有価証券報告書-第76期(2024/04/01-2025/03/31)
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度の財政状態及び経営成績は以下の通りであります。
a.財政状態
流動資産は、前連結会計年度末に比べて4,298百万円増加し、19,261百万円となりました。これは主に、現金及び預金が1,443百万円、売掛金が1,491百万円、電子記録債権が345百万円、棚卸資産が442百万円、その他(未収入金)が519百万円増加したことなどによります。
固定資産は、前連結会計年度末に比べて3,075百万円増加し、6,568百万円となりました。これは主に、建物及び構築物(純額)が307百万円、土地が202百万円、顧客関連資産が1,566百万円、のれんが690百万円、使用権資産が165百万円増加したことなどによります。
うち、株式会社KamogawaHDのM&Aによる影響額(増加)は、現金及び預金1,992百万円、売掛金1,307百万円、電子記録債権108百万円、棚卸資産485百万円、その他(未収入金)572万円、建物及び構築物(純額)395百万円、土地273百万円、のれん883百万円、顧客関連資産1,566百万円、使用権資産が165百万円であります。
この結果、総資産は、前連結会計年度末に比べて7,374百万円増加し、25,830百万円となりました。
流動負債は、前連結会計年度末に比べて3,193百万円増加し、11,513百万円となりました。これは主に、短期借入金が1,629百万円、支払手形及び買掛金が836百万円、1年内返済予定の長期借入金が571百万円、賞与引当金が80百万円増加した一方で、その他(未払金)が110百万円減少したことなどによります。
固定負債は、前連結会計年度末に比べて4,174百万円増加し、6,468百万円となりました。これは主に、長期借入金が3,452百万円、繰延税金負債が544百万円、退職給付に係る負債が109百万円増加したことなどによります。
うち、株式会社KamogawaHDのM&Aによる影響額(増加)は、支払手形及び買掛金847百万円、電子記録債務533百万円、短期借入金200百万円、1年内返済予定の長期借入金443百万円、未払法人税等が99百万円、長期借入金900百万円、退職給付に係る負債65百万円、繰延税金負債540百万円、その他(リース債務(固定))100百万円であります。
この結果、負債は、前連結会計年度末に比べて7,367百万円増加し、17,982百万円となりました。
純資産は、前連結会計年度末に比べて6百万円増加し、7,848百万円となりました。これは、利益剰余金が190百万円(親会社株主に帰属する当期純利益による増加36百万円、剰余金の配当による減少226百万円)減少した一方、その他有価証券評価差額金が4百万円、為替換算調整勘定が189百万円それぞれ増加したことによります。
b.経営成績
当連結会計年度におけるわが国経済は、緩やかな持ち直しの動きが見られたものの、物価上昇の影響や海外経済の減速懸念から、依然として先行き不透明な状況が続きました。設備投資は底堅さを見せた一方、一部製造業では生産活動に弱さも見られました。海外経済につきましても、地域によるばらつきが継続しました。米国経済は比較的堅調さを維持しましたが、中国経済については、政策的な下支えにもかかわらず、本格的な回復には時間を要しており、関連する製造業の需要は依然として力強さを欠く状況でした。他方、インド等の一部アジア地域では、底堅い成長が続きました。為替相場の変動や依然として残る地政学的リスクも、事業環境の不確実性を高める要因となりました。また、当社グループの関連する主要産業であります自動車業界においては、地域によって生産回復のペースに差が見られました。半導体・電子部品業界では、一部製品で在庫調整が進展したものの、需要の本格回復には至らず、関連する設備投資も慎重な動きが続きました。工作機械業界におきましても、国内外での受注環境は依然として厳しい状況で推移しました。
当社はこのような不透明な環境の中で、2024年5月に公表した「新中長期経営計画ローリングプラン(FY76-FY80)」に基づき、「真の生産性向上に貢献する高度専門商社への変革」を基本方針として、持続的な成長と企業価値向上に向けた諸施策を着実に実行してまいりました。具体的には、成長分野・新領域への積極的な展開、M&A戦略の継続推進とシナジー効果の最大化(特に当連結会計年度に実施したKamogawaグループとの統合効果の早期実現)、収益構造改革による利益率の向上、DX(デジタルトランスフォーメーション)の推進による業務効率化、サステナビリティ経営の強化等に取り組みました。一方で、M&A実施によるデューデリジェンス費用、シンジケートローンにかかるアレンジメント費用の計上、賃上げの実施による人件費の増加に加え、子会社の吸収合併に伴う費用の計上、物流体制の再構築、子会社の収益性の見直しによる減損損失の計上など各種費用が増加いたしました。
