有価証券報告書-第54期(平成30年4月1日-平成31年3月31日)
文中の将来に関する記載は、当年度末現在において当社が判断したものであり、当社としてその実現を約束するものではありません。
(1) 連結経営成績等の状況の概要
① 連結経営成績の状況
(単位:百万円)
(注)1. 消費税及び地方消費税の会計処理は、税抜き方式によっています。
2. EBITDAマージン=EBITDA(営業利益+減価償却費+のれん償却額+固定資産除却損)÷売上高
当年度の日本経済は、米国を起点とする貿易摩擦や英国の欧州連合(EU)離脱問題による世界経済の減速が懸念されたものの、企業収益や企業の景況感の改善とともに国内景気は緩やかな回復が続きました。情報システム投資は、引続き堅調に推移しました。
このような環境の下、当社グループ(当社及び連結子会社をいう。以下同じ。)は、コンサルティングからシステム開発・運用まで一貫して提供できる総合力をもって事業活動に取り組みました。当年度は、長期経営ビジョン「Vision2022」の実現に向け策定した中期経営計画(2016年度~2018年度)の最終年度となり、生産性向上と品質向上に対する施策の強化、顧客との取引の大型化による収益基盤の拡大、デジタルやグローバル領域における事業基盤の形成や実績の蓄積を進めた結果、中期経営計画の財務数値目標を達成しました。
デジタル領域では、企業や社会におけるITの活用が大きな変革を迎えています。クラウド、AI(人工知能)、IoT(モノのインターネット)などの新しいデジタル技術を活用することでビジネスモデルや製品サービスを刷新し、競争上の優位性を確立するDX(デジタルトランスフォーメーション)の取組みがグローバルで進展しています。顧客のDXに対する取組みは、既存のビジネスモデルの効率化や高度化のみならず、新たなビジネスモデルを創造する領域にも広がっています。当社グループはコンサルティングとITソリューションを生かして、顧客のDXに対する取組みを支援していきます。
グローバル事業は、当年度の海外売上高が53,081百万円(前年度比21.9%増)となり、連結売上高の10.6%の規模に拡大しています。日系企業のグローバル展開のサポートや現地政府・企業向け事業の開拓に加え、先端技術やビジネスモデル等の知的財産、優れたネットワークを持つ企業との協業やM&Aを進めており、特に豪州を中心に、グローバルでの事業領域が拡大しています。M&Aにより取得した子会社については、さらなるシナジーの創出に向け、経営管理制度や業務管理体制の構築など買収後の経営統合プロセスを進めています。2018年9月には、グローバルでの信用力の確保とプレゼンスの向上を目的に、S&Pグローバル・レーティング・ジャパン㈱より「A」の格付を新たに取得しました。
また、DXを始めとした新たな事業の拡大を進めるための人材育成の基盤として、横浜総合センターに新たな研修施設を開設し、当第1四半期より利用を開始しています。
なお、当社は、資本効率の向上、経営環境の変化に対応した機動的な資本政策として、29,999百万円(5,544,900株)の自己株式取得を行いました。
当社グループの当年度の売上高は、コンサルティングサービスや開発・製品販売を中心に全てのサービスで増加し501,243百万円(前年度比6.3%増)となりました。売上原価は336,508百万円(同7.9%増)、売上総利益は164,735百万円(同3.2%増)となりました。販売費及び一般管理費は、子会社増加に伴う影響があるものの、前年度のオフィス移転関連費用がなくなり、93,293百万円(同1.3%減)となりました。この結果、営業利益は71,442百万円(同9.7%増)、営業利益率は14.3%(同0.4ポイント増)、経常利益は72,409百万円(同9.4%増)となりました。なお、営業利益(のれん償却前)は75,373百万円(同8.8%増)、営業利益率(のれん償却前)は15.0%(同0.3ポイント増)、EBITDAマージンは21.7%(同0.2ポイント減)となりました。特別損益については、保有株式の売却に伴い投資有価証券売却益9,079百万円を計上(前年度は22,078百万円を計上)した一方、一部米国子会社の収益性が低下したことから、のれんの減損損失3,698百万円を特別損失として計上しました。この結果、親会社株主に帰属する当期純利益は50,931百万円(同7.6%減)となりました。
② 連結キャッシュ・フローの状況
(単位:百万円)
当年度末の現金及び現金同等物は、前年度末から35,102百万円減少し123,200百万円となりました。
当年度において、営業活動により得られた資金は、法人税等の支払額が増加したことなどにより、前年度と比べ17,143百万円少ない56,349百万円となりました。
投資活動による支出は16,826百万円となり、前年度と比べ1,056百万円少なくなりました。共同利用型システムの開発に伴う無形固定資産の取得、資金運用目的での有価証券の取得などの投資を行った一方で、有価証券の売却及び償還による収入がありました。
財務活動による支出は73,106百万円となり、前年度と比べ26,276百万円多くなりました。取締役会決議に基づく自己株式の取得を前年度に49,999百万円、当年度に29,999百万円実施したことに加え、第2回社債償還による支出15,000百万円、シンジケートローン20,000百万円の返済がありました。また、信託型従業員持株インセンティブ・プランに基づき設定されたNRIグループ社員持株会専用信託が、当社株式を取得するための原資としてシンジケートローンにより17,500百万円の借り入れを実行しました。
(2) 生産、受注及び販売の実績
当連結会計年度にセグメントの区分を一部変更しており、以下、前年度比較については、当該変更後の区分による前年度の数値を用いています。
① 生産実績
当連結会計年度におけるセグメントごとの生産実績は次のとおりです。
(注)1. 金額は製造原価によっています。各セグメントの金額は、セグメント間の内部振替前の数値であり、調整額で内部振替高を消去しています。
2. 外注実績は次のとおりです。なお、外注実績の割合は、生産実績に対する割合を、中国企業への外注実績の割合は、総外注実績に対する割合を記載しています。
② 受注実績
当連結会計年度におけるセグメントごとの受注実績(外部顧客からの受注金額)は次のとおりです。
(注)1. 金額は販売価格によっています。
2. 継続的な役務提供サービスや利用度数等に応じて料金をいただくサービスについては、各年度末時点で翌年度の売上見込額を受注額に計上しています。
③ 販売実績
a. セグメント別販売実績
当連結会計年度におけるセグメントごとの外部顧客への売上高は次のとおりです。
b. 主な相手先別販売実績
前連結会計年度及び当連結会計年度における主な相手先別の売上高及び当該売上高の連結売上高に対する割合は次のとおりです。
(注) 相手先別の売上高には、相手先の子会社に販売したもの及びリース会社等を経由して販売したものを含めています。
c. サービス別販売実績
当連結会計年度におけるサービスごとの外部顧客への売上高は次のとおりです。
(3) 経営者の視点による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に関する分析・検討内容
① 重要な会計方針及び見積り
当社の連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に基づき作成されています。その作成には、資産、負債、収益及び費用の額に影響を与える仮定や見積りを必要とします。これらの仮定や見積りは、過去の実績や現在の状況等を勘案し合理的に判断していますが、見積り特有の不確実性があるため、実際の結果はこれらの見積りと異なる可能性があります。
当社の連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」等に記載していますが、特に以下の重要な会計方針及び見積りが連結財務諸表に大きな影響を与えると考えています。
a. 工事進行基準の適用について
当社グループは、受注制作のソフトウエア及びコンサルティングプロジェクトの売上高及び売上原価の認識方法について、原則として工事進行基準を適用しています。具体的には、売上原価を発生基準で計上し、原価進捗率(プロジェクトごとの見積総原価に対する実際発生原価の割合)に応じて売上高を計上しています。期末時点で未完成のプロジェクトに係る売上高に対応する債権を、連結貸借対照表上「開発等未収収益」として計上しています。
