有価証券報告書-第12期(令和1年5月1日-令和2年4月30日)
Ⅰ 経営成績等の状況の概要
(1)財政状態及び経営成績の状況
当事業年度における我が国経済は、堅調な企業業績を背景に雇用・所得環境の改善が続くなかで、景気全体は緩やかな回復傾向にあったものの、新型コロナウイルス感染症の蔓延が、今後の経済等に甚大な影響を及ぼすことが懸念されております。
当社は、「驚きを心に」をコンセプトとして、人々の生活が便利に楽しくなるように、人工知能(AI)を活用したサービスをBtoCおよびBtoB領域で展開しております。当社が属するAI市場では、ディープラーニング等の機械学習関連アルゴリズムの高度化に加えて、機械学習に利用可能な計算機の能力向上やデータの増加により、更なる成長が続いております。AIソフトウエアビジネスの全世界市場規模については、2018年は101億ドルとなっておりましたが、2025年には1,260億ドルに達するとの調査結果もあります(出所:Tractica, Artificial Intelligence Market Forecasts, 4Q 2019)。
このような環境のなか、当社のAI(BtoC)サービスにおいては、AIによるサポート機能等を搭載したスマートフォンアプリ「将棋ウォーズ」が引き続き安定した収益を上げました。AI(BtoB)サービスにおいては、当社のディープラーニング等の機械学習技術を集約したAIサービス「HEROZ Kishin」に関わる業務の標準化を続けております。資本業務提携先をはじめとする様々な事業会社に「HEROZ Kishin」を拡販し、初期設定フィーと継続フィーともに収益を拡大しました。また、持続的な成長のために、高度な機械学習アルゴリズム開発のための技術研究にも注力しております。
以上の結果、当事業年度の売上高は1,544,464千円(前年同期比12.1%増)となり、営業利益459,081千円(前年同期比9.2%増)、経常利益404,571千円(前年同期比2.5%減)、当期純利益255,382千円(前年同期比13.9%減)となりました。なお、当社はAI関連事業の単一セグメントであるため、セグメント別の経営成績に関する記載は省略しております。
当事業年度における資産につきましては、流動資産において現金及び預金が4,068,717千円増加した結果、前事業年度末に比べて4,250,952千円増加し、6,408,863千円となりました。負債につきましては、主に未払法人税等が43,471千円増加した結果、前事業年度末に比べて47,523千円増加し、226,122千円となりました。純資産につきましては、2019年12月24日を払込期日とする公募増資等による資本金の増加1,974,382千円、資本剰余金の増加1,974,382千円と当期純利益255,382千円の計上による利益剰余金の増加があった結果、前事業年度末に比べて4,203,429千円増加し、6,182,740千円となりました。
(2)キャッシュ・フローの状況
当事業年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)の残高は、前事業年度末より4,068,717千円増加し、5,562,719千円となりました。
当事業年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次の通りであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当事業年度において営業活動の結果得られた資金は、243,498千円(前年同期は230,016千円の収入)であります。
この主な要因は、売上高等の増加による税引前当期純利益の計上364,858千円、減価償却費63,302千円、売上債権の増加額196,990千円、投資有価証券評価損39,712千円、法人税等の支払額109,599千円等によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当事業年度において投資活動の結果使用した資金は、78,459千円(前年同期は468,597千円の支出)であります。
この主な要因は、有形固定資産の取得による支出44,122千円、敷金及び保証金の差入による支出33,167千円があったこと等によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当事業年度において財務活動の結果得られた資金は、3,903,678千円(前年同期は177,504千円の収入)であります。
この主な要因は、2019年12月24日を払込期日とする公募増資による株式の発行による収入3,884,156千円、新株予約権の行使による株式の発行による収入42,494千円があったこと等によります。
(3)生産、受注及び販売の実績
① 生産実績
生産に該当する事項がありませんので、生産実績に関する記載はしておりません。
② 受注実績
提供するサービスの性格上、受注実績の記載になじまないため、当該記載を省略しております。
③ 販売実績
当事業年度の販売実績は次のとおりであります。
(注)1.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
2.当社の事業セグメントは、AI関連事業の単一セグメントであるため、セグメント別の販売実績の記載はしておりません。
3.最近2事業年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
