有価証券報告書-第21期(平成30年4月1日-平成31年3月31日)
(1) 経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度(2018年4月1日から2019年3月31日まで)におけるわが国経済は、相次ぐ自然災害の影響を受けたものの企業収益の改善や雇用環境の好転が見られ、緩やかな回復の兆しを見せました。いっぽうで、新興国の景気下振れや米中貿易摩擦、朝鮮半島など地政学的リスク、深刻な人手不足が懸念されており、先行き不透明な状況にあります。
当社グループの主な事業領域でありますIT関連業界におきましては、IT需要は堅調に推移しましたが、人手不足の深刻化や受注獲得競争の激化の懸念が生じております。また、5G、MaaSをはじめとする技術革新や新サービスの登場により、ビジネス環境の激変が迫っております。
このような市場環境の中、当社は、前期(2018年3月期)の黒字回復を踏まえ、業績の安定化と拡張を最優先の課題として独自事業の開発・提供と不採算案件の整理に注力いたしました。特に、2020年東京オリンピック/パラリンピックに向けて本格化する無線LANなどの設備投資需要の取り込みや鉄道広告をはじめとするメディアから実店舗への送客を図るMMS(Media to Mobile toStore)サービスなどに重点的に取り組みつつ、採算が悪化したクラウド型通訳サービス「J-TALK」の縮小など、事業転換に取り組みました。
人員増などにより販売費及び一般管理費が増加し、第1四半期から第3四半期まで赤字を計上いたしましたが、第4四半期において各事業分野特にワイヤレス・イノベーション事業において大型案件を計上するなど損益が改善し、通期で黒字を回復することができました。
以上の結果、当連結会計年度の財政状態及び経営成績は以下のとおりとなりました。
a.財政状態
当連結会計年度末の資産合計は、前連結会計年度末に比べ221,077千円増加し、1,032,137千円となりました。
当連結会計年度末の負債合計は、前連結会計年度末に比べ129,456千円増加し、298,918千円となりました。
当連結会計年度末の純資産合計は、前連結会計年度末に比べ91,620千円増加し、733,219千円となりました。
b.経営成績
当連結会計年度の経営成績は、売上高1,482,455千円(前年比16.9%増)、営業利益81,146千円(前期比223.6%増)、経常利益83,741千円(前期比227.5%増)、親会社株主に帰属する当期純利益63,118千円(前期比309.4%増)となりました。
セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。
なお、各事業分野のセグメント利益又は損失(営業利益又は損失、以下同)は、全社費用96,061千円(前期90,416千円)を含まない額であります。
・ナビゲーション事業分野
ナビゲーション事業分野においては、鉄道等社会インフラ提供事業者向けのシステム開発・サービス提供を行っております。
当事業分野においては、従来より株式会社ジェイアール東日本企画向けに時刻表や経路探索技術の提供などを行っており、当初計画どおり推移しております。これに加えて、交通系ICカードに関わる交通費精算クラウドサービス「transit manager」の販売、私鉄事業者向けの鉄道アプリ開発が順調に推移いたしました。
この結果、当事業分野の売上高は214,041千円(前年比7.5%増)、セグメント利益は71,918千円(前年比54.2%増)となりました。
・ワイヤレス・イノベーション事業分野
ワイヤレス・イノベーション事業分野においては、無線LAN等の社会インフラ間のハブとなるシステム開発・サービス提供を行っております。
無線LANの各種システム・サービスについては、エヌ・ティ・ティ・ブロードバンドプラットフォーム株式会社(NTTBP)との協力により、通信・鉄道・流通や自治体をはじめとする無線LANスポット提供事業者に対して事業展開を進めております。保守運用については予定通り進捗し、新規構築についても、通信事業者向け構築案件などが堅調に推移いたしました。これに加えて、当社独自の新商品・サービスであるAir Compass Media(車載サーバ)やIgniteNet製品及びクラウド管理システムの販売に注力し伸長いたしました。
この結果、当事業分野の売上高は1,051,094千円(前年比22.6%増)、セグメント利益は169,497千円(前年比3.7%増)となりました。
・ソリューション事業分野
ソリューション事業分野においては、上記以外の映像配信システム事業、TVメタデータのASP事業、コンテンツプリント事業、O2O2O事業・MMS事業等を行っております。
その中でもO2O2O事業・MMS事業等の新規事業を当事業分野の主要な柱とすべく重点的に取り組んでおります。一方で採算性の低いクラウド型通訳サービスJ-TALKの縮小や人員のシフトを進めるなど費用削減を進めました。第4四半期においては、飲食店向けのアプリ開発などが上乗せされ収支も改善されました。
この結果、当事業分野の売上高は217,319千円(前年比3.0%増)、セグメント損失は64,208千円(前期94,658千円の損失)となりました。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、196,773千円となり、前連結会計年度末と比べ、1,053千円減少いたしました。なお、当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は以下のとおりです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果減少した資金は、3,841千円となりました。