工事進行基準の採用に当たっては、売上高を認識する基となるプロジェクトごとの総原価及び進捗率が合理的に見積り可能であることが前提となります。当社グループでは、プロジェクト管理体制を整備し、受注時の見積りと受注後の進捗管理を適切に行うとともに、見積総原価に一定割合以上の変動があったときはその修正を速やかに行っており、売上高計上額には相応の精度を確保していると判断しています。
b. ソフトウエアの会計処理について
パッケージ製品の開発、共同利用型サービス及びアウトソーシングサービスで使用する情報システムの開発において、発生した外注費や労務費等を費用処理せず、当社グループの投資としてソフトウエア及びソフトウエア仮勘定に資産計上することがあります。その場合、完成した情報システムを顧客に販売又はサービスを提供することによって、中長期的に開発投資を回収しています。
その資金の回収形態に対応して、パッケージ製品等の販売目的ソフトウエアは、残存有効期間(原則3年)に基づく均等配分額を下限として、見込販売数量若しくは見込販売収益に基づき償却しています。また、共同利用型システム等で使用するサービス提供目的の自社利用ソフトウエアについては、利用可能期間(最長5年)に基づく定額法により償却しています。これらの償却に加えて、事業環境が急変した場合等には、回収可能額を適切に見積もり、損失を計上することがあります。
c. 退職給付会計について
退職給付債務及び年金資産は、割引率、年金資産の長期期待運用収益率等の将来に関する一定の見積数値に基づいて算定されています。退職給付債務の計算に用いる割引率は、安全性の高い債券の利回りを基礎として決定しています。また、年金資産の長期期待運用収益率は、将来の収益に対する予測や過去の運用実績を考慮して決定しています。
見積数値と実績数値との差異や、見積数値の変更は、将来の退職給付債務及び退職給付費用に重要な影響を及ぼす可能性があります。
退職給付の詳細については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(退職給付関係)」をご覧ください。
d. 繰延税金資産について
当社グループは、将来の課税所得を合理的に見積もり、回収可能性を判断した上で繰延税金資産を計上しています。将来の課税所得は過去の業績等に基づいて見積もっているため、税制改正や経営環境の変化等により課税所得の見積りが大きく変動した場合等には、繰延税金資産の計上額が変動する可能性があります。
繰延税金資産の詳細については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(税効果会計関係)」をご覧ください。
e. 従業員等に信託を通じて自社の株式を交付する取引について
当社は、従業員(連結子会社の従業員を含む。以下この項において同じ。)に対する中長期的な当社企業価値向上へのインセンティブ付与及び福利厚生の拡充等により当社の持続的成長を促すことを目的として、信託型従業員持株インセンティブ・プランを導入しています。
同プランは、NRIグループ社員持株会に加入する全ての従業員を対象に、当社株式の株価上昇メリットを還元するインセンティブ・プランであり、同プランを実施するため当社はNRIグループ社員持株会専用信託(以下この項において「持株会信託」という。)を設定しています。持株会信託は、信託の設定後4年間にわたりNRIグループ社員持株会が取得すると見込まれる規模の当社株式を、あらかじめ一括して取得し、NRIグループ社員持株会の株式取得に際して当該株式を売却していきます。株価が上昇し信託終了時に持株会信託内に利益がある場合には、従業員に金銭が分配されます。なお、当社は持株会信託が当社株式を取得するために行った借入れについて保証しており、信託終了時に借入債務が残っている場合には保証契約に基づき当社が弁済することになります。
会計処理については、期末における持株会信託の資産及び負債を当社の連結貸借対照表に計上し、持株会信託が保有する当社株式については、持株会信託の帳簿価額で純資産の部の自己株式に計上します。持株会信託における利益は、将来精算されることになる仮勘定として負債に計上します。持株会信託が損失となる場合は、将来精算されることになる仮勘定として資産に計上した上で、信託終了時に借入債務が残ることが見込まれるときは引当金を計上します。
② 当年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
a. 経営成績
「(1) 連結経営成績等の状況の概要 ① 連結経営成績の状況」に記載のとおり、当年度の当社グループの売上高は501,243百万円(前年度比6.3%増)、営業利益は71,442百万円(同9.7%増)となり、営業利益率は14.3%
(同0.4ポイント増)となりました。
営業外収益は、前年度に売却した投資有価証券の受取配当金がなくなったことなどにより、1,743百万円
(同13.0%減)となりました。また、営業外費用は、自己株式取得費用や社債発行費が減少したことなどにより、
776百万円(同20.9%減)となりました。この結果、営業外損益は967百万円(同5.5%減)となり、経常利益は
72,409百万円(同9.4%増)となりました。
特別損益は、保有株式の売却に伴い投資有価証券売却益9,079百万円を計上(前年度は22,078百万円を計上)した一方、一部米国子会社の収益性が低下したことから、のれんの減損損失3,698百万円を特別損失として計上しました。この結果、特別損益は4,340百万円(前年度比73.5%減)となりました。
税効果会計適用後の法人税等は、25,213百万円(同4.3%減)となりました。
以上の結果、親会社株主に帰属する当期純利益は50,931百万円(同7.6%減)となりました。
法人税等の詳細については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(税効果会計関係)」をご覧ください。
b. 財政状態
当連結会計年度より、「『税効果会計に係る会計基準』の一部改正」(企業会計基準第28号)等を適用しており、また、当連結会計年度において、企業結合に係る暫定的な会計処理の確定を行っており、以下、前年度末比較については、当該遡及適用後の前年度末の数値を用いています。
(単位:百万円)
(注)1. 自己資本:純資産-非支配株主持分-新株予約権
2. D/Eレシオ(デット・エクイティ・レシオ(負債資本倍率)):有利子負債÷自己資本
当年度末における当社グループの財政状態は、流動資産285,788百万円(前年度末比4.2%減)、固定資産
326,404百万円(同5.3%減)、流動負債124,264百万円(同23.4%減)、固定負債62,419百万円(同30.8%増)、純資産425,032百万円(同1.8%減)となり、総資産は612,192百万円(同4.8%減)となりました。また、当年度末におけるD/Eレシオ(デット・エクイティ・レシオ)は、0.15倍となっています。
前年度末と比べ増減した主な内容は、次のとおりです。
当年度は3月に完了した案件が多かったことから、売掛金は12,283百万円増加し88,101百万円、開発等未収収益は7,760百万円増加し44,010百万円となりました。
投資有価証券は、余資の運用目的による有価証券の購入がありましたが、保有株式の一部売却や価格下落、運用目的による有価証券の償還により8,795百万円減少し80,203百万円となりました。これにより、その他有価証券評価差額金は5,293百万円減少し、27,152百万円となりました。
のれんは、償却に加え、減損損失を計上したことにより9,051百万円減少し27,572百万円となりました。
1年内償還予定の社債は、第2回社債が償還されたことにより15,000百万円減少しました。
借入金については、当第4四半期に、シンジケートローン20,000百万円を返済した一方、NRIグループ社員持株会専用信託が信託型従業員持株インセンティブ・プランのために17,500百万円の借り入れを実行しました。これにより、1年内返済予定の長期借入金は19,027百万円減少し4,679百万円、長期借入金は12,805百万円増加し13,213百万円となりました。
自己株式は、取締役会決議に基づく自己株式の取得による増加29,999百万円などにより、前年度末から
30,979百万円増加し72,197百万円となりました。
このほか、現金及び預金が34,768百万円減少の124,773百万円、退職給付に係る資産が4,349百万円増加の60,050百万円、買掛金が4,816百万円増加の27,698百万円、未払法人税等が14,797百万円減少の6,435百万円となりました。
c. キャッシュ・フローの状況
