有価証券報告書-第24期(平成31年1月1日-令和1年12月31日)

【提出】
2020/03/26 14:30
【資料】
PDFをみる
【項目】
145項目
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、記載事項のうち将来に関する事項については、別段の記載がない限り、本書提出日現在において入手し得る情報に基づいて判断したものであります。
(1) 重要な会計方針及び見積り
当社グループ(当社及び連結子会社)の連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成しています。この連結財務諸表の作成に当たって採用している重要な会計基準は「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載しております。
(2) 経営成績等の状況の概要並びに経営者の視点による経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
① 経営成績
当連結会計年度における我が国の経済は、企業収益が底堅く推移し、雇用情勢の改善により個人消費は緩やかな持ち直しを見せました。消費税率引き上げ前後の消費動向は、直前の駆け込み需要が一部に見られたものの、小幅であったため、その後の反動減は軽微にとどまりました。
当社グループが軸足を置くマーケティング領域においては、eコマース市場が堅調に拡大していくにしたがい、コマース事業者間の競争が激しさを増し、効果的なマーケティングソリューションの需要がいっそう高まっております。
こうした環境の下、当社グループは、顧客であるコマース事業者のパフォーマンス(流通総額)を最大化するため、集客から顧客維持までのマーケティングソリューションを提供することに注力しました。その結果、当連結会計年度(2019年1月1日~2019年12月31日)における連結経営成績は次のとおりとなりました。
売上高は、ヤフー株式会社が運営するオンラインモールのストア向けCRMツール「STORE's R∞(ストアーズ・アールエイト)」及びクリック課金型広告「ストアマッチ」並びに成果報酬型広告「アフィリエイト」が伸長したこと、また、2019年9月27日付で連結子会社化したダイナテック株式会社の売上高を第4四半期連結会計期間から計上したことにより、25,694,601千円(前期比23.7%増)となりました。
販売費及び一般管理費は、人員の増加及び社内業務の効率化にむけたシステム導入の推進、加えて、ダイナテック株式会社の経費及び同社株式取得に係るのれん償却費を計上したことにより、3,857,059千円(前期比22.6%増)となりました。
営業利益は、既存サービスがいずれも伸長したことにより、4,966,944千円(前期比32.3%増)となりました。
経常利益は、営業外収益に投資事業組合運用益12,389千円を計上したこと等により、4,988,359千円(前期比31.5%増)となりました。
親会社株主に帰属する当期純利益は、法人税等1,561,941千円を計上したことにより、3,345,026千円(前期比28.4%増)となりました。
また、当社は2019年11月27日開催の取締役会において、株式会社B-SLASH(株式会社コマースニジュウイチが新設分割により新たに設立する会社)の全株式を取得することを決議しました。同社の子会社化により、ヤフー株式会社が運営するオンラインモールをはじめ、コマース事業者のECサイト上での販売を促進するサービスの強化に取り組んでまいります。
セグメントの経営成績は次のとおりであります。
a) マーケティングソリューション事業
マーケティングソリューション事業は、コマース事業者のECサイトへの「集客」を軸とするソリューションを提供する事業です。主要なサービスは、成果報酬型広告「アフィリエイト」です。
当連結会計年度におきましては、「アフィリエイト」において、広告技術とデータ分析に基づく提案を実施したことで、コマース事業者のコンバージョン(購入・申込)が増加しました。
また、プロダクト企画・開発の主な取り組みとして、メディア運営者がアフィリエイト管理画面上で商品やサービスを紹介するパーツを簡単に作成できる新機能「MyLinkBox(マイリンクボックス)」を開発し、2019年6月に提供を開始しました。
この結果、セグメント売上高は17,040,314千円(前期比10.8%増)、セグメント利益は2,884,503千円(前期比8.2%増)となりました。
b) ECソリューション事業
ECソリューション事業は、コマース事業者のECサイト上での「販売促進」を軸とするソリューションを提供する事業です。主要なサービスは、ヤフー株式会社が運営するオンラインモールのストア向けCRMツール「STORE's R∞(ストアーズ・アールエイト)」及びクリック課金型広告「ストアマッチ」です。
当連結会計年度におきましては、ストアのサービス利用促進にむけ、ヤフー株式会社との協業による営業施策に取り組んだこと、及び「ストアマッチ」において前連結会計年度におこなった広告掲載面の拡大が売上増加に寄与しました。また、2019年10月より「PayPayモール」のストア向けに「STORE's R∞」の提供を開始しました。
当社は、2019年9月27日付で、宿泊施設向け情報システムを開発・提供するダイナテック株式会社の全株式を取得し、連結子会社化しました。同社の損益及び同社株式取得に係るのれん償却費を第4四半期連結会計期間から計上しております。
この結果、セグメント売上高は8,654,286千円(前期比60.5%増)、セグメント利益は3,395,969千円(前期比40.1%増)となりました。
② 生産、受注及び販売の実績
a) 生産実績
当社グループは、マーケティングソリューションを提供する事業を展開しており、提供するサービスの性格上生産実績の記載に馴染まないため、当該記載を省略いたします。
b) 受注実績
生産実績と同様の理由により、記載を省略いたします。
c) 販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称当連結会計年度
(自 2019年1月1日
至 2019年12月31日)
前年同期比(%)
マーケティングソリューション事業(千円)17,040,31410.8
ECソリューション事業(千円)8,654,28660.5
合計(千円)25,694,60123.7

