有価証券報告書-第13期(令和2年5月1日-令和3年4月30日)
Ⅰ 経営成績等の状況の概要
(1)財政状態及び経営成績の状況
当社は、「驚きを心に」をコンセプトとして、人々の生活が便利に楽しくなるように、人工知能(AI)を活用したサービスをBtoCおよびBtoB領域で展開しております。当社が属するAI市場では、ディープラーニング等の機械学習関連アルゴリズムの高度化に加えて、機械学習に利用可能な計算機の能力向上やデータの増加により、更なる成長が続いております。
当事業年度は、新型コロナウイルス感染症の世界的な流行による経済活動の鈍化等に伴い、国内外において景気が失速するなど、先行きが不透明な状況が続きました。情報サービス業界においては、顧客によるIT投資予算の削減等のリスクが懸念されたほか、在宅勤務等による商談機会減少の影響が見られたものの、一方で「ニューノーマル(新常態)」環境下における業務プロセスやビジネスモデルの変革といったデジタルトランスフォーメーション推進に関する需要拡大等も見られた1年となりました。
このような環境のなか、当社のAI(BtoC)サービスにおいては、AIによるサポート機能等を搭載したスマートフォンアプリ「将棋ウォーズ」が引き続き安定した収益を上げました。またAI(BtoB)サービスにおいては、当社のディープラーニング等の機械学習技術を集約したAIサービス「HEROZ Kishin」に関わる業務の標準化を続け、資本業務提携先をはじめとする様々な事業会社へ「HEROZ Kishin」の拡販を進めました。同サービスについては、政府や東京都から発出された緊急事態宣言中の商談機会減少等による影響を受けていたものの、当事業年度末に向けて徐々に回復しました。
以上の結果、当事業年度の売上高は1,556,593千円(前年同期比0.8%増)となり、EBITDA(営業利益+減価償却費+敷金償却)366,170千円(前年同期比30.0%減)、営業利益294,180千円(前年同期比35.9%減)、経常利益285,814千円(前年同期比29.4%減)、当期純利益207,146千円(前年同期比18.9%減)となりました。なお、当社はAI関連事業の単一セグメントであるため、セグメント別の経営成績に関する記載は省略しております。
当事業年度における資産につきましては、主に流動資産において売掛金が143,573千円減少し、固定資産において有形固定資産が292,637千円増加した結果、前事業年度末に比べて137,752千円増加し、6,546,615千円となりました。負債につきましては、主に未払法人税等が71,763千円減少した結果、前事業年度末に比べて82,618千円減少し、143,504千円となりました。純資産につきましては、主に当期純利益207,146千円の計上による利益剰余金の増加があった結果、前事業年度末に比べて220,370千円増加し、6,403,111千円となりました。
(2)キャッシュ・フローの状況
当事業年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)の残高は、前事業年度末より8,569千円減少し、5,554,149千円となりました。
当事業年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次の通りであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当事業年度において営業活動の結果得られた資金は、360,700千円(前年同期は243,498千円の収入)であります。
この主な要因は、税引前当期純利益の計上285,814千円、減価償却費70,648千円、売上債権の減少額143,573千円、法人税等の支払額132,954千円等によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当事業年度において投資活動の結果使用した資金は、384,522千円(前年同期は78,459千円の支出)であります。
この主な要因は、有形固定資産の取得による支出365,434千円があったこと等によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当事業年度において財務活動の結果得られた資金は、15,252千円(前年同期は3,903,678千円の収入)であります。
この主な要因は、新株予約権の行使による株式の発行による収入15,171千円があったこと等によります。
(3)生産、受注及び販売の実績
① 生産実績
生産に該当する事項がありませんので、生産実績に関する記載はしておりません。
② 受注実績
提供するサービスの性格上、受注実績の記載になじまないため、当該記載を省略しております。
③ 販売実績
当事業年度の販売実績は次のとおりであります。
(注)1.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
2.当社の事業セグメントは、AI関連事業の単一セグメントであるため、セグメント別の販売実績の記載はしておりません。
3.最近2事業年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
4.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
Ⅱ 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものであります。
