四半期報告書-第54期第3四半期(令和3年10月1日-令和3年12月31日)

【提出】
2022/02/10 9:03
【資料】
PDFをみる
【項目】
39項目
文中の将来に関する事項は、当四半期報告書提出日現在において当社グループ(当社及び連結子会社)が判断したものであります。
(1) 業績の状況
当第3四半期連結累計期間におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染に対するワクチン接種の進展とともに企業の業況判断が改善傾向を見せる等、緩やかながらも景気は持ち直しの動きが続きました。その一方で、オミクロン株の感染が欧米に続き、国内においても拡大の様相を見せ始めており、経済活動には様々な制約が残る状況です。
日本経済の先行きにつきましては、経済・社会活動が正常化に向かうなかで、継続的な財政・金融政策の下支えにより、持ち直しの動きが加速することが期待されますが、オミクロン株による感染者再拡大やサプライチェーンの混乱による供給面への制約、海外での金融緩和政策の見直しに伴う円安及びそれに伴う物価高が経済に与える影響については、引き続き注視する必要があります。
このような経済環境の下、ITサービス市場におきましては、新型コロナウイルスの影響は残るものの、顧客企業におけるIT投資については回復基調が続いています。ニューノーマルを模索するなかで、社会のデジタル化の加速に対応するためのシステムの再構築需要等、事業の拡大、競争力強化に向けたIT投資への意欲は高まっており、世界的なサプライチェーン混乱の長期化、コロナウイルス感染再拡大に伴う事業への影響を見定めながらではあるものの、景気の回復とともに投資は加速していくものと想定されます。
当社グループにおける顧客企業の動向につきましては、製造業企業は、事業基盤強化のための基幹システムや生産管理システムの再構築等、デジタル化に向けたIT投資需要は堅調に推移いたしました。金融業企業は、銀行業を中心に、海外オペレーションの強化・拡充に向けた対応案件の継続も含め、IT投資需要は増加基調を続けております。通信業企業は、オンラインを含む顧客接点強化に向けた投資やネットワーク強化等により、IT投資需要は増加しております。
また、顧客企業のIT人材不足や顧客企業経営層の業務効率と生産性向上への強い意欲等を背景に、各種クラウド型ITサービスへの需要、ソフトウェアのエンドオブサービスに対応する基幹システム再構築等の投資需要は継続しており、加えてコロナ禍におけるニューノーマルに向けた取り組みのなかで、リモートワークを主体とした非対面・非接触を前提としたデジタル化投資は加速しつつあります。
こうした動きのなか、DXを想定したシステムの再構築や顧客接点の高度化等への戦略的IT投資需要は、今後も継続するものと考えております。
当第3四半期連結累計期間の業績につきましては、売上高は、前期の学術研究機関向けの大型ハードウェア販売を含む複数案件の反動減により、システム販売は減少したものの、製造業向けのシステム開発需要や銀行業や証券業を中心とした金融業のIT投資需要、また、通信業向け開発需要の増加を背景に、システム開発、保守運用・サービスは増加し、全体では前期比4.1%増の302,754百万円となりました。
売上総利益は、売上高の伸びや業務品質向上施策による生産性向上等により増益となりました。また、販売費及び一般管理費につきましては、新人事制度の導入に伴う人件費の増加や当社中期経営計画における基本戦略に沿った各種事業投資等により増加しましたが、増収並びに生産性の向上を伴って、営業利益は、前期比2.3%増の34,774百万円となりました。
親会社の所有者に帰属する四半期利益については、営業利益の増加等により、前期比2.0%増の24,257百万円となりました。
当社グループはさらなる成長に向け、成長戦略として「サステナビリティ経営」を推進します。経営理念とマテリアリティを当社グループの存在意義としたうえで、社会と共に持続的発展を目指し、「2030年 共創ITカンパニー」の実現のため、策定した中期経営計画において、3つの基本戦略「事業革新」、「DX事業化」、「人財投資」と、3つの経営基盤強化策「グループ総合力強化」、「人を活かす経営の推進」、「共創の企業文化づくり」に取り組むことにより、グローバルベースでの事業拡大を目指します。