これは主に、税金等調整前当期純利益82,314千円、仕入債務の増加86,404千円、未払金の増加19,236千円、株式報酬費用22,020千円、その他の増加10,341千円等による資金増加と、売上債権の増加229,791千円等の資金の減少によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果減少した資金は、3,356千円となりました。
これは主に、貸付金の回収による収入2,404千円による資金増加と、有形固定資産の取得による支出2,048千円、無形固定資産の取得による支出3,272千円等の資金の減少によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によって得られた資金は、6,145千円となりました。
これは新株予約権の行使による株式の発行による収入1,219千円と新株予約権の発行による収入4,926千円の資金の増加によるものであります。
(参考) キャッシュ・フロー関連指標の推移
| 2018年3月期 | 2019年3月期 | |
| 自己資本比率 | 74.7 | 65.0 |
| 時価ベースの自己資本比率 | 542.5 | 257.8 |
| キャッシュ・フロー対有利子 負債比率 | ― | ― |
| インタレスト・カバレッジ・ レシオ | ― | ― |
(注)1 各指標の計算方法は、次のとおりであります。
| ・自己資本比率 | 自己資本/総資産 |
| ・時価ベースの自己資本比率 | 株式時価総額/総資産 |
| ・キャッシュ・フロー対有利子負債比率 | 有利子負債/キャッシュ・フロー |
| ・インタレスト・カバレッジ・レシオ | キャッシュ・フロー/利払い |
2 株式時価総額は自己株式を除く発行済株式数をベースに計算しております。
3 キャッシュ・フローは、キャッシュ・フロー計算書の営業活動によるキャッシュ・フローを利用しております。
4 有利子負債は、貸借対照表に計上されている負債のうち利子を支払っている全ての負債を対象としています。また、利払いについては、キャッシュ・フロー計算書の利息の支払額を使用しております。
③ 生産、受注及び販売の実績
a 生産実績
当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
| セグメントの名称 | 当連結会計年度 (自 2018年4月1日 至 2019年3月31日) | |
| 金額(千円) | 前年同期比(%) | |
| ナビゲーション事業 | 72,955 | 81.7 |
| ワイヤレス・イノベーション事業 | 621,122 | 129.9 |
| ソリューション事業 | 132,205 | 88.7 |
| 合計 | 826,282 | 115.3 |
(注) 1 金額は製造原価によっております。
2 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
b 受注状況
・受注状況
当連結会計年度の受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
| セグメントの名称 | 当連結会計年度 (自 2018年4月1日 至 2019年3月31日) | |
| 金額(千円) | 前年同期比(%) | |
| ナビゲーション事業 | 221,652 | 108.2 |
| ワイヤレス・イノベーション事業 | 1,433,726 | 169.4 |
| ソリューション事業 | 411,493 | 252.5 |
| 合計 | 2,066,872 | 170.2 |
(注) 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
・受注残高
当連結会計年度の受注残高をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
| セグメントの名称 | 当連結会計年度 (自 2018年4月1日 至 2019年3月31日) | |
| 金額(千円) | 前年同期比(%) | |
| ナビゲーション事業 | 150,681 | 105.3 |
| ワイヤレス・イノベーション事業 | 906,496 | 173.0 |
| ソリューション事業 | 290,000 | 302.6 |
| 合計 | 1,347,177 | 176.6 |
(注) 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
c 販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
| セグメントの名称 | 当連結会計年度 (自 2018年4月1日 至 2019年3月31日) | |
| 金額(千円) | 前年同期比(%) | |
| ナビゲーション事業 | 214,041 | 107.5 |
| ワイヤレス・イノベーション事業 | 1,051,094 | 122.5 |
| ソリューション事業 | 217,319 | 103.0 |
| 合計 | 1,482,455 | 116.9 |
(注) 1 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