4.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
Ⅱ 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものであります。
(1)重要な会計方針、会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社の財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。その作成には、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債および収益・費用の報告金額および開示に影響を与える見積りを必要としております。これらの見積りについては、過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積りによる不確実性のため、これらの見積りとは異なる場合があります。
繰延税金資産については、将来の課税所得を合理的に見積り、回収可能性を判断した上で繰延税金資産を計上しています。今後の経営環境の変化等により、将来の課税所得の見積りが変動した場合には、繰延税金資産の計上額が変動する可能性があります。
貸倒引当金、賞与引当金の計上基準については、「第5 経理の状況 1(1)財務諸表 注記事項(重要な会計方針)」の記載のとおり計上を行っております。いずれも過去の実績に基づき算定しており、会計上の見積りの重要性は低く、当社の経営成績等に与える影響は軽微と判断しております。
固定資産の減損については、減損の兆候の把握、減損損失の認識及び測定に当たっては慎重に検討しております。将来の市況や業績等が悪化した場合には、減損損失が発生する可能性があります。
当社が保有する時価のない有価証券の評価については、出資先の財政状態及び経営成績等を把握の上、実質価額が帳簿価額と比較して著しく下落した場合には、回復可能性を検討の上、相当の減額を行うこととしております。なお、出資先の業績悪化等により、帳簿価額の回復可能性が見込まれない場合には、減損処理を行う可能性があります。
なお、上記の繰延税金資産の回収可能性等に関する会計上の見積りについて、新型コロナウイルス感染症の今後の収束時期等に関して不確実性が高いため、本書提出日時点において入手可能な情報に基づき実施しております。当社では、当該不確実性について、「新型コロナウイルス感染症による影響は、2021年4月期の上半期末までに収束することで、当社の事業活動を含む、国内の経済活動が徐々に回復し、下半期には正常化する」という仮定のもと、会計上の見積りを行っておりますが、当事業年度における財務諸表に会計上の見積りが及ぼす影響は軽微なものと判断しております。
(2)財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
①財政状態の分析
財政状態に関する分析は、「Ⅰ 経営成績等の状況の概要 (1)財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりです。
②経営成績の分析
a 売上高
当事業年度の売上高は、1,544,464千円(前年同期比12.1%増)となりました。これは主に、AI(BtoB)サービスでは、継続フィーの積み上げと初期設定フィーの獲得が順調に進んだことや、AI(BtoC)サービスでは、スマートフォン向けアプリ「将棋ウォーズ」が牽引したこと等によります。
b 売上原価、売上総利益、販売費及び一般管理費、営業利益
当社の売上原価及び販売費及び一般管理費については、人材関連費用、サーバ等設備の減価償却費、AI(BtoC)サービスに係る課金決済手数料、支払手数料及びオフィスに係る地代家賃等です。
人件費については、AI(BtoB)サービスにおける開発リソース拡充のため前期を大きく上回っておりますが、来期以降の当社の持続的な成長に資するものと考えております。その他、2019年12月の公募増資に伴う外形標準課税の増加、2020年2月のオフィス増床に伴う地代家賃等の増加及びサーバへの設備投資に伴う減価償却費の増加等が見られております。
これらの結果、当事業年度における売上原価は、776,985千円(前年同期比14.4%増)となり、当事業年度の売上総利益は、767,479千円(前年同期比10.0%増)となりました。また、当事業年度における販売費及び一般管理費は、308,397千円(前年同期比11.1%増)となり、当事業年度の営業利益は、459,081千円(前年同期比9.2%増)となりました。
c 営業外収益、営業外費用、経常利益、特別損益
営業外収益及び費用については、出資分配金、市場変更および公募増資に伴う一時的な各種手数料及び当社が出資する投資事業組合に係る運用損等です。また、特別損失として、投資有価証券評価損39,712千円を計上しております。
これらの結果、当事業年度の経常利益は、404,571千円(前年同期比2.5%減)となり、税引前当期純利益は、364,858千円(前年同期比12.1%減)となりました。
上記a~cの結果を受け、当事業年度の当期純利益は、255,382千円(前年同期比13.9%減)となりました。なお、法人税等調整額を含む法人税等合計は、109,476千円(前年同期比7.5%減)であります。
(3)キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容
キャッシュ・フローの分析・検討内容については、「Ⅰ 経営成績等の状況の概要 (2)キャッシュ・フローの状況」に記載の通りです。
