有価証券報告書-第5期(令和2年4月1日-令和3年3月31日)
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は以下のとおりであります。
①財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度の財政状態及び経営成績は以下のとおりであります。
a.財政状態
当連結会計年度末における総資産は、前連結会計年度末に比べて4,660百万円増加し、394,086百万円となりました。これは主に、現金及び預金の増加、たな卸資産の減少によるものであります。 負債は、前連結会計年度末に比べて13,808百万円減少し、146,438百万円となりました。これは主に、借入金の減少によるものであります。
純資産は、前連結会計年度末に比べて18,469百万円増加し、247,648百万円となりました。これは主に、利益剰余金の増加によるものであります。
b.経営成績
当連結会計年度の当社グループの経営成績につきましては、売上高は、前期に比べて9,774百万円減少し、842,675百万円(前期比1.1%減)となりましたが、営業利益は、前期に比べて6,751百万円増加し、24,018百万円(前期比39.1%増)となりました。また、経常利益は、前期に比べて7,465百万円増加し、27,000百万円(前期比38.2%増)となり、親会社株主に帰属する当期純利益は、前期に比べて8,764百万円増加し、20,204百万円(前期比76.6%増)となりました。
報告セグメント別の業績の概況は、次のとおりであります。
<加工食品事業>当連結会計年度の加工食品事業の売上高は、前期に比べて6,832百万円増加し、307,041百万円(前期比2.3%増)となりました。営業利益は、前期に比べて5,667百万円増加し、12,397百万円(前期比84.2%増)となりました。
<食肉事業>当連結会計年度の食肉事業の売上高は、前期に比べて16,603百万円減少し、531,581百万円(前期比3.0%減)となりましたが、営業利益は、前期に比べて2,158百万円増加し、13,443百万円(前期比19.1%増)となりました。
②キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末の現金及び現金同等物(以下「資金」という。)の残高は、前連結会計年度末に比べて8,879百万円増加(前期は7,128百万円の増加)し、50,651百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動により資金は40,862百万円増加(前期は31,847百万円の増加)しました。主な増加要因は、税金等調整前当期純利益の計上、たな卸資産の減少によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動により資金は10,837百万円減少(前期は7,855百万円の減少)しました。主な減少要因は、設備更新等の有形固定資産の取得による支出であります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動により資金は21,097百万円減少(前期は16,390百万円の減少)しました。主な減少要因は、借入金の減少、配当金の支払及び自己株式の取得による支出であります。
③生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1.当社グループ製品の製造原価によっており、セグメント間の内部振替前の数値によっております。
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
b.受注実績
当社グループは見込み生産を行っているため、該当事項はありません。
c.販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1.セグメント間の取引については、相殺消去しております。
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
①重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。
連結財務諸表作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載のとおりです。
また、当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載していますが、特に次の重要な会計方針が、連結財務諸表作成における重要な見積りの判断に影響を及ぼすと考えております。
a.たな卸資産の評価
当社グループのたな卸資産には一定期間保存する販売用食肉在庫があり、保存期間中における需給バランスの変化等の外部環境の影響により、その売価は畜産物相場の変動リスクにさらされております。
販売用食肉の貸借対照表価額は収益性の低下に基づく簿価切下げの方法により算定しており、連結会計年度末における正味売却価額が取得原価を下回る場合には、当該正味売却価額をもって貸借対照表価額としております。この正味売却価額は、見積売価から見積販売直接経費を控除して算定しております。
過去の販売実績及び将来の販売見込み等に基づき見積売価を予測しておりますが、その予測には不確実性を伴うため、実際の販売価格との乖離が発生した場合は翌期の損益に重要な影響を及ぼす可能性があります。
b.退職給付に係る負債及び退職給付に係る資産