「(1) 連結経営成績等の状況の概要 ② 連結キャッシュ・フローの状況」をご覧ください。
d. 経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
当社グループの経営成績等に特に影響を与える大きな要因としては、情報技術動向、市場動向、品質及び事業継続に対する取組みなどがあります。
情報技術動向については、クラウド、AI(人工知能)、IoT(モノのインターネット)などの新しいデジタル技術が次々に登場し、従来の技術、手法では対応できないテーマが増えています。当社グループは、情報技術に関する先端技術や基盤技術、生産・開発技術の調査・研究に、社内横断的な体制で取り組むことで、技術革新への迅速な対応に努めています。
市場動向については、他業種からの新規参入や海外企業の台頭、パッケージ製品やクラウドサービスの普及などが進んでおり、情報サービス産業は厳しい競争の環境下にあります。あわせて、新しい技術が次々と登場する中で、企業のITに対する期待が変化してきています。コーポレートITは、品質を重視しながらも可能な限りコスト削減を目指し、パッケージ製品やクラウドサービス、ユーティリティ・サービスを利用することが一般化し、ビジネスITは、新たなデジタル技術を活用しながら事業を変革するDX(デジタルトランスフォーメーション)の取組みが拡大しています。顧客のDXに対する取組みを実現するためには、顧客のビジネスを深く理解していなければ実現することが出来ません。当社グループは、さまざまな業界や業務プロセスに精通したコンサルタントと、実用性までを考慮して最新のITを駆使できるシステムエンジニアという2つの人的資本があり、顧客のDXの取組みの拡大において、大きな競争優位性があると考えています。
品質及び事業継続に対する取組みについては、複数のデータセンターを保有し、社会インフラとしての情報システムを担う責任に加え、不測の不採算案件が発生した場合の業績への影響もあることから、当社グループの事業活動の根幹として特に重視しています。品質監理を専門とする組織を中心に、受注前の見積り審査や受注後のプロジェクト管理を適切に行う体制を整えていることに加え、一定規模以上のプロジェクトは、システム開発会議など専用の審査体制を整え、プロジェクト計画から安定稼動まで進捗状況に応じたレビューの徹底を図り、不測の不採算案件の発生防止に取り組んでいます。災害やシステム障害などの事業継続に対しては、大規模災害、大規模障害などの発生に備えて、初動体制と行動指針をまとめたコンティンジェンシープラン(緊急時対応計画)を策定し、事前対策や訓練を重ね、より円滑な事業継続に向けた体制の構築や事業計画に必要なインフラの整備など、危機管理体制の整備・強化に取り組んでいます。
e. 当社グループの資本の財源及び資金の流動性
当社グループは社会インフラとしての情報システムを担う社会的責任から、不測の事態が発生した場合でもサービス提供を継続するため、比較的厚めの自己資金を保持する方針としています。
当社グループの事業活動における運転資金需要の主なものは、コンサルティングやシステム開発を担う従業員の労務費及び協力会社に対する外注費のほか、事業活動を支える不動産費や販売費及び一般管理費などがあります。投資資金需要としては、共同利用型サービスやアウトソーシングサービスを提供するためのデータセンターの建設やサービス提供用機器、自社利用ソフトウエアの開発費用に加え、事業拡大のためのM&A資金などがあります。
当社グループはこれらの資金需要に対して、事業の継続的な拡大を背景に、安定的にキャッシュ・フローを創出しており、事業運営上必要な資金は、自己資金でまかなうことを基本としています。毎期のソフトウエア投資など事業運営で必要な設備投資資金については、減価償却費の範囲内で行うことを基本としていますが、M&Aをはじめとした中長期的な投資資金については、資本と負債のバランスなどの財務健全性や資金調達手段の多様化を考慮し、一定以上、社債や借入れによる負債を活用した資金調達を行う方針としています。マーケットとの対話を意識し、D/Eレシオ(デット・エクイティ・レシオ)は0.1倍前後を基本とし、0.3倍を上限としています。当年度末における有利子負債の残高は60,883百万円(前年度末比25.5%減)、現金及び現金同等物の残高は
123,200百万円(同22.2%減)、D/Eレシオは0.15倍となっています。
また、当社グループは、事業内容及び財務状況について第三者から客観的な評価を得ることで、経営の透明性と対外的な信用力を高めるとともに、事業機会に即した資金調達手段の多様化、資金調達の安定性向上に努めており、高い信用格付の維持を目指しています。本有価証券報告書提出日現在において、㈱格付投資情報センターより「AA-」の格付を、S&Pグローバル・レーティング・ジャパン㈱より「A」の格付を取得しています。
f. 経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループは、事業の継続的な拡大を通じて企業価値を向上させていくことを経営の目標としています。経営指標としては、事業の収益力を表す営業利益及び営業キャッシュ・フローを重視し、これらの拡大を目指しています。また、資本効率の観点からROEを重視し、EPSの成長を通じた持続的な株主価値の向上に努めています。
当年度におけるこれらの指標は、営業利益は71,442百万円(前年度比9.7%増)、EBITDAマージンは21.7%(同0.2ポイント減)、ROEは12.3%(同0.7ポイント減)、EPSは216円33銭(同11円88銭減)となりました。
当社グループは、2022年度を最終年度とする8ヵ年の長期経営ビジョン「Vision2022」(2015年度~2022年度)を策定しています。「Vision2022」は、当社の既存の強みである業界標準ビジネスプラットフォームなどの強化、グローバル化の飛躍的拡大、ビジネスIT領域での新たな価値創造など、成長戦略の5つの柱と数値目標で構成されています。
また、「Vision2022」の実現に向けた中期経営計画(2016年度~2018年度)(以下、「中期経営計画2018」という。)を策定しており、中期経営計画2018の目標達成に向けて、生産性向上と既存事業の拡大に取り組むとともに、グローバルやデジタル分野等の新領域において、事業基盤の形成や実績の蓄積を進めました。当年度は中期経営計画2018の最終年度となり、中期経営計画2018における数値目標(連結)に対する進捗状況は次のとおりです。
中期経営計画2018(2016年度~2018年度)
(単位:百万円)
(注) 海外売上高の実績の一部は、連結売上高の10%未満であるため記載を省略しています。
また、2019年4月には、「Vision2022」の実現に向け、新たに後半4か年の「NRIグループ中期経営計画
(2019年度~2022年度)(以下、「中期経営計画2022」という。)を策定しました。中期経営計画2022における財務数値目標(連結)は次のとおりです。
中期経営計画2022(2019年度~2022年度)
(単位:百万円)
g. セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
当年度のセグメントごとの財政状態及び経営成績(売上高には内部売上高を含む。)は次のとおりです。
なお、当年度にセグメントの区分を一部変更しており、以下、前年度比較については、当該変更後の区分による前年度の数値を用いています。
(単位:百万円)
(コンサルティング)
当セグメントは、政策提言や戦略コンサルティング、業務改革をサポートする業務コンサルティング、ITマネジメント全般にわたるシステムコンサルティングを提供しています。
顧客の経営環境やIT部門の環境が変化する中、経営・ITの両面でコンサルティングの需要が高まっています。当社グループは、顧客のビジネス全般を支援する変革パートナーとなる体制を整えていくとともに、海外も含めた顧客基盤の拡大に努めました。
当年度は、豪州事業の寄与のほか、顧客のDXを支援するコンサルティングや顧客の大型開発プロジェクトを支援するシステムコンサルティングが増加し、売上高は41,947百万円(前年度比18.7%増)となりました。良好な受注環境を背景に高い収益性が継続し、営業利益は7,810百万円(同19.0%増)となりました。
セグメント資産は、売上高の増加に加え、3月に完了した案件が多かったことから、売掛金及び開発等未収収益が増加したものの、有形固定資産等の減少などにより513百万円減少し21,306百万円(前年度末比2.4%減)となりました。
(金融ITソリューション)
