四半期報告書-第56期第3四半期(令和2年10月1日-令和2年12月31日)
(1) 経営成績の状況
(単位:百万円)
(注)1. 消費税及び地方消費税の会計処理は、税抜き方式によっています。
2. EBITDAマージン=EBITDA(営業利益+減価償却費+のれん償却額+固定資産除却損)÷売上高
当第3四半期累計(自 2020年4月1日 至 2020年12月31日)において、新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴う世界経済の悪化懸念から、先行きが不透明な状況が続いています。情報システム投資については、景気後退に伴う企業の業績悪化により投資需要が鈍化する可能性があるものの、引続き堅調に推移しています。
このような環境の下、当社グループは、コンサルティングからシステム開発・運用まで一貫して提供できる総合力をもって事業活動に取り組みました。
当年度は、長期経営ビジョン「Vision2022」(2015年度~2022年度)の実現に向け策定した「NRIグループ中期経営計画(2019年度~2022年度)」(以下「中期経営計画2022」という。)の2年目となります。より一層の生産性向上と既存事業の拡大に取組むとともに、「中期経営計画2022」の成長戦略である(1)DX戦略、(2)グローバル戦略、(3)人材・リソース戦略の3つを進めていきます。
(1) DX戦略:当社グループは、顧客のビジネスプロセス及びビジネスモデルの変革に対して、戦略策定からソリューションの実装まで、テクノロジーを活用し、総合的に支援しています。
ビジネスプラットフォーム戦略においては、金融分野を中心に共同利用型サービスの拡大をさらに進めるとともに、業界構造の変化に合わせて異業種から金融業へ参入する顧客に向けては、新たなビジネスプラットフォームを提供することで、顧客の新事業創出や新市場進出の支援もしています。
クラウド戦略においては、顧客のレガシーシステムのモダナイゼーション(※1)やクラウドネイティブ(※2)のアプリケーション開発などを通じて、顧客のビジネスのアジリティ(機敏性)を高め、ITコストの最適化を実現していきます。
(2) グローバル戦略:当社グループは、豪州と北米を主たる注力地域とし、M&Aなどによる外部成長を軸としたIPの獲得も含めた事業基盤の拡大を進めます。M&Aにより取得した子会社については、さらなるシナジーの創出に向け、グローバル本社機構を中心に、経営管理制度や業務管理体制の構築など買収後の経営統合プロセスを進めています。
(3) 人材・リソース戦略:当社グループは、顧客のビジネスを成功に導くために、デジタル時代を支える人材の採用と育成を強化しています。また、社員が活躍・チャレンジできる風土の醸成とダイバーシティの推進を行うとともに多様な働き方を推進し、当社グループらしい働き方改革を実現していきます。
当社グループの当第3四半期累計の売上高は、開発・製品販売を中心に前年同期を上回り、404,466百万円(前年同期比3.6%増)となりました。売上原価は、268,267百万円(同4.3%増)、売上総利益は136,198百万円(同2.1%増)、販売費及び一般管理費は73,051百万円(同2.5%増)となりました。新型コロナウイルス感染症の影響により海外子会社の採算性が悪化したものの、良好な受注環境、生産活動を背景に収益性を持ち直し、営業利益は63,146百万円(同1.7%増)、営業利益率は15.6%(同0.3ポイント減)、経常利益は63,037百万円(同0.1%減)となりました。なお、営業利益(のれん償却前)は65,395百万円(同1.4%増)、営業利益率(のれん償却前)は16.2%(同0.3ポイント減)、EBITDAマージンは22.0%(同0.4ポイント減)となりました。
※1 レガシーシステムのモダナイゼーション:老朽化した基幹システムなどのソフトウエアやハードウエアのシステム基盤やアプリケーションを最適化、近代化を行う手法。
※2 クラウドネイティブ:クラウド上での利用を前提として設計された情報システムやサービス。
<セグメント情報>セグメントごとの業績(売上高には内部売上高を含む。)は次のとおりです。
(単位:百万円)
(コンサルティング)
当セグメントは、政策提言や戦略コンサルティング、業務改革をサポートする業務コンサルティング、ITマネジメント全般にわたるシステムコンサルティングを提供しています。
新型コロナウイルス感染症の拡大に伴い顧客の経営環境が急速に変化している中、顧客のDXによる企業変革が加速しており、具体的な成果につながる実行支援型のコンサルティングサービスが期待されています。
当社グループは、顧客のDXを支援するDXコンサルティングを強化し、顧客ニーズへの的確な対応に努めるとともに、グローバル領域においては、欧米等の先進国におけるDX関連の知的資産を探索し、国内外拠点の連携を通じた提案力の強化に努めていきます。加えて、新型コロナウイルス感染症の拡大は、未来社会を大きく変える可能性のある環境変化であることから、当社グループの総力を挙げて、新型コロナウイルス対策緊急提言を行っています。