退職給付に係る負債及び退職給付に係る資産は、数理計算上で設定される前提条件に基づき算出されております。これらの前提条件には、割引率、発生した給付額、利息費用、年金資産の長期期待運用収益率、死亡率などの要素が含まれております。実際の結果がこれらの前提条件と異なる場合、または前提条件が変更された場合、その影響は累積され、将来の会計期間にわたって償却されるため、将来の退職給付費用に影響を及ぼす可能性があります。
なお、新型コロナウイルス感染症の影響に関して、当社グループは現時点では、厳重な対策を実施した上で事業活動を継続しており、業績及び会計上の見積りに与える影響は軽微であると判断しておりますが、その収束時期及び経済環境への影響等の予想については不確実性が高いことから、感染症の収束時期及び経済環境への影響が変化した場合には、翌連結会計年度以降の当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に影響を及ぼす可能性があります。
②当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の影響により、社会経済活動が制限される厳しい状況が続きました。先行きについても、感染が再拡大して収束時期が見通せない中、不透明な状況が続くと見込まれます。
当業界におきましては、新しい生活様式に基づく消費行動の変化が生じており、新たな事業環境への適応が求められています。当社グループでは、食品メーカーとしての供給責任を果たすべく、従業員の安全確保や事業継続に向けた感染症対策を徹底するとともに、市場の変化の兆しを的確に捉えて迅速に対応できる体制を整え、事業活動を行っております。
このような状況において、当社グループは、2021年度より3年間を対象期間とする「中期経営計画2023」を策定いたしました。「私たちは事業を通じて、健やかで豊かな社会の実現に貢献します」をグループ理念に、また「フェアスピリットと変革への挑戦を大切にし、従業員とともに持続的に成長する食品リーディングカンパニー」をビジョンとして掲げ、「既成概念の打破」と「強みの再認識」による更なる成長と飛躍を意識し、「経営基盤の強化」「収益基盤の強化」「新規事業・市場への取り組み」「サステナビリティへの取り組み」を実行し、競争力と成長力を高めてまいります。また、定量指標としては、投下資本利益率(ROIC)を重視し、対象期間中に6.8%まで向上させていくことを目指します。
a.経営成績
(売上高)
加工食品事業は、ハム・ソーセージについては、テレビコマーシャルの投入や消費者キャンペーンの実施により、「The GRAND アルトバイエルン」「朝のフレッシュシリーズ」「ポークビッツ」「御殿場高原あらびきポーク」「原形ベーコンシリーズ」等、主力商品の拡販に努め、家庭用商品の販売は増加しましたが、外食向けの業務用商品の販売減少の影響もあり、売上高は微減となりました。
調理加工食品については、「ラ・ピッツァ」「ピザガーデン」などのピザ類が堅調に推移したことに加え、「サラダチキン」「レンジでごちそうシリーズ」「旨包ボリュームリッチハンバーグ」等の消費者の簡便志向・健康志向に対応した商品が伸長したことから、販売数量、売上高ともに増加しました。
ギフトについては、「伝承」シリーズを中心に拡販に努めましたが、市場全体が縮小する中、調理品ギフトは伸長したものの、ギフト全体では販売数量、売上高ともに前年を下回りました。
食肉事業は、国内事業については、家庭内での食事機会の増加による内食需要の高まりを受けて量販店向けの販売が好調に推移しましたが、新型コロナウイルス感染症拡大による海外調達先の稼働率低下と外食向けの需要減退の影響により、売上高は減少しました。
海外事業については、アンズコフーズ社は、ニュージーランド政府の新型コロナウイルス対策による工場の一時稼働停止等の影響を受けて売上高は減少しました。
以上の結果、当連結会計年度の売上高は、842,675百万円と前期に比べて9,774百万円(1.1%)の減収となりました。
(営業利益)
加工食品事業においては、家庭用商品の販売伸長に加え経費削減等に取り組み、増益となりました。食肉事業においても、在庫の適正化による採算管理を徹底し利益率の改善を進め、採算重視の販売と経費削減に努めたことから、増益となりました。
以上の結果、当連結会計年度の営業利益は、24,018百万円と前期に比べて6,751百万円(39.1%)の増益となりました。
(経常利益)
営業利益の増益に加え、助成金収入が増加したこと等により、当連結会計年度の経常利益は、27,000百万円と前期に比べて7,465百万円(38.2%)の増益となりました。
(親会社株主に帰属する当期純利益)
当連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純利益は、経常利益の増益に加え、前期に夢工場において発生した火災事故による損害に対する保険金の受取があったこと等により、20,204百万円と前期に比べて8,764百万円(76.6%)の増益となりました。
(今後の見通し)
わが国経済は、新型コロナウイルス感染症の影響による購買行動の変化や社会のデジタル化の加速に加え、ESGやSDGsへの関心の高まりなどにより、消費者ニーズや価値観が急速に変化し多様化することが予想されます。
このような状況において、当社グループは、事業環境の変化に適応して強みを発揮していくために「中期経営計画2023」に基づき、統合後の経営基盤・収益基盤を確固たるものとし、新たな市場ニーズへの対応に加え、社会や環境に配慮した取り組みを行い、競争力と成長力を高めてまいります。
次期の連結業績につきましては、原材料価格の上昇に加え、内食需要の高まりが一段落することも予想されることから、売上高8,200億円、営業利益230億円、経常利益250億円、親会社株主に帰属する当期純利益160億円を見込んでおります。
