有価証券報告書-第19期(平成29年8月1日-平成30年7月31日)

【提出】
2018/10/24 10:09
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113項目
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
(1) 経営成績
当連結会計年度におけるわが国経済は、世界的な政治・経済環境の変動による影響等により、経済全般に対する中長期的影響について引き続き先行き不透明な状況が続いております。
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたって、有価証券・固定資産の減損、たな卸資産の評価、減価償却資産の耐用年数の設定、貸倒引当金の設定等の重要な会計方針及び見積りに関する判断を行っています。当社グループの経営陣は、過去の実績や状況等に応じ合理的と考えられる様々な要因に基づき、見積り及び判断を行い、それらに対して継続して評価を行っております。また実際の結果は、見積りの不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。
当社グループは、法人事業において、主に既存クライアントに対するシステムコンサルティング業務による売上を計上しました。前期実績に比べ売上は拡大したものの、グループ子会社の新規事業展開に伴うコスト増加等の影響により、セグメント損失が発生しました。コンシューマー事業においては、スマートフォン向け無料提供アプリ「バーコードリーダー/アイコニット」のスマートフォン向け広告収入が堅調に拡大しつつありますが、コンシューマー向けコンテンツの入れ替え等の影響により、前期実績に比べ売上及びセグメント利益が減少しました。その結果、当連結会計年度の売上高は、1,502,212千円(前年同期比1.7%減)、営業損失は、173,417千円(前年同期は、14,267千円の営業損失)、経常損失は、117,569千円(前年同期は、100,560千円の経常利益)、親会社株主に帰属する当期純損失は、88,825千円(前年同期は、59,867千円の親会社株主に帰属する当期純利益)となりました。
なお、当社グループは、経営方針・経営戦略又は経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標として、法人事業においてはRPA(ロボットによる業務自動化)ツール導入ライセンス数を、コンシューマー事業においては「バーコードリーダー/アイコニット」の累計ダウンロード数を重要視しております。これらについては、セグメントごとの経営成績において詳細を記載しております。
連結損益計算書における区分ごとの内訳は以下の通りです。
① 営業損益
当連結会計年度の営業損益において、売上高は、1,502,212千円(前年同期比1.7%減)、売上原価は、1,229,321千円(前年同期比10.6%増)、販売費及び一般管理費は、446,309千円(前年同期比3.8%増)となり、差引173,417千円の営業損失(前年同期は、14,267千円の営業損失)を計上しております。法人事業においては、主として前連結会計年度に比べ受注が増加した一方で、将来の基幹事業の創生を目指して従来の枠組みを超えた新規事業領域へ積極的な人的資源の投下を行った結果、増収・減益となっております。コンシューマー事業においては、主として前連結会計年度に比べスマートフォン向けのビジネスの売上及び利益率が向上した一方で、既存のフィーチャーフォン向けビジネスが継続して減収傾向にあり、また、新規ビジネスの立ち上げに際して、初期コストが発生した影響等から、減収・減益となっております。
② 営業外損益
当連結会計年度の営業外損益については、営業外収益を61,896千円(前年同期比66.2%減)、営業外費用を6,048千円(前年同期比91.1%減)計上し、差引55,847千円の利益(前年同期比51.4%減)を計上しております。このうち主なものは、受取利息24,841千円、投資有価証券売却益19,120千円及び助成金収入9,206千円です。
③ 特別損益
当連結会計年度の特別損益については、特別利益の計上はなく(前年同期は8,067千円の特別利益を計上)、特別損失は10,025千円(前年同期比22.6%減)計上しております。このうち主なものは、将来の関係会社整理の際に発生する損失を見越して計上した関係会社整理損失引当金繰入額5,041千円及び減損損失4,140千円です。
④ その他
法人税、住民税及び事業税△4,750千円(前年同期は、22,060千円)を計上しております。
この他、法人税等調整額を△634千円(前年同期は、14,154千円)、非支配株主に帰属する当期純損失を33,384千円(前年同期は404千円の非支配株主に帰属する当期純損失)計上しているため、税金等調整前当期純損失127,595千円(前年同期は、95,678千円の税金等調整前当期純利益)に対し、親会社株主に帰属する当期純損失を88,825千円(前年同期は、59,867千円の親会社株主に帰属する当期純利益)計上しております。
セグメントごとの経営成績は以下の通りです。
(法人事業)
法人事業においては、主に既存クライアントに対するシステムコンサルティングサービスを実施しました。国内クライアント企業向けRPA(ロボットによる業務自動化)ツール導入のコンサルティング業務が拡大しつつあります。平成30年7月末時点のRPAツールの導入ライセンス数は205ライセンスに達し、堅調に拡大しつつあります。前期実績に比べ売上は拡大したものの、グループ子会社の新規事業展開に伴うコスト増加等の影響により、セグメント損失が発生しました。その結果、同事業の当連結会計年度の売上高は、1,180,154千円(前年同期比2.2%増)、セグメント損失は、8,170千円 (前年同期は、94,205千円のセグメント利益)となりました。
(コンシューマー事業)
コンシューマー事業においては、スマートフォン向け無料提供アプリ「バーコードリーダー/アイコニット」の累計ダウンロード数が経営上の重要な指標となります。「バーコードリーダー/アイコニット」の累計ダウンロード数は平成30年7月に累計2,800万ダウンロードを達成し、スマートフォン向け広告収入が堅調に拡大しつつありますが、コンシューマー向けコンテンツの入れ替え等の影響により、前期実績に比べ売上及びセグメント利益が減少しました。その結果、同事業の当連結会計年度の売上高は、321,973千円(前年同期比13.7%減)、セグメント利益は、61,839千円(前年同期比23.5%減)となりました。
(その他)
その他においては、当連結会計年度に新設した研究開発部門にて、動画配信、画像解析及び人工知能等の分野の研究開発を中心とした事業活動を実施しました。研究開発費は、主として研究開発部門に配属された研究開発要員の人件費によるものです。また、一部に売上が発生しておりますが、現段階での研究開発活動における副次的な産物であり、僅少な金額に留まっております。その結果、当連結会計年度の売上高は、84千円、セグメント損失は、38,040千円となりました。
生産、受注及び販売の実績は、次の通りです。
① 生産実績
当社グループは、生産実績に関する該当事項はありません。
② 受注実績
セグメントの名称受注高(千円)前年同期比(%)受注残高(千円)前年同期比(%)
法人事業1,186,189△2.6128,620+4.9
合計1,186,189△2.6128,620+4.9