当第3四半期累計は、グローバル関連のコンサルティング案件が減少し、売上高は、25,974百万円(前年同期比6.0%減)、営業利益は、5,444百万円(同4.3%減)となりました。
(金融ITソリューション)
当セグメントは、主に証券業や保険業、銀行業等の金融業顧客向けに、システムコンサルティング、システム開発及び運用サービス、共同利用型システム等のITソリューションを提供しています。
社会における高齢化の一層の進展、異業種からの金融業への新規参入やデジタルアセットの拡大、低金利の継続及び人口減少による国内市場の縮小など、金融業を取り巻く環境は大きな構造変化を迎えています。
当社グループは、これらの環境変化に対応し、顧客の新規事業や新サービスの創出を支援するため、新たな金融ビジネスプラットフォームの開発、デジタルバンキング事業などのDXビジネスの創出と展開、金融グローバル事業の拡大及び既存事業の高度化・大型化を進め、顧客基盤の拡大に努めていきます。事業拡大を支える生産活動においては、セグメント全体で生産革新による効率化や開発リソース管理の高度化を進めます。ビジネスモデルを変革するDX領域では、高度な技術を有する企業や顧客と合弁会社を設立するなど、協業を通じて、デジタル技術を活用した新たなビジネスを創造する取組みも進めていきます。また、金融インフラとしての情報システムを担う社会的責任から、ITインフラの安定サービス運用に加え、顧客と共創し金融業界の発展に貢献することも目指します。
金融ビジネスプラットフォームの更なる進化を目的として、当第2四半期に、㈱だいこう証券ビジネスを当社の完全子会社としました。
当第3四半期累計の売上高は、証券業向け運用サービスの増加や、日本証券テクノロジー㈱の寄与もあり、216,496百万円(前年同期比5.9%増)となりました。前年同期にあった利益率の高い大型の製品販売の反動や当第1四半期に一部の子会社において不採算案件が発生したものの、足元の受注環境は良好に推移しており、相場活況による共同利用型サービスの利用料が増加し、営業利益は29,022百万円(同7.7%増)となりました。
(産業ITソリューション)
当セグメントは、流通業、製造業、サービス業や公共向けに、システムコンサルティング、システム開発及び運用サービス等のITソリューションを提供しています。
産業分野の顧客におけるDXの取組みは、既存のビジネスモデルの効率化や高度化のみならず、新たなビジネスモデルを創造する領域にも広がっています。また、新型コロナウイルス感染症の拡大により景気減退に伴うITコスト削減のニーズがあるものの、コロナ禍におけるパラダイムシフトを契機とした顧客のDXによる企業変革が加速しており、デジタル技術を活用した新たなビジネスを創造する取組みを進めています。
顧客基盤の拡大に向け、産業分野に多くの顧客を持つコンサルティング部門と連携し、顧客のDX領域でのビジネスモデルの構築からシステム構築まで、コンサルティングとITソリューションが一体となり、総合的に支援していきます。
当第3四半期累計の売上高は、流通業向け運用サービスが減少しましたが、製造・サービス業向け開発・製品販売が増加し、139,838百万円(前年同期比2.9%増)となりました。新型コロナウイルス感染症の影響により海外子会社の採算性が悪化し、営業利益は14,050百万円(同3.1%減)となりました。
(IT基盤サービス)
当セグメントは、主に金融ITソリューションセグメント及び産業ITソリューションセグメントに対し、データセンターの運営管理やIT基盤・ネットワーク構築等のサービスを提供しています。また、様々な業種の顧客に対してIT基盤ソリューションや情報セキュリティサービスを提供しています。このほか、ITソリューションに係る新事業・新商品の開発に向けた実験的な取組みや先端的な情報技術等に関する調査、研究を行っています。
DX時代のシステム開発は、新たな開発手法や、よりスピーディーな開発が求められるとともに、AI(人工知能)やブロックチェーンなどの新しいデジタル技術の活用も必要となります。クラウド領域においては、企業におけるITシステムのクラウド化の進展に伴い、多様化・複雑化するシステム基盤を高い品質で総合的に運用していくことが必要となります。また、新型コロナウイルス感染症の拡大に伴い、顧客のDXによる事業継続のニーズが加速しています。
当社グループは、これらの環境変化に対応し、DX時代のシステム開発手法や生産革新ツールの開発を行うとともに、マルチクラウドサービス(※3)やマネージドサービス(※4)の拡大や、IoT(モノのインターネット)領域でのセキュリティ事業の拡大に取り組んでおり、当第2四半期より、「Oracle Cloud」dedicated regionを世界で初めて採用し、自社データセンター内に専用パブリッククラウドを設置することで、自社統制下で運用するという新しい活用形態の取組みを始めました。
当第3四半期累計の外部顧客に対する売上高は、セキュリティ事業で増加し、内部売上高は、クラウドサービスやネットワークサービスなどが増加しましたが、外部委託費が増加した結果、売上高104,103百万円(前年同期比2.0%増)、営業利益14,245百万円(同0.2%減)となりました。