2 主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
| 相手先名 | 前連結会計年度 (自 2017年4月1日 至 2018年3月31日) | 当連結会計年度 (自 2018年4月1日 至 2019年3月31日) | ||
| 金額(千円) | 構成比 (%) | 金額(千円) | 構成比 (%) | |
| エヌ・ティ・ティ・ブロードバンドプラットフォーム株式会社 | 726,398 | 57.4 | 913,899 | 61.6 |
| 株式会社ジェイアール東日本企画 | 138,732 | 11.0 | 183,604 | 12.4 |
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表の作成にあたり、当社が採用している重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載のとおりであります。
② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
a 経営成績等
財政状況
(資産合計)
当連結会計年度末の資産総額は1,032,137千円となり、前連結会計年度末に比べて221,077千円増加いたしました。流動資産は912,626千円となり、224,979千円増加いたしました。主な原因は、売掛金が229,791千円増加したこととなどです。固定資産は119,511千円となり、3,902千円減少いたしました。主な原因は、有形固定資産が2,894千円減少したことなどです。
(負債合計)
当連結会計年度末の負債合計は298,918千円となり、前連結会計年度末に比べて129,456千円増加いたしました。流動負債は284,607千円となり、129,545千円増加いたしました。主な原因は、買掛金86,404千円、未払金19,236千円の増加などです。固定負債は14,310千円となり89千円減少いたしました。
(純資産)
当連結会計年度末の純資産は733,219千円となり、前連結会計年度末に比べて91,620千円増加いたしました。主な原因は、利益剰余金63,118千円の増加と新株予約権25,985千円の増加などです。この結果、自己資本比率は、前連結会計年度末の75.4%から65.00%となりました。
経営成績
(売上高)
売上高は、主にワイヤレス・イノベーション事業を中心に各事業とも前年比で増加したことにより、1,482,455千円(前年比16.9%増)となりました。
(営業利益)
売上原価は前連結会計年度に比べ56,378千円増加の829,502千円となりました。販売費及び一般管理費は前連結会計年度に比べ102,205千円増加の571,806千円となりました。
(親会社株主に帰属する当期純利益)
当連結会計年度における親会社株主に帰属する当期純利益は、前連結会計年度に比べ47,700千円増加の63,118千円となりました。
キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの状況については、「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
b 経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
当社グループの主な事業領域でありますIT関連業界におきましては、IT需要は堅調に推移しましたが、人手不足の深刻化や受注獲得競争の激化の懸念が生じております。また、売上高の大きい有力顧客上位2社に占める割合は74.0%と、依存度が非常に高い状況となっております。
有力顧客とは、すでに複数年にわたる安定的な取引をいただいておりますが、ビジネスの継続性が確保されているわけではありません。また、有力顧客において、そのニーズ飽和や景気変動などの原因で、当社への発注が急減する可能性があります。このため、顧客ニーズの深耕を通して、より強固な関係を構築するため、多様なサービスの提案営業や人的交流に取り組んでいます。更に、当社は、独自事業の開発・提供に注力し、2020年東京オリンピック/パラリンピックに向けて本格化する設備投資・インバウンド需要等の取り込みやテレビ放送から実店舗への送客を図るO2O2Oサービス、鉄道広告をはじめとするメディアから実店舗への送客を図るMMSサービスなど、これまでに築き上げた経験・技術・人脈を最大限に活用し、事業転換に取り組むこととしております。
また、人材不足に対しては、新卒採用と育成に重点を置いて確保に努めるとともに、協力会社との緊密な関係を構築することで、機会損失の無いように取り組んでまいります。
c 資本の財源及び資金の流動性
当社グループの資金状況は、営業活動によるキャッシュ・フローが前年同期に比べ81,867千円の支出増加、投資活動によるキャッシュ・フローは前年同期に比べ6,211千円の支出減少、財務活動によるキャッシュ・フローは前年同期に比べ6,791千円の収入減少となりました。その結果、当連結会計年度末の現金及び現金同等物の残高は、前連結会計年度末より1,053千円減少し、196,773千円となりました。
当社は無借金経営を継続しており、現在の現預金残高を考慮致しますと当面の設備投資や利益成長が見込める分野への投資は自己資金で賄う予定であります。
③ 事業等のリスクに記載した重要事象等についての分析・検討内容及び当該重要事象等を解消し、又は改善するための対応策
該当事項はありません。