四半期報告書-第54期第1四半期(令和3年4月1日-令和3年6月30日)

【提出】
2021/08/12 9:12
【資料】
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【項目】
36項目
文中の将来に関する事項は、当四半期報告書提出日現在において当社グループ(当社及び連結子会社)が判断したものであります。
(1) 業績の状況
当第1四半期連結累計期間におけるわが国経済は、欧米を中心とした新型コロナウイルス感染に対するワクチン接種の進展と経済活動の回復への動きのなかで、企業の業況判断が改善傾向を見せる等、景気は緩やかながらも持ち直しの動きが続きました。その一方で、新型コロナウイルスへの感染状況は改善したとはいえず、経済活動の正常化には依然として様々な制約が残る状況です。
日本経済の先行きにつきましては、新型コロナウイルス感染拡大の防止策やワクチン接種の促進に加え、財政・金融政策の効果や海外経済の回復基調もあり、持ち直しの動きが継続することが期待されますが、変異株の拡大など感染再拡大の懸念も拭えず、国内外の経済に与える影響については引き続き注視する必要があります。
このような経済環境の下、ITサービス市場におきましては、新型コロナウイルスの影響が残るものの、顧客企業におけるIT投資については、業種・企業ごとの跛行性はありつつも回復の動きが表れております。ニューノーマルを模索するなかでのIT投資やDXを想定したシステムの再構築需要等、事業の拡大に向けたIT投資への意欲は継続しており、景気の回復とともに投資は加速していくものとみられます。
当社グループにおける顧客企業の動向につきましては、製造業企業は、事業の回復傾向が見え始めたなかで、事業基盤強化のための基幹システム構築や次期システム開発など、IT投資需要は堅調に推移いたしました。金融業企業は、銀行業を中心とした、海外オペレーションの強化・拡充に向けた対応案件等が続き、IT投資需要は増加基調を続けております。通信業企業は、顧客接点強化に向けた投資やネットワーク強化等により、IT投資需要は増加しております。
また、顧客企業のIT人材不足や顧客企業経営層の業務効率と生産性向上への強い意欲等を背景に、各種クラウド型ITサービスへの需要、ソフトウェアのエンドオブサービスに対応する基幹システム再構築等の投資需要は継続しており、加えてコロナ禍におけるニューノーマルのなかで、リモートワークを主体とした非対面・非接触の動きを受けてのデジタル化は加速しつつあります。
こうした動きのなか、DXを想定したシステムの再構築や顧客接点の高度化等への戦略的IT投資需要は、今後も継続するものと考えております。
当第1四半期連結累計期間の業績につきましては、売上高は、銀行業を中心とした金融業のIT投資需要や通信業向け開発需要及びネットワーク機器販売の増加を背景に、システム開発、保守運用・サービス、システム販売のいずれの売上区分においても増収し、前期比5.1%増の99,210百万円となりました。
売上総利益は、売上高の伸びや業務品質向上施策による生産性向上、不採算案件の減少等により増益となりました。また、販売費及び一般管理費につきましては、新人事制度の導入に伴う人件費の増加や人員増等により増加しましたが、増収並びに生産性の向上を伴って、営業利益は前期比5.9%増の10,887百万円となりました。
親会社の所有者に帰属する四半期利益につきましては、前期比6.1%増の7,703百万円となりました。
当社グループはさらなる成長に向け、成長戦略として「サステナビリティ経営」を推進します。経営理念とマテリアリティを当社グループの存在意義としたうえで、社会と共に持続的発展を目指し、「2030年 共創ITカンパニー」の実現のため、策定した中期経営計画において、3つの基本戦略「事業革新」、「DX事業化」、「人財投資」と、3つの経営基盤強化策「グループ総合力強化」、「人を活かす経営の推進」、「共創の企業文化づくり」に取り組むことにより、グローバルベースでの事業拡大を目指します。
セグメント別業績の概要は次のとおりとなっております。なお、売上高については外部顧客への売上高を表示しております。
(産業IT)
電力・ガス業における開発案件の収束がありましたが、食品業及び通信業においてシステム開発が増加したことにより、売上高は前期比0.6%増の32,433百万円となりました。営業利益については、海外現地法人や検証サービスでの減益に伴い、前期比5.1%減の3,658百万円となりました。
(金融IT)
銀行業向けの大型のシステム開発の案件拡大や生損保業向けの基幹システム案件の増加により、売上高は前期比13.4%増の14,208百万円、営業利益につきましては、前期比31.6%増の1,878百万円となりました。
(ITソリューション)
基幹システム案件やBPOビジネスが堅調に推移し、売上高は前期比9.3%増の13,845百万円となりました。営業利益につきましては、一部低採算の案件の影響により、前期比1.6%増の1,449百万円となりました。
(ITプラットフォーム)
通信業向けネットワーク機器の売上拡大や、ネットワーク製品、セキュリティ製品の需要の増加により、売上高は前期比6.3%増の19,994百万円となりました。営業利益につきましては、相対的に利益率の低いネットワーク機器販売の影響により、前期比1.8%増の2,292百万円となりました。
(ITマネジメント)
データセンタービジネスが増加したことや、銀行業向けマネジメントサービスが堅調に推移したことにより、売上高は前期比6.3%増の14,874百万円、営業利益は、前期比14.8%増の1,900百万円となりました。
(その他)
売上高は、前期比3.0%減の3,921百万円、営業利益は、前期比128.8%増の234百万円となりました。
当期の財政状態については次のとおりとなっております。
(資産)
当第1四半期連結会計期間末の資産は、営業債権の回収による営業債権及びその他の債権の減少等はあるものの、現金及び現金同等物及び使用権資産の取得による増加等により、前連結会計年度末に比べ8,247百万円(2.2%)増加し、388,647百万円となりました。