※3 マルチクラウドサービス:複数のクラウド基盤を組み合わせて、一元的に管理するサービス。
※4 マネージドサービス:顧客のIT部門に代わり、システム全体を最適化して総合的に支援するITサービス。
(2) 財政状態の分析
(単位:百万円)
(注)1. 自己資本:純資産-非支配株主持分-新株予約権
2. グロスD/Eレシオ(グロス・デット・エクイティ・レシオ(負債資本倍率)):有利子負債÷自己資本
3. ネットD/Eレシオ(ネット・デット・エクイティ・レシオ(正味負債資本倍率)):(有利子負債-現預金)÷自己資本
当第3四半期末において、流動資産271,644百万円(前年度末比4.5%増)、固定資産279,754百万円(同2.4%増)、流動負債138,426百万円(同1.4%減)、固定負債101,769百万円(同3.1%減)、純資産310,996百万円(同8.3%増)となり、総資産は551,399百万円(同3.4%増)となりました。また、当第3四半期末におけるグロスD/Eレシオ(グロス・デット・エクイティ・レシオ)は、0.40倍、ネットD/Eレシオ(ネット・デット・エクイティ・レシオ)は、△0.01倍となっています。
前年度末と比べ増減した主な内容は、次のとおりです。
売掛金は38,139百万円減少し52,429百万円、開発等未収収益は24,560百万円増加し64,556百万円となりました。当社グループは年度末に完了するプロジェクトが比較的多いことから、四半期末の数値は前年度末と比べ、売掛金が小さく開発等未収収益が大きくなる傾向にあります。
新型コロナウイルス感染症の影響による事業環境の悪化懸念に備えるため、コマーシャルペーパーを10,000百万円、第7回普通社債を10,000百万円発行しました。この結果、短期社債は10,000百万円増加し10,000百万円、社債は10,632百万円増加し83,942百万円となりました。
非支配株主持分は、㈱だいこう証券ビジネスの株式等を追加取得したことなどにより、12,258百万円減少し2,882百万円となりました。
このほか、現金及び預金が21,900百万円増加の124,441百万円、買掛金が3,090百万円減少の22,522百万円、未払法人税等が9,576百万円減少の11,196百万円となりました。
(3) キャッシュ・フローの状況
(単位:百万円)
当第3四半期末の現金及び現金同等物は、前年度末から22,036百万円増加し122,815百万円となりました。
当第3四半期累計において、営業活動により得られた資金は50,891百万円となり、前年同期と比べ23,965百万円少なくなりました。法人税等の支払額が増加し、売上債権の減少額が少なくなりました。
投資活動による支出は15,158百万円(前年同期は23,344百万円の収入)となりました。前年同期は、保有株式の一部売却や資金運用目的の有価証券の売却による収入がありました。当第3四半期累計の主な投資内容は、共同利用型システムの開発に伴う無形固定資産の取得でした。
財務活動による支出は13,982百万円となり、前年同期と比べ126,633百万円少なくなりました。前年同期は、主に自己株式の公開買付けによる取得159,999百万円を実施しました。当第3四半期累計に、新型コロナウイルス感染症の影響による事業環境の悪化懸念に備えるための短期社債の発行による収入9,978百万円、第7回普通社債の発行による収入9,973百万円がありました。また、㈱だいこう証券ビジネスの株式等を取得したことにより、連結の範囲の変更を伴わない子会社株式の取得による支出11,324百万円がありました。その他の支出の主な内容は、いずれの期も配当金の支払いです。
(4) 研究開発活動
当第3四半期累計における研究開発費は3,089百万円です。なお、当第3四半期累計において、研究開発活動の状況に重要な変更はありません。
(5) 生産、受注及び販売の実績
① 生産実績
当第3四半期連結累計におけるセグメントごとの生産実績は次のとおりです。
(注)1. 金額は製造原価によっています。各セグメントの金額は、セグメント間の内部振替前の数値であり、調整額で内部振替高を消去しています。
2. 外注実績は次のとおりです。なお、外注実績の割合は、生産実績に対する割合を、中国企業への外注実績の割合は、総外注実績に対する割合を記載しています。
② 受注実績
当第3四半期連結累計におけるセグメントごとの受注状況(外部顧客からの受注金額)は次のとおりです。
(注)1. 金額は販売価格によっています。
2. 継続的な役務提供サービスや利用度数等に応じて料金をいただくサービスについては、各年度末時点で翌年度の売上見込額を受注額に計上しています。
③ 販売実績
a. セグメント別販売実績
当第3四半期連結累計におけるセグメントごとの外部顧客への売上高は次のとおりです。
b. 主な相手先別販売実績
前第3四半期連結累計及び当第3四半期連結累計における主な相手先別の売上高及び当該売上高の連結売上高に対する割合は次のとおりです。
(注) 相手先別の売上高には、相手先の子会社に販売したもの及びリース会社等を経由して販売したものを含めています。