当セグメントは、主に証券業や保険業、銀行業等の金融業顧客向けに、システムコンサルティング、システム開発及び運用サービスの提供、共同利用型システム等のITソリューションの提供を行っています。
事業領域の拡大に向け、開発リソース管理の高度化により生産性を高め、業界標準ビジネスプラットフォームの新サービスの開発や新たな顧客の獲得を進めるとともに、金融業顧客のDXの取組みを支援しています。
当年度の売上高は、証券業向け運用サービス及び開発・製品販売が減少しましたが、保険業及びその他金融業向け開発・製品販売や保険業向けコンサルティングサービスが増加し、255,162百万円(前年度比0.2%増)となりました。複数のソフトウエアについて評価減を行ったことにより、営業利益は27,095百万円(同2.1%減)となりました。
セグメント資産は、売上高の増加に加え、3月に完了した案件が多かったことから、売掛金及び開発等未収収益が増加し、また子会社による金融事業においても信用取引資産が増加したことにより7,773百万円増加し、151,412百万円(前年度末比5.0%増)となりました。
(産業ITソリューション)
当セグメントは、流通業、製造業、サービス業や公共向けに、システムコンサルティング、システム開発及び運用サービス等のITソリューションの提供を行っています。
産業分野の顧客におけるDXの取組みは、既存のビジネスモデルの効率化や高度化のみならず、新たなビジネスモデルを創造する領域にも広がっています。顧客基盤の拡大に向け、産業分野に多くの顧客を持つコンサルティング部門と連携して、顧客のDXの取組みを支援していきます。
当年度は、豪州事業の寄与もあり、製造・サービス業、流通業ともに、運用サービス及び開発・製品販売が増加し、売上高は177,114百万円(前年度比12.4%増)となりました。前年度から続く良好な受注環境を背景に収益性が向上し、営業利益は18,425百万円(同21.9%増)となりました。
セグメント資産は、売上高が増加した影響により売掛金及び開発等未収収益が増加しましたが、のれんの金額等が減少したことにより5,571百万円減少し、115,340百万円(前年度末比4.6%減)となりました。
(IT基盤サービス)
当セグメントは、主に金融ITソリューションセグメント及び産業ITソリューションセグメントに対し、データセンターの運営管理やIT基盤・ネットワーク構築等のサービスを提供しています。また、様々な業種の顧客に対してIT基盤ソリューションや情報セキュリティサービスを提供しています。このほか、ITソリューションに係る新事業・新商品の開発に向けた実験的な取組みや先端的な情報技術等に関する調査、研究を行っています。
顧客基盤の拡大に向け、顧客に対し、IT基盤の刷新だけでなく、業務改善や収益改善につながるIT基盤ソリューションを提案する取組みを進めています。また、デジタルマーケティングを始めとするDXの新事業の開発や、AIを活用した顧客業務の効率化と高度化を支援するサービスの開発、マルチクラウド(※1)によるIT基盤サービスの開発に取り組んでいます。
当第3四半期には、㈱デンソーと共同出資により、安心・安全なモビリティ社会の実現を目的に、サイバーセキュリティ事業を行う㈱NDIASを設立し、子会社としました。
当年度の外部顧客に対する売上高は、セキュリティ事業やデジタルワークプレイス事業(※2)で増加し、内部売上高は、クラウドやネットワークサービスなどが増加しました。
この結果、売上高127,777百万円(前年度比4.4%増)、営業利益17,130百万円(同16.0%増)となりました。
セグメント資産は、主にデータセンター関連設備やクラウドサービスに係る自社利用ソフトウエアの取得が前年度に比べ減少し、設備投資金額に対して減価償却費が大きく上回ったことにより6,002百万円減少し、
72,178百万円(前年度末比7.7%減)となりました。
※1 マルチクラウド:複数のクラウドを組み合わせて横断的に利用するクラウドサービス。
※2 デジタルワークプレイス事業:企業文化、IT、オフィス空間など物理的環境という3つの要素を組み合わせて、従業員の経験価値の向上を高めるソリューション。
(1) 連結経営成績等の状況の概要
① 連結経営成績の状況
(単位:百万円)
前連結会計年度 (自 2017年4月 1日 至 2018年3月31日) | 当連結会計年度 (自 2018年4月 1日 至 2019年3月31日) | 前年度比 | ||
増減額 | 増減率(%) | |||
売上高 | 471,488 | 501,243 | 29,755 | 6.3 |
海外売上高 | 43,559 | 53,081 | 9,521 | 21.9 |
海外売上高比率 | 9.2% | 10.6% | 1.4P | - |
営業利益 | 65,138 | 71,442 | 6,303 | 9.7 |
営業利益(のれん償却前) | 69,281 | 75,373 | 6,091 | 8.8 |
営業利益率 | 13.8% | 14.3% | 0.4P | - |
営業利益率(のれん償却前) | 14.7% | 15.0% | 0.3P | - |
EBITDAマージン | 21.9% | 21.7% | △0.2P | - |
経常利益 | 66,161 | 72,409 | 6,247 | 9.4 |
親会社株主に帰属する 当期純利益 | 55,145 | 50,931 | △4,213 | △7.6 |
ROE(自己資本利益率) | 12.9% | 12.3% | △0.7P | - |
(注)1. 消費税及び地方消費税の会計処理は、税抜き方式によっています。
2. EBITDAマージン=EBITDA(営業利益+減価償却費+のれん償却額+固定資産除却損)÷売上高
当年度の日本経済は、米国を起点とする貿易摩擦や英国の欧州連合(EU)離脱問題による世界経済の減速が懸念されたものの、企業収益や企業の景況感の改善とともに国内景気は緩やかな回復が続きました。情報システム投資は、引続き堅調に推移しました。
このような環境の下、当社グループ(当社及び連結子会社をいう。以下同じ。)は、コンサルティングからシステム開発・運用まで一貫して提供できる総合力をもって事業活動に取り組みました。当年度は、長期経営ビジョン「Vision2022」の実現に向け策定した中期経営計画(2016年度~2018年度)の最終年度となり、生産性向上と品質向上に対する施策の強化、顧客との取引の大型化による収益基盤の拡大、デジタルやグローバル領域における事業基盤の形成や実績の蓄積を進めた結果、中期経営計画の財務数値目標を達成しました。
デジタル領域では、企業や社会におけるITの活用が大きな変革を迎えています。クラウド、AI(人工知能)、IoT(モノのインターネット)などの新しいデジタル技術を活用することでビジネスモデルや製品サービスを刷新し、競争上の優位性を確立するDX(デジタルトランスフォーメーション)の取組みがグローバルで進展しています。顧客のDXに対する取組みは、既存のビジネスモデルの効率化や高度化のみならず、新たなビジネスモデルを創造する領域にも広がっています。当社グループはコンサルティングとITソリューションを生かして、顧客のDXに対する取組みを支援していきます。
グローバル事業は、当年度の海外売上高が53,081百万円(前年度比21.9%増)となり、連結売上高の10.6%の規模に拡大しています。日系企業のグローバル展開のサポートや現地政府・企業向け事業の開拓に加え、先端技術やビジネスモデル等の知的財産、優れたネットワークを持つ企業との協業やM&Aを進めており、特に豪州を中心に、グローバルでの事業領域が拡大しています。M&Aにより取得した子会社については、さらなるシナジーの創出に向け、経営管理制度や業務管理体制の構築など買収後の経営統合プロセスを進めています。2018年9月には、グローバルでの信用力の確保とプレゼンスの向上を目的に、S&Pグローバル・レーティング・ジャパン㈱より「A」の格付を新たに取得しました。
また、DXを始めとした新たな事業の拡大を進めるための人材育成の基盤として、横浜総合センターに新たな研修施設を開設し、当第1四半期より利用を開始しています。
なお、当社は、資本効率の向上、経営環境の変化に対応した機動的な資本政策として、29,999百万円(5,544,900株)の自己株式取得を行いました。
当社グループの当年度の売上高は、コンサルティングサービスや開発・製品販売を中心に全てのサービスで増加し501,243百万円(前年度比6.3%増)となりました。売上原価は336,508百万円(同7.9%増)、売上総利益は164,735百万円(同3.2%増)となりました。販売費及び一般管理費は、子会社増加に伴う影響があるものの、前年度のオフィス移転関連費用がなくなり、93,293百万円(同1.3%減)となりました。この結果、営業利益は71,442百万円(同9.7%増)、営業利益率は14.3%(同0.4ポイント増)、経常利益は72,409百万円(同9.4%増)となりました。なお、営業利益(のれん償却前)は75,373百万円(同8.8%増)、営業利益率(のれん償却前)は15.0%(同0.3ポイント増)、EBITDAマージンは21.7%(同0.2ポイント減)となりました。特別損益については、保有株式の売却に伴い投資有価証券売却益9,079百万円を計上(前年度は22,078百万円を計上)した一方、一部米国子会社の収益性が低下したことから、のれんの減損損失3,698百万円を特別損失として計上しました。この結果、親会社株主に帰属する当期純利益は50,931百万円(同7.6%減)となりました。
② 連結キャッシュ・フローの状況
(単位:百万円)
前連結会計年度 (自 2017年4月 1日 至 2018年3月31日) | 当連結会計年度 (自 2018年4月 1日 至 2019年3月31日) | 前年度比 | ||
増減額 | 増減率(%) | |||
営業活動によるキャッシュ・フロー | 73,493 | 56,349 | △17,143 | △23.3 |
投資活動によるキャッシュ・フロー | △17,882 | △16,826 | 1,056 | △5.9 |
フリー・キャッシュ・フロー | 55,610 | 39,523 | △16,087 | △28.9 |
財務活動によるキャッシュ・フロー | △46,829 | △73,106 | △26,276 | 56.1 |
現金及び現金同等物の増減額(△は減少) | 6,251 | △35,102 | △41,354 | - |
現金及び現金同等物の期末残高 | 158,303 | 123,200 | △35,102 | △22.2 |
当年度末の現金及び現金同等物は、前年度末から35,102百万円減少し123,200百万円となりました。
当年度において、営業活動により得られた資金は、法人税等の支払額が増加したことなどにより、前年度と比べ17,143百万円少ない56,349百万円となりました。
投資活動による支出は16,826百万円となり、前年度と比べ1,056百万円少なくなりました。共同利用型システムの開発に伴う無形固定資産の取得、資金運用目的での有価証券の取得などの投資を行った一方で、有価証券の売却及び償還による収入がありました。
財務活動による支出は73,106百万円となり、前年度と比べ26,276百万円多くなりました。取締役会決議に基づく自己株式の取得を前年度に49,999百万円、当年度に29,999百万円実施したことに加え、第2回社債償還による支出15,000百万円、シンジケートローン20,000百万円の返済がありました。また、信託型従業員持株インセンティブ・プランに基づき設定されたNRIグループ社員持株会専用信託が、当社株式を取得するための原資としてシンジケートローンにより17,500百万円の借り入れを実行しました。
(2) 生産、受注及び販売の実績
当連結会計年度にセグメントの区分を一部変更しており、以下、前年度比較については、当該変更後の区分による前年度の数値を用いています。
① 生産実績
当連結会計年度におけるセグメントごとの生産実績は次のとおりです。
セグメントの名称 | 金額 (百万円) | 前年度比 (%) |
コンサルティング | 23,455 | 19.1 |
金融ITソリューション | 191,789 | 2.2 |
産業ITソリューション | 127,213 | 15.0 |
IT基盤サービス | 85,484 | 0.8 |
小 計 | 427,943 | 6.3 |
調整額 | △100,618 | - |
計 | 327,324 | 7.7 |
(注)1. 金額は製造原価によっています。各セグメントの金額は、セグメント間の内部振替前の数値であり、調整額で内部振替高を消去しています。
2. 外注実績は次のとおりです。なお、外注実績の割合は、生産実績に対する割合を、中国企業への外注実績の割合は、総外注実績に対する割合を記載しています。
前連結会計年度 | 当連結会計年度 | 前年度比 (%) | |||
金額 (百万円) | 割合 (%) | 金額 (百万円) | 割合 (%) | ||
外注実績 | 135,522 | 44.6 | 150,635 | 46.0 | 11.2 |
うち、中国企業への外注実績 | 19,532 | 14.4 | 23,213 | 15.4 | 18.8 |
② 受注実績
当連結会計年度におけるセグメントごとの受注実績(外部顧客からの受注金額)は次のとおりです。
セグメントの名称 | 受注高 | 受注残高 | ||
金額 (百万円) | 前年度比 (%) | 金額 (百万円) | 前年度比 (%) | |
コンサルティング | 40,747 | 12.3 | 6,207 | △8.2 |
金融ITソリューション | 265,724 | 8.5 | 154,930 | 9.4 |
産業ITソリューション | 178,221 | 2.3 | 97,924 | 4.0 |
IT基盤サービス | 33,467 | 11.0 | 14,609 | 2.2 |
計 | 518,161 | 6.7 | 273,672 | 6.6 |
(注)1. 金額は販売価格によっています。
2. 継続的な役務提供サービスや利用度数等に応じて料金をいただくサービスについては、各年度末時点で翌年度の売上見込額を受注額に計上しています。
③ 販売実績
a. セグメント別販売実績
当連結会計年度におけるセグメントごとの外部顧客への売上高は次のとおりです。
セグメントの名称 | 金額 (百万円) | 前年度比 (%) |
コンサルティング | 41,304 | 19.5 |
金融ITソリューション | 252,367 | 0.1 |
産業ITソリューション | 174,417 | 12.6 |
IT基盤サービス | 33,153 | 11.0 |
計 | 501,243 | 6.3 |
b. 主な相手先別販売実績
前連結会計年度及び当連結会計年度における主な相手先別の売上高及び当該売上高の連結売上高に対する割合は次のとおりです。
前連結会計年度 | 当連結会計年度 | 前年度比 (%) | |||
金額 (百万円) | 割合 (%) | 金額 (百万円) | 割合 (%) | ||
野村ホールディングス㈱ | 77,937 | 16.5 | 60,579 | 12.1 | △22.3 |
㈱セブン&アイ・ホールディングス | 47,001 | 10.0 | 49,109 | 9.8 | 4.5 |
(注) 相手先別の売上高には、相手先の子会社に販売したもの及びリース会社等を経由して販売したものを含めています。
c. サービス別販売実績
当連結会計年度におけるサービスごとの外部顧客への売上高は次のとおりです。
サービスの名称 | 金額 (百万円) | 前年度比 (%) |
コンサルティングサービス | 90,816 | 15.0 |
開発・製品販売 | 150,467 | 8.9 |
運用サービス | 244,273 | 1.3 |
商品販売 | 15,686 | 18.9 |
計 | 501,243 | 6.3 |
(3) 経営者の視点による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に関する分析・検討内容
① 重要な会計方針及び見積り
当社の連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に基づき作成されています。その作成には、資産、負債、収益及び費用の額に影響を与える仮定や見積りを必要とします。これらの仮定や見積りは、過去の実績や現在の状況等を勘案し合理的に判断していますが、見積り特有の不確実性があるため、実際の結果はこれらの見積りと異なる可能性があります。
当社の連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」等に記載していますが、特に以下の重要な会計方針及び見積りが連結財務諸表に大きな影響を与えると考えています。
a. 工事進行基準の適用について
当社グループは、受注制作のソフトウエア及びコンサルティングプロジェクトの売上高及び売上原価の認識方法について、原則として工事進行基準を適用しています。具体的には、売上原価を発生基準で計上し、原価進捗率(プロジェクトごとの見積総原価に対する実際発生原価の割合)に応じて売上高を計上しています。期末時点で未完成のプロジェクトに係る売上高に対応する債権を、連結貸借対照表上「開発等未収収益」として計上しています。
