有価証券報告書-第20期(平成29年4月1日-平成30年3月31日)

【提出】
2018/06/25 15:10
【資料】
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【項目】
67項目
(1) 経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は以下のとおりであります。
① 財政状態の状況
当連結会計年度末の資産合計は344,609百万円(前連結会計年度末比46,350百万円増)となりました。
流動資産は157,105百万円(同11,478百万円増)となりました。主な増加要因は現金及び現金同等物が15,516百万円増加したこと等によるものであり、主な減少要因はその他の流動資産が3,484百万円減少したこと等によるものであります。
非流動資産は187,504百万円(同34,872百万円増)となりました。主な増加要因はその他の長期金融資産が33,899百万円増加したこと等によるものであります。
当連結会計年度末の負債合計は73,460百万円(同11,896百万円増)となりました。
流動負債は59,403百万円(同5,425百万円増)となりました。主な増加要因はその他の短期金融負債が5,383百万円増加したこと等によるものであります。
非流動負債は14,057百万円(同6,471百万円増)となりました。主な増加要因は繰延税金負債が9,557百万円増加したこと等によるものであり、主な減少要因はその他の長期金融負債が3,176百万円減少したこと等によるものであります。
当連結会計年度末の資本合計は、271,150百万円(同34,454百万円増)となりました。主な増加要因は利益剰余金が18,174百万円、その他の資本の構成要素が15,109百万円増加したこと等によるものであります。
流動性に関する指標としては、当連結会計年度末において流動比率264.5%、親会社所有者帰属持分比率76.4%となっております。
② 経営成績の状況
当連結会計年度におけるわが国経済は、緩やかに回復しました。
このような状況の下、当連結会計年度において当社グループは、中長期で企業価値を向上させるべく、主力のゲ
ーム事業を継続的に強化しつつ、長期的には、複数の収益の柱を育てるべく、さらなる成長へ向けた事業ポートフ
ォリオの強化に取り組んでまいりました。
売上収益は、スポーツ事業では増加したものの、それ以外の事業では減少し、全社合計では、前連結会計年度比
で減収となりました。
売上原価・販売費及び一般管理費は、合計では、前連結会計年度比で増加となりました。ゲーム内課金の決済に
関する支払手数料は減少しましたが、販売促進費・広告宣伝費や業務委託費が増加いたしました。
その他の収益では、当社海外子会社のDeNA Global, Inc. 及び ngmoco, LLC の清算手続が完了したことに伴
い、連結財政状態計算書の資本におけるその他の資本の構成要素に累積されてきた当該海外子会社に係る為替換算
差額の累計額を、資本から損益に振り替えた結果、当連結会計年度において10,656百万円を計上いたしました。
なお、前連結会計年度においては、DeNA Global, Inc.等の欧米のゲーム事業に関わる海外子会社の解散・清算手
続の進捗に伴い、過年度の当社単体決算において計上した関係会社株式評価損に係る繰延税金資産を計上してお
り、法人税等調整額を通じ、前連結会計年度における親会社の所有者に帰属する当期利益を押し上げております。
以上の結果、当社グループの売上収益は139,390百万円(前連結会計年度比3.1%減)、営業利益は27,503百万円
(同18.7%増)、税引前当期利益は30,390百万円(同18.6%増)、親会社の所有者に帰属する当期利益は22,981百
万円(同25.4%減)となりました。
セグメント別の業績は次のとおりであります。
なお、当連結会計年度より、セグメント損益の算定方法を変更しております。これに伴い、前連結会計年度のセグメント損益についても、組み替えて比較・分析を行っております。詳細は「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 連結財務諸表注記5.セグメント情報 (2) 報告セグメントごとの売上収益、利益又は損失、及びその他の項目」をご参照ください。
(ゲーム事業)
ゲーム事業の売上収益は97,970百万円(前連結会計年度比3.4%減)、セグメント利益は25,117百万円(同12.2%減)となりました。
国内のブラウザタイトルにおけるユーザ消費額は、前連結会計年度比で減少したものの、グローバルでのアプリタイトルにおけるユーザ消費額は、国内既存タイトルの堅調な推移や、任天堂株式会社との協業タイトルの貢献等により、前連結会計年度比で増加しました。一方、費用面では、アプリタイトルの運用体制強化等に伴い、販売促進費・広告宣伝費や業務委託費が増加しました。
