有価証券報告書-第21期(平成30年4月1日-平成31年3月31日)

【提出】
2019/06/24 15:36
【資料】
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【項目】
94項目
(1) 経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は以下のとおりであります。
① 財政状態の状況
当連結会計年度末の資産合計は296,460百万円(前連結会計年度末比48,150百万円減)となりました。
流動資産は133,741百万円(同23,364百万円減)となりました。主な減少要因は売掛金及びその他の短期債権が16,127百万円減少したこと等によるものであります。
非流動資産は162,719百万円(同24,786百万円減)となりました。主な減少要因はその他の長期金融資産が28,922百万円減少したこと等によるものであります。
当連結会計年度末の負債合計は39,595百万円(同33,865百万円減)となりました。
流動負債は31,887百万円(同27,516百万円減)となりました。主な減少要因はその他の短期金融負債が21,193百万円減少したこと等によるものであります。
非流動負債は7,707百万円(同6,349百万円減)となりました。主な減少要因は繰延税金負債が6,360百万円減少したこと等によるものであります。
当連結会計年度末の資本合計は、256,865百万円(同14,284百万円減)となりました。主な減少要因はその他の資本の構成要素が19,624百万円減少したこと等によるものであります。
流動性に関する指標としては、当連結会計年度末において流動比率419.4%、親会社所有者帰属持分比率84.9%となっております。
② 経営成績の状況
当連結会計年度におけるわが国経済は、緩やかに回復しました。
このような状況の下、当連結会計年度において当社グループは、中長期で企業価値を向上させるべく、ゲーム事業においては健全な収益性の確保や新規ヒットタイトルの創出、加えて、長期的に複数の収益の柱を育てていくことを見据えた成長へ向けた事業ポートフォリオの強化に取り組んでおります。
売上収益は、ゲーム事業の減収や、2018年5月31日付で行った株式会社DeNAトラベルの全株式譲渡によって当該事業が連結の範囲外になったこと等により、前連結会計年度比で減少いたしました。
売上原価・販売費及び一般管理費は、合計では、前連結会計年度比で減少となりました。株式会社DeNAトラベルが連結の範囲外になった影響や、ゲーム内課金の決済等に関するものをはじめとした支払手数料が減少したほか、販売促進費・広告宣伝費等、各種費用の適正化に努めました。
その他の収益に関しましては、当連結会計年度においては、2019年3月29日付で行った株式会社ペイジェントの全株式の譲渡に伴う子会社株式売却益4,544百万円等を計上しておりますが、前連結会計年度においては、当社海外子会社であったDeNA Global, Inc.及びngmoco, LLC の清算手続が完了したことに伴い、連結財政状態計算書の資本におけるその他の資本の構成要素に累積されてきた当該海外子会社に係る為替換算差額の累計額を、資本から損益に振り替えた結果、その他の収益に10,656百万円を計上しており、前連結会計年度比で減少しております。
以上の結果、当社グループの売上収益は124,116百万円(前連結会計年度比11.0%減)、営業利益は13,512百万円(同50.9%減)、税引前当期利益は18,069百万円(同40.5%減)、親会社の所有者に帰属する当期利益は12,709百万円(同44.7%減)となりました。
セグメント別の業績は次のとおりであります。
なお、当連結会計年度よりセグメント区分を変更しており、セグメント別の業績の比較・分析は、変更後のセグメント区分に組み替えて行っております。詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 連結財務諸表注記 5.セグメント情報 (1) 報告セグメントの概要」をご参照ください。
(ゲーム事業)
ゲーム事業の売上収益は83,556百万円(前連結会計年度比14.7%減)、セグメント利益は18,273百万円(同27.2%減)となりました。
ユーザ消費額は前連結会計年度比で減少いたしましたが、費用面では、販売促進費・広告宣伝費や業務委託費等を中心に筋肉質化を図ったほか、さらなる固定費の最適化を継続的に行い、健全な収益性確保に向けた取り組みを推進しております。
(EC事業)
EC事業の売上収益は12,256百万円(前連結会計年度比23.6%減)、セグメント利益は1,299百万円(同168.2%増)となりました。