工事進行基準の採用に当たっては、売上高を認識する基となるプロジェクトごとの総原価及び進捗率が合理的に見積り可能であることが前提となります。当社グループでは、プロジェクト管理体制を整備し、受注時の見積りと受注後の進捗管理を適切に行うとともに、見積総原価に一定割合以上の変動があったときはその修正を速やかに行っており、売上高計上額には相応の精度を確保していると判断しています。
b. ソフトウエアの会計処理について
パッケージ製品の開発、共同利用型サービス及びアウトソーシングサービスで使用する情報システムの開発において、発生した外注費や労務費等を費用処理せず、当社グループの投資としてソフトウエア及びソフトウエア仮勘定に資産計上することがあります。その場合、完成した情報システムを顧客に販売又はサービスを提供することによって、中長期的に開発投資を回収しています。
その資金の回収形態に対応して、パッケージ製品等の販売目的ソフトウエアは、残存有効期間(原則3年)に基づく均等配分額を下限として、見込販売数量若しくは見込販売収益に基づき償却しています。また、共同利用型システム等で使用するサービス提供目的の自社利用ソフトウエアについては、利用可能期間(最長5年)に基づく定額法により償却しています。これらの償却に加えて、事業環境が急変した場合等には、回収可能額を適切に見積もり、損失を計上することがあります。
c. 退職給付会計について
退職給付債務及び年金資産は、割引率、年金資産の長期期待運用収益率等の将来に関する一定の見積数値に基づいて算定されています。退職給付債務の計算に用いる割引率は、安全性の高い債券の利回りを基礎として決定しています。また、年金資産の長期期待運用収益率は、将来の収益に対する予測や過去の運用実績を考慮して決定しています。
見積数値と実績数値との差異や、見積数値の変更は、将来の退職給付債務及び退職給付費用に重要な影響を及ぼす可能性があります。
退職給付の詳細については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(退職給付関係)」をご覧ください。
d. 繰延税金資産について
当社グループは、将来の課税所得を合理的に見積もり、回収可能性を判断した上で繰延税金資産を計上しています。将来の課税所得は過去の業績等に基づいて見積もっているため、税制改正や経営環境の変化等により課税所得の見積りが大きく変動した場合等には、繰延税金資産の計上額が変動する可能性があります。
繰延税金資産の詳細については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(税効果会計関係)」をご覧ください。
e. 従業員等に信託を通じて自社の株式を交付する取引について
当社は、従業員(連結子会社の従業員を含む。以下この項において同じ。)に対する中長期的な当社企業価値向上へのインセンティブ付与及び福利厚生の拡充等により当社の持続的成長を促すことを目的として、信託型従業員持株インセンティブ・プランを導入しています。
同プランは、NRIグループ社員持株会に加入する全ての従業員を対象に、当社株式の株価上昇メリットを還元するインセンティブ・プランであり、同プランを実施するため当社はNRIグループ社員持株会専用信託(以下この項において「持株会信託」という。)を設定しています。持株会信託は、信託の設定後4年間にわたりNRIグループ社員持株会が取得すると見込まれる規模の当社株式を、あらかじめ一括して取得し、NRIグループ社員持株会の株式取得に際して当該株式を売却していきます。株価が上昇し信託終了時に持株会信託内に利益がある場合には、従業員に金銭が分配されます。なお、当社は持株会信託が当社株式を取得するために行った借入れについて保証しており、信託終了時に借入債務が残っている場合には保証契約に基づき当社が弁済することになります。
会計処理については、期末における持株会信託の資産及び負債を当社の連結貸借対照表に計上し、持株会信託が保有する当社株式については、持株会信託の帳簿価額で純資産の部の自己株式に計上します。持株会信託における利益は、将来精算されることになる仮勘定として負債に計上します。持株会信託が損失となる場合は、将来精算されることになる仮勘定として資産に計上した上で、信託終了時に借入債務が残ることが見込まれるときは引当金を計上します。
② 当年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
a. 経営成績
「(1) 連結経営成績等の状況の概要 ① 連結経営成績の状況」に記載のとおり、当年度の当社グループの売上高は501,243百万円(前年度比6.3%増)、営業利益は71,442百万円(同9.7%増)となり、営業利益率は14.3%
(同0.4ポイント増)となりました。
営業外収益は、前年度に売却した投資有価証券の受取配当金がなくなったことなどにより、1,743百万円
(同13.0%減)となりました。また、営業外費用は、自己株式取得費用や社債発行費が減少したことなどにより、
776百万円(同20.9%減)となりました。この結果、営業外損益は967百万円(同5.5%減)となり、経常利益は
72,409百万円(同9.4%増)となりました。
特別損益は、保有株式の売却に伴い投資有価証券売却益9,079百万円を計上(前年度は22,078百万円を計上)した一方、一部米国子会社の収益性が低下したことから、のれんの減損損失3,698百万円を特別損失として計上しました。この結果、特別損益は4,340百万円(前年度比73.5%減)となりました。
税効果会計適用後の法人税等は、25,213百万円(同4.3%減)となりました。
以上の結果、親会社株主に帰属する当期純利益は50,931百万円(同7.6%減)となりました。
法人税等の詳細については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(税効果会計関係)」をご覧ください。
b. 財政状態
当連結会計年度より、「『税効果会計に係る会計基準』の一部改正」(企業会計基準第28号)等を適用しており、また、当連結会計年度において、企業結合に係る暫定的な会計処理の確定を行っており、以下、前年度末比較については、当該遡及適用後の前年度末の数値を用いています。
(単位:百万円)
前連結会計年度 (2018年3月31日) | 当連結会計年度 (2019年3月31日) | 前年度末比 | ||
増減額 | 増減率(%) | |||
流動資産 | 298,275 | 285,788 | △12,486 | △4.2 |
固定資産 | 344,842 | 326,404 | △18,437 | △5.3 |
総資産 | 643,117 | 612,192 | △30,924 | △4.8 |
流動負債 | 162,133 | 124,264 | △37,869 | △23.4 |
固定負債 | 47,714 | 62,419 | 14,705 | 30.8 |
純資産 | 432,674 | 425,032 | △7,642 | △1.8 |
自己資本 | 419,184 | 410,978 | △8,205 | △2.0 |
自己資本比率 | 65.2% | 67.1% | 2.0P | - |
有利子負債 | 81,680 | 60,883 | △20,796 | △25.5 |
D/Eレシオ(倍) | 0.19 | 0.15 | △0.05 | - |
(注)1. 自己資本:純資産-非支配株主持分-新株予約権
2. D/Eレシオ(デット・エクイティ・レシオ(負債資本倍率)):有利子負債÷自己資本
当年度末における当社グループの財政状態は、流動資産285,788百万円(前年度末比4.2%減)、固定資産
326,404百万円(同5.3%減)、流動負債124,264百万円(同23.4%減)、固定負債62,419百万円(同30.8%増)、純資産425,032百万円(同1.8%減)となり、総資産は612,192百万円(同4.8%減)となりました。また、当年度末におけるD/Eレシオ(デット・エクイティ・レシオ)は、0.15倍となっています。
前年度末と比べ増減した主な内容は、次のとおりです。
当年度は3月に完了した案件が多かったことから、売掛金は12,283百万円増加し88,101百万円、開発等未収収益は7,760百万円増加し44,010百万円となりました。
