有価証券報告書-第23期(令和2年4月1日-令和3年3月31日)
(1) 経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度(2020年4月1日から2021年3月31日まで)におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の世界的流行と首都圏における二度の緊急事態宣言発令等に伴う経済活動の委縮によって大幅に後退し深刻な不況に突入いたしました。
当社グループの主な事業領域でありますIT関連業界におきましては、不況の直撃は辛うじて受けなかったものの、顧客の各業種における影響は大小様々であり、IT投資に対する動向が不透明な状況が生じております。これにより、受注獲得競争の激化の懸念が生じているほか、5G、MaaSをはじめとする技術革新や新サービスの登場により、ビジネス環境の激変が迫っております。一方、テレワークの普及により、ネットワークなど一部の分野においてはビジネスチャンスとなっております。
このような市場環境の中、当社は、業績の安定化と拡張を最優先の課題として、既存事業の継続的な取り組みに加えて独自事業の開発・提供と不採算案件の整理に注力いたしました。特に、一年延期となった東京オリンピック/パラリンピックに向けて本格化する無線LANなどの設備投資需要の取り込みや鉄道広告をはじめとするメディアから実店舗への送客を図るMMS(Media to Mobile to Store)サービスなどに重点的に取り組みました。
販売費及び一般管理費については、開発効率の向上による労務費等の減少、新型コロナウイルス感染症拡大を受けた出張の削減、テレワーク・WEB会議推奨による旅費交通費等の経費発生が抑制され、前連結会計年度と比較し減少いたしました。モビリティ・イノベーション事業分野、ワイヤレス・イノベーション事後分野は減収となったものの、ソリューション事業分野においてハードウェア販売等による売上高が増加し、ある程度カバーすることができました。売上高減少により売上総利益も減少し第3四半期まで営業赤字が続きましたが、期末の各案件の利益率が予定より向上し、販売費及び一般管理費も抑制できたことから、通期において営業利益を計上することができました。
以上の結果、当連結会計年度の財政状態及び経営成績は以下のとおりとなりました。
a.財政状態
当連結会計年度末の資産合計は、前連結会計年度末に比べ115,669千円増加し、1,314,731千円となりました。
当連結会計年度末の負債合計は、前連結会計年度末に比べ35,333千円増加し、384,102千円となりました。
当連結会計年度末の純資産合計は、前連結会計年度末に比べ80,336千円増加し、930,628千円となりました。
b.経営成績
当連結会計年度の経営成績は、売上高1,344,062千円(前年比10.1%減)、営業利益46,991千円(前期比53.7%減)、経常利益59,261千円(前期比49.0%減)、親会社株主に帰属する当期純利益41,458千円(前期比53.3%減)となりました。
セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。
なお、第1四半期連結会計期間よりナビゲーション事業分野について、モビリティ・イノベーション事業分野に名称を変更いたしました。
また、各事業分野のセグメント利益又は損失(営業利益又は損失、以下同)は、全社費用100,341千円(前期100,436千円)を含まない額であります。
・モビリティ・イノベーション事業分野
モビリティ・イノベーション事業分野においては、鉄道等社会インフラ提供事業者向けのシステム開発・サービス提供を行っております。
当事業分野においては、従来より株式会社ジェイアール東日本企画向けに時刻表や経路探索技術の提供などを行っており、ほぼ当初計画どおり推移いたしました。これに加えて、交通系ICカードに関わる交通費精算クラウドサービス「transit manager」の販売、私鉄事業者向けの鉄道アプリ開発に取り組み業績を上乗せしたものの、MaaS関連など新規分野については小規模に留まり、全体としては減収減益となりました。
この結果、当事業分野の売上高は225,531千円(前年比9.8%減)、セグメント利益は60,013千円(前年比26.5%減)となりました。
・ワイヤレス・イノベーション事業分野
ワイヤレス・イノベーション事業分野においては、無線LAN等の社会インフラ間のハブとなるシステム開発・サービス提供を行っております。
無線LANの各種システム・サービスについては、エヌ・ティ・ティ・ブロードバンドプラットフォーム株式会社(NTTBP)との協力により、通信・鉄道・流通や自治体をはじめとする無線LANスポット提供事業者に対して事業展開を進めております。保守運用については予定通り進捗しましたが、新規構築については大規模案件の獲得に苦戦いたしました。その他、通信キャリアと共同で、農業・水産業向けのIoTに取り組みましたが収益への貢献は限定的となり、全体としては減収減益となりました。
この結果、当事業分野の売上高は812,597千円(前年比20.5%減)、セグメント利益は87,790千円(前年比35.5%減)となりました。
・ソリューション事業分野
ソリューション事業分野においては、上記以外の映像配信システム事業、TVメタデータのASP事業、コンテンツプリント事業、O2O2O事業・MMS事業等を行っております。
その中でもO2O2O事業・MMS事業等の新規事業を当事業分野の主要な柱とすべく重点的に取り組みました。第3四半期までコロナ禍の影響で苦戦いたしましたが、第4四半期を中心に、自治体・事業会社向けのIgniteNETなどハードウェア販売が伸長したほか、駐車場向けのアプリ開発などの大型案件が上乗せされ、増収となり収益も改善されました。
この結果、当事業分野の売上高は305,934千円(前年比37.8%増)、セグメント損失は469千円(前期15,923千円の損失)となりました。
<新型コロナウイルス感染症の影響について>各事業共通して新型コロナウイルス感染症の影響を受けておりますが、特に、モビリティ・イノベーション事業分野においては、鉄道利用者の減少を受けて、顧客の事業投資動向が不透明な状況となり、ソリューション事業分野においても、主要顧客である流通業界において商業施設の閉鎖・営業の縮小など直撃を受けました。また、全般として、顧客等の事業投資の動向が不明瞭であること、営業・提案活動に制約を受けていることから、各事業分野の見通しを合理的に算定することが困難となっております。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、445,017千円となり、前連結会計年度末と比べ、126,546千円増加いたしました。なお、当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は以下のとおりです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果減少した資金は、28,305千円となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益56,349千円、売上債権の減少47,266千円、株式報酬費用38,777千円等による資金増加と、仕入債務の減少115,202千円、未払金の減少21,824千円、その他の減少14,509千円等の資金の減少によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果減少した資金は、45,148千円となりました。これは主に、貸付金の回収による収入2,574千円、敷金及び保証金の回収による収入10,000千円による資金増加と、有形固定資産の取得による支出5,566千円、投資有価証券の取得による支出50,038千円等の資金の減少によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によって得られた資金は、200,000千円となりました。これは短期借入による収入400,000千円
と短期借入金の返済による支出200,000千円によるものであります。
(参考) キャッシュ・フロー関連指標の推移
| 2020年3月期 | 2021年3月期 | |
| 自己資本比率(%) | 63.4 | 61.0 |
| 時価ベースの自己資本比率(%) | 137.5 | 156.8 |
| キャッシュ・フロー対有利子 負債比率(年) | ― | △706.6 |
| インタレスト・カバレッジ・ レシオ(倍) | 292.2 | △13.5 |
(注)1 各指標の計算方法は、次のとおりであります。
| ・自己資本比率 | 自己資本/総資産 |
| ・時価ベースの自己資本比率 | 株式時価総額/総資産 |
| ・キャッシュ・フロー対有利子負債比率 | 有利子負債/キャッシュ・フロー |
| ・インタレスト・カバレッジ・レシオ | キャッシュ・フロー/利払い |
2 株式時価総額は自己株式を除く発行済株式数をベースに計算しております。
3 キャッシュ・フローは、キャッシュ・フロー計算書の営業活動によるキャッシュ・フローを利用しております。
4 有利子負債は、貸借対照表に計上されている負債のうち利子を支払っている全ての負債を対象としています。また、利払いについては、キャッシュ・フロー計算書の利息の支払額を使用しております。
③ 生産、受注及び販売の実績
a 生産実績
当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
| セグメントの名称 | 当連結会計年度 (自 2020年3月31日 至 2021年3月31日) | |
| 金額(千円) | 前年同期比(%) | |
| モビリティ・イノベーション事業 | 80,937 | 103.0 |
| ワイヤレス・イノベーション事業 | 451,966 | 78.8 |
| ソリューション事業 | 192,710 | 146.8 |
| 合計 | 725,614 | 92.5 |
(注) 1 金額は製造原価によっております。
2 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
b 受注状況
・受注状況
当連結会計年度の受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
| セグメントの名称 | 当連結会計年度 (自 2020年4月1日 至 2021年3月31日) | |
| 金額(千円) | 前年同期比(%) | |
| モビリティ・イノベーション事業 | 139,889 | 52.0 |
| ワイヤレス・イノベーション事業 | 1,282,325 | 198.5 |
| ソリューション事業 | 381,902 | 267.1 |
| 合計 | 1,804,116 | 170.5 |
(注) 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
・受注残高
当連結会計年度の受注残高をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
| セグメントの名称 | 当連結会計年度 (自 2020年4月1日 至 2021年3月31日) | |
| 金額(千円) | 前年同期比(%) | |
| モビリティ・イノベーション事業 | 84,216 | 49.6 |
| ワイヤレス・イノベーション事業 | 1,000,000 | 188.6 |
| ソリューション事業 | 286,850 | 136.0 |
| 合計 | 1,371,066 | 150.5 |
(注) 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
c 販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
| セグメントの名称 | 当連結会計年度 (自 2020年4月1日 至 2021年3月31日) | |
