有価証券報告書-第6期(平成30年1月1日-平成30年12月31日)

【提出】
2019/03/26 14:46
【資料】
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【項目】
116項目
(業績等の概要)
(1) 業績
当連結会計年度におけるわが国経済は、企業収益や雇用環境の改善等を背景に、景気は緩やかな回復基調が続いております。一方、世界経済においては、海外経済の不安定さや金融市場の変動等の影響により、先行きは不透明な状況が続いております。
このような経営環境のもと、当社グループは、持続的な成長を実現するため、事業領域の継続的な拡大、主力事業である国内リサーチ事業の成長、さらにはグループシナジー追求等、様々な取り組みを進めてまいりました。
この結果、当連結会計年度における売上高は17,492百万円(前年同期比4.4%増)、営業利益は955百万円(同31.4%増)、経常利益は840百万円(同40.6%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は507百万円(前年同期は703百万円の親会社株主に帰属する当期純損失)となりました。
セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。
① リサーチ事業
売上高につきましては、国内・海外の事業会社ともに、新規顧客開拓及び既存顧客の深耕を進め、総合的なマーケティングリサーチサービスの提供を行いました。国内の事業会社については、主力である株式会社クロス・マーケティングを中心にグループ連携による海外調査の対応力強化やデジタルマーケティング領域を含む新サービスの開発・提供により受注案件の幅が広がり、案件数が増加いたしました。また、メディカル系リサーチサービスを提供する株式会社メディリード等が好調に推移し、国内リサーチ事業全体の売上高は、前年同期を上回る結果となりました。海外リサーチ事業については、Kadenceグループにおいて大型案件の受注が継続しており、売上高が前年同期と同水準の結果となりました。結果として、リサーチ事業全体としては前年を上回る売上高となりました。
セグメント利益(営業利益)につきましては、国内外で受注した大型案件の影響により、外注費は増加したものの、売上高が増加したため、前年同期を上回る結果となりました。
その結果、当連結会計年度におけるリサーチ事業の売上高は14,574百万円(前年同期比1.8%増)、セグメント利益(営業利益)は1,943百万円(同3.3%増)となりました。
② ITソリューション事業
売上高については、金融業界を中心とした既存顧客との良好な関係が構築できていることにより、継続的に開発案件を受注いたしました。その結果、システムの受託開発を行う主力の株式会社クロス・コミュニケーション及びエンジニア派遣を行う株式会社クロス・ジェイ・テックが牽引しており、売上高が前年同期と比較して増加いたしました。売上高の増加にともない、セグメント利益(営業利益)も増加いたしました。
その結果、当連結会計年度におけるITソリューション事業の売上高は2,787百万円(前年同期比18.6%増)、セグメント利益(営業利益)は292百万円(同15.1%増)となりました。
③ その他の事業
その他の事業は、「プロモーション事業」を行っている株式会社ディーアンドエムを中心にプロモーションサービスの販売・提供をしております。
同事業においては、業務提携等の拡大によるサービスの裾野の拡大、顧客開拓を継続的に推進いたしました。一部事業環境の変化による売上構成の変化はあったものの、営業組織体制強化及び収益性重視の営業施策により、売上高は前年同期を上回る結果となりました。
その結果、当連結会計年度におけるその他の事業の売上高は667百万円(前年同期比13.6%増)、セグメント利益(営業利益)は59百万円(同96.1%増)となりました。
(2) キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は2,605百万円(前連結会計年度末比559百万円増)となりました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における営業活動の結果増加した資金は、1,035百万円(前連結会計年度比104百万円増)となりました。主な要因は、持分変動利益165百万円の計上、法人税等の支払額389百万円の減少要因があった一方で、税金等調整前当期純利益1,003百万円の計上、のれん償却額182百万円の計上による増加要因があったことによります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における投資活動の結果減少した資金は、351百万円(前連結会計年度は、1,353百万円の減少)となりました。主な要因は、投資有価証券の取得による支出217百万円、連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得による支出133百万円の減少要因があったことによります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における財務活動の結果減少した資金は、99百万円(前連結会計年度は、302百万円の増加)となりました。主な要因は、長期借入金の返済による支出535百万円、配当金の支払額93百万円の減少要因があった一方で、長期借入れによる収入500百万円の増加要因があったことによります。
(生産、受注及び販売の状況)
(1) 生産実績
当社グループでは、販売実績のほとんどが生産実績であることから、記載を省略しております。
(2) 受注実績
当社グループでは、概ね受注から納品までの期間が短く、受注管理を行う必要性が乏しいため記載を省略しております。
(3) 販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称当連結会計年度
(自 平成30年1月1日
至 平成30年12月31日)
金額(千円)前年同期比(%)
リサーチ事業14,293,4091.7
ITソリューション事業2,542,38518.4
その他の事業656,09518.6
合計17,491,8894.4

(注) 1.セグメント間取引については、相殺消去しております。