(EC事業)
EC事業の売上収益は16,050百万円(前連結会計年度比16.3%減)、セグメント利益は484百万円(同77.3%減)となりました。
決済代行サービスにおいては取扱高が堅調に推移した一方で、旅行代理店サービスでは、当社子会社の株式会社DeNAトラベルにおいて判明した2017年3月期以前における一部取引に係る原価計上漏れ等の修正を当連結会計年度において行ったほか、オークションサービスでは利用が減少しました。
なお、2016年12月に「DeNAショッピング」及び「auショッピングモール」の名称で運営してきた事業を譲渡しております。
(スポーツ事業)
スポーツ事業の売上収益は16,885百万円(前連結会計年度比22.7%増)、セグメント利益は1,822百万円(同66.2%増)となりました。株式会社横浜DeNAベイスターズは、主催試合の入場者数増加や日本シリーズ進出等により、好調に推移しました。
(新規事業・その他)
新規事業・その他の売上収益は9,416百万円(前連結会計年度比9.8%減)、セグメント損失は5,485百万円(前連結会計年度は4,994百万円の損失)となりました。
当区分には、IP創出プラットフォーム事業、ヘルスケア事業、オートモーティブ事業、ネットサービスインキュベーション事業等、中長期での事業ポートフォリオの強化を目指した各種取り組み、及び、メディア事業(注)を含んでおります。
当区分の売上収益は、メディア事業での減収により前連結会計年度比で減収となりましたが、同事業の費用や組織体制の適正化に努めました。
(注)メディア事業においては、2017年8月に、女性向けファッション情報をはじめとするデジタルメディアを共同運営することを目的とした株式会社MERYを株式会社小学館と当社による共同出資で設立いたしました。同社は当社の持分法適用会社であり、セグメント業績には含めておりません。
③ キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末の現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ15,516百万円増加し、103,668百万円となりました。各キャッシュ・フローの状況とその要因は次のとおりです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は37,672百万円(前連結会計年度は22,682百万円の収入)となりました。主な収入要因は税引前当期利益30,390百万円、減価償却費及び償却費11,408百万円であり、主な支出要因は在外営業活動体の累積為替換算差額の振替益10,656百万円であります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は16,520百万円(前連結会計年度は7,404百万円の支出)となりました。主な支出要因は無形資産の取得15,681百万円であります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果使用した資金は5,390百万円(前連結会計年度は2,445百万円の支出)となりました。主な支出要因は配当金支払額4,646百万円であります。
④ 生産、受注及び販売の実績
(生産実績)
生産に該当する事項がないため、生産実績に関する記載はしておりません。
(受注状況)
受注生産を行っておりませんので、受注状況に関する記載はしておりません。
(販売実績)
当連結会計年度におけるセグメントごとの販売実績は、次のとおりであります。
セグメントの名称金額(百万円)前期比(%)
ゲーム事業97,970△3.4
EC事業16,050△16.3
スポーツ事業16,88522.7
新規事業・その他9,416△9.8
調整額△931
合計139,390△3.1

(注) 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、IFRSに準拠して作成されております。この連結財務諸表の作成にあたって、必要と思われる見積りは合理的な基準に基づいて実施しております。詳細につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 連結財務諸表注記 3.重要な会計方針 4.重要な会計上の見積り及び判断」に記載のとおりであります。
② 当連結会計年度の経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
(売上収益)