なお、新型コロナウイルス感染症による当社グループへの影響につきましては、巣ごもり消費により家庭用商品の需要が拡大する一方で、国内の外出自粛や海外からの入国制限、大規模イベントの中止により、主に外食向けの業務用商品の需要の減退が継続することが見込まれます。また、店舗事業における出店先の営業自粛による休業や営業時間短縮等の影響、海外調達先の生産停滞による輸入量減少や価格変動の影響も見込まれます。ただし、当社グループの業績に与える影響は軽微であると判断しております。
b.経営成績に重要な影響を与える要因について
経営成績に重要な影響を与える要因については、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載のとおりであります。
c.資本の財源及び資金の流動性についての分析
キャッシュ・フローの状況につきましては、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
海外子会社及び一部の国内子会社を除く当社グループではキャッシュ・マネジメント・システムを導入し、グループ資金の有効活用を実現しております。
2021年度における運転資金及び設備投資資金の調達は自己資金及び借入金による調達を予定しております。
また、キャッシュ・フローの指標は、以下のとおりであります。
(注) 1.自己資本比率:自己資本/総資産
2.時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産
3.キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/キャッシュ・フロー
4.インタレスト・カバレッジ・レシオ:キャッシュ・フロー/利払い
*各指標は、いずれも連結ベースの財務数値により算出しております。
*株式時価総額は、期末株価終値×期末発行済株式数(自己株式控除後)により算出しております。
*キャッシュ・フローは連結キャッシュ・フロー計算書の営業活動によるキャッシュ・フローを使用しております。
*有利子負債は、連結貸借対照表に計上されている負債のうち利子を支払っている全ての負債を対象としております。
*利払いは、連結キャッシュ・フロー計算書の利息の支払額を使用しております。
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は以下のとおりであります。
①財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度の財政状態及び経営成績は以下のとおりであります。
a.財政状態
当連結会計年度末における総資産は、前連結会計年度末に比べて4,660百万円増加し、394,086百万円となりました。これは主に、現金及び預金の増加、たな卸資産の減少によるものであります。 負債は、前連結会計年度末に比べて13,808百万円減少し、146,438百万円となりました。これは主に、借入金の減少によるものであります。
純資産は、前連結会計年度末に比べて18,469百万円増加し、247,648百万円となりました。これは主に、利益剰余金の増加によるものであります。
b.経営成績
当連結会計年度の当社グループの経営成績につきましては、売上高は、前期に比べて9,774百万円減少し、842,675百万円(前期比1.1%減)となりましたが、営業利益は、前期に比べて6,751百万円増加し、24,018百万円(前期比39.1%増)となりました。また、経常利益は、前期に比べて7,465百万円増加し、27,000百万円(前期比38.2%増)となり、親会社株主に帰属する当期純利益は、前期に比べて8,764百万円増加し、20,204百万円(前期比76.6%増)となりました。
報告セグメント別の業績の概況は、次のとおりであります。
<加工食品事業>当連結会計年度の加工食品事業の売上高は、前期に比べて6,832百万円増加し、307,041百万円(前期比2.3%増)となりました。営業利益は、前期に比べて5,667百万円増加し、12,397百万円(前期比84.2%増)となりました。
<食肉事業>当連結会計年度の食肉事業の売上高は、前期に比べて16,603百万円減少し、531,581百万円(前期比3.0%減)となりましたが、営業利益は、前期に比べて2,158百万円増加し、13,443百万円(前期比19.1%増)となりました。
②キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末の現金及び現金同等物(以下「資金」という。)の残高は、前連結会計年度末に比べて8,879百万円増加(前期は7,128百万円の増加)し、50,651百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動により資金は40,862百万円増加(前期は31,847百万円の増加)しました。主な増加要因は、税金等調整前当期純利益の計上、たな卸資産の減少によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動により資金は10,837百万円減少(前期は7,855百万円の減少)しました。主な減少要因は、設備更新等の有形固定資産の取得による支出であります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動により資金は21,097百万円減少(前期は16,390百万円の減少)しました。主な減少要因は、借入金の減少、配当金の支払及び自己株式の取得による支出であります。
③生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 | 当連結会計年度 (自 2020年4月1日 至 2021年3月31日) | 前年同期比(%) |
