有価証券報告書-第13期(2024/07/01-2025/06/30)
(1) 経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度における日本経済は、雇用・所得環境が改善するなか、内需拡大・インバウンド消費増加などにより、緩やかな回復が進みました。一方で、中国経済の成長鈍化、米国通商政策の世界経済への影響懸念、物価高による個人消費の低迷等は国内外で多様な業種に広がる当社顧客企業の収益環境に影を落としており、依然として先行き不透明な状況が継続しました。
当社グループの事業領域であるデジタルマーケティング市場及びマーケティングリサーチ市場は、顧客企業によるDX(デジタルトランスフォーメーション)への旺盛な投資を背景に堅調となっており、今後も中期的な成長が予想されます。一方で、消費者の購買行動は多様化が加速しており、これに対応した消費者ニーズ調査手法の革新やプロモーション手段の進化が求められるなど、競争環境の激化が想定されます。
こうした経営環境の下、当社グループは持続的な成長を実現するため、中期経営計画「DX Action 2024」の指針である「マーケティングDXパートナー」の実践へ向けた様々な取り組みを通じて、ビジネスモデルの進化とサービス対応領域の拡大を推進しました。
この結果、当連結会計年度における売上高は28,897百万円(前年同期比10.4%増)、営業利益は2,523百万円(同36.8%増)、経常利益は2,400百万円(同25.5%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は1,356百万円(同13.7%増)となりました。
セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。
(デジタルマーケティング事業)
デジタルマーケティング事業では、国内のグループ各社がデジタル領域に軸足を置き、販促支援メディアの運営、プロモーション・マーケティング支援、システムの受託開発及び保守・運用、人材供給等、DX(デジタルトランスフォーメーション)に関わる総合的なマーケティングソリューションを提供しております。
同事業の外部顧客に対する売上高は12,521百万円(前年同期比17.4%増)となりました。その主因は、インフルエンサーマーケティングやIPプロモーション等の高成長事業領域がけん引したことや、株式会社クリエイティブリソースインスティチュートを前連結会計年度期中に新規連結を開始したことに伴う事業拡大効果、などによるものです。
同事業のセグメント利益(営業利益)は900百万円(同38.1%増)となりました。これは、売上高増加による売上総利益の増加によるものです。
(データマーケティング事業)
データマーケティング事業では、国内外のグループ各社において、マーケティングリサーチにおけるオンライン・オフラインでのデータ収集を中心にサービスを提供しております。
同事業の外部顧客に対する売上高は9,914百万円(前年同期比12.5%増)となりました。これは、1)株式会社クロス・マーケティングを中心とする国内事業会社は、不透明な経済情勢の中でもお客様企業のリサーチ需要は底堅く、主力のオンラインリサーチの好調により増収、2)海外事業を行うKadenceグループにおいて、主力の北米拠点でのリサーチ需要が回復し大幅に増収、等によるものです。
同事業のセグメント利益(営業利益)は2,987百万円(同34.4%増)となりました。その主因は、売上高増加に伴う売上総利益の増加によるものです。
(インサイト事業)
インサイト事業では、国内外のグループ各社において、各種マーケティングデータの複合的な分析、消費者インサイトの発掘、レポート作成などを通じ、お客様企業のマーケティング戦略における意思決定への支援を行っております。
同事業の外部顧客に対する売上高は6,461百万円(前年同期比3.7%減)となりました。これは、1)株式会社クロス・マーケティングを中心とする国内事業会社において、オフライン調査等のリサーチ需要は底堅く推移したものの、医療・ヘルスケア領域が軟調に推移したことで小幅な増収にとどまった、2)Kadenceグループの海外事業会社において、英国拠点におけるリサーチが好調だった一方、インドネシアやシンガポール拠点などが苦戦して減収となった、等によるものです。
同事業のセグメント利益(営業利益)は836百万円(同13.5%減)となりました。その主因は、売上高減少に伴う売上総利益の減少によるものです。
当連結会計年度末の財政状態は、資産については、流動資産が12,870百万円(前連結会計年度末比113百万円増)となりました。主な項目としては、現金及び預金7,634百万円、売掛金3,676百万円となっております。固定資産は3,551百万円(同321百万円減)となりました。主な項目としては、ソフトウエア488百万円、のれん1,176百万円、投資その他の資産のその他に含まれる敷金693百万円となっております。その結果、総資産は16,421百万円(同209百万円減)となりました。
負債については、流動負債が5,417百万円(前連結会計年度末比451百万円減)となりました。主な項目としては、買掛金1,228百万円、1年内返済予定の長期借入金1,097百万円、短期借入金486百万円となっております。固定負債は3,017百万円(同662百万円減)となりました。主な項目としては、長期借入金2,666百万円となっております。その結果、負債は8,434百万円(同1,113百万円減)となりました。