(4)経営成績に重要な影響を与える要因について
「2 事業等のリスク」に記載した通り、事業内容、事業運営・組織体制等、様々なリスク要因が経営成績に重要な影響を与える可能性があると認識しております。そのため、当社は常に市場動向や業界動向を注視しつつ、優秀な人材の確保と適切な教育を実施するとともに、事業運営体制の強化と整備を進めることで、経営成績に重要な影響を与えるリスク要因に適切な対応を図ってまいります。
(5)経営戦略の現状と見通し
AIは日進月歩の高度な技術であり、サービス提供できる人材を有する会社数は限定的となっておりますが、当社では本分野の最先端の知見を有する者が多数所属しております。当社は、将棋AI研究で培った最先端の機械学習ノウハウを蓄積した「HEROZ Kishin」をAI(BtoB)サービスとして拡販しております。今後の方針としても引き続き、自社の強みが生き、かつ今後の拡大が見込まれるAI関連市場に経営資源を投入していく所存です。なお、当社では、AI(BtoB)サービスについては、AI(BtoC)サービスを上回る成長を引き続き見込んでおります。
具体的には、①AIを活用したBtoC領域で引き続き安定的な収益を伸ばす、②「HEROZ Kishin」によるAIサービスをBtoB領域で伸ばす、③パートナーシップ戦略、④知財戦略、⑤人材採用の5点に注力することで競争優位性を保ち、持続的な成長を目指します。
(6)資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当社は、事業運営上必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としております。運転資金や自社サーバ購入等を目的とした資金需要は自己資金によることを基本としておりますが、必要に応じて多様な調達手段を検討してまいります。このような方針の元、2019年12月24日に公募増資による資金調達を行い、調達した資金を、新規人材の採用関連費用、サーバ等への設備投資、外部サーバ費用等の通信費、オフィス増床の為の敷金及び費用、当社事業に応用可能な周辺技術を有する企業等への投融資、運転資金等へ充当し、当社の中長期的な成長戦略の実現を目指してまいります。
なお、当事業年度末における現金及び現金同等物の残高は5,562,719千円となっており、有利子負債の残高はありません。
(1)財政状態及び経営成績の状況
当事業年度における我が国経済は、堅調な企業業績を背景に雇用・所得環境の改善が続くなかで、景気全体は緩やかな回復傾向にあったものの、新型コロナウイルス感染症の蔓延が、今後の経済等に甚大な影響を及ぼすことが懸念されております。
当社は、「驚きを心に」をコンセプトとして、人々の生活が便利に楽しくなるように、人工知能(AI)を活用したサービスをBtoCおよびBtoB領域で展開しております。当社が属するAI市場では、ディープラーニング等の機械学習関連アルゴリズムの高度化に加えて、機械学習に利用可能な計算機の能力向上やデータの増加により、更なる成長が続いております。AIソフトウエアビジネスの全世界市場規模については、2018年は101億ドルとなっておりましたが、2025年には1,260億ドルに達するとの調査結果もあります(出所:Tractica, Artificial Intelligence Market Forecasts, 4Q 2019)。
このような環境のなか、当社のAI(BtoC)サービスにおいては、AIによるサポート機能等を搭載したスマートフォンアプリ「将棋ウォーズ」が引き続き安定した収益を上げました。AI(BtoB)サービスにおいては、当社のディープラーニング等の機械学習技術を集約したAIサービス「HEROZ Kishin」に関わる業務の標準化を続けております。資本業務提携先をはじめとする様々な事業会社に「HEROZ Kishin」を拡販し、初期設定フィーと継続フィーともに収益を拡大しました。また、持続的な成長のために、高度な機械学習アルゴリズム開発のための技術研究にも注力しております。
以上の結果、当事業年度の売上高は1,544,464千円(前年同期比12.1%増)となり、営業利益459,081千円(前年同期比9.2%増)、経常利益404,571千円(前年同期比2.5%減)、当期純利益255,382千円(前年同期比13.9%減)となりました。なお、当社はAI関連事業の単一セグメントであるため、セグメント別の経営成績に関する記載は省略しております。
当事業年度における資産につきましては、流動資産において現金及び預金が4,068,717千円増加した結果、前事業年度末に比べて4,250,952千円増加し、6,408,863千円となりました。負債につきましては、主に未払法人税等が43,471千円増加した結果、前事業年度末に比べて47,523千円増加し、226,122千円となりました。純資産につきましては、2019年12月24日を払込期日とする公募増資等による資本金の増加1,974,382千円、資本剰余金の増加1,974,382千円と当期純利益255,382千円の計上による利益剰余金の増加があった結果、前事業年度末に比べて4,203,429千円増加し、6,182,740千円となりました。
(2)キャッシュ・フローの状況
当事業年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)の残高は、前事業年度末より4,068,717千円増加し、5,562,719千円となりました。