c. サービス別販売実績
当第3四半期連結累計におけるサービスごとの外部顧客への売上高は次のとおりです。
(6) 主要な設備
当第3四半期累計において、主要な設備に著しい変動はありません。当年度の設備投資予想については、当第2四半期に変更した35,000百万円から30,000百万円となっています。
なお、当第3四半期累計における設備投資金額は、当年度の設備投資予定金額30,000百万円に対し、20,781百万円となりました。
(注) 投資予定金額には消費税等は含まれていません。
(単位:百万円)
前第3四半期 連結累計期間 (自 2019年 4月 1日 至 2019年12月31日) | 当第3四半期 連結累計期間 (自 2020年 4月 1日 至 2020年12月31日) | 前年同期比 | ||
増減額 | 増減率 | |||
売上高 | 390,545 | 404,466 | 13,921 | 3.6% |
海外売上高 | 35,618 | 32,216 | △3,401 | △9.6% |
海外売上高比率 | 9.1% | 8.0% | △1.2P | - |
営業利益 | 62,106 | 63,146 | 1,040 | 1.7% |
営業利益(のれん償却前) | 64,498 | 65,395 | 897 | 1.4% |
営業利益率 | 15.9% | 15.6% | △0.3P | - |
営業利益率(のれん償却前) | 16.5% | 16.2% | △0.3P | - |
EBITDAマージン | 22.4% | 22.0% | △0.4P | - |
経常利益 | 63,090 | 63,037 | △53 | △0.1% |
親会社株主に帰属する 四半期純利益 | 55,604 | 44,792 | △10,811 | △19.4% |
(注)1. 消費税及び地方消費税の会計処理は、税抜き方式によっています。
2. EBITDAマージン=EBITDA(営業利益+減価償却費+のれん償却額+固定資産除却損)÷売上高
当第3四半期累計(自 2020年4月1日 至 2020年12月31日)において、新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴う世界経済の悪化懸念から、先行きが不透明な状況が続いています。情報システム投資については、景気後退に伴う企業の業績悪化により投資需要が鈍化する可能性があるものの、引続き堅調に推移しています。
このような環境の下、当社グループは、コンサルティングからシステム開発・運用まで一貫して提供できる総合力をもって事業活動に取り組みました。
当年度は、長期経営ビジョン「Vision2022」(2015年度~2022年度)の実現に向け策定した「NRIグループ中期経営計画(2019年度~2022年度)」(以下「中期経営計画2022」という。)の2年目となります。より一層の生産性向上と既存事業の拡大に取組むとともに、「中期経営計画2022」の成長戦略である(1)DX戦略、(2)グローバル戦略、(3)人材・リソース戦略の3つを進めていきます。
(1) DX戦略:当社グループは、顧客のビジネスプロセス及びビジネスモデルの変革に対して、戦略策定からソリューションの実装まで、テクノロジーを活用し、総合的に支援しています。
ビジネスプラットフォーム戦略においては、金融分野を中心に共同利用型サービスの拡大をさらに進めるとともに、業界構造の変化に合わせて異業種から金融業へ参入する顧客に向けては、新たなビジネスプラットフォームを提供することで、顧客の新事業創出や新市場進出の支援もしています。
クラウド戦略においては、顧客のレガシーシステムのモダナイゼーション(※1)やクラウドネイティブ(※2)のアプリケーション開発などを通じて、顧客のビジネスのアジリティ(機敏性)を高め、ITコストの最適化を実現していきます。
(2) グローバル戦略:当社グループは、豪州と北米を主たる注力地域とし、M&Aなどによる外部成長を軸としたIPの獲得も含めた事業基盤の拡大を進めます。M&Aにより取得した子会社については、さらなるシナジーの創出に向け、グローバル本社機構を中心に、経営管理制度や業務管理体制の構築など買収後の経営統合プロセスを進めています。
(3) 人材・リソース戦略:当社グループは、顧客のビジネスを成功に導くために、デジタル時代を支える人材の採用と育成を強化しています。また、社員が活躍・チャレンジできる風土の醸成とダイバーシティの推進を行うとともに多様な働き方を推進し、当社グループらしい働き方改革を実現していきます。
当社グループの当第3四半期累計の売上高は、開発・製品販売を中心に前年同期を上回り、404,466百万円(前年同期比3.6%増)となりました。売上原価は、268,267百万円(同4.3%増)、売上総利益は136,198百万円(同2.1%増)、販売費及び一般管理費は73,051百万円(同2.5%増)となりました。新型コロナウイルス感染症の影響により海外子会社の採算性が悪化したものの、良好な受注環境、生産活動を背景に収益性を持ち直し、営業利益は63,146百万円(同1.7%増)、営業利益率は15.6%(同0.3ポイント減)、経常利益は63,037百万円(同0.1%減)となりました。なお、営業利益(のれん償却前)は65,395百万円(同1.4%増)、営業利益率(のれん償却前)は16.2%(同0.3ポイント減)、EBITDAマージンは22.0%(同0.4ポイント減)となりました。