加工食品事業(百万円) | 170,215 | 99.4 |
食肉事業(百万円) | 159,157 | 103.9 |
報告セグメント計(百万円) | 329,373 | 101.5 |
その他(百万円) | - | - |
合計(百万円) | 329,373 | 101.5 |
(注) 1.当社グループ製品の製造原価によっており、セグメント間の内部振替前の数値によっております。
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
b.受注実績
当社グループは見込み生産を行っているため、該当事項はありません。
c.販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 | 当連結会計年度 (自 2020年4月1日 至 2021年3月31日) | 前年同期比(%) |
加工食品事業(百万円) | 307,041 | 102.3 |
食肉事業(百万円) | 531,581 | 97.0 |
報告セグメント計(百万円) | 838,623 | 98.8 |
その他(百万円) | 4,052 | 99.9 |
合計(百万円) | 842,675 | 98.9 |
(注) 1.セグメント間の取引については、相殺消去しております。
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
①重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。
連結財務諸表作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載のとおりです。
また、当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載していますが、特に次の重要な会計方針が、連結財務諸表作成における重要な見積りの判断に影響を及ぼすと考えております。
a.たな卸資産の評価
当社グループのたな卸資産には一定期間保存する販売用食肉在庫があり、保存期間中における需給バランスの変化等の外部環境の影響により、その売価は畜産物相場の変動リスクにさらされております。
販売用食肉の貸借対照表価額は収益性の低下に基づく簿価切下げの方法により算定しており、連結会計年度末における正味売却価額が取得原価を下回る場合には、当該正味売却価額をもって貸借対照表価額としております。この正味売却価額は、見積売価から見積販売直接経費を控除して算定しております。
過去の販売実績及び将来の販売見込み等に基づき見積売価を予測しておりますが、その予測には不確実性を伴うため、実際の販売価格との乖離が発生した場合は翌期の損益に重要な影響を及ぼす可能性があります。
b.退職給付に係る負債及び退職給付に係る資産
退職給付に係る負債及び退職給付に係る資産は、数理計算上で設定される前提条件に基づき算出されております。これらの前提条件には、割引率、発生した給付額、利息費用、年金資産の長期期待運用収益率、死亡率などの要素が含まれております。実際の結果がこれらの前提条件と異なる場合、または前提条件が変更された場合、その影響は累積され、将来の会計期間にわたって償却されるため、将来の退職給付費用に影響を及ぼす可能性があります。
なお、新型コロナウイルス感染症の影響に関して、当社グループは現時点では、厳重な対策を実施した上で事業活動を継続しており、業績及び会計上の見積りに与える影響は軽微であると判断しておりますが、その収束時期及び経済環境への影響等の予想については不確実性が高いことから、感染症の収束時期及び経済環境への影響が変化した場合には、翌連結会計年度以降の当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に影響を及ぼす可能性があります。
②当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の影響により、社会経済活動が制限される厳しい状況が続きました。先行きについても、感染が再拡大して収束時期が見通せない中、不透明な状況が続くと見込まれます。
当業界におきましては、新しい生活様式に基づく消費行動の変化が生じており、新たな事業環境への適応が求められています。当社グループでは、食品メーカーとしての供給責任を果たすべく、従業員の安全確保や事業継続に向けた感染症対策を徹底するとともに、市場の変化の兆しを的確に捉えて迅速に対応できる体制を整え、事業活動を行っております。
このような状況において、当社グループは、2021年度より3年間を対象期間とする「中期経営計画2023」を策定いたしました。「私たちは事業を通じて、健やかで豊かな社会の実現に貢献します」をグループ理念に、また「フェアスピリットと変革への挑戦を大切にし、従業員とともに持続的に成長する食品リーディングカンパニー」をビジョンとして掲げ、「既成概念の打破」と「強みの再認識」による更なる成長と飛躍を意識し、「経営基盤の強化」「収益基盤の強化」「新規事業・市場への取り組み」「サステナビリティへの取り組み」を実行し、競争力と成長力を高めてまいります。また、定量指標としては、投下資本利益率(ROIC)を重視し、対象期間中に6.8%まで向上させていくことを目指します。
a.経営成績
(売上高)
加工食品事業は、ハム・ソーセージについては、テレビコマーシャルの投入や消費者キャンペーンの実施により、「The GRAND アルトバイエルン」「朝のフレッシュシリーズ」「ポークビッツ」「御殿場高原あらびきポーク」「原形ベーコンシリーズ」等、主力商品の拡販に努め、家庭用商品の販売は増加しましたが、外食向けの業務用商品の販売減少の影響もあり、売上高は微減となりました。