この結果、当連結会計年度の売上高は30,127百万円(前連結会計年度比5.2%増)、営業利益は554百万円(前連結会計年度比26.3%減)、経常利益は563百万円(前連結会計年度比32.9%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は36百万円(前連結会計年度比93.2%減)となりました。
セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。
■ 切削工具事業
売上高は16,760百万円(前連結会計年度比2.1%増)、セグメント利益は118百万円(前連結会計年度比16.4%減)と増収減益となりました。
主な要因は、卸・直需の両部門において、重点顧客への提案活動やルート拡充に取り組み、航空機・重電・一部自動車業界向けのスポット案件により売上を下支えしたものの、自動車・建機業界の需要低迷に加え、設備投資の動きが総じて鈍く、全体として持続的な販売拡大には至らなかったことに加え、賃上げの実施による人件費の増加、子会社の吸収合併に伴う費用の計上など販売管理費が増加したことによります。
■ 耐摩工具事業
売上高は2,182百万円(前連結会計年度比18.4%減)、セグメント利益は162百万円(前連結会計年度比26.0%減)と減収減益となりました。
主な要因は、破砕・電池分野における装置や部品の大型案件獲得が進展し、装置系分野では新規顧客開拓や環境関連装置の取り組みを推進した一方で、製缶業界における設備投資の一巡や主要顧客の生産調整の影響により、バッテリー関連や軽量缶分野の受注が総じて低調に推移したことによります。
■ 海外事業
売上高は7,291百万円(前連結会計年度比1.2%減)、セグメント利益は192百万円(前連結会計年度比32.2%減)と減収減益となりました。
主な要因は、インドやメキシコをはじめとする成長市場において新規顧客の獲得や販売拡大が進み、タングステン等の鉱物資源の販売も売上に貢献するなど堅調に推移したものの、主要進出国である中国や一部東南アジアにおいて厳しい事業環境が続き、為替影響や地域間のばらつきを吸収するには至らなかったことによります。
■ 光製品事業
売上高は 1,458百万円(前連結会計年度比8.2%増)、セグメント利益は95百万円(前連結会計年度比83.1%増)と増収増益となりました。
主な要因は、中国・韓国市場の低迷が継続し、主力のマシンビジョン関連ビジネスは回復途上であり、景況感の不透明さは継続しているものの、通信・映像分野の売上が堅調に推移し、粗利率の高いソフトウェアやシステム販売の構成が維持されたことに加え、新規顧客との開発・量産案件も着実に進展し、好調に推移したことによります。
■ eコマース事業
売上高は 88百万円(前連結会計年度比75.6%増)、セグメント損失は72百万円(前連結会計年度は71百万円のセグメント損失)となりました。
主な要因は、取り扱い商品の拡充に加え、キャンペーンの実施や広告配信手法の最適化により新規会員数が大きく伸長し、販売実績や顧客基盤の拡大に一定の成果が見られたものの、利益面では販促施策の影響を受けて粗利率が低下し、通期の収益改善には至らなかったことによります。
■ Kamogawaものづくりソリューション事業(KMS事業)
売上高は1,561百万円、セグメント損失は26百万円となりました。
当該セグメントは、2024年12月にKamogawaグループのM&Aを実施したため、第4四半期より「Kamogawaものづくりソリューション事業セグメント」として、株式会社Kamogawa及びその子会社が営む切削工具・研削砥石などの生産財の販売の業績を反映しております。株式会社Kamogawaにおける第4四半期は、ものづくり事業部における自社企画商品(脆性材加工向け電着工具など)の拡販等が進み、堅調に業績は推移しておりますが、M&A実施によるデューデリジェンス費用、のれん償却に加え、顧客関連資産償却などの計上によりセグメント損失となりました。
なお、当該セグメントの業績はみなし取得日が2024年12月31日であることから、2025年1月1日から2025年3月31日の業績の期間となっております。(詳細は「第5 経理の状況 1連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項(企業結合等関係)」をご覧ください。)
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、4,696百万円(前年同期比43.0%増)となりました。
各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