※1 レガシーシステムのモダナイゼーション:老朽化した基幹システムなどのソフトウエアやハードウエアのシステム基盤やアプリケーションを最適化、近代化を行う手法。
※2 クラウドネイティブ:クラウド上での利用を前提として設計された情報システムやサービス。
<セグメント情報>セグメントごとの業績(売上高には内部売上高を含む。)は次のとおりです。
(単位:百万円)
前第3四半期 連結累計期間 (自 2019年 4月 1日 至 2019年12月31日) | 当第3四半期 連結累計期間 (自 2020年 4月 1日 至 2020年12月31日) | 前年同期比 | |||
増減額 | 増減率 | ||||
コンサルティング | 売上高 | 27,626 | 25,974 | △1,652 | △6.0% |
営業利益 | 5,691 | 5,444 | △247 | △4.3% | |
営業利益率 | 20.6% | 21.0% | 0.4P | - | |
金融ITソリューション | 売上高 | 204,528 | 216,496 | 11,967 | 5.9% |
営業利益 | 26,935 | 29,022 | 2,087 | 7.7% | |
営業利益率 | 13.2% | 13.4% | 0.2P | - | |
産業ITソリューション | 売上高 | 135,932 | 139,838 | 3,905 | 2.9% |
営業利益 | 14,503 | 14,050 | △453 | △3.1% | |
営業利益率 | 10.7% | 10.0% | △0.6P | - | |
IT基盤サービス | 売上高 | 102,096 | 104,103 | 2,006 | 2.0% |
営業利益 | 14,275 | 14,245 | △29 | △0.2% | |
営業利益率 | 14.0% | 13.7% | △0.3P | - | |
調整額 | 売上高 | △79,639 | △81,945 | △2,306 | - |
営業利益 | 699 | 383 | △316 | - | |
計 | 売上高 | 390,545 | 404,466 | 13,921 | 3.6% |
営業利益 | 62,106 | 63,146 | 1,040 | 1.7% | |
営業利益率 | 15.9% | 15.6% | △0.3P | - |
(コンサルティング)
当セグメントは、政策提言や戦略コンサルティング、業務改革をサポートする業務コンサルティング、ITマネジメント全般にわたるシステムコンサルティングを提供しています。
新型コロナウイルス感染症の拡大に伴い顧客の経営環境が急速に変化している中、顧客のDXによる企業変革が加速しており、具体的な成果につながる実行支援型のコンサルティングサービスが期待されています。
当社グループは、顧客のDXを支援するDXコンサルティングを強化し、顧客ニーズへの的確な対応に努めるとともに、グローバル領域においては、欧米等の先進国におけるDX関連の知的資産を探索し、国内外拠点の連携を通じた提案力の強化に努めていきます。加えて、新型コロナウイルス感染症の拡大は、未来社会を大きく変える可能性のある環境変化であることから、当社グループの総力を挙げて、新型コロナウイルス対策緊急提言を行っています。
当第3四半期累計は、グローバル関連のコンサルティング案件が減少し、売上高は、25,974百万円(前年同期比6.0%減)、営業利益は、5,444百万円(同4.3%減)となりました。
(金融ITソリューション)
当セグメントは、主に証券業や保険業、銀行業等の金融業顧客向けに、システムコンサルティング、システム開発及び運用サービス、共同利用型システム等のITソリューションを提供しています。
社会における高齢化の一層の進展、異業種からの金融業への新規参入やデジタルアセットの拡大、低金利の継続及び人口減少による国内市場の縮小など、金融業を取り巻く環境は大きな構造変化を迎えています。
当社グループは、これらの環境変化に対応し、顧客の新規事業や新サービスの創出を支援するため、新たな金融ビジネスプラットフォームの開発、デジタルバンキング事業などのDXビジネスの創出と展開、金融グローバル事業の拡大及び既存事業の高度化・大型化を進め、顧客基盤の拡大に努めていきます。事業拡大を支える生産活動においては、セグメント全体で生産革新による効率化や開発リソース管理の高度化を進めます。ビジネスモデルを変革するDX領域では、高度な技術を有する企業や顧客と合弁会社を設立するなど、協業を通じて、デジタル技術を活用した新たなビジネスを創造する取組みも進めていきます。また、金融インフラとしての情報システムを担う社会的責任から、ITインフラの安定サービス運用に加え、顧客と共創し金融業界の発展に貢献することも目指します。
