有価証券報告書-第11期(令和3年4月1日-令和4年3月31日)

【提出】
2022/06/27 12:10
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106項目
(1)経営成績等の状況の概要
① 財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度のわが国経済は、新型コロナウイルス感染拡大の波が断続的に訪れたことに加え、2022年2月に始まったロシアのウクライナ侵攻に端を発した各国の様々な経済制裁によるサプライチェーンの寸断による物資の不足、とりわけ小麦製品や、ガソリンといったエネルギーの供給不足による原材料価格の高騰が家計へ与える影響が顕在化しつつあり、足元の景気の下押し要因になっております。また半導体の供給不足から電子産業界への深刻な影響も懸念されており、金融市場においても株価の下落や、コロナ禍とウクライナ情勢という先行きが不安な中で急激に進んだ円安に、企業の対応スピードが追い付かず、メリットの享受よりも輸入コストの上昇というマイナスの影響の方が強く発現し、依然人々の不安は払拭できず景気の先行きについては非常に不透明な状況が続いております。一方、コロナ禍で生じたリモート化・EC化等の潮流変化はコロナ後も続く不可逆的な動きとなり、特にバックオフィス系の業務改善・リモートワーク実施の妨げとなっていた紙への押印作業や書類保管を電子データでも可能にする法改正や規制の緩和が次々と施行されたことで、企業のペーパーレス化・デジタル化の流れは今後ますます加速するとみられています。また持続可能な社会づくりに向け、世界各国から環境問題や気候変動への対応方針が示され、再生可能エネルギーの活用等の取組みが進んでおり、日本政府も2050年に脱炭素社会の実現を目指すことを宣言し、各国政府によるグリーン化の公共投資及び企業による設備投資の拡大が期待されておりますが、やはりコロナ禍による経済回復のペースには各国でバラつきが生じるとの見方が強く、また新たに発生したロシアへの経済制裁による世界的な景気の下振れリスクには依然予断を許さない状況です。
当社グループの主要事業領域の一つである消費者向け電子商取引市場においては、コロナ禍で副業を開始する個人事業主の増加や、これまで対面中心でサービス提供をしていた業種を含め、次々とネット販売事業に参入したりといった傾向がますます顕著となり、それに伴い手軽に安価でネットショップの開設ができるサービスや顧客管理サービスが台頭する等、SaaS型サブスクリプションサービスの発展を伴って新たな消費行動を促す兆候も多くみられました。決済サービス事業そのものは、その産業の特性と上記のような動きもあり、対面からデジタル消費へと一定の条件はあるものの新たな生活様式や社会環境に合致した消費を中心に継続的な市場規模の拡大が見込まれております。またSBI Cosmoney Co.,Ltd.の事業領域である国際送金市場については、コロナ禍で技能実習生を含む新規の外国人労働者が入国しない状況が続き、長引く新型コロナウイルス感染症拡大防止の水際対策として、外国人の入国を制限する措置をとったため、総じて非常に厳しい状況が継続しました。抜本的な外部環境の早期好転を望むも、コロナがある程度収束しない限り、今後の新規会員獲得とコロナ前と同様の継続的な市場の拡大は難しいとの見方の一方で、今後は厳しい移動制限までは不要になるとの予測もなされております。
こうした状況下において、当社グループは「総合FinTechソリューション企業」として、従来金融機関では提供できない領域に対する様々なニーズに、FinTech技術を活用した顧客便益の高いソリューションで応え、かつSBIグループで推進する「地方創生を地銀との連携を通して実現する」というビジョンの下、中小企業を中心とした事業法人獲得戦略でグループシナジーを活かした顧客基盤の拡大を目指し、中長期的視点に立った事業全般にわたる競争力の強化のための施策を推し進めてまいりました。
この結果、当連結会計年度の財政状態及び経営成績は以下のとおりとなりました。
a.財政状態
当連結会計年度末の資産合計は、前連結会計年度末に比べ7,153,169千円増加し、43,332,327千円となりました。主な要因は、買取債権が7,742,806千円増加したことによるものであります。
当連結会計年度末の負債合計は、前連結会計年度末に比べ6,812,220千円増加し、38,520,732千円となりました。主な要因は、社債が3,493,410千円、短期借入金が3,451,454千円増加したことによるものであります。
当連結会計年度末の資本合計は、前連結会計年度末に比べ340,949千円増加し、4,811,595千円となりました。主な要因は、資本剰余金が1,222,630千円増加したことによるものであります。
b.経営成績
当連結会計年度における当社グループの取組みは、冒頭に記載のとおりであります。
販売費及び管理費につきましては、費用削減努力を継続する一方で市場拡大に伴う積極的な顧客獲得のためのマーケティング施策や管理体制の強化及び事業展開を推進するために優秀な人材の積極採用を行った結果、増加しました。