営業活動の結果使用した資金は、96百万円(前連結会計年度は1,567百万円の獲得)となりました。
資金の増加の主な内訳は、税金等調整前当期純利益244百万円、売上債権の減少額762百万円、減損損失193百万円、のれん減損損失120百万円、減価償却費168百万円、のれんの償却額119百万円などであり、資金の減少の主な内訳は、仕入債務の減少額1,059百万円、その他流動資産の減少額417百万円、法人税等の支払額305百万円などであります。
投資活動の結果使用した資金は、2,207百万円(前連結会計年度は3百万円の使用)となりました。
資金の増加の主な内訳は、定期預金の払戻しによる収入59百万円、保険積立金の解約による収入125百万円などであり、資金の減少の主な内訳は、連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得による支出2,199百万円などであります。
財務活動の結果得られた資金は、3,637百万円(前連結会計年度は849百万円の使用)となりました。
資金の増加の主な内訳は、長期借入金による収入3,903百万円、資金の減少の主な内訳は、長期借入金の返済による支出1,444百万円、配当金の支払額226百万円などであります。
③ 生産、受注及び販売の状況
a. 生産実績
生産実績に重要性がないため、記載を省略しております。
b. 受注実績
受注実績については、販売実績と大差がないため、記載を省略しております。
c. 販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注)1 セグメント間取引については相殺消去しております。
2 その他事業につきましては報告セグメントに含まれない事業セグメントであり、製造事業であります。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
当社グループの当連結会計年度の財政状態及び経営成績は次のとおりであります。
当社グループは、超硬工具に特化した高度専門商社としてグローバルに事業を展開しております。当社グループでは、業界NO.1に向けた成長戦略を海外市場及び国内市場にて推進しております。
海外市場は、ユーザーの海外移転が進む国内市場と比較して、より成長余地が大きい市場と捉えております。当社グループの海外進出可能な直販体制と商品力・提案力を武器に海外市場へ積極的に経営資源を投入しております。一方、国内市場においては、後継者問題や顧客の海外展開への対応などの課題を抱える販売会社に対する友好的なM&A・テクニカルセンターを活用した技術営業体制の強化・新商材の拡充など業界独自の販売方法を通してシェア拡大を図っております。
こういった方針のもと、当連結会計年度は、M&A施策としては、株式会社KamogawaHDに対するM&Aを実施いたしました。また名古屋ロジスティクスを閉鎖し物流センターの体制の見直にも取り組みいたしました。
この結果、売上高は30,127百万円(前連結会計年度比5.2%増)、売上高総利益率は22.4%(前連結会計年度から0.2ポイント増)自己資本比率は30.3%(前連結会計年度から12.1ポイント減)となりました。
今後、M&Aを実施した連結子会社とのグループ間シナジーを高めてまいります。また海外市場で獲得したユーザーの国内拠点を開拓するなど海外市場と国内市場のシナジーを実現し、物流体制の効率化・情報の高度化等により利益の伴った成長を実現しつつ、新たな海外拠点の開設など成長市場への投資を行い、当社グループ全体の成長を図ってまいります。
また、当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因は、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載のとおりであります。
② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当社グループの当連結会計年度のキャッシュ・フローは、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
資本政策につきましては、財務の健全性や資本効率など当社にとって最適な資本構成を追求しながら、会社の将来の成長のための内部留保の充実と、株主への利益還元との最適なバランスを考え実施していくことを基本としております。
将来の成長のための内部留保については、長期的な展望に立った事業所開設資金ならびに新規取扱い商品の購入資金に投入し、さらなる企業競争力の強化に取り組んでまいります。
当連結会計年度におけるM&A施策としては、株式会社KamogawaHDに対するM&Aを実施いたしました。設備投資については、連結子会社であるKNB TOOLS OF AMERICA,INC.での設備等の購入、法律改正に伴うシステムの新設及び基幹システムの改修費用などの投資を行いました。この結果、当連結会計年度における固定資産の取得による支出は104百万円となりました。尚、これらの投資のための所要資金は、自己資金、借入金にて賄っております。
