四半期報告書-第16期第2四半期(2023/08/01-2023/10/31)

【提出】
2023/12/11 15:09
【資料】
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【項目】
39項目
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において判断したものであります。
前第2四半期連結会計期間より四半期連結財務諸表を作成しており、前第2四半期連結会計期間は子会社の貸借対照表のみを連結し、損益計算書は前第3四半期連結会計期間より連結しております。
(1)財政状態及び経営成績の状況
当第2四半期連結累計期間における我が国の経済状況は、所得・雇用環境が改善される中、各種政策の効果もあって、緩やかな回復が期待されているものの、世界的な金融引締めが続く中で海外景気の下振れが国内景気に及ぼすリスクが見られる等、先行きが不透明な状況が続いております。
その一方で、情報サービス業界においては、従来なかったスピード感での技術革新や、少子高齢化・生産年齢人口の減少等を受け、デジタル技術を活用したDX(デジタルトランスフォーメーション)に関する投資が引き続き拡大を続けています。特に、AI市場においては、OpenAI社による「ChatGPT-3.5」「ChatGPT-4.0」のリリースに端を発した、各産業におけるAIトランスフォーメーション(以下、「AIX」という。)に関する投資の加速が続いており、今後もLLM(Large Language Model:大規模言語モデル)を含むAIの需要拡大・社会実装が急激なスピードで進むことが予想されます。なお、当社グループでは、AIXとは、AIを社会に浸透させることにより、その力を通じて既存の業務プロセスやビジネスモデル等を含めて社会全体に抜本的な変革を起こすこと、ととらえております。
また、SaaS市場においても、導入の需要のみならず、「ニーズの多様化に伴うSaaS間連携」「統合管理の複雑化によるセキュリティ要件の高度化」等に関する需要拡大が見込まれるほか、セキュリティ市場においても、サプライチェーンを狙ったサイバー攻撃や一般企業・病院等を狙うランサムウェア被害(身代金要求型ウイルス)が増加しており、また企業によるクラウドサービスの利用やDX化の推進等もあって、セキュリティ対策は必然となっております。
このような環境の中で、当社グループは、「AI革命を起こし、未来を創っていく」というビジョンのもと、「AI×SaaS」戦略を掲げ、AI・SaaS・セキュリティ関連技術を用いたソリューション提供やLLMを含むAIの社会実装等に努めたほか、「LLM関連の研究開発強化」「グループシナジーの強化」等も進めてまいりました。今後も、AI関連技術の利活用によるソリューション提供を通じた各企業・業界のAIX推進のみならず、LLMを含むAI・SaaS・セキュリティ関連分野において積極的に研究開発を進め、よりスピード感をもってグループ全体の事業拡大を目指してまいります。
また、2023年11月に、コンタクトセンター領域において各種ソリューションを提供している株式会社エーアイスクエアの株式を取得し、子会社化を行いました。コンタクトセンターの運営業務と、AIによる業務の自動化・学習は非常に親和性が高く、業務精度の向上や作業の効率化、人件費等のコストの大幅な削減等が見込まれることから、当領域での高度なAIソリューションに対する期待感・需要も高まっております。エーアイスクエアが提供するコンタクトセンター領域のサービスと、当社が保有するコアAIの開発技術やLLMの活用ノウハウを通じて、コンタクトセンター領域・業界におけるAIXを目指してまいります。
なお、セグメント別の経営成績の概況は以下の通りです。
(AI/DX事業)
AI/DX事業は、当社グループに蓄積されたAI・SaaS関連技術・ノウハウ・データ等を活用し、AI関連ソリューションの提供やSaaS導入支援・SaaS間連携開発等を提供することにより各企業・業界のAI/DX化推進を目指すセグメントとなります。
当第2四半期連結累計期間において、当社グループのAI/DX事業については、BtoC領域における将棋への注目度向上や新サービスのリリース、BtoB領域における案件数・引き合いの増加や大型案件の獲得もあり、収益が拡大しております。
BtoC領域については、藤井聡太竜王・名人による史上初の八冠獲得に伴う将棋への注目度向上等の効果により、「将棋ウォーズ」「棋神アナリティクス」ともに安定した収益を上げました。2023年10月には、人気将棋漫画「バンオウ-盤王-」とのコラボや、将棋初段昇段を目指すeラーニングサービス「棋神ラーニング」をリリースし、「棋神ラーニング」のユーザ数は計画を大幅に上回る水準で推移しております。また、BtoB領域についても、LLMを含むAIに関する投資拡大・注目度向上を受け案件数・引き合いの増加や大型案件の獲得等もあり、収益が大幅に拡大しております。
当セグメントにおいて、LLMの活用・社会実装は事業戦略の中核となるテーマであり、今後も、2023年5月に新設された専門組織「LLM Group」を中心にスピード感をもって研究開発を進めてまいります。その取り組みの一環として、2023年9月に、LLMを活用したAIアシスタントサービス「HEROZ ASK for Enterprise」をリリースいたしました。まずはエンタープライズ向けに期間限定でクローズドβの無料提供を開始し、今後はバーティカルSaaSシリーズとして拡大を予定しております。
(AI Security事業)
AI Security事業は、グループ会社であるバリオセキュア株式会社が提供するインターネットセキュリティ関連の事業となります。