以上の結果、当社グループの当連結会計年度における経営成績は、収益5,543,570千円(前期比117.9%)、売上総利益3,573,547千円(前期比122.7%)、継続事業からの税引前当期利益234,276千円(前期比30.8%)、当期損失534,488千円(前期は当期利益723,121千円)、当期損失(親会社の所有者に帰属)537,710千円(前期は当期利益(親会社の所有者に帰属)725,818千円)となりました。また、当連結会計年度にSBIレミット株式会社の損益を非継続事業に分類したため、前連結会計年度の数値を組替えし、比較分析しております。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ3,034,104千円減少し、当連結会計年度末には、17,810,466千円となりました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況及び主な要因は以下のとおりです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において、営業活動によるキャッシュ・フローは9,594,331千円の支出(前連結会計年度は 5,784,353千円の支出)となりました。これは主に買取債権の増減7,839,523千円によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において、投資活動によるキャッシュ・フローは5,779,450千円の支出(前連結会計年度は398,393千円の支出)となりました。これは主に子会社株式の売却による支出3,660,134千円、及び無形資産の取得による支出2,124,522千円によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において、財務活動によるキャッシュ・フローは12,147,481千円の収入(前連結会計年度は8,722,791千円の収入)となりました。これは主に短期借入金の純増減額8,427,390千円、及び社債の発行による収入4,349,514千円によるものであります。
② 生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当社グループは、決済サービス事業、個人向けマネーサービス事業並びに企業支援サービス事業を行っており、提供するサービスの性格上、生産実績の記載に馴染まないため記載しておりません。
b.受注実績
生産実績と同様の理由により記載しておりません。
c.販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称当連結会計年度
(自2021年4月1日
至2022年3月31日)
金額(千円)前年同期比(%)
決済サービス事業3,811,892117.5%
個人向けマネーサービス事業727,021152.3%
企業支援サービス事業1,004,657102.3%
合計5,543,570117.9%

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、「連結財務諸表の用語、様式及び作成方法に関する規則」第93条の規定によりIFRSに準拠して作成しております。この連結財務諸表の作成に当たって、必要と思われる見積りは、合理的な基準に基づいて実施しております。
なお、当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針、会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 3. 重要な会計方針 4. 重要な会計上の判断及び不確実性の見積りの主要な源泉」に記載しております。
また、新型コロナウイルス感染症の長期化に伴う影響及び新たに顕在化しつつあるロシアへの経済制裁による実体経済へ影響は見通しが依然困難な状況にあるものの、当社グループの事業活動及び業績への影響は限定的であることから、本連結財務諸表における重要な会計上の判断、見積り及び仮定の変更は見込んでおりません。
② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
当社グループの経営成績等につきましては「(1)経営成績等の状況の概要 ① 財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりであります。
当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載のとおりであります。
a.経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
決済サービス事業における市場動向としては、非対面決済を中心に拡大基調を維持すると思われ、コロナ禍もEC化の追い風となっている状況の一方、競争激化による利益率の低下が続く等、成熟市場ゆえの課題も存在します。また新型コロナウイルス長期化によるインバウンド需要の消失等直接的な影響のほか、経済全体への影響が予断を許さない状況ではあるものの、そこに対しては、テレワーク拡大等で顕在化した不可逆的な潮流であるEC化・DXのニーズに対し、グループ子会社が提供するクラウドサービスと決済、さらにファクタリングを中心としたフィナンシャルソリューションの連携等を強化し、当社の得意分野における市場等で差別化を図り、収益性の高いサービスを構築することで底上げをする必要があります。また「改正電子帳簿保存法」や「インボイス制度」等の電子化を推奨する各種法改正は、市場の拡大と共に大きなビジネスチャンスである一方、デジタル化が進んでいない地方を含む全国の中小企業を中心とした新規顧客獲得に伴うコスト増も利益を圧迫する要因の一つと認識しており、そこに対しては、業務効率化と改善ツール等も用いて継続的にコスト削減努力を行っていく方針です。