当事業年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次の通りであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当事業年度において営業活動の結果得られた資金は、243,498千円(前年同期は230,016千円の収入)であります。
この主な要因は、売上高等の増加による税引前当期純利益の計上364,858千円、減価償却費63,302千円、売上債権の増加額196,990千円、投資有価証券評価損39,712千円、法人税等の支払額109,599千円等によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当事業年度において投資活動の結果使用した資金は、78,459千円(前年同期は468,597千円の支出)であります。
この主な要因は、有形固定資産の取得による支出44,122千円、敷金及び保証金の差入による支出33,167千円があったこと等によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当事業年度において財務活動の結果得られた資金は、3,903,678千円(前年同期は177,504千円の収入)であります。
この主な要因は、2019年12月24日を払込期日とする公募増資による株式の発行による収入3,884,156千円、新株予約権の行使による株式の発行による収入42,494千円があったこと等によります。
(3)生産、受注及び販売の実績
① 生産実績
生産に該当する事項がありませんので、生産実績に関する記載はしておりません。
② 受注実績
提供するサービスの性格上、受注実績の記載になじまないため、当該記載を省略しております。
③ 販売実績
当事業年度の販売実績は次のとおりであります。
セグメントの名称 | 当事業年度 (自 2019年5月1日 至 2020年4月30日) | |
金額(千円) | 前年同期比(%) | |
AI関連事業 | 1,544,464 | 112.1 |
合計 | 1,544,464 | 112.1 |
(注)1.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
2.当社の事業セグメントは、AI関連事業の単一セグメントであるため、セグメント別の販売実績の記載はしておりません。
3.最近2事業年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
相手先 | 前事業年度 (自 2018年5月1日 至 2019年4月30日) | 当事業年度 (自 2019年5月1日 至 2020年4月30日) | ||
金額(千円) | 割合(%) | 金額(千円) | 割合(%) | |
Apple Inc. | 348,139 | 25.3 | 380,293 | 24.6 |
Google Inc. | 298,709 | 21.7 | 296,568 | 19.2 |
株式会社ポケモン | 157,101 | 11.4 | 35,855 | 2.3 |
4.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
Ⅱ 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものであります。
(1)重要な会計方針、会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社の財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。その作成には、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債および収益・費用の報告金額および開示に影響を与える見積りを必要としております。これらの見積りについては、過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積りによる不確実性のため、これらの見積りとは異なる場合があります。
繰延税金資産については、将来の課税所得を合理的に見積り、回収可能性を判断した上で繰延税金資産を計上しています。今後の経営環境の変化等により、将来の課税所得の見積りが変動した場合には、繰延税金資産の計上額が変動する可能性があります。
貸倒引当金、賞与引当金の計上基準については、「第5 経理の状況 1(1)財務諸表 注記事項(重要な会計方針)」の記載のとおり計上を行っております。いずれも過去の実績に基づき算定しており、会計上の見積りの重要性は低く、当社の経営成績等に与える影響は軽微と判断しております。
固定資産の減損については、減損の兆候の把握、減損損失の認識及び測定に当たっては慎重に検討しております。将来の市況や業績等が悪化した場合には、減損損失が発生する可能性があります。
当社が保有する時価のない有価証券の評価については、出資先の財政状態及び経営成績等を把握の上、実質価額が帳簿価額と比較して著しく下落した場合には、回復可能性を検討の上、相当の減額を行うこととしております。なお、出資先の業績悪化等により、帳簿価額の回復可能性が見込まれない場合には、減損処理を行う可能性があります。