金融ビジネスプラットフォームの更なる進化を目的として、当第2四半期に、㈱だいこう証券ビジネスを当社の完全子会社としました。
当第3四半期累計の売上高は、証券業向け運用サービスの増加や、日本証券テクノロジー㈱の寄与もあり、216,496百万円(前年同期比5.9%増)となりました。前年同期にあった利益率の高い大型の製品販売の反動や当第1四半期に一部の子会社において不採算案件が発生したものの、足元の受注環境は良好に推移しており、相場活況による共同利用型サービスの利用料が増加し、営業利益は29,022百万円(同7.7%増)となりました。
(産業ITソリューション)
当セグメントは、流通業、製造業、サービス業や公共向けに、システムコンサルティング、システム開発及び運用サービス等のITソリューションを提供しています。
産業分野の顧客におけるDXの取組みは、既存のビジネスモデルの効率化や高度化のみならず、新たなビジネスモデルを創造する領域にも広がっています。また、新型コロナウイルス感染症の拡大により景気減退に伴うITコスト削減のニーズがあるものの、コロナ禍におけるパラダイムシフトを契機とした顧客のDXによる企業変革が加速しており、デジタル技術を活用した新たなビジネスを創造する取組みを進めています。
顧客基盤の拡大に向け、産業分野に多くの顧客を持つコンサルティング部門と連携し、顧客のDX領域でのビジネスモデルの構築からシステム構築まで、コンサルティングとITソリューションが一体となり、総合的に支援していきます。
当第3四半期累計の売上高は、流通業向け運用サービスが減少しましたが、製造・サービス業向け開発・製品販売が増加し、139,838百万円(前年同期比2.9%増)となりました。新型コロナウイルス感染症の影響により海外子会社の採算性が悪化し、営業利益は14,050百万円(同3.1%減)となりました。
(IT基盤サービス)
当セグメントは、主に金融ITソリューションセグメント及び産業ITソリューションセグメントに対し、データセンターの運営管理やIT基盤・ネットワーク構築等のサービスを提供しています。また、様々な業種の顧客に対してIT基盤ソリューションや情報セキュリティサービスを提供しています。このほか、ITソリューションに係る新事業・新商品の開発に向けた実験的な取組みや先端的な情報技術等に関する調査、研究を行っています。
DX時代のシステム開発は、新たな開発手法や、よりスピーディーな開発が求められるとともに、AI(人工知能)やブロックチェーンなどの新しいデジタル技術の活用も必要となります。クラウド領域においては、企業におけるITシステムのクラウド化の進展に伴い、多様化・複雑化するシステム基盤を高い品質で総合的に運用していくことが必要となります。また、新型コロナウイルス感染症の拡大に伴い、顧客のDXによる事業継続のニーズが加速しています。
当社グループは、これらの環境変化に対応し、DX時代のシステム開発手法や生産革新ツールの開発を行うとともに、マルチクラウドサービス(※3)やマネージドサービス(※4)の拡大や、IoT(モノのインターネット)領域でのセキュリティ事業の拡大に取り組んでおり、当第2四半期より、「Oracle Cloud」dedicated regionを世界で初めて採用し、自社データセンター内に専用パブリッククラウドを設置することで、自社統制下で運用するという新しい活用形態の取組みを始めました。
当第3四半期累計の外部顧客に対する売上高は、セキュリティ事業で増加し、内部売上高は、クラウドサービスやネットワークサービスなどが増加しましたが、外部委託費が増加した結果、売上高104,103百万円(前年同期比2.0%増)、営業利益14,245百万円(同0.2%減)となりました。
※3 マルチクラウドサービス:複数のクラウド基盤を組み合わせて、一元的に管理するサービス。
※4 マネージドサービス:顧客のIT部門に代わり、システム全体を最適化して総合的に支援するITサービス。
(2) 財政状態の分析
(単位:百万円)
前連結会計年度 (2020年3月31日) | 当第3四半期連結会計期間 (2020年12月31日) | 前年度末比 | ||
増減額 | 増減率 | |||
流動資産 | 259,855 | 271,644 | 11,788 | 4.5% |
固定資産 | 273,295 | 279,754 | 6,458 | 2.4% |
総資産 | 533,151 | 551,399 | 18,247 | 3.4% |
流動負債 | 140,456 | 138,426 | △2,030 | △1.4% |
固定負債 | 105,076 | 101,769 | △3,306 | △3.1% |
純資産 | 287,153 | 310,996 | 23,843 | 8.3% |
自己資本 | 271,332 | 307,603 | 36,271 | 13.4% |
自己資本比率 | 50.9% | 55.8% | 4.9P | - |
有利子負債 | 107,410 | 122,194 | 14,784 | 13.8% |