同社は、従来のゲートウェイセキュリティに加え、エンドポイントセキュリティ対策としてサイバー攻撃の兆候を検知するVarioマネージドEDR、増加するランサムウェア被害(身代金要求型ウイルス)から企業の情報資産を守るデータバックアップサービス(VDaP)、社内の通信機器の状況を運用監視し、通信環境を脆弱性から守るマネージドLAN/WIFI等の各種サービスにより、増大する脅威に対して多層防御により安心、安全なビジネス環境の構築を支援してまいりました。
また同社は、2024年2月期から2026年2月期にかけて、中期経営方針のもと「マネージドサービスの対応領域拡大・競争力強化」「成長セキュリティ市場への参入」「既存販売網と異なる新規営業体制の強化」を掲げ、人材の獲得、サービス企画・事業開発の強化、ソフトウェア開発等の事業投資を行う計画を公表し、実現に向けての取り組みを行っております。
そのほか、両セグメントにまたがる取組として、2023年7月に、バリオセキュア社の運用監視管理サービス「AI SOC」に当社のAI技術を活用し、業務効率化を目指す旨のリリースを発表しており、今秋より実運用を開始しております。今後も、グループシナジー・連携の更なる強化に努めてまいります。
a.財政状態
当第2四半期連結会計期間末の資産合計は、前連結会計年度末に比べ155,923千円減少し、8,517,124千円となりました。これは主に、現金及び預金の減少246,791千円があったこと等によります。
当第2四半期連結会計期間末の負債合計は、前連結会計年度末に比べ169,177千円減少し、2,423,541千円となりました。これは主に、長期借入金の減少101,560千円があったこと等によります。
当第2四半期連結会計期間末の純資産合計は、前連結会計年度末に比べ13,253千円増加し、6,093,583千円となりました。これは主に、新株予約権の増加15,361千円があったこと等によります。
b.経営成績
当第2四半期連結累計期間の売上高は2,335,506千円(前年同期比:205.2%増)となり、EBITDA(営業利益+減価償却費+敷金償却+のれん償却額+株式報酬費用+棚卸資産評価損)449,398千円(前年同期比:374.3%増)、営業利益252,067千円(前年同期比:572.1%増)、経常利益212,829千円(前年同期比:451.0%増)、親会社株主に帰属する四半期純損失は30,504千円(前年同期は513,497千円の損失)となりました。
費用面に関して、当社にてオフィス体制の見直しを行う等、適切なコストコントロールを進めましたが、一方で、事業・サービス拡大に伴う人材採用強化による人件費等の増加や、取締役・執行役員に関する業績連動報酬の概算計上のほか、広告宣伝強化・追加のM&Aに関連した監査関連報酬の発生・為替の影響によるサーバ利用料の増加等により、売上原価・販売費及び一般管理費は増加しております。そのほか、営業外費用として株主優待関連費用11,896千円が発生しております。
当社グループの当第2四半期連結累計期間におけるセグメント別の損益状況については、第4 経理の状況 1 四半期連結財務諸表 注記事項(セグメント情報等)をご参照ください。
(2)キャッシュ・フローの状況
当第2四半期連結会計期間末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)の残高は、3,551,600千円となりました。
当第2四半期連結累計期間における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当第2四半期連結累計期間において営業活動の結果得られた資金は、108,541千円(前年同四半期は82,183千円の収入)となりました。主な内訳は、税金等調整前四半期純利益の計上212,829千円、売上債権の増加100,724千円であります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当第2四半期連結累計期間において投資活動の結果使用した資金は、148,594千円(前年同四半期は45,079千円の使用)となりました。主な内訳は、無形固定資産の取得による支出134,389千円であります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当第2四半期連結累計期間において財務活動の結果使用した資金は、206,738千円(前年同四半期は257千円の収入)となりました。主な内訳は、非支配株主への配当金の支払104,296千円、長期借入金の返済による支出101,560千円であります。
(3)経営方針・経営戦略等
当第2四半期連結累計期間において、当社グループが定めている経営方針・経営戦略等について重要な変更はありません。
(4)重要な会計方針、会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当第2四半期連結累計期間において、当社グループが前連結会計年度の有価証券報告書に記載した会計上の見積りの内容及び当該会計上の見積りに用いた判断について、重要な変更はありません。
(5)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当第2四半期連結累計期間において、当社グループが優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題について重要な変更はありません。
(6)研究開発活動
当第2四半期連結累計期間において、当社グループの研究開発活動の金額は44,733千円であり、セグメント別の内訳はAI/DX事業が2,682千円、AI Security事業が42,050千円となっております。
なお、当第2四半期連結累計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。