有価証券報告書-第7期(平成31年1月1日-令和1年12月31日)

【提出】
2020/03/26 15:04
【資料】
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【項目】
147項目
(業績等の概要)
(1) 業績
当連結会計年度におけるわが国経済は、企業収益や雇用環境の改善等を背景に、景気は緩やかな回復基調が続いております。また、個人消費におきましては、2019年10月の消費税率引き上げによる影響は軽減税率などの実施などにより限定的だったものの、世界経済における米中貿易摩擦や欧州経済の不安定感等の影響により、先行きは不透明な状況が続いております。
このような経営環境のもと、当社グループは、持続的な成長を実現するため、事業領域の継続的な拡大、主力事業である国内リサーチ事業の成長、さらには新規事業等への積極的な投資、海外子会社の再編、グループシナジー追求等、様々な取り組みを進めてまいりました。
この結果、当連結会計年度における売上高は18,580百万円(前年同期比6.2%増)、営業利益は1,267百万円(同32.7%増)、経常利益は1,150百万円(同36.9%増)、親会社株主に帰属する当期純損失は477百万円(前年同期は507百万円の親会社株主に帰属する当期純利益)となりました。
セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。
① リサーチ事業
売上高につきましては、国内・海外の事業会社ともに、新規顧客開拓及び既存顧客の深耕を進め、各種マーケティングリサーチサービスの提供を行いました。国内の事業会社は主力である株式会社クロス・マーケティングを中心に営業体制の強化やデジタルマーケティング・ビッグデータ領域などを含む新サービスの開発・提供により、一般事業会社及び広告代理店等を中心に受注が増加いたしました。また、メディカル・ヘルスケアリサーチを展開する株式会社メディリードも新サービスの開発・展開に加え、積極的な営業活動により受注が拡大し、売上高も拡大いたしました。海外の事業会社は、堅調に推移している拠点はあるものの、香港等、拠点個別の状況に応じて再編成を実施いたしました。また、2019年第3四半期まで売上計上が遅れていた大型案件の一部が計上できたことにより、前年同期を上回る結果となりました。
セグメント利益(営業利益)につきましても、売上高の増加にともない、前年同期を上回る結果となりました。その結果、当連結会計年度におけるリサーチ事業の売上高は14,952百万円(前年同期比2.6%増)、セグメント利益(営業利益)は2,249百万円(同15.7%増)となりました。
② ITソリューション事業
ITソリューション事業につきましては、積極的な営業展開による新規顧客開拓に加え、金融業界を中心に既存顧客から継続的に受注を獲得しており、各事業会社が前年同期と比較して増収となっております。受託案件においては、開発リソース・品質の管理を徹底し、粗利率の確保に努めました。また2018年11月に株式取得したサポ タント株式会社を連結開始したことにより売上高は増加いたしましたが、サポタント社に掛かるのれん償却を開始したため、セグメント利益は前期同期と比較して微減となりました。
その結果、当連結会計年度におけるITソリューション事業の売上高は3,526百万円(前年同期比26.5%増)、セグメント利益(営業利益)は274百万円(同6.2%減)となりました。
③ その他の事業
その他の事業は、「プロモーション事業」を行っている株式会社ディーアンドエムを中心にデジタルマーケティング、プロモーションサービスの販売・提供をしております。同事業においては、リサーチ事業とのグループ内連携を強化する等、営業組織体制の強化や、運用型案件の積極的な案件獲得により売上高・セグメント利益ともに伸長いたしました。
その結果、当連結会計年度におけるその他の事業の売上高は762百万円(前年同期比14.2%増)、セグメント利益(営業利益)は106百万円(同80.2%増)となりました。
(2) キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は2,714百万円(前連結会計年度末比109百万円増)となりました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における営業活動の結果増加した資金は、637百万円(前連結会計年度比398百万円減)となりました。主な要因は、法人税等の支払額604百万円の減少要因があった一方で、減損損失の計上1,086百万円、のれん償却額152百万円の計上による増加要因があったことによります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における投資活動の結果減少した資金は、302百万円(前連結会計年度は、351百万円の減少)となりました。主な要因は、投資有価証券の取得による支出163百万円、無形固定資産の取得による支出203百万円の減少要因があったことによります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における財務活動の結果減少した資金は、222百万円(前連結会計年度は、99百万円の減少)となりました。主な要因は、長期借入金の返済による支出626百万円、配当金の支払額118百万円の減少要因があった一方で、短期借入金の純増減額519百万円の増加要因があったことによります。