株式会社DeNAトラベルが連結の範囲外になったことにより、売上収益や売上原価・販売費及び一般管理費が減少いたしました。なお、前連結会計年度には、同社において判明した2017年3月期以前における一部取引に係る原価計上漏れ等の修正の影響がありました。
(スポーツ事業)
スポーツ事業の売上収益は18,102百万円(前連結会計年度比7.2%増)、セグメント利益は1,454百万円(同20.2%減)となりました。
前連結会計年度比では、Bリーグ「川崎ブレイブサンダース」の承継等が利益面では影響したものの、株式会社横浜DeNAベイスターズの主催試合の平均観客動員数が好調に推移したことに加え、入場料以外の収入も順調に推移しました。
(オートモーティブ事業)
オートモーティブ事業の売上収益は197百万円(前連結会計年度比33.7%増)、セグメント損失は3,610百万円(前連結会計年度は1,870百万円の損失)となりました。
当連結会計年度においては、次世代タクシー配車アプリ「MOV(モブ)」の立ち上げや、提供地域や利用の拡大に向けた取り組みを中心に、前連結会計年度比で投資を積極化いたしました。
(ヘルスケア事業)
ヘルスケア事業の売上収益は2,233百万円(前連結会計年度比5.1%増)、セグメント損失は1,240百万円(前連結会計年度は926百万円の損失)となりました。
ヘルスケア事業の売上収益は、一般消費者向け遺伝子検査サービス「MYCODE(マイコード)」「歩いておトク」をはじめ、既存の提供サービスにおいて堅調に推移いたしました。一方で、ヘルスケア型保険の実現に向けた取り組みや、株式会社Preferred Networksと当社子会社の株式会社PFDeNAの、深層学習技術を活用し、少量の血液で14種類のがんを早期発見する検査システムの研究開発等、将来の事業展開を見据えた先行投資を行いました。
(新規事業・その他)
新規事業・その他の売上収益は8,568百万円(前連結会計年度比19.9%増)、セグメント損失は2,439百万円(前連結会計年度は2,688百万円の損失)となりました。
当区分には、ソーシャルLIVEサービスをはじめ、中長期での事業ポートフォリオの強化を目指した各種取り組みを含んでおります。
③ キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末の現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ2,282百万円減少し、101,386百万円となりました。各キャッシュ・フローの状況とその要因は次のとおりです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は22,979百万円(前連結会計年度は37,672百万円の収入)となりました。主な収入要因は税引前当期利益18,069百万円、減価償却費及び償却費10,883百万円であり、主な支出要因は売掛金及びその他の短期債権の増加7,379百万円であります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は21,008百万円(前連結会計年度は16,520百万円の支出)となりました。主な支出要因は無形資産の取得14,673百万円であります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果使用した資金は4,656百万円(前連結会計年度は5,390百万円の支出)となりました。主な支出要因は配当金支払額4,644百万円であります。
④ 生産、受注及び販売の実績
(生産実績)
生産に該当する事項がないため、生産実績に関する記載はしておりません。
(受注状況)
受注生産を行っておりませんので、受注状況に関する記載はしておりません。
(販売実績)
当連結会計年度におけるセグメントごとの販売実績は、次のとおりであります。
セグメントの名称金額(百万円)前連結会計年度比
増減率(%)
ゲーム事業83,556△14.7
EC事業12,256△23.6
スポーツ事業18,1027.2
オートモーティブ事業19733.7
ヘルスケア事業2,2335.1
新規事業・その他8,56819.9
調整額△797
合計124,116△11.0

(注) 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、IFRSに準拠して作成されております。この連結財務諸表の作成にあたって、必要と思われる見積りは合理的な基準に基づいて実施しております。詳細につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 連結財務諸表注記 3.重要な会計方針 4.重要な会計上の見積り及び判断」に記載のとおりであります。