投資有価証券は、余資の運用目的による有価証券の購入がありましたが、保有株式の一部売却や価格下落、運用目的による有価証券の償還により8,795百万円減少し80,203百万円となりました。これにより、その他有価証券評価差額金は5,293百万円減少し、27,152百万円となりました。
のれんは、償却に加え、減損損失を計上したことにより9,051百万円減少し27,572百万円となりました。
1年内償還予定の社債は、第2回社債が償還されたことにより15,000百万円減少しました。
借入金については、当第4四半期に、シンジケートローン20,000百万円を返済した一方、NRIグループ社員持株会専用信託が信託型従業員持株インセンティブ・プランのために17,500百万円の借り入れを実行しました。これにより、1年内返済予定の長期借入金は19,027百万円減少し4,679百万円、長期借入金は12,805百万円増加し13,213百万円となりました。
自己株式は、取締役会決議に基づく自己株式の取得による増加29,999百万円などにより、前年度末から
30,979百万円増加し72,197百万円となりました。
このほか、現金及び預金が34,768百万円減少の124,773百万円、退職給付に係る資産が4,349百万円増加の60,050百万円、買掛金が4,816百万円増加の27,698百万円、未払法人税等が14,797百万円減少の6,435百万円となりました。
c. キャッシュ・フローの状況
「(1) 連結経営成績等の状況の概要 ② 連結キャッシュ・フローの状況」をご覧ください。
d. 経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
当社グループの経営成績等に特に影響を与える大きな要因としては、情報技術動向、市場動向、品質及び事業継続に対する取組みなどがあります。
情報技術動向については、クラウド、AI(人工知能)、IoT(モノのインターネット)などの新しいデジタル技術が次々に登場し、従来の技術、手法では対応できないテーマが増えています。当社グループは、情報技術に関する先端技術や基盤技術、生産・開発技術の調査・研究に、社内横断的な体制で取り組むことで、技術革新への迅速な対応に努めています。
市場動向については、他業種からの新規参入や海外企業の台頭、パッケージ製品やクラウドサービスの普及などが進んでおり、情報サービス産業は厳しい競争の環境下にあります。あわせて、新しい技術が次々と登場する中で、企業のITに対する期待が変化してきています。コーポレートITは、品質を重視しながらも可能な限りコスト削減を目指し、パッケージ製品やクラウドサービス、ユーティリティ・サービスを利用することが一般化し、ビジネスITは、新たなデジタル技術を活用しながら事業を変革するDX(デジタルトランスフォーメーション)の取組みが拡大しています。顧客のDXに対する取組みを実現するためには、顧客のビジネスを深く理解していなければ実現することが出来ません。当社グループは、さまざまな業界や業務プロセスに精通したコンサルタントと、実用性までを考慮して最新のITを駆使できるシステムエンジニアという2つの人的資本があり、顧客のDXの取組みの拡大において、大きな競争優位性があると考えています。
品質及び事業継続に対する取組みについては、複数のデータセンターを保有し、社会インフラとしての情報システムを担う責任に加え、不測の不採算案件が発生した場合の業績への影響もあることから、当社グループの事業活動の根幹として特に重視しています。品質監理を専門とする組織を中心に、受注前の見積り審査や受注後のプロジェクト管理を適切に行う体制を整えていることに加え、一定規模以上のプロジェクトは、システム開発会議など専用の審査体制を整え、プロジェクト計画から安定稼動まで進捗状況に応じたレビューの徹底を図り、不測の不採算案件の発生防止に取り組んでいます。災害やシステム障害などの事業継続に対しては、大規模災害、大規模障害などの発生に備えて、初動体制と行動指針をまとめたコンティンジェンシープラン(緊急時対応計画)を策定し、事前対策や訓練を重ね、より円滑な事業継続に向けた体制の構築や事業計画に必要なインフラの整備など、危機管理体制の整備・強化に取り組んでいます。
e. 当社グループの資本の財源及び資金の流動性
当社グループは社会インフラとしての情報システムを担う社会的責任から、不測の事態が発生した場合でもサービス提供を継続するため、比較的厚めの自己資金を保持する方針としています。
当社グループの事業活動における運転資金需要の主なものは、コンサルティングやシステム開発を担う従業員の労務費及び協力会社に対する外注費のほか、事業活動を支える不動産費や販売費及び一般管理費などがあります。投資資金需要としては、共同利用型サービスやアウトソーシングサービスを提供するためのデータセンターの建設やサービス提供用機器、自社利用ソフトウエアの開発費用に加え、事業拡大のためのM&A資金などがあります。
当社グループはこれらの資金需要に対して、事業の継続的な拡大を背景に、安定的にキャッシュ・フローを創出しており、事業運営上必要な資金は、自己資金でまかなうことを基本としています。毎期のソフトウエア投資など事業運営で必要な設備投資資金については、減価償却費の範囲内で行うことを基本としていますが、M&Aをはじめとした中長期的な投資資金については、資本と負債のバランスなどの財務健全性や資金調達手段の多様化を考慮し、一定以上、社債や借入れによる負債を活用した資金調達を行う方針としています。マーケットとの対話を意識し、D/Eレシオ(デット・エクイティ・レシオ)は0.1倍前後を基本とし、0.3倍を上限としています。当年度末における有利子負債の残高は60,883百万円(前年度末比25.5%減)、現金及び現金同等物の残高は
123,200百万円(同22.2%減)、D/Eレシオは0.15倍となっています。
また、当社グループは、事業内容及び財務状況について第三者から客観的な評価を得ることで、経営の透明性と対外的な信用力を高めるとともに、事業機会に即した資金調達手段の多様化、資金調達の安定性向上に努めており、高い信用格付の維持を目指しています。本有価証券報告書提出日現在において、㈱格付投資情報センターより「AA-」の格付を、S&Pグローバル・レーティング・ジャパン㈱より「A」の格付を取得しています。
f. 経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループは、事業の継続的な拡大を通じて企業価値を向上させていくことを経営の目標としています。経営指標としては、事業の収益力を表す営業利益及び営業キャッシュ・フローを重視し、これらの拡大を目指しています。また、資本効率の観点からROEを重視し、EPSの成長を通じた持続的な株主価値の向上に努めています。
当年度におけるこれらの指標は、営業利益は71,442百万円(前年度比9.7%増)、EBITDAマージンは21.7%(同0.2ポイント減)、ROEは12.3%(同0.7ポイント減)、EPSは216円33銭(同11円88銭減)となりました。
当社グループは、2022年度を最終年度とする8ヵ年の長期経営ビジョン「Vision2022」(2015年度~2022年度)を策定しています。「Vision2022」は、当社の既存の強みである業界標準ビジネスプラットフォームなどの強化、グローバル化の飛躍的拡大、ビジネスIT領域での新たな価値創造など、成長戦略の5つの柱と数値目標で構成されています。
また、「Vision2022」の実現に向けた中期経営計画(2016年度~2018年度)(以下、「中期経営計画2018」という。)を策定しており、中期経営計画2018の目標達成に向けて、生産性向上と既存事業の拡大に取り組むとともに、グローバルやデジタル分野等の新領域において、事業基盤の形成や実績の蓄積を進めました。当年度は中期経営計画2018の最終年度となり、中期経営計画2018における数値目標(連結)に対する進捗状況は次のとおりです。
中期経営計画2018(2016年度~2018年度)
(単位:百万円)
指標 | 実績 | 実績 | 中期経営計画2018 | 実績 | |
2016年度 | 2017年度 | 2018年度(目標) | 2018年度 | ||
売上高 | 424,548 | 471,488 | 500,000 | 501,243 | |
営業利益 | 58,514 | 65,138 | 70,000 | 71,442 | |
営業利益率 | 13.8% | 13.8% | 14.0% | 14.3% | |
海外売上高 | - | - | 65,000 | 53,081 | |
自己資本利益率(ROE) | 10.7% | 12.9% | 12%前後 | 12.3% |