この結果、当連結会計年度末における借入金等の有利子負債残高は10,521百万円となっております。また、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は4,696百万円となっております。
③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたり重要となる会計方針については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載されているとおりであります。
当社グループは、税効果会計、貸倒引当金、商品の評価、投資その他の資産の評価、のれんの評価及び偶発事象等に関して、過去の実績や当該取引の状況に照らして、合理的と考えられる見積り及び判断を行い、その結果を資産・負債の帳簿価額及び収益・費用の金額に反映して連結財務諸表を作成しておりますが、実際の結果は見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。
翌連結会計年度においては個人消費や設備投資の持ち直しにより、緩やかな回復基調を辿ることが期待されるものの、依然として残る物価上昇圧力や金融政策の動向、さらには世界経済の減速懸念や地政学的リスクの高まり、貿易摩擦の激化、為替相場の不安定な動きなど懸念材料も多く、依然として先行き不透明な状況が続くものと予想されます。
財務諸表の作成に当たっては、「翌連結会計年度においては、米国トランプ政権の政策運営による世界経済の混迷、中国経済の低迷長期化、ウクライナ情勢の長期化による資源・エネルギーコストの高騰などを背景としたインフレ圧力の上昇、円安の進行、物価高騰、金利上昇など不確実要素もあるものの通常需要の見通しである」との仮定に基づき見積り及び予測を行っております。しかしながら、現時点で業績等、全ての影響について予測を行うことは困難な状況であるため、実際の業績とは異なる可能性があります。
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度の財政状態及び経営成績は以下の通りであります。
a.財政状態
流動資産は、前連結会計年度末に比べて4,298百万円増加し、19,261百万円となりました。これは主に、現金及び預金が1,443百万円、売掛金が1,491百万円、電子記録債権が345百万円、棚卸資産が442百万円、その他(未収入金)が519百万円増加したことなどによります。
固定資産は、前連結会計年度末に比べて3,075百万円増加し、6,568百万円となりました。これは主に、建物及び構築物(純額)が307百万円、土地が202百万円、顧客関連資産が1,566百万円、のれんが690百万円、使用権資産が165百万円増加したことなどによります。
うち、株式会社KamogawaHDのM&Aによる影響額(増加)は、現金及び預金1,992百万円、売掛金1,307百万円、電子記録債権108百万円、棚卸資産485百万円、その他(未収入金)572万円、建物及び構築物(純額)395百万円、土地273百万円、のれん883百万円、顧客関連資産1,566百万円、使用権資産が165百万円であります。
この結果、総資産は、前連結会計年度末に比べて7,374百万円増加し、25,830百万円となりました。
流動負債は、前連結会計年度末に比べて3,193百万円増加し、11,513百万円となりました。これは主に、短期借入金が1,629百万円、支払手形及び買掛金が836百万円、1年内返済予定の長期借入金が571百万円、賞与引当金が80百万円増加した一方で、その他(未払金)が110百万円減少したことなどによります。
固定負債は、前連結会計年度末に比べて4,174百万円増加し、6,468百万円となりました。これは主に、長期借入金が3,452百万円、繰延税金負債が544百万円、退職給付に係る負債が109百万円増加したことなどによります。
うち、株式会社KamogawaHDのM&Aによる影響額(増加)は、支払手形及び買掛金847百万円、電子記録債務533百万円、短期借入金200百万円、1年内返済予定の長期借入金443百万円、未払法人税等が99百万円、長期借入金900百万円、退職給付に係る負債65百万円、繰延税金負債540百万円、その他(リース債務(固定))100百万円であります。
この結果、負債は、前連結会計年度末に比べて7,367百万円増加し、17,982百万円となりました。
純資産は、前連結会計年度末に比べて6百万円増加し、7,848百万円となりました。これは、利益剰余金が190百万円(親会社株主に帰属する当期純利益による増加36百万円、剰余金の配当による減少226百万円)減少した一方、その他有価証券評価差額金が4百万円、為替換算調整勘定が189百万円それぞれ増加したことによります。