2.主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合については、連結損益計算書の売上高の10%以上を占める相手先がないため、記載を省略しております。
3.上記の金額には消費税等は含まれておりません。
(経営者の視点による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析)
当社グループの財政状態及び経営成績の分析は、以下のとおりであります。なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたっては、連結会計年度末における資産及び負債、連結会計年度における収益及び費用に影響を及ぼすような仮定や見積りを必要とします。これらの見積りについて過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、仮定あるいは条件の変化により、実際の結果と異なる可能性があります。
(2) 当連結会計年度の経営成績の分析
(売上高)
当連結会計年度の当社グループは、リサーチ事業においては、グループ連携による海外調査の対応力強化やデジタルマーケティング領域を含む新サービスの開発・提供により受注案件の幅が広がり、案件数が増加いたしました。継続的な売上高拡大に向けて、営業活動量の確保するとともにシステム投資等を進め、営業生産性の向上を進めております。また、組織体制の強化、海外も含めた営業活動推進の結果、メディカル系リサーチサービスが好調に推移いたしました。加えて、国内及び海外において、積極的な営業活動の結果、大型案件の受注が継続・拡大しており、受注に向けた組織体制の強化を進めております。
ITソリューション事業においては、金融業界を中心とした既存顧客との関係が良好に構築できていることにより、継続的に開発案件を受注いたしました。受注の拡大に伴い、エンジニア人員の確保を含めた人員体制の強化を進めております。
さらに、プロモーション事業において、業務提携等の拡大によるサービスの裾野の拡大、顧客開拓を継続的に推進いたしました。各事業との連携強化を進めるとともに、更なる成長に向けた組織体制の構築を進めております。
その結果、当連結会計年度における売上高は17,492百万円(前年同期比4.4%増)となりました。
(営業利益)
当連結会計年度においては、リサーチ事業における大型案件の受注拡大に伴う外注費の増加による売上総利益の減少が見られましたが、平成29年12月期における「Kadence社の株式取得に係る追加支払いの発生」により発生した過去分の営業権償却費が平成30年12月期は発生していないため、営業権償却費が218百万円の減少したこと等により、営業利益は955百万円(同31.4%増)となりました。
(経常利益)
当連結会計年度においては、持分法による投資損失や為替差損の計上はあったものの、営業利益の増加があったため、経常利益は840百万円(同40.6%増)となりました。
(親会社株主に帰属する当期純利益)
当連結会計年度においては、特別利益として持分変動利益165百万円を計上いたしました。その結果、当連結会計年度における親会社株主に帰属する当期純利益は507百万円(前年同期は、703百万円の親会社株主に帰属する当期純損失)となりました。
(3) 財政状態の分析
当連結会計年度末の財政状態は、資産については、流動資産が7,274百万円(前連結会計年度末比815百万円増)となりました。主な項目としては、現金及び預金2,606百万円、受取手形及び売掛金3,311百万円となっております。固定資産は3,156百万円(同51百万円増)となりました。主な項目としては、のれん1,481百万円、敷金560百万円、建物246百万円、ソフトウェア156百万円となっております。その結果、総資産は10,429百万円(同866百万円増)となりました。
負債については、流動負債が4,298百万円(同594百万円増)となりました。主な項目としては、買掛金1,573百万円、1年内返済予定の長期借入金625百万円となっております。固定負債は2,231百万円(同30百万円減)となりました。主な項目としては、長期借入金1,983百万円となっております。その結果、負債は6,529百万円(同564百万円増)となりました。
純資産は3,900百万円(同302百万円増)となりました。主な項目としては利益剰余金が2,898百万円となっております。
(4) 経営成績に重要な影響を与える要因について
「第2 事業の状況 2事業等のリスク」に記載のとおりであります。
(5) 資本の財源及び資金の流動性についての分析
(資本の財源)
当連結会計年度においては、ITソリューション事業の拡大とアジアエリアにおけるグローバルサービス提供を加速するための資金として、長期借入金500百万円を調達いたしました。
(資金の流動性)
当連結会計年度末における現金及び現金同等物は2,605百万円(前年同期比559百万円増)であり、有利子負債は主に金融機関からの借入金であります。なお、流動比率は169.2%であります。
(キャッシュフローの状況)
当連結会計年度においては、売上高の拡大に伴う税引前利益の増加により、安定した営業キャッシュ・フローを計上しております。ITソリューション事業及び海外リサーチ事業においてアジアエリアにおけるサービス提供拡大に向けた投資資金として長期借入金500百万円を調達しておりますが、平成26年12月期におけるKadence社の株式取得に掛かる長期借入金の返済を継続して実施しております。その結果、現金及び現金同等物期末残高が増加いたしました。平成31年12月期については、現段階の計画において、大規模な資本的支出の予定は無く、今後の資金需要については、手元資金で賄うことを基本とし、必要に応じて金融機関からの借入等による資金調達を実施いたします。
その他については、「3経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (2)キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
(6) 経営者の問題認識と今後の方針について
「1経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおりであります。