有価証券報告書-第25期(令和2年1月1日-令和2年12月31日)

【提出】
2021/03/25 10:13
【資料】
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【項目】
144項目
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
記載事項のうち将来に関する事項については、別段の記載がない限り、本書提出日現在において入手し得る情報に基づいて判断したものであります。
なお、2019年9月27日に行われたダイナテック株式会社との企業結合について、前連結会計年度において暫定的な会計処理を行っておりましたが、当連結会計年度に確定したため、前連結会計年度との比較・分析にあたっては、暫定的な会計処理の確定による見直し後の金額を用いております。
(1) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成しております。連結財務諸表の作成にあたっては、資産・負債及び収益・費用の金額に影響を与える見積りを必要としますが、これらの見積りには不確実性が伴うため、実際の結果と異なる場合があります。
会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものは以下のとおりであります。
なお、新型コロナウイルス感染症の影響については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (追加情報)」に記載しております。
(固定資産の減損)
当社グループは、固定資産のうち減損の兆候がある資産又は資産グループについて、当該資産又は資産グループから得られる割引前将来キャッシュ・フローの総額が帳簿価額を下回る場合には、帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失として計上しております。減損の兆候の把握、減損損失の認識及び測定にあたっては慎重に検討しておりますが、事業計画や市場環境の変化により、その見積りの前提とした条件又は仮定に変更が生じ減少した場合、減損処理が必要となる可能性があります。
(のれんの減損)
当社グループは、のれんについて、5年間の均等償却を行っております。その資産性については事業計画等をもとに慎重に検討しておりますが、市場環境等の変化により、将来において当初想定していた収益が見込めなくなった場合、減損処理が必要となる可能性があります。
(繰延税金資産)
当社グループは、将来の利益計画に基づいた課税所得が十分に確保できる又は、回収可能性があると判断した将来減算一時差異について繰延税金資産を計上しております。繰延税金資産の回収可能性は将来の課税所得の見積りに依存するため、その見積りの前提とした条件又は仮定に変更が生じた場合、繰延税金資産が減額され税金費用が計上される可能性があります。
(2) 経営成績等の状況の概要並びに経営者の視点による経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
① 経営成績
当連結会計年度における我が国の経済は、新型コロナウイルス感染症拡大の影響で落ち込むなか、政府による経済再生に向けた各種施策により、景気の持ち直しに期待が持たれました。しかし、新型コロナウイルス感染症の再拡大により、先行き不透明な状況が続いております。
こうした環境の下、当社グループは、顧客であるコマース事業者のパフォーマンス(流通総額)を最大化するため、効果的なマーケティングソリューションを提供することに注力した結果、連結経営成績は次のとおりとなりました。
当連結会計年度の売上高は、新型コロナウイルス感染症拡大の影響を、マイナスとプラスの両面で受けることとなりました。
成果報酬型広告「アフィリエイト」において、旅行や就職、金融の一部分野の広告出稿の減少により、前期比で減収となりました。
オンラインモールのストア向けサービスにおいて、外出自粛等でEC需要が増加したことを受け、さらにヤフー株式会社との協業による営業施策に取り組んだことにより、前期比で増収となりました。
なお、新型コロナウイルス感染症拡大の影響について、第4四半期連結会計期間の売上高は、第3四半期連結会計期間と比較すると、成果報酬型広告「アフィリエイト」において、就職分野の低調が継続したものの、金融分野のほか、旅行をはじめとする外出行動を伴う分野に改善がみられました。オンラインモールのストア向けサービスにおいては、年末商戦等により堅調に推移しました。
このほか、前連結会計年度以降に連結子会社化したダイナテック株式会社及び株式会社B-SLASH(2020年7月1日付で当社を存続会社として同社を吸収合併)の売上高を第1四半期連結会計期間から計上しました。その結果、売上高は29,171,512千円(前期比13.5%増)となりました。
販売費及び一般管理費は、前述の子会社経費及び株式取得に係るのれん償却費を計上したことにより、5,366,379千円(前期比38.6%増)となりました。