純資産は7,987百万円(前連結会計年度末比905百万円増)となりました。主な項目としては利益剰余金が7,372百万円となっております。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は7,634百万円(前連結会計年度末比257百万円増)となりました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における営業活動の結果増加した資金は、1,956百万円となりました。主な要因は、法人税等の支払額867百万円などの減少要因があった一方で、税金等調整前当期純利益2,338百万円の計上、減価償却費350百万円の計上、のれん償却額257百万円の計上などによる増加要因があったことによります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における投資活動の結果減少した資金は、480百万円となりました。主な要因は、有形・無形固定資産の取得による支出245百万円、事業譲受による支出120百万円、連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得による支出78百万円などの減少要因があったことによります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における財務活動の結果減少した資金は、1,144百万円となりました。主な要因は、長期借入金の返済による支出1,154百万円、自己株式の取得による支出373百万円、配当金の支払額257百万円などの減少要因があった一方で、長期借入れによる収入400百万円の増加要因があったことによります。
③ 生産、受注及び販売の状況
a. 生産実績
当社グループでは、販売実績のほとんどが生産実績であることから、記載を省略しております。
b. 受注実績
当社グループでは、概ね受注から納品までの期間が短く、受注管理を行う必要性が乏しいため記載を省略しております。
c. 販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
| セグメントの名称 | 当連結会計年度 (自 2024年7月1日 至 2025年6月30日) | |
| 金額(千円) | 前年同期比(%) | |
| デジタルマーケティング事業 | 12,520,731 | 17.4 |
| データマーケティング事業 | 9,914,392 | 12.5 |
| インサイト事業 | 6,461,466 | △3.7 |
| 合計 | 28,896,589 | 10.4 |
(注) 1.セグメント間取引については、相殺消去しております。
2.主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合については、連結損益計算書の売上高の10%以上を占める相手先がないため、記載を省略しております。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は、以下のとおりであります。なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
当社グループでは、経営に委託された資本を最も効率よく活用すべく、適正資本構成を維持したうえでの収益力を図ることができるROEを、最も重要な経営指標として位置付けております。同時に、当社グループが成長段階であるとの認識に立ち、株主の収益成長期待に応えるため、売上高成長率、営業利益率を重視した事業経営に取り組んでおります。
[売上高成長率について]
当連結会計年度の売上高成長率は、10.4%(前連結会計年度は4.3%)となりました。売上高成長率が前期比で上昇した主因は、1)デジタルマーケティング事業において、インフルエンサーマーケティングやIPプロモーション等の高成長事業領域がけん引したことや、株式会社クリエイティブリソースインスティチュートを前連結会計年度期中に新規連結を開始したことに伴う事業拡大効果などにより、同事業の売上高が前期比17.4%増加したほか、2)データマーケティング事業において、株式会社クロス・マーケティングを中心とする国内事業会社がオンラインリサーチ好調、海外事業を行うKadenceグループは主力の北米拠点でのリサーチ需要回復による大幅増収、等により、同事業の売上高が前期比12.5%増加し、他方で前期比3.7%減収となるなど伸び悩んだインサイト事業のマイナス要因をカバーしたためです。
なお、インサイト事業の伸び悩みの一因だった国内医療・ヘルスケア領域売上高は、当連結会計年度の第4四半期には前年同四半期比で増収に転換するなど、一部では回復傾向も認められました。
こうした中、引き続き当社グループは、成長ドライバーとして位置付けるデジタルマーケティング事業ではM&Aを含む成長投資を適切に継続し、またデータマーケティング事業での成長継続、インサイト事業の回復トレンドを加速させていくなど、連結売上高全体として10%以上の売上高成長率を中期的に確保するための取り組みを実行してまいります。
[営業利益率について]
当連結会計年度の売上高営業利益率は8.7%(前連結会計年度は7.0%)となりました。営業利益率が前年同期比で上昇した主な要因は、データマーケティング事業及びデジタルマーケティング事業のセグメント利益率が各々増収効果を主因に改善したこと、比較的セグメント利益率の高いデータマーケティング事業の売上高構成比が上昇(前期比0.6%ポイント上昇)したこと、等によります。
今後は、デジタルマーケティング事業のセグメント利益率の更なる改善や、インサイト事業の収益回復等の利益率向上施策に取り組み、連結売上高営業利益率の継続的な改善を目指します。
[ROEについて]
当連結会計年度のROEは、18.0%(前連結会計年度は18.2%)となりました。ROEが前期比で小幅ながら低下した要因は、1)売上高当期純利益率上昇、2)総資産回転率上昇、の一方で、3)財務レバレッジが低下したことによるものです。以下、要素項目ごとに説明いたします。
1)売上高当期純利益率(親会社株主に帰属する当期純利益÷売上高)は4.7%となり、前期の4.6%から小幅ながら上昇しました。これは主に、上述のとおり売上高営業利益率が前期比で上昇したことによるものです。
2)総資産回転率(売上高÷期首期末単純平均総資産)は1.75回となり、前年同期の1.69回に対し小幅ながら上昇しました。要因として、上述のとおり売上高成長率が10.4%となるなか、総資産は前期末比で1.3%減と、主に負債の減少を主因に減少したためであります。
3)財務レバレッジ(期末総資産÷期末自己資本)は2.06倍となり前連結会計年度末の2.35倍に対し低下いたしました。これは、利益創出等に伴う純資産ならびに自己資本の増加があった一方、負債の減少を主因に総資産が減少したことによります。