(1)重要な会計方針、会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社の財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。その作成には、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債および収益・費用の報告金額および開示に影響を与える見積りを必要としております。これらの見積りについては、過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積りによる不確実性のため、これらの見積りとは異なる場合があります。
繰延税金資産については、将来事業年度の課税所得を合理的に見積り、回収可能性を判断した上で繰延税金資産を計上しています。新型コロナウイルス感染症の拡大に伴う影響については、依然として不透明な状況が続いておりますが、当社の事業環境は概ね正常化しており、現時点においては重要な影響はないものと判断して会計上の見積りを行っております。ただし、同感染症による影響は不確実性が高く、感染拡大に伴う影響を含めた今後の経営環境の変化等によっては、翌事業年度において、当該将来事業年度の課税所得の見積り及び繰延税金資産の計上額が変動する可能性があります。
貸倒引当金、賞与引当金の計上基準については、「第5 経理の状況 1(1)財務諸表 注記事項(重要な会計方針)」の記載のとおり計上を行っております。いずれも過去の実績に基づき算定しており、会計上の見積りの重要性は低く、当社の経営成績等に与える影響は軽微であると判断しております。
固定資産の減損については、減損の兆候の把握、減損損失の認識及び測定に当たって慎重に検討しております。将来の市況や業績等が悪化した場合には、減損損失が発生する可能性があります。
当社が保有する時価のない有価証券の評価については、出資先の財政状態及び経営成績等を把握し、実質価額が帳簿価額と比較して著しく下落した場合には、回復可能性を検討した上で、相当の減額を行うこととしております。なお、出資先の業績悪化等により、帳簿価額の回復可能性が見込まれない場合には、減損処理を行う可能性があります。
(2)財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
①財政状態の分析
財政状態に関する分析は、「Ⅰ 経営成績等の状況の概要 (1)財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりです。
②経営成績の分析
a 売上高
当事業年度の売上高は、1,556,593千円(前年同期比0.8%増)となりました。AI(BtoC)サービスでは、全国的な外出自粛影響による巣ごもり需要の活性化やメディア露出・イベント開催等の影響により、スマートフォン向けアプリ「将棋ウォーズ」において安定的な成長が続いております。AI(BtoB)サービスでは、政府や東京都から発出された緊急事態宣言中の商談機会減少等の影響を受け、初期設定フィーの獲得に遅延が生じておりましたが、ニューノーマル環境下におけるデジタルトランスフォーメーション推進の需要拡大等に伴い、当事業年度末に向けて徐々に回復しました。
b 売上原価、売上総利益、販売費及び一般管理費、営業利益
当社の売上原価及び販売費及び一般管理費については、人材関連費用、機械学習用サーバ等設備の減価償却費、AI(BtoC)サービスに係る課金決済手数料、支払手数料及びオフィスに係る地代家賃等が主な内容となります。
人材関連費用については、AI(BtoB)サービスにおける開発リソース拡充のため前期を大きく上回りました。また、機械学習用サーバへの設備投資に伴い減価償却費が増加しておりますが、いずれも当社の中長期的な成長に資するものであると考えており、来期以降も積極的に各種投資を進めてまいります。その他、AI(BtoC)サービスの売上増加に応じて課金決済手数料も増加しております。
これらの結果、当事業年度における売上原価は851,331千円(前年同期比9.6%増)となり、当事業年度の売上総利益は705,261千円(前年同期比8.1%減)となりました。また、当事業年度における販売費及び一般管理費は411,081千円(前年同期比33.3%増)となり、当事業年度の営業利益は294,180千円(前年同期比35.9%減)となりました。
c 営業外収益、営業外費用、経常利益、特別損益
営業外収益及び費用については、出資分配金や、当社が出資する投資事業組合に係る運用損等が主な内容となります。その他、営業外収益において一時的な収入として助成金収入が発生しました。
これらの結果、当事業年度の経常利益は285,814千円(前年同期比29.4%減)となり、税引前当期純利益は285,814千円(前年同期比21.7%減)となりました。
上記a~cの結果を受け、当事業年度の当期純利益は207,146千円(前年同期比18.9%減)となりました。なお、法人税等調整額を含む法人税等合計は78,668千円(前年同期比28.1%減)であります。
(3)キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容
キャッシュ・フローの分析・検討内容については、「Ⅰ 経営成績等の状況の概要 (2)キャッシュ・フローの状況」に記載の通りです。