グロスD/Eレシオ(倍) | 0.40 | 0.40 | 0.00 | - |
ネットD/Eレシオ(倍) | 0.02 | △0.01 | △0.03 | - |
(注)1. 自己資本:純資産-非支配株主持分-新株予約権
2. グロスD/Eレシオ(グロス・デット・エクイティ・レシオ(負債資本倍率)):有利子負債÷自己資本
3. ネットD/Eレシオ(ネット・デット・エクイティ・レシオ(正味負債資本倍率)):(有利子負債-現預金)÷自己資本
当第3四半期末において、流動資産271,644百万円(前年度末比4.5%増)、固定資産279,754百万円(同2.4%増)、流動負債138,426百万円(同1.4%減)、固定負債101,769百万円(同3.1%減)、純資産310,996百万円(同8.3%増)となり、総資産は551,399百万円(同3.4%増)となりました。また、当第3四半期末におけるグロスD/Eレシオ(グロス・デット・エクイティ・レシオ)は、0.40倍、ネットD/Eレシオ(ネット・デット・エクイティ・レシオ)は、△0.01倍となっています。
前年度末と比べ増減した主な内容は、次のとおりです。
売掛金は38,139百万円減少し52,429百万円、開発等未収収益は24,560百万円増加し64,556百万円となりました。当社グループは年度末に完了するプロジェクトが比較的多いことから、四半期末の数値は前年度末と比べ、売掛金が小さく開発等未収収益が大きくなる傾向にあります。
新型コロナウイルス感染症の影響による事業環境の悪化懸念に備えるため、コマーシャルペーパーを10,000百万円、第7回普通社債を10,000百万円発行しました。この結果、短期社債は10,000百万円増加し10,000百万円、社債は10,632百万円増加し83,942百万円となりました。
非支配株主持分は、㈱だいこう証券ビジネスの株式等を追加取得したことなどにより、12,258百万円減少し2,882百万円となりました。
このほか、現金及び預金が21,900百万円増加の124,441百万円、買掛金が3,090百万円減少の22,522百万円、未払法人税等が9,576百万円減少の11,196百万円となりました。
(3) キャッシュ・フローの状況
(単位:百万円)
前第3四半期 連結累計期間 (自 2019年 4月 1日 至 2019年12月31日) | 当第3四半期 連結累計期間 (自 2020年 4月 1日 至 2020年12月31日) | 前年同期比 | ||
増減額 | 増減率 | |||
営業活動によるキャッシュ・フロー | 74,856 | 50,891 | △23,965 | △32.0% |
投資活動によるキャッシュ・フロー | 23,344 | △15,158 | △38,502 | - |
フリー・キャッシュ・フロー | 98,200 | 35,732 | △62,468 | △63.6% |
財務活動によるキャッシュ・フロー | △140,616 | △13,982 | 126,633 | △90.1% |
現金及び現金同等物の増減額(△は減少) | △43,363 | 22,036 | 65,399 | - |
現金及び現金同等物の四半期末残高 | 79,837 | 122,815 | 42,978 | 53.8% |
当第3四半期末の現金及び現金同等物は、前年度末から22,036百万円増加し122,815百万円となりました。
当第3四半期累計において、営業活動により得られた資金は50,891百万円となり、前年同期と比べ23,965百万円少なくなりました。法人税等の支払額が増加し、売上債権の減少額が少なくなりました。
投資活動による支出は15,158百万円(前年同期は23,344百万円の収入)となりました。前年同期は、保有株式の一部売却や資金運用目的の有価証券の売却による収入がありました。当第3四半期累計の主な投資内容は、共同利用型システムの開発に伴う無形固定資産の取得でした。
財務活動による支出は13,982百万円となり、前年同期と比べ126,633百万円少なくなりました。前年同期は、主に自己株式の公開買付けによる取得159,999百万円を実施しました。当第3四半期累計に、新型コロナウイルス感染症の影響による事業環境の悪化懸念に備えるための短期社債の発行による収入9,978百万円、第7回普通社債の発行による収入9,973百万円がありました。また、㈱だいこう証券ビジネスの株式等を取得したことにより、連結の範囲の変更を伴わない子会社株式の取得による支出11,324百万円がありました。その他の支出の主な内容は、いずれの期も配当金の支払いです。
(4) 研究開発活動
当第3四半期累計における研究開発費は3,089百万円です。なお、当第3四半期累計において、研究開発活動の状況に重要な変更はありません。
(5) 生産、受注及び販売の実績
① 生産実績
当第3四半期連結累計におけるセグメントごとの生産実績は次のとおりです。
セグメントの名称 | 金額 (百万円) | 前年同期比 (%) |
コンサルティング | 13,519 | △7.5 |
金融ITソリューション | 157,488 | 5.9 |