| 金額(千円) | 前年同期比(%) | |
| モビリティ・イノベーション事業 | 225,531 | 90.2 |
| ワイヤレス・イノベーション事業 | 812,597 | 79.5 |
| ソリューション事業 | 305,934 | 137.8 |
| 合計 | 1,344,062 | 89.9 |
(注) 1 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
2 主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
| 相手先名 | 前連結会計年度 (自 2019年4月1日 至 2020年3月31日) | 当連結会計年度 (自 2020年4月1日 至 2021年3月31日) | ||
| 金額(千円) | 構成比 (%) | 金額(千円) | 構成比 (%) | |
| エヌ・ティ・ティ・ブロードバンドプラットフォーム株式会社 | 892,880 | 59.8 | 725,455 | 54.0 |
| 株式会社ジェイアール東日本企画 | 216,267 | 14.5 | 154,145 | 11.5 |
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表の作成にあたり、当社が採用している重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載のとおりであります。
② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
a 経営成績等
財政状況
(資産合計)
当連結会計年度末の資産総額は1,314,731千円となり、前連結会計年度末に比べて115,669千円増加いたしました。流動資産は1,134,068千円となり、81,079千円増加いたしました。主な原因は現金及び預金126,546千円の増加、売掛金47,266千円の減少などです。固定資産は180,663千円となり、34,590千円増加いたしました。主な原因は、投資その他の資産40,564千円の増加などです。
(負債合計)
当連結会計年度末の負債合計は384,102千円となり、前連結会計年度末に比べて35,333千円増加いたしました。流動負債は356,156千円となり、35,761千円増加いたしました。主な原因は、買掛金115,202千円の減少、未払金21,824千円の減少、短期借入金200,000千円の増加などです。固定負債は27,946千円となり427千円減少いたしました。主な原因は繰延税金負債579千円の減少などです。
(純資産)
当連結会計年度末の純資産は930,628千円となり、前連結会計年度末に比べて80,336千円増加いたしました。主な原因は、利益剰余金41,458千円の増加と新株予約権38,777千円の増加などです。この結果、自己資本比率は、前連結会計年度末の63.4%から61.0%となりました。
経営成績
(売上高)
売上高は、ソリューション事業は増加したものの、モビリティ・イノベーション事業・ワイヤレスイノベーション事業は前年比で減少したことにより、1,344,062千円(前年比10.1%減)となりました。
(営業利益)
売上原価は前連結会計年度に比べ44,629千円減少の728,021千円となりました。販売費及び一般管理費は前連結会計年度に比べ51,226千円減少の569,049千円となりました。
(親会社株主に帰属する当期純利益)
当連結会計年度における親会社株主に帰属する当期純利益は、前連結会計年度に比べ47,407千円減少の41,458千円となりました。
キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの状況については、「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
b 経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
当社グループの主な事業領域でありますIT関連業界におきましては、IT需要は堅調に推移しましたが、人手不足の深刻化や受注獲得競争の激化の懸念が生じております。また、売上高の大きい有力顧客上位2社に占める割合は65.4%と、依存度が非常に高い状況となっております。
有力顧客とは、すでに複数年にわたる安定的な取引をいただいておりますが、ビジネスの継続性が確保されているわけではありません。また、有力顧客において、そのニーズ飽和や景気変動などの原因で、当社への発注が急減する可能性があります。このため、顧客ニーズの深耕を通して、より強固な関係を構築するため、多様なサービスの提案営業や人的交流に取り組んでいます。更に、当社は、独自事業の開発・提供に注力し、2020年東京オリンピック/パラリンピックに向けて本格化する設備投資・インバウンド需要等の取り込みやテレビ放送から実店舗への送客を図るO2O2Oサービス、鉄道広告をはじめとするメディアから実店舗への送客を図るMMSサービスなど、これまでに築き上げた経験・技術・人脈を最大限に活用し、事業転換に取り組むこととしております。
また、人材不足に対しては、新卒採用と育成に重点を置いて確保に努めるとともに、協力会社との緊密な関係を構築することで、機会損失の無いように取り組んでまいります。
c 資本の財源及び資金の流動性
当社グループの資金状況は、営業活動によるキャッシュ・フローが前年同期に比べ156,643千円の支出増加、投資活動によるキャッシュ・フローは前年同期に比べ37,964千円の支出増加、財務活動によるキャッシュ・フローは前年同期に比べ199,456千円の収入増加となりました。その結果、当連結会計年度末の現金及び現金同等物の残高は、前連結会計年度末より126,546千円増加し、445,017千円となりました。
③ 事業等のリスクに記載した重要事象等についての分析・検討内容及び当該重要事象等を解消し、又は改善するための対応策
該当事項はありません。