(4)経営成績に重要な影響を与える要因について
「2 事業等のリスク」に記載した通り、事業内容、事業運営・組織体制等、様々なリスク要因が経営成績に重要な影響を与える可能性があると認識しております。そのため、当社は常に市場動向や業界動向を注視しつつ、優秀な人材の確保と適切な教育を実施するとともに、事業運営体制の強化と整備を進めることで、経営成績に重要な影響を与えるリスク要因に適切な対応を図ってまいります。
(5)経営戦略の現状と見通し
AIは日進月歩の高度な技術であり、サービス提供できる人材を有する会社数は限定的となっておりますが、当社では本分野の最先端の知見を有する者が多数所属しております。当社は、将棋AI研究で培った最先端の機械学習ノウハウを蓄積した「HEROZ Kishin」をAI(BtoB)サービスとして拡販しております。今後の方針としても引き続き、自社の強みが生き、かつ今後の拡大が見込まれるAI関連市場に経営資源を投入していく所存であり、上記サービスの成長のため、積極的に各種投資を進めてまいります。
具体的には、①AIを活用したBtoC領域で引き続き安定的な収益を伸ばす、②「HEROZ Kishin」によるAIサービスをBtoB領域で伸ばす、③パートナーシップ戦略、④知財戦略、⑤人材採用の5点に注力することで競争優位性を保ち、持続的な成長を目指します。
(6)資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当社は、事業運営上必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としております。運転資金や自社サーバ購入等を目的とした資金需要は自己資金によることを基本としておりますが、必要に応じて多様な調達手段を検討してまいります。このような方針の元、2019年12月24日に公募増資により調達した資金について、新規人材の採用関連費用、機械学習用サーバ等への設備投資、同サーバ費用等の通信費、オフィス増床の為の敷金及び費用、当社事業に応用可能な周辺技術を有する企業等への投融資、運転資金等にその一部を充当しており、残額についても公募増資時に想定していた使途に充当し、当社の中長期的な成長戦略の実現を目指してまいります。
なお、当事業年度末における現金及び現金同等物の残高は5,554,149千円となっており、有利子負債の残高はありません。
(1)財政状態及び経営成績の状況
当社は、「驚きを心に」をコンセプトとして、人々の生活が便利に楽しくなるように、人工知能(AI)を活用したサービスをBtoCおよびBtoB領域で展開しております。当社が属するAI市場では、ディープラーニング等の機械学習関連アルゴリズムの高度化に加えて、機械学習に利用可能な計算機の能力向上やデータの増加により、更なる成長が続いております。
当事業年度は、新型コロナウイルス感染症の世界的な流行による経済活動の鈍化等に伴い、国内外において景気が失速するなど、先行きが不透明な状況が続きました。情報サービス業界においては、顧客によるIT投資予算の削減等のリスクが懸念されたほか、在宅勤務等による商談機会減少の影響が見られたものの、一方で「ニューノーマル(新常態)」環境下における業務プロセスやビジネスモデルの変革といったデジタルトランスフォーメーション推進に関する需要拡大等も見られた1年となりました。
このような環境のなか、当社のAI(BtoC)サービスにおいては、AIによるサポート機能等を搭載したスマートフォンアプリ「将棋ウォーズ」が引き続き安定した収益を上げました。またAI(BtoB)サービスにおいては、当社のディープラーニング等の機械学習技術を集約したAIサービス「HEROZ Kishin」に関わる業務の標準化を続け、資本業務提携先をはじめとする様々な事業会社へ「HEROZ Kishin」の拡販を進めました。同サービスについては、政府や東京都から発出された緊急事態宣言中の商談機会減少等による影響を受けていたものの、当事業年度末に向けて徐々に回復しました。
以上の結果、当事業年度の売上高は1,556,593千円(前年同期比0.8%増)となり、EBITDA(営業利益+減価償却費+敷金償却)366,170千円(前年同期比30.0%減)、営業利益294,180千円(前年同期比35.9%減)、経常利益285,814千円(前年同期比29.4%減)、当期純利益207,146千円(前年同期比18.9%減)となりました。なお、当社はAI関連事業の単一セグメントであるため、セグメント別の経営成績に関する記載は省略しております。
当事業年度における資産につきましては、主に流動資産において売掛金が143,573千円減少し、固定資産において有形固定資産が292,637千円増加した結果、前事業年度末に比べて137,752千円増加し、6,546,615千円となりました。負債につきましては、主に未払法人税等が71,763千円減少した結果、前事業年度末に比べて82,618千円減少し、143,504千円となりました。純資産につきましては、主に当期純利益207,146千円の計上による利益剰余金の増加があった結果、前事業年度末に比べて220,370千円増加し、6,403,111千円となりました。
(2)キャッシュ・フローの状況
当事業年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)の残高は、前事業年度末より8,569千円減少し、5,554,149千円となりました。