調理加工食品については、「ラ・ピッツァ」「ピザガーデン」などのピザ類が堅調に推移したことに加え、「サラダチキン」「レンジでごちそうシリーズ」「旨包ボリュームリッチハンバーグ」等の消費者の簡便志向・健康志向に対応した商品が伸長したことから、販売数量、売上高ともに増加しました。
ギフトについては、「伝承」シリーズを中心に拡販に努めましたが、市場全体が縮小する中、調理品ギフトは伸長したものの、ギフト全体では販売数量、売上高ともに前年を下回りました。
食肉事業は、国内事業については、家庭内での食事機会の増加による内食需要の高まりを受けて量販店向けの販売が好調に推移しましたが、新型コロナウイルス感染症拡大による海外調達先の稼働率低下と外食向けの需要減退の影響により、売上高は減少しました。
海外事業については、アンズコフーズ社は、ニュージーランド政府の新型コロナウイルス対策による工場の一時稼働停止等の影響を受けて売上高は減少しました。
以上の結果、当連結会計年度の売上高は、842,675百万円と前期に比べて9,774百万円(1.1%)の減収となりました。
(営業利益)
加工食品事業においては、家庭用商品の販売伸長に加え経費削減等に取り組み、増益となりました。食肉事業においても、在庫の適正化による採算管理を徹底し利益率の改善を進め、採算重視の販売と経費削減に努めたことから、増益となりました。
以上の結果、当連結会計年度の営業利益は、24,018百万円と前期に比べて6,751百万円(39.1%)の増益となりました。
(経常利益)
営業利益の増益に加え、助成金収入が増加したこと等により、当連結会計年度の経常利益は、27,000百万円と前期に比べて7,465百万円(38.2%)の増益となりました。
(親会社株主に帰属する当期純利益)
当連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純利益は、経常利益の増益に加え、前期に夢工場において発生した火災事故による損害に対する保険金の受取があったこと等により、20,204百万円と前期に比べて8,764百万円(76.6%)の増益となりました。
(今後の見通し)
わが国経済は、新型コロナウイルス感染症の影響による購買行動の変化や社会のデジタル化の加速に加え、ESGやSDGsへの関心の高まりなどにより、消費者ニーズや価値観が急速に変化し多様化することが予想されます。
このような状況において、当社グループは、事業環境の変化に適応して強みを発揮していくために「中期経営計画2023」に基づき、統合後の経営基盤・収益基盤を確固たるものとし、新たな市場ニーズへの対応に加え、社会や環境に配慮した取り組みを行い、競争力と成長力を高めてまいります。
次期の連結業績につきましては、原材料価格の上昇に加え、内食需要の高まりが一段落することも予想されることから、売上高8,200億円、営業利益230億円、経常利益250億円、親会社株主に帰属する当期純利益160億円を見込んでおります。
なお、新型コロナウイルス感染症による当社グループへの影響につきましては、巣ごもり消費により家庭用商品の需要が拡大する一方で、国内の外出自粛や海外からの入国制限、大規模イベントの中止により、主に外食向けの業務用商品の需要の減退が継続することが見込まれます。また、店舗事業における出店先の営業自粛による休業や営業時間短縮等の影響、海外調達先の生産停滞による輸入量減少や価格変動の影響も見込まれます。ただし、当社グループの業績に与える影響は軽微であると判断しております。
b.経営成績に重要な影響を与える要因について
経営成績に重要な影響を与える要因については、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載のとおりであります。
c.資本の財源及び資金の流動性についての分析
キャッシュ・フローの状況につきましては、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
海外子会社及び一部の国内子会社を除く当社グループではキャッシュ・マネジメント・システムを導入し、グループ資金の有効活用を実現しております。
2021年度における運転資金及び設備投資資金の調達は自己資金及び借入金による調達を予定しております。
また、キャッシュ・フローの指標は、以下のとおりであります。
前連結会計年度 | 当連結会計年度 | |
自己資本比率(%) (注)1 | 58.5 | 62.7 |
時価ベースの自己資本比率(%) (注)2 | 48.2 | 54.2 |
キャッシュ・フロー対有利子負債比率(年) (注)3 | 1.7 | 1.0 |
インタレスト・カバレッジ・レシオ(倍) (注)4 | 44.7 | 113.3 |
(注) 1.自己資本比率:自己資本/総資産
2.時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産
3.キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/キャッシュ・フロー
4.インタレスト・カバレッジ・レシオ:キャッシュ・フロー/利払い
*各指標は、いずれも連結ベースの財務数値により算出しております。
*株式時価総額は、期末株価終値×期末発行済株式数(自己株式控除後)により算出しております。
*キャッシュ・フローは連結キャッシュ・フロー計算書の営業活動によるキャッシュ・フローを使用しております。
*有利子負債は、連結貸借対照表に計上されている負債のうち利子を支払っている全ての負債を対象としております。
*利払いは、連結キャッシュ・フロー計算書の利息の支払額を使用しております。