有価証券報告書-第29期(2024/01/01-2024/12/31)

【提出】
2025/03/25 9:41
【資料】
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【項目】
137項目
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
記載事項のうち将来に関する事項については、別段の記載がない限り、当連結会計年度末現在において入手し得る情報に基づいて判断したものであります。
(1) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成しております。連結財務諸表の作成にあたっては、資産・負債及び収益・費用の金額に影響を与える見積りを必要としますが、これらの見積りには不確実性が伴うため、実際の結果と異なる場合があります。
会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」及び「第5 経理の状況 2 財務諸表等(1)財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載しております。
(固定資産の減損)
当社グループは、固定資産のうち減損の兆候がある資産又は資産グループについて、当該資産又は資産グループから得られる割引前将来キャッシュ・フローの総額がこれらの帳簿価額を下回る場合は、帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失として計上しております。減損の兆候の把握、減損損失の認識及び測定にあたっては事業計画に基づき慎重に検討しておりますが、市場環境の変化により、その見積りの前提とした条件又は仮定に変更が生じ、事業計画を見直した場合、減損処理が必要となる可能性があります。
(のれんの減損)
当社グループは、のれんについて、5年間の均等償却を行っております。その資産性については事業計画に基づき慎重に検討しておりますが、市場環境の変化により、その見積りの前提とした条件又は仮定に変更が生じ、事業計画を見直した場合、減損処理が必要となる可能性があります。
(2) 経営成績等の状況の概要並びに経営者の視点による経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
①経営成績
当連結会計年度における我が国の経済は、一部に足踏みが残るものの、景気の緩やかな回復がみられました。一方で、海外景気の下振れが我が国の景気を下押しするリスクとなり、物価上昇や金融資本市場の変動等の影響に十分注意する必要がありました。
こうした環境の下、当社グループは、ミッション「正しい情報を効率的につなぐ」に基づき、多くの情報から正しい情報を導き出し、その情報を必要とする方々へ効率的に届けることに注力した結果、連結経営成績は次のとおりとなりました。
当連結会計年度の売上高は、30,410百万円(前期比3.4%増)となりました。
成果報酬型広告「アフィリエイト」については、金融分野の一部の広告主に広告出稿意欲の緩やかな回復がみられ、前期比で増収となりました。また、オンラインモールのストア向けクリック課金型広告「StoreMatch(ストアマッチ)」についても、メーカー向け広告機能「StoreMatch Pro(ストアマッチプロ)」の利用の増加等により、前期比で増収となりました。
販売費及び一般管理費は、中期経営計画に基づく戦略投資の実施等により、5,823百万円(前期比18.4%増)となりました。
営業利益は、販売費及び一般管理費の増加等により、4,160百万円(前期比20.5%減)となりました。
経常利益は、投資事業組合運用益13百万円を計上したものの、販売費及び一般管理費の増加及び自己株式の公開買付け関連費用の計上等により、4,121百万円(前期比21.0%減)となりました。
親会社株主に帰属する当期純利益は、法人税等1,258百万円の計上等により、2,855百万円(前期比16.0%減)となりました。
セグメントの経営成績は次のとおりであります。
なお、当連結会計年度より、報告セグメントの区分を変更しており、以下の前期比較については、前連結会計年度の数値を変更後のセグメント区分に組み替えた数値で比較分析しております。
a.マーケティングソリューションズ事業
マーケティングソリューションズ事業は、コマース事業者のECサイトへの「集客」を軸とするソリューションを提供する事業であります。主要なサービスは、成果報酬型広告「アフィリエイト」であります。
当連結会計年度におきましては、「アフィリエイト」について、金融分野の一部の広告主に広告出稿意欲の緩やかな回復がみられ、売上高を押し上げましたが、戦略投資の実施等により、セグメント利益は前期比で減少しました。この結果、セグメント売上高は12,201百万円(前期比3.5%増)、セグメント利益は1,401百万円(前期比24.4%減)となりました。
また、プロダクト企画・開発の主な取り組みとして、2024年3月にインフルエンサーを対象としたLink in bioサービス(注)「VLINK(ブイリンク)」の提供を開始し、11月に登録ユーザーが1万人を突破しました。さらに、5月に株式会社018より事業譲受した、SNS特化型モニターキャンペーン&クチコミ生成サービス「monicam(モニキャン)」と、インフルエンサーマッチングサービス「Castbook(キャストブック)」の提供を開始する等、インフルエンサーマーケティングのソリューション拡充を図りました。
そのほか、「アフィリエイト」において、これまでに蓄積したデータ群を活用し、AIがメディア運営者それぞれに最適な広告主を選定する「パーソナライズレコメンド機能」の提供を開始しました。
(注)主にSNSのプロフィール欄からほかのWebサイトへ遷移するためのURLリンクをまとめたページを設置できるサービスであります。
b.ECソリューションズ事業
ECソリューションズ事業は、コマース事業者のECサイト上での「販売促進」を軸とするソリューションを提供する事業であります。主要なサービスは、オンラインモールのストア向けクリック課金型広告「StoreMatch(ストアマッチ)」及びCRMツール「STORE's R∞(ストアーズ・アールエイト)」であります。そのほか、ECサイト運営支援「B-Space(ビースペース)」を含んでおります。
当連結会計年度におきましては、「StoreMatch(ストアマッチ)」については、メーカー向け広告機能「StoreMatch Pro(ストアマッチプロ)」の利用の増加等により、前期比で増収となりました。また、「STORE's R∞(ストアーズ・アールエイト)」については、前期並みの水準となりました。一方で、「B-Space(ビースペース)」について、第2四半期連結会計期間より一部の受託業務から撤退したこと等により、セグメント利益は前期比で減少しました。この結果、セグメント売上高は16,948百万円(前期比3.8%増)、セグメント利益は4,635百万円(前期比3.6%減)となりました。
また、プロダクト企画・開発の主な取り組みとして、2024年11月にリテールメディアネットワークサービスの提供を開始しました。
c.トラベルテック事業
トラベルテック事業は、連結子会社であるダイナテック株式会社を中心に、主に宿泊施設向けのソリューションを提供する事業であります。主要なサービスは、宿泊予約システム「Direct In(ダイレクトイン)」及び宿泊管理システム「Dynalution(ダイナリューション)」であります。
当連結会計年度におきましては、宿泊施設の投資意欲の回復がみられたものの、新たな事業領域への投資や宿泊管理システム移行による投資先行により、セグメント損失となりました。この結果、セグメント売上高は1,268百万円(前期比0.4%減)、セグメント損失は193百万円(前期はセグメント利益5百万円)となりました。
また、プロダクト企画・開発の主な取り組みとして、2024年9月に「Direct In(ダイレクトイン)」において、自社宿泊プランと航空券の同時予約が可能なダイナミックパッケージ機能の提供を開始し、11月に多言語AIチャットボット機能との連携を実現しました。さらに同月に「Dynalution(ダイナリューション)」において、CRM機能の提供を開始しました。
②生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当社グループは、マーケティングソリューションを提供する事業を展開しており、提供するサービスの性格上生産実績の記載に馴染まないため、当該記載を省略しております。
b.受注実績
生産実績と同様の理由により、記載を省略しております。
c.販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
なお、当連結会計年度より、報告セグメントの区分を変更しており、以下の前期比較については、前連結会計年度の数値を変更後のセグメント区分に組み替えた数値で比較分析しております。
セグメントの名称当連結会計年度
(自 2024年1月1日
至 2024年12月31日)
前期比(%)
マーケティングソリューションズ事業(百万円)12,201103.5
ECソリューションズ事業(百万円)16,948103.8
トラベルテック事業(百万円)1,26099.0
合計(百万円)30,410103.4