当事業年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次の通りであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当事業年度において営業活動の結果得られた資金は、360,700千円(前年同期は243,498千円の収入)であります。
この主な要因は、税引前当期純利益の計上285,814千円、減価償却費70,648千円、売上債権の減少額143,573千円、法人税等の支払額132,954千円等によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当事業年度において投資活動の結果使用した資金は、384,522千円(前年同期は78,459千円の支出)であります。
この主な要因は、有形固定資産の取得による支出365,434千円があったこと等によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当事業年度において財務活動の結果得られた資金は、15,252千円(前年同期は3,903,678千円の収入)であります。
この主な要因は、新株予約権の行使による株式の発行による収入15,171千円があったこと等によります。
(3)生産、受注及び販売の実績
① 生産実績
生産に該当する事項がありませんので、生産実績に関する記載はしておりません。
② 受注実績
提供するサービスの性格上、受注実績の記載になじまないため、当該記載を省略しております。
③ 販売実績
当事業年度の販売実績は次のとおりであります。
セグメントの名称 | 当事業年度 (自 2020年5月1日 至 2021年4月30日) | |
金額(千円) | 前年同期比(%) | |
AI関連事業 | 1,556,593 | 100.8 |
合計 | 1,556,593 | 100.8 |
(注)1.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
2.当社の事業セグメントは、AI関連事業の単一セグメントであるため、セグメント別の販売実績の記載はしておりません。
3.最近2事業年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
相手先 | 前事業年度 (自 2019年5月1日 至 2020年4月30日) | 当事業年度 (自 2020年5月1日 至 2021年4月30日) | ||
金額(千円) | 割合(%) | 金額(千円) | 割合(%) | |
Apple Inc. | 380,293 | 24.6 | 485,230 | 31.2 |
Google Inc. | 296,568 | 19.2 | 325,570 | 20.9 |
4.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
Ⅱ 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものであります。
(1)重要な会計方針、会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社の財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。その作成には、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債および収益・費用の報告金額および開示に影響を与える見積りを必要としております。これらの見積りについては、過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積りによる不確実性のため、これらの見積りとは異なる場合があります。
繰延税金資産については、将来事業年度の課税所得を合理的に見積り、回収可能性を判断した上で繰延税金資産を計上しています。新型コロナウイルス感染症の拡大に伴う影響については、依然として不透明な状況が続いておりますが、当社の事業環境は概ね正常化しており、現時点においては重要な影響はないものと判断して会計上の見積りを行っております。ただし、同感染症による影響は不確実性が高く、感染拡大に伴う影響を含めた今後の経営環境の変化等によっては、翌事業年度において、当該将来事業年度の課税所得の見積り及び繰延税金資産の計上額が変動する可能性があります。
貸倒引当金、賞与引当金の計上基準については、「第5 経理の状況 1(1)財務諸表 注記事項(重要な会計方針)」の記載のとおり計上を行っております。いずれも過去の実績に基づき算定しており、会計上の見積りの重要性は低く、当社の経営成績等に与える影響は軽微であると判断しております。
固定資産の減損については、減損の兆候の把握、減損損失の認識及び測定に当たって慎重に検討しております。将来の市況や業績等が悪化した場合には、減損損失が発生する可能性があります。
当社が保有する時価のない有価証券の評価については、出資先の財政状態及び経営成績等を把握し、実質価額が帳簿価額と比較して著しく下落した場合には、回復可能性を検討した上で、相当の減額を行うこととしております。なお、出資先の業績悪化等により、帳簿価額の回復可能性が見込まれない場合には、減損処理を行う可能性があります。
(2)財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
