四半期報告書-第52期第1四半期(平成31年4月1日-令和1年6月30日)

【提出】
2019/08/13 10:23
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【項目】
43項目
文中の将来に関する事項は、当四半期報告書提出日現在において当社グループ(当社及び連結子会社)が判断したものであります。
(1) 業績の状況
当第1四半期連結累計期間におけるわが国経済は、輸出や生産の弱さが続いているものの、雇用や所得環境の改善が続くなか、景気動向としては緩やかな回復基調にあったものと考えられます。設備投資は人手不足を背景とした省力化投資等を中心に増加傾向を示しており、企業収益は高い水準で堅調に推移する状況にありました。
日本経済の先行きにつきましては、設備投資や個人消費の底堅い内需に支えられ、緩やかな回復基調の継続が想定されます。
ただし、米国の保護主義的な通商政策に端を発する貿易摩擦のリスクや米国・中国他の景気後退リスクをはじめとして、英国のEU離脱問題や新興国・資源国における景気下振れ懸念、さらには、金融資本市場の変動リスクや地政学上のリスク等、世界の政治経済情勢における先行きの不透明感が以前にも増して広がる状況にあります。加えて、10月に消費増税が行われる可能性が極めて高くなる中、企業経営においては、今後も引き続き慎重な景気動向判断が求められていると考えております。
このような経済環境の下、ITサービス市場におきましては、働き方改革への取り組みを含む、人手不足に対応するための自動化・省力化投資や生産性向上を目的としたシステム投資需要が堅調であり、今後到来する各種ハードウェア・ソフトウェアにかかるエンドオブサービス対応や、様々な業種において未だ存在するレガシーシステムのオープン化等の各種業務オペレーションシステムの更新投資需要も顕在化してきております。
また、顧客企業における戦略的事業の強化や競争優位性の確保といった、戦略的IT投資に関する需要も引き続き高い状態であり、IT投資需要は全般的に増加基調にあったものと考えられます。
特に、製造業企業においては、IoT関連需要や高機能化・電装化が進む車載システム関連の開発需要や業務システムの更新需要、また、より高度化する製品開発時の製品検証や製品サービスに対するBPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)サービス需要等を背景に、堅調に推移いたしました。
金融業企業においては、ネガティブ金利といった市場環境を背景に多くの金融機関において設備投資を控える傾向にありましたが、先行きにつきましては、FinTech・AI等の新しいIT技術の活用をはじめとし、各種インターネットバンキング・ウェブサービスの高度化や決済手段の多様化、さらには、海外オペレーションの強化・拡充に向けた対応等、今後の事業強化に繋がるIT投資需要については堅調に推移しております。
流通業企業においては、コンシューマービジネスを手掛ける顧客企業を中心に、オムニチャネル化に向けてのEC・CRM領域や、顧客・販売情報分析領域の需要を背景に、基幹システムの再構築・更新案件の増加など、IT投資需要は増加基調にありました。
加えて、顧客企業経営層の業務効率向上に対しての強い意欲、顧客企業のIT人材不足等を背景に、IaaS・PaaS他のITインフラ領域での各種クラウド型ITサービスへの需要や、まだ一部ではありますが、システム運用全般のアウトソーシングを含む業務オペレーションシステムも増加基調にあったものと考えております。
当第1四半期連結累計期間の業績につきまして、売上高は、前年度から増加基調にあった製造業や流通業顧客のIT投資需要を背景に、システム開発、保守運用・サービス、システム販売の全ての区分別売上において増加し、前期比13.5%増の90,967百万円となりました。
営業利益は、増収に伴う増益に加え、全般的には業務品質向上・効率化施策による開発生産性のさらなる改善等により収益性が向上したこともあり、前期比23.7%増の7,833百万円となりました。
経常利益及び親会社株主に帰属する四半期純利益については、営業利益の増加等により、各々前期比23.4%増の8,131百万円及び28.8%増の5,542百万円となりました。
当期は、サービス提供型ビジネスへのシフトをより一層推し進め、新規ビジネスと既存ビジネスの両輪にて事業を展開し、足元の堅調なIT投資需要を確実に取り込むことで、収益成長を実現する所存であります。また、基本戦略を中心とする事業収益力の拡大施策はもとより、さらなる業務品質の追求や生産性の向上他の収益力強化に向けての各種取り組みに注力し、経営基盤・収益基盤のさらなる拡充に努めてまいります。
2020年3月期は、現中期経営計画の最終年度であり、次期中期経営計画を見据えた重要な年度となります。これまでに固めた経営基盤をベースに、サービス提供型ビジネスへのシフトを核とする基本戦略の推進はもとより、新しい事業展開を実行し、次期中期経営計画期間に向けての新機軸事業を一部先取りしてまいります。すなわち、各種事業投資の推進体制を新たに構築し、しかるべき事業投資を行い、新機軸の事業展開をスタートしつつ、従来型のITサービスビジネスにおける顧客企業のIT投資需要の波をしっかりと捉え、着実な収益拡大に取り組んでまいります。
セグメント別業績の概要は次のとおりとなっております。なお、売上高については外部顧客への売上高を表示しております。
(製造・通信システム)
自動車業向け及び電力・ガス事業向けのシステム開発案件が堅調に推移した結果、売上高は前年同期比25.4%増の12,309百万円になりました。セグメント利益は、不採算案件の影響はあるものの、上記増収による効果もあり、前年同期比3.5%増の1,042百万円となりました。
(流通・メディアシステム)
業種別売上では通信業に区分しております一部メディア向けシステム販売案件等が好調であり、売上高は前年同期比11.8%増の15,556百万円、セグメント利益は前年同期比15.7%増の1,699百万円となりました。
(金融システム)
金融業向けの事業強化を目的とした各社各様の投資需要を取り込み、売上高は前年同期比3.1%増の15,380百万円、セグメント利益は前年同期比26.7%増の1,310百万円となりました。
(商社・グローバルシステム)
親会社向けや海外連結子会社の案件増加等により、売上高は前年同期比22.0%増の4,229百万円になりました。セグメント利益は、一時的な先行費用の計上等もあり、前年同期比0.1%増の567百万円となりました。
(ビジネスソリューション)
ERP関連のシステム更新需要が堅調であることや、各種アウトソーシングサービス案件が堅調であることから、売上高は前年同期比10.4%増の12,443百万円、セグメント利益は前年同期比50.6%増の1,279百万円となりました。
(モビリティシステム)
自動車業向け車載組み込みソフトウェア開発需要が堅調に推移し、売上高は前年同期比12.3%増の4,818百万円となりました。一方、車載プラットフォーム事業における事業投資費用が含まれている為、セグメント損失50百万円(前年同期はセグメント損失76百万円)となりました。
(プラットフォームソリューション)
製造業向けシステム販売が増加したこと等により、売上高は前年同期比19.8%増の14,443百万円、セグメント利益は前年同期比46.6%増の1,464百万円となりました。
(ITマネジメント)
各種基盤システム構築サービスやクラウド型ITサービスへの需要が堅調であり、売上高は前年同期比12.7%増の11,531百万円、セグメント利益は前年同期比10.7%増の1,113百万円となりました。
(その他)
売上高は、前年同期比23.2%増の255百万円、セグメント損失は48百万円(前年同期はセグメント損失110百万円)となりました。
当期の財政状態については次のとおりとなっております。
(資産)
前連結会計年度末に比べ4,670百万円(1.5%)減少し、310,174百万円となりました。
(負債)
前連結会計年度末に比べ3,188百万円(2.6%)減少し、117,187百万円となりました。
(純資産)
前連結会計年度末に比べ1,482百万円(0.8%)減少し、192,986百万円となりました。
(2) キャッシュ・フローの状況
当第1四半期連結累計期間末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ7,010百万円増加し、新規連結に伴う現金及び現金同等物の増加額214百万円を加味した結果、113,424百万円となりました。各キャッシュ・フローの増減状況とそれらの要因は以下のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果、増加した資金は14,502百万円(前年同期比2,083万円増加)となりました。