(生産、受注及び販売の状況)
(1) 生産実績
当社グループでは、販売実績のほとんどが生産実績であることから、記載を省略しております。
(2) 受注実績
当社グループでは、概ね受注から納品までの期間が短く、受注管理を行う必要性が乏しいため記載を省略しております。
(3) 販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称当連結会計年度
(自 2019年1月1日
至 2019年12月31日)
金額(千円)前年同期比(%)
リサーチ事業14,553,7331.8
ITソリューション事業3,284,21129.2
その他の事業741,71113.0
合計18,579,6556.2

(注) 1.セグメント間取引については、相殺消去しております。
2.主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合については、連結損益計算書の売上高の10%以上を占める相手先がないため、記載を省略しております。
3.上記の金額には消費税等は含まれておりません。
(経営者の視点による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析)
当社グループの財政状態及び経営成績の分析は、以下のとおりであります。なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたっては、連結会計年度末における資産及び負債、連結会計年度における収益及び費用に影響を及ぼすような仮定や見積りを必要とします。これらの見積りについて過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、仮定あるいは条件の変化により、実際の結果と異なる可能性があります。
(2) 当連結会計年度の経営成績の分析
当連結会計年度の経営成績として、売上高は18,580百万円(前年同期比6.2%増)、経常利益は1,150百万円(経常利益率6.2%、前年同期比36.9%増)となりました。当社グループでは、成長段階であることを鑑みて、売上高成長率、経常利益率を意識した経営に取り組んでおります。
2019年12月期における業績予想公表時(2019年2月14日時点)の売上高は20,000百万円(前年同期比14.3%増)を想定しており、達成率としては92.9%にとどまりました。事業セグメント別の達成率を見ると、国内リサーチ事業:99.1%、海外リサーチ事業:81.0%、ITソリューション事業:99.3%、 その他の事業:73.0%となりました。
国内リサーチ事業、ITソリューション事業は概ね想定通り堅調に売上高を伸ばしましたが、海外リサーチ事業については、各国の個別状況により、当初想定していた売上高を計上出来なかった拠点が複数発生したこと、大型案件の売上計上が想定よりも後ろ倒しになったこと等により、想定を大きく下回る結果となりました。当該事業においては、既に不採算拠点、今後の継続的な成長が困難な拠点について、組織再編等を実施することにより、組織体制の見直しを実施しており、事業全体として継続的な成長、収益化を目指すべく様々な取り組みに着手しております。その他の事業については、業績予想公表時点において、前年同期比55.1%増と高いハードルを設けていたことから、未達成となっておりますが、結果として売上高742百万円(前年同期比13.0%増)と2ケタ成長を達成するとともに、リサーチ事業との連携も進んでいることから、今後も継続的な成長が実現可能であると認識しております。
結果として、連結売上高18,580百万円(前年同期比6.2%増)については、海外リサーチ事業の状況変化等により想定を下回ったものの、主力事業を中心に安定した売り上げ成長を実現していることから、今後の継続的な成長に向けて進んでいると判断しております。