当連結会計年度末の財政状態は、資産については、流動資産が12,870百万円(前連結会計年度末比113百万円増)となりました。主な項目としては、現金及び預金7,634百万円、売掛金3,676百万円となっております。固定資産は3,551百万円(同321百万円減)となりました。主な項目としては、ソフトウェア488百万円、のれん1,176百万円、投資その他の資産のその他に含まれる敷金693百万円となっております。減少の主な要因は、固定資産の減価償却によるものであります。その結果、総資産は16,421百万円(同209百万円減)となりました。
負債については、流動負債が5,417百万円(前連結会計年度末比451百万円減)となりました。主な項目としては、買掛金1,228百万円、1年内返済予定の長期借入金1,097百万円、短期借入金486百万円となっております。固定負債は3,017百万円(同662百万円減)となりました。主な項目としては、長期借入金2,666百万円となっております。減少の主な要因は、流動負債その他に含まれている未払金の減少及び長期借入金の返済によるものであります。その結果、負債は8,434百万円(同1,113百万円減)となりました。
純資産は7,987百万円(前連結会計年度末比905百万円増)となりました。主な項目としては利益剰余金が7,372百万円となっております。
② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
(キャッシュフローの状況)
当連結会計年度においては、持続的な成長の実現のため、中期経営計画「DX Action 2024」の指針である「マーケティングDXパートナー」の実現へ向けた様々な取り組みを通じて、グループのビジネスモデルの進化と各事業における対応領域の拡大を推進しており、税金等調整前当期純利益を2,338百万円計上いたしましたことから、営業活動によるキャッシュ・フローは1,956百万円の資金の増加となりました。
また、下記「(資本の財源)」に記載のとおり、長期借入金について400百万円の借入をした一方で、1,154百万円の資金を返済しており、財務活動によるキャッシュ・フローは1,144百万円の資金の減少となりました。
その結果、現金及び現金同等物の期末残高が257百万円増加しております。
2025年度については、現段階の計画において大規模な資本的支出の予定は無く、今後の資金需要については、手元資金で賄うことを基本とし、必要に応じて金融機関からの借入等による資金調達を実施いたします。
その他については、「4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
(資本の財源)
当連結会計年度においては、デジタルマーケティング事業の拡大を目的として、また、グループとして事業基盤を維持し、継続的な成長のための投資を実行していくことを目的として、長期借入金400百万円を調達いたしました。
(資金の流動性)
当連結会計年度末における現金及び現金同等物は7,634百万円(前年同期比257百万円増)であり、有利子負債は主に金融機関からの借入金であります。なお、流動比率は237.6%であります。グループ全体として、一定の流動性は確保しており、現時点において懸念される点は無いと認識しております。
③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたっては、連結会計年度末における資産及び負債、連結会計年度における収益及び費用に影響を及ぼすような仮定や見積りを必要とします。これらの見積りについて過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、仮定あるいは条件の変化により、実際の結果と異なる可能性があります。
連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは以下のとおりであります。
a. 繰延税金資産
当社グループは、繰延税金資産について回収可能性を検討し、当該資産の回収が不確実と考えられる部分に対して評価性引当額を計上しております。回収可能性の判断においては、将来の課税所得見込額と実行可能なタックス・プランニングを考慮して、将来の税金負担額を軽減する効果を有すると考えられる範囲で繰延税金資産を計上しております。
将来の課税所得見込額はその時の業績等により変動するため、課税所得の見積に影響を与える要因が発生した場合は、回収懸念額の見直しを行い繰延税金資産の修正を行うため、当期純損益額が変動する可能性があります。
b. 固定資産の減損
当社グループは、固定資産の減損の検討にあたり、管理会計上の区分を基礎として資産のグルーピングを行い、収益性が著しく低下した資産グループについて、固定資産の帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失として計上しております。
固定資産の回収可能価額は、将来キャッシュ・フロー、割引率、正味売却価額等の前提条件に基づき算出しており、将来キャッシュ・フロー等の前提条件に変更があった場合、固定資産の減損を実施し、当社グループの業績を悪化させる可能性があります。
④ 経営成績に重要な影響を与える要因について
「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載のとおりでありますが、今後当社の連結業績に影響を与えるリスクとして特に注視すべき不透明な要因として、混迷が長期化するウクライナや中東情勢のほか、原材料価格の高騰や急激な為替レートの変動などが挙げられます。これらの要因が当社の顧客の企業活動に影響をもたらし、顧客企業の新商品・サービス開発投資、マーケティングDX投資、販売促進活動等が想定以上に急激に変更(加速または縮減)された場合、当社の経営成績に重要な影響を与える可能性があるものと認識しております。
⑤ 経営者の問題認識と今後の方針について
「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおりであります。