半期報告書-第57期(2024/04/01-2025/03/31)

【提出】
2024/11/13 16:30
【資料】
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【項目】
35項目
文中の将来に関する事項は、当中間連結会計期間の末日現在において当社グループ(当社及び連結子会社)が判断したものであります。
(1) 業績の状況
当中間連結会計期間におけるわが国経済は、エネルギーや原材料価格の高騰に伴う物価上昇や、金利が変動したことに伴う為替動向の影響がありましたが、国内での経済活動の活発化によって、企業の業績が改善傾向を見せる等、緩やかながらも景気は回復の動きが続きました。
日本経済の先行きにつきましては、雇用や所得環境が改善する中で、継続的な財政・金融政策の効果もあり、緩やかな回復が続くことが期待されます。一方で、欧米における高い金利水準の継続や、中国における不動産市場の停滞の継続に伴う影響など、海外景気の下振れが日本経済を下押しするリスクになっています。また、金融資本市場の変動や中東地域を巡る情勢など、経済に与える影響には十分に注意する必要があります。
このような経済環境の下、ITサービス市場におきましては、顧客企業におけるIT投資の拡大基調が続いております。世界的な物価の上昇や欧米金利の高止まり等の海外景気の下振れの懸念はあるものの、幅広い業種にわたって事業の拡大や競争力強化を目的としたIT投資への意欲は力強いものがあり、社会のデジタル化に対応するための既存システムのクラウド対応需要等、IT投資需要の持続的な拡大が期待されます。
当社グループにおける顧客企業の動向につきましては、製造業企業においては、自動車業を中心とした戦略的投資、また、デジタル化に向けた事業基盤強化や基幹システムの構築等、IT投資需要は増加を続けております。金融業企業においては、不正取引・資金洗浄の検知・防止を目的とした投資需要や金融取引のオンライン対応等が堅調に推移しました。
また、各種クラウド型ITサービスへの需要や、ソフトウェアのエンドオブサービスに対応する基幹システム再構築等の投資需要は継続しており、顧客企業の業務効率と生産性向上への強い意欲等を背景とした動きのなかで、システムの再構築や戦略的IT投資需要は、今後も継続するものと考えております。
当中間連結会計期間の業績につきましては、売上高は、堅調に推移する顧客企業のIT投資需要を背景に、システム開発、保守運用・サービス、システム販売、全ての売上区分で増加し、前期比8.8%増の251,523百万円となりました。
営業利益は、増収による利益増加はありましたが、ProActive事業における事業強化コスト、また、BPOビジネスのコロナ特需からの反動や構造改革コストに加えて、ベースアップ等に伴う人件費や社内システム関連費用の増加、また、その他収益及び費用にて、不動産売却益及びProActive事業におけるソフトウェアの除却損を計上した結果、前期比0.1%増の26,958百万円と、前期並みになりました。
親会社の所有者に帰属する中間利益につきましては、前期に有価証券の評価損を計上した影響により、前期比4.2%増の19,237百万円となりました。
当社グループはさらなる成長に向け、成長戦略として「サステナビリティ経営」を推進します。経営理念とマテリアリティを当社グループの存在意義としたうえで、社会と共に持続的発展を目指し、「2030年 共創ITカンパニー」の実現のため、「顧客や社会に対して、新たな価値を提供し続けるため、事業分野、事業モデルを再構築すること」、「社員の成長が会社の成長ドライバーと認識し、社員一人ひとりの市場価値を常に最大化すること」を、策定した中期経営計画の方針とし、総合的企業価値の飛躍的な向上に向け取り組んでまいります。
セグメント別業績の概要は次のとおりとなっております。なお、売上高については外部顧客への売上高を表示しております。
(産業IT)
自動車業からの投資需要の拡大や検証サービスが増加したこと、デジタルサプライチェーン事業において製造業顧客から案件が増加したことにより流通業向けの案件収束の影響を吸収し、売上高は前期比8.3%増の93,048百万円、営業利益につきましては増収に加えて、前期発生した不採算案件の改善も増益要因となっており、前期比9.2%増の13,133百万円となりました。
(金融IT)
信販・リース業、損保業向け案件減少の影響がありましたが、銀行業におけるAML案件や証券業向け顧客基幹システム案件等の継続案件の貢献により、売上高は前期比3.6%増の31,832百万円、営業利益は前期比12.6%増の3,896百万円となりました。
(ITソリューション)
BPOビジネスでの公共向け案件終了の影響やProActive事業におけるインボイス関連の反動減により売上高は前期比3.3%減の28,439百万円となりました。EC関連が堅調に推移したことで利益貢献しましたが、BPOビジネスの構造改革費用に加えて、ProActive事業における事業強化コストが発生したことやソフトウェア資産の一部除却を行ったことにより営業損失は1,324百万円となりました。
(ITプラットフォーム)
学術研究機関向け大型ハードウェア販売が売上寄与したこと、また、通信業の特定顧客向けネットワーク機器販売や金融業を始めとした複数業種へのセキュリティ製品の販売が堅調に推移したことにより、売上高は前期比18.9%増の48,433百万円、営業利益は前期比19.7%増の6,392百万円となりました。
(ITマネジメント)
金融業向けの顧客を中心にマネジメントサービスの取引が増加したこと、また、クラウドサービスにて流通業顧客向けに低採算のライセンス販売があったことから、売上高は前期比14.3%増の35,845百万円となりました。営業利益につきましては、前期比8.4%増の5,245百万円となりましたが、営業利益率は低下しております。
(その他)
SCSK Minoriソリューションズ㈱において、システム販売が減少しましたが、サービス業・金融業・流通業など幅広い業種でシステム開発案件が積み上がり、前期比10.0%増の14,085百万円となりました。営業利益につきましては、前期比0.3%減の639百万円となりました。
当期の財政状態については次のとおりとなっております。
(資産)
当中間連結会計期間末の資産は、営業債権の回収による営業債権及びその他の債権の減少等はあるものの、現金及び現金同等物、契約資産、使用権資産の増加等により、前連結会計年度末に比べ12,624百万円(2.7%)増加し、484,025百万円となりました。
(負債)
当中間連結会計期間末の負債は、営業債務及びその他の債務の支払等による減少はあるものの、契約負債、リース負債の増加等により、前連結会計年度末に比べ2,830百万円(1.7%)増加し、171,320百万円となりました。
(資本)
前連結会計年度末に比べ9,794百万円(3.2%)増加し、312,705百万円となりました。
(2) キャッシュ・フローの状況
当中間連結会計期間末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ5,906百万円増加し、150,266百万円となりました。各キャッシュ・フローの増減状況とそれらの要因は以下のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果、増加した資金は29,472百万円(前年同期比8,582百万円減少)となりました。
主な増加要因は、税引前中間利益27,597百万円、減価償却費及び償却費11,018百万円、営業債権及びその他の債権の減少による資金の増加14,189百万円によるものであります。主な減少要因は、営業債務及びその他の債務の減少による資金の減少2,577百万円、従業員給付の減少による資金の減少2,062百万円、法人所得税の支払による資金の減少9,520百万円によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果、減少した資金は8,098百万円(前年同期比5,736百万円増加)となりました。
主な増加要因は、有形固定資産の売却による資金の増加1,196百万円、その他の金融資産の売却及び償還による資金の増加30,171百万円によるものであります。主な減少要因は、有形固定資産の取得による資金の減少4,507百万円、無形資産の取得による資金の減少3,223百万円、その他の金融資産の取得による資金の減少30,985百万円によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果、減少した資金は16,259百万円(前年同期比3,326百万円減少)となりました。
主な増加要因は、借入による収入10,597百万円によるものであります。主な減少要因は、借入金の返済による支出11,687百万円、リース負債の返済による支出4,550百万円、2024年3月期期末配当金(1株当たり32.00円)9,997百万円の支払によるものであります。
(資本の財源及び資金の流動性に係る情報)
中期経営計画における基本戦略を着実に推進するため、投資活動として自社知財の開発・拡充に向けた研究および開発投資、経営基盤強化に向けた設備投資、先端技術研究を目的とした国内外ベンチャー企業との業務資本提携、先進技術者やコンサル人材等の育成・採用にかかる人財投資等を実行してまいります。また、成長領域における競争力強化に資する技術・知見・リソースの獲得を目的とした国内外のM&Aに関する検討も継続的に行っております。
これら投資活動に係る資金需要につきましては、基本的には営業活動によるキャッシュ・フローを源泉とする自己資金にて対応する考えでおりますが、必要に応じて、後述の強固な財務基盤を背景にした多様な資金調達(金融機関からの借入・シンジケートローン、各種社債の発行等)にて対応してまいります。
なお、当社グループの当中間連結会計期間末における銀行借入、社債発行等を通じた有利子負債が80,256百万円であるのに対し、資金は150,266百万円と有利子負債を上回る水準となっており、資金の流動性を保つと共に、強固な財務基盤を実現しております。
また、外部資金調達能力につきましても、当社グループは、本報告書提出時点において、㈱日本格付研究所より長期発行体格付A+(安定的)を取得していることに加え、主要な取引金融機関と良好な取引関係を維持しており、当社グループの事業の拡大、運営に必要な運転資金、投資資金の調達に関しては十分な能力を有しているものと認識しております。
引き続き、財務基盤の強化、外部資金調達能力の維持・向上に向けた財務運営を行ってまいります。
株主還元については、財務状況、収益動向、また将来の事業投資に備えての内部留保などを総合的に勘案した上で、成長を続ける当社グループのキャッシュ・フローを、将来の成長領域等への事業投資資金として最大限活用しながらも、同時に業績拡大に応じて配当性向を高めることで株主還元を拡充する方針です。
(参考)キャッシュ・フロー関連指標の推移
第55期
中間連結会計期間
第56期
中間連結会計期間
第57期
中間連結会計期間
自己資本比率
(%)
64.163.664.6
時価ベースの自己資本比率(%)170.3182.8191.2
キャッシュ・フロー
対有利子負債比率
(%)
331.5204.3272.3
インタレスト・
カバレッジ・レシオ
(倍)
113.1120.078.2

自己資本比率 : 自己資本/総資産
時価ベースの自己資本比率 : 株式時価総額/総資産
キャッシュ・フロー対有利子負債比率 : 有利子負債/キャッシュ・フロー
インタレスト・カバレッジ・レシオ : キャッシュ・フロー/利払い
※各指標は、いずれも連結ベースの財務数値により計算しております。
※株式時価総額は、期末株価終値×期末発行済普通株式数(自己株式控除後)により算出しております。
※キャッシュ・フローは、営業キャッシュ・フローを利用しております。
※有利子負債は連結貸借対照表に計上されている負債のうち利子を支払っているすべての負債を対象としております。
(3) 事業上及び財務上の対処すべき課題
当中間連結会計期間において、事業上及び財務上の対処すべき課題に重要な変更及び新たに生じた課題はありません。
(4) 研究開発活動
当中間連結会計期間の研究開発費の総額は626百万円であります。