(負債)
当第1四半期連結会計期間末の負債は、契約負債及び有利子負債の増加等により、前連結会計年度末に比べ7,364百万円(4.8%)増加し、160,425百万円となりました。
(資本)
前連結会計年度末に比べ882百万円(0.4%)増加し、228,221百万円となりました。
(2) キャッシュ・フローの状況
当第1四半期連結累計期間末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ18,394百万円増加し、127,163百万円となりました。各キャッシュ・フローの増減状況とそれらの要因は以下のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果、増加した資金は26,577百万円(前年同期比13,033百万円増加)となりました。
主な増加要因は、税引前四半期利益11,130百万円、減価償却費及び償却費5,005百万円、営業債権及びその他の債権の減少による資金の増加17,617百万円、契約負債の増加による資金の増加5,669百万円によるものであります。主な減少要因は、営業債務及びその他の債務の減少による資金の減少1,522百万円、従業員給付の減少による資金の減少5,554百万円、法人所得税の支払による資金の減少3,164百万円によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果、減少した資金は3,789百万円(前年同期比1,796百万円増加)となりました。
主な減少要因は、有形固定資産の取得による資金の減少2,325百万円、無形資産の取得による資金の減少1,027百万円によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果、減少した資金は4,670百万円(前年同期比14,066百万円増加)となりました。
主な増加要因は、社債の発行による資金の増加4,972百万円によるものであります。主な減少要因は、リース負債の返済による支出2,264百万円、2021年3月期期末配当金(1株当たり70.0円)7,283百万円の支払によるものであります。
(資本の財源及び資金の流動性に係る情報)
当社グループは、現在直面する技術パラダイムの変化、顧客ニーズの高度化など時代の大きな変革の中、事業構造の転換を図り、中期的な高収益成長・企業価値向上を図るべく、中期経営計画における基本戦略を推進しております。既存事業のさらなる高度化を推進するうえでのソフトウェアあるいはデータセンターへの投資などを行う一方、IoTやAIなどの技術の活用も含めた、DX事業化の推進に向けた各種の事業開発投資を積極的に検討してまいります。加えて、最先端技術の獲得、顧客基盤の強化など、事業成長の加速に資するM&Aの検討を継続的に行っております。
これら投資活動に係る資金需要につきましては、基本的には営業活動によるキャッシュ・フローを源泉とする自己資金にて対応する考えでおりますが、必要に応じて、後述の強固な財務基盤を背景にした多様な資金調達(金融機関からの借入・シンジケートローン、各種社債の発行等)にて対応する所存です。
なお、当社グループの2021年6月末時点における銀行借入、社債発行等を通じた有利子負債が95,194百万円であるのに対し、現金及び現金同等物は127,163百万円と有利子負債を上回る水準となっており、強固な財務基盤を実現しております。
また、安定的な外部資金調達能力につきましても、当社グループは、本報告書提出時点において、㈱日本格付研究所より長期発行体格付A(安定的)を取得していることに加え、主要な取引金融機関と良好な取引関係を維持しており、当社グループの事業の拡大、運営に必要な運転資金、投資資金の調達に関しては十分な能力を有しているものと認識しております。
引き続き、財務基盤の強化、外部資金調達能力の維持・向上に向けた財務運営を行ってまいります。
手許の運転資金につきましては、当社及び国内連結子会社においてCMS(キャッシュ・マネジメント・システム)を導入することにより、各社における余剰資金を当社へ集中し一元管理を行うことで、十分な流動性を確保するとともに、資金効率の最適化を図っております。
また、株主還元については、財務状況、収益動向、また将来の事業投資に備えての内部留保などを総合的に勘案した上で、成長を続ける当社グループのキャッシュ・フローを、将来の企業成長を支えるサービス提供型ビジネスや戦略的事業などへの事業投資資金として最大限活用しながらも、同時に株主還元の強化を図るべく、想定される業績拡大に応じた配当の増額を図りたいと考えております。
(参考)キャッシュ・フロー関連指標の推移
第52期
第1四半期
連結累計期間
第53期
第1四半期
連結累計期間
第54期
第1四半期
連結累計期間
自己資本比率
(%)
56.559.358.6
時価ベースの自己資本比率(%)168.6160.9177.3
キャッシュ・フロー
対有利子負債比率
(%)
521.2534.3358.2
インタレスト・
カバレッジ・レシオ
(倍)
160.5139.5182.8

自己資本比率 : 自己資本/総資産
時価ベースの自己資本比率 : 株式時価総額/総資産
キャッシュ・フロー対有利子負債比率 : 有利子負債/キャッシュ・フロー
インタレスト・カバレッジ・レシオ : キャッシュ・フロー/利払い
※各指標は、いずれも連結ベースの財務数値により計算しております。
※株式時価総額は、期末株価終値×期末発行済普通株式数(自己株式控除後)により算出しております。
※キャッシュ・フローは、営業キャッシュ・フローを利用しております。
※有利子負債は連結貸借対照表に計上されている負債のうち利子を支払っている全ての負債を対象としております。
(3) 事業上及び財務上の対処すべき課題
当第1四半期連結累計期間において、事業上及び財務上の対処すべき課題に重要な変更及び新たに生じた課題はありません。
(4) 研究開発活動
当第1四半期連結累計期間の研究開発費の総額は139百万円であります。