b.経営成績
当連結会計年度におけるわが国経済は、緩やかな持ち直しの動きが見られたものの、物価上昇の影響や海外経済の減速懸念から、依然として先行き不透明な状況が続きました。設備投資は底堅さを見せた一方、一部製造業では生産活動に弱さも見られました。海外経済につきましても、地域によるばらつきが継続しました。米国経済は比較的堅調さを維持しましたが、中国経済については、政策的な下支えにもかかわらず、本格的な回復には時間を要しており、関連する製造業の需要は依然として力強さを欠く状況でした。他方、インド等の一部アジア地域では、底堅い成長が続きました。為替相場の変動や依然として残る地政学的リスクも、事業環境の不確実性を高める要因となりました。また、当社グループの関連する主要産業であります自動車業界においては、地域によって生産回復のペースに差が見られました。半導体・電子部品業界では、一部製品で在庫調整が進展したものの、需要の本格回復には至らず、関連する設備投資も慎重な動きが続きました。工作機械業界におきましても、国内外での受注環境は依然として厳しい状況で推移しました。
当社はこのような不透明な環境の中で、2024年5月に公表した「新中長期経営計画ローリングプラン(FY76-FY80)」に基づき、「真の生産性向上に貢献する高度専門商社への変革」を基本方針として、持続的な成長と企業価値向上に向けた諸施策を着実に実行してまいりました。具体的には、成長分野・新領域への積極的な展開、M&A戦略の継続推進とシナジー効果の最大化(特に当連結会計年度に実施したKamogawaグループとの統合効果の早期実現)、収益構造改革による利益率の向上、DX(デジタルトランスフォーメーション)の推進による業務効率化、サステナビリティ経営の強化等に取り組みました。一方で、M&A実施によるデューデリジェンス費用、シンジケートローンにかかるアレンジメント費用の計上、賃上げの実施による人件費の増加に加え、子会社の吸収合併に伴う費用の計上、物流体制の再構築、子会社の収益性の見直しによる減損損失の計上など各種費用が増加いたしました。
この結果、当連結会計年度の売上高は30,127百万円(前連結会計年度比5.2%増)、営業利益は554百万円(前連結会計年度比26.3%減)、経常利益は563百万円(前連結会計年度比32.9%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は36百万円(前連結会計年度比93.2%減)となりました。
セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。
■ 切削工具事業
売上高は16,760百万円(前連結会計年度比2.1%増)、セグメント利益は118百万円(前連結会計年度比16.4%減)と増収減益となりました。
主な要因は、卸・直需の両部門において、重点顧客への提案活動やルート拡充に取り組み、航空機・重電・一部自動車業界向けのスポット案件により売上を下支えしたものの、自動車・建機業界の需要低迷に加え、設備投資の動きが総じて鈍く、全体として持続的な販売拡大には至らなかったことに加え、賃上げの実施による人件費の増加、子会社の吸収合併に伴う費用の計上など販売管理費が増加したことによります。
■ 耐摩工具事業
売上高は2,182百万円(前連結会計年度比18.4%減)、セグメント利益は162百万円(前連結会計年度比26.0%減)と減収減益となりました。
主な要因は、破砕・電池分野における装置や部品の大型案件獲得が進展し、装置系分野では新規顧客開拓や環境関連装置の取り組みを推進した一方で、製缶業界における設備投資の一巡や主要顧客の生産調整の影響により、バッテリー関連や軽量缶分野の受注が総じて低調に推移したことによります。
■ 海外事業
売上高は7,291百万円(前連結会計年度比1.2%減)、セグメント利益は192百万円(前連結会計年度比32.2%減)と減収減益となりました。
主な要因は、インドやメキシコをはじめとする成長市場において新規顧客の獲得や販売拡大が進み、タングステン等の鉱物資源の販売も売上に貢献するなど堅調に推移したものの、主要進出国である中国や一部東南アジアにおいて厳しい事業環境が続き、為替影響や地域間のばらつきを吸収するには至らなかったことによります。
■ 光製品事業
売上高は 1,458百万円(前連結会計年度比8.2%増)、セグメント利益は95百万円(前連結会計年度比83.1%増)と増収増益となりました。
主な要因は、中国・韓国市場の低迷が継続し、主力のマシンビジョン関連ビジネスは回復途上であり、景況感の不透明さは継続しているものの、通信・映像分野の売上が堅調に推移し、粗利率の高いソフトウェアやシステム販売の構成が維持されたことに加え、新規顧客との開発・量産案件も着実に進展し、好調に推移したことによります。
■ eコマース事業
売上高は 88百万円(前連結会計年度比75.6%増)、セグメント損失は72百万円(前連結会計年度は71百万円のセグメント損失)となりました。
主な要因は、取り扱い商品の拡充に加え、キャンペーンの実施や広告配信手法の最適化により新規会員数が大きく伸長し、販売実績や顧客基盤の拡大に一定の成果が見られたものの、利益面では販促施策の影響を受けて粗利率が低下し、通期の収益改善には至らなかったことによります。
■ Kamogawaものづくりソリューション事業(KMS事業)
売上高は1,561百万円、セグメント損失は26百万円となりました。
当該セグメントは、2024年12月にKamogawaグループのM&Aを実施したため、第4四半期より「Kamogawaものづくりソリューション事業セグメント」として、株式会社Kamogawa及びその子会社が営む切削工具・研削砥石などの生産財の販売の業績を反映しております。株式会社Kamogawaにおける第4四半期は、ものづくり事業部における自社企画商品(脆性材加工向け電着工具など)の拡販等が進み、堅調に業績は推移しておりますが、M&A実施によるデューデリジェンス費用、のれん償却に加え、顧客関連資産償却などの計上によりセグメント損失となりました。
なお、当該セグメントの業績はみなし取得日が2024年12月31日であることから、2025年1月1日から2025年3月31日の業績の期間となっております。(詳細は「第5 経理の状況 1連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項(企業結合等関係)」をご覧ください。)
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、4,696百万円(前年同期比43.0%増)となりました。
各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
営業活動の結果使用した資金は、96百万円(前連結会計年度は1,567百万円の獲得)となりました。
資金の増加の主な内訳は、税金等調整前当期純利益244百万円、売上債権の減少額762百万円、減損損失193百万円、のれん減損損失120百万円、減価償却費168百万円、のれんの償却額119百万円などであり、資金の減少の主な内訳は、仕入債務の減少額1,059百万円、その他流動資産の減少額417百万円、法人税等の支払額305百万円などであります。
投資活動の結果使用した資金は、2,207百万円(前連結会計年度は3百万円の使用)となりました。
資金の増加の主な内訳は、定期預金の払戻しによる収入59百万円、保険積立金の解約による収入125百万円などであり、資金の減少の主な内訳は、連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得による支出2,199百万円などであります。
財務活動の結果得られた資金は、3,637百万円(前連結会計年度は849百万円の使用)となりました。
資金の増加の主な内訳は、長期借入金による収入3,903百万円、資金の減少の主な内訳は、長期借入金の返済による支出1,444百万円、配当金の支払額226百万円などであります。
③ 生産、受注及び販売の状況
a. 生産実績
生産実績に重要性がないため、記載を省略しております。
b. 受注実績
受注実績については、販売実績と大差がないため、記載を省略しております。
c. 販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
| セグメントの名称 | 金額(百万円) | 前期比(%) |
| 切削工具事業 | 16,760 | 102.1 |
| 耐摩工具事業 | 2,182 | 81.6 |
| 海外事業 | 7,291 | 98.8 |
| 光製品事業 | 1,458 | 108.2 |
| eコマース事業 | 88 | 175.6 |
| Kamogawaものづくりソリューション事業(KMS事業) | 1,561 | - |
| その他事業 | 784 | 101.5 |
| 合計 | 30,127 | 105.2 |
(注)1 セグメント間取引については相殺消去しております。
2 その他事業につきましては報告セグメントに含まれない事業セグメントであり、製造事業であります。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
当社グループの当連結会計年度の財政状態及び経営成績は次のとおりであります。
当社グループは、超硬工具に特化した高度専門商社としてグローバルに事業を展開しております。当社グループでは、業界NO.1に向けた成長戦略を海外市場及び国内市場にて推進しております。