(注)最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
相手先前連結会計年度
(自 2023年1月1日
至 2023年12月31日)
当連結会計年度
(自 2024年1月1日
至 2024年12月31日)
金額
(百万円)
割合(%)金額
(百万円)
割合(%)
LINEヤフー株式会社3,74012.73,58211.8

(注)2023年10月1日付で、当社の親会社であるZホールディングス株式会社は同社を存続会社として、同社、同社の完全子会社であるヤフー株式会社及びLINE株式会社を中心としたグループ内組織再編を実施し、LINEヤフー株式会社に商号変更しております。この取引により兄弟会社であったヤフー株式会社は、事業を承継させた上で消滅しております。前連結会計年度の販売実績についてはヤフー株式会社に対する販売実績及びLINEヤフー株式会社に対する販売実績を合算して記載しております。
③財政状態
(資産)
当連結会計年度末の資産合計は19,592百万円となり、前連結会計年度末と比べて8,759百万円減少しました。
流動資産は17,642百万円となり、前連結会計年度末と比べて9,022百万円減少しました。これは、主に現金及び預金が9,758百万円減少したことによるものであります。
固定資産は1,949百万円となり、前連結会計年度末と比べて263百万円増加しました。これは、主にソフトウエアが160百万円、投資有価証券が108百万円増加したことによるものであります。
(負債)
当連結会計年度末の負債合計は6,731百万円となり、前連結会計年度末と比べて844百万円増加しました。
流動負債は6,671百万円となり、前連結会計年度末と比べて869百万円増加しました。これは、主に買掛金が350百万円、未払金が315百万円、未払法人税等が322百万円増加したことによるものであります。
固定負債は59百万円となり、前連結会計年度末と比べて25百万円減少しました。
(純資産)
当連結会計年度末の純資産合計は12,860百万円となり、前連結会計年度末と比べて9,603百万円減少しました。これは、主に利益剰余金が剰余金の配当により1,446百万円減少し、親会社株主に帰属する当期純利益の計上により2,855百万円増加したものの、自己株式が10,996百万円増加したことによるものであります。
④キャッシュ・フロー
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)の残高は11,775百万円となり、前連結会計年度末と比べて9,758百万円減少しました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果獲得した資金は3,461百万円(前期は3,499百万円の獲得)となりました。これは、主に税金等調整前当期純利益が4,114百万円であり、プラス要因として、減価償却費が370百万円であったものの、マイナス要因として、売上債権の増加額が446百万円、法人税等の支払額が977百万円であったことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は708百万円(前期は404百万円の使用)となりました。これは、主に無形固定資産の取得による支出が347百万円、投資有価証券の取得による支出が163百万円、事業譲受による支出が130百万円であったことによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果使用した資金は12,511百万円(前期は1,745百万円の使用)となりました。これは、主に自己株式の取得による支出が11,063百万円であったことによるものであります。
⑤キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容については、「④キャッシュ・フロー」をご覧ください。
当社グループの資金需要の主なものは、顧客であるコマース事業者のパフォーマンス(流通総額)を最大化するためマーケティングソリューションの効果向上及び今後の成長に向けた新たな領域等へのサービス開発・投資のほか、事業規模の拡大に伴い需要が高まる運転資金であります。これらの資金需要は自己資金で賄うことを基本とし、必要に応じて外部からの資金調達を実施します。