(注) 1 金額には、消費税等は含まれておりません。
2 セグメント間取引については、相殺消去しております。
3 コンシューマー事業及びその他については、一部受注実績がございますが、金額的重要性が乏しいため記載を省略しております。
③ 販売実績
セグメントの名称金額(千円)前年同期比(%)
法人事業1,180,154+2.2%
コンシューマー事業321,973△13.7%
その他84
合計1,502,212△1.7%

(注) 1 金額には、消費税等は含まれておりません。
2 セグメント間取引については、相殺消去しております。
3 その他は、当連結会計年度に新設した研究開発部門の事業活動によるものです。
4 主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次の通りです。
相手先前連結会計年度
(自 平成28年8月1日
至 平成29年7月31日)
当連結会計年度
(自 平成29年8月1日
至 平成30年7月31日)
販売高(千円)割合(%)販売高(千円)割合(%)
株式会社ドクターシーラボ256,91416.8272,18018.1
トランスコスモス株式会社101,6746.7154,59310.3

(注) 金額には、消費税等は含まれておりません。
(2) 財政状態
① 資産
資産の総額は、2,197,312千円(前年同期比11.0%減)です。
流動資産は、総資産の58.5%に相当する1,285,948千円(前年同期比12.7%減)です。流動資産の前連結会計年度からの減少額は、187,555千円となっておりますが、この主要因は、現金及び預金が154,964千円減少したこと並びに売掛金が83,773千円減少したことによるものです。また、現金及び預金の残高は、967,282千円(前年同期比13.8%減)となっており、流動資産の大きな割合を占めております。
固定資産は、総資産の41.5%に相当する911,363千円(前年同期比8.5%減)です。
有形固定資産は、総資産の0.7%に相当する16,307千円(前年同期比1.1%減)、無形固定資産は、総資産の0.1%に相当する2,732千円(前年同期比25.6%減)であり、いずれも僅少な割合となっております。
投資その他の資産は、総資産の40.6%に相当する892,323千円(前年同期比8.6%減)です。減少の主要因は、投資有価証券が84,663千円減少したことによるものです。長期滞留債権が26,650千円計上されておりますが、全額に相当する26,650千円について貸倒引当金が計上済みであるため、貸倒れの確定による多額の追加損失発生の恐れはありません。また、投資有価証券が797,519千円計上されておりますが、このうち779,708千円は時価を有する性質のものです。
② 負債
負債の総額は、負債純資産合計の27.9%に相当する612,614千円(前年同期比11.2%減)です。
流動負債は、負債純資産合計の17.5%に相当する384,179千円(前年同期比18.3%減)となっております。流動負債の前連結会計年度からの減少額は、85,920千円となっておりますが、この主要因は、短期借入金が80,000千円減少したこと、未払法人税等が6,150千円減少したこと及び1年内返済予定の長期借入金が4,666千円減少したことによるものです。
固定負債は、負債純資産合計の10.4%に相当する228,434千円(前年同期比4.1%増)となっております。前連結会計年度からの増加額は、8,895千円となっておりますが、この主要因は、長期借入金が9,240千円増加したことによるものです。
③ 純資産
純資産の総額は、1,584,698千円(前年同期比11.0%減)であり、自己資本比率は、70.0%と高い水準を維持しております。純資産の前連結会計年度からの減少額は、195,429千円となっておりますが、この主要因は、その他有価証券評価差額金が72,798千円減少したこと、非支配株主持分が34,013千円減少したこと及び親会社株主に帰属する当期純損失を計上したことにより利益剰余金が88,825千円減少したことによるものです。
(3) キャッシュ・フロー
当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、期首に比べ129,890千円減少し、当連結会計年度末には1,010,494千円(前年同期は、1,140,384千円)となりました。
また、当連結会計年度における各キャッシュ・フローは次の通りです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは、68,680千円の支出(前年同期は、14,437千円の支出)となりました。これは、主として売上債権が83,958千円減少した一方で、32,384千円の受取利息及び受取配当金並びに19,120千円の投資有価証券売却益を計上した上で、税金等調整前当期純損失を127,595千円計上したことによるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは、13,624千円の収入(前年同期は、49,069千円の支出)となりました。これは、主として投資有価証券の取得・売却により差引30,947千円を受け取ったことによるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における財務活動によるキャッシュ・フローは、74,589千円の支出(前年同期は、93,193千円の収入)となりました。これは、主として長期借入金の借入れ及び返済により差引4,574千円の収入を得た一方で、短期借入金の返済により80,000千円を支払ったことによるものです。
当連結会計年度は、主として自己資金及び金融機関からの借入金により所要資金を賄いました。当連結会計年度において営業損失を計上しておりますが、年間の総費用に比して多額の現金及び現金同等物を有しているため、当面事業を継続していくうえで十分な流動性を確保しているものと考えております。また、当連結会計年度末現在において重要な資本的支出が発生する予定はございません。