営業利益は、成果報酬型広告「アフィリエイト」が低調であった一方で、オンラインモールのストア向けサービスが好調に推移したことにより、6,218,082千円(前期比25.5%増)となりました。
経常利益は、営業外収益に投資事業組合運用益44,184千円を計上したこと等により、6,271,988千円(前期比26.1%増)となりました。
親会社株主に帰属する当期純利益は、法人税等1,988,106千円を計上したことにより、4,268,209千円(前期比27.6%増)となりました。
セグメントの経営成績は次のとおりであります。
a) マーケティングソリューション事業
マーケティングソリューション事業は、コマース事業者のECサイトへの「集客」を軸とするソリューションを提供する事業です。主要なサービスは、成果報酬型広告「アフィリエイト」です。
当連結会計年度におきまして、「アフィリエイト」は、新型コロナウイルス感染症拡大によるマイナスの影響を受け、旅行や就職、金融の一部分野の広告出稿が減少し、前期比で減収となりました。
「アフィリエイト」では、安心・安全な広告配信のための主な取り組みとして、2020年6月、アドフラウド(広告不正)対策及びブランドセーフティの強化に向け、ソリューションベンダーと技術連携を行いました。
また、プロダクト企画・開発の主な取り組みとして、2020年8月、EC事業者の認知拡大及び販売促進を支援するため、日本製Shopifyアプリとの連携を開始しました。
この結果、セグメント売上高は14,946,704千円(前期比12.3%減)、セグメント利益は2,614,830千円(前期比9.3%減)となりました。
b) ECソリューション事業
ECソリューション事業は、コマース事業者のECサイト上での「販売促進」を軸とするソリューションを提供する事業です。主要なサービスは、ヤフー株式会社が運営するオンラインモールのストア向けCRMツール「STORE's R∞(ストアーズ・アールエイト)」及びクリック課金型広告「ストアマッチ」です。
そのほか、前連結会計年度以降、当社が全株式を取得し連結子会社化した次の2社を含みます。
・ダイナテック株式会社(宿泊施設向けに情報システムを開発・提供)
2019年12月期第4四半期連結会計期間から、同社の損益及び同社株式取得に係るのれん償却費等を計上しております。
・株式会社B-SLASH(コマース事業者向けにEC運営に必要なソリューションを提供)
第1四半期連結会計期間から、同社の損益及び同社株式取得に係るのれん償却費等を計上しております。
なお、当社は、2020年7月1日付で、当社を存続会社、同社を消滅会社とする吸収合併(簡易合併・略式合併)を行っております。
当連結会計年度におきまして、オンラインモールのストア向けサービスは、新型コロナウイルス感染症拡大による外出自粛等でEC需要が増加したことを受け、さらにヤフー株式会社との協業による営業施策に取り組んだことで、好調に推移しました。一方、宿泊施設を顧客とするダイナテック株式会社において、休館・閉館、開業の延期の影響を受けました。
プロダクト企画・開発の主な取り組みとして、「ストアマッチ」では、2020年7月、従来の「Yahoo!ショッピング」に加え、「PayPayモール」でも広告掲載を開始しました。「B-Space」では、2020年7月、サーバーレンタルサービスとECサイト運営支援ツールをセットにした新プラン「トリプル for B-Space 10GBプラン」の提供を開始しました。
この結果、セグメント売上高は14,224,807千円(前期比64.4%増)、セグメント利益は4,985,475千円(前期比47.4%増)となりました。
② 生産、受注及び販売の実績
a) 生産実績
当社グループは、マーケティングソリューションを提供する事業を展開しており、提供するサービスの性格上生産実績の記載に馴染まないため、当該記載を省略いたします。
b) 受注実績
生産実績と同様の理由により、記載を省略いたします。
c) 販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称当連結会計年度
(自 2020年1月1日
至 2020年12月31日)
前年同期比(%)
マーケティングソリューション事業(千円)14,946,70487.7
ECソリューション事業(千円)14,224,807164.4
合計(千円)29,171,512113.5

(注)1.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
相手先前連結会計年度
(自 2019年1月1日
至 2019年12月31日)
当連結会計年度
(自 2020年1月1日
至 2020年12月31日)
金額(千円)割合(%)金額(千円)割合(%)
ヤフー株式会社4,121,04816.05,708,40419.6
GMOコマース株式会社3,308,81812.9--

