネットサービスを中心にシステム構築分野が好調に推移したことにより増収・増益となりました。プロダクト・サービスにおきましては、ライセンス販売が好調に推移したことにより増収・増益となりました。アウトソーシングにおきましては、単体での運用保守案件が増加したものの、グループ会社における流通・サービス向けが減少したことにより、減収・減益となりました。
以上の結果、売上高は2,155億8百万円(前年同期比13.9%増)となり、営業利益は117億37百万円(前年同期比21.0%増)となりました。
※SI事業の主な売上高及び営業利益の内訳については、次のとおりであります。
(単位:百万円)
| 売上高 | 前年同期比(%) | 営業利益 | 前年同期比(%) | |||
| SI事業合計 | 215,508 | 113.9% | 11,737 | 121.0% | ||
| システム構築 | 131,237 | 113.8% | 7,636 | 109.5% | ||
| 組込系/制御系ソフトウェア | 64,670 | 108.5% | 4,444 | 104.8% | ||
| 業務系ソフトウェア | 66,567 | 119.4% | 3,192 | 117.0% | ||
| プロダクト・サービス | 84,270 | 114.0% | 4,100 | 150.5% | ||
| プロダクト・サービス | 69,284 | 117.7% | 3,142 | 184.4% | ||
| アウトソーシング | 14,985 | 99.6% | 958 | 93.8% | ||
(注) 営業利益については、セグメント間取引消去△0百万円が含まれております。
② ファシリティ事業
ファシリティ事業におきましては、当社及び一部の連結子会社が所有しているオフィスビルの賃貸収入等の売上高は28億99百万円(前年同期比0.4%減)となり、営業利益は12億11百万円(前年同期比7.1%増)となりました。
③ その他
その他におきましては、データエントリー事業やコンタクトセンター事業が好調に推移したことにより、売上高は126億67百万円(前年同期比4.3%増)となり、再生医療分野での事業化に向けた体制強化に伴う販売費及び一般管理費の増加により営業利益は3億17百万円(前年同期比44.5%減)となりました。
生産、受注及び販売の実績は、次のとおりであります。
① 生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
| セグメントの名称 | 生産高(百万円) | 前年同期比(%) |
| SI事業 | 166,082 | 114.9 |
| ファシリティ事業 | 1,561 | 90.1 |
| その他 | 10,693 | 102.0 |
| 合計 | 178,337 | 113.7 |
(注) 1 セグメント間の取引については相殺消去しております。
2 金額は、製造原価により算出しております。
3 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
② 受注実績
当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
| セグメントの名称 | 受注高(百万円) | 前年同期比(%) | 受注残高(百万円) | 前年同期比(%) |
| SI事業 | 225,592 | 116.4 | 54,712 | 122.6 |
| ファシリティ事業 | 2,888 | 96.0 | 1,122 | 99.0 |
| その他 | 12,603 | 104.6 | 1,752 | 96.5 |
| 合計 | 241,084 | 115.4 | 57,587 | 121.0 |
(注) 1 セグメント間の取引については相殺消去しております。
2 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
③ 販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
| セグメントの名称 | 販売高(百万円) | 前年同期比(%) |
| SI事業 | 215,508 | 113.9 |
| ファシリティ事業 | 2,899 | 99.6 |
| その他 | 12,667 | 104.3 |
| 合計 | 231,074 | 113.1 |
(注) 1 セグメント間の取引については相殺消去しております。
2 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
3 主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合は、100分の10に満たないため、記載を省略しております。
(2) 財政状態
資産
当連結会計年度末における総資産は2,076億18百万円(前連結会計年度末差149億92百万円増)となりました。その内訳は、流動資産が880億9百万円(前連結会計年度末差106億93百万円増)、固定資産が1,196億9百万円(前連結会計年度末差42億98百万円増)であります。
流動資産の主な変動要因は、売上高の増加に伴い受取手形及び売掛金が495億70百万円となり、前連結会計年度末より51億14百万円増加したこと、有価証券が70億円となり、前連結会計年度末より30億円増加したこと等によるものです。
固定資産の主な変動要因は、事業拡大に伴う名古屋ビル建設予定地の取得等により土地が531億35百万円となり、前連結会計年度末より51億75百万円増加したこと等によるものです。
セグメントごとの資産は、次のとおりであります。
① SI事業
SI事業におきましては、好調な受注環境により売掛金が増加したこと及び事業拡大に名古屋にビル建設予定地の取得により、セグメント資産は、2,011億66百万円(前連結会計年度末差138億90百万円増)となりました。
② ファシリティ事業
ファシリティ事業におきましては、建物等の減価償却によりセグメント資産は2億8百万円(前連結会計年度末差30百万円減)となりました。
③ その他
その他におきましては、建物等の減価償却によりセグメント資産は62億42百万円(前連結会計年度末差5億21百万円減)となりました。
負債
当連結会計年度末における負債総額は807億97百万円(前連結会計年度末差78億42百万円増)となりました。その内訳は、流動負債が481億6百万円(前連結会計年度末差13億21百万円減)、固定負債が326億91百万円(前連結会計年度末差91億64百万円増)であります。
流動負債及び固定負債の主な変動要因は、支払手形及び買掛金が133億61百万円となり、前連結会計年度末より38億35百万円増加、短期借入金が31億93百万円となり、前連結会計年度末より107億74百万円減少したこと等によるものです。
固定負債の主な変動要因は、長期借入金が226億18百万円となり、前連結会計年度末より92億98百万円増加したこと等によるものです。
純資産
当連結会計年度末における純資産は1,268億20百万円(前連結会計年度末差71億49百万円増)となりました。
この結果、自己資本比率は前連結会計年度末の55.1%から54.1%となりました。
(3) キャッシュ・フロー
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下、「資金」という)の残高は、261億58百万円で前連結会計年度末に比べ15億70百万円増加しました。
営業活動によるキャッシュ・フロー
当連結会計年度における営業活動による資金の増加は125億84百万円となりました。
これは、好調な受注環境での増収によるもので、主に税金等調整前当期純利益140億14百万円、減価償却費50億36百万円等により増加し、売上債権の増減額48億2百万円及び法人税等の支払額38億74百万円により減少しました。
投資活動によるキャッシュ・フロー
当連結会計年度における投資活動による資金の減少は94億42百万円となりました。
これは、主に設備投資によるもので、有形・無形固定資産の取得による支出84億91百万円により減少しました。
財務活動によるキャッシュ・フロー
当連結会計年度における財務活動による資金の減少は14億51百万円となりました。
これは、主に配当金の支払等によるものです。
資本の財源及び資金の流動性についての分析
当社グループの運転資金需要のうち主なものは、人件費及び外注費のほか、オフィスの賃借に伴う地代家賃等の営業費用であります。当社グループは、事業運営上適切な手元流動性と資金需要に応じた調達手段を安定的に確保することを基本方針としております。短期運転資金は、自己資金に加えて、金融機関からの短期借入及びコマーシャル・ペーパーによる調達を基本としており、設備投資や長期運転資金の調達につきましては、金融機関からの長期借入を基本としております。当社は、㈱日本格付研究所から信用格付を取得しており、当連結会計年度末現在、当社の発行体格付は、A-(長期)、J-1(短期)となっております。なお、当連結会計年度末における借入金及びリース債務を含む有利子負債の残高は298億57百万円となっております。また、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は261億58百万円となっております。
(4) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づいて作成されています。この連結財務諸表の作成にあたって、経営者は会計方針の選択・適用、また、資産・負債及び収益・費用の報告金額並びに開示に影響を与える見積りを必要としています。これらの見積もりについては過去の実績等を勘案し合理的に判断していますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。
② 経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループは、売上高成長率、営業利益率及び安定配当を重要な経営目標と位置づけしております。
売上高におきましては、当連結会計年度は2,310億74百万円となり、売上高成長率は13.1%となりました。主な要因としては、SI事業における組込/制御系では社会インフラ系、自動車関連、業務系では製造業、流通・サービス業向け、ノンバンクやインターネットサービス分野およびシステムインフラ構築など、システム構築事業が好調に推移したことであります。
営業利益におきましては、当連結会計年度は132億66百万円となり、営業利益率は5.7%となりました。主な要因としては、売上高の増収及び前年度に働き方改革の促進・生産性向上のためのモバイル機器取得等の先行投資があったこともあり、販管費率が改善したことであります。
また配当については、当連結会計年度の年間1株当たり配当額は42円と期初予想を上回る進捗となりました。
今後も当社グループの企業価値向上に努めてまいります。
| 指標 | 2017年12月期 (実績) | 2018年12月期 (実績) | 2019年12月期 (実績) |
| 売上高(百万円) | 180,773 | 204,329 | 231,074 |
| 売上高成長率(%) | 10.1 | 13.0 | 13.1 |
| 営業利益(百万円) | 9,708 | 11,400 | 13,266 |
| 営業利益率(%) | 5.4 | 5.6 | 5.7 |
| 1株当たり配当金(円) | 33 | 37 | 42 |