(注) 海外売上高の実績の一部は、連結売上高の10%未満であるため記載を省略しています。
また、2019年4月には、「Vision2022」の実現に向け、新たに後半4か年の「NRIグループ中期経営計画
(2019年度~2022年度)(以下、「中期経営計画2022」という。)を策定しました。中期経営計画2022における財務数値目標(連結)は次のとおりです。
中期経営計画2022(2019年度~2022年度)
(単位:百万円)
指標 | 実績 | 中期経営計画2022 | |
2018年度 | 2022年度(目標) | ||
売上高 | 501,243 | 670,000以上 | |
営業利益 | 71,442 | 100,000 | |
営業利益率 | 14.3% | 14%以上 | |
海外売上高 | 53,081 | 100,000 | |
EBITDAマージン | 21.7% | 20%以上 | |
自己資本利益率(ROE) | 12.3% | 14% |
g. セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
当年度のセグメントごとの財政状態及び経営成績(売上高には内部売上高を含む。)は次のとおりです。
なお、当年度にセグメントの区分を一部変更しており、以下、前年度比較については、当該変更後の区分による前年度の数値を用いています。
(単位:百万円)
前連結会計年度 (自 2017年4月 1日 至 2018年3月31日) | 当連結会計年度 (自 2018年4月 1日 至 2019年3月31日) | 前年度比 | |||
増減額 | 増減率(%) | ||||
コンサルティング | 売上高 | 35,332 | 41,947 | 6,614 | 18.7 |
営業利益 | 6,561 | 7,810 | 1,248 | 19.0 | |
営業利益率 | 18.6% | 18.6% | 0.0P | - | |
金融ITソリューション | 売上高 | 254,567 | 255,162 | 595 | 0.2 |
営業利益 | 27,673 | 27,095 | △578 | △2.1 | |
営業利益率 | 10.9% | 10.6% | △0.3P | - | |
産業ITソリューション | 売上高 | 157,585 | 177,114 | 19,528 | 12.4 |
営業利益 | 15,119 | 18,425 | 3,305 | 21.9 | |
営業利益率 | 9.6% | 10.4% | 0.8P | - | |
IT基盤サービス | 売上高 | 122,342 | 127,777 | 5,434 | 4.4 |
営業利益 | 14,764 | 17,130 | 2,366 | 16.0 | |
営業利益率 | 12.1% | 13.4% | 1.3P | - | |
調整額 | 売上高 | △98,340 | △100,757 | △2,417 | - |
営業利益 | 1,018 | 980 | △38 | - | |
計 | 売上高 | 471,488 | 501,243 | 29,755 | 6.3 |
営業利益 | 65,138 | 71,442 | 6,303 | 9.7 | |
営業利益率 | 13.8% | 14.3% | 0.4P | - |
(コンサルティング)
当セグメントは、政策提言や戦略コンサルティング、業務改革をサポートする業務コンサルティング、ITマネジメント全般にわたるシステムコンサルティングを提供しています。
顧客の経営環境やIT部門の環境が変化する中、経営・ITの両面でコンサルティングの需要が高まっています。当社グループは、顧客のビジネス全般を支援する変革パートナーとなる体制を整えていくとともに、海外も含めた顧客基盤の拡大に努めました。
当年度は、豪州事業の寄与のほか、顧客のDXを支援するコンサルティングや顧客の大型開発プロジェクトを支援するシステムコンサルティングが増加し、売上高は41,947百万円(前年度比18.7%増)となりました。良好な受注環境を背景に高い収益性が継続し、営業利益は7,810百万円(同19.0%増)となりました。
セグメント資産は、売上高の増加に加え、3月に完了した案件が多かったことから、売掛金及び開発等未収収益が増加したものの、有形固定資産等の減少などにより513百万円減少し21,306百万円(前年度末比2.4%減)となりました。
(金融ITソリューション)
当セグメントは、主に証券業や保険業、銀行業等の金融業顧客向けに、システムコンサルティング、システム開発及び運用サービスの提供、共同利用型システム等のITソリューションの提供を行っています。
事業領域の拡大に向け、開発リソース管理の高度化により生産性を高め、業界標準ビジネスプラットフォームの新サービスの開発や新たな顧客の獲得を進めるとともに、金融業顧客のDXの取組みを支援しています。
当年度の売上高は、証券業向け運用サービス及び開発・製品販売が減少しましたが、保険業及びその他金融業向け開発・製品販売や保険業向けコンサルティングサービスが増加し、255,162百万円(前年度比0.2%増)となりました。複数のソフトウエアについて評価減を行ったことにより、営業利益は27,095百万円(同2.1%減)となりました。
セグメント資産は、売上高の増加に加え、3月に完了した案件が多かったことから、売掛金及び開発等未収収益が増加し、また子会社による金融事業においても信用取引資産が増加したことにより7,773百万円増加し、151,412百万円(前年度末比5.0%増)となりました。
(産業ITソリューション)
当セグメントは、流通業、製造業、サービス業や公共向けに、システムコンサルティング、システム開発及び運用サービス等のITソリューションの提供を行っています。
産業分野の顧客におけるDXの取組みは、既存のビジネスモデルの効率化や高度化のみならず、新たなビジネスモデルを創造する領域にも広がっています。顧客基盤の拡大に向け、産業分野に多くの顧客を持つコンサルティング部門と連携して、顧客のDXの取組みを支援していきます。
当年度は、豪州事業の寄与もあり、製造・サービス業、流通業ともに、運用サービス及び開発・製品販売が増加し、売上高は177,114百万円(前年度比12.4%増)となりました。前年度から続く良好な受注環境を背景に収益性が向上し、営業利益は18,425百万円(同21.9%増)となりました。
セグメント資産は、売上高が増加した影響により売掛金及び開発等未収収益が増加しましたが、のれんの金額等が減少したことにより5,571百万円減少し、115,340百万円(前年度末比4.6%減)となりました。
(IT基盤サービス)
当セグメントは、主に金融ITソリューションセグメント及び産業ITソリューションセグメントに対し、データセンターの運営管理やIT基盤・ネットワーク構築等のサービスを提供しています。また、様々な業種の顧客に対してIT基盤ソリューションや情報セキュリティサービスを提供しています。このほか、ITソリューションに係る新事業・新商品の開発に向けた実験的な取組みや先端的な情報技術等に関する調査、研究を行っています。
顧客基盤の拡大に向け、顧客に対し、IT基盤の刷新だけでなく、業務改善や収益改善につながるIT基盤ソリューションを提案する取組みを進めています。また、デジタルマーケティングを始めとするDXの新事業の開発や、AIを活用した顧客業務の効率化と高度化を支援するサービスの開発、マルチクラウド(※1)によるIT基盤サービスの開発に取り組んでいます。
当第3四半期には、㈱デンソーと共同出資により、安心・安全なモビリティ社会の実現を目的に、サイバーセキュリティ事業を行う㈱NDIASを設立し、子会社としました。
当年度の外部顧客に対する売上高は、セキュリティ事業やデジタルワークプレイス事業(※2)で増加し、内部売上高は、クラウドやネットワークサービスなどが増加しました。
この結果、売上高127,777百万円(前年度比4.4%増)、営業利益17,130百万円(同16.0%増)となりました。
セグメント資産は、主にデータセンター関連設備やクラウドサービスに係る自社利用ソフトウエアの取得が前年度に比べ減少し、設備投資金額に対して減価償却費が大きく上回ったことにより6,002百万円減少し、
72,178百万円(前年度末比7.7%減)となりました。
※1 マルチクラウド:複数のクラウドを組み合わせて横断的に利用するクラウドサービス。
※2 デジタルワークプレイス事業:企業文化、IT、オフィス空間など物理的環境という3つの要素を組み合わせて、従業員の経験価値の向上を高めるソリューション。