産業ITソリューション | 103,345 | 5.1 |
IT基盤サービス | 69,184 | 1.9 |
小 計 | 343,538 | 4.2 |
調整額 | △81,538 | - |
計 | 262,000 | 4.3 |
(注)1. 金額は製造原価によっています。各セグメントの金額は、セグメント間の内部振替前の数値であり、調整額で内部振替高を消去しています。
2. 外注実績は次のとおりです。なお、外注実績の割合は、生産実績に対する割合を、中国企業への外注実績の割合は、総外注実績に対する割合を記載しています。
前第3四半期連結累計期間 | 当第3四半期連結累計期間 | 前年同期比 (%) | |||
金額 (百万円) | 割合 (%) | 金額 (百万円) | 割合 (%) | ||
外注実績 | 119,192 | 47.4 | 127,640 | 48.7 | 7.1 |
うち、中国企業への外注実績 | 21,073 | 17.7 | 23,623 | 18.5 | 12.1 |
② 受注実績
当第3四半期連結累計におけるセグメントごとの受注状況(外部顧客からの受注金額)は次のとおりです。
セグメントの名称 | 受注高 | 受注残高 | ||
金額 (百万円) | 前年同期比 (%) | 金額 (百万円) | 前年同期比 (%) | |
コンサルティング | 29,764 | △3.6 | 8,733 | 18.6 |
金融ITソリューション | 118,716 | 7.3 | 70,490 | 12.0 |
産業ITソリューション | 78,404 | 14.9 | 40,008 | 14.2 |
IT基盤サービス | 19,681 | 1.7 | 8,648 | 26.9 |
計 | 246,567 | 7.6 | 127,880 | 14.0 |
(注)1. 金額は販売価格によっています。
2. 継続的な役務提供サービスや利用度数等に応じて料金をいただくサービスについては、各年度末時点で翌年度の売上見込額を受注額に計上しています。
③ 販売実績
a. セグメント別販売実績
当第3四半期連結累計におけるセグメントごとの外部顧客への売上高は次のとおりです。
セグメントの名称 | 金額 (百万円) | 前年同期比 (%) |
コンサルティング | 25,371 | △6.3 |
金融ITソリューション | 213,675 | 5.5 |
産業ITソリューション | 137,345 | 2.7 |
IT基盤サービス | 28,074 | 3.4 |
計 | 404,466 | 3.6 |
b. 主な相手先別販売実績
前第3四半期連結累計及び当第3四半期連結累計における主な相手先別の売上高及び当該売上高の連結売上高に対する割合は次のとおりです。
相手先 | 前第3四半期連結累計期間 | 当第3四半期連結累計期間 | 前年同期比 (%) | ||
金額 (百万円) | 割合 (%) | 金額 (百万円) | 割合 (%) | ||
野村ホールディングス㈱ | 47,761 | 12.2 | 48,481 | 12.0 | 1.5 |
(注) 相手先別の売上高には、相手先の子会社に販売したもの及びリース会社等を経由して販売したものを含めています。
c. サービス別販売実績
当第3四半期連結累計におけるサービスごとの外部顧客への売上高は次のとおりです。
サービスの名称 | 金額 (百万円) | 前年同期比 (%) |
コンサルティングサービス | 64,827 | △8.6 |
開発・製品販売 | 135,517 | 13.1 |
運用サービス | 192,169 | 2.9 |
商品販売 | 11,951 | △8.4 |
計 | 404,466 | 3.6 |
(6) 主要な設備
当第3四半期累計において、主要な設備に著しい変動はありません。当年度の設備投資予想については、当第2四半期に変更した35,000百万円から30,000百万円となっています。
なお、当第3四半期累計における設備投資金額は、当年度の設備投資予定金額30,000百万円に対し、20,781百万円となりました。
セグメントの名称 | 投資予定金額 (百万円) | 設備等の主な内容・目的 |
コンサルティング | 100 | ・オフィス設備 |
金融ITソリューション | 13,700 | ・金融業等顧客へサービスを提供するための自社利用ソフトウエア及び販売目的ソフトウエアの開発 ・金融業等顧客向けのシステム開発用機器、データセンターに設置するサービス提供用機器 |
産業ソリューション | 7,000 | ・流通業、製造・サービス業等顧客へサービスを提供するための自社利用ソフトウエア及び販売目的ソフトウエアの開発 ・流通業、製造・サービス業等顧客向けのシステム開発用機器、データセンターに設置するサービス提供用機器 |
IT基盤サービス | 8,300 | ・データセンター関連設備の取得 ・IT基盤サービスを提供するための自社利用ソフトウエアの開発 |
全社(共通) | 900 | ・オフィス設備 |
計 | 30,000 |
(注) 投資予定金額には消費税等は含まれていません。