①財政状態の分析
財政状態に関する分析は、「Ⅰ 経営成績等の状況の概要 (1)財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりです。
②経営成績の分析
a 売上高
当事業年度の売上高は、1,556,593千円(前年同期比0.8%増)となりました。AI(BtoC)サービスでは、全国的な外出自粛影響による巣ごもり需要の活性化やメディア露出・イベント開催等の影響により、スマートフォン向けアプリ「将棋ウォーズ」において安定的な成長が続いております。AI(BtoB)サービスでは、政府や東京都から発出された緊急事態宣言中の商談機会減少等の影響を受け、初期設定フィーの獲得に遅延が生じておりましたが、ニューノーマル環境下におけるデジタルトランスフォーメーション推進の需要拡大等に伴い、当事業年度末に向けて徐々に回復しました。
b 売上原価、売上総利益、販売費及び一般管理費、営業利益
当社の売上原価及び販売費及び一般管理費については、人材関連費用、機械学習用サーバ等設備の減価償却費、AI(BtoC)サービスに係る課金決済手数料、支払手数料及びオフィスに係る地代家賃等が主な内容となります。
人材関連費用については、AI(BtoB)サービスにおける開発リソース拡充のため前期を大きく上回りました。また、機械学習用サーバへの設備投資に伴い減価償却費が増加しておりますが、いずれも当社の中長期的な成長に資するものであると考えており、来期以降も積極的に各種投資を進めてまいります。その他、AI(BtoC)サービスの売上増加に応じて課金決済手数料も増加しております。
これらの結果、当事業年度における売上原価は851,331千円(前年同期比9.6%増)となり、当事業年度の売上総利益は705,261千円(前年同期比8.1%減)となりました。また、当事業年度における販売費及び一般管理費は411,081千円(前年同期比33.3%増)となり、当事業年度の営業利益は294,180千円(前年同期比35.9%減)となりました。
c 営業外収益、営業外費用、経常利益、特別損益
営業外収益及び費用については、出資分配金や、当社が出資する投資事業組合に係る運用損等が主な内容となります。その他、営業外収益において一時的な収入として助成金収入が発生しました。
これらの結果、当事業年度の経常利益は285,814千円(前年同期比29.4%減)となり、税引前当期純利益は285,814千円(前年同期比21.7%減)となりました。
上記a~cの結果を受け、当事業年度の当期純利益は207,146千円(前年同期比18.9%減)となりました。なお、法人税等調整額を含む法人税等合計は78,668千円(前年同期比28.1%減)であります。
(3)キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容
キャッシュ・フローの分析・検討内容については、「Ⅰ 経営成績等の状況の概要 (2)キャッシュ・フローの状況」に記載の通りです。
(4)経営成績に重要な影響を与える要因について
「2 事業等のリスク」に記載した通り、事業内容、事業運営・組織体制等、様々なリスク要因が経営成績に重要な影響を与える可能性があると認識しております。そのため、当社は常に市場動向や業界動向を注視しつつ、優秀な人材の確保と適切な教育を実施するとともに、事業運営体制の強化と整備を進めることで、経営成績に重要な影響を与えるリスク要因に適切な対応を図ってまいります。
(5)経営戦略の現状と見通し
AIは日進月歩の高度な技術であり、サービス提供できる人材を有する会社数は限定的となっておりますが、当社では本分野の最先端の知見を有する者が多数所属しております。当社は、将棋AI研究で培った最先端の機械学習ノウハウを蓄積した「HEROZ Kishin」をAI(BtoB)サービスとして拡販しております。今後の方針としても引き続き、自社の強みが生き、かつ今後の拡大が見込まれるAI関連市場に経営資源を投入していく所存であり、上記サービスの成長のため、積極的に各種投資を進めてまいります。
具体的には、①AIを活用したBtoC領域で引き続き安定的な収益を伸ばす、②「HEROZ Kishin」によるAIサービスをBtoB領域で伸ばす、③パートナーシップ戦略、④知財戦略、⑤人材採用の5点に注力することで競争優位性を保ち、持続的な成長を目指します。
(6)資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当社は、事業運営上必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としております。運転資金や自社サーバ購入等を目的とした資金需要は自己資金によることを基本としておりますが、必要に応じて多様な調達手段を検討してまいります。このような方針の元、2019年12月24日に公募増資により調達した資金について、新規人材の採用関連費用、機械学習用サーバ等への設備投資、同サーバ費用等の通信費、オフィス増床の為の敷金及び費用、当社事業に応用可能な周辺技術を有する企業等への投融資、運転資金等にその一部を充当しており、残額についても公募増資時に想定していた使途に充当し、当社の中長期的な成長戦略の実現を目指してまいります。
なお、当事業年度末における現金及び現金同等物の残高は5,554,149千円となっており、有利子負債の残高はありません。