(注)1.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
相手先前連結会計年度
(自 2018年1月1日
至 2018年12月31日)
当連結会計年度
(自 2019年1月1日
至 2019年12月31日)
金額(千円)割合(%)金額(千円)割合(%)
ヤフー株式会社3,247,87515.64,121,04816.0
GMOコマース株式会社--3,308,81812.9
株式会社サイバーエージェント2,257,32110.9--

2.2019年10月1日付で、当社の親会社であった旧ヤフー株式会社はZホールディングス株式会社に商号変更し、持株会社体制に移行しました。それに伴い、現ヤフー株式会社は、旧ヤフー株式会社から事業を承継しました。当連結会計年度の販売実績については旧ヤフー株式会社に対する販売実績及び現ヤフー株式会社に対する販売実績を合算して記載しております。
3.前連結会計年度のGMOコマース株式会社については、総販売実績に対する割合が100分の10未満のため記載を省略しております。
4.当連結会計年度の株式会社サイバーエージェントについては、総販売実績に対する割合が100分の10未満のため記載を省略しております。
5.当連結会計年度において、マーケティングソリューション事業及びECソリューション事業の販売の実績が著しく変動いたしました。その内容については、「① 経営成績」をご覧下さい。
6.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
③ 財政状態
(資産)
当連結会計年度末の資産合計は18,011,572千円となり、前連結会計年度末と比べて3,305,069千円増加いたしました。
流動資産は13,472,525千円となり、前連結会計年度末と比べて809,076千円増加いたしました。これは、主に受取手形及び売掛金が740,835千円増加したことによるものです。
固定資産は4,539,047千円となり、前連結会計年度末と比べて2,495,992千円増加いたしました。これは、主にソフトウエアが293,309千円、ソフトウエア仮勘定が941,725千円、のれんが1,096,408千円増加したことによるものです。
(負債)
当連結会計年度末の負債合計は6,519,652千円となり、前連結会計年度末と比べて959,044千円増加いたしました。
流動負債は6,437,645千円となり、前連結会計年度末と比べて952,380千円増加いたしました。これは、主に未払金が475,597千円、未払法人税等が242,958千円増加したことによるものです。
固定負債は82,006千円となり、前連結会計年度末と比べて6,663千円増加いたしました。
(純資産)
当連結会計年度末の純資産合計は11,491,920千円となり、前連結会計年度末と比べて2,346,025千円増加いたしました。これは、主に利益剰余金が剰余金の配当により1,033,333千円減少したものの、親会社株主に帰属する当期純利益の計上により3,345,026千円増加したことによるものです。
なお、「『税効果会計に係る会計基準』の一部改正」(企業会計基準第28号 平成30年2月16日)等を当連結会計年度の期首から適用しており、財政状態については遡及処理後の数値で前連結会計年度末との比較・分析を行っております。
④ キャッシュ・フロー
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)の残高は7,862,912千円となり、前連結会計年度末と比べて115,142千円減少いたしました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果獲得した資金は4,041,227千円(前年同期は2,756,637千円の獲得)となりました。これは、主に税金等調整前当期純利益が4,906,967千円であり、プラス要因として、減価償却費が298,783千円、のれん償却額が175,966千円、未払金の増加額が245,672千円であったものの、マイナス要因として、売上債権の増加額が367,774千円、法人税等の支払額が1,372,646千円であったことによるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は3,135,057千円(前年同期は627,155千円の獲得)となりました。これは、主に無形固定資産の取得による支出が424,608千円、連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得による支出が2,640,918千円であったことによるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果使用した資金は1,021,135千円(前年同期は407,624千円の使用)となりました。これは、主に配当金の支払額が1,027,558千円であったことによるものです。
⑤ 資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当社グループの資金需要の主なものは、顧客であるコマース事業者のパフォーマンス(流通総額)を最大化するためマーケティングソリューションの効果向上及び今後の成長に向けた新たな領域等への研究・開発・投資のほか、事業規模の拡大にともない需要が高まる運転資金です。これらの資金需要は自己資金で賄うことを基本とし、必要に応じて外部からの資金調達を実施いたします。