セグメント別業績の概要は次のとおりとなっております。なお、当第3四半期連結会計期間より、報告セグメントの区分方法を変更しているため、前第3四半期連結累計期間との比較・分析は変更後の区分方法に基づいております。詳細は、「第4 経理の状況 1 要約四半期連結財務諸表 要約四半期連結財務諸表注記 5 セグメント情報」の「(2)報告セグメントの変更等に関する事項」をご参照ください。また、売上高については外部顧客への売上高を表示しております。
(産業IT)
ガス業における開発案件の収束がありましたが、通信業においてシステム開発が増加したことにより、売上高は前期比3.0%増の100,309百万円となりました。営業利益については、事業投資関連費用の増加を吸収し、前期比0.5%増の12,190百万円となりました。
(金融IT)
主には、銀行業向け並びに証券業向けのシステム開発の案件拡大により、売上高は前期比8.3%増の41,788百万円、営業利益につきましては、前期比9.4%増の5,098百万円となりました。
(ITソリューション)
基幹システム案件やBPOビジネスが堅調に推移し、売上高は前期比4.4%増の41,838百万円となりました。営業利益につきましては、上半期に発生した一部案件の採算低下の影響や、コンタクトセンタービジネスの拠点拡大に伴う費用が上半期より引き続き発生していることにより、前期比6.0%減の4,151百万円となりました。
(ITプラットフォーム)
通信業向けネットワーク機器の売上拡大を主な要因として、売上高は前期比5.7%増の58,620百万円、営業利益につきましては、前期比6.5%増の8,064百万円となりました。
(ITマネジメント)
データセンタービジネスが増加した事や、銀行業向けマネジメントサービスが堅調に推移したことにより、売上高は前期比3.0%増の43,624百万円、営業利益につきましては、前期比4.0%増の5,756百万円となりました。
(その他)
売上高は、前期比2.2%減の16,413百万円、営業利益につきましては、前期比6.7%減の1,060百万円となりました。
当期の財政状態については次のとおりとなっております。
(資産)
当第3四半期連結会計期間末の資産は、営業債権の回収による営業債権及びその他の債権の減少等はあるものの、現金及び現金同等物、使用権資産及び有形固定資産の取得による増加等により、前連結会計年度末に比べ2,355百万円(0.6%)増加し、382,754百万円となりました。
(負債)
当第3四半期連結会計期間末の負債は、営業債務及びその他の債務の支払、有利子負債の返済による減少等により、前連結会計年度末に比べ7,778百万円(5.1%)減少し、145,282百万円となりました。
(資本)
前連結会計年度末に比べ10,133百万円(4.5%)増加し、237,472百万円となりました。
(2) キャッシュ・フローの状況
当第3四半期連結累計期間末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ5,763百万円増加し、114,532百万円となりました。各キャッシュ・フローの増減状況とそれらの要因は以下のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果、増加した資金は47,765百万円(前年同期比12,333百万円増加)となりました。
主な増加要因は、税引前四半期利益35,156百万円、減価償却費及び償却費14,915百万円、営業債権及びその他の債権の減少による資金の増加13,539百万円によるものであります。主な減少要因は、契約資産の増加による資金の減少1,509百万円、営業債務及びその他の債務の減少による資金の減少580百万円、従業員給付の減少による資金の減少5,332百万円、法人所得税の支払による資金の減少6,670百万円によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果、減少した資金は12,382百万円(前年同期比4,276百万円増加)となりました。
主な減少要因は、有形固定資産の取得による資金の減少9,069百万円、無形資産の取得による資金の減少2,857百万円によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果、減少した資金は30,010百万円(前年同期比161百万円増加)となりました。