当連結会計年度の売上収益は139,390百万円(前連結会計年度比3.1%減)となりました。スポーツ事業は前連結会計年度比で増収となりましたが、それ以外が減収となりました。
(営業利益)
売上原価は、ゲーム事業における支払手数料は減少いたしましたが、運営タイトルの増加に伴う減価償却費の増加や、スポーツ事業における業務委託費が増加したこと等により、57,596百万円(前連結会計年度比2.3%増)となりました。
以上の結果、売上総利益は81,795百万円(同6.5%減)となりました。
販売費及び一般管理費は、ゲーム事業のプロモーションを中心に販売促進費及び広告宣伝費が増加したこと等から、63,713百万円(同3.2%増)となりました。
その他の収益は、当社海外子会社のDeNA Global, Inc. 及び ngmoco, LLC の清算手続が完了したことに伴い、当該子会社に関して過去から累積していた為替換算差額を、会計基準に従って資本から損益に振り替える処理を行った結果、12,394百万円(同91.5%増)となりました。
その他の費用は、前連結会計年度における新規事業・その他に属するキュレーションプラットフォーム事業ののれんの減損損失がなくなりましたが、ゲーム事業を中心とした無形資産の除却費用等が発生し、2,972百万円(同67.1%減)となりました。
以上の結果、営業利益は27,503百万円(同18.7%増)、営業利益率は19.7%(同3.6パーセントポイント増)となりました。
(税引前当期利益)
金融収益は、受取配当金の増加等により、1,137百万円(前連結会計年度比89.4%増)となりました。金融費用は、有価証券損益の減少等により、821百万円(同22.0%減)となりました。また、持分法で会計処理している関連会社の純利益(純損失)に対する持分は、2,571百万円(同11.4%減)となりました。
以上の結果、税引前当期利益は、30,390百万円(同18.6%増)となりました。
(親会社の所有者に帰属する当期利益)
当期利益は23,616百万円(前連結会計年度比26.6%減)、親会社の所有者に帰属する当期利益は22,981百万円(同25.4%減)となりました。前連結会計年度においては、欧米子会社の解散・清算の進捗に伴い、過年度の当社単体決算で計上した関係会社株式評価損に係る繰延税金資産と未収還付法人税等を計上し、前連結会計年度における当期利益を押し上げております。
なお、資本性金融商品への投資による利得等を計上した結果、当期包括利益合計は38,573百万円(同11.3%減)となりました。
③ 資本の財源及び資金の流動性についての分析
当連結会計年度のキャッシュ・フローの概況につきましては、上記「(1) 経営成績等の状況の概要 ③キャッシュ・フローの状況」をご参照ください。
資金需要及び資金調達につきましては、当社グループは、事業の競争力を維持・強化することによる持続的な成長を実現するために、恒常的に設備投資を必要としております。また、事業規模の拡大と収益源の多様化を進めるために、新サービスないし新規事業に取り組んでいく考えであります。これらの資金需要は手元資金で賄うことを基本とし、必要に応じて資金調達を実施いたします。
④ 経営成績に重要な影響を与える要因について
「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載のとおりであります。
⑤ 経営者の問題認識と今後の方針について
「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおりであります。
⑥ 経営成績等の状況の概要に係る主要な項目における差異に関する情報
IFRSにより作成した連結財務諸表における主要な項目と日本基準により作成した場合の連結財務諸表におけるこれらに相当する項目との差異に関する事項は以下のとおりであります。
(のれんの償却に関する事項)
日本基準において、のれんの償却についてはその効果の及ぶ期間を見積り、その期間で償却することとしておりましたが、IFRSではIFRS移行日(2011年4月1日)以降の償却を停止しております。
上記の影響により、IFRSでは日本基準に比べて、のれん償却額(販売費及び一般管理費)が3,754百万円減少し、減損損失(その他の費用)が75百万円増加しております。
(モバイルゲームの開発費に関する事項)
日本基準において、モバイルゲームの開発費のうち製品マスター完成時点までに発生したものについては発生した会計期間の費用として計上しておりますが、IFRSではモバイルゲームの開発費のうち要件を満たすものについては自己創設無形資産として資産計上しております。
上記の影響により、IFRSでは日本基準に比べて、無形資産が5,360百万円増加しております。