国際送金サービス分野における世界的な市場動向は、グローバル化で出稼ぎ労働者を含む移民が増加し、1990年以降、年平均成長率は9%に達し、世界銀行のデータによれば2019年には約75兆円と過去最高を更新しました。こういった市場の伸びはナチュラルグロースとして享受できる一方、2020年初頭から世界的に感染が拡大している新型コロナウイルスの影響で、今後の見通しは依然として不透明な状況となっています。こういった不安定な状況の中、アプリでの送金技術の向上や周辺領域を含めた付加価値の高い金融サービスの提供、また仕向国の拡大による外国人送金だけでなく、内国人送金も取り込む等新たな顧客獲得の方法を模索しつつ、顧客目線で最善・最良のサービスを常に提供し続けることが非常に重要と認識しております。
当社グループの経営に影響を与える要因としては、各事業分野における市場動向、法規制及び法改正動向、サイバー攻撃等の高度化・巧妙化を含むセキュリティリスク動向、新規サービスの企画・開発を含むシステム対応状況等があります。当社グループは、決済サービス事業をメインとした「ECトータルソリューション企業」から「総合FinTechソリューション企業」へと進化しておりますが、コロナ禍に伴い一層需要が顕在化したペーパーレス化・デジタル化、また相次ぐ法改正によるDXの高まりを好機と捉え、これまで資金力のある一部の大企業しか実現できなかったDXにも、クラウド利用を含むITの力を駆使して全国の中小企業や個人事業主向け等スモールビジネス領域に対して、リスクを抑えつつ顧客中心主義の目線で優良なサービスを開発し提供していくことをミッションとし、事業ドメインとして注力しております。
b.資本の財源及び資金の流動性
当社グループの主な運転資金需要としては、クレジットカード会社に対する売上原価及び販売費、管理費等の営業費用や国際送金事業における送金資金、ファクタリング等のファイナンス資金であります。投資資金需要としては、システム投資を中心とした設備投資によるものであります。
当社グループは事業活動の維持拡大に必要な資金を安定的に確保するため、自己資金の活用及び金融機関からの借入及び当座借越、極度借入の未使用枠を有しております。また、複数の金融機関を比較することで、資金調達コストの逓減に努めております。
c.セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
(a)決済サービス事業
決済サービス事業におきましては、EC事業者向けの決済サービス(クレジットカード決済、コンビニ決済、Pay-easy決済、口座振替決済、銀行振込決済、キャリア決済、電子マネー決済等)、店舗向け端末決済サービス等の開発と販売に関する事業が属しております。コロナ禍で継続的に伸長した加盟店も多くあったものの、外出自粛や移動制限の影響を受けた旅行やホテル等のオンライン宿泊予約等の既存加盟店の一部落ち込みもあり吉凶混合の状況となりました。またスモールビジネスをメインターゲットに据え、すべてネットで完結する利便性の高いサービス提供のための環境構築や新サービス・機能開発等への投資も積極的に行いました。また昨今の資金需要の高まりを受け、ファクタリングを中心としたフィナンシャルソリューションの提供により、EC事業者のみならず、調剤薬局等の診療報酬債権の買取等も含め取引の裾野を拡大いたしました。こうした様々な取組みの結果、売上高・営業利益ともに前年を上回りました。特に営業利益においてはフィナンシャルソリューションの貸倒引当金の積み増しや決済系の新たなサービス開発におけるシステム外注費やマーケティング費用及び人材への先行投資を行ったにも関わらず、利益率の高いファクタリングの買取金額の伸びが堅調に推移した結果、営業利益は前年比で大きくプラスとなりました。
以上の結果、当連結会計年度における収益は3,811,892千円(前期比117.5%)、営業利益は787,180千円(前期比156.4%)となりました。
(b)個人向けマネーサービス事業
個人向けマネーサービス事業におきましては、2018年3月にサービスを開始した韓国のSBI Cosmoney Co.,Ltd.による「国際送金サービス」が属しております。SBI Cosmoney Co.,Ltd.においては、期の前半に特需があり、ひと月の送金金額が一時230億円を突破する等前期比で売上高及び営業利益を大きく伸ばしました。長引くコロナ禍とウォン安に伴う、為替手数料等のコスト増等により後半は厳しい状況となりましたが、仕入原価低減等のコスト削減策も奏功し、通期では黒字転換を果たしました。なお、日本における「国際送金サービス」を提供していたSBIレミット株式会社につきましては、事業ポートフォリオ最適化の一環で2022年3月末に全株式をSBIホールディングス株式会社に譲渡しております。
以上の結果、当連結会計年度における収益は727,021千円(前期比152.3%)、営業利益は129,309千円(前期は営業損失94,546千円)となりました。
(c)企業支援サービス事業
企業支援サービス事業におきましては、SBIビジネス・ソリューションズ株式会社が提供する、企業の「バックオフィス支援系クラウドサービス」や、持分法適用関連会社の株式会社ブロードバンドセキュリティが提供する「総合ITセキュリティサービス」等、事業者向けのセキュリティ関連サービス、企業の経理や会計・稟議システム・勤怠管理システム等のバックオフィス業務を支援する様々なサービスが属しております。当事業におきましては、SBIビジネス・ソリューションズにおいて、SBIグループの推進する「地方創生」の取組みを具現化させるべく、地銀との連携を強化すると共に、「改正電子帳簿保存法」等の法改正で市場が活況を呈する経理系業務の効率化を支援するクラウドサービスへの先行投資を行い、中小企業の獲得による顧客基盤の拡大に注力いたしました。
以上の結果、当連結会計年度における収益は1,004,657千円(前期比102.3%)、営業損失216,147千円(前期は営業利益673,688千円)となりました。

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