主な増加要因は、税金等調整前四半期純利益8,002百万円、減価償却費2,573百万円、売上債権の減少による資金の増加14,605百万円によるものであります。主な減少要因は、仕入債務の減少による資金の減少5,191百万円、法人税等の支払による資金の減少3,911百万円によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果、減少した資金は1,991百万円(前年同期比1,960百万円増加)となりました。
主な減少要因は、有形固定資産の取得による資金の減少1,291百万円、無形固定資産の取得による資金の減少733百万円によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果、減少した資金は5,478百万円(前年同期比291百万円減少)となりました。
主な減少要因は、2019年3月期期末配当金(1株当たり50.0円)5,202百万円の支払によるものであります。
(資金の財源及び資金の流動性に係る情報)
当社グループは、事業構造の転換を図り、中期的な高収益成長・企業価値向上を図るべく、前述の中期経営計画における基本戦略を推進しておりますが、特に多種のサービス提供型ビジネス及び車載システム事業等の戦略的事業を新たに構築・推進すべく、データセンターへの投資、さらには、IoTやAI、DX関連などを含む各種の事業開発投資を推進しております。加えて、最先端技術の獲得、顧客基盤の強化、あるいは事業成長の加速に資するM&Aの検討を継続的に行っております。
これら投資活動に係る資金需要につきましては、基本的には営業活動によるキャッシュ・フローを源泉とする自己資金にて対応する考えでおりますが、必要に応じて、後述の強固な財務基盤を背景にした多様な資金調達(金融機関からの借入・シンジケートローン、各種社債の発行等)にて対応する所存です。
なお、当社グループの2019年6月末時点における銀行借入、社債発行等を通じた有利子負債が57,817百万円であるのに対し、現金及び現金同等物は113,424百万円と有利子負債を上回る水準となっており、強固な財務基盤を実現しております。
また、安定的な外部資金調達能力につきましても、当社グループは、本報告書提出時点において、㈱日本格付研究所より長期発行体格付A(安定的)を取得していることに加え、主要な取引金融機関と良好な取引関係を維持しており、当社グループの事業の拡大、運営に必要な運転資金、投資資金の調達に関しては十分な能力を有しているものと認識しております。
引き続き、財務基盤の強化、外部資金調達能力の維持・向上に向けた財務運営を行ってまいります。
手許の運転資金につきましては、当社及び国内連結子会社においてCMS(キャッシュ・マネジメント・システム)を導入することにより、各社における余剰資金を当社へ集中し一元管理を行うことで、十分な流動性を確保するとともに、資金効率の最適化を図っております。
また、株主還元については、財務状況、収益動向、また将来の事業投資に備えての内部留保などを総合的に勘案した上で、成長を続ける当社グループのキャッシュ・フローを、将来の企業成長を支えるサービス提供型ビジネスや戦略的事業などへの事業投資資金として最大限活用しながらも、同時に株主還元の強化を図るべく、想定される業績拡大に応じた配当の増額を図りたいと考えております。
(参考)キャッシュ・フロー関連指標の推移
第50期
第1四半期
連結累計期間
第51期
第1四半期
連結累計期間
第52期
第1四半期
連結累計期間
自己資本比率
(%)
45.263.762.1
時価ベースの自己資本比率(%)143.5180.5177.4
キャッシュ・フロー
対有利子負債比率
(%)
462.8385.7398.7
インタレスト・
カバレッジ・レシオ
(倍)
152.3364.9408.5

自己資本比率 : 自己資本/総資産
時価ベースの自己資本比率 : 株式時価総額/総資産
キャッシュ・フロー対有利子負債比率 : 有利子負債/キャッシュ・フロー
インタレスト・カバレッジ・レシオ : キャッシュ・フロー/利払い
※各指標は、いずれも連結ベースの財務数値により計算しております。
※株式時価総額は、期末株価終値×期末発行済普通株式数(自己株式控除後)により算出しております。
※キャッシュ・フローは、営業キャッシュ・フローを利用しております。
※有利子負債は連結貸借対照表に計上されている負債のうち利子を支払っている全ての負債を対象としております。
(3) 事業上及び財務上の対処すべき課題
当第1四半期連結累計期間において、事業上及び財務上の対処すべき課題に重要な変更及び新たに生じた課題はありません。
(4) 研究開発活動
当第1四半期連結累計期間の研究開発費の総額は210百万円であります。