海外市場は、ユーザーの海外移転が進む国内市場と比較して、より成長余地が大きい市場と捉えております。当社グループの海外進出可能な直販体制と商品力・提案力を武器に海外市場へ積極的に経営資源を投入しております。一方、国内市場においては、後継者問題や顧客の海外展開への対応などの課題を抱える販売会社に対する友好的なM&A・テクニカルセンターを活用した技術営業体制の強化・新商材の拡充など業界独自の販売方法を通してシェア拡大を図っております。
こういった方針のもと、当連結会計年度は、M&A施策としては、株式会社KamogawaHDに対するM&Aを実施いたしました。また名古屋ロジスティクスを閉鎖し物流センターの体制の見直にも取り組みいたしました。
この結果、売上高は30,127百万円(前連結会計年度比5.2%増)、売上高総利益率は22.4%(前連結会計年度から0.2ポイント増)自己資本比率は30.3%(前連結会計年度から12.1ポイント減)となりました。
今後、M&Aを実施した連結子会社とのグループ間シナジーを高めてまいります。また海外市場で獲得したユーザーの国内拠点を開拓するなど海外市場と国内市場のシナジーを実現し、物流体制の効率化・情報の高度化等により利益の伴った成長を実現しつつ、新たな海外拠点の開設など成長市場への投資を行い、当社グループ全体の成長を図ってまいります。
また、当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因は、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載のとおりであります。
② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当社グループの当連結会計年度のキャッシュ・フローは、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
資本政策につきましては、財務の健全性や資本効率など当社にとって最適な資本構成を追求しながら、会社の将来の成長のための内部留保の充実と、株主への利益還元との最適なバランスを考え実施していくことを基本としております。
将来の成長のための内部留保については、長期的な展望に立った事業所開設資金ならびに新規取扱い商品の購入資金に投入し、さらなる企業競争力の強化に取り組んでまいります。
当連結会計年度におけるM&A施策としては、株式会社KamogawaHDに対するM&Aを実施いたしました。設備投資については、連結子会社であるKNB TOOLS OF AMERICA,INC.での設備等の購入、法律改正に伴うシステムの新設及び基幹システムの改修費用などの投資を行いました。この結果、当連結会計年度における固定資産の取得による支出は104百万円となりました。尚、これらの投資のための所要資金は、自己資金、借入金にて賄っております。
この結果、当連結会計年度末における借入金等の有利子負債残高は10,521百万円となっております。また、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は4,696百万円となっております。
③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたり重要となる会計方針については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載されているとおりであります。
当社グループは、税効果会計、貸倒引当金、商品の評価、投資その他の資産の評価、のれんの評価及び偶発事象等に関して、過去の実績や当該取引の状況に照らして、合理的と考えられる見積り及び判断を行い、その結果を資産・負債の帳簿価額及び収益・費用の金額に反映して連結財務諸表を作成しておりますが、実際の結果は見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。
翌連結会計年度においては個人消費や設備投資の持ち直しにより、緩やかな回復基調を辿ることが期待されるものの、依然として残る物価上昇圧力や金融政策の動向、さらには世界経済の減速懸念や地政学的リスクの高まり、貿易摩擦の激化、為替相場の不安定な動きなど懸念材料も多く、依然として先行き不透明な状況が続くものと予想されます。
財務諸表の作成に当たっては、「翌連結会計年度においては、米国トランプ政権の政策運営による世界経済の混迷、中国経済の低迷長期化、ウクライナ情勢の長期化による資源・エネルギーコストの高騰などを背景としたインフレ圧力の上昇、円安の進行、物価高騰、金利上昇など不確実要素もあるものの通常需要の見通しである」との仮定に基づき見積り及び予測を行っております。しかしながら、現時点で業績等、全ての影響について予測を行うことは困難な状況であるため、実際の業績とは異なる可能性があります。