主な増加要因は、借入による収入11,500百万円、社債の発行による資金の増加4,972百万円によるものであります。主な減少要因は、社債の償還及び借入金の返済による支出25,100百万円、リース負債の返済による支出6,755百万円、2021年3月期期末配当金(1株当たり70.0円)7,283百万円及び2022年3月期中間配当金(1株当たり70.0円)7,283百万円の支払によるものであります。
(資本の財源及び資金の流動性に係る情報)
当社グループは、現在直面する技術パラダイムの変化、顧客ニーズの高度化など時代の大きな変革の中、事業構造の転換を図り、中期的な高収益成長・企業価値向上を図るべく、中期経営計画における基本戦略を推進しております。既存事業のさらなる高度化を推進するうえでのソフトウェアあるいはデータセンターへの投資などを行う一方、IoTやAIなどの技術の活用も含めた、DX事業化の推進に向けた各種の事業開発投資を積極的に検討してまいります。加えて、最先端技術の獲得、顧客基盤の強化など、事業成長の加速に資するM&Aの検討を継続的に行っております。
これら投資活動に係る資金需要につきましては、基本的には営業活動によるキャッシュ・フローを源泉とする自己資金にて対応する考えでおりますが、必要に応じて、後述の強固な財務基盤を背景にした多様な資金調達(金融機関からの借入・シンジケートローン、各種社債の発行等)にて対応する所存です。
なお、当社グループの2021年12月末時点における銀行借入、社債発行等を通じた有利子負債が79,894百万円であるのに対し、資金は114,532百万円と有利子負債を上回る水準となっており、強固な財務基盤を実現しております。
また、当社グループは、㈱日本格付研究所より付与されている長期発行体格付において、2022年1月18日付にてA(安定的)からA(ポジティブ)へと格付の見通しが変更されたことに加え、主要な取引金融機関と良好な取引関係を維持しており、当社グループの事業の拡大、運営に必要な運転資金、投資資金の調達に関しては十分な能力を有しているものと認識しております。 引き続き、財務基盤の強化、外部資金調達能力の維持・向上に向けた財務運営を行ってまいります。
手許の運転資金につきましては、当社及び国内連結子会社においてCMS(キャッシュ・マネジメント・システム)を導入することにより、各社における余剰資金を当社へ集中し一元管理を行うことで、十分な流動性を確保するとともに、資金効率の最適化を図っております。
また、株主還元については、財務状況、収益動向、また将来の事業投資に備えての内部留保などを総合的に勘案した上で、成長を続ける当社グループのキャッシュ・フローを、将来の企業成長を支えるサービス提供型ビジネスや戦略的事業などへの事業投資資金として最大限活用しながらも、同時に株主還元の強化を図るべく、想定される業績拡大に応じた配当の増額を図りたいと考えております。
(参考)キャッシュ・フロー関連指標の推移
第52期
第3四半期
連結累計期間
第53期
第3四半期
連結累計期間
第54期
第3四半期
連結累計期間
自己資本比率
(%)
57.658.861.9
時価ベースの自己資本比率(%)174.2171.3186.8
キャッシュ・フロー
対有利子負債比率
(%)
205.9241.1167.3
インタレスト・
カバレッジ・レシオ
(倍)
140.5114.4123.2

自己資本比率 : 自己資本/総資産
時価ベースの自己資本比率 : 株式時価総額/総資産
キャッシュ・フロー対有利子負債比率 : 有利子負債/キャッシュ・フロー
インタレスト・カバレッジ・レシオ : キャッシュ・フロー/利払い
※各指標は、いずれも連結ベースの財務数値により計算しております。
※株式時価総額は、期末株価終値×期末発行済普通株式数(自己株式控除後)により算出しております。
※キャッシュ・フローは、営業キャッシュ・フローを利用しております。
※有利子負債は連結財政状態計算書に計上されている負債のうち利子を支払っているすべての負債を対象としております。
(3) 事業上及び財務上の対処すべき課題
当第3四半期連結累計期間において、事業上及び財務上の対処すべき課題に重要な変更及び新たに生じた課題はありません。
(4) 研究開発活動
当第3四半期連結累計期間の研究開発費の総額は491百万円であります。