② 当連結会計年度の経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
(売上収益)
当連結会計年度の売上収益は124,116百万円(前連結会計年度比11.0%減)となりました。ゲーム事業の減収や、2018年5月31日付で行った株式会社DeNAトラベルの全株式譲渡によって当該事業が連結の範囲外になったこと等により、前連結会計年度比で減収となりました。
(営業利益)
売上原価は、ゲーム事業における支払手数料の減少等により、56,206百万円(前連結会計年度比2.4%減)となりました。
以上の結果、売上総利益は67,909百万円(同17.0%減)となりました。
販売費及び一般管理費は、ゲーム事業のプロモーションを中心に販売促進費及び広告宣伝費を適正化したこと等により、56,931百万円(同10.6%減)となりました。
その他の収益は、2019年3月29日付で行った株式会社ペイジェントの全株式譲渡に伴う子会社株式売却益4,554百万円等を計上した結果、6,286百万円(同49.3%減)となりました。なお、前連結会計年度においては、当社海外子会社のDeNA Global, Inc. 及び ngmoco, LLC の清算手続が完了したことに伴い、当該子会社に関して過去から累積していた為替換算差額を、会計基準に従って資本から損益に振り替える処理を行った結果、その他の収益に10,656百万円を計上しております。
その他の費用は、ゲーム事業を中心とした無形資産の除却費用等が発生し、3,753百万円(同26.2%増)となりました。
以上の結果、営業利益は13,512百万円(同50.9%減)、営業利益率は10.9%(同8.8%減)となりました。
(税引前当期利益)
金融収益は、投資事業組合運用益の増加等により、3,349百万円(前連結会計年度比194.6%増)となりました。金融費用は、為替差損の減少や投資事業組合運用損の減少等により、668百万円(同18.7%減)となりました。また、持分法で会計処理している関連会社の純利益(純損失)に対する持分は、1,875百万円(同27.0%減)となりました。
以上の結果、税引前当期利益は、18,069百万円(同40.5%減)となりました。
(親会社の所有者に帰属する当期利益)
当期利益は13,177百万円(前連結会計年度比44.2%減)、親会社の所有者に帰属する当期利益は12,709百万円(同44.7%減)となりました。
なお、資本性金融商品への投資による損失等を計上した結果、当期包括利益合計は△6,618百万円(前期包括利益合計は38,573百万円)となりました。
③ 資本の財源及び資金の流動性についての分析
当連結会計年度のキャッシュ・フローの概況につきましては、上記「(1) 経営成績等の状況の概要 ③キャッシュ・フローの状況」をご参照ください。
資金需要及び資金調達につきましては、当社グループは、事業の競争力を維持・強化することによる持続的な成長を実現するために、恒常的に設備投資を必要としております。また、事業規模の拡大と収益源の多様化を進めるために、新サービスないし新規事業に取り組んでいく考えであります。これらの資金需要は手元資金で賄うことを基本とし、必要に応じて資金調達を実施いたします。
④ 経営成績に重要な影響を与える要因について
「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載のとおりであります。
⑤ 経営者の問題認識と今後の方針について
「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおりであります。
⑥ 経営成績等の状況の概要に係る主要な項目における差異に関する情報
IFRSにより作成した連結財務諸表における主要な項目と日本基準により作成した場合の連結財務諸表におけるこれらに相当する項目との差異に関する事項は以下のとおりであります。
(のれんの償却に関する事項)
日本基準において、のれんの償却についてはその効果の及ぶ期間を見積り、その期間で償却することとしておりましたが、IFRSではIFRS移行日(2011年4月1日)以降の償却を停止しております。
上記の影響により、IFRSでは日本基準に比べて、のれん償却額(販売費及び一般管理費)が3,694百万円減少しております。
(モバイルゲームの開発費に関する事項)
日本基準において、モバイルゲームの開発費のうち製品マスター完成時点までに発生したものについては発生した会計期間の費用として計上しておりますが、IFRSではモバイルゲームの開発費のうち要件を満たすものについては自己創設無形資産として資産計上しております。
上記の影響により、IFRSでは日本基準に比べて、無形資産が4,969百万円増加しております。