なお、上記の繰延税金資産の回収可能性等に関する会計上の見積りについて、新型コロナウイルス感染症の今後の収束時期等に関して不確実性が高いため、本書提出日時点において入手可能な情報に基づき実施しております。当社では、当該不確実性について、「新型コロナウイルス感染症による影響は、2021年4月期の上半期末までに収束することで、当社の事業活動を含む、国内の経済活動が徐々に回復し、下半期には正常化する」という仮定のもと、会計上の見積りを行っておりますが、当事業年度における財務諸表に会計上の見積りが及ぼす影響は軽微なものと判断しております。
(2)財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
①財政状態の分析
財政状態に関する分析は、「Ⅰ 経営成績等の状況の概要 (1)財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりです。
②経営成績の分析
a 売上高
当事業年度の売上高は、1,544,464千円(前年同期比12.1%増)となりました。これは主に、AI(BtoB)サービスでは、継続フィーの積み上げと初期設定フィーの獲得が順調に進んだことや、AI(BtoC)サービスでは、スマートフォン向けアプリ「将棋ウォーズ」が牽引したこと等によります。
b 売上原価、売上総利益、販売費及び一般管理費、営業利益
当社の売上原価及び販売費及び一般管理費については、人材関連費用、サーバ等設備の減価償却費、AI(BtoC)サービスに係る課金決済手数料、支払手数料及びオフィスに係る地代家賃等です。
人件費については、AI(BtoB)サービスにおける開発リソース拡充のため前期を大きく上回っておりますが、来期以降の当社の持続的な成長に資するものと考えております。その他、2019年12月の公募増資に伴う外形標準課税の増加、2020年2月のオフィス増床に伴う地代家賃等の増加及びサーバへの設備投資に伴う減価償却費の増加等が見られております。
これらの結果、当事業年度における売上原価は、776,985千円(前年同期比14.4%増)となり、当事業年度の売上総利益は、767,479千円(前年同期比10.0%増)となりました。また、当事業年度における販売費及び一般管理費は、308,397千円(前年同期比11.1%増)となり、当事業年度の営業利益は、459,081千円(前年同期比9.2%増)となりました。
c 営業外収益、営業外費用、経常利益、特別損益
営業外収益及び費用については、出資分配金、市場変更および公募増資に伴う一時的な各種手数料及び当社が出資する投資事業組合に係る運用損等です。また、特別損失として、投資有価証券評価損39,712千円を計上しております。
これらの結果、当事業年度の経常利益は、404,571千円(前年同期比2.5%減)となり、税引前当期純利益は、364,858千円(前年同期比12.1%減)となりました。
上記a~cの結果を受け、当事業年度の当期純利益は、255,382千円(前年同期比13.9%減)となりました。なお、法人税等調整額を含む法人税等合計は、109,476千円(前年同期比7.5%減)であります。
(3)キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容
キャッシュ・フローの分析・検討内容については、「Ⅰ 経営成績等の状況の概要 (2)キャッシュ・フローの状況」に記載の通りです。
(4)経営成績に重要な影響を与える要因について
「2 事業等のリスク」に記載した通り、事業内容、事業運営・組織体制等、様々なリスク要因が経営成績に重要な影響を与える可能性があると認識しております。そのため、当社は常に市場動向や業界動向を注視しつつ、優秀な人材の確保と適切な教育を実施するとともに、事業運営体制の強化と整備を進めることで、経営成績に重要な影響を与えるリスク要因に適切な対応を図ってまいります。
(5)経営戦略の現状と見通し
AIは日進月歩の高度な技術であり、サービス提供できる人材を有する会社数は限定的となっておりますが、当社では本分野の最先端の知見を有する者が多数所属しております。当社は、将棋AI研究で培った最先端の機械学習ノウハウを蓄積した「HEROZ Kishin」をAI(BtoB)サービスとして拡販しております。今後の方針としても引き続き、自社の強みが生き、かつ今後の拡大が見込まれるAI関連市場に経営資源を投入していく所存です。なお、当社では、AI(BtoB)サービスについては、AI(BtoC)サービスを上回る成長を引き続き見込んでおります。
具体的には、①AIを活用したBtoC領域で引き続き安定的な収益を伸ばす、②「HEROZ Kishin」によるAIサービスをBtoB領域で伸ばす、③パートナーシップ戦略、④知財戦略、⑤人材採用の5点に注力することで競争優位性を保ち、持続的な成長を目指します。
(6)資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当社は、事業運営上必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としております。運転資金や自社サーバ購入等を目的とした資金需要は自己資金によることを基本としておりますが、必要に応じて多様な調達手段を検討してまいります。このような方針の元、2019年12月24日に公募増資による資金調達を行い、調達した資金を、新規人材の採用関連費用、サーバ等への設備投資、外部サーバ費用等の通信費、オフィス増床の為の敷金及び費用、当社事業に応用可能な周辺技術を有する企業等への投融資、運転資金等へ充当し、当社の中長期的な成長戦略の実現を目指してまいります。
なお、当事業年度末における現金及び現金同等物の残高は5,562,719千円となっており、有利子負債の残高はありません。