2.2019年10月1日付で、当社の親会社であった旧ヤフー株式会社はZホールディングス株式会社に商号変更し、持株会社体制に移行しました。それに伴い、現ヤフー株式会社は、旧ヤフー株式会社から事業を承継しました。前連結会計年度の販売実績については旧ヤフー株式会社に対する販売実績及び現ヤフー株式会社に対する販売実績を合算して記載しております。
3.当連結会計年度において、マーケティングソリューション事業及びECソリューション事業の販売の実績が著しく変動いたしました。その内容については、「① 経営成績」をご覧ください。
4.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
③ 財政状態
(資産)
当連結会計年度末の資産合計は22,474,577千円となり、前連結会計年度末と比べて4,217,094千円増加いたしました。
流動資産は17,662,249千円となり、前連結会計年度末と比べて4,189,723千円増加いたしました。これは、主に現金及び預金が3,559,186千円、差入保証金が310,553千円増加したことによるものです。
固定資産は4,812,327千円となり、前連結会計年度末と比べて27,370千円増加いたしました。これは、主にソフトウエア仮勘定が916,169千円、差入保証金が302,310千円減少したものの、ソフトウエアが1,248,404千円増加したことによるものです。
(負債)
当連結会計年度末の負債合計は7,798,431千円となり、前連結会計年度末と比べて1,032,869千円増加いたしました。
流動負債は7,585,409千円となり、前連結会計年度末と比べて1,147,764千円増加いたしました。これは、主に未払金が179,781千円、未払法人税等が415,908千円、その他流動負債が415,893千円増加したことによるものです。
固定負債は213,022千円となり、前連結会計年度末と比べて114,894千円減少いたしました。これは、繰延税金負債が56,021千円、その他固定負債が58,872千円減少したことによるものです。
(純資産)
当連結会計年度末の純資産合計は14,676,145千円となり、前連結会計年度末と比べて3,184,224千円増加いたしました。これは、主に利益剰余金が剰余金の配当により1,130,542千円減少したものの、親会社株主に帰属する当期純利益の計上により4,268,209千円増加したことによるものです。
なお、2019年9月27日に行われたダイナテック株式会社との企業結合について、前連結会計年度において暫定的な会計処理を行っておりましたが、当連結会計年度に確定したため、前連結会計年度との比較・分析にあたっては、暫定的な会計処理の確定による見直し後の金額を用いております。
④ キャッシュ・フロー
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)の残高は11,422,098千円となり、前連結会計年度末と比べて3,559,186千円増加いたしました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果獲得した資金は5,894,497千円(前年同期は4,041,227千円の獲得)となりました。これは、主に税金等調整前当期純利益が6,256,315千円であり、プラス要因として、減価償却費が767,692千円、のれん償却額が295,202千円、未払金の増加額が187,003千円であったものの、マイナス要因として、未収入金の増加額が277,325千円、法人税等の支払額が1,724,362千円であったことによるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は1,206,575千円(前年同期は3,135,057千円の使用)となりました。これは、主に無形固定資産の取得による支出が683,676千円、連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得による支出が537,032千円であったことによるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果使用した資金は1,128,735千円(前年同期は1,021,135千円の使用)となりました。これは、主に配当金の支払額が1,126,057千円であったことによるものです。
⑤ キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容については、「④ キャッシュ・フロー」をご覧ください。
当社グループの資金需要の主なものは、顧客であるコマース事業者のパフォーマンス(流通総額)を最大化するためマーケティングソリューションの効果向上及び今後の成長に向けた新たな領域等への研究・開発・投資のほか、事業規模の拡大にともない需要が高まる運転資金です。これらの資金需要は自己資金で賄うことを基本とし、必要に応じて外部からの資金調達を実施いたします。