2019年12月期における業績予想公表時(2019年2月14日時点)の経常利益は1,109百万円(予想時点の経常利益率5.5%、前年同期比32.0%増)を想定しており、結果として1,150百万円となったことから達成率としては103.7%となりました。業績予想公表時との差異については、マイナス面として海外リサーチ事業の売上の達成率が81.0%になったことにより、海外リサーチ事業において当初想定していた収益が見込めない状況となりました。しかしながら、主力である国内リサーチ事業において、売上高が堅調に推移するとともに、デジタルマーケティング・ビッグデータ領域における新サービス開発・提供による案件受注の増加等により、想定してた収益を超える水準であったことなどから、連結業績として経常利益率6.2%(前年同期比 1.4pt増)と堅調な業績を残すことが出来たと考えております。
(3) 財政状態の分析
(資産)
当連結会計年度末の財政状態は、資産については、流動資産が7,780百万円(前連結会計年度末比650百万円増)となりました。主な項目としては、現金及び預金2,714百万円、受取手形及び売掛金3,617百万円となっております。固定資産は2,147百万円(同1,152百万円減)となりました。減少の主な要因はのれん・固定資産の減損損失として1,086百万円を計上したことによるものです。残高の主な項目は、のれん287百万円、敷金602百万円、ソフトウェア244百万円となっております。その結果、総資産は9,927百万円(同502百万円減)となりました。
(負債)
負債については、流動負債が4,773百万円(同475百万円増)となりました。主な項目としては、買掛金1,562百万円、短期借入金838百万円、1年内返済予定の長期借入金494百万円となっております。固定負債は1,734百万円(同498百万円減)となりました。主な項目としては、長期借入金1,488百万円となっております。その結果、負債は6,507百万円(同22百万円減)となりました。
(純資産)
純資産は3,420百万円(同480百万円減)となりました。主な項目としては利益剰余金が2,302百万円となっております。
なお、「『税効果会計に係る会計基準』の一部改正」(企業会計基準第28号 2018年2月16日)等を当連結会計年度の期首から適用しており、財政状態の状況については、当該会計基準等を遡って適用した後の数値で前連結会計年度との比較・分析を行っております。
(4) 経営成績に重要な影響を与える要因について
「第2 事業の状況 2事業等のリスク」に記載のとおりでありますが、特に注視すべき要因としては、のれんの減損損失があると認識しております。2019年12月期おきましては、第2四半期において、海外リサーチ事業において大型案件の計上遅れ、組織体制の変化、足元の業績動向により、当初想定していた収益が見込めなくなったことから、Kadence社にかかるのれんを減損損失として計上したことにより、親会社株主に帰属する当期純損失を計上することとなりました(業績予想公表時(2019年2月14日時点)の当期純利益は570百万円(前年同期比12.5%増)を想定しておりました)。結果として、2019年12月末時点ののれん残高は287百万円となっており、今後連結業績に与える影響・リスクは低下していると認識しております。
(5) 資本の財源及び資金の流動性についての分析
(資本の財源)
当連結会計年度においては、一時的な運転資金の増加、海外リサーチ事業における資金需要に対応するため、短期借入金500百万円を調達いたしました。金融機関からの調達環境も安定しており、好条件での調達も実施できているため、資金需要が増加した場合にも機動的に対応出来ると考えております。
(資金の流動性)
当連結会計年度末における現金及び現金同等物は2,714百万円(前年同期比109百万円増)であり、有利子負債は主に金融機関からの借入金であります。なお、流動比率は163.0%であります。グループ全体として、一定の流動性は確保しており、現時点において懸念される点は無いと認識しております。
(キャッシュフローの状況)
当連結会計年度においては、売上高の拡大に伴う経常利益の増加により、安定した営業キャッシュ・フローを計上しております。一時的な運転資金の増加、海外リサーチ事業における資金需要に対応するため短期借入金500百万円を調達しておりますが、2014年12月期におけるKadence社の株式取得に掛かる長期借入金の返済を継続して実施しております。その結果、現金及び現金同等物期末残高が増加いたしました。2020年12月期については、現段階の計画において、大規模な資本的支出の予定は無く、今後の資金需要については、手元資金で賄うことを基本とし、必要に応じて金融機関からの借入等による資金調達を実施いたします。
その他については、「3経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (2)キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
(6) 経営者の問題認識と今後の方針について
「1経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおりであります。